JP2012158677A - 帯電防止剤組成物、当該帯電防止剤組成物を用いたマスターバッチ及び樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数種の物質を混合して成る帯電防止剤自体がべた付きがなく、次工程での操作性が良いとともに、樹脂成形品においても、べた付きがなく、帯電防止効果の寿命の永い、帯電防止剤組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(C)の物質から成る帯電防止剤と珪素化合物をせん断力を用いて混練して成る帯電防止剤組成物。
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)特定のアルキルアミン誘導体、又は、特定のポリオキシエチレン脂肪酸アミド
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
【選択図】 なし
【解決手段】下記の(A)〜(C)の物質から成る帯電防止剤と珪素化合物をせん断力を用いて混練して成る帯電防止剤組成物。
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)特定のアルキルアミン誘導体、又は、特定のポリオキシエチレン脂肪酸アミド
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
【選択図】 なし
Description
この発明は、べた付きがなく、その後の処理における操作性のよい、且つ、帯電防止性能の寿命の永い、帯電防止剤組成物、当該帯電防止剤組成物を用いたマスターバッチ及び樹脂成形品に関するものである。
合成樹脂成形品に帯電防止効果を付与するための帯電防止剤には、塗布型と樹脂練り込み型がある。練り込み型の帯電防止剤は、成形加工の際、原料樹脂に添加して混合することによって、成形加工後、樹脂成形品の表面に帯電防止剤がブリードアウトして被膜を形成し、被膜表面の親水基によって空気中の水分を吸収して当該成形品の表面の静電気の発生を防止するものである。
しかしながら、前記ブリードアウトは、界面活性剤等の帯電防止剤の分子の大きさ、親水基と親油基とのバランス、マトリックスを構成するポリマーのガラス転移点と結晶性、季節、温度、湿度、成形条件等によって、ブリードアウトする速度や量が異なる。
この練り込み型帯電防止剤として界面活性剤が使用されている。また、この界面活性剤に、帯電防止性能、耐水洗性、耐磨耗性、非湿度依存性に優れている粉末状珪素化合物を混合させた練り込み型の帯電防止剤がある。
例えば、特許文献1に示すように、炭素数10〜14の脂肪酸のジエタノールアミドを花弁状ケイ酸カルシウム粉末に吸収させた粉末の造粒物と、炭素数10〜14の脂肪酸のモノグリセライドを花弁状ケイ酸カルシウム粉末に吸収させた粉末の造粒物との混合物を含有するポリオレフィン樹脂用粒状帯電防止剤、また、特許文献2に示すように、二酸化珪素の微粉末と帯電防止剤としての界面活性剤、分散剤としての他の界面活性剤及び導電体の微粒子が配合されてなる帯電防止剤等がある。
しかしながら、これらの帯電防止剤と粉末状珪素化合物を混合させてより高い帯電防止性能を持たせた帯電防止剤は、樹脂に練り込んで樹脂成形品を作る前に、混合させた粉末状珪素化合物含有帯電防止剤が、経時変化や季節変化によりべたつくため、樹脂と混合させるための搬送の際、経路にくっつく等、次工程での操作性が悪いという問題があった。
また、前記帯電防止剤は、これを樹脂に練り込んで樹脂成形品をつくった後、ブリードにより帯電防止性能を発揮するため樹脂中の帯電防止剤がなくなり、ブリードしなくなってしまうと、帯電防止効果がなくなり、帯電防止効果の寿命が短いという問題があった。また、帯電防止剤のブリードにより樹脂成形品の表面がべた付き、成形後の印刷特性が悪くなったり、被接触物に帯電防止剤が付着し、ひいては被接触物自体がべた付くという問題があった。
さらに、数種類の物質を混合した帯電防止剤と粉末状珪素化合物を混合した粉末状珪素化合物含有帯電防止剤を作り、これを基材となる樹脂に混合して樹脂成形品に帯電防止性能を持たせると、これらの数種類の物質のブリード速度が異なってしまい、帯電防止性能の劣化と寿命が課題となっている。
そこでこの発明は、複数種の物質を混合して成る帯電防止剤自体がべた付きがなく、次工程での操作性がよいとともに、樹脂成形品においても、べた付きがなく、帯電防止効果の寿命の永い、帯電防止剤組成物、当該帯電防止剤組成物を用いたマスターバッチ及び樹脂成形品を提供することを目的としたものである。
請求項1の発明は、次の(A)〜(C)の物質から成る帯電防止剤と珪素化合物をせん断力を用いて混練して成る帯電防止剤組成物とした。
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)下式(1)にて表されるアルキルアミン誘導体、又は、下式(2)にて表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミド
式(1)
(CH2CH2O)mH
/
R-N−(CH2CH2O)nH
R:C8〜22 m+n=1〜10
式(2)
/(CH2CH2O)mH
R−C−N
‖ \(CH2CH2O)nH
O
R:C8〜22 m+n=1〜10
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)下式(1)にて表されるアルキルアミン誘導体、又は、下式(2)にて表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミド
式(1)
(CH2CH2O)mH
/
R-N−(CH2CH2O)nH
R:C8〜22 m+n=1〜10
式(2)
/(CH2CH2O)mH
R−C−N
‖ \(CH2CH2O)nH
O
R:C8〜22 m+n=1〜10
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
また、請求項2の発明は、前記(A)〜(C)の物質を融点の低い順に珪素化合物に添加してせん断力を用いて混練して成る、請求項1に記載の帯電防止剤組成物とした。
また、請求項3の発明は、前記請求項1又は2の帯電防止剤組成物を樹脂に混合させて成る、マスターバッチとした。
また、請求項4の発明は、前記請求項1、2又は3のいずれかに記載の帯電防止剤組成物又はマスターバッチを基材である樹脂に練り込んで成る、樹脂成形品とした。
請求項1乃至3の発明によれば、数種類の物質から成る帯電防止剤であっても、珪素化合物とせん断力を用いて混練したため、ブリード速度をコントロールし、それ故、べた付きがなく、取り扱いが容易である。従って、帯電防止剤組成物及びマスターバッチにおいては、次工程での操作性が良くなった。また、請求項4の発明によれば、樹脂成形品でのブリード速度がコントロールされ、帯電防止性能の寿命を、従来のものより永くすることができた。さらに、樹脂成形品の表面のべた付きがなく、成形後の印刷特性がよく、また、被接触物へも、帯電防止剤が付着するといった欠点がなくなった。
また、特に、請求項2の発明によれば、帯電防止剤を構成する数種類の物質中、ブリードし易いものから先に珪素化合物に入れるため、よりブリード速度がコントロールされ、帯電防止剤組成物、マスターバッチ、樹脂成形品のいずれにおいても、前記効果がより高いものとなった。
この発明は次の(A)〜(C)の物質から成る帯電防止剤と珪素化合物をせん断力を用いて混練して成る帯電防止剤組成物とした。
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)下式(1)にて表されるアルキルアミン誘導体、又は、下式(2)にて表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミド
式(1)
(CH2CH2O)mH
/
R-N−(CH2CH2O)nH
R:C8〜22 m+n=1〜10
式(2)
/(CH2CH2O)mH
R−C−N
‖ \(CH2CH2O)nH
O
R:C8〜22 m+n=1〜10
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)下式(1)にて表されるアルキルアミン誘導体、又は、下式(2)にて表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミド
式(1)
(CH2CH2O)mH
/
R-N−(CH2CH2O)nH
R:C8〜22 m+n=1〜10
式(2)
/(CH2CH2O)mH
R−C−N
‖ \(CH2CH2O)nH
O
R:C8〜22 m+n=1〜10
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ
また、前記(A)〜(C)の物質を融点の低い順に珪素化合物に添加し、せん断力を用いて混練する場合もある。また、これらの場合、珪素化合物と帯電防止剤との配合重量比は10/90〜50/50であるが、好ましくは20/80〜45/55である。
また、前記帯電防止剤組成物と樹脂を、5:95の配合重量比で190°Cに加熱した二軸押出機を用いてペレタイズし、帯電防止マスターバッチを得る。さらに、この帯電防止マスターバッチと樹脂を1:9の配合重量比でドライブレンド後、230°Cに加熱した射出成形機にてテストピースを得る。
前記(A)の脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジヒドロキシエチルステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシプロピレンジステアレート等が挙げられる。
前記(B)のアルキルアミン誘導体としては、例えば、デシルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ドデシルジエタノールアミン、テトラデシルジエタノールアミン、ヘキサデシルジエタノールアミン、オクタデシルジエタノールアミン、ドコシルジエタノールアミン等が挙げられる。これらのアルキルアミン誘導体は、単独(1種)で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて使用することもできる。また、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアロアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレオアミド等のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミド、ラウリルジエタノールアミドが挙げられる。
前記(C)の高級アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール等があげられる。また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。また、エーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ジメチルエーテル、フェノールメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、フラン、ジベンゾフラン、テトラヒドロフラン等があげられる。
また、グリシジルエーテル類としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ネオンペンチルグリコールグリシジルエーテル、p-(sec-ブチル)フェニルグリシジルエーテル、p-(tert-ブチル)フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等があげられる。
また、高級カルボン酸としては、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。また、高級カルボン酸の金属塩としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
また、ポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。好ましくは数平均分子量が1万以上70万以下のものが用いられる。
また、ここで示す珪素化合物とは、二酸化珪素(シリカ)、若しくは、二酸化珪素によって構成される物質を示しており、珪酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウムなどの単体又は混合物を含む。そして、前記珪素化合物は、具体的には粉末状であるが、粉末状珪素化合物の粒子の形状としては、ヒュームド、多孔質、繊維状多孔質、短冊状多孔質、花弁状多孔質、繊維状等が挙げられる。また、当該粉末状珪素化合物の一次粒子の平均粒径は50μm以下であることが好ましいが、特に限定するものではない。
この発明の帯電防止剤の対象樹脂は、熱可塑性樹脂であり、この中で特に限定されるものではない。例えば、PE(ポリエチレン)、ポリプロピレン、PVC(ポリ塩化ビニール)、PS(ポリスチレン)、PVAc(ポリビニールアルコール)、ABS、AS、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)、PPE(ポリフェニレンエーテル)等が挙げられる。
また、この発明では、帯電防止剤を構成する(A)〜(C)の成分と珪素化合物を上記せん断力を用いて混練するが、これは混合とは異なるものである。
すなわち、混合は、材料相互の位置の変換を行うことによって、均一にかつ微細に入り組んだ状態を作り出す操作である。これには混合機を用いる。これに対し、せん断力を用いた混練とは、材料相互の位置の変換(混合)を行うのみならず、添加剤の凝集部分の引き離しを目的とした、せん断力を伴った操作である。バッチ式の混練装置の中には、開放型の三本ロール、密閉形ではインターナルバッチミキサー(バンバリータイプ)等がある。
次に実施例によりこの発明をさらに詳しく説明するが、この発明はこれによって限定されるものではない。実施例及び比較例で行った試験は以下の方法による。
この実施例及び比較例の前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び珪素化合物である(D)成分、及びこれら成分の配合重量比等の詳細を表1に示す。
(製造方法1−混練、融点順なし)
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し、液体状態にする。(A)成分、(B)成分、(C)成分を(D)へ添加して事前に混合させ、三本ロール(混練装置)にかけて、せん断力を用いて混練し、帯電防止剤を得た。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し、液体状態にする。(A)成分、(B)成分、(C)成分を(D)へ添加して事前に混合させ、三本ロール(混練装置)にかけて、せん断力を用いて混練し、帯電防止剤を得た。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
(製造方法2−混練、低融点順)
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し、液体状態にする。前記(B)成分を(D)成分へ添加し事前に混合させ、三本ロールにかけてせん断力を用いて混練する。そこへ(C)成分を添加し事前に混合させ、三本ロール(混練装置)にかけてせん断力を用いて混練する。そこへ(A)成分を添加し事前に混合させ、三本ロールにかけてせん断力を用いて混練三本ロールにかけてせん断力を用いて混練し、帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し、液体状態にする。前記(B)成分を(D)成分へ添加し事前に混合させ、三本ロールにかけてせん断力を用いて混練する。そこへ(C)成分を添加し事前に混合させ、三本ロール(混練装置)にかけてせん断力を用いて混練する。そこへ(A)成分を添加し事前に混合させ、三本ロールにかけてせん断力を用いて混練三本ロールにかけてせん断力を用いて混練し、帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
(製造方法3−混合、融点順なし)
(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し液体状態にする。ヘンシェルミキサー(混合装置)に(D)成分を入れて攪拌しながら(A)成分、(B)成分、(C)成分を添加して混合し、帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し液体状態にする。ヘンシェルミキサー(混合装置)に(D)成分を入れて攪拌しながら(A)成分、(B)成分、(C)成分を添加して混合し、帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
(製造方法4−混合、低融点順)
(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し液体状態にする。ヘンシェルミキサー(混合装置)に(D)成分を入れて攪拌しながら(B)成分を添加して混合する。そこへ(C)成分を添加して、ヘンシェルミキサーで混合する。さらにそこへ(A)成分を添加してヘンシェルミキサーで混合して帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
(A)成分、(B)成分、(C)成分を融点以上に加熱し液体状態にする。ヘンシェルミキサー(混合装置)に(D)成分を入れて攪拌しながら(B)成分を添加して混合する。そこへ(C)成分を添加して、ヘンシェルミキサーで混合する。さらにそこへ(A)成分を添加してヘンシェルミキサーで混合して帯電防止剤を得る。なお、粒径については表1に示す各方法によって測定された平均粒子径を表している。
また、この様にしてできた帯電防止剤と樹脂(ポリプロピレン:プライムポリプロJ105G プライムポリマー製)を、5:95の配合重量比で190°Cに加熱した二軸押出機を用いてペレタイズし、帯電防止マスターバッチを得た。
さらに、この帯電防止マスターバッチと樹脂(ポリプロピレン:プライムポリプロJ2023GR プライムポリマー製)を、1:9の配合重量比でドライブレンド後、230°Cに加熱した射出成形機にてテストピースを得た。
(性能評価方法)
べた付き:テストピースを60°Cで1週間暴露し、触手で官能評価によりべた付きを確認した。
評価→○;べた付きがない。
×;べた付きがある。
べた付き:テストピースを60°Cで1週間暴露し、触手で官能評価によりべた付きを確認した。
評価→○;べた付きがない。
×;べた付きがある。
表面抵抗率:テストピース成形後7日間、23°C、50%RH下に暴露し、抵抗測定器ハイレスターUP(商標名、株式会社三菱化学アナリテック製)を用い、表面抵抗率を測定した。
評価→○;1.E+11未満
△;1.E+11以上1.E+12未満
×;1.E+12以上
評価→○;1.E+11未満
△;1.E+11以上1.E+12未満
×;1.E+12以上
落下実験:内径20mm、長さ1.5mのアクリル製パイプを30度に傾斜させ、上から下まで流動する時間を記録し、それを流動性の評価指標とした。
評価→○;全て落下。(今回の実験では、1.9秒以下)
△;ほとんど落下するが、一部アクリル製パイプに付着。(2秒以上)
×;ほとんどアクリル製パイプに付着し、落下しない。(NG)
評価→○;全て落下。(今回の実験では、1.9秒以下)
△;ほとんど落下するが、一部アクリル製パイプに付着。(2秒以上)
×;ほとんどアクリル製パイプに付着し、落下しない。(NG)
持続性(寿命評価):この評価方法として、25°C100%RH下の寿命を予測した。
テストピースを80°C100%RH、85°C100%RH、90°C100%RHに設定した恒温恒湿槽に保管する。1時間おきにハイレスターUP(株式会社三菱化学アナリテック製)にて23°C50%RH環境下で表面抵抗率を測定し、その値が1×1013Ω/□に達する時間を計測する。その結果を基に、アレニウスの式 k=Ae−Ea/RT を適用して25°C100%RH環境下での寿命を計算により予測した。
テストピースを80°C100%RH、85°C100%RH、90°C100%RHに設定した恒温恒湿槽に保管する。1時間おきにハイレスターUP(株式会社三菱化学アナリテック製)にて23°C50%RH環境下で表面抵抗率を測定し、その値が1×1013Ω/□に達する時間を計測する。その結果を基に、アレニウスの式 k=Ae−Ea/RT を適用して25°C100%RH環境下での寿命を計算により予測した。
(総合的な評価基準)
落下実験、べた付き、表面抵抗率の3つの評価に一つでも×があれば、総合評価は×となり、×がなければ○とした。
落下実験、べた付き、表面抵抗率の3つの評価に一つでも×があれば、総合評価は×となり、×がなければ○とした。
実施例1:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、2.3秒であり、評価を△とした。
実施例7:
実施例1の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は3×1010Ω/□で、評価は○、寿命は11年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、2.3秒であり、評価を△とした。
実施例7:
実施例1の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は3×1010Ω/□で、評価は○、寿命は11年となった。
実施例2:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D2)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、1.2秒であり評価は○であった。
実施例8:
実施例2の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は8×1010Ω/□で、評価は○、寿命は15年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D2)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、1.2秒であり評価は○であった。
実施例8:
実施例2の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は8×1010Ω/□で、評価は○、寿命は15年となった。
実施例3:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D3)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、1.2秒であり評価は○であった。
実施例9:
実施例3の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は8×1010Ω/□で、評価は○、寿命は15年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D3)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法2により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、1.2秒であり評価は○であった。
実施例9:
実施例3の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は8×1010Ω/□で、評価は○、寿命は15年となった。
実施例4:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1で帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例10:
実施例4の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は2×1011Ω/□で、評価は△、寿命は8年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1で帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例10:
実施例4の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は2×1011Ω/□で、評価は△、寿命は8年となった。
実施例5:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D2)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例11:
実施例5の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は3×1011Ω/□で、評価は△、寿命は9年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D2)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例11:
実施例5の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は3×1011Ω/□で、評価は△、寿命は9年となった。
実施例6:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D3)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例12:
実施例6の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は1×1011Ω/□で、評価は△、寿命は9年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D3)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法1により帯電防止剤を製造した。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、△の評価となった。
実施例12:
実施例6の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は○、表面抵抗率は1×1011Ω/□で、評価は△、寿命は9年となった。
比較例1:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造法4により混合で帯電防止剤を得た。すなわち、融点の低い順番で(D)成分に(A)〜(C)の成分を混合したものである。表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、評価は×となった。
比較例3:
比較例1の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は×、表面抵抗率は2×1012Ω/□で、評価は×、寿命は7年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造法4により混合で帯電防止剤を得た。すなわち、融点の低い順番で(D)成分に(A)〜(C)の成分を混合したものである。表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、評価は×となった。
比較例3:
比較例1の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は×、表面抵抗率は2×1012Ω/□で、評価は×、寿命は7年となった。
比較例2:
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法3により、帯電防止剤を得た。すなわち、(D)成分と(A)〜(C)の成分を一度に混合したものである。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、評価は×となった。
比較例4:
比較例2の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は×、表面抵抗率は8×1011Ω/□で、評価は△、寿命は4年となった。
表1に示す(A)〜(C)の成分、及び(D1)成分を使用し、表2に示す配合重量比で、前記製造方法3により、帯電防止剤を得た。すなわち、(D)成分と(A)〜(C)の成分を一度に混合したものである。また、表2に示すように、この帯電防止剤の落下速度を測定したところ、評価は×となった。
比較例4:
比較例2の帯電防止剤を用いて樹脂製成形品(テストピース)を作製したところ、表3に示すように、べた付きの評価は×、表面抵抗率は8×1011Ω/□で、評価は△、寿命は4年となった。
これらの実施例1〜6及び比較例1〜2の帯電防止剤の配合重量比、混合方法及び添加順序及び測定評価結果を表2に示す。
また、前記実施例7〜12及び比較例3〜4の樹脂成形品の測定又は評価結果を表3に示す。
これらの表2及び表3の結果から、実施例1と7、実施例2と8、実施例3と9、実施例4と10、実施例5と11及び実施例6と12につきましては表2及び3を通じて×がなく、総合評価が○となった。また、実施例1〜3は、製造方法1による帯電防止剤を用いた樹脂成形品であるが、製造方法2による実施例4〜6の表面抵抗率及び寿命より、明らかに優れている。一方、比較例1と3及び比較例2と4は、表2及び3を通じて一個以上×があり、総合評価は×となった。
Claims (4)
- 次の(A)〜(C)の物質から成る帯電防止剤と珪素化合物をせん断力を用いて混練して成ることを特徴とする、帯電防止剤組成物。
(A)脂肪酸エステル型非イオン性帯電防止剤
(B)下式(1)にて表されるアルキルアミン誘導体、又は、下式(2)にて表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミド
式(1)
(CH2CH2O)mH
/
R-N−(CH2CH2O)nH
R:C8〜22 m+n=1〜10
式(2)
/(CH2CH2O)mH
R−C−N
‖ \(CH2CH2O)nH
O
R:C8〜22 m+n=1〜10
(C)親水基を有する高級アルコール、多価アルコール、エーテル類、グリシジルエーテル類、高級カルボン酸、ポリアルキレンオキサイドのうちの少なくとも一つ - 前記(A)〜(C)の物質を融点の低い順に珪素化合物に添加してせん断力を用いて混練して成ることを特徴とする、請求項1に記載の帯電防止剤組成物。
- 前記請求項1又は2の帯電防止剤組成物を樹脂に混合させて成ることを特徴とする、マスターバッチ。
- 前記請求項1、2又は3のいずれかに記載の帯電防止剤組成物又はマスターバッチを基材である樹脂に練り込んで成ることを特徴とする、樹脂成形品。
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