WO2021193529A1 - 合金および部材 - Google Patents

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    • C22CALLOYS
    • C22C30/00Alloys containing less than 50% by weight of each constituent

Abstract

溶融状態にあるアルミニウム合金などに対する耐性を備える合金を提供する。 この合金は、第1元素群としてNbおよびMo、第2元素群として、Ta、W、Ti、HfおよびZrの少なくとも一種を含み、第1元素群および第2元素群の元素の合計が100at.%としたとき、含まれる元素の含有範囲は5~35at.%であり、Al、CuおよびZnの少なくとも一種に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上の耐性を有する。

Description

合金および部材
 本発明は、溶融状態もしくは可塑性状態にある合金、特にアルミニウム合金に対する耐性を有する合金およびこれを用いた部材に関する。
 アルミニウム合金の低圧鋳造、重力鋳造、ダイカストに用いられる金型には、例えば、JIS SKD61が用いられている。同じ金型で鋳造を繰り返していると、金型に損傷が生じる。損傷原因の主なものに溶損がある。溶損は、アルミニウム合金の溶湯と接触する金型の部分が合金化して融点が低下するために生ずるとされている。
 溶損が激しくなると、溶損した部分に溶接による肉盛りをして補修することが行われる。補修材としては、高融点でかつ高温における耐クリープ特性の優れた耐溶損性を備えた合金が好ましい。この合金の一例が、特許文献1に開示されている。
 高強度、高耐食性が求められる中で、ハイエントロピー合金(High Entropy Alloy: HEA)が注目を集めている。
 例えば、特許文献2は、チタン、ジルコニウム、ニオブおよびタンタルに加えて、モリブデン、ハフニウム、タングステン、バナジウムおよびクロムからなる群の少なくとも一種を含む多成分系からなるHEAを開示する。特許文献2のHEAは、生体用金属材料として使用されることが開示されている。
特表平1-502680号公報 特開2018-70949号公報
R. Car, M. Parrinello (1985). Unified Approach for MolecularDynamics and Density-Functional Theory. PHYSICAL REVIEW LETTERS. VOLUME 55, NUMBER 22, 2471-2474 S. J. Plimpton, E. D. Wolf (1990). Effect of interatomic potential on simulated grain-boundary and bulk diffusion: A molecular-dynamics study. Physcal Review B. VOLUME 41, NUMBER 5, 2712-2721 T. Iwasaki, H. Miura (2001). Molecular dynamics analysis of adhesion strength oh interfaces between thin films. Materials Research Society. VOLUME 16, NUMBER 6, 1789-1794 T. Tsuru, D. C. Chrzan (2015). Effect of solute atoms on dislocation motion in Mg: An electronic structure perspective. Scientific Reports. VOLUME 5 : 8793 | DOI: 10.1038/srep08793 ,1-8 T. Iwasaki (2000). Molecular dynamics study of adhesion strength and diffusion at interfaces between interconnect materials and underlay materials. Springer-Verlag. Computational Mechanics. VOLUME 25 (2000), 78-86 Tomio IWASAKI (2018). Efficient Optimum Design of Metal withStrong Adhesion to Ceramics with a Combination of Orthogonal Array and Response-Surface Method. Journal of the Society of Materials Science, Japan. VOLUME 67, NUMBER 8 , 803-810
 しかし、特許文献2が開示する合金は、アルミニウム合金などの溶湯に対する耐溶損性と機械強度が十分でなかった。
 そこで本発明は、溶融状態にあるアルミニウム合金などに対する耐性、例えば溶解状態のアルミニウム合金が反応しにくい耐溶損性と、機械強度を備える多元系の合金およびこれを用いた部材を提供することを目的とする。
 なお、非特許文献1~6は、本発明の実施形態を補足説明する上で必要となる技術文献を開示するものである。例えば非特許文献1は、量子力学の基本方程式に基づいて原子が運動する過程をシミュレーションする方法、すなわち第一原理的分子動力学法の計算原理について述べられている。材料中の原子を構成する電子と原子核は量子力学の法則に従うため、このシミュレーションによって材料の特性を評価することができる。非特許文献2は、分子動力学法シミュレーションによって拡散係数を計算する方法について言及している。また、非特許文献3は、分子動力学法シミュレーションによって吸着エネルギを計算する方法について言及している。他の非特許文献4~6は後述する発明を実施する形態の欄において言及する。
 本発明は、第1元素群としてNbおよびMo、第2元素群として、Ta、W、Ti、HfおよびZrの少なくとも二種を含む合金に関する。
 第1元素群および第2元素群の元素の合計が100at.%としたとき、含有されるそれぞれの元素の量は5at.%以上、35at.%以下である。
 本発明の合金は、Al、CuおよびZnの少なくとも一種に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上である。
 本発明の合金は、好ましくは、Al、CuおよびZnの少なくとも一種に対する吸着エネルギが0.2J/m以下である。
 本発明の合金は、好ましくは、ビッカース硬さ(HV)が430以上、かつ、熱伝導率が25W/(m・k)以下である。
 本発明の合金は、好ましくは、結晶構造が単一種の体心立方格子構造、または、複数種の体心立方格子構造を全部または一部に有する。一部の場合は、体積比率で60%以上であることが好ましい。
 さらに本発明の合金は、好ましくは、デンドライト組織とデンドライト間領域が体心立方格子構造を有する。
 さらに本発明の合金は、好ましくは、短辺格子定数が0.31nm以上、0.36nm以下である。
 さらに本発明の合金は、好ましくは、第1元素群、第2元素群に加えて、第3元素群としてCr、VおよびAlの少なくとも一種を含み、それぞれの元素が5at.%以上、35at.%以下の範囲で含む。第3元素群を含む場合、第1元素群、第2元素群および第3元素群の合計で100at.%となる。
 本発明の合金は、好ましくは、Al、CuおよびZnのいずれかの単独の金属、または、
 Al、CuおよびZnのいずれかの金属を主体とする合金、または、
 Al、CuおよびZnの二種以上の金属を含む合金の鋳造に用いられる。
 本発明の合金は、好ましくは、ダイカスト金型、溶接棒、表面処理用のターゲット材、膜および粉末の少なくとも一つの形態からなる部材に用いられる。
 本発明によれば、アルミニウム合金の鋳造を含め、溶融状態もしくは温間加工または熱間加工における温度域にあるAl、CuおよびZnの少なくとも一種に対する耐性、特に耐溶損性と機械強度を備える多元系の合金およびこれを用いた部材が提供される。
各種元素による、アルミニウムに対する格子ミスマッチとアルミニウムの吸着エネルギの関係を示すグラフである。 各種合金による、アルミニウムに対する格子ミスマッチとアルミニウムの吸着エネルギの関係を示すグラフである。 各種合金による、アルミニウムに対する格子ミスマッチとアルミニウムの拡散係数の関係を示すグラフである。 本発明の実施例および比較例に係る合金のX線回折(XRD:X‐ray diffraction)による観察結果を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によるミクロ組織を示す写真である。 本発明の実施例に係る他の合金および比較例に係る合金の走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によるミクロ組織を示す写真である。 合金の転位の挙動を説明する図である。 本発明の合金を用いた表面処理用ターゲット材の一例を示す外観図である。
 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
 本実施形態は、溶融状態にあるアルミニウム合金に対する耐性(以下、単にアルミニウム耐性ということがある)を得るために、格子定数の相対差である格子ミスマッチに着目した。そして、アルミニウムに対する格子ミスマッチの大きい材料を用いることにより、アルミニウム耐性、特に優れた耐溶損性が得られることを知見するに至った。なお、格子ミスマッチは、格子不整合とも称され、計算により求められるが、その算出方法は後述する。なお、より大きな構造物をダイカストで作ったり、生産性を上げるために頻繁に高温と低温を繰り返したりするような場合においては、熱応力が集中しやすいことから、材料として機械強度が高いことが好ましい。そこで、後述するように転位の移動障壁エネルギにも着目した。なお、後にも記載するように、金属材料の変形は、転位の移動によって引き起こされ、転位を移動させるのに必要な障壁エネルギが高いほど変形しにくく機械強度が強いと判断される。
 今回最も重要視した溶融状態にあるアルミニウム合金との反応のしにくさは、アルミニウムが吸着しにくく(アルミニウムが接近しにくく)、かつアルミニウムが侵入しにくい(表面からアルミニウムが拡散しにくい)ことが重要である。アルミニウムの吸着しにくさは、例えば非特許文献5に開示されている吸着エネルギ(剥離エネルギとも呼ぶ)の低さで表現される。吸着エネルギについて詳細は後述する。そして、吸着エネルギは、例えば非特許文献6に示されているように、格子定数とその相対差である格子ミスマッチとが支配因子となっている。つまり、他の因子(表面エネルギ、凝集エネルギ、電気陰性度)よりも格子定数とその相対差である格子ミスマッチが支配的な因子といえる。これまで金属材料の分野において、格子ミスマッチが着目される例として、例えば非特許文献5に記載されているように電子部品の配線膜とバリア膜の界面強度のような接合強度については格子ミスマッチを小さく、理想的には格子ミスマッチがゼロになることを目指してきた。本発明は、これらとは逆に、格子ミスマッチを大きくすることによりアルミニウム耐性、つまり溶融したアルミニウムと反応しにくい性質を得るものであって、これまでとは発想が逆である。
 溶融したアルミニウムに対する耐性を高くする、つまり溶融状態のアルミニウムと接触した際に、アルミニウムと反応しにくくするには、アルミニウムが接近しにくい状態にして、アルミニウムが吸着しにくい状態にすることが重要となる。アルミニウムの吸着しやすさは、以下に述べる吸着エネルギで評価でき、吸着エネルギが小さいほど吸着しにくいといえる。いくつかの金属元素について、アルミニウム(Al)に対する格子ミスマッチ(以下、単に格子ミスマッチということがある)とアルミニウムの吸着エネルギ(以下、単に吸着エネルギということがある)の関係を図1に示す。図1より、格子ミスマッチが大きくなれば吸着エネルギが小さくなることがわかる。なお、吸着エネルギは計算により求められるが、その算出方法は後述する。
 また、溶解したアルミニウムが表面から侵入して反応しないことが耐性を高める上で重要であるため、アルミニウムの侵入しやすさを、表面から内部へ入り込む拡散係数で評価した。拡散係数について詳細は後述する。図1は元素の単位における評価であるが、いくつかの合金について、格子ミスマッチと吸着エネルギとの関係、および、格子ミスマッチとアルミニウムの拡散係数との関係について検討した。その結果が表1、図2および図3に示されている。これらの結果は、格子ミスマッチを大きくすれば、吸着エネルギおよびアルミニウムの拡散係数(以下、単に拡散係数ということがある)を小さく抑えることができることを示唆している。アルミニウムの拡散係数も計算で求められるが、その算出方法は後述する。
 表1において、例えば、No.3~5の合金(NbTa,NbTaTi,NbTaTiZrV)を比較すると、合金を構成する元素が多くなると、格子ミスマッチは大きくなる一方、吸着エネルギおよび拡散係数は小さくなる。
 また、5元素からなる5元系のNo.5の合金(NbTaTiZrV)と3元素からなる3元系のNo.6の合金(NbMoTa)を比較すると、No.6の合金は3元系とNo.5の合金より構成元素が少ないにもかかわらず、同等以上の格子ミスマッチを有している。このことは、No.5の合金(NbTaTiZrV)と4元素からなるNo.7の合金(NbMoHfZr)を比較しても伺える。つまり、NbとMoは、格子ミスマッチを大きくできる構成元素の組み合わせと解される。
 さらに、表1において、NbとMoの両者を含むNo.6~No21の合金を参照する。NbとMoの両者を含み、さらにTa,W,Ti,HfおよびZrの少なくとも二種を含み、さらにまたCr、VおよびAlの少なくとも一種を含み、構成元素が4元素以上と多くなれば、格子ミスマッチが大きくなる一方、吸着エネルギおよび拡散係数は小さくなる。
 また、合金は変形しにくいほど壊れにくくて好ましいが、一般に、合金等の金属の変形は、転位の移動によって表され、変形のしにくさ、つまり、金属の機械強度は、転位の移動のしにくさで表される。このため、例えば非特許文献4に示されるように、金属の機械強度は、転位の移動障壁エネルギで表される。転位の移動障壁エネルギの計算方法等の詳細は後述する。表1のなかで移動障壁エネルギについて、4元系のNo.7の合金と5元系のNo.5の合金とを比較すると、NbおよびMoの両者を含むNo.7の合金の転位の障壁エネルギが大きい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 以上の知見に基づく本実施形態に係る合金は、第1元素群としてNbおよびMoの両者を含み、また、第2元素群としてTa、W、Ti、HfおよびZrの少なくとも二種を含む。
 第1元素群および第2元素群は、合計で100at%としたとき、含有されるそれぞれの元素の量は5at.%以上、35at.%以下(以下、5~35at%と簡略して記載する。)とされる。これらの元素で構成される合金は、1800℃~3000℃と融点が高い。
 第1元素群および第2元素群をなすいずれの元素も5at%~35at%の範囲で含まれる。この範囲は、ハイエントロピー合金を構成する元素の含有量として認識されている。好ましい含有量の範囲は5~25at%であり、より好ましい含有量の範囲は5~15at%である。
 本実施形態に係る合金は、不可避的不純物を含有し得る。例えば、C、N、Oなどの不可避不純物がそれぞれ500ppm以下で含有し得る。
[格子ミスマッチ]
 本実施形態に係る合金は、後述する実施例における溶損試験の結果をも考慮して、溶解したアルミニウムが表面に近づいて反応、あるいは侵入して反応するのを抑えるためには、吸着エネルギが小さく、拡散係数が小さいことが好ましく、このためには、格子ミスマッチが13%以上必要である。格子ミスマッチは14%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。後述する実施例においては、15.5%、さらには16%以上の格子ミスマッチが得られている。
[転位の移動障壁エネルギ]
 一般に、金属の変形は、転位の移動によって表され、変形のしにくさ、つまり、金属の機械強度は、転位の移動のしにくさで表される。このため、例えば非特許文献4に示されるように、金属の機械強度は、転位の移動障壁エネルギで表される。これが大きいと、例えば後述する硬さが硬くなる。
 本実施形態に係る合金は、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上である。
 転位の移動障壁エネルギは、本実施形態に係る合金の機械的な強度を表す一つの指標である。したがって、機械的な強度が要求される用途における転位の移動障壁エネルギは、310kJ/mol以上であることが好ましく、330kJ/mol以上であることがより好ましく、370kJ/mol以上であることがさらに好ましい。後述する実施例においては、400kJ/mol、さらには425kJ/molを超える転位の移動障壁エネルギが得られている。
[アルミニウムの吸着エネルギ]
 溶融したアルミニウムに対する耐性を高くする、つまり溶融状態のアルミニウムと接触した際に、アルミニウムと反応しにくくするには、アルミニウムが接近しにくい状態にして、アルミニウムが吸着しにくい状態にすることが重要となる。アルミニウムの吸着しやすさは、以下で述べる吸着エネルギで評価でき、吸着エネルギが小さいほど吸着しにくいといえる。詳細は後述するシミュレーションとともに述べる。
 本実施形態に係る合金は、好ましくは、吸着エネルギが0.2J/m以下である。
 吸着エネルギはアルミニウム耐性を示す一つの指針と言える。そこで、本実施形態において、好ましくは、吸着エネルギを0.2J/m以下とする。本実施形態における吸着エネルギは、より好ましくは0.15J/m以下とし、さらに好ましくは0.1J/m以下、さらに好ましくは0.083J/m以下とする。
[アルミニウムの拡散係数]
 溶解したアルミニウムが表面から侵入して反応しないことが耐性を高める上で重要であるため、アルミニウムの侵入しやすさを、表面から内部へ入り込む拡散係数で評価した。拡散係数はアルミニウム耐性を示す一つの指針と言える。拡散係数について詳細は後述する。
 本実施形態に係る合金は、好ましくは、アルミニウムの拡散係数が6.4×10-22/s以下である。
 本実施形態における拡散係数は、より好ましくは6.0×10-22/s以下とし、さらに好ましくは5.5×10-22/s以下とする。
[硬さ]
 次に、本実施形態に係る合金は、好ましくは、硬さがビッカース硬さ(HV)で430以上である。硬さは、本実施形態に係る合金の機械的な強度を表す一つの指標である。したがって、昇温・冷却が頻繁に繰り返される作業上過酷な使用が要求される用途においては、機械的な強度が要求される用途における硬さは、450(HV)以上であることが好ましく、500(HV)以上であることがより好ましく、550(HV)以上であることがさらに好ましい。後述する実施例においては、600(HV)を超える硬さ(HV)が得られている。
 なお、後述する実施例(表6)における硬さは、荷重を200gfに設定し、一つの試料について30点で測定した平均値である。この荷重はJIS規格の荷重の範囲に該当する。
[熱伝導率]
 ダイカスト金型に関する部位のうち、溶融状態のアルミニウム合金が接触する部位として、例えば、ダイカスト金型に溶解状態のアルミニウム合金を流し込むダイカストスリーブがある。ダイカストスリーブは、強靭性、耐溶損性に加えて保温性がよく、溶融状態のアルミニウム合金の温度を低下させないことが望まれる。これとは逆に、保温しないほうがよい部位もあるが、ここでは保温性のよい部位に使用することを目的として、熱伝導率の低い材料を得ることをひとつの課題とする。
 そこで、本実施形態に係る合金は、好ましくは、熱伝導率が25W/(m・k)以下である。熱伝導率が低いほど保温性がよく、例えば低圧鋳造、ダイカスト鋳造の金型のように蓄熱する用途に適している。したがって、蓄熱する用途においては、熱伝導率が25W/(m・k)以下であることが好ましく、20W/(m・k)以下であることがより好ましく、15W/(m・k)以下であることがさらに好ましい。後述する実施例においては、20W/(m・k)以下の熱伝導率が得られている。
[X線回折(XRD:X-ray diffraction)による観察]
 本実施形態に係る合金は、いずれも結晶構造が体心立方格子(body-centered cubic:bcc)の構造をなしている。この結晶構造は、図4中に黒丸で示される第1bcc構造と、第1bcc構造とは異なり、図中に黒三角で示される第2bcc構造の二種類のbcc構造が観察された。そして、本発明は、第1bcc構造からなる合金と、第1bcc構造と第2bcc構造の両者を含む合金と、を包含する。つまり、本発明は、単一種のbcc構造からなる合金に加えて、複数種のbcc構造からなる合金として成立する。後述するように、XRDのピークから、二種類ともアルミニウムとの格子ミスマッチが大きいbcc構造であることが推察される。
 なお、ここで記載した「第1」と「第2」は、両者を区別することを目的として用いられる語であって、特定のbcc構造を限定するものではない。
 また、本実施形態に係る合金は、最も好ましくは、組織の全体が体心立方格子構造を有するが、好ましくは体積比率で60%以上、より好ましくは体積比率で80%以上の組織が体心立方格子構造を有する。
[走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による観察]
 本実施形態に係る合金は、単一相の組織からなる形態と、デンドライト組織を有する複相の組織からなる形態とを含む。
 この複相組織は、デンドライト組織とデンドライト間領域とからなる。例えば図5および図6に示すように、デンドライト組織は明色で示され、デンドライト間領域は暗色で示される。
 後述する実施例に示されるように、溶解したままの状態でデンドライト組織とデンドライト間領域とからなる複相組織が得られる。複相組織は溶解後の凝固の速度が遅いために生じたと解され、凝固速度を調整することにより、単相組織を得ることができる。ただし、後述する実施例から明らかなように、デンドライト組織とデンドライト間領域との複相組織であっても、後述するように、XRDのピークから、二種類ともアルミニウムとの格子ミスマッチが大きいbcc構造であることが推察されるため、本実施形態に係る合金は優れたアルミニウム耐性を得ることができる。
[評価項目の計算について]
 本実施形態の効果を予測するために、非特許文献1等に開示されているような分子動力学シミュレーションを実施した。
[格子ミスマッチの計算方法]
 格子ミスマッチを計算するための格子定数は、非特許文献5に基づいて、次のように定義した。すなわち、原子数密度が最も高い面、即ち下記する最密結晶面を表す面心長方格子の短辺格子定数aと長辺格子定数bのミスマッチをパーセントで表し、短辺格子ミスマッチΔa、長辺格子ミスマッチΔbとした。そして、原子間距離の短いΔaのほうが重要であるために、本実施形態において特に断りの無い限り、Δaを格子ミスマッチとする。ただし、後述する比較例に挙げたSKD61およびその窒化物の場合には、アルミニウムとの短辺格子ミスマッチΔaが約2%以下と小さい一方で、長辺格子ミスマッチΔbが16%以上と大きくなるため、ΔaとΔbの相加平均を格子ミスマッチとした。上述の実施形態のように体心立方構造の場合、最密結晶面は(110)面であり、短辺aと長辺bの比は約1:√2である。一方で、相手材料であるアルミニウムは面心立方構造であるため、最密結晶面は(111)面であり、短辺aと長辺bの比は約1:√3である。また、Tiのような最密六方構造の最密結晶面は(0001)面であり、短辺aと長辺bの比は約1:√3である。なお、ここで定義した最密結晶面以外の結晶面は、吸着エネルギへの寄与が弱いために、あまり影響しないことが非特許文献5などから知られているので、最密結晶面をもとに判断した。
 以上で定義した格子ミスマッチを計算するためには、非特許文献5などの分子動力学シミュレーションによって、緩和計算をおこない、安定な結晶構造を求めることで、前記のa、bを算出できるため、これをもとに格子ミスマッチを計算する。格子定数と格子ミスマッチの計算については、自作の分子動力学ソフトウェアを用いて計算し、併行してダッソーシステムズ(Dassault Systemes)社のMaterials StudioのDmol3およびForciteで計算し、両者の結果が一致することを確認した。
[転位の移動障壁エネルギの計算方法]
 一般に、金属の変形は、転位の移動によって表され、変形のしにくさ、つまり、金属の機械強度は、転位の移動のしにくさで表される。このため、例えば非特許文献4に示されるように、金属の機械強度は、転位の移動障壁エネルギで表される。例えば、ダイカスト金型には相当の圧力でアルミニウム合金溶湯が射出されるなどされるため、ダイカスト金型には機械的強度が要求される。転位の移動障壁エネルギは、図7に示すように、転位が移動する前の状態から移動した後の状態に変わる途中で、越えるべき障壁エネルギであり、分子動力学シミュレーションによって、例えば非特許文献4に示される方法と同様に計算した。障壁エネルギの計算については、自作の分子動力学ソフトウェアを用いて計算し、併行してダッソーシステムズ社のMaterials StudioのDmol3およびForciteで計算し、両者の結果が一致することを確認した。なお、図7において、初期の転位1は大きな球で表示した列3にあり、移動後の転位1は大きな球で表示した列3の左の列にある。つまり、初期の位置から移動後の位置に転位が1列移動したことを示している。この移動に必要なエネルギを分子動力学シミュレーションで算出した。
[吸着エネルギの計算方法]
 溶融したアルミニウムに対する耐性を高くするため、つまり、溶融状態のアルミニウムと接触した際に、アルミニウムと反応しにくくするためには、アルミニウムが接近しにくい状態にして、アルミニウムが吸着しにくい状態にすることが重要となる。アルミニウムの吸着しやすさは、以下に述べる吸着エネルギで評価でき、吸着エネルギが小さいほど吸着しにくいといえる。吸着エネルギは、吸着状態を剥離状態にする上で必要なエネルギを表し、非特許文献3の式(3)に示されている通り、剥離状態のエネルギから吸着状態のエネルギを引き算することで得られる。吸着エネルギの計算については、自作の分子動力学ソフトウェアを用いて計算し、併行してダッソーシステムズ社のMaterials StudioのDmol3およびForciteで計算し、両者の結果が一致することを確認した。この値が大きいほど、吸着しやすいことを表す。
[拡散係数の計算方法]
 拡散係数は、非特許文献2の式(2)に示されている通り、次のアインシュタインの関係式である式(A)、式(B)から求めた。
D = limt→∞D(t) …式(A)
D(t)= < [ri(t +t 0)-ri(t 0)]>/6t …式(B)
 式(B)は、十分に緩和した後に設定した基準となる時刻の t 0 からt +t 0までの平均二乗変位を6tで割り算したもので、実際には有限の時間ステップで収束するので、無限大まで計算しなくても拡散係数は算出できる。なお、ri(t +t 0)- ri(t 0)は、運動方程式から算出できる。なお、界面に垂直な方向に侵入する拡散係数を求める場合には、その方向への変位の平均二乗変位から算出する。この拡散係数が大きいほど、侵入しやすいことを表す。つまり、溶融したアルミニウムが表面から侵入して反応しやすい、換言すれば溶損しやすいことを意味する。
 具体的な実施例に基づいて、本発明に係る合金を説明する。
 表2に記載される10種類の合金からなるサンプルを用意した。実施例に係る合金No.34~40は、以下の条件によるアーク溶解で作製された。また、比較例として、JIS SKD61からなるサンプル(No.31)、JIS SKD61の表面に窒化処理を施したサンプル(No.32)およびNbTaTi合金(No.33)を用意した。JIS SKD61についてはJIS G4404に従った組成および製造方法によって作製され、NbTaTi合金(No.33)については実施例と同様にして作製された。
 表2の実施例に係る合金のうち、No.34~36は構成元素の含有量が等量であり、No.40は4つの構成元素(Nb,Mo,Ta,W)が等量であり、他の元素は等量の2倍である。また、No.37~39の合金は、詳しくは省略するが、吸着エネルギ、熱伝導率といった複数の物性を満たす元素の組み合わせをシミュレーションして得られた組成を有する。No.37~39の合金は、構成元素の含有量が等量ではないが、サンプル名は他と合わせるため構成元素を列挙する記載とした。
[サンプルのアーク溶解条件]
 全体質量が50gになるように各元素を秤量し、自動アーク溶解炉((株)大亜真空製)を用いて溶製材を作製した。金属小片の集まりを溶解させるため、アークのパワーが急に上がって小片が舞い上がったりすることが無いように、段階を経て溶解をおこなった。溶解は計6サイクル(各サイクルは3ステップから構成されている)、Arガス雰囲気下において、表3に示す条件で行われた。溶製材の均質性を高めるため、各サイクルが終了する度に、サンプル(合金の塊)の表裏を180°だけ裏返す機構を設けた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 得られたサンプルを用いて、アルミニウム溶湯に浸漬する溶損試験を行った。
 アーク溶解後の鋳造したままのサンプルからφ4.8×20mmの寸法、形状の溶損試験片を切り出し、この試験片をホルダに取り付けて、試験片が10mmだけアルミニウム溶湯に浸るように炉体位置を調節し試験を開始した。なお、試験片は直径140mmの円盤の外周端に取り付けて回転させ円弧に沿うように動かし、試験片の移動速度を5m/min、浸漬時間を5分とした。Al溶湯にはAl-Si-Mg系のJIS AC4CHを用い、溶湯温度を993Kとした。
 結果を表2に示す。
 実施例に係る合金は、比較例に係る合金に比べて溶損率が小さく、優れた耐溶損性を備えることがわかる。なお、溶損率は、以下により求められる。
 溶損率[%]=(試験前質量-試験後質量)/試験前質量×100
[X線回折(XRD:X-ray diffraction)による観察]
 実施例および比較例に係る合金の結晶構造をXRDにて観察した。その結果の概要についてはすでに述べたとおりであるが、以下を追記する。
 実施例に係る合金は、図4に示すように、いずれもbcc固溶体から構成される。その中で、単一の第1bcc構造から構成されるのは、No.34、No.36およびNo.40である。また、第1bcc構造と第2bcc構造の二種類のbcc固溶体から構成されるのは、No.35、No.37~No.39である。
 また、以上のXRD観察の結果から2つのbcc構造以外の相、例えば化合物は特定されない。
[走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による観察]
 次に、実施例および比較例に係る合金の組成像をSEMによって観察した。結果の概要についてはすでに述べたとおりであるが、以下を追記する。
 実施例においては、図5および図6に基づいて、明色で示されるデンドライト(樹枝状組織)と暗色で示されるデンドライト間領域とのそれぞれの化学組成、それぞれのアルミニウムとの格子ミスマッチ、それぞれの面積率を特定した。そのうえで、複合則による格子ミスマッチを算出した。複合則とは、明色部と暗色部の濃度の比率を重みとして、格子ミスマッチの重み付け平均を算出することを意味する。結果を表4に示す。化学組成は、SEMに付随するエネルギ分散型X線分析(EDX)により求められた。表4において、「デンドライト」の欄の「暗」はデンドライト間組織を意味し、同様に「明」はデンドライト組織を意味する。
 なお、デンドライト間領域は樹枝間組織、インターデンドライト組織、柱状間組織などとも称される。
 表4に示すように、いずれのサンプル(No.34~40)もデンドライト組織とデンドライト間組織との間に組成に多少のずれがある。しかし、いずれのサンプルにおいてもデンドライト組織を構成する元素とデンドライト間組織を構成する元素とが一致している。例えば、No.34の合金において、デンドライト間組織の構成元素はMo、Nb、Ta、Ti、ZrおよびHfであり、デンドライト組織の構成元素もMo、Nb、Ta、Ti、ZrおよびHfである。
 以上のように、実施例に係るいずれのサンプルもデンドライト組織とデンドライト間組織の二層組織を有するが、図4のX線回折測定結果に示す通り、両者ともにbcc構造を持ち、なおかつAlとの格子ミスマッチが大きい短辺格子定数を持っている。実際に、図4のピーク角から短辺格子定数の概算値を求めると、表5に示す通り、30°から40°の間に見られる第1bcc構造および第2bcc構造のピーク角は、36.421°から
39.462°の間であるため、第1bcc構造および第2bcc構造の短辺格子定数は0.3229nmから0.3489nmの間となる。したがってアルミニウムとの格子ミスマッチは、0.286nmとの相対差をとって、12.9%から22.0%の間となる。実際には、界面ひずみの影響があるために、その影響を無くすと15%~22%であるが、アルミニウムとの格子ミスマッチが大きいことは推察できる。
 なお、上記において、30°から40°の間に見られる第1bcc構造および第2bcc構造のピーク角の値Xから短辺格子定数aに換算する際には、a=0.10902/sin(X/2)という換算式を用いた。この式の導出においては、例えば公知のBraggの式である2dsinθ=λに、測定に用いたCuKα線(特性X線)の波長0.15418nmを代入して、θにX/2を代入して、面間隔λの√2倍がbcc構造の短辺格子定数aになることを用いると、a≒0000.10902/sin(X/2)を導くことができる。
 以上のように、2つの相のbcc構造が共にアルミニウムに対して大きな格子ミスマッチを持つため、アルミニウムの吸着エネルギとアルミニウムが侵入する拡散係数が小さく、溶融状態のアルミニウムと反応しにくい。つまり、これらの合金は溶融状態のアルミニウムに対して耐溶損性が高い。なお、No.33のサンプルも格子ミスマッチが13%以上であるために耐溶損性は高いが、表6に示されるように、転位の移動障壁エネルギが低く、強度が弱い。
 なお、それぞれの格子ミスマッチを比べると、デンドライト組織のほうがデンドライト間組織よりも高い。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 以上のサンプルを用いて行った溶損試験、特性の実測および各種計算値を表6にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 実施例に係るNo.34~40の合金は、比較例に係るNo.31~33の合金に比べて溶損率が格段に優れている。実施例に係るNo.34~40の合金は、格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、移動障壁エネルギが310kJ/mol以上の性質を備えており、この二つの性質がともに比較例に係る合金より高いことにより、低い溶損率を実現できたものと解される。なお、アルミニウム合金の低圧鋳造、重力鋳造などは、欠陥の少ない鋳物を製造するため、溶湯の移動速度が低く抑えられる。その際、溶湯の接する部分の熱伝導率が低い方が、溶湯の湯流れ性を保つために有効である。例えば、熱伝導率が25W/m・K以下であれば安定した鋳造が可能になると考えられ、より低い方が好ましい。鋳造の際、長時間にわたり溶湯と金型表面が接するため、金型表面にはアルミニウムに対する耐溶損性が必要になるが、実施例に係るNo.34~40の合金は、耐溶損性とともに熱伝導率も低いのでより低い溶損率を実現できたといえる。
 以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
 実施例では具体的には示さなかったが、表1に掲げられた第1元素群(NbおよびMo)、第2元素群(Ta、W、Ti、HfおよびZrの少なくとも二種)を含む合金、さらに第3元素群(Cr、VおよびAlの少なくとも一種)を含む合金も、溶融状態にあるアルミニウム合金に対する耐性、たとえば耐溶損性に優れることが伺える。
 本発明に係る合金は、例えば、溶融状態にあるアルミニウム合金に接する用途に好適に用いられる。その一例として、低圧鋳造の金型が溶損した場合に、溶損した部分を溶接により補修する際に用意される溶接棒がある。また、溶融状態にあるアルミニウム合金に接する部位に、本発明の合金からなる保護膜を形成する表面処理用のターゲット材としての用途がある。また、補修および保護膜を粉体肉盛りで形成する場合の粉末としての用途がある。さらには、ダイカスト金型に関する部位のうち、溶融状態のアルミニウム合金が接触する部位として、例えば、ダイカスト金型に溶融状態のアルミニウム合金を流し込む射出スリーブ(ダイカストスリーブ)、射出プランジャ等に用いると保温性が優れていて好ましい。
 低圧鋳造用の金型においては、ダイカストに比べ溶湯の移動速度が低く、金型の細部まで溶湯が回り込むまでに要する時間が長い。このような金型では、金型の熱伝導率が低いほど、湯口から金型の細部まで安定した溶湯粘度が保たれ、湯流れが保たれるため好ましい。
 アルミニウム合金の塑性加工については、サイクルタイムの高まりから、成形速度が高まっており、成形中に被加工材と金型との間に生ずる摩擦熱により焼付くことがある。このような摩擦熱によりアルミニウム合金が軟化し、焼付くような現象に対しては、アルミニウムとの反応性が小さく、かつ硬さの硬い組成物からなる層を金型の表面に形成することが有用である。例えば、高張力鋼板を冷間で塑性加工するのが難しいため、ホットスタンプ(熱間プレス)法が用いられる。これは高温に加熱した鋼板を塑性加工する方法であるため、鋼板の酸化防止が必要であり、鋼板にアルミニウムメッキが施される。このアルミニウムメッキ鋼板を700℃以上に加熱し、プレス成形するため、金型表面はアルミニウムに対する反応性が低いことが求められる。本発明に係る合金はアルミニウムに対する反応性が低いため、少なくとも金型表面の層が本発明に係る合金からなることが好適である。
 以上において、アルミニウムや合金等の格子定数や格子ミスマッチは、室温状態で計算したが、高温状態の値も、熱膨張による寄与が入るだけであるため、格子ミスマッチの値は最大で1%程度の違いがあるだけで、ほぼ同等の値となる。具体的には、1000℃でミスマッチ1%程度の誤差レベルである。溶解しているアルミニウムがかかわる現象が、溶解していない場合のアルミニウムの格子定数と関係している理由は以下に記載する通りである。
 以下の3つの状態のアルミニウムにおいては、熱エネルギを持ったアルミニウム原子が合金表面を動き回っている状態である。
状態1:融点(約660℃)より高い状態で溶解しているアルミニウム
状態2:融点よりは低くても全体的に高温(約300℃~約660℃)となっているアルミニウム
状態3:全体的には室温レベルであっても摩擦熱等で局所的に発熱した状態となっているアルミニウムが合金の表面と接触している場合
 以上のようにアルミニウム原子は動き回ってはいるものの、このアルミニウムのひとつひとつの原子には、原子間力が働いており、アルミニウム原子同士には、短辺格子定数(0.286nm)の原子間隔になろうとする力がお互いに働いている。一方で、本発明の実施例として示したNbMoベースの合金は、表5の短辺格子定数に示されているように、安定な原子間隔が0.32nm~0.35nmである。このため、これらの合金表面からは、アルミニウム原子の原子間隔を0.32nm~0.35nmにしようとする原子間力がアルミニウム原子に働く。つまり、アルミニウムの本来の原子間隔(0.286nm)よりも12~22%広くしようとする原子間力が働く。こうして、アルミニウム自身が安定になろうとしている原子間隔(0.286nm)と本発明の合金表面が安定化しようとしているアルミニウムの原子間隔(0.32nm~0.35nm)は相対的に12~22%も異なっているため、結局アルミニウム原子を安定にするような原子間隔は存在せず、安定な状態となりにくくなってしまう。このため、アルミニウム原子は動き回ったままの状態となり、合金表面にアルミニウムが吸着しにくく、反応しにくい(その上、内部への拡散も弱い)状態となる。
 これに対して、例えば、アルミニウムとの格子ミスマッチが約3%と小さいチタン(短辺格子定数:0.295nm)の表面からは、アルミニウム原子の原子間隔を0.295nmにしようとする原子間力がアルミニウム原子に働く。この距離は、アルミニウム自身が安定になろうとしている原子間隔(0.286nm)に近いために、動いているアルミニウム原子の原子間隔がこれくらいの距離(0.286nm~0.295nm)になると、チタン表面においてアルミニウム原子が安定化されて動きが遅くなる現象が生じる。これによってチタン表面に長く滞在して落ち着いて吸着したような状態となり、内部への拡散も起こりやすくなる。このため、反応が起こりやすくなり得る。これが、吸着エネルギが大きく、拡散係数も大きい状態である。こうして、動き回っているアルミニウム原子が、その原子間隔(0.286nm~0.295nm)になると安定な状態におさまって反応しやすくなってしまう。このため、アルミニウムに対する耐性を確保するためには、アルミニウム原子が安定化されやすい原子間隔が存在しないように、格子ミスマッチの大きい合金を表面にしておくことが重要となる。
 以上のような現象は、アルミニウム全体が高温ではなくても、合金の表面付近におけるアルミニウムが摩擦熱等で局所的に発熱した状態や塑性変形が起こりやすい状態となっている場合でも、合金の表面付近で起こる現象である。
 なお、本発明に係る合金は、アルミニウム合金よりもミスマッチが大きくなるような金属、合金と接触する用途に対しても用いることができる。具体的には、アルミニウムの短辺格子定数(0.286nm)よりも小さな短辺格子定数を有する銅(短辺格子定数が0.256nm)と亜鉛(短辺格子定数が0.266nm)およびこれらの合金である。
 上述した表6のアルミニウムと同様に、銅または亜鉛に対する実施例に係る合金について、格子ミスマッチ、転位の移動障壁エネルギおよび吸着エネルギを計算した結果をそれぞれ表7と表8に示す。
 ここで、アルミニウム、銅および亜鉛は、短辺格子定数(最密結晶材料では原子直径と同じ)が同程度(0.255~0.290 nm)であり、融点が1400K以下であって、鋳造・半溶融状態で金型を使用した素形材成形工程によって工業的に用いられる材料として共通性を有する。
 表7から、実施例に係る合金は、従来例(SKD61やSKD61窒化処理材)に対して、銅に対する格子ミスマッチは13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上であることを満足していることが分かった。ここで格子ミスマッチは25%以上、さらには30%以上が得られている。同時に転位の移動障壁エネルギは330kJ/mol以上、さらには370kJ/mol以上が得られている。このように格子ミスマッチと転位の移動障壁エネルギが同時に大きい材料を用いることは、銅または銅合金に対する耐性、特に優れた耐溶損性が得られることを示している。
 また、同様に、表8から、実施例に係る合金は、従来例に対して、亜鉛に対する格子ミスマッチは13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上であることを満足していることが分かった。ここで格子ミスマッチは20%以上、さらには25%以上が得られている。同時に転位の移動障壁エネルギは330kJ/mol以上、さらには370kJ/mol以上が得られている。このように、実施例に係る合金は、亜鉛または亜鉛合金に対しても優れた耐溶損性が得られることを示している。
 アルミニウム、銅および亜鉛のそれぞれ、またはこれらの金属を主体とする合金を成形するために、低圧鋳造、重力鋳造、ダイカストのような溶湯を金型に流し込み成形する方法が用いられる。また、アルミニウム、銅および亜鉛のそれぞれ、またはこれらの合金をプレス、鍛造、押し出し成形、伸線加工のような塑性加工することで成形する場合もある。いずれの金型についても、同じ金型で成形を繰り返していると、金型に損傷が生じる。損傷原因の主なものに溶損やカジリがある。これらは、銅や銅合金、亜鉛や亜鉛合金と接触する金型の部分が合金化して固着するために生ずる。本発明のように格子ミスマッチと転位の移動障壁エネルギが大きくなる合金をダイカスト等の金型材として用いることで、これらの損傷を抑制できる。
 アルミニウム、銅および亜鉛のそれぞれの金属を主体とする合金としては以下が例示される。
[アルミニウム合金の例]
Al-Cu系,Al-Mn系,Al-Si系,Al-Mg系,Al-Zn系
[銅合金の例]
Cu-Zn系,Cu-Zn-Pb系,Cu-Zn-Sn系,Cu-Sn系,
Cu-Sn-Pb系,Cu-Al系,Cu-Si系,Cu-Ni系,
Cu-Zn-Si系,Cu-Al-Fe系,Cu-Al-Fe-Ni系,
Cu-Ni-Fe系,Cu-Ni-Zn系,Cu-Be系,コルソン銅,
Cu-Ni-Si-Mg系,Cu-Ni-Si-Sn-Zn系,
Cu-Ni-Si-Mg-Mn系,Cu-Ni-Si系,Cu-Co-Si系
[亜鉛合金の例]
Zn-Al-Cu-Mg系,Zn-Al-Cu-Ti-Cr-Mn-Be系,
Zn-Al-Cu-Mg-Ti-Be系
 以上で示した表6~表8により、実施例のNo.34~40に係る合金は、アルミニウム、銅および亜鉛の三種(第1態様)に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上を満たす。しかし、本発明はこれらに限らず、以下の第2態様、第3態様を含む。
第2態様:アルミニウム、銅および亜鉛のいずれか一種に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上
第3態様:アルミニウム、銅および亜鉛のいずれか二種に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 以下、本発明の合金の適用例を具体的に説明する。なお、本発明の部材は、これらの実施例の用途に限定されるものではない。
<原料粉末の作製>
 表9に示す複数の原料原料を準備した。原料粉末は何れも化学還元法で得られた純金属粉末である。これらの原料原料を、表10に示すNo.41~44のサンプルとなるように秤量し、Vミキサーによって30分間混合することで、各々の原料粉末内での複数の比重の異なる粉末原料を均一に混合した。表10の組成はat%である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
<表面処理用ターゲット材の製造>
 物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)に用いる表面処理用ターゲット材の製造方法について示す。
 表10に示されるサンプルNo.41~44の粉末を用い、以下の手順で合金ターゲット材用の焼結体を作成した。サンプルNo.41~44の夫々をカーボン製ダイスに充填し、カーボン製パンチを用いて一軸加圧成形した。ダイスはφ110mmとした。その後、ホットプレス装置に設置し、真空中で昇温し、11MPaで加圧して、5時間保持する条件で加圧焼結を行った。焼結温度は、No.41、No.42、No.43は1430℃、No.44は1510℃とした。
 焼結体をカーボン製ダイスから取り出し、機械加工を経てφ100×10mm厚さの成形体となし、図8に示す合金ターゲット材10を得た。その後、図8に示すように、無酸素銅のバッキングプレート20の上にロウ材(In)を用いて合金ターゲット材10をボンディングした。
 なお、上記実施例では焼結法を用いてターゲット材を製造したが、例えば、ホットプレスした円筒インゴットを消耗電極とし、ESR(エレクトロスラグ再溶解)やVAR(真空アーク再溶解)により、少しずつ再溶解・凝固をさせることで、偏析を低減させて合金化する製造方法を採用できる。また、ホットプレスした円筒インゴットを電極として誘導加熱によって直接溶解アトマイズを行うEIGA(電極誘導溶解ガスアトマイズ)炉を通して粉体化し、再度ホットプレスで合金化する製造方法を用いることもできる。また、得られた合金をさらに緻密化するために熱間等方静水圧加圧(Hot Isostatic Pressing)してもよい。
 以上により、図8に示される表面処理用の合金ターゲット材10を用いて、PVD法により金型表面にコーティング膜を形成する。これにより、アルミニウム合金、銅合金、亜鉛合金などの溶湯に対する耐溶損性と機械強度を十分に備えた金型部材や、耐摩耗性に優れたプレス金型、鍛造金型、押し出し成形に使用するマンドレル、伸線加工に使用する引き抜きダイス等を得ることができる。
1  転位
3  大きな球の列
10 合金ターゲット材
20 バッキングプレート

Claims (9)

  1.  第1元素群としてNbおよびMo、
     第2元素群として、Ta、W、Ti、HfおよびZrの少なくとも二種を含み、
     前記第1元素群および前記第2元素群の元素の合計が100at.%としたとき、含有
    されるそれぞれの元素の量は5at.%以上、35at.%以下であり、
     Al、CuおよびZnの少なくとも一種に対する格子ミスマッチが13%以上であって、かつ、転位の移動障壁エネルギが310kJ/mol以上である、ことを特徴とする合金。
  2.  Al、CuおよびZnの少なくとも一種に対する吸着エネルギが0.2J/m以下である、
    請求項1に記載の合金。
  3.  硬さがビッカース硬さ(HV)で430以上、かつ、熱伝導率が25W/(m・K)以下である、
    請求項1または請求項2に記載の合金。
  4.  単一種の体心立方格子構造、
     または、複数種の体心立方格子構造を全部または一部に有する含む、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の合金。
  5.  体心立方格子構造を有するデンドライト組織および体心立方格子構造を有するデンドライト間領域を有する、
    請求項4に記載の合金。
  6.  短辺格子定数が0.31nm以上、0.36nm以下である、
    請求項4または請求項5に記載の合金。
  7. さらに、第3元素群として、Cr、VおよびAlの少なくとも一種を含み、
     前記第1元素群と前記第2元素群と第3元素群の合計が100at.%としたとき、
     前記第3元素群を構成するそれぞれの元素が5at.%以上、35at.%以下の範囲で含む、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の合金。
  8.  Al、CuおよびZnのいずれかの単独の金属、または、
     Al、CuおよびZnのいずれかの単独の金属を主体とする合金、または、
     Al、CuおよびZnの二種以上の金属を含む合金の鋳造に用いられる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の合金。
  9.  請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の合金からなり、
     ダイカスト金型、溶接棒、表面処理用のターゲット材、膜および粉末の少なくとも一つの形態からなることを特徴とする部材。
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