WO2020230525A1 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の積層体(X)は、フレキシブル被着体としての被着体(10)と補強フィルムとしてのフィルム(20)とを備える。フィルム(20)は、基材(21)と粘着剤層(22)を含んで粘着剤層(22)側で被着体(10)に貼着し、且つ、被着体(10)上で隣り合うフィルム部分(20A,20B)を含む。フィルム部分(20A)の基材(21)はフィルム部分(20B)に対向する端面(21a)を有し、端面(21a)は、被着体(10)から離れる箇所ほどフィルム部分(20A)内方側に退避するように傾斜している。フィルム部分(20B)の基材(21)はフィルム部分(20A)に対向する端面(21b)を有し、端面(21b)は、被着体(10)から離れる箇所ほどフィルム部分(20B)内方側に退避するように傾斜している。

Description

積層体およびその製造方法
 本発明は、例えばフレキシブルデバイス構成部品としての積層体およびその製造方法に関する。
 光学デバイスや電子デバイスなど各種デバイスの製造過程においては、デバイス構成部品の表面保護や衝撃からの保護などの観点から、当該部品に所定の粘着フィルムが貼り付けられたうえで各種工程が実施される場合がある。このような保護用のフィルムは、それが貼付されたデバイス構成部品によっては、その強度を補うために当該構成部品に貼付されたままデバイス構造材として製品デバイスに組み込まれることがある。保護機能と補強機能とを兼ね備えるこのような粘着フィルムに関する技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。
特開2017-132977号公報
 フレキシブルプリント配線基板(FPC)などフレキシブルなデバイス構成部品については、その同一面における複数箇所のそれぞれに上述の粘着フィルム(即ち、製造過程での保護機能をも担う補強フィルム)が貼着していることを要求される場合がある。そして、複数の補強フィルムが同一面側に貼着しているフレキシブルなデバイス構成部品は、その補強フィルム間領域にて補強フィルムどうしが接近するように屈曲されて折り返された形態で、製品デバイス内に組み付けられることがある。
 複数の補強フィルムを伴うこのようなデバイス構成部品(フレキシブル被着体)において、その屈曲予定箇所をまたいで隣り合う二つの補強フィルムの間の離隔距離は、当該デバイス構成部品の小型化や軽量化の観点からは短い方が好ましい。しかしながら、屈曲予定箇所をまたいで隣り合う二つの補強フィルムの間の離隔距離が短すぎると、フレキシブル被着体の屈曲変形時に補強フィルムどうしが当接して、フレキシブル被着体が所望の折り返し形態をとれないことがある。
 本発明は、フレキシブル被着体とその同一面側に貼着する複数の補強フィルムとを備える積層体であってフレキシブル被着体における補強フィルム間領域の屈曲につき屈曲代を確保するのに適した積層体、およびその製造方法を、提供する。
 本発明の第1の側面によると、積層体が提供される。この積層体は、フレキシブル被着体および補強フィルムを備える。補強フィルムは、基材とその上の粘着剤層とを含み、且つ、粘着剤層側にてフレキシブル被着体に貼着している。補強フィルムにおいて、基材および粘着剤層は、直接に接合していてもよいし、他の層を介して接合していてもよい。また、補強フィルムは、フレキシブル被着体上において離隔して隣り合う第1補強フィルム部分および第2補強フィルム部分を含む。第1補強フィルム部分の基材は、第2補強フィルム部分に対向する第1傾斜端面を有する。この第1傾斜端面は、フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第1補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜している。第2補強フィルム部分の基材は、第1補強フィルム部分に対向する第2傾斜端面を有する。この第2傾斜端面は、フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第2補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜している。
 本発明の第1の側面に係る積層体では、上述のように、フレキシブル被着体上の第1補強フィルム部分の基材において第2補強フィルム部分に対向する端面は、フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第1補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜し、且つ、フレキシブル被着体上の第2補強フィルム部分の基材において第1補強フィルム部分に対向する端面は、フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第2補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜している。このような構成は、フレキシブル被着体における第1および第2補強フィルム部分間領域での屈曲につき、屈曲代を確保するのに適する(即ち、補強フィルムどうしの当接を抑制するのに適する)。このような積層体では、フレキシブル被着体についてその補強フィルム貼着面を内側にした適切な折り返し形態をとりやすい。加えて、このように適切な折り返し形態をとりやすい本発明の積層体は、フレキシブル被着体上の補強フィルム間距離について短く設計しやすく、従って小型化や軽量化を図りやすい。
 本発明の第1の側面に係る積層体において、好ましくは、第1補強フィルム部分の粘着剤層は第2補強フィルム部分側縁端に変性部を有し、且つ第2補強フィルム部分の粘着剤層は第1補強フィルム部分側縁端に変性部を有する。このような構成は、各補強フィルム部分の粘着剤層においてその構成成分のブリードアウトを抑制するのに適する。
 本発明の第2の側面によると、積層体の製造方法が提供される。本製造方法は、貼付け工程と、カット工程と、剥離工程と、粘着力上昇工程とを含む。
 貼付け工程では、基材と基材上の粘着剤層とを含む補強フィルムをその粘着剤層側にてフレキシブル被着体に貼り付ける。補強フィルムにおいて、基材および粘着剤層は、直接に接合していてもよいし、他の層を介して接合していてもよい。粘着剤層は、活性エネルギー線照射や加熱など外部刺激によって粘着力が相対的に低い状態(低粘着力状態)から粘着力が相対的に高い状態(高粘着力状態)へと例えば不可逆的に変化させることが可能な粘着性組成物よりなる。
 カット工程では、フレキシブル被着体上の補強フィルムに対してカット溝を形成する加工を施して、補強フィルムにおいて、離隔する二つの第1領域部と第1領域部間の第2領域部とを区画形成する。本工程において、各第1領域部と第2領域部とを区分するカット溝は、フレキシブル被着体から離れるほど幅広である。すなわち、各第1領域部における第2領域部側の切断端面は、フレキシブル被着体から離れる箇所ほど当該第1領域部内方側に退避するように傾斜している。その切断端面には、第1領域部の基材の切断端面(傾斜している)が含まれる。また、本工程を経て生ずる第1および第2領域部の各粘着剤層は、上述の低粘着力状態にある。
 剥離工程では、上述のようにして第1領域部間に区画形成された第2領域部をフレキシブル被着体から剥離する。フレキシブル被着体上の第2領域部は上述のように低粘着力状態にある。このような構成は、フレキシブル被着体から第2領域部を適切に剥離するうえで好ましい。
 粘着力上昇工程では、第1領域部における粘着剤層の粘着力を上昇させる。本工程では、第1領域部の粘着剤層に対する活性エネルギー線照射や加熱などの外部刺激によって、フレキシブル被着体上の各第1領域部の粘着剤層を高粘着力状態へと変化させる。これにより、第1領域部においてフレキシブル被着体に対する貼着状態が強固となる。このような構成は、上述の補強フィルムに由来する第1領域部を構造材として積層体に残すうえで好適である。粘着剤層が高粘着力状態にある第1領域部は、本発明の第1の側面に係る上述の積層体における補強フィルム部分(第1補強フィルム部分,第2補強フィルム部分)をなす。また、第1領域部の基材の切断端面(傾斜している)は、第1の側面に係る上述の積層体における第1および第2補強フィルム部分の基材の傾斜端面をなす。
 以上のような各工程を含む本積層体製造方法によると、本発明の第1の側面に係る上述の積層体を適切に製造することができる。このような本製造方法によると、製造される積層体において、本発明の第1の側面に係る積層体について上述したのと同様の効果を享受することができる。また、本製造方法では、補強材としての複数のフィルムのそれぞれを個別にフレキシブル被着体に貼り付ける必要はない。このような製造方法は、積層体やそれが組付けられるデバイスの製造の効率化に資する。
 上述のカット工程では、好ましくは、各第1領域部の粘着剤層において、第2領域部との間のカット溝に臨む変性部を形成する。このような構成は、各補強フィルム部分の粘着剤層においてその構成成分のブリードアウトを抑制するのに適する。
 上述のカット工程において、好ましくは、各第1領域部と第2領域部とを区分するカット溝は、補強フィルムに対してその基材側から粘着剤層の途中までのハーフカットによって形成される。このような構成は、カット工程より後に行われる上述の剥離工程において、いわゆる糊残りを抑制するうえで好適である。被着体上の補強フィルムについてその厚さ方向全体にわたって切断する場合、その切断手法や切断条件によっては、被着体と補強フィルム粘着剤層との界面およびその近傍にある粘着剤層構成材料における局所的な昇温や押圧力の作用に起因して、当該界面に臨む粘着剤層の一部が被着体に固着しやすくなる。カット工程において、上述のようなハーフカットによってカット溝底端と被着体との間に未切断の粘着剤部分を残しておくという構成は、上記界面とその近傍にある粘着剤層構成材料における局所的な昇温や押圧力の作用を回避するのに適する。そして、上述のようなハーフカットによってカット溝底端と被着体との間に未切断の粘着剤部分を残しておくという構成は、当該粘着剤残存部分の凝集力を利用して被着体表面から第2領域部ないしその粘着剤層を粘着剤残渣(糊残り)なく剥離するうえで好ましいことがあるのである。
本発明の一の実施形態に係る積層体の斜視図である。 図1に示す積層体の部分拡大断面図である。 図3Aは、図1および図2に示す積層体の製造方法における一部の工程を表し、図3Bは、図3Aに示す工程の後に続く工程を表し、図3Cは、図3Bに示す工程の後に続く工程を表し、図3Dは、図3Cに示す工程の後に続く工程を表す。 図3Cにおける部分拡大図である。
 図1および図2は、本発明の一の実施形態に係る積層体Xを表す。図1は積層体Xの斜視図である。図2は積層体Xの部分拡大断面図である。積層体Xは、被着体10およびフィルム20を備える。
 被着体10は、本発明の一実施形態におけるフレキシブル被着体であって可撓性を有し、互いに対向する第1面11および第2面12を有する。被着体10としては、例えば、フレキシブルディスプレイパネルなどフレキシブルな光学デバイス、フレキシブルプリント配線基板(FPC)などのフレキシブルな電子デバイス、および、これらの構成部品たるフレキシブル基材が挙げられる。被着体10がフレキシブルな光学デバイスである場合、被着体10の第1面11側には、例えば、アレイ状に位置する複数の画素を含む画素領域、駆動回路など種々の回路素子を含む回路領域、および、これらを電気的に接続する配線パターンが、形成されている。被着体10がフレキシブルな電子デバイスである場合、被着体10の第1面11側には、例えば、種々の回路素子および配線パターンが形成されている。このような被着体10は、製造目的のデバイスの設計に応じて種々の平面視形状をとりうる。
 フィルム20は、図2によく表れているように、基材21および粘着剤層22を含み、粘着剤層22側にて上述の被着体10の第2面12に貼着している。フィルム20において、基材21および粘着剤層22は、直接に接合していてもよいし、他の層を介して接合していてもよい。このようなフィルム20は、本発明における補強フィルムの一例であり、被着体10についての保護機能に加えて補強機能を補うためのものであり、被着体10と共にデバイス構造材として製品デバイスに組み込まれる要素である。
 フィルム20は、被着体10上において離隔して隣り合うフィルム部分20A(第1補強フィルム部分)およびフィルム部分20B(第2補強フィルム部分)を含む(フィルム部分20A,20Bのそれぞれは基材21および粘着剤層22を含む)。フィルム部分20A,20Bは、フィルム20の厚さ方向D1と直交する面方向D2に離隔して隣り合う。
 フィルム部分20Aの基材21は、面方向D2においてフィルム部分20Bに対向する端面21a(第1傾斜端面)を有する。この端面21aは、被着体10から離れる箇所ほどフィルム部分20A内方側に退避するように傾斜している。すなわち、端面21aは、フィルム20の厚さ方向D1にて被着体10からフィルム20に向かう方向に進むに従って面方向D2にてフィルム部分20Bから離れるように、傾斜している。このような端面21aにおける上記厚さ方向D1に対する傾斜角度αは、例えば1°以上、好ましくは2°以上、より好ましくは3°以上、さらに好ましくは5°以上であり、例えば45°以下、好ましくは30°以下である。フィルム部分20Aの粘着剤層22は、フィルム部分20B側の縁端に変性部22aを有する。変性部22aは、フィルム部分20Aにおける粘着剤層22の露出表面が加熱等によって硬化している部位である。
 フィルム部分20Bの基材21は、面方向D2においてフィルム部分20Aに対向する端面21b(第2傾斜端面)を有する。この端面21bは、被着体10から離れる箇所ほどフィルム部分20B内方側に退避するように傾斜している。すなわち、端面21bは、フィルム20の厚さ方向D1にて被着体10からフィルム20に向かう方向に進むに従って面方向D2にてフィルム部分20Bから離れるように、傾斜している。このような端面21bにおける上記厚さ方向D1に対する傾斜角度αは、例えば1°以上、好ましくは2°以上、より好ましくは3°以上、さらに好ましくは5°以上であり、例えば45°以下、好ましくは30°以下である。フィルム部分20Bの粘着剤層22はフィルム部分20A側の縁端に変性部22bを有する。変性部22bは、フィルム部分20Bにおける粘着剤層22の露出表面が加熱等によって硬化している部位である。
 フィルム20における基材21は、フィルム20の機械的強度を確保するための支持体であり、フィルム20においてその補強機能や保護機能を発現するための主要素である。
 基材21は、可撓性のプラスチック材料からなる。そのようなプラスチック材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、およびポリスチレン樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィンポリマー(COP)挙げられる。粘着剤層22が後述のように活性エネルギー線の照射によって高粘着力状態化しうる粘着性組成物よりなる場合、基材21は、活性エネルギー線に対する透明性を有するのが好ましい。このような透明性と機械的強度とを両立させる観点からは、基材21構成用のプラスチック材料は、好ましくはポリエステル樹脂であり、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
 基材21の厚さは、例えば4μm以上であり、被着体10の補強の観点からは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは45μm以上である。また、基材21の厚さは、例えば500μm以下であり、フィルム20の可撓性やハンドリング性の観点からは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
 フィルム20における粘着剤層22は、フィルム20を被着体10に貼付させるための要素であり、粘着性組成物よりなる。本実施形態における粘着剤層22は、外部刺激によって粘着力が相対的に低い状態(低粘着力状態)から粘着力が相対的に高い状態(高粘着力状態)へと不可逆的に変化可能な粘着性組成物から形成された層であって、製造過程を経た積層体Xにおいては高粘着力状態をとる。
 粘着剤層22をなすための粘着性組成物としては、例えば、紫外線や電子線など活性エネルギー線の照射によって低粘着力状態から高粘着力状態に変化可能な粘着性組成物(第1粘着性組成物)、および、加熱によって低粘着力状態から高粘着力状態に変化可能な粘着性組成物(第2粘着性組成物)が挙げられる。
 第1粘着性組成物は、ベースポリマーと、光硬化剤と、光重合開始剤とを含む。
 ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、天然ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、およびシリコーンゴムが挙げられる。粘着力の制御の観点からは、ベースポリマーとしてはアクリルポリマーが好ましい。
 ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば0℃以下、好ましくは-100℃~-5℃、より好ましくは-80℃~-10℃、さらに好ましくは-40℃~-10℃である。このような構成は、第1粘着性組成物におけるベースポリマーの流動性を確保するうえで好適であり、従って、活性エネルギー線によって第1粘着性組成物を高粘着力状態に変化させるうえで好適である。
 ガラス転移温度は、文献やカタログ等に記載された値であるか、或いは、下記式(X)(Fox式)に基づいて計算された値である。後記の他のポリマーのガラス転移温度についても同様である。
 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (X)
[式(X)において、Tgはポリマー(A)のガラス転移温度(単位:K)を表し、Tgi(i=1、2、・・・n)は、モノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)を表し、Wi(i=1、2、・・・n)は、モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す]
 第1粘着性組成物中のアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含むモノマー成分(第1モノマー成分)の重合により得られる。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいうものとする。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖状または分岐状の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが挙げられる。そのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、および(メタ)アクリル酸エイコシルが挙げられる。アクリルポリマーを形成するうえで、1種類の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてもよいし、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてもよい。
 アクリルポリマーのガラス転移温度を調整する観点からは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、メタクリル酸メチルとアクリル酸C4-12アルキルエステルとを併用するのが好ましい。これらを併用する場合、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸C4-12アルキルエステルの総量100質量部に対して、メタクリル酸メチルの配合量は、例えば5質量部以上であり、例えば20質量部以下であり、また、アクリル酸C4-12アルキルエステルの配合量は、例えば80質量部以上であり、例えば95質量部以下である。
 第1モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上であり、また、例えば80質量%以下である。
 第1モノマー成分は、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な官能基含有ビニルモノマーを含む。官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、窒素含有ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリルなどシアノ基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルなどグリシジル基含有ビニルモノマー、スルホ基含有ビニルモノマー、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどリン酸基含有ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、および、メチルビニルエーテルなどビニルエーテルモノマーが挙げられる。
 ヒドロキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(メタ)アクリル酸4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
 カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、カルボキシペンチル(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。また、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、無水マレイン酸や無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマーも挙げられる。
 窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-アクリロイルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、およびN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。
 スルホ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸およびアリルスルホン酸が挙げられる。
 芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、およびα-メチルスチレンが挙げられる。
 ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルが挙げられる。
 アクリルポリマーを形成するうえでは、1種類の官能基含有ビニルモノマーを用いてもよいし、2種類以上の官能基含有ビニルモノマーを用いてもよい。アクリルポリマーに架橋構造を導入するという観点からは、官能基含有ビニルモノマーとして、ヒドロキシル基含有ビニルモノマーおよび/またはカルボキシル基含有ビニルモノマーを用いるのが好ましい。粘着剤層22において充分な凝集力を確保するという観点からは、官能基含有ビニルモノマーとして、窒素含有ビニルモノマーを用いるのが好ましく、窒素含有ビニルモノマーと共にヒドロキシル基含有ビニルモノマーおよび/またはカルボキシル基含有ビニルモノマーを用いるのが好ましい。
 第1モノマー成分における官能基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
 上述のアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む以上のような第1モノマー成分を重合させることによって形成することができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、および乳化重合が挙げられ、好ましくは溶液重合が挙げられる。
 溶液重合では、例えば、第1モノマー成分と重合開始剤とを溶媒に配合して反応溶液を調製したうえで、その反応溶液を加熱する。そして、反応溶液中での第1モノマー成分の重合反応を経ることによって、アクリルポリマーを含むアクリルポリマー溶液を得ることができる。
 溶液重合によって得られるアクリルポリマー溶液の固形分濃度は、例えば20質量%以上であり、例えば80質量%以下である。アクリルポリマーの重量平均分子量は、例えば100000以上、好ましくは300000以上、より好ましくは500000以上であり、例えば5000000以下、好ましくは3000000以下、より好ましくは2000000以下である。アクリルポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)により測定してポリスチレン換算により算出された値とする。
 第1粘着性組成物におけるアクリルポリマーの配合割合は、例えば50質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、また、例えば90質量%以下である。第1粘着性組成物中のアクリルポリマーと光硬化剤と光重合開始剤との総量に対するアクリルポリマーの配合量の割合は、例えば70質量%以上であり、また、例えば95質量%以下である。
 第1粘着性組成物中の光硬化剤は、例えば多官能(メタ)アクリレートであり、活性エネルギー線の照射によって粘着剤層22の粘着力を充分に上昇させることができるという観点から、好ましくは2官能(メタ)アクリレートおよび3官能(メタ)アクリレートが挙げられる。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびグリセリンジ(メタ)アクリレート挙げられる。3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート挙げられる。光硬化剤としては、他のアクリル系光反応性オリゴマー、並びに、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系などの光反応性オリゴマーも、挙げられる。これら光硬化剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 光硬化剤の官能基当量は、例えば50g/eq以上であり、例えば500g/eq以下である。光硬化剤の25℃における粘度は、例えば5mPa・s以上であり、例えば1000mPa・s以下である。光硬化剤の分子量は、第1粘着性組成物中での相溶性の観点から、例えば200以下であり、例えば1000以上である。
 上述のアクリルポリマーに対する光硬化剤の相溶性は、低い方が好ましい。アクリルポリマーに対する光硬化剤の相溶性が低いという構成は、後述のように、粘着剤層22粘着力について、事後的に高粘着力状態へと変化させることが可能な低粘着力状態を実現するうえで好ましい。
 第1粘着性組成物における光硬化剤の配合割合は、例えば10質量%以上であり、また、例えば50質量%以下である。第1粘着性組成物中の光硬化剤の配合量は、アクリルポリマー100質量部に対して、例えば10質量部以上であり、例えば50質量部以下、好ましくは30質量部以下である。第1粘着性組成物中のアクリルポリマーと光硬化剤と光重合開始剤との総量に対する光硬化剤の配合量の割合は、例えば5質量%以上であり、また、例えば30質量%以下である。
 第1粘着性組成物中の光重合開始剤は、光硬化剤の硬化反応を促進するためのものであり、光硬化剤の種類などに応じて選択される。光重合開始剤としては、例えば、光カチオン開始剤(光酸発生剤)、光ラジカル開始剤、および光アニオン開始剤(光塩基発生剤)挙げられる。光ラジカル開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのヒドロキシケトン類、ベンジルジメチルケタール類、アミノケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、およびトリクロロメチル基含有トリアジン誘導体挙げられる。これら光重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上述の光硬化剤として多官能(メタ)アクリレートが用いられる場合には、光重合開始剤としては、好ましくは光ラジカル開始剤が用いられ、より好ましくはヒドロキシケトン類が用いられる。このような光重合開始剤の光吸収域は、例えば300nm以上であり、また、例えば450nm以下である。
 第1粘着性組成物における光重合開始剤の配合割合は、例えば、0.01質量%以上であり、また、例えば0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。第1粘着性組成物中の光重合開始剤の配合量は、アクリルポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であり、また、例えば1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。第1粘着性組成物中のアクリルポリマーと光硬化剤と光重合開始剤との総量に対する光重合開始剤の配合量の割合は、例えば0.01質量%以上であり、また、例えば1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下である。
 第1粘着性組成物を調製するには、アクリルポリマー(溶液重合によりアクリルポリマーを調製した場合には、アクリルポリマー溶液)と、光硬化剤と、光重合開始剤とを上記の割合で配合し、混合する。
 第1粘着性組成物には、アクリルポリマーに架橋構造を導入させる観点から、好ましくは、架橋剤を配合する。ヒドロキシル基やカルボキシル基など架橋点を有するアクリルポリマーと架橋剤とを第1粘着性組成物に配合する場合、アクリルポリマーの架橋点と架橋剤とが反応し得て、アクリルポリマーに架橋構造を導入しうるのである。そのための架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、および金属キレート系架橋剤挙げられ、好ましくはイソシアネート系架橋剤が挙げられる。
 イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネートやシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートや4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、これらイソシアネートの誘導体(例えば、イソシアヌレート変性体やポリオール変性体など)も挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、市販品を用いることもできる。その市販品としては、例えば、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHL(へキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体,東ソー製)、および、タケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,三井化学製)が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 架橋剤の官能基当量は、例えば50g/eq以上であり、また、例えば500g/eq以下である。
 第1粘着性組成物中の架橋剤の配合割合は、アクリルポリマー100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2.0質量部以上であり、また、例えば10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
 第1粘着性組成物に以上のような架橋剤を配合する場合、架橋反応を促進させるための架橋触媒を第1粘着性組成物に配合してもよい。
 架橋触媒としては、例えば、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレートなどの金属系架橋触媒が挙げられる。架橋触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 第1粘着性組成物中の架橋触媒の配合割合は、アクリルポリマー100質量部に対して、例えば0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、例えば0.05質量部以下である。
 第1粘着性組成物には、必要に応じて他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤(蛍光灯下または自然光下での安定化の観点から)、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤が挙げられる。
 上述の第2粘着性組成物は、ベースポリマー(第1ポリマー)と、オルガノシロキサン含有ポリマー(第2ポリマー)とを含む。
 ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、天然ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、およびシリコーンゴムが挙げられる。粘着力の制御の観点からは、ベースポリマーとしてはアクリルポリマーが好ましい。
 ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば0℃以下、好ましくは-100℃~-5℃、より好ましくは-80℃~-10℃、さらに好ましくは-40℃~-10℃である。このような構成は、第2粘着性組成物におけるベースポリマーの流動性を確保するうえで好適であり、従って、加熱によって第2粘着性組成物を高粘着力状態に変化させるうえで好適である。
 第2粘着性組成物中のアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含むモノマー成分(第2モノマー成分)の重合により得られる。
 第2モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、上述の第1モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同様のものを用いることができる。第2モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上であり、また、例えば80質量%以下である。
 第2モノマー成分は、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な官能基含有ビニルモノマーを含む。官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、上述の第1モノマー成分中の官能基含有ビニルモノマーと同様のものを用いることができる。第2モノマー成分における官能基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
 第2粘着性組成物中のアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含む第2モノマー成分を重合させることによって形成することができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、および乳化重合が挙げられ、好ましくは溶液重合が挙げられる。
 第2粘着性組成物中のアクリルポリマーとオルガノシロキサン含有ポリマーとの総量に対するアクリルポリマーの配合量の割合は、例えば70質量%以上であり、また、例えば99質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
 オルガノシロキサン含有ポリマーとしては、例えば、オルガノシロキサン骨格を有するアクリル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、およびポリブタジエン系のポリマーが挙げられ、粘着力の制御の観点からは、オルガノシロキサン骨格を有するアクリル系ポリマーが好適に用いられる。
 オルガノシロキサン骨格を有するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとオルガノシロキサン骨格を有するモノマーとを含むモノマー成分(第3モノマー成分)の重合により得られる。第3モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、上述の第1モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同様のものを用いることができる。オルガノシロキサン骨格含有モノマーとしては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物または一般式(2)で表される化合物を、用いることができる。一般式(1)(2)において、Rは水素またはメチル基を表し、Rはメチル基または1価の有機基を表し、mおよびnは0以上の整数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 オルガノシロキサン骨格含有モノマーとしては、市販品を用いることもでき、具体的には、X-22-174ASX、X-22-2426、X-22-2475、およびKF-2012(以上、信越化学工業株式会社製の片末端反応性シリコーン)が挙げられる。
 オルガノシロキサン骨格含有モノマーの官能基当量は、例えば700g/mol以上、好ましくは800g/mol以上、より好ましくは850g/mol以上、さらに好ましくは1500g/mol以上であり、また、例えば20000g/mol未満、好ましくは15000g/mol未満、より好ましくは10000g/mol未満、さらに好ましくは6000g/mol未満、とりわけ好ましくは5000g/mol未満である。
 第3モノマー成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびオルガノシロキサン骨格含有モノマーの総量に対するオルガノシロキサン骨格含有モノマーの配合量の割合は、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、例えば60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
 第3モノマー成分は、官能基含有ビニルモノマーを含んでもよい。官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、上述の第1モノマー成分中の官能基含有ビニルモノマーと同様のものを用いることができる。
 第2粘着性組成物中のオルガノシロキサン含有ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとオルガノシロキサン骨格含有モノマーとを含み且つ必要に応じて官能基含有ビニルモノマーを含む第3モノマー成分を重合させることによって形成することができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、および乳化重合が挙げられ、好ましくは溶液重合が挙げられる。溶液重合では、例えば、第3モノマー成分と例えば上述の重合開始剤とを溶媒に配合して反応溶液を調製したうえで、その反応溶液を加熱する。そして、反応溶液中での第3モノマー成分の重合反応を経ることによって、オルガノシロキサン含有ポリマーを含むポリマー溶液を得ることができる。この重合反応においては、形成されるポリマーの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いてもよい。
 第2粘着性組成物には、それに配合されるアクリルポリマーおよび/またはオルガノシロキサン含有ポリマーに架橋構造を導入させる観点から、好ましくは、架橋剤を配合する。第2粘着性組成物中の架橋剤としては、例えば、第1粘着性組成物中の架橋剤として上述したのと同様のものを用いることができる。
 第2粘着性組成物には、必要に応じて他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤(蛍光灯下または自然光下での安定化の観点から)、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤挙げられる。
 第2粘着性組成物におけるオルガノシロキサン含有ポリマーの配合割合は、アクリルポリマー100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、とりわけ好ましくは1質量部以上、最も好ましくは2質量部以上であり、また、例えば75質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、とりわけ好ましくは8質量部以下、最も好ましくは5質量部以下である。
 粘着剤層22の厚さは、被着体10に対する充分な粘着性を確保するという観点から、例えば5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、また、ハンドリング性の観点から、例えば300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、とりわけ好ましくは30μm以下である。
 積層体Xでは、図2を参照して上述したように、被着体10上のフィルム部分20Aの基材21においてフィルム部分20Bに対向する端面21aは、被着体10から離れる箇所ほどフィルム部分20A内方側に退避するように傾斜し、且つ、被着体10上のフィルム部分20Bの基材21においてフィルム部分20Aに対向する端面21bは、被着体10から離れる箇所ほどフィルム部分20B部分内方側に退避するように傾斜している。このような構成は、被着体10におけるフィルム部分20A,20B間領域を図2内の矢印Rで示す方向に屈曲させて積層体Xを折り返す場合に、当該屈曲につき屈曲代を確保するのに適する(即ち、フィルム部分20A,20Bどうしの当接を抑制するのに適する)。このような技術的効果を得るうえで、例えば、フィルム部分20A,20B間の距離に応じて端面21a,21bの上記各傾斜角度αが適宜に設定される。
 仮に、端面21aが上述のように傾斜しておらず被着体10の第2面12に対して垂直である場合、隣り合うフィルム部分20A,20B間の距離によっては、フィルム部分20A,20Bの端面21a,21bどうしが干渉し合い、積層体Xが適切な折り返し形態をとることができない。
 これに対し、本発明の一実施形態に係る積層体Xにおいては、端面21a,21bが上述のように傾斜しているため、フィルム部分20A,20B間領域での被着体10の屈曲(矢印Rで示す方向への屈曲)につき屈曲代が確保されうる。そのため、フィルム部分20Aないしその端面21aとフィルム部分20Bないしその端面21bとが近接配置する場合においても、適切な折り返し形態をとりやすい。
 このような積層体Xでは、被着体10についてそのフィルム20貼着面を内側にした適切な折り返し形態をとりやすい。加えて、このように適切な折り返し形態をとりやすい積層体Xは、被着体10上のフィルム部分20A,20B間距離について短く設計しやすく、従って小型化や軽量化を図りやすい。
 加えて、積層体Xにおいては、上述のように、フィルム部分20Aにおける粘着剤層22はフィルム部分20B側縁端に変性部22aを有し、且つ、フィルム部分20Bにおける粘着剤層22はフィルム部分20A側縁端に変性部22bを有する。このような構成は、フィルム部分20A,20Bの端面21a,21bにおいて粘着剤層構成成分のブリードアウトを抑制するのに適する。
 図3Aから図3Dは、上述の積層体Xの製造方法を表す。本製造方法は、用意工程と、貼付け工程と、カット工程と、剥離工程と、粘着力上昇工程とを含む。
 まず、用意工程では、図3Aに示すように、フレキシブル被着体である上述の被着体10とフィルム20'を用意する。被着体10は、上述のような第1面11および第2面12を有する。フィルム20'は、上述の基材21および上述の低粘着力状態にある粘着剤層22を含む。
 フィルム20'は、例えば、基材21上に粘着性組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜から必要に応じて溶媒を乾燥除去することによって、製造することができる。粘着性組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。溶媒除去のための乾燥温度は、例えば50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上であり、また、例えば200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下である。その乾燥時間は、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上であり、また、例えば20分以下、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下である。用いる粘着性組成物が架橋剤を含む場合、上述の乾燥と同時に又はその後のエージングによって、粘着性組成物中の架橋剤が関与する架橋反応を進行させる。エージング条件は、架橋剤の種類によって適宜設定される。エージング温度は、例えば20℃以上であり、また、例えば160℃以下、好ましくは100℃以下である。エージング時間は、例えば1分以上、好ましくは12時間以上、より好ましくは1日以上であり、また、例えば7日以下である。また、製造後のフィルム20'については、必要に応じて、粘着剤層22における基材21とは反対の側に剥離フィルムを積層してもよい。そのような剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルムなどの可撓性のプラスチックフィルムが挙げられる。
 次に、貼付け工程では、図3Bに示すように、被着体10に対してフィルム20'を貼り付ける。フィルム20'は、その粘着剤層22側にて被着体10の第2面12側に貼り付けられる。フィルム20'の粘着剤層22(低粘着力状態にある)の粘着力は、例えば4N/25mm以下、好ましくは1N/25mm以下である。粘着剤層22を伴うフィルム20'の粘着力は、フィルム20'から必要に応じて切り出した試験片をポリイミドフィルムの表面に25℃で貼着した後に当該ポリイミドフィルムから剥離する剥離試験によって測定される値とする。その剥離試験においては、剥離温度を25℃とし、剥離角度を180°とし、剥離速度を300mm/分とする。
 フィルム20'の粘着剤層22が上述の第1粘着性組成物(アクリルポリマーと光硬化剤と光重合開始剤とを含む)よりなる場合、粘着剤層22内の光硬化剤が未硬化な状態にあるために粘着剤層22が低粘着力状態をとりうる。フィルム20'の粘着剤層22が上述の第2粘着性組成物(アクリルポリマーとオルガノシロキサン含有ポリマーとを含む)よりなる場合、粘着剤層22内のオルガノシロキサン含有ポリマーの側鎖であるポリオルガノシロキサン部位が、粘着剤層22内において相対的に低極性であって粘着剤層22の被着体10側表面とその近傍に偏在する傾向にあるために、粘着剤層22が低粘着力状態をとりうる。
 貼付け工程に用いられるフィルム20'の粘着剤層22が低粘着力状態にあるという構成は、本工程でのリワーク性を確保するうえで好適である。本工程において貼付け不良(被着体10に対するフィルム20'の位置ずれや、被着体10とフィルム20'との間への気泡の混入)が生じた場合に、代わりのフィルム20'での貼り付け作業を行いうるよう、フィルム20'には、被着体10から適切に剥離するための軽剥離性が求められる。粘着剤層22が低粘着力状態にあるフィルム20'(その粘着剤層22は事後的に高粘着力状態へと変化可能である)は、被着体10に対するフィルム20'の貼り付け作業に関してリワーク性を確保するとともに、適切な貼付け後に被着体10への充分な接合状態を確保するのに、適する。
 次に、カット工程では、図3Cに示すように、被着体10上のフィルム20'に対してカット溝Gを形成するカット加工を施し(図3Cではカット溝を模式的に太線で表す)、フィルム20'において、離隔する二つの第1領域部S1と第1領域部S1間の第2領域部S2とを区画形成する。第1領域部S1は、製造される積層体Xにおける上述のフィルム20(フィルム部分20A,20B)をなすこととなる領域である。第2領域部S2は、後述のように除去される領域である。本工程でのカット加工の手法としては、例えば、刃物切断およびレーザー切断が挙げられる。刃物切断を行うための刃物としては、例えば、回転刃、トムソン刃、およびピナクル刃が挙げられる。レーザー切断を行うためのレーザーとしては、例えば、COレーザーやYAGレーザー挙げられる。
 カット工程において、各第1領域部S1と第2領域部S2とを区分するカット溝Gは、図4に示すように、被着体10から基材21側に向かって離れるほど幅広である。カット溝Gは、断面V字形状を有するV字溝である。すなわち、各第1領域部S1における第2領域部S2側の切断端面Gaは、被着体10から離れる箇所ほど第1領域部S1の内方側に退避するように傾斜している。カット溝Gの切断端面Gaの傾斜の程度(例えば上記傾斜角度αに相当する角度)については、刃物切断においては使用刃物の刃先の刃角を適宜に選択することによって調整することが可能であり、レーザー切断においては使用レーザーの照射エネルギーや照射径、照射位置など照射条件を適宜に調整することによって調整することが可能である。
 また、本実施形態におけるカット工程では、各第1領域部S1の粘着剤層22において、第2領域部S2との間のカット溝Gに臨む変性部22a,22bを形成する。変性部22a,22bは、例えば、カット溝形成時の粘着剤層22の局所的昇温によって形成することができる。上述のように、変性部22a,22bは、粘着剤層22構成成分のブリードアウトを抑制するのに適する。
 このようなカット工程において、各第1領域部S1と第2領域部S2とを区分するカット溝Gは、フィルム20'に対してその基材21側から粘着剤層22の途中までのハーフカットによって形成されてもよい。ハーフカットでは、基材21がその厚さ方向の全体にわたって切断され且つ粘着剤層22の厚さ方向の途中の位置まで切り込まれる。ハーフカットにおける粘着剤層22に対する切込み深さは、粘着剤層22の厚さ全体(100%)における例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であり、例えば100%未満、好ましくは99%以下、より好ましくは98%以下である。このようなハーフカット後の粘着剤層22における残存厚さについては、粘着剤層22における粘弾性など物性および剥離力との関係で適宜に設定することができる。
 このようなハーフカット加工は、レーザー切断など切断加工により生ずる熱の被着体10への影響を軽減するのに適し、従って、カット工程を経ることに起因する熱履歴が被着体10に生ずるのを抑制するのに適する。例えば、被着体10がフレキシブルディスプレイパネルやフレキシブルプリント配線基板などの電子デバイスである場合、上述のようなハーフカット加工は、被着体10の第1面11側に設けられている各種素子や配線に対する熱的影響を回避・軽減するうえで好適である。
 次に、剥離工程では、図3Dに示すように、第1領域部S1間に区画形成された第2領域部S2を被着体10から剥離する。被着体10上の第2領域部S2における粘着剤層22は上述のように低粘着力状態にあるところ、このような構成は、被着体10から第2領域部S2を適切に剥離するうえで好ましい。
 また、剥離工程に先行するカット工程において上述のようにハーフカットを行うことは、本剥離工程において、いわゆる糊残りを抑制するうえで好適である。被着体10上のフィルム20'についてその厚さ方向全体にわたって切断する場合、その切断手法および切断条件によっては、被着体10とフィルム20'の粘着剤層22との界面およびその近傍にある粘着剤層構成材料における局所的な昇温や押圧力の作用に起因して、当該界面に臨む粘着剤層22の一部が被着体10に固着しやすくなる(粘着剤の局所的固着)。例えば、粘着剤層22が上述の第1粘着性組成物よりなる場合には、同組成物中の多官能(メタ)アクリレートなど光硬化剤が硬化することによってそのような粘着剤の局所的固着が生ずる。カット工程において、上述のようなハーフカットによってカット溝Gの底端と被着体10との間に未切断の粘着剤部分を残しておくという構成は、上記界面とその近傍にある粘着剤層構成材料における局所的な昇温や押圧力の作用を回避するのに適する。そして、上述のようなハーフカットによってカット溝Gの底端と被着体10との間に未切断の粘着剤部分を残しておくという構成は、当該粘着剤残存部分の凝集力を利用して被着体10表面から第2領域部S2ないしその粘着剤層22を粘着剤残渣(糊残り)なく剥離するうえで好ましいことがあるのである。
 次に、粘着力上昇工程では、第1領域部S1における粘着剤層22の粘着力を上昇させる。フィルム20'の粘着剤層22が上述の第1粘着性組成物(アクリルポリマーと光硬化剤と光重合開始剤とを含む)よりなる場合、剥離工程では、粘着剤層22に対して紫外線や電子線など活性エネルギー線を照射する。これにより、粘着剤層22内の光硬化剤の重合ないし硬化を経て、粘着剤層22が高粘着力状態に至る。フィルム20'の粘着剤層22が上述の第2粘着性組成物(アクリルポリマーとオルガノシロキサン含有ポリマーとを含む)よりなる場合、剥離工程では、粘着剤層22を加熱する。加熱温度は、例えば40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、また、例えば150℃未満、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。加熱時間は、例えば1時間以下、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下、さらに好ましくは5分以下であり、また、例えば1分以上である。このような加熱により、粘着剤層22内のアクリルポリマーとオルガノシロキサン含有ポリマーとの相溶性が高まり、オルガノシロキサン含有ポリマーないしその側鎖であるポリオルガノシロキサン部位(低粘着力状態では粘着剤層22の被着体10側表面とその近傍に偏在する傾向にある)が熱拡散し、粘着剤層22の被着体10側表面とその近傍におけるアクリルポリマーの存在割合が上昇する。これによって粘着剤層22が高粘着力状態に至る。高粘着力状態にある粘着剤層22の粘着力は、例えば5N/25mm以上、好ましくは8N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上、さらに好ましくは12N/25mm以上である。また、低粘着力状態にある粘着剤層22の粘着力に対し、高粘着力状態にある粘着剤層22の粘着力は、例えば2倍以上、好ましくは4倍以上、より好ましくは8倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。
 本工程では、第1領域部S1の粘着剤層22に対する上述のような活性エネルギー線照射や加熱などの外部刺激によって、被着体10上の各第1領域部S1の粘着剤層22を高粘着力状態へと変化させる。これにより、フィルム20由来の第1領域部S1において被着体10に対する貼着状態が強固となる。このような構成は、第1領域部S1を構造材として積層体Xに残すうえで好適である。粘着剤層22が高粘着力状態にある第1領域部S1は、積層体Xにおけるフィルム部分20A,20Bをなす。
 以上のような各工程を含む積層体製造方法によると、上述の積層体Xを適切に製造することができる。そのため、本製造方法によると、製造される積層体Xにおいて、積層体Xについて上述したのと同様の効果を享受することができる。また、本製造方法では、補強材としての複数のフィルム部分20A,20Bのそれぞれを個別に被着体10に貼り付ける必要はない。このような製造方法は、積層体Xやそれが組付けられるデバイスの製造の効率化に資する。
 本発明の積層体は、例えば、複数の補強フィルムが同一面側に貼着しているフレキシブルなデバイス構成部品に適用できる。
X       積層体
10      被着体(フレキシブル被着体)
20      フィルム(補強フィルム)
20A     フィルム部分(第1フィルム部分)
20B     フィルム部分(第2フィルム部分)
21      基材
21a     端面(第1傾斜端面)
21b     端面(第2傾斜端面)
22      粘着剤層
22a,22b 変性部
S1      第1領域部
S2      第2領域部
G       カット溝

Claims (5)

  1.  フレキシブル被着体と、
     基材と前記基材上の粘着剤層とを含み且つ前記粘着剤層側にて前記フレキシブル被着体に貼着している補強フィルムと、を備える積層体であって、
     前記補強フィルムは、前記フレキシブル被着体上において離隔して隣り合う第1補強フィルム部分および第2補強フィルム部分を含み、
     前記第1補強フィルム部分の前記基材は、前記第2補強フィルム部分に対向する第1傾斜端面を有し、当該第1傾斜端面は、前記フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第1補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜し、
     前記第2補強フィルム部分の前記基材は、前記第1補強フィルム部分に対向する第2傾斜端面を有し、当該第2傾斜端面は、前記フレキシブル被着体から離れる箇所ほど第2補強フィルム部分内方側に退避するように傾斜している、ことを特徴とする積層体。
  2.  前記第1補強フィルム部分の前記粘着剤層は前記第2補強フィルム部分側縁端に変性部を有し、前記第2補強フィルム部分の前記粘着剤層は前記第1補強フィルム部分側縁端に変性部を有する、請求項1に記載の積層体。
  3.  基材と前記基材上の粘着剤層とを含む補強フィルムを前記粘着剤層側にてフレキシブル被着体に貼り付ける工程と、
     前記フレキシブル被着体上の前記補強フィルムに対してカット溝を形成する加工を施して、当該補強フィルムにおいて、離隔する二つの第1領域部と前記第1領域部間の第2領域部とを区画形成するカット工程であって、各第1領域部と前記第2領域部とを区分するカット溝は、前記フレキシブル被着体から離れるほど幅広である、カット工程と、
     前記第2領域部を前記フレキシブル被着体から剥離する工程と、
     前記第1領域部における粘着剤層の粘着力を上昇させる粘着力上昇工程と、を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  4.  前記カット工程では、各第1領域部の粘着剤層において、前記第2領域部との間の前記カット溝に臨む変性部を形成する、請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5.  前記カット工程において、各第1領域部と前記第2領域部とを区分する前記カット溝は、前記補強フィルムに対してその基材側から粘着剤層の途中までのハーフカットによって形成される、請求項3に記載の積層体の製造方法。
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