WO2022075392A1 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

無機化合物の高分散を実現して、成形物の加工性、機械特性、外観品質を向上することができるマスターバッチを提供する。さらに詳しくは、マスターバッチは、熱可塑性樹脂(A)と、金属酸化物を主成分とする無機化合物と、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)と、を含有する。

Description

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
 本発明は、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
 金属酸化物はその活性の高さから、各種用途として用いられている。しかしながら、金属酸化物を高分子複合材料に利用する場合、その凝集性が高いため金属酸化物の分散が困難なことが知られている。
 これを解決するために、金属酸化物と分散剤とを混合した粉末状のドライカラー、常温で液状の分散剤中に顔料を分散させたリキッドカラーまたはペーストカラー、常温で固体の樹脂中に金属酸化物を分散させたペレット状、フレーク状あるいはビーズ状のマスターバッチなどがある。これらの組成物は、用途によって、その特徴を生かして使い分けられているが、これらのうち、取扱いの容易さ、使用時の作業環境保全の面からマスターバッチが好んで用いられている。マスターバッチにおける金属酸化物に分散性を付与するために、従来、分散剤として、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスアマイド、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、およびこれらの誘導体、例えば酸変性体からなるワックス等の1種または2種以上が用いられている。
 しかし、例えば、熱可塑性樹脂を繊維径20μm以下で高速紡糸したり、フィルム化するなど高度な顔料分散が求められる場合には、上記分散剤では満足されないことがある。すなわち、分散不良による紡糸時の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィルムでの成形不良などを起こす。これらの問題を解決するため、マスターバッチの加工方法の改良や強力混練機により分散性を向上させる努力が行われてきたが、十分な分散能を発揮するものではなかった。
 これまで、分散性の向上を目的として、例えば合成樹脂水系分散体または水溶液(a)1~80重量%、顔料(b)1~90重量%および熱可塑性樹脂(c)1~90重量%を二軸押出機に供給し、相置換および脱水を行うマスターバッチの製造方法が提案されている(特許文献1)。
 また、下記一般式(1)で表される分散剤を含有する顔料の水スラリーを製造する工程(A)と、下記一般式(1)で表される分散剤および溶剤を含むメタロセン系ポリオレフィンの溶融物を製造する工程(B)と、工程(A)で得られた水スラリーおよび工程(B)で得られた溶融物の混合物を撹拌して顔料をフラッシングせしめる工程(C)と、工程(C)で得られたフラッシング後の混合物から溶剤および水を除去する工程(D)とからなる着色樹脂組成物の製造方法が提案されている(特許文献2)。
2n+1(OCHCHOH    ・・・(1)
(式中、 nは1~100の整数であり、 mは1~100の整数である。)
 更に、顔料含有水性スラリーおよび熱溶融性樹脂を混合して、水分、顔料および熱溶融性樹脂の混合物を調製し、前記混合物を脱水して前記混合物における水分の含有量が4~25質量%となるように調整し、かつ前記混合物を少なくとも1個のベント口を有する押出混練機に連続的に投入し、熱溶融性樹脂の溶融温度以上の温度で混練し、分離した水分および残存した水分の水蒸気をベント口から排出しつつ、熱溶融性樹脂の溶融温度以上の温度で混練して、溶融した前記熱溶融性樹脂中に顔料が分散された顔料・樹脂組成物を得ることを含む顔料・樹脂組成物の製造方法が提案されている(特許文献3)。
特許第3158847号公報 特許第3890985号公報 特開2014-98164号公報
 しかしながら、金属酸化物分散水溶液を脱水乾燥すると金属酸化物の活性面の露出に因る二次凝集が発生し易く、金属酸化物が高分散したマスターバッチを作成することが困難であるため、上記従来の製造方法では金属酸化物の分散性が十分とは言えず、未だ改善の余地がある。また、繊維の更なる小径化やフィルムの更なる薄膜化等のニーズがあることから、繊維径のより小さい糸への加工や、より薄いフィルムへの加工時に、成形物の加工性、機械特性、外観品質の低下などが懸念される。
 本発明の目的は、無機化合物の高分散を実現して、成形物の加工性、機械特性、外観品質を向上することができる熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
 上記目的を達成するために、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、分散剤のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)値に着目し、HLB値がそれぞれ異なる特定の範囲内の値を示す2種類の両親媒性分子を含む水分散体を用いてマスターバッチを製造し、得られたマスターバッチとベース樹脂とを混合して熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂成形体を得ることで、無機化合物スラリーとしての水分散体中での無機化合物の凝集が防止され、その結果マスターバッチ中で無機化合物が高分散し、熱可塑性樹脂成形体の加工性、機械特性、外観品質を向上できることを見出した。
 すなわち、本発明は以下の手段を提供する。
[1]熱可塑性樹脂(A)と、
 金属酸化物を主成分とする無機化合物と、
 HLB(Hydrophile Lipophile Balance)値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、
 HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)と、
 を含有するマスターバッチ。
[2]前記マスターバッチ中の前記熱可塑性樹脂(A)、前記無機化合物、前記両親媒性分子(A)及び前記両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記両親媒性分子(A)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であり、前記両親媒性分子(B)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下である、上記[1]に記載のマスターバッチ。
[3]前記両親媒性分子(A)が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなる、上記[1]又は[2]に記載のマスターバッチ。
[4]前記両親媒性分子(A)がポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドから選択される1種又は2種からなる、上記[3]に記載のマスターバッチ。
[5]前記両親媒性分子(B)が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなる、上記[1]~[4]のいずれかに記載のマスターバッチ。
[6]前記両親媒性分子(B)がポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種又は2種からなる、上記[5]に記載のマスターバッチ。
[7]前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、上記[1]に記載のマスターバッチ。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記熱可塑性樹脂組成物中の前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下である、上記[8]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、上記[8]又は[9]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11]上記[8]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形してなる熱可塑性樹脂成形体。
[12]上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合してなる熱可塑性樹脂成形体。
[13]前記熱可塑性樹脂成形体中の前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下である、上記[12]に記載の熱可塑性樹脂成形体。
[14]前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、上記[12]又は[13]に記載の熱可塑性樹脂成形体。
[15]前記熱可塑性樹脂成形体が、フィラメント、ステープル、不織布、中空糸及びフィルムから選択されるいずれかである、上記[11]~[14]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体。
[16]金属酸化物を主成分とする無機化合物と、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)とを混合して、前記無機化合物を1質量部以上80質量部以下含有する水分散体を準備する工程(I)と、
 熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記水分散体を1質量部以上300質量部以下で供給し、溶融混合する工程(II)と、
 を有する、マスターバッチの製造方法。
[17]上記[16]に記載の製造方法によって得られたマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混合する工程を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[18]前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下となるように、前記マスターバッチと前記熱可塑性樹脂(B)を溶融混合する、上記[17]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[19]上記[17]又は[18]に記載の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物を溶融成形する工程を有する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[20]上記[16]に記載の製造方法によって得られたマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混合する工程を有する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[21]前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下となるように、前記マスターバッチと前記熱可塑性樹脂(B)を溶融混合する、上記[20]に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[22]前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)を用いて、フィラメント、ステープル、不織布、中空糸及びフィルムから選択されるいずれかを成形する、上記[19]~[21]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
 本発明によれば、無機化合物の高分散を実現して、成形物の加工性、機械特性、外観品質を向上することができる。
 以下、本発明の実施形態を説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
<マスターバッチ>
 本実施形態のマスターバッチ(熱可塑性樹脂組成物ともいう)は、熱可塑性樹脂(A)と、金属酸化物を主成分とする無機化合物と、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)と、を含有する。
[熱可塑性樹脂(A)]
 上記マスターバッチ中の熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、熱可塑性樹脂(A)の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは99質量%以下の範囲としてよい。熱可塑性樹脂(A)の含有量が30質量%以上であると、無機化合物に対するマトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂(A)が適量となり、マスターバッチ中に上記無機化合物をより高分散し易くなり、99質量%以下であると無機化合物が適量となり、該無機化合物の所望の特性をより発現させ易くなる。したがって熱可塑性樹脂(A)の含有量を上記範囲内の値とする。
 上記熱可塑性樹脂(A)としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド-6(ナイロン-6)、ポリアミド66(ナイロン-66)、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド系樹脂;エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体等のエチレン・不飽和エステル系共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体またはそのアイオノマー樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンオキシド樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂等のポリフェニレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、これらの熱可塑性樹脂のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 ポリオレフィン系樹脂は、少なくとも1種のオレフィンを重合してなるポリオレフィン樹脂であり、単独重合体であっても共重合体であってもよい。
 このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソブテン(1-ブテン)を含む炭素原子数4~12のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
 なお、炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。
 ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
 密度もしくは形状で分類した場合、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)が挙げられ、このうち高密度ポリエチレンが好ましい。
 また、熱可塑性樹脂(A)は、糸やフィルムへの成形の観点からは、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド-6及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなるのが好ましい。
[無機化合物]
 無機化合物は、上述のように金属酸化物を主成分とする。主成分とは、上記無機化合物全体の質量を100質量%としたときの、金属酸化物が50質量%よりも大きいことを意味する。また、無機化合物は1種又は2種以上の金属酸化物からなるものであってもよい。
 上記マスターバッチ中の熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、無機化合物の含有量は、好ましくは1質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下の範囲としてよい。無機化合物の含有量が1質量%以上であると無機化合物の所望の特性を発現し易くなり、70質量%以下であるとマスターバッチ中に無機化合物を均一分散し易くなる。
 上記無機化合物としては、特に制限されないが、例えばチタン(Ti)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ジルコニア(Zr)等の金属酸化物が挙げられる。また、これらの無機化合物のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記金属の固溶体や、水に対して安定な無機物質等であってもよい。
[両親媒性分子(A)]
 本実施形態の両親媒性分子(A)は、HLB値が1~8である。両親媒性分子(A)のHLB値が1~8の範囲内であると、両親媒性分子(A)は、親油基による熱可塑性樹脂(A)との相溶性を発現し、主として熱可塑性樹脂(A)に無機化合物(特に金属酸化物)を分散させる作用を奏すると推察される。HLBは、親水性と親油性のバランスを表す指標であり、親水基を持たない物質をHLB=0、親油基をもたず親水基のみを持つ物質をHLB=20として0~20の範囲を等分したものである。HLB値は、計算法と実測法のいずれで求めてもよいが、計算法の場合、下記に示すGriffinの式で算出することができる。
 HLB=20×Mw/M
(式中、Mは両親媒性分子の分子量、Mwは両親媒性分子の親水性部分の分子量である。)
 上記マスターバッチ中の熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(A)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)に無機化合物をより相溶化させることができる。
 両親媒性分子(A)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
・モノステアリン酸グリセリル(HLB値4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB値6.0)、モノオレイン酸グリセリル(HLB値2.5)などのグリセリン脂肪酸エステル類;
・ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6(HLB値3.9)、モノステアリン酸ジグリセリル(HLB値5.0)、モノオレイン酸ジグリセリル(HLB値6.5)、ジオレイン酸ジグリセリル(HLB値7.0)、モノイソステアリン酸ジグリセリル(HLB値5.5)、モノステアリン酸テトラグリセリル(HLB値6.0)、モノオレイン酸テトラグリセリル(HLB値6.0)、トリステアリン酸デカグリセリル(HLB値7.5)、トリオレイン酸デカグリセリル(HLB値7.0)、ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB値3.5)等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;
・トリイソステアリン酸POE(3)グリセリル(HLB値2.0)、トリイソステアリン酸POE(5)グリセリル(HLB値3.0)、トリイソステアリン酸POE(10)グリセリル(HLB値5.0)、トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル(HLB値8.0)、イソステアリン酸POE(3)グリセリル(HLB値6.0)、イソステアリン酸POE(5)グリセリル(HLB値8.0)、イソステアリン酸POE(6)グリセリル(HLB値8.0)、トリステアリン酸POE(3)グリセリル(HLB値2.0)、トリステアリン酸POE(4)グリセリル(HLB値2.0)、トリステアリン酸POE(5)グリセリル(HLB値3.0)、トリステアリン酸POE(6)グリセリル(HLB値3.0)、トリステアリン酸POE(10)グリセリル(HLB値5.0)、トリステアリン酸POE(20)グリセリル(HLB値8.0)、ジステアリン酸POE(4)グリセリル(HLB値4.0)、トリオレイン酸POE(3)グリセリル(HLB値2.0)、トリオレイン酸POE(5)グリセリル(HLB値3.0)、トリオレイン酸POE(10)グリセリル(HLB値5.0)、トリオレイン酸POE(20)グリセリル(HLB値8.0)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;
・プロピレングリコールモノラウレート(HLB値4.2)、プロピレングリコールモノパルミテート(HLB値3.8)、プロピレングリコールモノステアレート(HLB値3.7)、プロピレングリコールモノオレート(HLB値3.6)、プロピレングリコールモノベヘネート(HLB値3.4)等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;
・モノパルミチン酸ソルビタン(HLB値6.7)、モノステアリン酸ソルビタン(HLB値4.7)、セスキステアリン酸ソルビタン(HLB値4.2)、トリステアリン酸ソルビタン(HLB値2.1)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB値5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB値4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB値4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB値3.7)等のソルビタン脂肪酸エステル類;
・ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット(HLB値3.0)等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;
・パーム核油脂肪酸ジメタノールアミド(HLB値5.5)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(HLB値5.8)、ラウリン酸ジエタノールアミド(HLB値5.8)等の脂肪酸アルカノールアミド類;
・POE(6)ソルビットミツロウ(HLB値7.5)等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体類;
・POE(3)ヒマシ油(HLB値3.0)、POE(10)ヒマシ油(HLB値6.5)、POE(5)硬化ヒマシ油(HLB値6.0)、POE(7)硬化ヒマシ油(HLB値6.0)、POE(10)硬化ヒマシ油(HLB値6.5)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類;
・POE(3)ラウリルエーテル(HLB値8.0)、POE(5)ラウリルエーテル(HLB値1.0)、POE(5)イソセチルエーテル(HLB値8.0)、POE(3)セチルエーテル(HLB値6.0)、POE(5)セチルエーテル(HLB値8.0)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB値8.0)、POE(5)ステアリルエーテル(HLB値8.0)、POE(6)ステアリルエーテル(HLB値8.0)、POE(5)イソステアリルエーテル(HLB値8.0)、POE(2)オレイルエーテル(HLB値7.5)、POE(3)オレイルエーテル(HLB値6.0)、POE(5)オレイルエーテル(HLB値8.0)、POE(5)オクチルドデシルエーテル(HLB値7.0)、POE(5)ベヘニルエーテル(HLB値7.0)、POE(5)デシルテトラデシルエーテル(HLB値6.0)、POE(3)2級アルキルエーテル(HLB値8.0)、POE(5)コレステリルエーテル(HLB値7.0)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
・POE(2)モノステアリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(3)モノステアリン酸エステル(HLB値7.0)、POE(4)モノステアリン酸エステル(HLB値6.5)、POE(5)モノステアリン酸エステル(HLB値8.0)、POE(2)モノオレイン酸エステル(HLB値4.5)、POE(3)モノオレイン酸エステル(HLB値7.0)、POE(6)モノオレイン酸エステル(HLB値8.5)、POE(2)ジステアリン酸エステル(HLB値2.0)、POE(3)ジステアリン酸エステル(HLB値3.0)、POE(4)ジステアリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(6)ジステアリン酸エステル(HLB値5.0)、POE(12)ジステアリン酸エステル(HLB値8.0)、POE(2)ジイソステアリン酸エステル(HLB値3.0)、POE(3)ジイソステアリン酸エステル(HLB値3.0)、POE(4)ジイソステアリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(6)ジイソステアリン酸エステル(HLB値5)、POE(12)ジイソステアリン酸エステル(HLB値8.0)、POE(3)イソステアリン酸エステル(HLB値7.0)、POE(2)ジラウリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(3)ジラウリン酸エステル(HLB値5.0)、POE(4)ジラウリン酸エステル(HLB値5.0)、POE(6)ジラウリン酸エステル(HLB値7.0)、POE(3)ジオレイン酸エステル(HLB値3.0)、POE(4)ジオレイン酸エステル(HLB値4.0)、POE(6)ジオレイン酸エステル(HLB値5.0)、POE(8)ジオレイン酸エステル(HLB値6.0)、POE(12)ジオレイン酸エステル(HLB値8.0)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;
・POE(2)ラウリルアミン(HLB値5.2)、POE(2)ステアリルアミン(HLB値5.1)、POE(3)牛脂プロピレンジアミン(HLB値5.9)、N-ビス-N-シクロへキシルアミン(HLB値4.8)、POE(2)メタキシレンジアミン(HLB値7.9)等のポリオキシエチレンアルキルアミン類;
・POE(3)セチルエーテルステアリン酸エステル(HLB値3.0)、POE(5)セチルエーテルステアリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(7)セチルエーテルステアリン酸エステル(HLB値6.0)、POE(10)セチルエーテルステアリン酸エステル(HLB値7.0)等のステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル類;・POE(4)ステアリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値4.0)、POE(6)ステアリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値5.0)、POE(9)ステアリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値6.0)、POE(10)ステアリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値7.0)、POE(12)ステアリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値8.0)等のステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル類;
・POE(3)ラウリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値3.0)、POE(5)ラウリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値5.0)、POE(8)ラウリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値7.0)、POE(10)ラウリルエーテルステアリン酸エステル(HLB値8.0)等のステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル類;
・イソステアリン酸POE(5)硬化ヒマシ油(HLB値4.0)、イソステアリン酸POE(10)硬化ヒマシ油(HLB値5.0)、イソステアリン酸POE(15)硬化ヒマシ油(HLB値7.0)、イソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(HLB値8.0)、トリイソステアリン酸POE(5)硬化ヒマシ油(HLB値2.0)、トリイソステアリン酸POE(10)硬化ヒマシ油(HLB値4.0)、トリイソステアリン酸POE(15)硬化ヒマシ油(HLB値5.0)、トリイソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(HLB値6.0)、トリイソステアリン酸POE(30)硬化ヒマシ油(HLB値7.0)、トリイソステアリン酸POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値8.0)、ラウリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(HLB値8.0)等のPOE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル類;
・トリステアリン酸POE(3)トリメチロールプロパン(HLB値2.0)、トリステアリン酸POE(5)トリメチロールプロパン(HLB値3.0)、トリステアリン酸POE(10)トリメチロールプロパン(HLB値5.0)、トリミリスチン酸POE(3)トリメチロールプロパン(HLB値2.0)、トリミリスチン酸POE(5)トリメチロールプロパン(HLB値3.0)、ジステアリン酸POE(3)トリメチロールプロパン(HLB値3.0)、ジステアリン酸POE(4)トリメチロールプロパン(HLB値4.0)、ジステアリン酸POE(5)トリメチロールプロパン(HLB値4.0)、トリイソステアリン酸POE(3)トリメチロールプロパン(HLB値2.0)、トリイソステアリン酸POE(20)トリメチロールプロパン(HLB値8.0)等のポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル類。
 また、これらの両親媒性分子(A)のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上記両親媒性分子(A)のうち、高耐熱性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び及び脂肪酸アルカノールアミドから選択される1種又は2種が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。
[両親媒性分子(B)]
 本実施形態の両親媒性分子(B)は、HLB値が10~18である。両親媒性分子(B)のHLB値が10~18の範囲内であると、両親媒性分子(B)は、親水基による無機化合物(特に金属酸化物)との吸着性を発現し、主として熱可塑性樹脂(A)中で無機化合物の分散を安定させる作用を奏すると推察される。
 上記マスターバッチ中の熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(B)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)中での無機化合物の分散をより安定させることができる。
 両親媒性分子(B)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
・モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB値14.5)、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル(HLB値11.0)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB値15.5)、モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB値14.0)、モノステアリン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、モノイソステアリン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、モノオレイン酸デカグリセリル(HLB値12.0)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB値10.0)等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;
・モノステアリン酸POE(15)グリセリル(HLB値13.5)、モノオレイン酸POE(15)グリセリル(HLB値14.5)、トリイソステアリン酸POE(30)グリセリル(HLB値10.0)、トリイソステアリン酸POE(40)グリセリル(HLB値11.0)、トリイソステアリン酸POE(50)グリセリル(HLB値12.0)、トリイソステアリン酸POE(60)グリセリル(HLB値13.0)、イソステアリン酸POE(8)グリセリル(HLB値10.0)、イソステアリン酸POE(10)グリセリル(HLB値10.0)、イソステアリン酸POE(15)グリセリル(HLB値12.0)、イソステアリン酸POE(20)グリセリル(HLB値13.0)、イソステアリン酸POE(25)グリセリル(HLB値14.0)、イソステアリン酸POE(30)グリセリル(HLB値15.0)、イソステアリン酸POE(40)グリセリル(HLB値15.0)、イソステアリン酸POE(50)グリセリル(HLB値16.0)、イソステアリン酸POE(60)グリセリル(HLB値16.0)、トリオレイン酸POE(30)グリセリル(HLB値10.0)、トリオレイン酸POE(40)グリセリル(HLB値11.0)、トリオレイン酸POE(50)グリセリル(HLB値12.0)、トリオレイン酸POE(60)グリセリル(HLB値13.0)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;
・モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン(HLB値16.9)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値14.9)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値10.5)、モノイソステアリン酸(POE20)ソルビタン(HLB値15.0)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.0)、モノオレイン酸POE(6ソルビタン(HLB値10.0)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB値11.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;
・モノラウリン酸POE(6)ソルビット(HLB値15.5)、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット(HLB値13.0)、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット(HLB値10.5)、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット(HLB値12.5)、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット(HLB値14.0)等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;
・POE(10)ラノリン(HLB値12.0)、POE(20)ラノリン(HLB値13.0)、POE(30)ラノリン(HLB値15.0)、POE(5)ラノリンアルコール(HLB値12.5)、POE(10)ラノリンアルコール(HLB値15.5)、POE(20)ラノリンアルコール(HLB値16.0)、POE(40)ラノリンアルコール(HLB値17.0)等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体類;
・POE(20)ヒマシ油(HLB値10.5)、POE(40)ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(50)ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(60)ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB値10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB値11.0)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(50)硬化ヒマシ油(HLB値13.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)、POE(80)硬化ヒマシ油(HLB値15.0)、POE(100)硬化ヒマシ油(HLB値16.5)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類;
・POE(10)フィトステロール(HLB12.5)、POE(20)フィトステロール(HLB15.5)、POE(30)フィトステロール(HLB18.0)、POE(25)フィトスタノール(HLB14.5)、POE(30)コレスタノール(HLB17.0)等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類;
・POE(4.2)ラウリルエーテル(HLB値11.5)、POE(7)ラウリルエーテル(HLB値11.0)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB値14.5)、POE(10)ラウリルエーテル(HLB値12.0)、POE(12)ラウリルエーテル(HLB値13.0)、POE(15)ラウリルエーテル(HLB値14.0)、POE(20)ラウリルエーテル(HLB値15.0)、POE(30)ラウリルエーテル(HLB値16.0)、POE(50)ラウリルエーテル(HLB値17.0)、POE(10)イソセチルエーテル(HLB値11.0)、POE(15)イソセチルエーテル(HLB値13.0)、POE(20)イソセチルエーテル(HLB値14.0)、POE(25)イソセチルエーテル(HLB値15.0)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB値10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB値11.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB値13.5)、POE(12)セチルエーテル(HLB値12.0)、POE(15)セチルエーテル(HLB値15.5)、POE(17)セチルエーテル(HLB値13.0)、POE(20)セチルエーテル(HLB値17.0)、POE(23)セチルエーテル(HLB値18.0)、POE(8)ステアリルエーテル(HLB値10.0)、POE(11)ステアリルエーテル(HLB値11.0)、POE(15)ステアリルエーテル(HLB値12.0)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB値18.0)、POE(25)ステアリルエーテル(HLB値14.0)、POE(30)ステアリルエーテル(HLB値15.0)、POE(40)ステアリルエーテル(HLB値16.0)、POE(10)イソステアリルエーテル(HLB値11.0)、POE(15)イソステアリルエーテル(HLB値12.0)、POE(20)イソステアリルエーテル(HLB値13.0)、POE(25)イソステアリルエーテル(HLB値14.0)、POE(3)オレイルエーテル(HLB値6.0)、POE(7)オレイルエーテル(HLB値10.5)、POE(8)オレイルエーテル(HLB値10.0)、POE(10)オレイルエーテル(HLB値14.5)、POE(12)オレイルエーテル(HLB値11.0)、POE(15)オレイルエーテル(HLB値16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB値17.0)、POE(23)オレイルエーテル(HLB値14.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB値18.0)、POE(10)オクチルドデシルエーテル(HLB値10.0)、POE(16)オクチルドデシルエーテル(HLB値12.0)、POE(20)オクチルドデシルエーテル(HLB値13.0)、POE(25)オクチルドデシルエーテル(HLB値14.0)、POE(25)オクチルドデシルエーテル(HLB値14.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB値10.0)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB値16.5)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB値18.0)、POE(15)デシルテトラデシルエーテル(HLB値11.0)、POE(20)デシルテトラデシルエーテル(HLB値12.0)、POE(25)デシルテトラデシルエーテル(HLB値13.0)、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル(HLB値10.5)、POE(8)(C9-11)アルキルエーテル(HLB:13.9)、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル(HLB値15.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB値10.5)、POE(7)2級アルキルエーテル(HLB値12.0)、POE(10)コレステリルエーテル(HLB値10.0)、POE(15)コレステリルエーテル(HLB値11.0)、POE(20)コレステリルエーテル(HLB値12.0)、POE(24)コレステリルエーテル(HLB値13.0)、POE(30)コレステリルエーテル(HLB値14.0)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
・POE(10)POP(4)セチルエーテル(HLB値10.5)、POE(20)POP(4)セチルエーテル(HLB値16.5)、POE(20)POP(8)セチルエーテル(HLB値12.5)、POE(20)POP(6)テトラデシルエーテル(HLB値11.0)、POE(30)POP(6)テトラデシルエーテル(HLB値12.0)、POE(7)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値10.0)、POE(10)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値12.0)、POE(12)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値12.0)、POE(15)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値13.0)、POE(20)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値14.0)、POE(30)POP(2)テトラデシルエーテル(HLB値15.0)等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;
・POE(10)モノラウリン酸エステル(HLB値12.5)、POE(12)モノラウリン酸エステル(HLB値14.0)、POE(10)モノステアリン酸エステル(HLB値11.0)、POE(20)モノステアリン酸エステル(HLB値14.0)、POE(25)モノステアリン酸エステル(HLB値15.0)、POE(30)モノステアリン酸エステル(HLB値15.0)、POE(40)モノステアリン酸エステル(HLB値17.5)、POE(45)モノステアリン酸エステル(HLB値18.0)、POE(55)モノステアリン酸エステル(HLB値18.0)、POE(15)モノステアリン酸エステル(HLB値18.0)、POE(10)モノオレイン酸エステル(HLB値11.0)、POE(150)ジステアリン酸エステル(HLB値16.5)、POE(8)イソステアリン酸エステル(HLB値10.0)、POE(10)イソステアリン酸エステル(HLB値11.0)、POE(12)イソステアリン酸エステル(HLB値12.0)、POE(20)イソステアリン酸エステル(HLB値14.0)、POE(12)ジラウリン酸エステル(HLB値10.0)、POE(16)ジラウリン酸エステル(HLB値11.0)、POE(20)ジラウリン酸エステル(HLB値12.0)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;
・POE(5)ラウリルアミン(HLB値10.4)、POE(7)ラウリルアミン(HLB値12.1)、POE(10)ラウリルアミン(HLB値13.6)、POE(30)ラウリルアミン(HLB値17.5)、POE(7)エチレン牛脂アミン(HLB値11.0)、POE(8)エチレン牛脂アミン(HLB値11.9)、POE(10)エチレン牛脂アミン(HLB値12.7)、POE(13.5)エチレン牛脂アミン(HLB値11.0)、POE(20)エチレン牛脂アミン(HLB値15.5)、POE(30)エチレン牛脂アミン(HLB値16.7)、POE(40)エチレン牛脂アミン(HLB値17.4)、POE(7)ステアリルアミン(HLB値10.7)、POE(10)ステアリルアミン(HLB値12.8)、POE(15)ステアリルアミン(HLB値14.3)、POE(20)ステアリルアミン(HLB値115.3)、POE(30)ステアリルアミン(HLB値16.7)、POE(45)ステアリルアミン(HLB値17.6)、POE(15)牛脂プロピレンジアミン(HLB値13.4)、POE(50)ステアリルプロピレンジアミン(HLB値17.4)、POE(4)メタキシレンジアミン(HLB値11.3)等のポリオキシエチレンアルキルアミン類
・POE(50)ステアリルアミド(HLB値17.8)等のポリオキシエチレンアルキルアミド類
・ステアリン酸POE(10)グリセリル(HLB値11.0)、ステアリン酸POE(15)グリセリル(HLB値13.0)、ステアリン酸POE(20)グリセリル(HLB値14.0)、ステアリン酸POE(30)グリセリル(HLB値15.0)、ステアリン酸POE(40)グリセリル(HLB値16.0)等のモノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン類;
・イソステアリン酸POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値11.0)、イソステアリン酸POE(50)硬化ヒマシ油(HLB値12.0)、イソステアリン酸POE(58)硬化ヒマシ油(HLB値12.0)、トリイソステアリン酸POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値10.0)、ラウリン酸POE(30)硬化ヒマシ油(HLB値10.0)、ラウリン酸POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値11.0)、ラウリン酸POE(50)硬化ヒマシ油(HLB値12.0)、ラウリン酸POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値13.0)等のPOE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル類;
・トリミリスチン酸POE(30)トリメチロールプロパン(HLB値11.0)、トリイソステアリン酸POE(30)トリメチロールプロパン(HLB値10.0)、トリイソステアリン酸POE(40)トリメチロールプロパン(HLB値11.0)、トリイソステアリン酸POE(50)トリメチロールプロパン(HLB値12.0)等のポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル類;
・ショ糖ラウリン酸モノエステル(HLB値16.0)、ショ糖ミリスチン酸モノエステル(HLB値16.0)、ショ糖パルミチン酸モノエステル(HLB値16.0)、ショ糖ステアリン酸モノエステル(HLB値16.0)、ショ糖オレイン酸モノエステル(HLB値16.0)等のショ糖脂肪酸エステル類。
 また、これらの両親媒性分子(B)のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上記両親媒性分子(B)のうち、高耐熱性の観点からは、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種又は2種が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。
 尚、例えば「POE(8)(C9-11)アルキルエーテル」を説明すると、「POE」はポリオキシエチレンを、「(8)」は下記一般式(2)中のmを、「アルキル(C9-11)アルキル」は炭素数9~11のアルキル混合物を意味する。
R-(CHCHO)-H    ・・・(2)
[両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)]
 上記マスターバッチにおける両親媒性分子(A)と両親媒性分子(B)の質量比は、両親媒性分子(A):両親媒性分子(B)=10~90:90~10であるのが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂(A)に無機化合物を相溶化させる作用と、熱可塑性樹脂(A)中で無機化合物の分散を安定させる作用との双方をバランス良く発現させることができる。
[その他の成分]
 マスターバッチは、その機能の主旨を逸脱しない範囲において、上記熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)以外の他の成分が含まれてもよい。
 その他の成分としては、具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物および成形体>
 本実施形態の熱可塑性樹脂組成物および成形体は、マスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合してなる。熱可塑性樹脂組成物または成形体は、上記マスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合させたものの硬化物(加熱により軟化流動した状態が冷却により固化したもの)である。熱可塑性樹脂組成物は、特に制限されないが、例えばマスターバッチから熱可塑性樹脂成形体を得る際の中間成形体であり、ペレット状や粉末状等の所定形態を有する材料を意味する。
[熱可塑性樹脂(B)]
 熱可塑性樹脂組成物または成形体中のマスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、上記マスターバッチの含有量は、好ましくは1質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下の範囲としてよい。
 上記熱可塑性樹脂(B)としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド-6(ナイロン-6)、ポリアミド-66(ナイロン-66)、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド系樹脂;エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体等のエチレン・不飽和エステル系共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体またはそのアイオノマー樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンオキシド樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂等のポリフェニレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、これらの熱可塑性樹脂のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 ポリオレフィン系樹脂は、少なくとも1種のオレフィンを重合してなるポリオレフィン樹脂であり、単独重合体であっても共重合体であってもよい。
 このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソブテン(1-ブテン)を含む炭素原子数4~12のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
 なお、炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。
 ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
 密度もしくは形状で分類した場合、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)が挙げられ、このうち低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
 また、熱可塑性樹脂(B)は、糸やフィルムの成形の観点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなるのが好ましい。
 熱可塑性樹脂組成物または成形体における熱可塑性樹脂(B)は、上記熱可塑性樹脂(A)と同種であってもよいし、異種であってもよいが、相溶性の観点から同種の樹脂を用いることが好ましい。
[両親媒性分子(A)]
 また、熱可塑性樹脂組成物または成形体中のマスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。
[両親媒性分子(B)]
 また、熱可塑性樹脂組成物または成形体中のマスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。
[その他の成分]
 熱可塑性樹脂組成物または成形体は、その機能の主旨を逸脱しない範囲において、上記熱可塑性樹脂(A)、無機化合物、両親媒性分子(A)及び両親媒性分子(B)以外の他の成分が含まれてもよい。
 その他の成分としては、具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。
 熱可塑性樹脂成形体は、その形態に制限は無いが、例えばフィラメント(長繊維)、ステープル(短繊維)、不織布及び中空糸から選択されるいずれかであってもよい。フィラメントは、数十本の単糸(単繊維)が撚り合わされてなるマルチフィラメントであってもよいし、単糸が一本であるモノフィラメントであってもよい。紡糸の際の糸切れを抑制することができる。また、熱可塑性樹脂成形体はフィルムであってもよい。特に、熱可塑性樹脂成形体が、例えば繊維径100μm以下の細糸である場合や、厚み100μm以下の薄膜である場合、無機化合物の二次凝集が防止され、成形物の加工性、機械特性、外観品質を向上することが可能となる。
<マスターバッチの製造方法>
 本実施形態に係るマスターバッチの製造方法は、金属酸化物を主成分とする無機化合物と、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)とを混合して、上記無機化合物を1質量部以上80質量部以下含有する水分散体を準備する工程(I)と、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、上記水分散体を1質量部以上300質量部以下で供給し、溶融混合する工程(II)と、を有する。
 工程(I)で使用される水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)及び水の合計の質量を100質量%としたときの、無機化合物の含有量は、1質量%以上80質量%以下であり、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは1質量%以上60質量%以下の範囲としてもよい。無機化合物の含有量が1質量%未満であると熱可塑性樹脂組成物または成形体において無機化合物による所望の特性が得難くなり、80質量%より大きいと無機化合物の高分散が得難くなり、また、機械特性の低下や外観不良が生じ易くなる。よって水分散体中の無機化合物の含有量を上記範囲内の値とする。
 上記水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)及び水の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(A)の含有量が0.01質量%以上20質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)に無機化合物をより相溶化させることができる。
 上記水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)及び水の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(B)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)中での無機化合物の分散をより安定させることができる。
 上記工程(I)において、金属酸化物を主成分とする無機化合物、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)及びHLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)に、更に水溶性アルコールを混合して、水分散体を準備してもよい。
 この場合、工程(I)で使用される水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)、水溶性アルコール及び水の合計の質量を100質量%としたときの、無機化合物の含有量は、好ましくは1質量%以上80質量%以下、上記無機化合物の含有量は、より好ましくは1質量%以上70質量%以下、更に好ましくは1質量%以上60質量%以下の範囲としてもよい。無機化合物の含有量が1質量%未満であると熱可塑性樹脂組成物または成形体において無機化合物による所望の特性が得難くなり、80質量%より大きいと無機化合物の高分散が得難くなり、また、機械特性の低下や外観不良が生じ易くなる。よって水分散体中の無機化合物の含有量を上記範囲内の値とする。
 上記水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)、水溶性アルコール及び水の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(A)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)に無機化合物をより相溶化させることができる。
 上記水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)、水溶性アルコール及び水の合計の質量を100質量%としたときの、両親媒性分子(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましく40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。両親媒性分子(B)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、熱可塑性樹脂(A)中での無機化合物の分散をより安定させることができる。
 上記水分散体中の無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)、水溶性アルコール及び水の合計の質量を100質量%としたときの、水溶性アルコールの含有量は、好ましくは0.01質量%以上の範囲としてよく、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の範囲としてよい。水溶性アルコールの含有量が0.01質量%以上40質量%以下であると、系の安定性を向上することができる。
[その他の成分]
 水分散体は、その機能の主旨を逸脱しない範囲において、上記無機化合物、両親媒性分子(A)、両親媒性分子(B)及び水溶性アルコール以外の他の成分が含まれてもよい。 その他の成分としては、具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。
 工程(II)では、工程(I)で調整した水分散体を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上300質量部以下で供給し、溶融混合することにより、マスターバッチを得る。熱可塑性樹脂(A)に対する上記水分散体の供給量は、好ましくは1質量部以上200質量部以下の範囲としてもよい。水分散体の供給量が300質量部よりも大きいと溶融混合する装置内への注入が困難となり、また、熱可塑性樹脂(A)の溶融温度まで昇温し難く溶融混合が困難となる。一方、熱可塑性樹脂(A)に対する上記水分散体の供給量が1質量部以上300質量部以下であると、溶融混合の脱水乾燥時に無機化合物の二次凝集が防止され、マスターバッチ中で金属酸化物を均一分散することができる。よって水分散体の供給量を上記範囲内の値とする。
 溶融混合の際には、押出機(単軸押出機、二軸押出機)、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いることができ、なかでも、連続的に混練できる点で、混錬押出機が好ましい。
 溶融混合工程における加熱温度は、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の溶融のし易さに応じて決定されるが、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上の範囲としてよく、また、好ましくは400℃以下、より好ましくは380℃以下、更に好ましくは350℃以下の範囲としてよい。加熱温度が100℃以上であると、熱可塑性樹脂を溶融し易くなり、該熱可塑性樹脂中に無機化合物を分散させやすくなり、400℃以下であれば、各成分の熱劣化を抑制することができる。
 上記工程(II)において、水溶性アルコールを含有する水分散体を用いてもよい。この場合、工程(I)で調整した水分散体を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上300質量部以下、より好ましくは1質量部以上200質量部以下、更に好ましくは1質量部以上150質量部以下で供給し、溶融混合してもよい。水溶性アルコールを含有する水分散体を用いることにより、熱可塑性樹脂(A)中での無機化合物の分散をより安定させることができる。
 溶融混合した後には、マスターバッチの使用目的に応じた形状(例えば、ペレット状)に成形又は加工することができる。
 マスターバッチをペレット状とする場合には、溶融混練後、ストランドを形成し、そのストランドを、ペレタイザを用いて切断してペレット状にする。ペレット状のマスターバッチは、さらなる成形を行うための材料として使用することができ、例えば熱可塑性樹脂組成物または成形体用の材料として用いることができる。ペレット状のマスターバッチは、成形機(例えば、射出成形機、押出成形機等)によって成形することができる。
<熱可塑性樹脂組成物および成形体の製造方法>
 本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物または成形体の製造方法は、上記製造方法によって得られたマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混合する工程を有する。これにより、直接、上記熱可塑性樹脂成形体を得ることができるが、一旦、ペレット状または粉末状の熱可塑性樹脂組成物を得る工程を経てから、得られたペレット状または粉末状の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形する工程を経て目的とする熱可塑性樹脂成形体を得ることもできる。このようにマスターバッチを経由して熱可塑性樹脂成形体を得ることで、熱可塑性樹脂成形体中で無機化合物を安定的に均一分散することができ、無機化合物による所望の機能、特性を熱可塑性樹脂成形体に十分に付与することができる。
 上記マスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの上記マスターバッチの含有量が、好ましくは1質量%以上90質量%以下、より好ましくは1質量%以上80質量%以下、更に好ましくは1質量%以上70質量%以下の範囲となるように、上記マスターバッチと熱可塑性樹脂(B)を溶融混合するのが好ましい。上記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下であると、無機化合物をより安定的に均一分散することができる。
 溶融混合工程では、マスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)以外の他の成分を更に混合してもよい。例えば、混合工程において、マスターバッチ及び熱可塑性樹脂(B)と共に、酸化防止剤を混合することができる。
 溶融混合した後には、熱可塑性樹脂成形体の使用目的に応じた形状(例えば、糸状、不織布状、フィルム状)に成形又は加工することができる。
 熱可塑性樹脂成形体を糸状(フィラメント、ステープル、中空糸)とする場合には、溶融混練後、所定断面形状を有する一又は複数の孔から溶融樹脂を吐出させて糸状にすることができる。糸状の熱可塑性樹脂成形体は、更に延伸、熱処理、撚り合わせなどの後処理を経て成形されてもよいし、他の糸と混合して紡績して混紡糸や混繊糸を構成してもよい。
 熱可塑性樹脂成形体を不織布状とする場合には、溶融混練後、溶融樹脂から成形された繊維をネット上で集積することにより不織布状にすることができる。不織布状の熱可塑性樹脂成形体は、更にバインダーによる繊維同士の結合や外力の付与によって繊維同士を絡めるなどの後処理を経て成形されてもよい。
 熱可塑性樹脂成形体をフィルム状とする場合には、溶融混練後、溶融樹脂をスリット状の孔から吐出させる(押出す)ことによりフィルム状にすることができる。フィルム状の熱可塑性樹脂成形体は、更にプレス成形法又は真空成形法によって成形してもよいし、ベース層上に形成されて多層フィルムを構成してもよい。
 以下、本発明の実施例を説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。実施例中、特段の記載がない限り、「部」は質量%を示し、表中の数値の単位は質量部である。
[実施例1]
(水分散体の製造)
 酸化チタン粒子(石原産業株式会社製「ST-21」、平均粒子径20nm)30質量部、両親媒性分子としてポリグリセリン脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製「SYグリスターCRS75」、HLB3.5)1質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(青木油脂工業株式会社製「セフティカットLI-3085」、HLB値13.9)1質量部、水溶性アルコールとしてエタノール1質量部に、水67質量部を加え、ホモジナイザーを用い水分散体(1)を得た。
(マスターバッチの製造)
 ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「Y-2000GV」)100質量部を30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度230℃、捕捉粒子径40μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、押出機上流部から水分散体(1)30質量部を液添ノズルから注入し、水分をベント口から蒸発させながら溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化してマスターバッチ(1)を得た。
(フィラメントの製造)
 ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「Y-2000GV」)90質量部にマスターバッチ(1)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度230℃で溶融紡糸を行い、3倍延伸により3dtex(繊維径約15μm)のフィラメント(1)を得た。
[実施例2]
(水分散体の製造)
 両親媒性分子をポリグリセリン脂肪酸エステル(阪本薬品工業製「SYグリスターCRS75」、HLB値3.5)及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドール430V」、HLB値10.5)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(2)を得た。
(マスターバッチの製造)
 水分散体(1)を水分散体(2)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(2)を得た。
(フィラメントの製造)
 マスターバッチ(1)をマスターバッチ(2)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、フィラメント(2)を得た。
[実施例3]
(水分散体の製造)
 両親媒性分子をアルキルアルカノールアミド(花王株式会社製「アミノーンPK-02S」、HLB値5.5)及びポリオキシアルキルエーテル(青木油脂工業株式会社社製「セフティカットLI-3085」、HLB値13.9)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(3)を得た。
(マスターバッチの製造)
 水分散体(1)を水分散体(3)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(3)を得た。
(フィラメントの製造)
 マスターバッチ(1)をマスターバッチ(3)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、フィラメント(3)を得た。
[実施例4]
(水分散体の製造)
 両親媒性分子をアルキルアルカノールアミド(花王株式会社製「アミノーンPK-02S」、HLB値5.5)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドール430V」、HLB値10.5)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(4)を得た。
(マスターバッチの製造)
 水分散体(1)を水分散体(4)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(4)を得た。
(フィラメントの製造)
 マスターバッチ(1)をマスターバッチ(4)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、フィラメント(4)を得た。
[実施例5]
(水分散体の製造)
 酸化チタン粒子を酸化ケイ素粒子(信越化学工業社株式会社製「QSG-30」、平均粒子径30nm)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(5)を得た。
(マスターバッチの製造)
 水分散体(1)を水分散体(5)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(5)を得た。
(フィラメントの製造)
 マスターバッチ(1)をマスターバッチ(5)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、フィラメント(5)を得た。
[実施例6]
(水分散体の製造)
 酸化チタン粒子を酸化亜鉛粒子(堺化学工業株式会社製「FINEX-30」、平均粒子径35nm)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(6)を得た。
(マスターバッチの製造)
 水分散体(1)を水分散体(6)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(2)を得た。
(フィラメントの製造)
 マスターバッチ(1)をマスターバッチ(6)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、フィラメント(6)を得た。
[実施例7]
(マスターバッチの製造)
 ポリプロピレンを高密度ポリエチレン(三菱ケミカル株式会社製「ノバテックHY430」)に変更し、更に押出加工温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(7)を得た。
(フィラメントの製造)
 ポリプロピレンから変更した高密度ポリエチレン(三菱ケミカル株式会社製「ノバテックHY430」)90質量部にマスターバッチ(7)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度200℃で溶融紡糸を行い、3倍延伸により3dtexのフィラメント(7)を得た。
[実施例8]
(マスターバッチの製造)
 ポリプロピレンをポリエチレンテレフタレート(ユニチカ株式会社製「MA-2101M」、極限粘度(IV)0.63)変更し、更に押出加工温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(8)を得た。
(フィラメントの製造)
 ポリプロピレンから変更したポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「SA-1206」、極限粘度(IV)1.07)90質量部にマスターバッチ(8)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃で溶融紡糸を行い、3倍延伸により3dtexのフィラメント(8)を得た。
[実施例9]
(マスターバッチの製造)
 ポリプロピレンをポリアミド-6(宇部興産株式会社製「UBE ナイロン(登録商標) 1013B」)に変更し、更に押出加工温度を260℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、マスターバッチ(9)を得た。
(フィラメントの製造)
 ポリアミド-6(宇部興産株式会社製「UBE ナイロン(登録商標) 1018I」)90質量部にマスターバッチ(9)10質量部を混合し、110℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度260℃で溶融紡糸を行い、3倍延伸により3dtexのフィラメント(9)を得た。
[実施例10]
(マスターバッチの製造)
 ポリプロピレンをポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロンS-3000」)に変更し、更に押出加工温度を280℃に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(10)を得た。
(フィラメントの製造)
 ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロンS-3000」)90質量部にマスターバッチ(10)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度300℃で溶融紡糸を行い、2倍延伸により3dtexのフィラメント(10)を得た。
[実施例11]
(フィルムの製造)
 ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「Y-2000GV」)90質量部にマスターバッチ(1)10質量部を混合し、次いで、100mm幅のTダイを接続した20mm単軸押出機を用いて製膜温度230℃で溶融製膜を行い、厚さ10μmのフィルム(1)を得た。
[比較例1]
(マスターバッチ及びフィラメントの製造)
 両親媒性分子としてアルキルアルカノールアミド(花王株式会社製「アミノーンPK-02S」、HLB値5.5)のみを使用したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(7)、マスターバッチ(11)、フィラメント(11)を得た。
[比較例2]
(マスターバッチ及びフィラメントの製造)
 両親媒性分子としてポリグリセリン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドール430V」、HLB値10.5)のみを使用したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(8)、マスターバッチ(12)及びフィラメント(12)を得た。
[比較例3]
 両親媒性分子としてアルキルアルカノールアミド(花王株式会社製「アミノーンPK-02S」、HLB値5.5)及びソルビタン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドールSP-L10」、HLB値8.6)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、水分散体(9)、マスターバッチ(13)、フィラメント(13)を得た。
[比較例4]
 両親媒性分子としてソルビタン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドールSP-L10」、HLB値8.6)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドール430V」、HLB値10.5)を使用した以外は実施例1と同様に行い、水分散体(10)、マスターバッチ(14)、フィラメント(14)を得た。
[比較例5]
 両親媒性分子としてソルビタン脂肪酸エステル(花王株式会社製「レオドールSP-L10」、HLB値8.6)のみを使用した以外は実施例1と同様に行い、水分散体(11)、マスターバッチ(15)、フィラメント(15)を得た。
[比較例6]
(マスターバッチ及びフィラメントの製造)
 水分散体を不使用とし、酸化チタン粒子9質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.3質量部、ポリオキシレンアルキルエーテル0.3質量部及びエタノール0.3質量部を直接、ポリプロピレン90.1質量部と混合し、二軸押出機にて溶融混練して、マスターバッチ(16)を作成し、実施例1と同様の工程を経てフィラメント(16)を得た。
[比較例7]
(フィラメントの製造)
 水分散体及びマスターバッチの双方を不使用とし、酸化チタン粒子0.9質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.03質量部、ポリオキシレンアルキルエーテル0.03質量部及びエタノール0.03質量部を直接、ポリプロピレン99.01質量部と混合し、紡糸機にて溶融混練して、実施例1と同様の工程を経てフィラメント(17)を得た。
[比較例8]
(フィルムの製造)
 ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「Y-2000GV」)90質量部にマスターバッチ(16)10質量部を混合し、次いで、100mm幅のTダイを接続した20mm単軸押出機を用いて製膜温度230℃で溶融製膜を行い、厚さ10μmのフィルム(2)を得た。
 次に、実施例1~8及び比較例1~8で得られた各マスターバッチ、フィラメント及びフィルムについて、以下の方法にて測定、評価した。
1.マスターバッチ中の凝集粒子の評価(凝集防止性)
 得られたマスターバッチ(1)~(16)について、25mm単軸押出機のスクリュ先端部位に濾過径25μmの焼結フィルターを設置し、マスターバッチを1kg通過させた際の差圧を計測し、差圧が1MPa以下である場合を非常に良好「◎」、1~5MPa以下を良好「〇」、5MPaを超え10MPa以下をやや不良「△」、通過しなかった場合を不良「×」とした。
2.フィラメント紡糸性の評価
 得られたフィラメント(1)~(17)について、紡糸の際の糸切れ頻度を評価した。これを同一の試料について5回実施し、平均値とした。糸切れの発生が3回未満である場合を良好「○」、3回以上10回未満をやや不良「△」、10回以上を不良「×」とした。
3.フィラメント中の凝集粒子の評価(凝集防止性)
 得られたフィラメント(1)~(17)を0.1g切り取り、プレパラートでフィルム状にプレスした後、光学顕微鏡観察(倍率200倍)により、粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であってもよいし、更に二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定した。粒子径20μm以上の粒子が1個未満である場合を非常に良好「◎」、1~5個を良好「〇」、6~19個をやや不良「△」、20個以上を不良「×」とした。
4.フィルム成膜性の評価
 得られたフィルム(1)~(2)について、製膜時の安定性を評価した。濾過径20μmの焼結フィルターを設置し、原料10kg分を製膜し加工性を評価した。昇圧することなく製膜終了した場合を良好「〇」、昇圧して製膜終了した場合をやや不良「△」、昇圧しても製膜できなかった場合を不良「×」とした。
5.フィルム中の凝集粒子の評価(凝集防止性)
 得られたフィルム(1)~(2)を0.1g切り取り、プレパラートでフィルム状にプレスした後、光学顕微鏡観察(倍率200倍)により、粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であっても、さらに二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定した。粒子径20μm以上の粒子が1個未満である場合を非常に良好「◎」、1~5個を良好「〇」、6~19個をやや不良「△」、20個以上を不良「×」とした。
 上記の方法にて測定、評価した結果を、表1A~表2Bに示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表1A~表1Cの結果から、実施例1~10では、両親媒性分子としてポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドのいずれかと、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルのいずれかとを含有する水分散体(1)~(6)を用いてマスターバッチ(1)~(10)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPa以下であり、マスターバッチ成形時に金属酸化物の二次凝集が防止され、金属酸化物の分散安定性が高いことが分かった。特に、実施例1~4,7~9,11では、熱可塑性樹脂(A)及び(B)としてポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミド-6を用いると、マスターバッチの差圧が1MPa以下であり、マスターバッチ中で金属酸化物の二次凝集が十分に防止され、金属酸化物の分散安定性が極めて高いことが分かった。
 また、実施例1~10では、水分散体(1)~(6)のいずれかを用いてマスターバッチ(1)~(10)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(1)~(10)を製造すると、糸切れの発生が3回未満であり、フィラメントの紡糸性が良好であった。
 更に、実施例1~10では、水分散体(1)~(6)のいずれかを用いてマスターバッチ(1)~(10)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(1)~(10)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が5個以下であり、フィラメント成形時に金属酸化物の二次凝集が防止され、金属酸化物の分散安定性が高いことが分かった。特に、実施例1~4,7~10では、金属酸化物として酸化チタン粒子を用いると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が1個未満であり、フィラメント成形時に金属酸化物の二次凝集が十分に防止され、金属酸化物の分散安定性が極めて高いことが分かった。
 実施例11では、水分散体(1)を用いてマスターバッチ(1)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィルム(1)を製造すると、昇圧することなく製膜終了し、フィルムの成膜性が良好であった。
 また実施例11では、水分散体(1)を用いてマスターバッチ(1)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィルム(1)を製造すると、粒子径20μm以上の粒子が1~5個であり、フィルム成形時に金属酸化物の二次凝集が防止され、金属酸化物の分散安定性が高いことが分かった。
 一方、表2A~表2Bの結果から、比較例1では、両親媒性分子として脂肪酸アルカノールアミドのみを含有する水分散体(7)を用いてマスターバッチ(8)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPaを超え10MPa以下の範囲となり、実施例1~10と比較してマスターバッチ中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例1では、水分散体(7)を用いてマスターバッチ(11)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(11)を製造すると、糸切れの発生が3回以上10回未満であり、フィラメントの紡糸性がやや不良であった。
 更に、比較例1では、水分散体(7)を用いてマスターバッチ(11)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(11)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例2では、両親媒性分子としてポリグリセリン脂肪酸エステルのみを含有する水分散体(8)を用いてマスターバッチ(12)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPaを超え10MPa以下の範囲となり、実施例1~10と比較してマスターバッチ中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例2では、水分散体(8)を用いてマスターバッチ(12)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(12)を製造すると、糸切れの発生が3回以上10回未満であり、フィラメント紡糸性がやや不良であった。
 更に、比較例2では、水分散体(8)を用いてマスターバッチ(12)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(12)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例3では、両親媒性分子として脂肪酸アルカノールアミド及びソルビタン脂肪酸エステルの双方を含有する水分散体(9)を用いてマスターバッチ(13)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPaを超え10MPa以下の範囲となり、実施例1~10と比較してマスターバッチ中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例3では、水分散体(9)を用いてマスターバッチ(13)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(13)を製造すると、糸切れの発生が3回以上10回未満であり、フィラメントの紡糸性がやや不良であった。
 更に、比較例3では、水分散体(9)を用いてマスターバッチ(13)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(13)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例4では、両親媒性分子としてソルビタン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの双方を含有する水分散体(10)を用いてマスターバッチ(14)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPaを超え10MPa以下の範囲となり、実施例1~10と比較してマスターバッチ中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例4では、水分散体(10)を用いてマスターバッチ(14)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(14)を製造すると、糸切れの発生が3回以上10回未満であり、フィラメントの紡糸性がやや不良であった。
 更に、比較例4では、水分散体(10)を用いてマスターバッチ(14)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(14)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例5では、両親媒性分子としてソルビタン脂肪酸エステルのみを含有する水分散体(11)を用いてマスターバッチ(15)を製造すると、マスターバッチの差圧が5MPaを超え10MPa以下の範囲となり、実施例1~10と比較してマスターバッチ中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例5では、水分散体(11)を用いてマスターバッチ(15)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(15)を製造すると、糸切れの発生が3回以上10回未満であり、フィラメント紡糸性がやや不良であった。
 更に、比較例5では、水分散体(11)を用いてマスターバッチ(15)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(15)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例6では、水分散体を用いず、両親媒性分子としてポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの双方を含有するマスターバッチ(16)を製造すると、マスターバッチが焼結フィルターを通過せず、マスターバッチ中に凝集粒子が非常に多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 また比較例6では、水分散体を用いずにマスターバッチ(16)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(16)を製造すると、糸切れの発生が10回以上であり、フィラメントの紡糸性が不良であった。
 更に、比較例6では、水分散体を用いずにマスターバッチ(16)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィラメント(16)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が非常に多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例7では、水分散体及びマスターバッチの双方を用いずにフィラメント(17)を製造すると、糸切れの発生が10回以上であり、フィラメントの紡糸性が不良であった。 また比較例7では、水分散体及びマスターバッチの双方を用いずにフィラメント(17)を製造すると、フィラメント中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例1~10と比較してフィラメント中に凝集粒子が非常に多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。
 比較例8では、水分散体を用いずにマスターバッチ(16)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィルム(2)を製造すると、昇圧しても製膜できず、実施例11と比較してフィルムの成膜性が劣った。
 また比較例8では、水分散体を用いずにマスターバッチ(16)を製造し、且つそのマスターバッチを用いてフィルム(2)を製造すると、フィルム中の粒子径20μm以上の粒子が20個以上であり、実施例11と比較してフィルム中に凝集粒子が非常に多く存在しており、金属酸化物の凝集防止性が劣った。

Claims (22)

  1.  熱可塑性樹脂(A)と、
     金属酸化物を主成分とする無機化合物と、
     HLB(Hydrophile Lipophile Balance)値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、
     HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)と、
     を含有するマスターバッチ。
  2.  前記マスターバッチ中の前記熱可塑性樹脂(A)、前記無機化合物、前記両親媒性分子(A)及び前記両親媒性分子(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記両親媒性分子(A)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下であり、前記両親媒性分子(B)の含有量が0.01質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載のマスターバッチ。
  3.  前記両親媒性分子(A)が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなる、請求項1又は2に記載のマスターバッチ。
  4.  前記両親媒性分子(A)が、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドから選択される1種又は2種からなる、請求項3に記載のマスターバッチ。
  5.  前記両親媒性分子(B)が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載のマスターバッチ。
  6.  前記両親媒性分子(B)が、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種又は2種からなる、請求項5に記載のマスターバッチ。
  7.  前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、請求項1に記載のマスターバッチ。
  8.  請求項1~7のいずれか1項に記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  9.  前記熱可塑性樹脂組成物中の前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下である、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10.  前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、請求項8又は9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11.  請求項8~10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形してなる熱可塑性樹脂成形体。
  12.  請求項1~7のいずれか1項に記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを配合してなる熱可塑性樹脂成形体。
  13.  前記熱可塑性樹脂成形体中の前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下である、請求項12に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  14.  前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリカーボネートから選択される1種又は2種以上からなる、請求項12又は13に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  15.  前記熱可塑性樹脂成形体が、フィラメント、ステープル、不織布、中空糸及びフィルムから選択されるいずれかである、請求項11~14のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  16.  金属酸化物を主成分とする無機化合物と、HLB値が1~8の範囲の両親媒性分子(A)と、HLB値が10~18の範囲の両親媒性分子(B)とを混合して、前記無機化合物を1質量部以上80質量部以下含有する水分散体を準備する工程(I)と、
     熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、前記水分散体を1質量部以上300質量部以下で供給し、溶融混合する工程(II)と、
     を有する、マスターバッチの製造方法。
  17.  請求項16に記載の製造方法によって得られたマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混合する工程を有する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  18.  前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下となるように、前記マスターバッチと前記熱可塑性樹脂(B)を溶融混合する、請求項17に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  19.  請求項17又は18に記載の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物を溶融成形する工程を有する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  20.  請求項16に記載の製造方法によって得られたマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混合する工程を有する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  21.  前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計の質量を100質量%としたときの、前記マスターバッチの含有量が1質量%以上90質量%以下となるように、前記マスターバッチと前記熱可塑性樹脂(B)を溶融混合する、請求項20に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  22.  前記マスターバッチ及び前記熱可塑性樹脂(B)を用いて、フィラメント、ステープル、不織布、中空糸及びフィルムから選択されるいずれかを成形する、請求項19~21のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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