WO2021172097A1

WO2021172097A1 - グロメット

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Publication number: WO2021172097A1
Application number: PCT/JP2021/005704
Authority: WO
Inventors: 涼太田; 鈴木　隆史
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2020-02-27
Filing date: 2021-02-16
Publication date: 2021-09-02
Also published as: CN115152112A; CN115152112B; JP2021136774A; US20230093525A1

Abstract

グロメット（１）は、貫通孔（２）に挿入方向に挿入されて嵌合する嵌合部（４１）と、嵌合部（４１）から挿入方向の前方に延出した延出部（４２）と、嵌合部（４１）の周囲に設けられたシールリップ（５１）と、を備える。グロメット（１）において、延出部（４２）の先端位置にある点を点Ａとし、嵌合部（４１）の先端領域（４１ｂ）において挿入方向視で点Ａから最も離れた位置にある点を点Ｂとする。嵌合部（４１）が貫通孔（２）に嵌合しているときの点Ａと点Ｂとを通る、挿入方向に平行な断面における貫通孔（２）の幅を孔幅Ｗとする。このとき、点Ａと点Ｂとの間の直線距離Ｌとシールリップ（５１）の厚さＴとの和は、孔幅Ｗより大きい。

Description

グロメット

　本開示は、グロメットに関する。

　特許文献１は、車体パネルに形成したバーリング付き貫通孔に装着されるグロメットを開示している。

特開２０１５－１９８５２８号公報

　グロメットを貫通孔に対して傾斜した姿勢で挿入し装着すると、例えばグロメットにおけるシールリップ以外の部分と貫通孔の内周縁との間にシールリップが挟まれることがある。その結果、グロメット本来のシール性能が損なわれることがある。一方、例えば作業者から見えにくい位置にある貫通孔に対して、グロメットを正規の姿勢で挿入、装着することは容易でなく、作業性は必ずしも良いとはいえない。

　本開示の目的は、グロメット装着の作業性を向上させることにある。

　本開示の一態様にかかるグロメットは、貫通孔に挿入方向に挿入されて嵌合する嵌合部と、嵌合部から挿入方向の前方に延出した延出部と、嵌合部の周囲に設けられたシールリップと、を備える。このグロメットにおいて、延出部の先端位置にある点を点Ａとし、嵌合部の先端領域において挿入方向視で点Ａから最も離れた位置にある点を点Ｂとする。嵌合部が貫通孔に嵌合しているときの点Ａと点Ｂとを通る、挿入方向に平行な断面における貫通孔の幅を孔幅Ｗとする。このとき、点Ａと点Ｂとの間の直線距離Ｌとシールリップの厚さＴとの和は、孔幅Ｗより大きい。

　上記グロメットによれば、グロメット装着の作業性を向上させることができる。

グロメットの前方斜視図である。グロメットの正面図である。貫通孔に正規の姿勢で装着された状態のグロメットの、図２のＩＩ－ＩＩ線に沿った断面図である。保護管及び電線が挿通された状態のグロメットの下面図である。図２のＩＶ－ＩＶ線に沿った断面図である。貫通孔にグロメットを装着する際の延出部の機能を説明するための図３に相当する断面図である。貫通孔にグロメットを装着する際の延出部の機能を説明するための図３に相当する断面図である。

　以下、実施形態にかかるグロメットについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
　図１乃至図３に示すように、グロメット１は、例えば、パネル材Ｐにおける平坦面部Ｐ_Ｆに形成された横向き貫通孔２に装着される。パネル材Ｐは、例えば、車室内空間Ｓ_１と車室外空間Ｓ_２とを仕切る車体パネルである。貫通孔２の内周縁２ａ（以下、孔内周縁２ａ）には、バーリング２ｂが形成され、グロメット１は、貫通孔２に対して、バーリング２ｂが突出していない側（本実施形態では車室外空間Ｓ_２）から挿入される。グロメット１には、図１に二点鎖線で示した、例えばステンレスやアルミなど金属製の保護管３、及び、その内部に挿通された、例えば電力ケーブルやワイヤハーネスなどの電線（不図示）が挿通されている。これら保護管３及び電線は、パネル材Ｐを貫通し、例えば、車室内空間Ｓ_１内に搭載されたバッテリー（不図示）と車室外空間Ｓ_２内に搭載されたインバータ等の電気機器（不図示）とに接続されている。

　本明細書では、説明の便宜上、グロメット１が正規の姿勢で貫通孔２に挿入されるときの貫通孔２に対するグロメット１の移動方向を、グロメット１の「挿入方向」と規定し、挿入方向と直交する方向をグロメット１の「挿入直交方向」と規定する。本実施形態では、挿入方向は、グロメット１が正規の姿勢で貫通孔２に装着された状態において、貫通孔２の軸２ｃに平行となる。貫通孔２の軸２ｃとは、貫通孔２の開口の中心（図心）を通る、パネル材Ｐの貫通孔２周縁部（即ち平坦面部Ｐ_Ｆ）の法線に平行な直線である。挿入直交方向において、貫通孔２の軸２ｃに近づく方向を内方とし、貫通孔２の軸２ｃから離れる方向を外方とする。

　グロメット１は、図１乃至図３に示すように、インナー部材４と、インナー部材４に装着されたグロメット本体５とを備えている。図中のＦＲは、挿入方向における前方を、ＬＨは、挿入方向と直交する水平方向における左方を、ＵＰは、ＦＲとＬＨとに直交する方向における上方をそれぞれ示す。

　インナー部材４は、例えば樹脂製であり、貫通孔２に挿入方向に挿入されて嵌合する嵌合部４１と、嵌合部４１から挿入方向前方に延出した延出部４２と、を備える。インナー部材４は、図示したように、フランジ部４３と、係止片４４とを備えてもよい。

　嵌合部４１は、中空筒状または環状の形状を有している。嵌合部４１の挿入方向視の形状は、長円状である。嵌合部４１の外周面４１ａは、挿入方向に垂直な断面において長円状を呈する。嵌合部４１の外周面４１ａの形状および外形寸法は、嵌合部４１の外周面４１ａと孔内周縁２ａとの間に、嵌合部４１の貫通孔２内での移動を許容する僅かな隙間が設けられるように定められている。本実施形態では、貫通孔２は、水平方向に長い長円状の形状を有している。

　嵌合部４１の挿入方向の先端領域４１ｂは、同一平面上に位置する先端縁を有している。図３に示すように、グロメット１が正規の姿勢で貫通孔２に装着されたときには、嵌合部４１の全周が貫通孔２内に均一な深さまで挿入されるようになっている。

　延出部４２は、嵌合部４１の挿入方向の先端領域４１ｂから挿入方向前方へ延びている。延出部４２は、その全長に亘って、挿入方向に略平行に直線状に延びている。延出部４２は、挿入直交方向内方に開いた矩形状の断面を有している。延出部４２は、挿入直交方向外方に、挿入方向に略平行に延在する平坦な側面４２ａを有している。当該側面４２ａは、その挿入方向後方に位置する嵌合部４１の外周面４１ａと滑らかに連続している。図示の例では、延出部４２は、嵌合部４１の先端領域４１ｂにおいて、下側の孔内周縁２ａの直線状部分と当接する部分から延びている。延出部４２の断面形状は、特に限定されず、Ｌ字状等であってもよい。

　また、延出部４２は、グロメット本体５の後述する内筒部５４の少なくとも一部が貫通孔２の内部に位置しているとき（図３及び図７参照）に、内筒部５４より下方において、内筒部５４と孔内周縁２ａとの間に介在するように延在している。具体的には、延出部４２は、内筒部５４の下側側面よりも下方位置において、当該下側側面から間隔をあけて設けられている。延出部４２は、内筒部５４と略平行に、内筒部５４の挿入方向先端と略同じ挿入方向位置まで延設されている。

　フランジ部４３は、嵌合部４１の挿入方向後方の端縁に沿って周方向に連続して延設されている。フランジ部４３は、嵌合部４１の外周面４１ａよりも挿入直交方向外方へ突出するように形成されており、従って、フランジ部４３の外形寸法、即ち、挿入直交方向の寸法は、嵌合部４１の外周面４１ａの外形寸法よりも大きい。

　係止片４４は、嵌合部４１の先端領域４１ｂにおける周方向に略等間隔の３箇所に設けられている。係止片４４は、先端領域４１ｂから挿入方向前方に突出して形成されている。係止片４４は、グロメット１が貫通孔２内に押し込まれたときに、挿入直交方向外方の側面４４ａが孔内周縁２ａから受ける挿入直交方向内方向きの押圧力によって挿入直交方向内方へ弾性的に変形するようになっている。また、係止片４４は、グロメット１が正規の姿勢で係止位置（図３の位置）まで押し込まれたときに弾性的に復元し、貫通孔２のバーリング２ｂの端縁に係止するようになっている。本実施形態の係止片４４は、先端領域４１ｂの３箇所に設けられているが、係止片４４の個数はこれに限らず、２箇所または４箇所以上に設けられてもよい。

　グロメット本体５は、ゴムやエラストマー等の弾性樹脂材料から形成され、挿入方向視で外周縁部に連続して設けられた環状のシールリップ５１と、中央部に設けられた二重円筒部５２と、それらの間を連続的に接続する接続部５３と、を一体に備えている。

　シールリップ５１は、嵌合部４１の周囲に設けられ、挿入方向前方に向かって拡がる錐状の形状を有している。シールリップ５１の基端縁部５１ａは、フランジ部４３の挿入方向前方において、接続部５３の挿入方向前端縁５３ａに接続されている。シールリップ５１の先端縁部５１ｂは、挿入方向前方かつ挿入直交方向外方に延出しており、図３に示すように、グロメット１が正規の姿勢で貫通孔２に装着されたときに、その全周が貫通孔２の周縁部に圧接するようになっている。これによりシールリップ５１は、貫通孔２に嵌合した嵌合部４１の外周をシールすることができる。

　二重円筒部５２は、挿通部である内筒部５４と、外筒部５５と、それらの挿入方向後端縁同士を連続的に接続する断面Ｕ字状の折り返し部５６とを備えている。外筒部５５の挿入方向前端縁５５ａは、接続部５３の挿入方向後端縁５３ｂに接続されている。本実施形態では、１つのグロメット本体５に２つの二重円筒部５２が設けられているが、二重円筒部５２の個数はこれに限らず、１つのグロメット本体５に１つまたは３つ以上設けられてもよい。

　接続部５３は、接続部５３の挿入直交方向外方の外周縁部５３ｃにおいてインナー部材４のフランジ部４３に係合している。これにより接続部５３は、シールリップ５１及び二重円筒部５２をインナー部材４に対して位置決めし、支持している。接続部５３の外周縁部５３ｃは、挿入直交方向内方に開いた矩形状の断面を有し、インナー部材４のフランジ部４３を挿入直交方向外方から包囲している。

　内筒部５４には、長尺部材である保護管３及び電線が挿通されている。内筒部５４の内周面には、保護管３の外周面４１ａが密着している。保護管３は、電線のうち少なくとも車室外空間Ｓ_２内に配索された部分を保護している。本実施形態では、グロメット１を貫通孔２に装着する際、先に保護管３及び電線を内筒部５４に挿通、固定し、その後、保護管３及び電線が挿通された状態のグロメット１を貫通孔２に挿入する。

　保護管３及び電線は、図４に示すように、車室外空間Ｓ_２で水平方向に屈曲して延びており、それらの重心Ｇは、挿入方向と直交する水平方向におけるグロメット１の中心線Ｘに対して偏心して位置している。そして、インナー部材４の延出部４２は、中心線Ｘよりも保護管３及び電線の重心Ｇが存在する側に位置している。

　また、本実施形態では、図５に示すように、点Ａと点Ｂとの間の直線距離Ｌとシールリップ５１の厚さＴとの和が、孔幅Ｗより大きくなっている（Ｌ＋Ｔ＞Ｗ）。ここで、点Ａは、延出部４２の挿入方向の先端位置にある点であり、点Ｂは、図２に示すように、嵌合部４１の挿入方向の先端領域４１ｂにおいて挿入方向視で点Ａから最も離れた位置にある点である。また、孔幅Ｗは、図５に示すように、嵌合部４１が貫通孔２に嵌合しているときの点Ａと点Ｂとを通る、挿入方向に平行な断面における貫通孔２の幅である。

　なお、図２及び図３に示す点Ｃは、先端領域４１ｂ上の点であり、挿入方向視において点Ａの上方に対向する位置にある点である。図２に示すように、点Ａと点Ｃとの間の挿入方向と直交する方向に沿った距離Ｄ_Ｃ１は、点Ａと点Ｂとの間の挿入方向と直交する方向に沿った距離Ｄ_Ｂ１より小さい。一方、点Ａと点Ｃとの間の挿入方向に沿った距離Ｄ_Ｃ２（図３参照）は、点Ａと点Ｂとの間の挿入方向に沿った距離Ｄ_Ｂ２（図５参照）と等しい。従って、点Ａと点Ｃとの間における距離Ｄ_Ｃ１に対する距離Ｄ_Ｃ２の比（Ｄ_Ｃ２／Ｄ_Ｃ１）は、点Ａと点Ｂとの間における距離Ｄ_Ｂ１に対する距離Ｄ_Ｂ２の比（Ｄ_Ｂ２／Ｄ_Ｂ１）よりも常に大きい。このため、上記のように直線距離Ｌとシールリップ５１の厚さＴとの和が孔幅Ｗより大きい（Ｌ＋Ｔ＞Ｗ）限り、点Ａと点Ｃとの間の直線距離Ｌ_Ｃ（図３参照）とシールリップ５１の厚さＴとの和が孔幅Ｗ_Ｃ（図３参照）より小さくなることはない。孔幅Ｗ_Ｃは、点Ａと点Ｃとを通る挿入方向に平行な断面における貫通孔２の幅（本実施形態では、貫通孔２の長円の上下幅に相当）である。ここで述べた寸法の関係、即ち、点Ａから先端領域４１ｂ上の点Ｃ以外の任意の点までの直線距離と、シールリップの厚さＴと、対応する孔幅との関係は、先端領域４１ｂ上の点Ｃ以外の任意の点についても、同様に成立している。

　以下、本実施形態の作用効果について説明する。
　（１）本実施形態にかかるグロメット１では、点Ａと点Ｂとの間の直線距離Ｌとシールリップ５１の厚さＴとの和が、孔幅Ｗより大きい。このため、グロメット１を貫通孔２に装着する際に、図６に示すように、孔内周縁２ａと嵌合部４１の外周面４１ａとの間にシールリップ５１が挟まれた状態になると、延出部４２の先端が挿入直交方向において貫通孔２の外側に位置することになる。即ち、延出部４２が、貫通孔２の周縁部と干渉して、嵌合部４１の貫通孔２への挿入及び嵌合を阻止することになる。これにより、孔内周縁２ａと嵌合部４１の外周面４１ａとの間にシールリップ５１が挟まれたまま、グロメット１が貫通孔２に装着されることを防止することができ、グロメット１の本来のシール性能をより確実に発揮させることが可能になる。また、グロメット１装着後にシールリップ５１が挟まれていないかどうかを確認する作業を省略することができ、作業性が向上する。

　（２）また、延出部４２は、貫通孔２に嵌合する嵌合部４１から挿入方向の前方に延出している。このため、図７に示すように、延出部４２を嵌合部４１よりも先に貫通孔２に挿入することで、当該挿入開始から嵌合部４１が貫通孔２に嵌合するまでの行程における嵌合部４１の過度な回転を、延出部４２と孔内周縁２ａとの干渉によって阻止することができる。換言すれば、延出部４２は、孔内周縁２ａに摺接することで、嵌合部４１を貫通孔２の内部へ案内しつつ、グロメット１の姿勢を正規の姿勢に誘導するガイド部材として機能することができる。これにより、例えば作業者から見えにくい位置にある貫通孔２に手探りでグロメット１を装着する場合などにおいて、より容易にグロメット１を正規の姿勢で装着することが可能になり、グロメット装着の作業性が向上する。

　（３）さらに、グロメット１は、例えば、係止片４４の側面４４ａを挿入直交方向内方へ押圧して係止片４４のバーリング２ｂへの係止を解きつつ、グロメット１を挿入方向後方へ押し込むことで、半嵌合状態になることができる。即ち、グロメット１は、図３及び図７に示すように、内筒部５４の少なくとも一部が貫通孔２の内部に位置したまま（或いは、内筒部５４の少なくとも一部が貫通孔２の開口面を横切るように位置した状態で）、嵌合部４１の貫通孔２への嵌合を解くことができる。そして、本実施形態によれば、延出部４２が、内筒部５４より下方において、内筒部５４と孔内周縁２ａとの間に介在するように延在している。このため、上記半嵌合状態になった場合でも、保護管３、電線、及びグロメット１の自重による落下によって内筒部５４が孔内周縁２ａと干渉（直接接触）することを、延出部４２によって阻止することができる。これにより、半嵌合状態における内筒部５４の損傷を防止することができる。特に上記実施形態では、延出部４２を内筒部５４の挿入方向先端の位置まで延設しているので、上記した効果をより確実に得ることができる。

　（４）また、インナー部材４の延出部４２は、図４に示すように、グロメット１の中心線Ｘよりも保護管３及び電線の重心Ｇが存在する側に位置している。このため、グロメット１が半嵌合状態にあるときに、グロメット１と保護管３及び電線とを、延出部４２を介して安定性良く孔内周縁２ａに支持させることができる。これにより、グロメット１を貫通孔２から取り外す際の孔内周縁２ａとの干渉による内筒部５４の損傷を、より確実に防止することができる。なお、中心線Ｘからの延出部４２の偏心量δ_１は、保護管３及び電線の重心Ｇの偏心量δ_２と一致させることが好ましい。この場合、上記した効果をより一層確実に得ることができる。また、より支持の安定性を高めるべく、複数の延出部４２を、それらが水平方向に隣接して並ぶように設けてもよい。

　上記実施形態では、点Ａと点Ｂとの間の直線距離Ｌとシールリップ５１の厚さＴとの和が、孔幅Ｗより大きく（Ｌ＋Ｔ＞Ｗ）なるように設定されていたが、直線距離Ｌが孔幅Ｗより大きく（Ｌ＞Ｗ）なるように設定してもよい。この場合、孔内周縁２ａと嵌合部４１の外周との間に挟まれるシールリップ５１の厚さが極小さい場合でも、延出部４２が貫通孔２の周縁部と干渉するようになる。従って、シールリップ５１が挟まれたままグロメット１が貫通孔２に装着されることを、より確実に防止することができる。

　上記実施形態は、発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎない。発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。

　例えば、上記実施形態では、グロメット１が横向きの貫通孔２に装着された例を説明したが、グロメット１は、上向き、下向き、或いは斜め向きの貫通孔にも装着し得ることは勿論である。

　・実施形態のグロメット１が貫通孔２に対して正規の姿勢で挿入される際において、嵌合部４１の軸方向は、挿入方向と一致する。
　・実施形態のパネル材Ｐとグロメット１との組み合わせをパネルアセンブリとして参照することがある。パネル材Ｐにおける挿入方向後方の面をパネル面として参照することがある。図３に示すように、パネル面には、シールリップ５１が止水的に密着してよい。

　・図３に示すように、延出部４２は、延出部４２の先端における挿入直交方向内方に、円弧状に湾曲した面（湾曲面ともいう）を有してよい。この湾曲面は、延出部４２の先端と延出部４２の径方向内向き面とを滑らかに接続するようにそれらの間に広がるエッジレス面であってよい。延出部４２の側面４２ａは、貫通孔２の孔内周縁２ａに摺接することで、グロメット１の貫通孔２に対する挿入をガイドするガイド面の一例である。

　・図１乃至図３に示すように、インナー部材４は、内部空間を有してよく、インナー部材４を筒状インナーフレームとして参照することがある。筒状インナーフレームの中心軸線は、貫通孔２の軸２ｃと一致してよい。グロメット本体５は、筒状インナーフレームによって径方向内側から支持されてよい。筒状インナーフレームを形成する樹脂材料を第１の材料として参照し、グロメット本体５を形成するゴムやエラストマー等の弾性樹脂材料を第２の材料として参照することがある。第２の材料は、第１の材料よりも高い可撓性を有してよい。つまり、第１の材料は、第２の材料よりも高い剛性および／または硬度を有する合成樹脂であってよい。

　・実施形態の嵌合部４１を筒部として参照し、嵌合部４１の外周面４１ａを径方向外向き面として参照することがある。図１乃至図３に示すように、筒部は、内部空間を区画する径方向内向き面と、径方向外向き面と連続する軸方向前端とを有してよい。

　・複数の係止片４４を一つ以上のラッチ突起として参照することがある。延出部４２を、嵌合部４１の軸方向前端から軸方向に突出する単一の軸方向突起として参照することがある。一つ以上のラッチ突起は、筒部における径方向外向き面よりも径方向外向きに突出してよい。例えば図２において、嵌合部４１の軸方向前端のうち単一の軸方向突起が設けられている周方向位置を第１の周方向位置として参照することがある。一つ以上のラッチ突起は、第１の周方向位置とは異なる第２の周方向位置に設けられた第１のラッチ突起と、第１の周方向位置および第２の周方向位置とは異なる第３の周方向位置に設けられた第２のラッチ突起とを含む。第１のラッチ突起は、例えば図３において、点Ｂ近傍のラッチ突起、すなわち単一の軸方向突起から最も離れたラッチ突起であってもよい。第２のラッチ突起は、例えば図３において、単一の軸方向突起に隣接したまたは最も近いラッチ突起であってもよい。

　・一つ以上のラッチ突起が係合する貫通孔２の孔内周縁２ａを貫通孔２の開口縁と参照することがある。第１の周方向位置に対応する貫通孔２の開口縁の位置を第１の開口縁位置として参照し、第２の周方向位置に対応する貫通孔２の開口縁の位置を第２の開口縁位置として参照することがある。

　・単一の軸方向突起の軸方向前端からの中心軸線に沿った突出長さは、点Ａと点Ｃとの間の挿入方向に沿った距離Ｄ_Ｃ２（図３参照）と一致する。単一の軸方向突起の突出長さは、ガイド面における単一の軸方向突起の先端と第１のラッチ突起との間の距離が、筒部の中心軸線に沿った長さより長く、かつ、所定値よりも大きくなるように決められてよい。また、単一の軸方向突起の突出長さは、ガイド面における単一の軸方向突起の先端と第１のラッチ突起との間の第１の距離が所定値よりも大きく、かつ、ガイド面における単一の軸方向突起の先端と第２のラッチ突起との間の第２の距離が所定値以下であるように、決められてよい。例えば図３に示すように、ガイド面における単一の軸方向突起の先端は、点Ａであってもよい。つまり、ガイド面における単一の軸方向突起の先端は、筒状インナーフレームの最先端であってもよい。

　・所定値は、第１の開口縁位置と第２の開口縁位置との間の最短距離であってもよい。この最短距離は、例えば図５の孔幅Ｗと略等しくてもよい。
　本開示は、以下の実装例を包含する。限定のためでなく、理解の補助として例示的な実施形態のいくつかの構成要素の参照符号を付した。以下の実装例において記述した事項のうちの一部を省略してもよく、実装例において記述した事項のうちのいくつかを選択または抽出して組合せてもよい。

　［付記１］本開示のいくつかの態様に従うグロメット（１）は、
　筒部（４１）と、
　前記筒部（４１）の軸方向前端から該筒部（４１）の軸方向の前方に延出したラッチ突起（４４）と、
　前記筒部（４１）の軸方向前端から前記ラッチ突起（４４）より前記軸方向の前方に延出した単一の軸方向突起（４２）と、
　前記筒部（４１）の周囲に設けられたシールリップ（５１）と
を備えてもよい。

　［付記２］本開示のいくつかの態様において、前記グロメット（１）は、長尺部材（３）が挿通される筒状の挿通部（５４）を備え、
　前記単一の軸方向突起（４２）は、前記挿通部（５４）と略平行に、前記挿通部（５４）の軸方向先端と略同じ軸方向位置まで延設されてもよい。

　［付記３］本開示のいくつかの態様に従うパネルアセンブリは、貫通孔（２）を有するパネル材（Ｐ）と、前記貫通孔（２）に装着されるグロメット（１）とを備え、
　前記グロメット（１）は、
　前記貫通孔（２）に挿入方向に挿入されて嵌合する筒部（４１）と、
　前記筒部（４１）の軸方向前端から前記挿入方向の前方に延出した単一の軸方向突起（４２）と、
　前記筒部（４１）の周囲に設けられ、前記パネル材（Ｐ）における前記貫通孔（２）の周縁部に当接するシールリップ（５１）と、
を備え、
　前記単一の軸方向突起（４２）の前記挿入方向の先端位置にある点を点Ａとし、
　前記筒部（４１）の前記挿入方向の先端領域（４１ｂ）において前記挿入方向視で前記点Ａから最も離れた位置にある点を点Ｂとし、
　前記筒部（４１）が前記貫通孔（２）に嵌合しているときの前記点Ａと前記点Ｂとを通る、前記挿入方向に平行な断面における前記貫通孔（２）の幅を孔幅Ｗとしたとき、
　前記点Ａと前記点Ｂとの間の直線距離Ｌと前記シールリップ（５１）の厚さＴとの和が、前記孔幅Ｗより大きい、パネルアセンブリ。

　［付記４］本開示のいくつかの態様に従うパネルアセンブリは、貫通孔（２）を有するパネル材（Ｐ）と、前記貫通孔（２）に装着されるグロメット（１）とを備え、
　前記グロメット（１）は、
　前記貫通孔（２）に挿入方向に挿入されて嵌合する筒部（４１）と、
　前記筒部（４１）の軸方向前端から前記挿入方向の前方に延出した単一の軸方向突起（４２）と、
　前記筒部（４１）の周囲に設けられ、前記パネル材（Ｐ）における前記貫通孔（２）の周縁部に当接するシールリップ（５１）と、
を備え、
　前記単一の軸方向突起（４２）の前記挿入方向の先端位置にある点を点Ａとし、
　前記筒部（４１）の前記挿入方向の先端領域（４１ｂ）において前記挿入方向視で前記点Ａから最も離れた位置にある点を点Ｂとし、
　前記筒部（４１）が前記貫通孔（２）に嵌合しているときの前記点Ａと前記点Ｂとを通る、前記挿入方向に平行な断面における前記貫通孔（２）の幅を孔幅Ｗとしたとき、
　前記点Ａと前記点Ｂとの間の直線距離Ｌが前記孔幅Ｗより大きい、パネルアセンブリ。

　［付記５］本開示のいくつかの態様において、前記グロメット（１）は、長尺部材（３）が挿通される筒状の挿通部（５４）を備え、
　前記単一の軸方向突起（４２）は、前記挿通部（５４）の少なくとも一部が前記貫通孔（２）の内部に位置しているときに、当該挿通部(５４)より重力方向の下方において、当該挿通部（５４）と前記貫通孔（２）の内周縁との間に介在するように延在してよい。

　［付記６］本開示のいくつかの態様において、前記グロメット（１）は、インナー部材（４）と、グロメット本体（５）と、を備え、
　前記グロメット本体（５）は、前記シールリップ（５１）と、前記シールリップ（５１）の内周側に配置される二重円筒部（５２）と、前記シールリップ（５１）と前記二重円筒部（５２）との間を接続する接続部（５３）と、を備えていてもよい。

　［付記７］本開示のある態様において、挿通部（５４）は、ラッチ突起（４４）より挿入方向の前方に突出してよい。
　［付記８］本開示のある態様では、単一の軸方向突起（４２）は、該単一の軸方向突起（４２）の先端における挿入直交方向内方に、円弧状に湾曲した湾曲面を有してよい。

　［付記９］本開示のいくつかの態様は、貫通孔（２）とパネル面とを有するパネル材（Ｐ）に取り外し可能に装着されるように構成されたグロメット（１）に向けられており、前記グロメット（１）は、
　第１の材料で形成され、内部空間を有する筒状インナーフレーム（４）と、
　前記第１の材料よりも高い可撓性を有する第２の材料で形成され、前記筒状インナーフレーム（４）によって径方向内側から支持されたグロメット本体（５）であって、前記パネル面と止水的に密着するように構成されたシールリップ（５１）を有する前記グロメット本体（５）と
を備えてよく、
　前記筒状インナーフレーム（４）は、
　　前記内部空間を区画する径方向内向き面と、径方向外向き面（４１ａ）と、前記径方向外向き面（４１ａ）と連続する軸方向前端とを有する筒部（４１）と、
　　前記筒部（４１）の前記径方向外向き面（４１ａ）よりも径方向外向きに突出する一つ以上のラッチ突起（４４）であって、前記パネル材（Ｐ）の前記貫通孔（２）の開口縁と係合して前記グロメット（１）を前記パネル材（Ｐ）に位置決めするように構成された前記一つ以上のラッチ突起（４４）と、
　　前記筒部（４１）の前記軸方向前端において第１の周方向位置に設けられ、前記筒部（４１）の前記軸方向前端から前記筒部の中心軸線に沿って突出長さ（Ｄ_Ｃ２）をもって突出する単一の軸方向突起（４２）と
を備えてよい。

　［付記１０］本開示のいくつかの態様では、前記単一の軸方向突起（４２）は、前記グロメット（１）を前記パネル材（Ｐ）に装着するときに前記貫通孔（２）の前記開口縁と摺接し、それによって、前記筒部（４１）を前記貫通孔（２）の内部へガイドするように構成されたガイド面（４２ａ）を有してよい。

　［付記１１］本開示のいくつかの態様では、前記単一の軸方向突起（４２）の前記突出長さ（Ｄ_Ｃ２）は、前記ガイド面（４２ａ）における前記単一の軸方向突起（４２）の先端と、前記一つ以上のラッチ突起との間の距離が、例えば前記中心軸線に沿った前記筒部（４１）の長さより長く、かつ、所定値（Ｗ）よりも大きくするように、
決められてよい。

　［付記１２］本開示のいくつかの態様では、前記一つ以上のラッチ突起（４４）は、
　前記第１の周方向位置とは異なる第２の周方向位置において前記筒部（４１）の前記径方向外向き面（４１ａ）に設けられた第１のラッチ突起と、
　前記第１の周方向位置及び第２の周方向位置とは異なる第３の周方向位置において前記筒部（４１）の前記径方向外向き面（４１ａ）に設けられた第２のラッチ突起と
を含む複数のラッチ突起であってよく、
　前記単一の軸方向突起（４２）の前記突出長さ（Ｄ_Ｃ２）は、
　　前記単一の軸方向突起（４２）の前記先端と前記第１のラッチ突起との間の第１の距離が前記所定値（Ｗ）を超え、かつ、
　　前記単一の軸方向突起（４２）の前記先端と前記第２のラッチ突起との間の第２の距離が前記所定値（Ｗ）以下であるように、
決められてよい。

　［付記１３］本開示のいくつかの態様では、
　前記貫通孔（２）の前記開口縁は、前記第１の周方向位置と前記第２の周方向位置とにそれぞれ対応する第１の開口縁位置と第２の開口縁位置とを有してよく、
　前記所定値（Ｗ）は、前記貫通孔（２）の前記第１の開口縁位置と前記第２の開口縁位置との間の最短距離であってよい。

　［付記１４］本開示のいくつかの態様では、前記単一の軸方向突起（４２）の前記先端は、前記筒状インナーフレーム（４）の最先端であってよい。
　［付記１５］本開示のいくつかの態様では、前記第１の材料は、前記第２の材料よりも高い剛性および／または硬度を有する合成樹脂であってよい。

　［付記１６］本開示のいくつかの態様では、前記第２の材料は、ゴムまたはエラストマーであってよい。

　１：グロメット
　２：貫通孔
　２ａ：内周縁
　３：保護管（長尺部材）
　４１：嵌合部
　４１ｂ：先端領域
　４２：延出部
　５１：シールリップ
　５４：内筒部（挿通部）
　Ｇ：重心
　Ｘ：中心線

Claims

　貫通孔に挿入方向に挿入されて嵌合する嵌合部と、
　前記嵌合部から前記挿入方向の前方に延出した延出部と、
　前記嵌合部の周囲に設けられ、前記貫通孔の周縁部に当接することにより前記貫通孔に嵌合した前記嵌合部の外周をシールするシールリップと、
を備え、
　前記延出部の前記挿入方向の先端位置にある点を点Ａとし、
　前記嵌合部の前記挿入方向の先端領域において前記挿入方向視で前記点Ａから最も離れた位置にある点を点Ｂとし、
　前記嵌合部が前記貫通孔に嵌合しているときの前記点Ａと前記点Ｂとを通る、前記挿入方向に平行な断面における前記貫通孔の幅を孔幅Ｗとしたとき、
　前記点Ａと前記点Ｂとの間の直線距離Ｌと前記シールリップの厚さＴとの和が、前記孔幅Ｗより大きい、グロメット。
　長尺部材が挿通される筒状の挿通部を備え、
　前記延出部は、前記挿通部の少なくとも一部が前記貫通孔の内部に位置しているときに、当該挿通部より下方において、当該挿通部と前記貫通孔の内周縁との間に介在するように延在している、請求項１に記載のグロメット。
　前記挿通部に挿通された前記長尺部材の重心は、前記挿入方向と直交する水平方向における前記グロメットの中心線に対して偏心して位置しており、
　前記延出部は、前記中心線よりも前記長尺部材の重心が存在する側に位置している、請求項２に記載のグロメット。