WO2021187621A1 - 絞りしごき缶 - Google Patents

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Abstract

【課題】絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性、及び内容物充填後におけるレトルト処理に対する耐レトルト白化性を兼ね備えた絞りしごき缶を提供する。 【解決手段】金属基材の少なくとも片面に塗膜を有する塗装金属板から成る絞りしごき缶であって、前記塗膜が主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂と、を含有し、前記アミノ樹脂が、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂を95:5~5:95の質量比で含有してなり、前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の含有量が10質量部未満であることを特徴とする、絞りしごき缶。

Description

絞りしごき缶
 本発明は、塗装金属板を絞りしごき加工して得られる絞りしごき缶に関する。
 飲料缶等に広く用いられるシームレス缶を製造する加工方法として、絞りしごき加工が知られている。この絞りしごき加工は、アルミニウム板やスチール板等の金属板を円形に打ち抜き、絞り加工を加えて、側面継目のない胴部と該胴部に継目なしに一体に接続された底部とから成る円筒状カップに成形し、次いでしごき加工を加えて、容器胴部を薄肉化する加工方法であり、この方法で得られたシームレス缶は絞りしごき缶と呼ばれている。
 この絞りしごき缶の製造方法としては、例えば、金属板として予めポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂フィルムを被覆したラミネート金属板を使用した方法が知られている。この方法によれば、絞りしごき加工を施す際に、熱可塑性樹脂フィルムが潤滑機能を有するため、液体クーラント(水系潤滑剤)を使用しないドライ条件下で絞りしごき加工を行うことが可能となり、従来の液体クーラントを使用して金属板に絞りしごき加工を行う場合に比して、環境負荷低減に資するという利点がある。一方、この方法で用いるラミネート金属板における熱可塑性樹脂フィルムは、成膜の都合上、一定以上の膜厚となることから、経済面で問題があった。
 上記の方法に対し、塗装金属板を絞りしごき加工することにより絞りしごき缶を製造する方法が提案されている(特許文献1~2)。この方法によれば、塗装による膜(塗膜)が形成された金属板に対して絞りしごき加工を施す際に、塗膜が潤滑機能を有するためドライ条件下で絞りしごき加工が実現可能である。さらに、塗膜を薄膜とすることにより経済面でも優れるものである。
特許第3872998号公報 特許第4091266号公報
 しかしながら上記した塗装金属板を用いた絞りしごき缶の製造方法においては、上述したようなドライ条件下での絞りしごき加工の実現に加え、絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性、及び内容物充填後におけるレトルト処理に対する耐レトルト白化性等の観点から充分に性能を満たすものは未だ提案されていない。
 塗膜剥離耐性に関して、例えば缶体成形後に、加工により生じた塗膜の残留応力の除去を目的とした熱処理を施すような場合において、加工により生じた塗膜の残留応力が緩和されるに伴い、塗膜と金属基材界面に収縮応力が作用し、特に缶胴側壁部の加工が厳しく薄肉化されている部位(缶胴中央部)において、塗膜が剥離する場合があった。従って、缶体成形後の熱処理時にも塗膜の剥離が抑制されることが要求される。
 また耐レトルト白化性に関して、内容物充填後の缶が、レトルト殺菌等の加熱処理に賦された場合に、特に缶外面側の塗膜の白化を抑制することが要求される。そして上述したような性能の両立は、上記した文献に開示される技術では充分に満足されるものではなかった。
 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、ポリエステル樹脂及び硬化剤を含有する特定の塗膜が形成された塗装金属板を用いて絞りしごき缶を成形することにより上記課題を両立し得ることを見出し、本発明に想到したものである。
 上記目的を達成するため、本発明の一実施形態における絞りしごき缶は、(1)金属基材の少なくとも片面に塗膜を有する塗装金属板から成る絞りしごき缶であって、前記塗膜が主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂と、を含有し、前記アミノ樹脂が、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂を95:5~5:95の質量比で含有してなり、前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の含有量が10質量部未満であることを特徴とする。
 なお、上記した(1)に記載の絞りしごき缶においては、(2)底部及び胴部を有する絞りしごき缶であって、缶外面側及び/又は缶内面側の前記底部及び前記胴部が、連続した前記塗膜で被覆されていることが好ましい。
 上記した(1)又は(2)に記載の絞りしごき缶においては、(3)缶胴中央部の厚みが、缶底中央部の厚みの20~75%の厚みであることが好ましい。
 上記した(1)~(3)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(4)缶胴中央部の前記塗膜の厚みが、缶底中央部の前記塗膜の厚みの20~75%の厚みであることが好ましい。
 上記(1)~(4)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(5)前記塗膜と前記金属基材の厚み比(前記塗膜の厚み/前記金属基材の厚み)が、缶底部及び缶胴部でほぼ同じであることが好ましい。
 上記(1)~(5)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(6)前記金属基材の少なくとも片面に塗膜を有する塗装金属板を絞りしごき加工して成ることが好ましい。
 上記(1)~(6)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(7)前記メラミン樹脂がアルキルエーテル化メラミン樹脂であり、且つ前記ベンゾグアナミン樹脂がアルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂であることが好ましい。
 上記(1)~(7)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(8)前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が50℃より高く100℃以下であることが好ましい。
 上記(1)~(8)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(9)前記ポリエステル樹脂の酸価が0.3~10mgKOH/mgであることが好ましい。
 上記(1)~(9)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(10)缶胴中央部の前記塗膜の下記式で表される熱収縮率が50%以下であることが好ましい。
 熱収縮率(%)=(ΔL/L) ×100 
 L:缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ
 ΔL:単位面積当たり1.00×10N/mの荷重をかけながら昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮長さ
 上記(1)~(9)のいずれかに記載の絞りしごき缶においては、(11)缶胴中央部の前記塗膜の下記式で表される熱収縮率が50%以下であることが好ましい。
 熱収縮率(%)=(ΔL/L) ×100 
 L:缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ
 ΔL:無荷重状態で昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮長さ
 本発明によれば、絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性、及び内容物充填後におけるレトルト処理に対する耐レトルト白化性の各々の性能を同時に兼ね備えた絞りしごき缶を提供することが可能である。
 以下、実施形態を用いて本発明の絞りしごき缶について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<塗料組成物>
 本実施形態の塗装金属板及び絞りしごき缶の塗膜を形成するために用いられる塗料組成物について説明する。
 本実施形態の絞りしごき缶、及び塗装金属板の塗膜を形成するために用いられる塗料組成物は、主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂を使用し、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂の質量比が95:5~5:95であり、かつ前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の合計含有量が10質量部未満であることを特徴とする。
<ポリエステル樹脂>
 本実施形態において、主剤樹脂として使用するポリエステル樹脂としては、従来塗料組成物に使用されるポリエステル樹脂を使用することができ、これに限定されないが、以下のポリエステル樹脂を使用することができる。
 主剤樹脂として使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは20℃~120℃、より好ましくは40℃~110℃、更に好ましくは50℃より高く100℃以下、特に好ましくは60~90℃の範囲にあることが望ましい。上記範囲よりもTgが高い場合には、形成される塗膜が硬くなるため、製缶加工性が劣るおそれがある。一方上記範囲よりもTgが低い場合には、塗膜の耐水性が低下することで耐レトルト白化性が劣るおそれがある。
 本実施形態において、主剤樹脂としてのポリエステル樹脂は、ガラス転移温度の異なる複数のポリエステル樹脂のブレンド体であってもよい。その場合、下記式(1)により算出されるポリエステル樹脂ブレンド体のTgmixが上記のTg範囲にあれば良い。
 1/Tgmix=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)・・・(1)
 W1+W2+…+Wm=1
 式中、Tgmixはポリエステル樹脂ブレンドのガラス転移温度(K)を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは使用する各ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂1,ポリエステル樹脂2,…ポリエステル樹脂m)単体のガラス転移温度(K)を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂1,ポリエステル樹脂2,…ポリエステル樹脂m)の重量分率を表わす。
 ガラス転移温度の測定方法としては公知の方法を適用することが可能であり、たとえば示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で行うことが可能である。
 ポリエステル樹脂の酸価は、0.1~50mgKOH/g、好ましくは0.2~25mgKOH/g、より好ましくは0.3~10mgKOH/g、更に好ましくは0.5~5mgKOH/g、特に好ましくは0.5~3mgKOH/gの範囲にあることが好適である。上記範囲よりも酸価が小さい場合には、金属板と塗膜の密着性が低下するおそれがある。一方、上記範囲よりも酸価が大きい場合には、上記範囲にある場合に比して塗膜が吸水しやすくなり、耐レトルト白化性が低下するおそれがある。
 なお、主剤樹脂が2種類以上のポリエステル樹脂をブレンドしたブレンド体である場合においては、各々のポリエステル樹脂の酸価と質量分率を乗じて得られた値の総和を、ブレンド体の平均酸価(AVmix)とし、その平均酸価が上述した酸価範囲内にあれば良い。
 本実施形態における主剤樹脂において、ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン-マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。上記の多価カルボン酸成分の中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を、ポリエステル樹脂を構成する成分として好適に用いることできる。
 ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、特に限定はなく、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、4-メチル-1,8-オクタンジオール、4-プロピル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、などの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコール類、水添加ビスフェノール類、などの脂環族ポリアルコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、などの3価以上のポリアルコール等から1種、または2種以上の組合せで使用することができる。本実施形態においては、上記の多価アルコール成分の中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-プロパンジオールを、ポリエステル樹脂を構成する成分として好適に用いることできる。
 ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)はこれに限定されるものではないが、製缶加工性の観点から、好ましくは1,000~100,000、特に好ましくは3,000~50,000、更に好ましくは5,000~20,000の範囲であるにあることが好適である。上記範囲よりも小さいと塗膜が脆くなり、製缶加工性に劣る場合があり、上記範囲よりも大きいと塗料安定性が低下するおそれがある。
 またポリエステル樹脂としては、製缶加工性や塗料化の観点から非結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここで非結晶性とは、示査走査型熱量計による測定において、明確な結晶成分の融点を示さないことを意味する。非結晶性ポリエステル樹脂の場合、結晶性のポリエステル樹脂に比して、溶剤への溶解性に優れ、塗料化が容易であると共に、製缶加工性に優れた塗膜を形成できる。
 ポリエステル樹脂の水酸基価については、これに限定されるものではないが、20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下であることが好ましい。
<硬化剤>
 次に、本実施形態において、主剤であるポリエステル樹脂の硬化剤として用いられるアミノ樹脂について説明する。
 アミノ樹脂とは、アミノ化合物にホルムアルデヒドやアルコールを付加縮合させたものの総称であり、具体的にはメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド、などのアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を炭素原子数1~6のアルコール等によってアルキルエーテル化したものも上記アミノ樹脂に含まれる。
 本実施形態において、主剤であるポリエステル樹脂の硬化剤としてアミノ樹脂を用いる理由は以下の通りである。例えば、同じくポリエステル樹脂の硬化剤として代表的なレゾール型フェノール樹脂を用いた場合、形成される塗膜の色調が、フェノール樹脂特有の黄色味を帯びる。それに対し、硬化剤としてアミノ樹脂を用いた場合は無色透明な塗膜を形成できるため、特に缶外面側の塗膜を形成するのに好適であるため、本実施形態においては硬化剤としてアミノ樹脂を用いる。
 本実施形態においては、上記アミノ樹脂として、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂を用いることが特徴である。
 このうち、メラミン樹脂としては、下記構造式(I)のメラミンとホルムアルデヒドを縮合させることにより得られたメチロール化メラミン樹脂やこのメチロール化メラミン樹脂のメチロール基の一部又は全部をメタノール、エタノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコールでエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂が使用され、特に主剤との反応性の観点から、アルキルエーテル化メラミン樹脂が好適に使用される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 具体的なメラミン樹脂としてはメチロール化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、エチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテルとエチルエーテルの混合エーテル化メラミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化メラミン樹脂、等のメラミン樹脂が挙げられる。本実施形態においては、上記メラミン樹脂の中でも、主剤との反応性の観点から、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、中でもメチルエーテル化メラミン樹脂がより好ましく、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基の全部をメタノールでエーテル化したフルエーテルタイプのメチルエーテル化メラミン樹脂が更に好ましい。メラミン樹脂の平均重合度は1.0~5.0、好ましくは1.0~3.0の範囲にあることが好適であり、上記メラミン樹脂から1種のみ、又は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
 一方でベンゾグアナミン樹脂としては、下記構造式(II)のベンゾグアナミンとホルムアルデヒドを縮合させることにより得られたメチロール化ベンゾグアナミン樹脂やこのメチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の一部又は全部をメタノール、エタノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコールでエーテル化したアルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が使用され、特にアルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好適に使用される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 具体的なベンゾグアナミン樹脂としてはメチロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、エチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテルとエチルエーテルの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。本実施形態においては、上記ベンゾグアナミン樹脂の中でも、主剤との反応性の観点から、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好ましく、特に、官能基としてイミノ基及びメチロール基を含有するタイプのメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好適に使用される。本実施形態に使用するベンゾグアナミン樹脂の平均重合度は1.0~5.0、好ましくは1.0~3.0の範囲にあることが好適である。上記ベンゾグアナミン樹脂からを1種のみ、又は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
 上述のメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂が有する官能基としては、イミノ基(>NH)、N-メチロール基(>NCHOH)、N-アルコキシメチル基(アルキルエーテル基)(>NCHOR;Rはアルキル基)が挙げられ、これらの官能基は、主剤であるポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基(-COOH)や水酸基(-OH)との架橋反応、或いはアミノ樹脂同士での自己縮合反応における反応点として作用する(なお、イミノ基については自己縮合反応のみに寄与する)。なお、上述の反応点(官能基)の数に関して、メラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の単量体で比較すると、分子構造上、メラミン樹脂の方が多くなる傾向にある。
 本実施形態においては、主剤であるポリエステル樹脂の硬化剤として、上記のメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂を併用し、それらを所定の比率及び量で使用することによって、絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性、及び内容物充填後のレトルト処理時における耐レトルト白化性の各々の性能を同時に兼ね備えた絞りしごき缶を実現できる。これについて以下の通りに説明する。
 まず、熱処理時における塗膜剥離のメカニズムは以下のように考えている。本実施形態における塗装金属板を絞りしごき加工して得られる絞りしごき缶においては、架橋構造を有する塗膜が絞りしごき加工により引き延ばされるため、特に加工度合いの大きい缶胴中央部付近の塗膜には、成形後に大きな残留応力が存在する。そして、その後の熱処理工程において、当該残留応力が緩和されるに伴い、塗膜には収縮応力が働くことになる。塗膜が緻密な架橋構造を有している、すなわち架橋密度が高い場合は、その応力は相対的に高くなるため、熱処理により塗膜が金属基材から剥離しやすくなると考えられる。一方で塗膜の架橋密度が低い場合には、絞りしごき加工により塗膜中に残留する応力も相対的に小さくなるため、熱処理による塗膜剥離を抑制できると考えられるため、塗膜剥離耐性の観点からは、塗膜の架橋密度が低い方が好ましい。硬化剤であるメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂を比較した場合、ベンゾグアナミン樹脂の方がポリエステル樹脂との架橋反応、及びアミノ樹脂同士での自己縮合反応における反応点の数が少なくなる傾向にあり、架橋密度の低い塗膜を形成しやすいと考えられる。従って、塗膜剥離耐性を確保する上では、硬化剤としてベンゾグアナミン樹脂を用いることが好適と言える。
 次に、耐レトルト白化性について説明する。本実施形態における絞りしごき缶が高温・高湿度条件下での高圧加熱殺菌であるレトルト処理に賦されると、特に缶外面側の塗膜が吸水等により白化するおそれがあるが、塗膜が緻密な架橋構造を有している、すなわち架橋密度が高い場合は、塗膜中への水分の侵入を抑制できるため、優れた耐レトルト白化性を発現することができる。従って、耐レトルト白化性の観点からは、塗膜の架橋密度が高い方が好ましい。硬化剤であるメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂を比較した場合、メラミン樹脂の方がポリエステル樹脂との架橋反応、及びアミノ樹脂同士での自己縮合反応における反応点の数が多くなる傾向にあり、架橋密度の高い塗膜を形成しやすいと考えられる。従って、耐レトルト白化性を確保する上では、硬化剤としてメラミン樹脂を用いることが好適と言える。
 上記知見に基づいて鋭意検討した結果、本発明者らは、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂を併用することで、塗膜中にメラミン樹脂由来の架橋密度の高いドメインとベンゾアナミン樹脂由来の架橋密度の低いドメインを併せ持つ塗膜構造にし、かつ塗膜全体の硬化度合いを調整することで上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本実施形態の絞りしごき缶の塗膜における硬化剤として使用されるメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の含有量比(質量比)を95:5~5:95とし、かつ主剤であるポリエステル樹脂100質量部に対する前記メラミン樹脂及び前記ベンゾグアナミン樹脂を含むアミノ樹脂の合計含有量が10質量部未満とすることで熱処理剥離耐性と耐レトルト白化性の両方の性能を両立し得ること見出し、本発明に至ったのである。
 本実施形態において、上記塗料組成物及び塗膜における前記メラミン樹脂及び前記ベンゾグアナミン樹脂の含有量比(質量比)は95:5~5:95、好ましくは90:10~10:90、より好ましくは90:10~21:79、更に好ましくは80:20~21:79、特に好ましくは75:25~25:75、最も好ましくは70:30~30:70とすることが望ましい。上記範囲よりもメラミン樹脂の含有量比が多くなると、塗膜中においてメラミン樹脂由来の架橋密度の高い構造が多くなることで、熱処理による塗膜剥離が起きやすくなり、一方で上記範囲よりもベンゾグアナミン樹脂の含有量比が多くなると、ベンゾグアナミン樹脂由来の架橋密度の低い構造が多くなることで、耐レトルト白化性が不十分となる。
 なお、前記条件を満足する限り、硬化剤としてメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂以外のアミノ樹脂、例えばメチルエーテル化尿素樹脂、ブチルエーテル化尿素樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化尿素樹脂などの尿素樹脂等も、性能を損なわない範囲で配合することが可能であるが、その場合には、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の混合物が塗膜中のアミノ樹脂の主成分となっていれば良い。ここでアミノ樹脂の「主成分」とは、アミノ樹脂中において最も含有量(質量割合)が多い成分と定義する。その場合においては、塗膜中の全アミノ樹脂量に対して、メラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂以外のアミノ樹脂の含有量は50wt%未満、好ましくは40質量%未満、より好ましくは20質量%未満、更に好ましくは10質量%未満であることが好ましく、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の合計含有量は塗膜中の全アミノ樹脂量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%、更に好ましくは90質量%以上であることが好ましい。
 本実施形態において、上記塗料組成物及び塗膜における硬化剤であるメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂の含有量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、10質量部未満、好ましくは1~9.9質量部、より好ましくは2~9質量部、更に好ましくは2.5~8質量部、特に好ましくは3~7質量部が望ましい。硬化剤であるメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の混合物の含有量が10質量部以上である場合には過度に硬化が進むことで、成形後の残留応力が大きくなり、本発明の課題である絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性が低下するおそれがある。一方で、硬化剤としてのアミノ樹脂の含有量の下限としては主剤樹脂であるポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましい。上記よりも硬化剤の含有量が少ない場合には、硬化性が不十分となり、絞りしごき缶を成形した場合において、塗膜の耐熱性や耐レトルト白化性が不足する可能性があるため好ましくない。
 なお、硬化剤としてメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂以外のアミノ樹脂を含む場合においても、全アミノ樹脂の含有量の範囲としては、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂の混合物を含めて、10質量部未満、好ましくは1~9.9質量部、より好ましくは2~9質量部、更に好ましくは2.5~8質量部、特に好ましくは3~7質量部が望ましい。
<硬化触媒>
 本実施形態の塗料組成物には主剤樹脂と硬化剤との架橋反応を促進する目的で従来公知の硬化触媒を配合することが好ましい。硬化触媒としては、塗料組成物に使用される公知の硬化触媒を用いることができる。具体的には、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、樟脳スルホン酸、リン酸、アルキルリン酸等の酸触媒、及びこれら酸触媒のアミン中和物が挙げられ、これらの中から1種、又は2種以上を併用することができる。硬化触媒としては、上記酸触媒の中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びこの中和物が好ましい。
 本実施形態の絞りしごき缶において、塗料組成物中及び塗膜中における硬化触媒の含有量は、主剤であるポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、固形分として0.01~5.0質量部、好ましくは0.02~1.0質量部、より好ましくは0.03~0.5質量部、更に好ましくは0.03質量部以上0.3質量部未満の範囲であることが望ましい。また、硬化触媒として上記酸触媒のアミン中和物(例えばドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和物)を用いる場合には、アミンを除いた硬化触媒の含有量が上記範囲内であれば良い。
 上記範囲よりも硬化触媒の含有量が少ない場合には、硬化反応を促進する効果が十分得られず、硬化性が不足し、塗膜の耐レトルト白化性が不足するおそれがある一方、上記範囲よりも硬化触媒の含有量が多い場合には、それ以上の効果は望めず、また硬化触媒として上記酸触媒を用いた場合は、親水性の酸触媒の含有量が多くなることで塗膜の耐水性が低下し、結果として耐レトルト白化性が劣化するおそれがある。
 本実施形態の絞りしごき缶に用いられる塗料組成物は少なくとも、主剤として上述した特定のポリエステル樹脂、硬化剤として上述のメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂、溶媒を含有し、好ましくは上述の硬化触媒(酸触媒)を更に含有する。なお、本実施形態においては、塗料組成物中の塗膜を形成する固形成分(水や有機溶剤などの揮発する物質を除いた不揮発成分)の中で、最も含有量(質量割合)が多い成分を、主剤として定義する。
 塗料組成物の種類としては、溶剤型塗料組成物と、水性塗料組成物とが挙げられるが、本実施形態においては塗装性等の観点から溶剤型塗料組成物が好ましい。
<溶媒>
 本実施形態の塗料組成物の種類としては、溶剤型塗料組成物と、水性塗料組成物とが挙げられるが、本実施形態においては塗装性等の観点から溶剤型塗料組成物が好ましい。本実施形態の塗料組成物が溶剤型塗料組成物である場合、上述したポリエステル樹脂、硬化剤、並びに溶媒として有機溶媒を含有する。なお、本実施形態における溶剤型塗料組成物とは主剤樹脂、硬化剤等を公知の有機溶媒に溶解された状態で塗料化されたものであって、塗料組成物中における有機溶媒の占める質量割合が40質量%以上である塗料組成物と定義する。
 前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン、芳香族系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ソルベントナフサ等から溶解性、蒸発速度等を考慮して1種、または2種以上を選択し使用される。
<添加剤>
 本実施形態の塗料組成物に対しては、さらに本発明の目的を損なわない範囲において、公知の添加剤を含んでいてもよい。例えば、潤滑材、顔料、レベリング剤、消泡剤等を含んでいてもよい。本実施形態の塗料組成物に加えることのできる潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ワックス、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、ラノリン、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、およびシリコン系化合物、ワセリンなどを挙げることができる。これらの潤滑剤は一種、または二種以上を混合し使用できる。
<塗装金属板>
 次に、本実施形態の絞りしごき缶に使用される塗装金属板について説明する。本実施形態の塗装金属板は、金属基材の少なくとも片面に上述した塗料組成物から成る塗膜を有し、前記塗膜が主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂と、を含有し、前記アミノ樹脂が、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂を95:5~5:95の質量比で含有してなり、前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の含有量が10質量部未満であることを特徴とする。前記塗膜は、上述した塗料組成物を金属基材上に塗布した後、加熱等により焼付けることにより形成することができる。また、金属基材の金属表面上に本発明の塗料組成物から成る塗膜が形成されていること(金属基材に直接接するように塗膜が形成されていること)が好ましい。
 本実施形態の塗料組成物から成る塗膜は特に耐レトルト白化性に優れているため、本実施形態の塗装金属板は、少なくとも金属基材の成形後に缶外面となる面に、本実施形態の塗料組成物から成る塗膜が形成されていることが好ましい。缶外面となる面に上述の塗膜を有する塗装金属板を用いて絞りしごき缶を成形することで、缶外面側の底部から胴部にかけて連続した前記塗膜で全体を被覆することか可能となり、耐レトルト白化性に優れた絞りしごき缶を得ることができる。一般に絞りしごき缶の底部は、中央部に位置するボトム部と、このボトム部周縁から降下した接地部(リム)と、この接地部から外方かつ上方に傾斜して延びて胴部下端に連なるチャイム部とから成っている場合が多いが、従来の未塗装の金属板から液体クーラントを用いて成形される絞りしごき缶においては、缶体の成形直後に缶体の搬送性を向上するための塗料を外面側の接地部に塗装する必要があり、更に耐レトルト白化性等を考慮しチャイム部及びボトム部も塗装する場合には、内面塗装及び外面胴部の印刷塗装を行った後、外面側のチャイム部及びボトム部をそれぞれ接地部とは異なる塗装方法・装置で異なる塗料組成物を用いて塗装する必要があることから、工程数が多く、生産性や経済性の面で問題となる場合があった。一方で、本実施形態のように、缶外面となる面に塗膜を有する塗装金属板を用いて絞りしごき缶を成形する場合には、缶外面側の底部から胴部にかけて全体を同一の塗膜で連続的に被覆することができるため、成形後の外面側の胴部はもちろん、缶底部を構成するチャイム部、接地部、ボトム部のそれぞれについて、異なる塗装方法・装置で異なる塗料組成物を用いて塗装する必要がなく、生産性及び経済性に優れる。
 本実施形態の塗装金属板としては、両面に塗膜を有する両面塗装金属板であることが、生産性や経済性の面でより好ましい。両面塗装金属板としては、両面ともに本実施形態の塗料組成物から成る塗膜が形成された両面塗装金属板を用いることができるが、片面(好ましくは成形後に缶外面となる面)は本実施形態の塗料組成物から成る塗膜が形成され、もう一方の面(好ましくは成形後に缶内面となる面)はその他の塗料組成物(例えば、主剤としてポリエステル樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂を含有する塗料組成物など)から成る塗膜が形成された両面塗装金属板であっても良い。
 本実施形態の塗装金属板の金属基材として好適に用いられる金属板としては、例えば、熱延伸鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、合金メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、ティンフリースチール、ニッケルメッキ鋼板、極薄スズメッキ鋼板、クロム処理鋼板などが挙げられ、特にアルミニウム板及びアルミニウム合金板が好適である。必要に応じてこれらにリン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理等の表面処理を行ったものを使用してもよい。
 金属板の素板厚は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.10~0.50mmの厚みを有するのがよい。この内、表面処理鋼板の場合には、得られる絞りしごき缶の強度、成形性の観点から、0.10~0.30mmの厚みが好ましく、またアルミニウム板及びアルミニウム合金板の場合には0.15~0.40mmの厚みを有するのがよい。
 本実施形態の絞りしごき缶に適用される塗装金属板において、塗膜の形成方法としては、上述した塗料組成物を、ロールコーター塗装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって上述の金属板に塗装することができる。また塗装後、コイルオーブン等の加熱手段によって焼き付けることにより塗膜を得ることができる。
 塗料組成物の焼き付け条件は、ポリエステル樹脂、硬化剤、金属基材の種類、塗工量等によって適宜調節されるが、上述した塗料組成物は、充分な硬化性を得るために、焼付け温度が150℃~350℃、好ましくは200℃より高く320℃以下の温度で、5秒以上、好ましくは5秒~30分間、特に好ましくは5秒~180秒間の条件で加熱硬化させる。
 塗装金属板の塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で0.2~20μm、好ましくは1~12μm、より好ましくは1~10μm、更に好ましくは2μmより大きく7μm以下の範囲にあることが好適である。また乾燥塗膜重量としては、3~300mg/dm、好ましくは15~150mg/dm、より好ましくは15~120mg/dm、更に好ましくは25mg/dmより大きく90mg/dm未満の範囲であることが好適である。上記範囲よりも薄膜の場合は、成形時に金属露出が発生しやすくなり、製缶加工性に劣るようになる。一方上記範囲よりも厚膜の場合は、加工時に生じる残留応力が大きくなるため、絞りしごき成形後の熱処理時に塗膜剥離が生じやすくなる。
<絞りしごき缶>
 本実施形態の絞りしごき缶は、上述の塗装金属板から成り、少なくとも金属基材の片面に塗膜を有する絞りしごき缶であって、前記塗膜が主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物を主成分としたアミノ樹脂と、を含有し、前記アミノ樹脂が、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂を95:5~5:95の質量比で含有してなり、前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の含有量が10質量部未満であることを特徴とする。好ましくは前記絞りしごき缶が、底部及び胴部を有し、缶外面側及び/又は缶内面側の前記底部及び前記胴部が、前記塗膜で連続的に被覆されていることが望ましい。
 また本実施形態の塗料組成物から形成される塗膜は特に耐レトルト白化性に優れているため、上述したように前記絞りしごき缶の缶外面側の底部及び胴部が、前記塗膜で連続して被覆されていることがより好ましい。
 なお、本実施形態の塗装金属板は、成形性や潤滑性に優れるものであるから、液体のクーラントを用いる場合はもちろん、液体クーラントを用いず、ドライ条件下で成形を行った場合でも、絞りしごき缶を成形することができる。
 本実施形態の絞りしごき缶は、具体的には以下のような製造方法により成形することが可能である。
 まず絞りしごき成形に先立って、塗装金属板の表面にはワックス系潤滑剤、例えば、パラフィン系ワックス、白色ワセリン、パーム油、各種天然ワックス、ポリエチレンワックス等を塗布することが好ましく、これによりドライ条件下で効率よく絞りしごき加工を行うことができる。
 ワックス系潤滑剤が塗布された塗装金属板を、カッピング・プレスで、ブランクを打抜き、絞り加工法により、絞りカップを成形する。本実施形態においては、下記式(2)で定義される絞り比RDが、トータル(絞りしごき缶まで)で1.1~2.6の範囲、特に1.4~2.6の範囲にあることが望ましい。上記範囲よりも絞り比が大きいと、絞りしわが大きくなり、塗膜に亀裂が発生して金属露出を発生するおそれがある。
  RD=D/d・・・(2)
 式中、Dはブランク径、dは缶胴径を表す。
 次いで、前記絞りカップを、再絞り-一段又は数段階のしごき加工を行う。
 本実施形態においては、下記式(3)で表されるしごき率Rが、25~80%、特に40~80%、より好ましくは50~75%、更に好ましくは55~70%の範囲にあることが望ましい。上記範囲よりもしごき率が低いと、缶胴側壁部が十分に薄肉化できず、経済性の点で十分満足するものではなく、一方上記範囲よりもしごき率が高い場合には、金属露出のおそれがある。
  R(%)=(tb-tw)/tb×100・・・(3)
 式中、tbは元の塗装金属板の厚み、twは絞りしごき缶の缶胴側壁中央部の厚みを表す。
 得られた絞りしごき缶を、常法に従って底部のドーミング成形及び開口端縁のトリミング加工を行う。
 また本実施形態の絞りしごき缶においては、缶胴中央部(高さ方向の中央部、最も薄肉化されている部分)の厚みが、缶底中央部の厚みの20~75%、好ましくは20~60%、より好ましくは25~50%、更に好ましくは30~45%の厚みであることが好適である。絞りしごき缶の金属基材の厚みも同様に、缶胴中央部の金属基材の厚みが、缶底中央部の金属基材の厚みの20~75%、好ましくは20~60%、より好ましくは25~50%、更に好ましくは30~45%の厚みであることが好適である。また、塗装金属板から絞りしごき加工により絞りしごき缶を成形した場合には、缶胴部に位置する塗膜の厚みは、加工により金属基材と同じように薄くなる。従って、缶胴中央部の塗膜の厚みは、製缶時にほとんど薄肉化されない缶底中央部の塗膜の厚みの20~75%、好ましくは20~60%、より好ましくは25~50%、更に好ましくは30~45%の厚みとなることが好適である。
 缶底中央部の金属基材の厚みとしては、0.10~0.50mm、好ましくは0.15~0.40mm、より好ましくは0.15~0.30mmの厚みが好適である。
 缶底中央部の塗膜の膜厚としては、乾燥膜厚で0.2~20μm、好ましくは1~12μm、より好ましくは1~10μm、更に好ましくは2μmより大きく7μm以下の範囲にあることが好適である。また乾燥塗膜重量としては、3~300mg/dm、好ましくは15~150mg/dm、より好ましくは15~120mg/dm、更に好ましくは25mg/dmより大きく90mg/dm未満の範囲であることが好適である。
 缶胴中央部の塗膜の膜厚としては乾燥膜厚で0.1~10μm、好ましくは0.3~6μm、より好ましくは0.3~5μm、更に好ましくは0.6μmより大きく3.5μm以下の範囲にあることが好適である。乾燥塗膜重量としては、1~150mg/dm、好ましくは4~75mg/dm、より好ましくは4~60mg/dm、更に好ましくは8mg/dmより大きく45mg/dm未満の範囲あることが好適である。
 また上述したように上述の塗膜を有する塗装金属板から絞りしごき加工により絞りしごき缶を成形した場合には、缶胴部に位置する前記塗膜の厚みは、加工により、缶胴部に位置する金属基材と同じように薄くなる。従って、本実施形態の絞りしごき缶においては、缶胴部における前記塗膜と金属基材の厚み比と、缶底部における前記塗膜と金属基材の厚み比は、ほぼ同じとなる。すなわち、本実施形態の絞りしごき缶においては、前記塗膜と金属基材の厚み比(= 前記塗膜の厚み/金属基材の厚み)が、缶底部及び缶胴部で実質的にほぼ同じとなるのが特徴である。なおここでの「ほぼ同じ」とは、製造誤差がその範囲内に含まれるものを意味するものとし、例えば缶胴部の(前記塗膜の厚み/金属基材の厚み)が、缶底部の(前記塗膜の厚み/金属基材の厚み)の0.9~1.1倍の範囲内であることを意味する。
 本実施形態によれば、上述した塗装金属板を、絞りしごき加工した後、得られた絞りしごき缶を熱処理工程に付する。加工後の絞りしごき缶に、少なくとも一段の熱処理を施すことにより、加工により生じた塗膜の残留応力を除去することができる。塗膜の当該残留応力が除去されることにより、加工後の塗膜と金属基材間の密着性を向上させることが可能となる。熱処理の条件としては100~300℃、好ましくは150~250℃の温度範囲で10~600秒間、好ましくは、20~180秒間で加熱することが好ましい。
 前述した通り、本実施形態の塗装金属板及び絞りしごき缶は塗膜剥離耐性に優れるため、熱処理工程で加熱された場合でも、熱処理時の塗膜剥離を抑制することができる。
 絞りしごき缶の塗膜の残留応力が熱処理によって除去できていない場合、加工度の大きい缶胴中央部(高さ方向における中央部)の塗膜を金属基材から単離し加熱すると残留応力を解放する方向(主に缶の高さ方向)に寸法が変化することから、加熱による単離塗膜の寸法変化量(収縮量)を測定することにより、どの程度残留応力を除去できているかの目安とすることができる。熱処理後の絞りしごき缶から単離した缶胴中央部の塗膜における下記式(4)で表される熱収縮率(荷重あり)が50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下であることが望ましい。また、下記式(5)で表される熱収縮率(荷重なし)が50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは38%以下であることが望ましい。なお、上記範囲よりも熱収縮率が大きい場合、残留応力が十分に除去できておらず、塗膜の密着性の不足により、缶が衝撃を受け凹むなどした際に塗膜が剥離するおそれや耐食性が低下するおそれがある。なお、単離した塗膜の加熱による寸法変化量(収縮量)は、熱機械分折装置(TMA)等により測定することができる。
 熱収縮率(荷重あり)=(ΔL/L) ×100 (%)・・・(4)
 式中、Lは缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ(測定部)、ΔLは単位面積当たり1.00×10N/mの荷重をかけながら昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮量(収縮長さの最大値)である。
 熱収縮率(荷重なし)=(ΔL/L) ×100 (%)・・・(5)
 式中、Lは缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ、ΔLは無荷重状態で昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮量(収縮長さの最大値)である。
 熱処理後は急冷或いは放冷した後、更に必要に応じて従来公知の方法により、印刷工程により缶胴部に印刷層が形成され、印刷層の上に印刷層を保護するための仕上げニス層が形成される。所望により、一段或いは多段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻締用の缶とする。また、絞りしごき缶を成形した後、その上部を変形させてボトル形状にすることもできる。また底部を切り取って、他の缶端を取り付けてボトル形状とすることもできる。
 本発明の絞りしごき缶の容量としては、150mL以上、好ましくは150~1000mL、より好ましくは180~600mLが好適である。
 以下、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において単に部とあるものは質量部を示す。
(実施例1)
[塗料組成物の調整]
 主剤樹脂としてポリエステル樹脂(A)-(a)(非結晶性ポリエステル樹脂、酸価:2mgKOH/g、Tg:80℃、Mn=18,000、モノマー組成:テレフタル酸成分/イソフタル酸/エチレングリコール成分/プロピレングリコール成分=38/12/17/33mol%)、硬化剤としては、メラミン樹脂(B)-(a)(メチルエーテル化メラミン樹脂、フルエーテルタイプ、重量平均重合度1.3、三和ケミカル社製)、及びベンゾグアナミン樹脂(C)-(a)(メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、イミノ基・メチロール基含有部分エーテル化タイプ、重量平均重合度1.5、三和ケミカル社製)、硬化触媒(酸触媒)としてドデシルベンゼンスルホン酸を用いた。酸触媒としては東京化成工業株式会社製「ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(混合物)」を用いた。
 ポリエステル樹脂(A)-(a)をメチルエチルケトン/ソルベントナフサ=50/50(質量比)の混合溶剤に溶解させ、固形分30質量%のポリエステル樹脂(A)-(a)溶液を得た。メラミン樹脂(B)-(a)及びベンゾグアナミン樹脂(C)-(a)をメチルエチルケトンに溶解させ、固形分30質量%のメラミン樹脂(B)-(a)溶液及びベンゾグアナミン樹脂(C)-(a)溶液を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸を2―ジメチルアミノエタノールでアミン中和した後、イソプロパノールに溶解させ、固形分30質量%のドデシルベンゼンスルホン酸溶液を得た。
 次に、ポリエステル樹脂(A)-(a)溶液333部(固形分100部)、メラミン樹脂(B)-(a)溶液10部(固形分3部)、ベンゾグアナミン樹脂(C)-(a)溶液10部(固形分3部)、酸触媒溶液0.33部(固形分0.10部)を用いて塗料組成物[固形分濃度:約30質量%、固形分配合比:ポリエステル樹脂(A)-(a)/メラミン樹脂(B)-(a)/ベンゾグアナミン樹脂(C)-(a)/酸触媒(ドデシルベンゼンスルホン酸) = 100/3/3/0.1(質量比)]を調整した。
 ポリエステル樹脂の下記測定項目は以下の方法に従った。
(1)ポリエステル樹脂の数平均分子量の測定
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した。
(2)ガラス転移温度の測定
 示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定した。
(3)モノマー組成の測定
 ポリエステル樹脂の固形物30mgを重クロロホルム0.6mLに溶解させ、H-NMR測定し、ピーク強度からモノマー組成比を求めた。なおごく微量な成分(全モノマー成分に対して1モル%未満)は除き、組成比を決定した。
(4)塗装金属板の作製
 上記で得られた塗料組成物を用いて塗装金属板を作製した。なお、塗装金属板の内面側、外面側の塗膜は、同一の塗料組成物を用いて形成した。金属板としてリン酸クロメート系表面処理アルミニウム板(3104合金、板厚:0.27mm、表面処理皮膜中のクロム重量:20mg/m)を用い、まず、成形後に外面側となる面に、乾燥・焼付け後の塗膜重量が40mg/dm(乾燥膜厚:約3μm)になるように、塗料組成物をバーコーターにて塗装し120℃で60秒間乾燥を行った。その後、反対側の内面側となる面に、乾燥・焼付け後の塗膜重量が40mg/dm(乾燥膜厚:約3μm)となるよう塗料組成物をバーコーターにて塗装し、250℃(オーブンの炉内温度)で30秒間焼付けを行うことにより作製した。
(5)絞りしごき缶の作製
 上記の方法で作成した塗装金属板の両面に、パラフィンワックスを塗油した後、直径142mmの円形に打ち抜き、浅絞りカップを作成した。次いで、この浅絞りカップに対し、ドライ条件下で再絞り加工、しごき加工(3段)、ドーミング加工を行い、絞りしごき缶[缶径:66mm、高さ:約130mm、トータル絞り比:2.15、しごき率:61%、缶胴中央部厚み/缶底中央部厚み × 100 = 40%、缶胴中央部の外面塗膜厚み/缶底中央部の外面塗膜厚み × 100 = 40%、缶底中央部の外面塗膜重量(膜厚):約40mg/dm(約3μm)、缶胴中央部の外面塗膜重量(膜厚):約16mg/dm(約1.2μm)、缶底中央部の外面塗膜厚み/缶底中央部の金属基材の厚み = 約0.011、缶胴中央部の外面塗膜厚み/缶胴中央部の金属基材の厚み = 約0.012]を得た。
 以上のようにして得られた絞りしごき缶の評価は、以下の方法により行った。
(6)耐レトルト白化性評価-1(塗装金属板)
 上記の方法で得られた塗装金属板から2.5cm×10cmサイズの試験片を切り出した。試験片を立ててガラスビーカーに入れ、これに水道水を試験片の半分の高さになるまで注ぎ、これをレトルト釜(オートクレーブ)の中に設置し、125℃×30分のレトルト処理を行なった。上記レトルト処理後にレトルト釜の中の試験片を取り出し、室温で放置して冷却した後に、塗装金属板の主に蒸気接触部分の塗膜におけるレトルト白化の発生有無を目視で評価した。
  ◎:レトルト白化の発生が認められない。
  ○:レトルト白化の発生が僅かに認められる。
  △:レトルト白化の発生が部分的に認められる。
  ×:レトルト白化の発生が顕著に認められる。
(7)耐レトルト白化性評価-2(絞りしごき缶)
 上記で得られた絞りしごき缶にオーブンを用いて201℃75秒間で熱処理を施した。得られた絞りしごき缶をレトルト釜の中に配置し、スチームにより125℃で30分間のレトルト処理を施した。上記レトルト処理後にレトルト釜の中の絞りしごき缶を取り出し、室温で放置して冷却した後に、缶胴及び缶底部の外面塗膜でレトルト白化の発生有無を目視で評価した。
評価基準は以下の通りである。
  ◎:レトルト白化の発生が認められない。
  ○:レトルト白化の発生が僅かに認められる。
  △:レトルト白化の発生が部分的に認められる。
  ×:レトルト白化の発生が顕著に認められる。
(8)塗膜剥離耐性評価
 上記で得られた絞りしごき缶において、オーブンを用いて201℃で75秒間の熱処理を施し、熱処理後の外面塗膜の剥離度合いを評価した。
  評価基準は以下の通りである。
  ◎:塗膜剥離が認められない。
  ○:缶胴側壁の最も加工が厳しく薄肉化されている部位でごく僅かに塗膜剥離が認められる。
  △:缶胴側壁の最も加工が厳しく薄肉化されている部位で部分的に塗膜剥離が認められる。
  ×:缶胴側壁の最も加工が厳しく薄肉化されている部位の広範囲で塗膜剥離が認められる。
(9)熱収縮率評価
 上記の方法で得られた絞りしごき缶(熱処理なし)と成形後にオーブンを用いて熱処理を施した絞りしごき缶(熱処理あり)の缶胴中央部の塗膜について、熱収縮率を評価した。
 上記で得られた実施例1の絞りしごき缶を用いて、金属基材圧延目に対して0°方向の缶胴中央部(最も薄肉化されている部位)を中心として缶胴円周方向10mm缶高さ方向20mmのサンプルを切り出した。缶内面側の塗膜をサンドペーパーで削ることで除去し、金属面を露出させた後、希釈した塩酸水溶液中に浸漬して金属基材を溶解させた。次いで、フィルム状の缶外面側の塗膜を取り出し、十分に蒸留水で洗浄して乾燥させ、得られたフィルム状塗膜を4mm幅(缶胴円周方向)で20mm長さ(缶高さ方向)に切り出すことで測定用サンプル(熱処理なし)を得た。一方、上記で得られた実施例1の絞りしごき缶において、オーブンを用いて201℃で75秒間の熱処理を施した後、上記と同様の方法で測定用サンプル(熱処理あり)を得た。
 測定用サンプルを熱機械分析装置にチャッキングし、チャック間距離(塗膜の高さ方向における測定部初期長さに該当)が5mmとなるようにした。下記条件で測定サンプルの変位量を測定し、荷重あり及び無荷重状態での缶高さ方向における熱収縮率を評価した。
  装置:セイコーインスツルメンツ株式会社製 TMA/SS6100
  昇温速度:5℃/分
  温度範囲:30~200℃
  測定モード:引っ張りモード
  測定時荷重:5mN(1.00 × 10N/m) 又は無荷重 
  チャック間距離:5mm
 測定前のチャック間距離(塗膜の測定部初期長さに該当)をL、単位面積当たり1.00×10N/mの荷重をかけながら昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の高さ方向における収縮量の最大値(最大収縮長さ)をΔLをとし、下記式(4)に示す数式で計算される値を熱収縮率(荷重あり)とした。なお、変位量は収縮を正、膨張若しくは伸長を負の値とした。結果を下記に示す。
  熱収縮率(荷重あり)=(ΔL/L) ×100 (%)・・・(4)
  測定用サンプル(熱処理なし)の熱収縮率(荷重あり):67%
  測定用サンプル(熱処理あり)の熱収縮率(荷重あり):15%
 また、測定前のチャック間距離(塗膜の測定部初期長さに該当)をL、無荷重状態で昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の高さ方向における収縮量の最大値(最大収縮長さ)をΔLとし、下記式(5)に示す数式で計算される値を熱収縮率(荷重なし)とした。なお、変位量は収縮を正、膨張若しくは伸長を負の値とした。結果を下記に示す。
  熱収縮率(荷重なし)=(ΔL/L) ×100 (%)・・・(5)
  測定用サンプル(熱処理なし)の熱収縮率(荷重なし):70%
  測定用サンプル(熱処理あり)の熱収縮率(荷重なし):36%
(実施例2~16、比較例1~4)
 ポリエステル樹脂の種類、及び固形分配合比、硬化剤としてメラミン樹脂(B)とベンゾグアナミン樹脂(C)の種類、及び固形分配合比を変えて塗料組成物を調製した以外は、実施例1と同様に行い、評価を行った。結果を表1に示す。なお、ポリエステル樹脂として、前述のポリエステル樹脂の他に、ポリエステル樹脂(A)-(b)(酸価:11mgKOH/g、Tg:-25℃、Mn=17,000、モノマー組成:テレフタル酸成分/イソフタル酸成分/セバシン酸成分/1,4-ブタンジオール成分=14/17/19/50mol%)、ポリエステル樹脂(A)-(c)(非結晶性ポリエステル樹脂、酸価:2mgKOH/g、Tg:85℃、Mn=18,000、モノマー組成:テレフタル酸成分/エチレングリコール成分/プロピレングリコール成分=50/14/36mol%)、ポリエステル樹脂(A)-(d)(非結晶性ポリエステル樹脂、酸価:1mgKOH/g、Tg:65℃、Mn=16,000)、ポリエステル樹脂(A)-(e)(非結晶性ポリエステル樹脂、酸価:3mgKOH/g、Tg:54℃、Mn=17,000、モノマー組成:テレフタル酸成分/セバシン酸成分/トリメリット酸成分/エチレングリコール成分/プロピレングリコール成分/ネオペンチルグリコール成分/1,4-ブタンジオール成分=43/6/1/11/39mol%)を用いた。またメラミン樹脂(B)として、メラミン樹脂(B)-(b)(メチル/n-ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、フルエーテルタイプ、重量平均重合度1.5、三和ケミカル社製)、メラミン樹脂(B)-(c)(メチルエーテル化メラミン樹脂、フルエーテルタイプ)、ベンゾグアナミン樹脂(C)として、ベンゾグアナミン樹脂(C)-(b)(メチル/n-ブチル混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、フルエーテルタイプ、重量平均重合度1.2、三和ケミカル社製)、ベンゾグアナミン樹脂(C)-(c)(n-ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂)、ベンゾグアナミン樹脂(C)-(d)(メチル/エチル混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂)を用いた。
を用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 本発明の絞りしごき缶は、絞りしごき缶成形後における熱処理に対する塗膜剥離耐性、及び内容物充填後におけるレトルト処理に対する耐レトルト白化性を兼ね備えていることが明らかである。
 本発明は、高度な製缶加工性を維持しつつ環境に配慮する金属加工の分野において、好適に利用することが可能である。
 

Claims (11)

  1.  金属基材の少なくとも片面に塗膜を有する塗装金属板から成る絞りしごき缶であって、
     前記塗膜が主剤としてポリエステル樹脂と、硬化剤としてメラミン樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合物から成るアミノ樹脂と、を含有し、
     前記アミノ樹脂が、前記メラミン樹脂と前記ベンゾグアナミン樹脂を95:5~5:95の質量比で含有してなり、
     前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記アミノ樹脂の含有量が10質量部未満であることを特徴とする、絞りしごき缶。
  2.  前記絞りしごき缶が、底部及び胴部を有する絞りしごき缶であって、缶外面側及び/又は缶内面側の前記底部及び前記胴部が、連続した前記塗膜で被覆されている請求項1に記載の絞りしごき缶。
  3.  缶胴中央部の厚みが、缶底中央部の厚みの20~75%の厚みである、請求項1又は2に記載の絞りしごき缶。
  4.  缶胴中央部の前記塗膜の厚みが、缶底中央部の前記塗膜の厚みの20~75%の厚みである、請求項1~3のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  5.  前記塗膜と前記金属基材の厚み比(前記塗膜の厚み/前記金属基材の厚み)が、缶底部及び缶胴部でほぼ同じである請求項1~4のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  6.  前記金属基材の少なくとも片面に塗膜を有する塗装金属板を絞りしごき加工して成る請求項1~5のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  7.  前記メラミン樹脂がアルキルエーテル化メラミン樹脂であり、且つ前記ベンゾグアナミン樹脂がアルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂である請求項1~6のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  8.  前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が50℃より高く100℃以下である請求項1~7のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  9.  前記ポリエステル樹脂の酸価が0.3~10mgKOH/mgである請求項1~8のいずれかに記載の絞りしごき缶。
  10.  缶胴中央部の前記塗膜の下記式で表される熱収縮率が50%以下である請求項1~9のいずれかに記載の絞りしごき缶。
     熱収縮率(%)=(ΔL/L) ×100 
     L:缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ
     ΔL:単位面積当たり1.00×10N/mの荷重をかけながら昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮長さ
  11.  缶胴中央部の前記塗膜の下記式で表される熱収縮率が50%以下である請求項1~9のいずれかに記載の絞りしごき缶。
     熱収縮率(%)=(ΔL/L) ×100 
     L:缶胴中央部から単離した塗膜の高さ方向の初期長さ
     ΔL:無荷重状態で昇温速度5℃/minで30℃から200℃まで昇温した時のL該当部分の塗膜の高さ方向における最大収縮長さ
     
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