WO2021066074A1

WO2021066074A1 - ロール状物支持機構及びロール状物梱包用パレット並びにロール状物梱包体

Info

Publication number: WO2021066074A1
Application number: PCT/JP2020/037327
Authority: WO
Inventors: 純一加藤
Original assignee: マクセルホールディングス株式会社
Priority date: 2019-10-04
Filing date: 2020-09-30
Publication date: 2021-04-08
Also published as: JPWO2021066074A1

Abstract

粘着テープなどのロール状物の梱包作業が簡易であり、損傷を与えることなくロール状物を運搬することが可能なロール状物支持機構と、これを用いたロール状物梱包用パレット及びロール状物梱包体を提供する。ロール状物支持機構（１２）は、ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）を有する。下部支持構造（１８）は、中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた下部支持体（２７）と、下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有している。

Description

ロール状物支持機構及びロール状物梱包用パレット並びにロール状物梱包体

　本発明は、巻回体を有するロール状物を支持するロール状物支持機構、及びこのロール状物支持機構を使ったロール状物梱包用パレットと、ロール状物梱包体に関する。

　粘着テープや樹脂製フィルムなどは、中空状の円筒コア部を有する巻芯材に粘着テープや樹脂製フィルムを巻き上げて巻回体とし、この巻芯材と巻回体から構成されるロール状物として運搬するのが一般的である。

　例えば特許文献１には、パレット本体部の上面に、下地材が貼り付けまたは載置され、その周辺にスリーブが載置され、さらにその上部に蓋部が載置された輸送用パレットが提案されている。下地材は、ロール状物（例えば芯材にフィルムを巻き取ったもの）の芯材の径に合わせられた芯材と嵌合するための嵌合穴が複数設けられた板材である。

　収納方法は、まず、本体部上面の下地材に複数設けられた嵌合穴にロール状物の芯材をはめ合わせることによって、ロール状物の芯材の軸方向が上下方向になるようにパレット本体部の上面に載置する。これにより、ロール状物が本体部上面の上板の面方向に固定される。次に、スリーブ上部の開口部を蓋部でふさぐことにより密閉するが、その際、蓋部の下面に貼り付けられた穴板の嵌合穴に、本体部上面に載置されたロール状物の芯材がはめ合わされる。これにより、ロール状物の芯材が上下方向から嵌合穴により固定されるので、ロール状物に対して個別の固定具などを用いなくとも輸送することができる。

　特許文献２には、巻芯と、巻芯の周面に巻き取られた樹脂シートとを有するロール体を支持するための支持部材において、巻き取られた樹脂シートの幅方向の側面と接する支持部材の外径が、巻き取られた樹脂シートの外径よりも小さい支持部材と、樹脂シートロール体の梱包体が提案されている。なお、支持部材には凹部が設けられている。しかし、樹脂シートロール体の側面を、一般的な支持部材で支えると、梱包材の歪みや撓みによって、巻き取られた樹脂シートの外周部付近で、樹脂シートに変形が生じやすくなる問題があった。このような樹脂シートの変形を抑制するために、樹脂シートロール体の外径より小さな外径の支持部材を用いると、樹脂シートの変形は抑制されるものの、樹脂シートの種類によっては、支持部材と接触した領域に、接触痕が生じ易い。特に、樹脂シートの弾性率が、２３℃において６～１３ＭＰａである場合、前記接触痕が生じ易い。

　そこで、特許文献３には、弾性樹脂シートのロール体を梱包する際に、所定の外径を有する支持部材をロール体の下端に装着することで、樹脂シートに接触痕が生じ難く、さらに巻き取られた樹脂シートの外周部に変形が生じ難い、樹脂シートロール体の梱包体が提案されている。

特開２０１０－２７５０１５号公報特開２０１４－００１００４号公報国際公開ＷＯ２０１６／１０３７０４号公報

　特許文献１の技術には、特に幅の広いロール状物を芯材の軸方向が上下方向になるよう載置した場合は梱包等の作業性が悪くなる、さらには運搬時におけるロール状物のぐらつきと破損を抑制する課題が残っている。また、本体部上面の下地材に複数設けられた嵌合穴にロール状物の芯材をはめ合わせるので、芯材の軸方向に対する上下方向の長さを、フィルムなどの巻回体長さより大きくするなどの制約が生じる。

　特許文献２、３の技術についても、運搬時におけるロール体のぐらつきと破損を抑制する点などで課題を残している。

　本発明は上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、粘着テープなどのロール状物の梱包作業が簡易であり、損傷を与えることなく多数のロール状物を効率よく運搬することが可能なロール状物支持機構を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記支持機構を有するロール状物梱包用パレットを提供することである。さらに、本発明の別の目的は、前記支持機構を有するロール状物梱包体を提供することである。

　この目的を達成するための、実施形態に係るロール状物支持機構は、
　中空円筒巻芯（２２）と前記中空円筒巻芯（２２）の外周に巻かれた巻回体（２３）とを有するロール状物（２０）を、前記中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けて支持するロール状物支持機構（１２）であって、
　前記ロール状物支持機構（１２）は、前記ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）を有し、
　前記下部支持構造（１８）は、前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた下部支持体（２７）と、前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有していることを特徴とする。

　また、本発明の実施形態に係るロール状物梱包用パレットは、
　パレット（１１）の天板（１５）上に、中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けて支持するロール状物支持機構（１２）を複数備えたロール状物梱包用パレットであって、
　前記ロール状物支持機構（１２）は、ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）を有し、
　前記下部支持構造（１８）は、前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた複数の下部支持体（２７）と、前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する複数の孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有していることを特徴とする。

　さらに、本発明の実施形態に係るロール状物梱包体は、
　中空円筒巻芯（２２）と前記中空円筒巻芯（２２）の外周に巻かれた巻回体（２３）とを有するロール状物（２０）を複数備えており、前記中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けた状態で支持し搬送するロール状物梱包体（１０）であって、
　前記ロール状物梱包体（１０）は、前記ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）と、前記ロール状物（２０）の上部（２５）を支持する上部支持構造（１９）とを有し、
　前記下部支持構造（１８）は、
　前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた複数の下部支持体（２７）と、
　前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する複数の孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有しており、
　前記上部支持構造（１９）は、
　複数の上部貫通孔（３６）を有し、前記中空円筒巻芯（２２）の上に配置される上部固定板（３４）と、
　前記上部固定板（３４）の前記上部貫通孔（３６）を介して前記中空円筒巻芯（２２）の上端内腔（３９）に嵌め込むことができる大きさと形状を有する複数の上部支持体（３５）とを有していることを特徴とする。

　本発明によれば、粘着テープなどのロール状物の梱包作業が簡易であり、いずれのロール状物の巻芯寸法に対しても使用可能であり、かつロール状物に損傷を与えることなく多数のロール状物を効率よく運搬することが可能なロール状物支持機構、パレットおよびロール状物梱包体を提供することができる。

本発明のある実施形態に係るロール状物支持機構の分解斜視図。本発明のある実施形態に係るロール状物梱包体の部分断面図。図１に示すロール状物支持機構とこれに支持されるロール状物の１区画分の分解斜視図。本発明のある実施形態に係るロール状物梱包用パレットの分解斜視図。本発明のある実施形態に係る梱包されたロール状物梱包体の斜視図。他の実施形態に係る下部支持体を含む下部支持構造の断面図。他の実施形態に係る下部支持体を含む下部支持構造の断面図。他の実施形態に係る下部支持体を含む下部支持構造の断面図。

　以下、図面を参照しながら本発明のロール状物支持機構及びロール状物梱包用パレットと、ロール状物梱包体の実施形態を説明する。

［Ａ：全体構造］
　図１は、ある実施形態に係るロール状物梱包体１０を構成する部材（ただし、ロール状物２０は図示せず。）を示す。図１に例示するロール状物梱包体１０は、後述する下部支持構造１８と、上部支持構造１９とから構成されるロール状物支持機構１２を有する。また、ロール状物梱包体１０の下部支持構造１８は、該ロール状物梱包体１０を搬送するためのパレット１１の上に備えられている。本発明におけるロール状物梱包用パレット５０とは、この下部支持構造１８を備えたパレット１１のことを意味する。

［１．パレット１１］
　パレット１１は天板１５を有する。実施形態において、天板１５は正方形又は長方形の板である。天板１５の材質は、樹脂、木材、金属またはダンボール紙等の紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由からダンボール紙が好ましい。強度を確保するなどの目的で、天板１５の材質はハニカム構造を有した紙材であることが特に好ましい。天板１５の縦方向（図１に示すＸ方向）および横方向（図１に示すＹ方向）の寸法は、運搬するロール状物２０の寸法や個数などに応じて決定すればよく、一辺の長さは例えば４００～１５００ｍｍである。一般的には、約１１００×１１００ｍｍの正方形の板が天板１５に用いられる。天板１５の厚みは、運搬するロール状物２０の質量に応じて適宜選択され、例えば１０～１００ｍｍである。天板１５は１枚の板で構成されてもよいし、複数の板を重ねて構成されてもよい。

　天板１５の下面には、複数の脚部１６が縦方向と横方向に所定の間隔をあけて固定されている。隣接する脚部１６の間隔は、パレット１１をフォークリフトなどのリフター（図示せず）で持ち上げて移動させる際に、リフターのフォーク部が隣接する脚部１６の間の空間に挿入可能な大きさとしてある。脚部１６の材質は、樹脂、木材、金属またはダンボール紙等の紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由からダンボール紙が好ましい。特に、折り曲げた紙製板材に紙管を挟んだ、紙管を支柱とする紙製桁材（例えば、パルラン（商品名））が好適に用いられる。強度を確保するなどの目的で、脚部１６の材質はハニカム構造を有した紙材であることが特に好ましい。脚部１６の形状に制限はないが、安定性を確保するなどの理由で、四角柱の形状が好ましい。脚部１６は、リフターのフォーク部の挿入を妨げない配置とすることが好ましく、例えば少なくとも天板１５の四隅に配置させることが好ましい。天板１５の縦方向または横方向の長さと同等の長さを有する２本の四角柱を脚部１６として使用し、これら２本の四角柱を天板１５の対向する辺に沿ってそれぞれ配置してもよい。あるいは、天板１５の縦方向または横方向の大きさより小さな長さの複数の四角柱を、リフターのフォーク部の挿入を妨げない位置関係に設置してもよい。脚部１６の大きさは、例えば高さ方向（Ｚ方向）と横方向（Ｙ方向）の寸法が８０～１００ｍｍであり、長さ（Ｘ方向）の寸法が１５０～１５００ｍｍである。

　脚部１６の下には底板１７を設けることが好ましい。底板１７を設けることで、ロール状物２０を保管あるいは運搬する際のロール状物梱包体１０の安定性が良くなり、ロール状物２０のぐらつきや破損をより防止する効果がある。底板１７としては、板紙を複数枚高圧プレスで積層した板状材（例えば、フラットボード、商品名）などが挙げられる。

［２．ロール状物支持機構１２］
　ロール状物支持機構１２は、図２に例示したように複数の筒状のロール状物２０を該筒状のロール状物２０の中心軸２１を上下方向（図１に示すＺ方向）に向けた状態で支持するために、筒状のロール状物２０の下部２４（中空円筒巻芯２２の下部に相当）を支持する下部支持構造１８と筒状ロール状物２０の上部２５（中空円筒巻芯２２の上部に相当）を支持する上部支持構造１９を有する。なお、図１、２に例示したロール状物支持機構１２は、下部支持構造１８と上部支持構造１９とから構成されているが、本発明におけるロール状物支持機構１２は、図３（ａ）に示すように下部支持構造１８のみの構成も含む概念とする。さらに、図１、２に例示したようにロール状物支持機構１２は、通常は複数本の筒状のロール状物２０を支持する機構を意味するが、本発明におけるロール状支持機構１２は、図３に示すように１本のみの筒状のロール状物２０を支持する機構も含む概念とする。

〈２．１：ロール状物２０〉
　図２、３に示すように、ロール状物２０は、一定の内径と一定の外径を有する中空の円筒体からなる中空円筒巻芯２２と、帯状のシート又はフィルムを中空円筒巻芯２２の外周に巻いて形成された巻回体２３を有する。中空円筒巻芯２２は、例えば、中心軸２１に沿った長手方向に例えば１３００ｍｍの長さを有する。中空円筒巻芯２２の材質は、紙、樹脂、または金属などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由から紙が好ましい。中空円筒巻芯２２は、それ自体の強度を確保するために約２～５ｍｍの厚みを有することが好ましい。巻回体２３を構成するシート又はフィルムは特定の材料に限定されないが、例えば、粘着テープ、樹脂フィルム、不織布などが挙げられる。中空円筒巻芯２２にシート又はフィルムを巻いた状態で、中空円筒巻芯２２の下部２４と上部２５は巻回体２３の外側に突出していてもよく、突出していなくてもよい。突出している場合、例えば、中空円筒巻芯２２の長さが１３００ｍｍの場合、中空円筒巻芯２２に巻かれるシート又はフィルムの幅を１２５０ｍｍ以下とし、シート又はフィルムの巻回体２３の両端から中空円筒巻芯２２が約２０～３０ｍｍ突出していることが好ましい。なお、本願のロール状物２０は、巻回体２３が中空円筒巻芯２２を兼ねても良い。この場合、巻回体２３が中空円筒巻芯２２まで巻回されている構造となり、下部支持体２７の上部３０はロール状物２０の巻回体２３に嵌め込まれる。

〈２．１：下部支持構造１８〉
　下部支持構造１８は、図１、２に例示したように、通常は下部固定板２６と、複数の下部支持体２７を有する。図３は、全体の１区画分（筒状のロール状物２０が１本）を示した分解斜視図である。上述したように筒状のロール状物２０を１本のみ支持する機構の場合は、図３に相当する。図３（ａ）は、ロール状物支持機構１２が下部支持構造１８のみから構成される場合を示している。

＜２．１．１：下部固定板２６＞
　下部固定板２６は天板１５の上に配置される。下部固定板２６を構成する板の材質は、樹脂、木材、金属またはダンボール紙等の紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由からダンボール紙が好ましい。強度を確保するなどの目的で、下部固定板２６の材質はハニカム構造を有した紙材であることが特に好ましい。下部固定板２６の縦方向と横方向の寸法は、天板１５と同様に運搬するロール状物２０の寸法や個数などに応じて決定すればよいが、天板１５と同等の寸法であることが、梱包などの作業上の理由で好ましい。下部固定板２６の厚みは特に制限はないが、後に説明するように、ロール状物２０を安定して支持するなどの目的から約１０ｍｍ以上とすることが好ましく、軽量化を図るなどの理由から１００ｍｍ以下であることが好ましい。下部固定板２６は１枚の板で構成されていてもよく、複数の板を重ねて構成してもよい。

　下部固定板２６には、縦方向と横方向に一定の間隔をあけて、後述する下部支持体２７を嵌めるための孔２８が形成されている。孔２８は、下部固定板２６の上面と下面を貫通する貫通孔であってもよいし、上部が開放されて下部が閉鎖された非貫通孔であってもよい。孔２８の横断面形状（上下方向から見たときの形状）は、孔２８に嵌め込まれる下部支持体２７の下部２９の形状と大きさに対応している。孔２８の配置は格子配列に限るものでなく、千鳥配列であってもよい。

＜２．１．２：下部支持体２７＞
　下部支持体２７の材質は、樹脂、木材、金属または紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由から紙製が好ましい。下部支持体２７は、上述のように下部２９が下部固定板２６の孔２８に対応する形状と大きさを有する。下部支持体２７の上部３０は、ロール状物２０の中空円筒巻芯２２の下端内腔３１に嵌め込むことができる形状と大きさを有する。実施形態では、下部支持体２７は上端から下端まで一定の外径を有する中空又は中実の円筒体で形成されており、この外径は下部固定板２６の孔２８の内径と、中空円筒巻芯２２の下端内腔３１の内径にほぼ等しく決められている。したがって、下部支持体２７はその下部２９が下部固定板２６の孔２８に嵌め込まれることによって安定に支持される。また、ロール状物２０はその下部２４（中空円筒巻芯２２の下部に相当）が下部支持体２７の上部３０に外装されることによって安定に支持される。さらに、中空円筒巻芯２２の下端内腔３１を下部支持体２７の上部３０に嵌合する構成であるので、中空円筒巻芯２２の下部２４は巻回体２３の外側に突出していなくても、中空円筒巻芯２２を下部支持体２７の上部３０に嵌合することができ、中空円筒巻芯２２は安定に支持される。その結果、ロール状物２０は安定に支持される。この点、特許文献１に比べて容易にロール状物２０を固定することができる。

　なお、下部固定板２６が紙材で作られている場合、下部固定板２６の孔２８の内径は、下部支持体２７の下部２９の外径と同一又はそれよりも僅かに小さくすれば、下部固定板２６の孔２８に下部支持体２７の下部２９が嵌め込まれた状態で下部支持体２７はより安定する。これらは必要に応じて接着剤などで補強固定されていても良い。
また、下部支持体２７の上部３０が下部支持体２７の下部２９よりも大きな横断面形状を有することで、中空円筒巻芯２２が下部支持体２７の上部３０に対して密着するため、ロール状物２０を安定に固定することができる。
さらに、下部支持体２７の上部３０が下部支持体２７の下部２９よりも小さな横断面形状を有することで、下部支持体２７に対して中空円筒巻芯２２を容易に外装し、ロール状物２０を固定することができる。
さらにまた、下部支持体２７の上部３０は半楕円球形状を有することで、下部支持体２７に対して中空円筒巻芯２２を容易に外装し、ロール状物２０を固定することができる。

　下部固定板２６の孔２８の中心間隔は、ロール状物２０の外径より大きい。これにより、ロール状物２０は下部支持体２７に支持された状態で、隣接するロール状物２０の間に干渉防止用の空間３２が確保され、運搬中に隣接するロール状物２０が互いに接触して損傷することがない。

　下部支持体２７は、その下部２９を下部固定板２６の孔２８の底まで嵌め込んだ状態でその上部３０が下部固定板２６から突出する大きさとしてある。例えば、下部支持体２７の軸方向の長さをＬ、孔２８の深さをＬａ、孔２８の底まで嵌め込まれた状態で下部支持体２７が孔２８から突出する長さをＬｂとすると、Ｌａ、Ｌｂは中空円筒巻芯２２の長さやロール状物２０の質量等に応じて適宜決定すればよい。例えば中空円筒巻芯２２の長さが１３００ｍｍ、巻回体２３の巻長が３０ｍの場合、下部固定板２６の厚さを４０ｍｍ程度とし、Ｌａは下部固定版の厚さと同じ４０ｍｍ程度、Ｌｂは１００ｍｍ程度とすることが好ましいが、本発明の効果を奏する限りにおいては、特にこれらに限定されるものではない。
この場合、下部支持体２７の下部固定板２６への嵌合性及びロール状物２０の安定性が高まり、運搬時の下部支持体２７のぐらつきが抑制されるので、ロール状物２０の破損を防止できる。また、ロール状物２０を下部支持体２７の上部３０に外装する際の作業性も良好となる。下部支持体２７の材質は、樹脂、木材、金属または紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由から紙製が好ましい。

〈２．２：上部支持構造〉
　上部支持構造１９は、図１、２に例示したように、通常は上部固定板３４と、複数の上部支持体３５を有する。図３（ｂ）は、全体の１区画分（筒状のロール状物２０が１本）を示した分解斜視図である。上述したように筒状のロール状物２０を１本のみ支持する機構の場合は、図３（ｂ）に相当する。図３（ｂ）は、ロール状物支持機構１２が下部支持構造１８と上部支持構造１９とから構成される場合を示している。ロール状物支持機構１２は下部支持構造１８に加えて上部支持構造１９を備えることにより、ロール状物２０をより安定に固定することができる。

＜２．２．１：上部固定板３４＞
　上部固定板３４は、下部支持構造１８に支持されるロール状物２０（通常は複数）の上に配置される。上部固定板３４を構成する板の材質は、樹脂、木材、金属またはダンボール紙等の紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由からダンボール紙が好ましい。強度を確保するなどの目的で、上部固定板３４の材質はハニカム構造を有した紙材であることが特に好ましい。上部固定板３４の縦方向と横方向の寸法は、下部固定板２６と同じである。上部固定板３４の厚みは特に制限はないが、ロール状物２０を安定して支持するなども目的から前記上部固定板３４の材質が樹脂である場合は約３ｍｍ以上、ハニカム構造を有した紙材である場合は約１０ｍｍ以上とすることが好ましい。上部固定板３４は１枚の板で構成されていてもよく、複数の板を重ねて構成してもよい。

　上部固定板３４には、縦方向と横方向に一定の中心間隔をあけて貫通孔３６が形成されている。貫通孔３６の配列及び中心間隔は、下部固定板２６に形成された孔２８の配列及び中心間隔と同じである。

　貫通孔３６の内径は、ロール状物２０の中空円筒巻芯２２の内径とほぼ等しいか又はそれよりも大きく且つロール状物２０の中空円筒巻芯２２の外径未満であることが好ましい。

＜２．２．２：上部支持体３５＞
　上部支持体３５は、図３に示すように、軸部３７と鍔部３８を有する。軸部３７は、ロール状物２０の中空円筒巻芯２２における上端内腔３９の内径とほぼ同じ大きさの外径を有する筒で形成されている。実施形態において、軸部３７の上端と下端は開口してもよいし、閉鎖してもよい。軸部３７、特にその下部分は、下方に向かって円錐形、多角錐形等で次第に外径が小さくなるように曲面とすることが好ましい。このような形状にすると、複数のロール状物２０の上部２５（中空円筒巻芯２２の上部に相当）の位置が一つずつ多少ずれたとしても、軸部３７をロール状物２０の上部２５、より詳細には、中空円筒巻芯２２における上端内腔３９に挿入しやすくなる。鍔部３８は、軸部３７の上端から径方向外側に伸びている。実施形態では、鍔部３８は、軸部３７の全周に連続的に伸びているが、不連続に設けてもよい。上部支持体３５の材質に制限はないが、樹脂材または紙材が軽量であるため好ましく、加工性の容易さからポリプロピレンなどの樹脂材が特に好適である。

［Ｂ：組立］
　上述した構成を有するロール状物支持機構１２を用いてロール状物２０を積載し、ロール状物梱包体１０とする手順を説明する。
　まず、パレット１１の天板１５の上に下部固定板２６を配置する。下部固定板２６は天板１５の上に接着剤等により固定されていることが好ましい。次に、下部固定板２６の孔２８にそれぞれ下部支持体２７の下部２９を嵌め込み、下部固定板２６に下部支持体２７を支持させ、下部支持構造１８を形成する。本発明におけるロール状物梱包用パレット５０とは、図４に示すように、複数の下部支持体２７を有する下部支持構造１８を備えたパレット１１のことを意味する。次に、該ロール状物梱包用パレット５０の下部固定板２６から突出した下部支持体２７にロール状物２０の中空円筒巻芯２２の下部を外装する。中空円筒巻芯２２の下部を下部支持体２７に容易に外装できるようにするためには、中空円筒巻芯２２の下端内腔３１の内径は下部支持体２７の外径よりも僅かに大きいことが好ましい。ただし、中空円筒巻芯２２の内径と下部支持体２７の外径との差が過度に大きくなると、下部支持体２７に外装された中空円筒巻芯２２の傾きが大きくなる可能性がある。したがって、中空円筒巻芯２２を下部支持体２７に支持させる作業に困難を生じないために、中空円筒巻芯２２の内径と下部支持体２７の外径との差を出来るだけ小さくする一方で、傾きを防止するために、下部固定板２６から突出する下部支持体２７の長さを、中空円筒巻芯２２の下部を下部支持体２７に外装する際の作業性が悪くならない範囲で、出来るだけ大きくすることが好ましい。

　下部支持体２７にロール状物２０を支持させた後、ロール状物２０の上に上部固定板３４を載せる。上述のように、上部固定板３４に形成されている貫通孔３６の内径は中空円筒巻芯２２の外径よりも小さいので、ロール状物２０の上に上部固定板３４が載った状態で、中空円筒巻芯２２の上端が上部固定板３４の貫通孔３６を超えてその上方に突出することはない。次に、上部固定板３４の貫通孔３６を介して中空円筒巻芯２２の上端内腔３９に上部支持体３５の軸部３７を挿入する。上述のように、軸部３７の下部分が下方に向かって次第に外径の小さくなる曲面の場合、ロール状物２０が傾いて中空円筒巻芯２２の上端内腔３９が貫通孔３６に一致していなくても、軸部３７を、貫通孔３６を介して中空円筒巻芯２２の上端内腔３９に挿入するにしたがって、貫通孔３６の中心が中空円筒巻芯２２の上端内腔３９の中心に接近していく。

　ロール状物２０の安定を強化する目的で、上部固定板３４と上部支持体３５の上に、天板１５と同等の構成を有する上部天板４０を配置してもよい。

　最後に、図５に示すように、ロール状物２０の周囲を側面保護板４１（図５参照）で覆い、パレット１１と、上部天板４０及び側面保護板４１で覆われたロール状物梱包体１０の周囲を結束バンド４２で囲み、全体を補強する。補強の際には前記結束バンド４２の他、紙製のＬ型アングルや粘着テープなどを用いてもよい。側面保護板４１を構成する板の材質は、樹脂、木材、金属またはダンボール紙等の紙材などが挙げられる。中でも、再利用が可能で軽量であるなどの理由からダンボール紙が好ましい。強度を確保するなどの目的で、側面保護板４１の材質はハニカム構造を有した紙材であることが特に好ましい。

　このように構成されたロール状物梱包体１０によれば、各ロール状物２０はその上端と下端でしっかりと保持され、これにより、隣接するロール状物２０との間に安定した空間（隙間）が形成される。そのため、輸送中の振動によって隣接するロール状物２０が互いに接触して損傷するということが無い。また、個々のロール状物２０を緩衝材やカバーで保護してもよいが、損傷を防止するという目的から個々のロール状物２０を保護する必要がないので、梱包作業が極めて容易になる。さらに、多数のロール状物２０を効率よく運搬することが可能となる。

［Ｃ：その他の形態］
　上述の実施形態において、下部固定板２６の孔２８の横断面形状は円形であるが、この孔２８の横断面形状は、下部支持体２７の下部２９を孔２８に嵌めた状態で下部支持体２７が安定して支持される限り、円形以外の任意の形状（例えば、楕円形、四角形、三角形、その他の多角形、星形等）を採り得る。同様に、上述の実施形態において、下部支持体２７の下部２９の横断面形状は円形であるが、この下部２９の横断面形状は、下部２９を下部固定板２６の孔２８に嵌めた状態で下部支持体２７が安定して支持される限り、円形以外の任意の形状（例えば、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形、星形、十字形）を採り得る。

　下部支持体２７の上部３０の横断面形状も、下部支持体２７の上部３０をロール状物２０の下端内腔３１に挿入でき又挿入した状態でロール状物２０を安定して支持できればよく、円形以外の任意の形状（例えば、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形、星形、十字形）を採り得る。

　下部支持体２７の下部２９の横断面形状と下部支持体２７の上部３０の横断面形状は、同じである必要はなく、下部２９の横断面を上部３０の横断面よりも大きくしてもよいし、小さくしてもよい。いずれにしても、ロール状物２０が下部支持体２７を介して下部固定板２６に安定して支持できるように、下部２９と上部３０の断面形状は適宜決めることができる。

　下部支持体２７は、柱状である必要はなく、任意の形状を採り得る。例えば、図６（ａ）、（ｂ）に示す実施形態において、下部支持体１２７は球体である。この場合、下部固定板２６に形成される孔１２８の内径は、図６（ａ）に示すように球体の直径と同じでもよいし、図６（ｂ）に示すように球体１２７の直径よりも小さくてもよい。

　図７（ａ）、（ｂ）に示す実施形態において、下部支持体２２７、３２７は、下部円柱部（下部）２２９、３２９と上部半楕円球部（上部）２３０、３３０を有する。この形態では、図７（ａ）に示すように上部半楕円球部２３０の下端外径と下部円柱部２２９の上端外径は同じであってもよいし、図７（ｂ）に示すように上部半楕円球部３３０の下端外径（最大径）は下部円柱部３２９の上端外径よりも大きくてもよいし、逆に上部半楕円球部の下端外径（最大径）は下部円柱部の上端外径よりも小さくてもよい（図示せず）。下部支持体２２７、３２７の下部円柱部（下部）２２９、３２９は、それぞれ下部固定板２６の孔２２８、３２８の底まで嵌め込まれる。

　図８（ａ）、（ｂ）に示す実施形態において、下部支持体４２７、５２７は、上下方向の中心軸２１から外側に向かって放射状に伸びる複数の縦リブで構成されている。例えば、４本の縦リブを中心軸２１の周りに等間隔（９０度ごと）に配置した形態では、下部支持体４２７、５２７を上下方向から見たとき十字形状をしている。この形態では、図８（ａ）、（ｂ）に示すように下部支持体４２７、５２７の下部４２９、５２９の外径（下部支持体４２７、５２７を上下方向から見たとき十字形状の一辺を直径とする円の外径）は、それぞれ下部固定板２６の孔４２８、５２８の内径と等しくすることが好ましいが、図８（ａ）に示すように下部支持体４２７の上部４３０の下端外径は孔４２８の内径と等しくてもよいし、図８（ｂ）に示すように下部支持体５２７の上部５３０の下端外径（最大径）は孔５２８の内径よりも大きくてもよいし、下部支持体５２７の上部５３０の下端外径（最大径）は下部固定板２６の孔の内径よりも小さくてもよい（図示せず）。

　上述の実施形態では、上部固定板３４の貫通孔３６の横断面形状は円形であるが、この貫通孔３６の横断面形状は楕円形、四角形、三角形、その他の多角形、星形等であってもよい。いずれの形状であっても、貫通孔３６の最小径は、ロール状物２０の中空円筒巻芯２２の内径と等しいか又はそれよりも大きく且つロール状物２０の中空円筒巻芯２２の外径よりも小さいことが好ましい。

　上述の実施形態では、上部支持体３５における軸部３７は円筒形状としたが、軸部３７の形状は半楕円球形状（例えば、図７（ａ）の下部支持体２２７を上下反転した形状）としてもよいし、軸部３７は中心軸２１から放射状に伸びる複数の縦リブ（例えば、図８（ａ）の下部支持体４２７を上下反転した形状）で構成してもよい。

１０：ロール状物梱包体、１２：ロール状物支持機構、１８：下部支持構造、１９：上部支持構造、２０：ロール状物、２１：中心軸、２２：中空円筒巻芯、２３：巻回体、２６：下部固定板、２７：下部支持体、２８：孔、３１：下端内腔、３４：上部固定板、３５：上部支持体、３６：貫通孔、３９：上端内腔、４０：上部天板、５０：ロール状物梱包用パレット。

Claims

　中空円筒巻芯（２２）と前記中空円筒巻芯（２２）の外周に巻かれた巻回体（２３）とを有するロール状物（２０）を、前記中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けて支持するロール状物支持機構（１２）であって、
　前記ロール状物支持機構（１２）は、前記ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）を有し、
　前記下部支持構造（１８）は、
　前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた下部支持体（２７）と、
　前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有している、ロール状物支持機構（１２）。
　前記ロール状物支持機構（１２）は更に、前記ロール状物（２０）の上部（２５）を支持する上部支持構造（１９）を有し、
　前記上部支持構造（１９）は、貫通孔（３６）を備えており、
　前記中空円筒巻芯（２２）の上に配置される上部固定板（３４）と、
　前記上部固定板（３４）の前記貫通孔（３６）を介して前記中空円筒巻芯（２２）の上端内腔（３９）に嵌め込むことができる大きさと形状を有する上部支持体（３５）とを備えている、請求項１に記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部支持体（２７）は、上端から下端まで一定の外径を有する中空又は中実の筒体であることを特徴とする請求項１又は２に記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部支持体（２７）の前記上部（３０）は半楕円球形状を有することを特徴とする請求項１又は２記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部支持体（２７）は、上下方向の中心軸（２１）から放射状に伸びる複数の縦リブを備えていることを特徴とする請求項１又は２に記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部支持体（２７）の前記上部（３０）は前記下部支持体（２７）の前記下部（２９）よりも大きな横断面形状を有することを特徴とする請求項１又は２に記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部支持体（２７）の前記上部（３０）は前記下部支持体（２７）の前記下部（２９）よりも小さな横断面形状を有することを特徴とする請求項１又は２に記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記上部固定板（３４）の前記貫通孔（３６）は、前記中空円筒巻芯（２２）の上端内径以上で且つ上端外径未満の最小径部分を有することを特徴とする請求項２～７のいずれかに記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部固定板（２６）の前記孔（２８）は、前記下部固定板（２６）を貫通する孔であることを特徴とする請求項１～８のいずれかに記載のロール状物支持機構（１２）。
　前記下部固定板（２６）の前記孔（２８）は、前記下部固定板（２６）を貫通しない非貫通孔であることを特徴とする請求項１～９のいずれかに記載のロール状物支持機構（１２）。
　パレット（１１）の天板（１５）の上に、中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けて支持するロール状物支持機構（１２）を備えたロール状物梱包用パレットであって、
　前記ロール状物支持機構（１２）は、ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）を有し、
　前記下部支持構造（１８）は、
　前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた複数の下部支持体（２７）と、
　前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する複数の孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有している、ロール状物梱包用パレット（５０）。
　中空円筒巻芯（２２）と前記中空円筒巻芯（２２）の外周に巻かれた巻回体（２３）とを有するロール状物（２０）を複数備えており、前記中空円筒巻芯（２２）の中心軸（２１）を上下方向に向けた状態で支持し搬送するロール状物梱包体（１０）であって、
　前記ロール状物梱包体（１０）は、前記ロール状物（２０）の下部（２４）を支持する下部支持構造（１８）と、前記ロール状物（２０）の上部（２５）を支持する上部支持構造（１９）とを有し、
　前記下部支持構造（１８）は、
　前記中空円筒巻芯（２２）の下端内腔（３１）に嵌め込むことができる形状と大きさを有する上部（３０）を備えた複数の下部支持体（２７）と、
　前記下部支持体（２７）の下部（２９）を嵌め込むことができる形状と大きさを有する複数の孔（２８）を備えた下部固定板（２６）とを有しており、　
　前記上部支持構造（１９）は、
複数の貫通孔（３６）を有し、前記中空円筒巻芯（２２）の上に配置される上部固定板（３４）と、
　前記上部固定板（３４）の前記貫通孔（３６）を介して前記中空円筒巻芯（２２）の上端内腔（３９）に嵌め込むことができる大きさと形状を有する複数の上部支持体（３５）とを有している、ロール状物梱包体（１０）。
　前記上部固定板（３４）及び前記上部支持体（３５）の上に配置される上部天板（４０）を備えていることを特徴とする請求項１２に記載のロール状物梱包体（１０）。
　前記下部固定板（２６）と前記上部固定板（３４）の間にあって、複数の前記ロール状物（２０）の周りを囲む側面保護板（４１）を有する、ことを特徴とする請求項１２又は１３に記載のロール状物梱包体（１０）。
　前記下部支持構造（１８）は前記パレット（１１）の天板（１５）の上に備えられていることを特徴とする請求項１２～１４のいずれか一項に記載のロール状物梱包体（１０）。