JP5266670B2 - グロメット - Google Patents
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Description
該グロメットは、貫通穴の一方側から挿入した後に他方側から引き込むことで、グロメット自体は貫通穴に対して一方向に移動させるだけであるため、ワンモーショングロメットと称されており、グロメットの貫通穴への取付作業が容易である点より汎用されている。
よって、エンジンルーム側(X)で小径筒部2を挿入した状態で車室側(Y)で引き込む間、グロメット1は挿通したワイヤハーネスW/Hに保持された状態で貫通穴Hの周縁に当接保持される。其の際、グロメット1の拡径筒部3の外周面は小径筒部2側に向けて円錐形状に縮径していると共に、貫通穴Hの周縁に密着保持されていないため、グロメット1は自重により図8に示すように傾斜状態となり易い。特に、該グロメット1を取り付けたワイヤハーネスW/Hの配索姿勢によってはグロメット1はさらに貫通穴Hに対して傾斜しやすく、グロメット1の中心軸線は貫通穴Hの中心軸線と一致した水平方向とならず傾斜する。
しかしながら、前記のように、エンジンルーム側Xで挿入後に室内側Yで引っ張るまでの間にグロメット1が自重等で傾斜して、グロメット1の中心軸線は貫通穴の中心軸線と一致していないと、グロメット1が傾斜姿勢のままで引っ張れる場合が多い。
また、貫通穴Hへの挿入時から引張時の間に傾斜するグロメット1は、その下側周縁1ーXが貫通穴Hの内周縁に当接保持されているが、グロメット1の傾斜角度が大きいと、上側周縁1−Yの車体係止凹部が貫通穴Hの通り抜ける状態となる場合がある。このような状態でグロメット1を引き込むと、上縁周縁の車体係止凹部4が貫通穴Hに係止されない状態となる。よって、再度、グロメット1を貫通穴Hへの装着をやり直す必要があり、作業性が非常に悪くなると共にグロメット1に損傷が生じる場合もある。
特に、エンジンルーム(X)から車室(Y)へと配索するエンジンハーネス(フロントハーネスとも称す)は電線量が多く重量があるため、該ワイヤハーネスに取り付けたグロメット1も強度を必要とするため、室内側から引っ張ってグロメット1の車体係止凹部4を貫通穴Hの周縁に係止する作業は大きな引張力を必要とするため、真っ直ぐな方向からずれることが多い。
グロメット1が斜め方向に挿入されたり、斜め方向に引っ張り込まれると、車体係止凹部4は貫通穴Hの周縁に片当たりで係止され、図9(B)に示すように、貫通穴Hの全周に車体係止凹部4が係止されずに、部分的に係止されない部分が発生する。この状態になると、防水、防塵性能が低下すると共に、車両振動等になりグロメット1が貫通穴Hから離脱する恐れもある。
前記した問題は、エンジンハーネスに限らず、車体パネルの貫通穴にグロメットを貫通して装着する箇所に発生する問題である。
前記拡径筒部の外周面に周方向に間隔をあけて、前記小径筒部から車体係止凹部へ軸線方向に延在する複数の突条段部を設け、
前記各突条段部の外面に、前記小径筒部側の連結端から前記貫通穴への挿通時に該貫通穴の周縁との接触位置までの間に前記連結端から外方へ突出する山形リブを設け、該山形リブは前記小径筒部側の連結端からグロメットの中心軸線に対して直角方向に突出する平坦突出面と、該平坦突出面の突出端の山頂から前記突条段部の外面に向けて傾斜する傾斜面を備えた山形状とし、かつ、
前記各山形リブは各突条段部の外面の周方向の全長に設け、前記山頂を結ぶ仮想外径D1は前記車体パネルの貫通穴の内径dの50%〜80%とし、前記グロメットの中心軸線が貫通穴の中心軸線と一致する向きで挿通した時に、山頂位置は小径筒部側の連結端から前記貫通穴の周縁との接触点となる位置までの全長に対して小径筒部側の連結端から1/2〜2/3の範囲内の位置とし、
前記車体係止凹部は溝底を挟んだ先端厚肉部側の高い第1壁と拡径筒部側の低い第2壁を備え、第2壁を内方に撓ませて前記貫通穴を通過させる形状とし、前記突条段部の外面は前記第2壁の先端まで前記山形リブとの連続端から連続させ、
前記貫通穴へグロメットの小径筒部を挿入した状態で下方側に位置する前記山形リブの前記傾斜面が貫通穴の内周面に保持されて、前記小径筒部が他面側より引き込まれるまで仮置き保持可能とし、かつ、該下方側を仮置きした状態でグロメットの上端が前記車体係止凹部を越えない位置に貫通穴の周縁を接触させる設定とし、
かつ、前記グロメットが前記貫通穴に斜め挿入された時、前記山形リブの平坦突出面は貫通穴と干渉してグロメットの挿入を阻止し、前記干渉しないようにグロメットの挿入姿勢を真っすぐな方向に変えさせる構成としていることを特徴とするグロメットを提供している。
かつ、前記下方側を仮置き状態で、対向する上方側で車体係止凹部が貫通穴を通らない状態に保持するため、貫通穴を通過した小径筒部を把持して引っ張る作業時に、上側に位置する車体係止凹部が貫通穴と嵌合しない事態が発生することを防止できる。
前記小径筒部から車体係止凹部へ軸線方向に延在する複数の突条段部を設け、車体パネルの貫通穴の内周面には突条段部の外面を接触させ、接触面積を減少しているため、グロメットを貫通穴に装着するための挿入力を低減できる。
前記のように山形リブは、突条段部の小径筒部側端から突出させるが、小径筒部の外周面との間に溝を設けているため、小径筒部の屈曲を規制せず、小径筒部を急激に屈曲させる必要がある場合にも、拡径筒部を引っ張ることなく容易に屈曲させることができる。
前記拡径筒部の外周面に設ける突条段部は6本以上とし、小径筒部との連続端より突出させると共に前記車体係止凹部の第2壁の突出端まで延在させ、各突条段部の周方向の幅は同一として軸線方向に延在し、該突条段部の突出量は前記貫通穴への挿通時に該貫通穴の周縁との接触点となる位置までの位置に前記山型リブを設け、該山形リブとの連結端から前記第2壁先端までは突出量は略一定とし、該第2壁の先端近傍位置で周方向の溝を設けていることが好ましい。
上記のように車体係止凹部側にむかって薄肉の窪み部の面積が大となるため、縮径方向に撓み易くなり、挿入力の低減を図ることができる。
さらに、前記のように6本〜8本の多数本の突条段部を設け、各突条段部に前記山形リブを設けると、小径筒部側から貫通穴に挿入して前記仮置きする際に、貫通穴の内周面に当接保持される山形リブを増加し、グロメットと安定した状態で仮置き保持することができる。
さらに、仮置き状態で、山形リブの平坦突出面に貫通穴の周縁が接触していると、引張時にグロメットは貫通穴を通ることができなくなり、作業者は山形リブが貫通穴周縁と干渉しないようにグロメットの挿入姿勢を真っすぐするように強制され、グロメットの車体係止凹部の全周を車体パネルの貫通穴の全周縁に正確に係止することができる。よって、斜め姿勢のまま貫通穴に係止されることを防止できる。
本実施形態のグロメット10は、前記従来例の図7等と同様に、エンジンルーム側(X)からダッシュパネルPの貫通穴Hに通して車室側(Y)へと配索するワイヤハーネスW/Hに予め固着しており、貫通穴Hへ装着時には、エンジンルーム側(X)より小径筒部11を挿入した後に、車室側(Y)より小径筒部11を引っ張りこんで、グロメット10を一方向に移動させ、グロメット10の拡径筒部13の大径側に形成した車体係止凹部14を貫通穴Hの内周面に嵌合係止するものである。
拡径筒部13の外周面に沿って、周方向に間隔をあけて、小径筒部11との連続側の小径側より車体係止凹部14の第2壁14cの先端まで、軸線方向に延在する複数の突条段部20を突設している。該突条段部20は拡径筒部13の外周面より段状に厚肉に突出している。
本実施形態では8本の突条段部20を設け、各突条段部20は同一形状とし、周方向の幅Wは同一とし、小径筒部側端P1より車体係止凹部14の第2壁14cの先端点P4へと軸線方向に延在させ、拡径筒部13の外周面に放射状に設けている。
前記略二等辺三角形の山形リブ21の山頂21bを結ぶ仮想外径D1は車体パネルPの貫通穴Hの内径dより小さく設定している。
前記エンジンルーム側(X)で小径筒部11を貫通穴Hに挿入した後に車室側(Y)へ作業者が移動して引張するまでの間は、挿入されたグロメット10は、貫通穴Hの内径と同一となる突条段部20の接触点P3まで挿入されていないため、貫通穴Hに密嵌保持されておらず、グロメット10の両端から引き出されているワイヤハーネスW/Hにより保持されて貫通穴Hへの貫通途中の状態で放置される。
この期間に、図4に示すようにグロメット10の中心軸線Lが貫通穴Hの中心軸線S0と一致し、グロメット10の挿入姿勢が真っすぐに貫通穴Hに挿入していても、グロメット10の外周面は未だ車体貫通穴Hの内周面に密嵌保持されて状態ではないため、図5に示すように、グロメット10の自重により傾斜する場合がある。
該引張作業時に貫通穴の下側内周面Haに下側の山形リブ21の傾斜面21cが載置されているが、該傾斜面21cは車体係止凹部14側の拡径側の突条段部20の表面に傾斜して連続しているため、グロメット10に引張作業に応じて傾斜面21cに滑り落ちてスムーズに突条段部20の外面に貫通穴の内周面Haが接触する。
第2壁14cが貫通穴Hを通過すると、初期位置に弾性復帰し、第2壁14cと第1壁14aの間の溝14b内に貫通穴Hの周縁部が落し込まれる。この状態で、第2壁14cと第1壁14aの対向面が車体パネルPの両面に圧接し、かつ、貫通穴Hの内周面の溝底面に突設したリップ14eと圧接して、グロメット10は車体パネルPの貫通穴Hにシール状態で係止される。
また、山形リブ21と小径筒部11とは溝24で分離しているため、小径筒部11をワイヤハーネスの配索に応じて屈曲させる場合に容易に屈曲させることができる。かつ、ワイヤハーネスからの引っ張り力が山形リブ21および突条段部20に伝わるのを遮断でき、グロメットの車体係止凹部14が貫通穴Hから外れる方向へ引っ張られるのを防止できる。
また、拡径筒部の大径側の分割小径筒部を無くしてもよいが、車体パネルの貫通穴にグロメットを装着した後の脱落を考慮すると、分割径筒部を設けてワイヤハーネスとテープ巻き固定しておくことが好ましい。また、グロメットにオプション部品用のケーブル挿通筒部を設けてもよい。さらに、貫通穴が楕円形状をなし、拡径筒部も断面楕円形状となるグロメットにも適用できることは言うまでもない。
H 貫通穴
10 グロメット
11 小径筒部
12 先端厚肉部
13 拡径筒部
14 車体係止凹部
14a 第1壁
14b 溝
14c 第2壁
20 突条段部
21 山形リブ
21a 平坦突出面
21b 山頂
21c 傾斜面
22、23、24、25 溝
Claims (3)
- 自動車用ワイヤハーネスに外装した状態で車体パネルの貫通穴に係止するゴムまたはエラストマーからなり、小径筒部と、該小径筒部の一端に連続する拡径筒部と、該拡径筒部の大径側の外周面に環状の車体係止凹部を備え、前記車体パネルの一面側から前記小径筒部側を前記貫通穴に挿入して貫通させた後に該車体パネルの他面側から貫通させた前記小径筒部を引っ張って前記車体係止凹部を車体パネルに係止するグロメットであって、
前記拡径筒部の外周面に周方向に間隔をあけて、前記小径筒部から車体係止凹部へ軸線方向に延在する複数の突条段部を設け、
前記各突条段部の外面に、前記小径筒部側の連結端から前記貫通穴への挿通時に該貫通穴の周縁との接触位置までの間に前記連結端から外方へ突出する山形リブを設け、該山形リブは前記小径筒部側の連結端からグロメットの中心軸線に対して直角方向に突出する平坦突出面と、該平坦突出面の突出端の山頂から前記突条段部の外面に向けて傾斜する傾斜面を備えた山形状とし、かつ、
前記各山形リブは各突条段部の外面の周方向の全長に設け、前記山頂を結ぶ仮想外径D1は前記車体パネルの貫通穴の内径dの50%〜80%とし、前記グロメットの中心軸線が貫通穴の中心軸線と一致する向きで挿通した時に、山頂位置は小径筒部側の連結端から前記貫通穴の周縁との接触点となる位置までの全長に対して小径筒部側の連結端から1/2〜2/3の範囲内の位置とし、
前記車体係止凹部は溝底を挟んだ先端厚肉部側の高い第1壁と拡径筒部側の低い第2壁を備え、第2壁を内方に撓ませて前記貫通穴を通過させる形状とし、前記突条段部の外面は前記第2壁の先端まで前記山形リブとの連続端から連続させ、
前記貫通穴へグロメットの小径筒部を挿入した状態で下方側に位置する前記山形リブの前記傾斜面が貫通穴の内周面に保持されて、前記小径筒部が他面側より引き込まれるまで仮置き保持可能とし、かつ、該下方側を仮置きした状態でグロメットの上端が前記車体係止凹部を越えない位置に貫通穴の周縁を接触させる設定とし、
かつ、前記グロメットが前記貫通穴に斜め挿入された時、前記山形リブの平坦突出面は貫通穴と干渉してグロメットの挿入を阻止し、前記干渉しないようにグロメットの挿入姿勢を真っすぐな方向に変えさせる構成としていることを特徴とするグロメット。 - 前記山形リブと前記小径筒部の外面との間に溝を設けている請求項1に記載のグロメット。
- 前記車体係止凹部は溝底を挟んだ先端厚肉部側の高い第1壁と拡径筒部側の低い第2壁を備え、第2壁を内方に撓ませて前記貫通穴を通過させる形状とし、かつ、
前記拡径筒部の外周面に設ける突条段部は6本以上とし、小径筒部側の連結端より突出させると共に前記車体係止凹部の第2壁の突出端まで延在させ、各突条段部の周方向の幅は同一として軸線方向に延在し、該突条段部の突出量は、前記グロメットの中心軸線が貫通穴の中心軸線と一致する向きで挿通した時に、前記貫通穴への挿通時に該貫通穴の周縁との接触点となる位置までの位置に前記山形リブを設け、該山形リブとの連結端から前記第2壁先端までは突出量は一定とし、該第2壁の先端近傍位置で周方向の溝を設けている請求項1または請求項2に記載のグロメット。
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