WO2021251314A1

WO2021251314A1 - 気流環境システム

Info

Publication number: WO2021251314A1
Application number: PCT/JP2021/021483
Authority: WO
Inventors: 篤長田; 一平小田
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2020-06-12
Filing date: 2021-06-07
Publication date: 2021-12-16

Abstract

本開示の気流環境システム（１）は、内部に特定空間（ＳＰ１）を形成し、外部空間（ＳＰ２）に対して開放された開放面（Ｘ）が正面側に設けられた筐体と、筐体内の下面側に設けられ、筐体内の背面側において特定の方向に沿って流れる空気流（Ａ１）を特定空間に（ＳＰ１）放出する放出口（５）と、特定の方向において放出口（５）と対向するように筐体内の上面側に設けられ、特定の方向に沿って流れる空気流（Ａ１）が当たるように構成された反射部（４）と、を備える。反射部（４）は、当たった空気流（Ａ１）を、開放面（Ｘ）を横断するように、筐体内の上面側から筐体内の下面側に還流させるように構成されている。

Description

気流環境システム

　本開示は、環境空間に気流を形成する気流環境システムに関するものである。

　従来例として、図６を参照して、特許文献１に記載の空気清浄装置１００を例示する。図６は、従来の空気清浄装置１００の構造を示す外観斜視図である。図６に示すように、従来の空気清浄装置１００は、オープンスペースとなる喫煙席１０１と、喫煙席１０１の正面に配置された什器１０２と、什器１０２に対して喫煙席１０１側に設置された吸気ユニット１０３とを有して構成される。そして、空気清浄装置１００では、空気吐出ユニットを内蔵した什器１０２の排気口１０４から排出される空気流１０５を、吸気ユニット１０３における吸気開口部１０６に向かって斜め上方向に流通させて、吸気開口部１０６に吸い込ませる。こうした空気清浄装置１００によれば、斜め上方向に向かう空気流１０５によって煙草の煙等が巻き込まれる。したがって、非喫煙者区域となる外側空間（什器１０２に対して喫煙席１０１側と反対側）と、喫煙者区域となる内側空間（什器１０２に対して喫煙席１０１側）との間が遮断され、内側空間から外側空間に煙草の煙等が拡散するのを抑制することができる。

特開平９－０１０５２８号公報

　従来の空気清浄装置１００によれば、斜め上方向に向かう空気流によって外側空間と、内側空間である環境空間との間での空気の流れを抑制できる。しかしながら、従来の空気清浄装置１００では、喫煙席１０１の側方側において空気が流出入する余地がある。このため、環境空間内に空気の流れを閉じ込め、環境空間を利用する利用者にとっての快適性（気流感、清涼感及び清潔感等）を向上させるには十分ではない。つまり、環境空間内において利用者の快適性の向上を図ることが望まれる。

　本開示は、環境空間内において利用者の快適性を向上させることが可能な気流環境システムを提供することを目的とする。

　本開示に係る気流環境システムは、内部に特定空間を形成し、外部空間に対して開放された開放面が正面側に設けられた筐体と、筐体内の下面側に設けられ、筐体内の正面側と反対側の背面側において、特定の方向に沿って流れる空気流を特定空間に放出する放出口と、特定の方向において放出口と対向するように筐体内の下面側と反対側の上面側に設けられ、特定の方向に沿って流れる空気流が当たるように構成された反射部と、を備える。反射部は、当たった空気流を、開放面を横断するように、筐体内の上面側から筐体内の下面側に還流させる。

　本開示によれば、環境空間内において利用者の快適性を向上させることが可能な気流環境システムを得ることができる。

図１は、本開示の実施の形態１に係る気流環境システムの外観斜視図である。図２は、実施の形態１に係る気流環境システムにおける送風システムの構成を示すブロック図である。図３は、実施の形態１に係る気流環境システムにより形成される気流を説明するための模式図である。図４は、本開示の実施の形態２に係る気流環境システムの概略構成図である。図５は、本開示の実施の形態３に係る気流環境システムの概略構成図である。図６は、従来の空気清浄装置の構造を示す外観斜視図である。

　本開示に係る気流環境システムは、内部に特定空間を形成し、外部空間に対して開放された開放面が正面側に設けられた筐体と、筐体の下面側に設けられ、筐体内の正面側と反対側の背面側において、特定の方向に沿って流れる空気流を特定空間に放出する放出口と、特定の方向において放出口と対向するように筐体内の下面側と反対側の上面側に設けられ、特定の方向に沿って流れる空気流が当たるように構成された反射部と、を備える。反射部は、当たった空気流を、開放面を横断するように、筐体内の上面側から筐体内の下面側に還流させる。

　こうした構成によれば、反射部によって反射された空気流が特定空間の正面側における開放面を横断するように特定空間の下面側に還流する。これにより、特定空間内に空気の流れを閉じ込めることができる。そして、特定空間の背面側において特定の方向に沿って流れる空気流に誘引される空気の流れ（誘引気流）によって、特定空間内の正面側から背面側に向かう空気の流れが生じる。したがって、特定空間を利用する利用者に対して気流を感じさせることができる。すなわち、従来の空気清浄装置を用いる場合に比べて、特定空間内において利用者の快適性を向上させることができる。つまり、特定空間内において利用者の快適性を向上させることが可能な気流環境システムとすることができる。

　また、本開示に係る気流環境システムでは、筐体内には、利用者が開放面に対向して着座可能に構成された座席部が設けられてもよい。放出口は、座席部に対する筐体内の背面側において、特定の方向に流れる空気流を特定空間に放出する。これにより、反射部によって反射された空気流は、座席部の正面側における開放面を横断するように座席部の下面側に還流する。したがって、特定空間内に空気の流れを閉じ込めることができる。そして、座席部の背面側において特定の方向に沿って流れる空気流に誘引される空気の流れ（誘引気流）によって、特定空間内の正面側から背面側に向かう空気の流れが生じる。これにより、座席部を利用する利用者に対して気流を感じさせることができる。すなわち、従来の空気清浄装置を用いる場合に比べて、特定空間内において座席部を利用する利用者の快適性を向上させることができる。

　また、本開示に係る気流環境システムでは、放出口は、座席部に着座する利用者と、利用者に対する筐体内の背面側において露出する壁面との間に、特定の方向に沿って流れる空気流が流れるように、座席部に着座した際の利用者の頭部の位置よりも筐体内の下面側に対して低い位置に設けられてもよい。これにより、利用者の頭部を含む背面側において誘引気流が生じる。したがって、利用者に対して、特定空間内の正面側から背面側に向かう空気の流れをより確実に感じさせることができる。つまり、特定空間内において利用者の快適性を効果的に向上させることができる。

　また、本開示に係る気流環境システムは、座席部に設けられ、特定空間の空気を吸い込む吸気口をさらに備えてもよい。放出口は、吸気口から吸い込んだ空気を、特定の方向に沿って流れる空気流として放出する。これにより、反射部によって反射された空気流を吸気口によって吸い込むので、特定空間内に空気の流れをより確実に閉じ込めることができる。そして、特定空間に形成される空気（誘引気流）の流れをより安定的に生じさせることができる。

　また、本開示に係る気流環境システムは、放出口から特定空間に放出する空気流に対して付加要素を付与する機能部をさらに備えてもよい。付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうちの少なくとも１つを含む。これにより、空気流に対して付加要素を付与して、特定空間を付加要素で満たすことができる。そして、反射部によって反射された空気流によって付加要素が特定空間の外側に拡散することが抑制される。したがって、特定空間が付加要素で満たされている状況を持続させやすくなる。つまり、特定空間内において利用者の快適性をさらに向上させることができる。

　また、本開示に係る気流環境システムは、外部空間の空気を導入して付加要素を付与する集中空調室と、集中空調室と放出口とを連通するダクトと、をさらに備えてもよい。付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうちの少なくとも１つを含む。放出口は、集中空調室から導入される空気を、特定の方向に沿って流れる空気流として放出する。これにより、集中空調室から気流環境システムに対して空気（付加要素を付加した空気）を供給するため、独立した複数の特定空間を有する気流環境システムに対しても容易に適用することができる。

　以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。

　（実施の形態１）
　まず、図１～図３を参照して、実施の形態１に係る気流環境システム１の概略について説明する。図１は、本開示の実施の形態１に係る気流環境システム１の外観斜視図である。図２は、実施の形態１に係る気流環境システム１における送風システム２の構成を示すブロック図である。図３は、実施の形態１に係る気流環境システム１により形成される気流を説明するための模式図である。

　なお、以下の説明では、次のように記載する場合がある。すなわち、気流環境システム１を正面視した状態（気流環境システム１の座席部３に対向した状態）での垂直方向を上下方向として「上方」「下方」と記載する場合がある。なお、上方を「天井面側」又は「上面側」とし、下方を「床面側」又は「下面側」と記載する場合がある。また、気流環境システム１を正面視した状態における左右方向を「左側」「右側」と記載する場合がある。また、気流環境システム１を正面視した状態における前後方向を「手前側」「奥側」と記載する場合がある。なお、手前側を「正面側」とし、奥側を「背面側」と記載する場合がある。

　気流環境システム１は、例えば、休憩室又は待合室等を兼ねた個室ユニット１０として設置される。気流環境システム１は、個室ユニット１０内に形成される特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕ（図３参照）にとって快適な気流（空気流）を形成するように構成されたシステムである。なお、特定空間ＳＰ１は、環境空間ともいう。

　気流環境システム１は、図１に示すように、ボックス型の個室ユニット１０と、送風システム２を備えた座席部３と、反射部４とを備えて構成される。

　個室ユニット１０は、左側の壁面１０ａ、右側の壁面１０ｂ、床面側の壁面１０ｃ、天井面側の壁面１０ｄ及び背面側の壁面１０ｅによって囲まれて構成され、内部に特定空間ＳＰ１を形成し、座席部３の正面側が外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘを有している。なお、「開放面Ｘ」とは、実体を伴わない仮想的な面であり、左側の壁面１０ａ、右側の壁面１０ｂ、床面側の壁面１０ｃ及び天井面側の壁面１０ｄにおける正面側の端部に囲まれた仮想的な面である。そして、個室ユニット１０の内部において、送風システム２を備えた座席部３が床面側に設置され、反射部４が天井面側に設置されている。

　送風システム２を備える座席部３は、特定空間ＳＰ１内の床面側の壁面１０ｃ上に設置される。送風システム２は、特定の方向となる第一方向（図３の空気流Ａ１を示す矢印の示す方向）に沿って流れる空気流Ａ１（図３参照）を、特定空間ＳＰ１に放出する。

　反射部４は、特定空間ＳＰ１内の天井面側の壁面１０ｄにおいて、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が当たるように、送風システム２と対向する位置に設けられている。反射部４は、特定空間ＳＰ１において、当たった空気流Ａ１を空気流Ａ２として天井面側から床面側（図３の空気流Ａ３を示す矢印の示す方向）へ還流させるように構成される。

　次に、送風システム２を備えた座席部３について説明する。

　座席部３は、利用者Ｕが着座可能な台座及び背もたれ部を有する。すなわち、座席部３は、個室ユニット１０の内部において、利用者Ｕが開放面Ｘに対向して着座可能に構成されている。また、座席部３は、送風システム２の外枠を構成する部材も兼ねている。座席部３は、送風システム２と、放出口５と、吸気口６とを備えて構成される。

　放出口５は、座席部３の背もたれ部の上面に配置される。放出口５は、例えば、左側の壁面１０ａから右側の壁面１０ｂに亘る範囲におけるスリット状の開口部又は複数の孔によって構成される。放出口５は、座席部３の内部空間（図示せず）を介して送風システム２と連通して構成され、送風システム２から送風される空気を、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１として、特定空間ＳＰ１に放出する。放出口５は、利用者Ｕと、利用者Ｕの背後（利用者Ｕに対する個室ユニット１０の背面側）において露出する壁面１０ｅとの間に、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が流れるように、座席部３に着座した際の利用者Ｕの頭部の位置よりも個室ユニット１０内の下面側（床面側）に対して低い位置に設けられている（図３参照）。ここで、利用者Ｕの頭部の位置は、少なくとも標準的な座高を有する利用者Ｕが座席部３に正しい姿勢で着座した状態での頭部の位置を指す。

　吸気口６は、座席部３の台座の床面側の正面に配置される。吸気口６は、例えば、上下方向に長尺であるスリット状の複数の孔から構成される。吸気口６は、座席部３の内部空間（図示せず）を介して送風システム２と連通して構成され、送風システム２の送風動作に伴い、特定空間ＳＰ１から内部空間に空気を吸い込む。

　送風システム２は、上述のように、座席部３の内部に収容（保持）されるように構成される。また、送風システム２は、座席部３の内部空間において、放出口５及び吸気口６にそれぞれ連通接続されている。そして、特定空間ＳＰ１の空気は、吸気口６から送風システム２に供給され、放出口５から特定空間ＳＰ１に放出される。

　送風システム２は、図２に示すように、送風装置２ａと機能部２ｂと制御部２ｃを有して構成される。

　送風装置２ａは、制御部２ｃの制御により、特定空間ＳＰ１内の空気を吸気口６から吸い込み、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１を発生させて、放出口５に送出する機器である。送風装置２ａは、例えば、旋回成分に比べて直進的な成分を多く含む空気流を発生するシロッコファンである。ここで、送風装置２ａの材料は、特に限定されないが、後述する機能部２ｂにより放出口５から特定空間ＳＰ１に放出する空気流Ａ１に対して付与される付加要素により、耐久性に影響を受けないものが望ましい。

　機能部２ｂは、制御部２ｃの制御により、放出口５から特定空間ＳＰ１に放出する空気流Ａ１に対して、付加要素を付与する機器である。付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうち少なくとも１つを含む。

　付加要素が香りを含む場合、機能部２ｂは、座席部３内に収容される。付加要素は、例えば、芳香剤を含む香り提示装置（図示せず）を有する。芳香剤から気化した香りは、送風装置２ａから放出口５に流れる気流に混ざり合う。その結果、特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕに対して、良質な香りの空気を提供できる。

　付加要素が空気浄化を含む場合、機能部２ｂは、例えば、空気清浄装置（図示せず）を有する。空気清浄装置は、座席部３内に収容される。空気清浄装置は、吸気口６から吸い込まれた空気中の花粉等の微粒子を集塵する集塵フィルタ及び脱臭用のフィルタ等を有する。空気清浄装置で浄化された空気は、送風装置２ａにて空気流Ａ１として放出口５から上方に放出される。その結果、特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕに対して、浄化された空気を提供できる。

　また、付加要素が空気浄化を含む場合、機能部２ｂは、例えば、空間除菌脱臭機（図示せず）を有してもよい。空間除菌脱臭機は、座席部３内に収容される。空間除菌脱臭機は、次亜塩素酸を生成して、送風装置２ａで発生した空気流に混入するように構成される。次亜塩素酸を含んだ空気流Ａ１は、放出口５から上方に放出されて、特定空間ＳＰ１を除菌する。その結果、特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕに対して、浄化された空気を提供できる。

　付加要素が湿度変化を含む場合、機能部２ｂは、例えば、除加湿装置（図示せず）を有する。除加湿装置は、座席部３内に収容される。除加湿装置にて調湿（除湿又は加湿）された空気は、送風装置２ａにて空気流Ａ１として放出口５から上方に放出される。その結果、特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕに対して、快適な湿度の空気を提供できる。

　付加要素が温度変化を含む場合、機能部２ｂは、例えば、空気調和装置（図示せず）を有する。空気調和装置は、コンプレッサを有し、空気調和装置にて生成された冷気又は暖気が、送風装置２ａにて空気流Ａ１として放出口５から上方に放出される。その結果、特定空間ＳＰ１を利用する利用者Ｕに対して、快適な温度の空気を提供できる。

　機能部２ｂが上述した空気清浄装置、空間除菌脱臭機、除加湿装置又は空気調和装置を有する場合、それらの電源のオン又はオフ、及び、各種パラメータの調整等は、例えば、操作パネル（図示せず）への操作にて実行可能である。なお、機能部２ｂの稼働は、制御部２ｃの制御により、送風装置２ａの稼働に連動するように制御されてもよい。

　送風システム２に機能部２ｂが設けられることで、空気流Ａ１に対して、付加要素を容易に付与できる。

　次に、図３を参照して、反射部４について説明する。

　反射部４は、図３に示すように、個室ユニット１０の天井面側の壁面１０ｄに設置される。そして、反射部４は、第一方向において放出口５と対向するように配置され、反射部４の下面は、その中央部が窪んで略半円筒状となった曲面４ａを有している。具体的には、略半円筒状の曲面４ａは、その軸方向が開放面Ｘ及び床面側の壁面１０ｃと略平行となっており、軸方向に沿って見て、天井面側に向かって凸となるように円弧状に湾曲している。

　反射部４では、送風システム２の動作時において、放出口５から放出された空気流Ａ１が反射部４の曲面４ａに当たる。そして、曲面４ａに当たった空気流Ａ１は、曲面４ａに沿って反射方向となる第二方向（背面側から正面側に向かう方向）へ反射して、第二方向に流れる空気流Ａ２として流れる。さらに、第二方向に流れる空気流Ａ２は、曲面４ａの正面側の端部から床面側（図３の空気流Ａ３を示す矢印の示す方向）へ向けて空気流Ａ３として放出される。つまり、反射部４は、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が当たり、当たった空気流Ａ１を空気流Ａ２として送風し、送風した空気流Ａ２を座席部３の正面側における開放面Ｘを上下方向に横断するように空気流Ａ３として座席部３の床面側へ還流させるように構成されている。

　次に、図３を参照して、気流環境システム１の気流について説明する。

　気流環境システム１では、上述の通り、送風システム２によって放出口５から第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が放出される。ここで、放出口５から放出された空気流Ａ１は、コアンダ効果による誘引現象、すなわち吹き出された空気流Ａ１と壁面１０ｅとの間に負圧領域が発生し、吹き出された空気流Ａ１が負圧領域側に誘引される現象によって、壁面１０ｅに沿って流れていく。

　放出口５から放出された空気流Ａ１は、反射部４における曲面４ａの背面側の端部において曲面４ａに当たる。曲面４ａに当たった空気流Ａ１は、空気流Ａ２として、曲面４ａに沿って第二方向へ反射するように流れる。第二方向に流れた空気流Ａ２は、第三方向（天井面側から床面側に向かう方向）に流れる空気流Ａ３として、曲面４ａの正面側の端部から床面側へ向けて放出される。放出された空気流Ａ３は、個室ユニット１０の開放面Ｘを上下方向（天井面側から床面側に向かう方向）に横断して床面側へと流れる。床面側に流れてきた空気流Ａ３は、空気流Ａ４として、壁面１０ｃに沿って第四方向（正面側から背面側に向かう方向）に流れて、座席部３の吸気口６から吸い込まれる。吸い込まれた空気流Ａ４は、送風システム２によって第一方向に沿って流れる空気流Ａ１として再び放出される。このようにして、特定空間ＳＰ１内における一連の空気流（空気流Ａ１～空気流Ａ４）が形成される。

　そして、気流環境システム１では、開放面Ｘを上下方向に横断する空気流Ａ３がエアカーテンとして機能する。したがって、特定空間ＳＰ１と外部空間ＳＰ２との間での空気の流れが抑制される。この際、左側の壁面１０ａ及び右側の壁面１０ｂによって、個室ユニット１０内への空気の流入あるいは個室ユニット１０外への空気の流出が抑制される。これにより、特定空間ＳＰ１内に空気の流れを閉じ込めている。

　また、気流環境システム１では、座席部３の背面側において、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１に誘引されて、誘引気流Ｂ１（図３参照）が生じる。さらに、誘引気流Ｂ１の流れによって、特定空間ＳＰ１内の正面側から背面側に向かう空気の流れとして、誘引気流Ｂ２（図３参照）が生じる。この結果、一連の空気流（空気流Ａ１～空気流Ａ４）の流れによって、特定空間ＳＰ１内には、正面側から背面側に向かう誘引気流（誘引気流Ｂ１及び誘引気流Ｂ２）が生じる。つまり、座席部３を利用する利用者Ｕは、こうした気流の流れを感じることができる。

　以上のように、気流環境システム１は、個室ユニット１０の正面側が外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘとなっている特定空間ＳＰ１において、特定空間ＳＰ１内に空気を閉じ込め、特定空間ＳＰ１内に気流の流れを生じさせることができる。

　以上、本実施の形態１に係る気流環境システム１によれば、以下の効果を享受することができる。

　（１）気流環境システム１は、内部に特定空間ＳＰ１を形成し、外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘが正面側に設けられた個室ユニット１０と、個室ユニット１０内の下面側に設けられ、個室ユニット１０内の正面側と反対側の背面側において、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１を特定空間ＳＰ１に放出する放出口５と、第一方向において放出口５と対向するように個室ユニット１０内の下面側と反対側の上面側に設けられ、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が当たるように構成された反射部４と、を備える。反射部４は、当たった空気流Ａ１を、開放面Ｘを横断するように、個室ユニット１０内の上面側から個室ユニット１０の下面側に還流させる。

　こうした構成によれば、反射部４によって反射された空気流Ａ３が座席部３の正面側における開放面Ｘを横断するように特定空間ＳＰ１の下面側（座席部３の床面側）へ還流する。これにより、特定空間ＳＰ１内に空気の流れを閉じ込めることができる。そして、座席部３の背面側において第一方向に沿って流れる空気流Ａ１に誘引される空気の流れ（誘引気流Ｂ１）によって、特定空間ＳＰ１内の正面側から背面側に向かう空気の流れ（誘引気流Ｂ２）が生じる。したがって、座席部３を利用する利用者Ｕに対して気流を感じさせることができる。すなわち、従来の空気清浄装置を用いる場合に比べて、特定空間ＳＰ１内において利用者Ｕの快適性を向上させることができる。つまり、特定空間ＳＰ１内において利用者Ｕの快適性を向上させることが可能な気流環境システム１とすることができる。

　（２）気流環境システム１では、放出口５は、座席部３に着座する利用者Ｕと、利用者Ｕに対する個室ユニット１０内の背面側において露出する壁面（壁面１０ｅ）との間に、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が流れるように、座席部３に着座した際の利用者Ｕの頭部の位置よりも個室ユニット１０内の下面側に対して低い位置に設けられている。これにより、利用者Ｕの頭部を含む背面側において誘引気流Ｂ１が生じる。したがって、利用者Ｕに対して、特定空間ＳＰ１内の正面側から背面側に向かう空気の流れ（誘引気流Ｂ２）をより確実に感じさせることができる。つまり、特定空間ＳＰ１内において利用者Ｕの快適性を効果的に向上させることができる。

　（３）気流環境システム１は、座席部３に設けられ、特定空間ＳＰ１の空気を吸い込む吸気口６を備える。放出口５は、吸気口６から吸い込んだ空気（空気流Ａ４を含む空気）を、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１として放出する。これにより、反射部４によって反射された空気流Ａ３（その後の空気流Ａ４）を吸気口６によって吸い込むので、特定空間ＳＰ１内に空気の流れをより確実に閉じ込めることができる。そして、特定空間ＳＰ１に形成される空気（誘引気流Ｂ１及び誘引気流Ｂ２）の流れをより安定的に生じさせることができる。

　（４）気流環境システム１は、放出口５から特定空間ＳＰ１に放出する空気流Ａ１に対して付加要素を付与する機能部２ｂを備える。付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうちの少なくとも１つを含む。これにより、空気流Ａ１に対して付加要素を付与して、特定空間ＳＰ１を付加要素で満たすことができる。そして、反射部４によって反射された空気流Ａ３によって付加要素が特定空間ＳＰ１の外側（外部空間ＳＰ２）に拡散することが抑制される。したがって、特定空間ＳＰ１が付加要素で満たされている状況を持続させやすくなる。つまり、特定空間ＳＰ１内において利用者Ｕの快適性をさらに向上させることができる。

　（実施の形態２）
　図４は、本開示の実施の形態２に係る気流環境システム１ａの概略構成図である。本開示の実施の形態２に係る気流環境システム１ａは、送風システム２からの空気流の供給に替えて、集中送風システム１２からの空気流の供給を受けるように構成されている点で実施の形態１と異なる。この点以外の気流環境システム１ａの構成は、実施の形態１に係る気流環境システム１と実質的に同じである。以下、実施の形態１で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態１と異なる点を主に説明する。

　実施の形態２に係る気流環境システム１ａについて、図４を参照しながら説明する。

　気流環境システム１ａは、図４に示すように、ダクト１１を介して集中送風システム１２と連通するように接続されている。なお、集中送風システム１２は、請求の範囲の「集中空調室」に相当する。

　ダクト１１は、座席部１３の内部空間を介して放出口５と連通するように接続されている。このため、本実施の形態２の座席部１３には、吸気口６は設けられていない。

　集中送風システム１２は、送風装置１２ａと機能部１２ｂと制御部１２ｃとを有して構成されている。送風装置１２ａは、実施の形態１の送風装置２ａと実質的に同じ機能を有し、機能部１２ｂは、実施の形態１の機能部２ｂと実質的に同じ機能を有し、制御部１２ｃは、実施の形態１の制御部２ｃと実質的に同じ機能を有する。これにより、集中送風システム１２は、送風システム２（送風装置２ａ、機能部２ｂ及び制御部２ｃ）と実質的に同じ機能を有する。

　集中送風システム１２は、気流環境システム１ａから離れた空調室等に設置され、気流環境システム１ａに対して空気を供給する。このため、集中送風システム１２では、特定空間ＳＰ１の外の空気（外部空間ＳＰ２の空気）を取り込んで、気流環境システム１ａに供給する。一方、集中送風システム１２は、気流環境システム１ａとは異なる気流環境システム１ｂとも連通するように接続されている。これにより、複数の気流環境システムに対して空気を供給できる。

　そして、気流環境システム１ａにおいても、気流環境システム１と同様、個室ユニット１０の正面側が外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘとなっている特定空間ＳＰ１において、特定空間ＳＰ１内に空気を閉じ込め、特定空間ＳＰ１内に気流の流れを生じさせることができる。なお、気流環境システム１ａでは、第三方向に流れる空気流Ａ３は、床面側に沿って拡散する。

　以上、本実施の形態２に係る気流環境システム１ａによれば、以下の効果を享受することができる。

　（５）気流環境システム１ａは、外部空間ＳＰ２の空気を導入して付加要素を付与する集中送風システム１２と、集中送風システム１２と放出口５とを連通するダクト１１とを備える。付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうちの少なくとも１つを含む。放出口５は、集中送風システム１２から導入される空気を、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１として放出する。これにより、集中送風システム１２から気流環境システム１ａに対して空気（付加要素を付加した空気）を供給するため、気流環境システム１ａに対して独立した特定空間ＳＰ１を有する気流環境システム１ｂに対しても容易に適用することができる。

　（実施の形態３）
　図５は、本開示の実施の形態３に係る気流環境システム１ｃの概略構成図である。本開示の実施の形態３に係る気流環境システム１ｃは、送風システム２を備えた座席部３に替えて、送風システム２を備えた送風ユニット３ａによって構成されている点で実施の形態１と異なる。この点以外の気流環境システム１ｃの構成は、実施の形態１に係る気流環境システム１と実質的に同じである。以下、実施の形態１で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態１と異なる点を主に説明する。

　実施の形態３に係る気流環境システム１ｃについて、図５を参照しながら説明する。

　気流環境システム１ｃでは、図５に示すように、開放面Ｘを有するボックス型の個室ユニット１０の内部において、利用者Ｕが着座可能な座席部は設置されていない。そのため、利用者Ｕは、立った状態で個室ユニット１０を利用する。

　送風ユニット３ａは、図５に示すように、特定空間ＳＰ１の背面側の壁面１０ｅに隣接した位置において、床面側の壁面１０ｃ上に設置される。送風ユニット３ａは、特定の方向となる第一方向（空気流Ａ１を示す矢印の示す方向）に沿って流れる空気流Ａ１を、特定空間ＳＰ１に放出する。反射部４は、特定空間ＳＰ１内の天井面側の壁面１０ｄにおいて、第一方向において送風ユニット３ａと対向する位置に設置され、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が当たる。反射部４は、特定空間ＳＰ１において、当たった空気流Ａ１を空気流Ａ２及び空気流Ａ３として床面側（空気流Ａ３を示す矢印の示す方向）へ還流させるように構成される。

　次に、送風システム２を備えた送風ユニット３ａについて説明する。

　送風ユニット３ａは、送風システム２の外枠を構成する部材も兼ねている。送風ユニット３ａは、送風システム２と、放出口５ａと、吸気口６ａとを備えて構成される。

　放出口５ａは、送風ユニット３ａの上面に配置される。放出口５ａは、特に図示していないが、実施の形態１の放出口５と同様、左側の壁面１０ａから右側の壁面１０ｂに亘る範囲におけるスリット状の開口部又は複数の孔によって構成される。放出口５ａは、送風ユニット３ａの内部空間（図示せず）を介して送風システム２と連通して構成され、送風システム２から送風される空気を、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１として、特定空間ＳＰ１に放出する。なお、放出口５ａが形成される位置（床面側からの高さ）は、実施の形態１の気流環境システム１の座席部３での放出口５が形成される位置と同程度の高さである。

　吸気口６ａは、送風ユニット３ａの床面側の正面に配置される。吸気口６ａは、例えば、上下方向に長尺であるスリット状の複数の孔から構成される。吸気口６ａは、送風ユニット３ａの内部空間（図示せず）を介して送風システム２と連通して構成され、送風システム２の送風動作に伴い、特定空間ＳＰ１から内部空間に空気を吸い込む。

　送風システム２は、上述のように、送風ユニット３ａの内部に収容（保持）されるように構成される。また、送風システム２は、送風ユニット３ａの内部空間において、放出口５ａ及び吸気口６ａにそれぞれ連通接続されている。そして、特定空間ＳＰ１の空気は、吸気口６ａから送風システム２に供給され、放出口５ａから特定空間ＳＰ１に放出される。

　気流環境システム１ｃにより形成される気流については、気流環境システム１により形成される気流と同様なので説明を省略する。

　以上のように、気流環境システム１ｃは、個室ユニット１０の正面側が外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘとなっている特定空間ＳＰ１において、特定空間ＳＰ１内に空気を閉じ込め、特定空間ＳＰ１内に気流の流れを生じさせることができる。

　以上、本実施の形態３に係る気流環境システム１ｃによれば、以下の効果を享受することができる。

　（６）気流環境システム１ｃは、内部に特定空間ＳＰ１を形成し、外部空間ＳＰ２に対して開放された開放面Ｘが正面側に設けられた個室ユニット１０と、個室ユニット１０内の下面側に設けられ、個室ユニット１０内の正面側と反対側の背面側において、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１を特定空間ＳＰ１に放出する放出口５ａと、第一方向において放出口５ａと対向するように個室ユニット１０内の下面側と反対側の上面側に設けられ、第一方向に沿って流れる空気流Ａ１が当たるように構成された反射部４と、を備える。反射部４は、当たった空気流Ａ１を、開放面Ｘを横断するように、個室ユニット１０内の上面側から個室ユニット１０の下面側に還流させる。

　こうした構成によれば、反射部４によって反射された空気流Ａ３が特定空間ＳＰ１の正面側における開放面Ｘを横断するように特定空間ＳＰ１の下面側（特定空間ＳＰ１の床面側）へ還流する。これにより、特定空間ＳＰ１内に空気の流れを閉じ込めることができる。そして、特定空間ＳＰ１の背面側において第一方向に沿って流れる空気流Ａ１に誘引される空気の流れ（誘引気流Ｂ１）によって、特定空間ＳＰ１内の正面側から背面側に向かう空気の流れ（誘引気流Ｂ２）が生じる。したがって、特定空間ＳＰ１を立った状態で利用する利用者Ｕに対して気流を感じさせることができる。すなわち、従来の空気清浄装置を用いる場合に比べて、特定空間ＳＰ１内において利用者Ｕの快適性を向上させることができる。

　以上、実施の形態に基づき本開示を説明したが、本開示は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。

　本実施の形態１に係る気流環境システム１では、座席部３に吸気口６を設けて空気流が循環するようにしたが、これに限られない。例えば、吸気口６を設けず、第三方向に流れる空気流Ａ３を床面側に沿って拡散するように構成してもよい。こうした構成によっても上述した効果を享受することができる。

　また、本実施の形態１に係る気流環境システム１では、座席部３の背もたれ部の上面に放出口５を設けたが、これに限られない。例えば、座席部３と壁面１０ｅとの間に隙間を設け、その隙間に放出口５を配置してよい。これにより、気流環境システム１の設計自由度が向上する。

　以上のように、本開示に係る気流環境システムは、環境空間内において利用者の快適性を向上させることができるので有用である。

　１　　気流環境システム
　１ａ　　気流環境システム
　１ｂ　　気流環境システム
　１ｃ　　気流環境システム
　２　　送風システム
　２ａ　　送風装置
　２ｂ　　機能部
　２ｃ　　制御部
　３　　座席部
　３ａ　　送風ユニット
　４　　反射部
　４ａ　　曲面
　５　　放出口
　５ａ　　放出口
　６　　吸気口
　６ａ　　吸気口
　１０　　個室ユニット
　１０ａ　　壁面
　１０ｂ　　壁面
　１０ｃ　　壁面
　１０ｄ　　壁面
　１０ｅ　　壁面
　１１　　ダクト
　１２　　集中送風システム
　１２ａ　　送風装置
　１２ｂ　　機能部
　１２ｃ　　制御部
　１３　　座席部
　１００　　空気清浄装置
　１０１　　喫煙席
　１０２　　什器
　１０３　　吸気ユニット
　１０４　　排気口
　１０５　　空気流
　１０６　　吸気開口部
　Ａ１　　空気流
　Ａ２　　空気流
　Ａ３　　空気流
　Ａ４　　空気流
　Ｂ１　　誘引気流
　Ｂ２　　誘引気流
　Ｕ　　利用者
　Ｘ　　開放面
　ＳＰ１　　特定空間
　ＳＰ２　　外部空間

Claims

　内部に特定空間を形成し、外部空間に対して開放された開放面が正面側に設けられた筐体と、
　前記筐体内の下面側に設けられ、前記筐体内の前記正面側と反対側の背面側において、特定の方向に沿って流れる空気流を前記特定空間に放出する放出口と、
　前記特定の方向において前記放出口と対向するように前記筐体内の前記下面側と反対側の上面側に設けられ、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流が当たるように構成された反射部と、を備え、
　前記反射部は、当たった前記空気流を、前記開放面を横断するように、前記筐体内の前記上面側から前記筐体内の前記下面側に還流させるように構成されている、
　気流環境システム。
　前記筐体内には、利用者が前記開放面に対向して着座可能に構成された座席部が設けられ、
　前記放出口は、前記座席部に対する前記筐体内の前記背面側において、前記特定の方向に流れる前記空気流を前記特定空間に放出する、
　請求項１に記載の気流環境システム。
　前記放出口は、前記座席部に着座する前記利用者と、前記利用者に対する前記筐体内の背面側において露出する壁面との間に、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流が流れるように、前記座席部に着座した際の前記利用者の頭部の位置よりも前記筐体内の前記下面側に対して低い位置に設けられている、
　請求項２に記載の気流環境システム。
　前記座席部に設けられ、前記特定空間の空気を吸い込む吸気口をさらに備え、
　前記放出口は、前記吸気口から吸い込んだ空気を、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流として放出する、
　請求項２又は３に記載の気流環境システム。
　前記放出口から前記特定空間に放出する前記空気流に対して付加要素を付与する機能部をさらに備え、
　前記付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうち少なくとも１つを含む、
　請求項１～４のいずれか一項に記載の気流環境システム。
　前記外部空間の空気を導入して付加要素を付与する集中空調室と、
　前記集中空調室と前記放出口とを連通するダクトと、をさらに備え、
　前記付加要素は、香り、空気浄化、湿度変化及び温度変化のうち少なくとも１つを含み、
　前記放出口は、前記集中空調室から導入される空気を、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流として放出する、
　請求項１～３のいずれか一項に記載の気流環境システム。