WO2020145154A1 - シリンダヘッドの製造方法 - Google Patents

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小島 光高
村田 真一
広司 石井
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三菱自動車工業株式会社
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
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    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F1/42Shape or arrangement of intake or exhaust channels in cylinder heads

Definitions

  • the method of manufacturing the cylinder head of the present invention has been devised in view of such problems, and it secures the sealing surface on the combustion chamber side and prevents resin leakage even if the cylinder head itself is not subjected to additional processing such as processing.
  • One of the purposes is to do.
  • the present invention is not limited to this purpose, and it is also for the other purpose of the present invention to provide operational effects that are obtained by the respective configurations shown in the modes for carrying out the invention to be described later and that cannot be obtained by the conventional technology. is there.
  • an insertion hole 7 (second hole) through which a valve guide (not shown) is inserted and a port injection valve mounting hole 5 are both formed so as to communicate with the intake port 11.
  • the intake port portion 11 is provided with an expanded portion 16 which is formed so as to spread to the side where the port injection valve is attached (upper side in FIG. 4), an opening 5a of the attachment hole 5 and an opening 7a of the insertion hole 7. ing.
  • the resin part 20 is configured to have two parts having a boundary in a direction intersecting with the flow direction of intake air.
  • One part (hereinafter referred to as “first resin part 20a”) is a terminal part located at the most downstream part of the resin part 20 in the intake flow direction, and the other part (hereinafter referred to as “second resin part 20b").
  • first resin part 20a is a terminal part located at the most downstream part of the resin part 20 in the intake flow direction
  • second resin part 20b Is a portion which is provided continuously with the first resin portion 20a on the upstream side of the first resin portion 20a in the intake air flow direction (hereinafter, simply referred to as “upstream side”) and covers the inner surface of the intake port portion 11 in a wide range. is there.
  • the materials of the first resin portion 20a and the second resin portion 20b may be the same or different from each other.
  • the first resin portion 20a is preferably made of a material having higher flexibility than the second resin portion 20b.
  • the sealing member 21 and the molten resin are integrated by solidifying the molten resin, and after one resin portion 20 having the first resin portion 20a and the second resin portion 20b is formed, [ YES route in step S35 of FIG. 6A], the slide die 30 is pulled out from the intake port portion 11 [fourth step S40 of FIG. 6A].
  • the valve mold 35 is removed from the mounting hole 5 for mounting the port injection valve, and the side mold 34, the center mold 33, the lower mold 32, and the upper mold 31 are removed from the intake port portion 11 in this order. ..
  • the valve mold 35 may be removed at any timing before the upper mold 31 is removed, and more preferably immediately before the upper mold 31 is removed.
  • the resin portion 20 and the seal member 21 described above are examples, and the present invention is not limited to those described above.
  • the resin portion 20 having the two portions 20a and 20b is illustrated in the above-described embodiment, the resin portion 20 may have three or more portions.
  • it has a third part which is provided continuously to the second resin part 20b and seals the upstream end of the intake port part 11, and a part which is solidified in the injection port 9 for pouring the molten resin. It may be a resin part.
  • the seal member 21 fitted into the stepped portion 14 of the bifurcated intake port portion 11 may be divided without the connecting portion 21b, or the wall portion 21c may be omitted.
  • three or more annular portions 21a may be provided.

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Abstract

燃焼室に連通するとともに吸気流れ方向の中途に段差部を有する吸気ポート部が形成されたシリンダヘッド本体を備えたシリンダヘッドの製造方法である。この製造方法は、シリンダヘッド本体の壁部に形成された吸気ポート部の開口から樹脂製のシール部材を挿入して段差部に嵌め込む第一ステップS10と、第一ステップS10後、吸気ポート部に型を挿入してシール部材に密着させる第二ステップS20と、第二ステップS20後、型が配置されている吸気ポート部の内部に溶融樹脂を供給する第三ステップS30と、第三ステップS30後、溶融樹脂が固化することでシール部材と一体化した樹脂部が形成された以降に、型を吸気ポート部から抜き取る第四ステップS40と、を備えている。

Description

シリンダヘッドの製造方法
 本発明は、燃焼室に連通する吸気ポート部が形成されたシリンダヘッド本体を有するシリンダヘッドの製造方法に関する。
 一般的なエンジンのシリンダヘッドは、例えばアルミニウムやアルミニウム合金を用いた鋳造によって成型されており、熱伝導率が比較的高い。そのため、燃焼室へと繋がる吸気ポートは、燃焼室から伝わる熱によって加熱され、吸気ポートを流通する吸気の温度上昇を招く。吸気の温度が上昇すると吸入空気量が減少するとともにノッキングが発生しやすくなり、エンジン性能を低下させる可能性がある。このような課題に対し、例えば特許文献1には、吸気ポートの内面に樹脂製の断熱部材を配置して、吸気の温度上昇を抑制するようにしたエンジンの吸気通路構造が開示されている。
特開2018-3601号公報
 吸気ポートの内面に樹脂製の断熱部材を配置する方法としては、上記の特許文献1のように射出成型が挙げられる。すなわち、鋳造によって成型されたシリンダヘッドの吸気ポート部分に型枠を挿入して固定し、吸気ポート部分の内面と型枠の外面との間の空間に樹脂を充填する方法である。この方法を採用する場合には、上記の空間以外に樹脂が漏れないようシール面を確保することが重要になる。しかしながら、シリンダヘッド自体は鋳物であることから寸法精度が粗く、シール面の確保が難しいという課題がある。これに対し、吸気ポート部分の内面を機械加工してシール面を確保することも考えられるが、燃焼室側の狭い空間に工具を挿入して機械加工することは、加工時間,加工精度,加工コスト等を考慮すると困難である。
 本件のシリンダヘッドの製造方法は、このような課題に鑑み案出されたもので、シリンダヘッド自体に加工等の追加処理を施さなくても燃焼室側のシール面を確保し、樹脂漏れを防止することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
 (1)ここで開示するシリンダヘッドの製造方法は、燃焼室に連通する吸気ポート部が形成されたシリンダヘッド本体を有するシリンダヘッドの製造方法である。前記吸気ポート部における吸気流れ方向の中途には、前記吸気流れ方向に直交する断面の大きさが変化する段差部が形成されている。この製造方法は、前記シリンダヘッド本体の壁部に形成された前記吸気ポート部の開口から樹脂製のシール部材を挿入して前記段差部に嵌め込む第一ステップと、前記第一ステップ後、前記吸気ポート部に型を挿入して前記シール部材に密着させる第二ステップと、前記第二ステップ後、前記型が配置されている前記吸気ポート部の内部に溶融樹脂を供給する第三ステップと、前記第三ステップ後、前記溶融樹脂が固化することで前記シール部材と一体化した樹脂部が形成された以降に、前記型を前記吸気ポート部から抜き取る第四ステップと、を備えている。
 (2)前記型は、前記吸気ポート部に対して抜き挿しする方向に沿って分割された複数の部品が組み合わされて構成されているスライド型であることが好ましい。
 (3)前記シリンダヘッド本体には、ポート噴射弁を取り付けるための第一孔部が前記吸気ポート部と連通するように形成されており、前記吸気ポート部の前記段差部よりも前記吸気流れ方向の上流側には、前記第一孔部側に広がった拡張部と前記第一孔部の開口とが形成されており、前記スライド型は、前記拡張部を含む上部に配置される上方型と、前記上方型よりも下方に配置される下方型と、前記上方型及び前記下方型の間に配置される中央型と、少なくとも前記中央型の両側方に配置される側方型と、前記第一孔部に挿通される弁型と、を有することが好ましい。この場合、前記第二ステップでは、前記吸気ポート部の開口から、前記上方型、前記下方型、前記中央型、前記側方型の順に挿入するとともに、前記第一孔部に前記弁型を挿入することが好ましい。
 (4)前記第四ステップでは、前記第一孔部から前記弁型を抜き取るとともに、前記吸気ポート部から前記側方型、前記中央型、前記下方型、前記上方型の順で抜き取ることが好ましい。
 (5)前記吸気ポート部は、前記吸気ポート部の開口から前記段差部までの部分が直線状に形成されていることが好ましい。
 (6)前記シリンダヘッド本体には、バルブガイドが挿通される第二孔部が前記吸気ポート部と連通するように形成されており、前記段差部は、前記第二孔部の開口よりも前記吸気流れ方向の上流側に位置することが好ましい。
 (7)前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれた状態で前記吸気ポート部の内面に沿う壁部を有することが好ましい。
 (8)前記吸気ポート部は、二つの吸気バルブ孔を介して前記燃焼室と連通する二股形状に形成されており、前記段差部は、前記吸気ポート部の二股に分かれる分岐点又は前記分岐点よりも前記吸気流れ方向の下流側に位置し、前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれる環状部を複数有することが好ましい。
 (9)前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれる二つの前記環状部が連結された形状であることが好ましい。
 (10)前記環状部を連結する連結部は、前記環状部よりも薄肉に形成された薄肉部を有することが好ましい。
 開示のシリンダヘッドの製造方法によれば、吸気ポート部の段差部にシール部材を嵌め、そこに型を密着させた状態で溶融樹脂を流し込んでシール部材と一体化させるため、溶融樹脂の漏れを防止できる。これにより、鋳造品であるシリンダヘッド自体に追加処理を施さなくても燃焼室側のシール面を確保でき、樹脂漏れを防止することができる。
実施形態に係る製造方法で製造されたシリンダヘッドの吸気側部分をエンジンのフロント側から見た模式的な正面図である。 図1のシリンダヘッドを吸気側から見た模式的な側面図(図1のA方向矢視図)である。 図1のシリンダヘッドの吸気ポート周辺の構成を示す断面図(図2のB-B矢視断面図)である。 図3の断面図から樹脂部を除いてシリンダヘッド本体のみを示す断面図である。 シール部材を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は吸気ポート部に挿入するときの状態を示す平面図である。 (a)は実施形態に係る製造方法の手順を説明するフローチャートであり、(b)及び(c)は図6(a)のサブフローチャートである。 図5(c)に示す状態のシール部材を吸気ポート部に挿入するときの状態を示す拡大側面図である。 図4に示す吸気ポート部の段差部に、シール部材を嵌めた状態を示す断面図である。 図3に示す吸気ポートを成型するためのスライド型の一例を示す斜視図であり、(a)は完全に組み立てた状態、(b)は全ての型を分解した状態である。 図9(a)に示すスライド型を挿入した状態を示す断面図(図2のB-B矢視断面図に相当する断面図)である。 (a)は図10のD部拡大図であり、(b)は図10のE部拡大図である。 図3に示す吸気ポートを成型するためのスライド型の他の例を示す斜視図であり、(a)は完全に組み立てた状態、(b)は一方の側方型をずらした状態である。 図12(a)に示すスライド型を挿入した状態を示す断面図である。 図12(a)に示すスライド型を挿入した状態を示す断面図(図1のC-C矢視断面図に相当する断面図)である。
 図面を参照して、実施形態としてのシリンダヘッドの製造方法について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.シリンダヘッドの構造]
 図1は、本実施形態に係る製造方法により製造されたシリンダヘッド1の吸気側部分をフロント側から見た模式的な正面図であり、図2はこのシリンダヘッド1の側面図(図1のA方向矢視図)である。シリンダヘッド1は、例えば車両に搭載されるエンジンを構成する部品である。本実施形態の製造方法は、後述するシリンダヘッド本体10の吸気ポート部11に樹脂部20を配置することでシリンダヘッド1を製造する方法である。
 なお、本実施形態では、四つの気筒が一列に並設され、一つの気筒に二つの吸気弁と二つの排気弁とが設けられるエンジンのシリンダヘッド1を例示するが、気筒数や弁の個数はこれに限られない。また、本実施形態のエンジンには、燃焼室2(図3参照)に燃料を噴射する筒内噴射弁(図示略)と、吸気ポート3に燃料を噴射するポート噴射弁(図示略)とが装備される。なお、図3は吸気ポート3の周辺の構成を示す断面図(図2のB-B矢視断面図)である。
 図2及び図3に示すように、本実施形態の製造方法で製造されるシリンダヘッド1は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金を用いた鋳造によって成型されたシリンダヘッド本体10と、後述する樹脂部20(図3参照)とを有する。シリンダヘッド1には、吸気ポート3とポート噴射弁の取付孔5(第一孔部)と筒内噴射弁の取付孔6とが気筒ごとに形成されている。吸気ポート3及び各取付孔5,6は、シリンダヘッド1の外部に開口している。また、シリンダヘッド1の吸気側の壁部1aには、筒内噴射弁に接続されるデリバリーパイプが固定される台座部8と、樹脂部20となる溶融樹脂を供給するための注入口9が形成されている。
 シリンダヘッド本体10は、シリンダヘッド1の本体部を構成するものであり、図3及び図4に示すように、燃焼室2や取付孔5,6等を有するとともに、吸気ポート3を構成する本体部としての吸気ポート部11を有する。なお、図4は図3の断面図から樹脂部20を除いてシリンダヘッド本体10のみを示す断面図である。本実施形態の吸気ポート部11は、二つの吸気バルブ孔4(図7参照)を介して燃焼室2と連通する二股形状に形成されている。なお、図3及び図4では、吸気ポート部11を二股に区分する壁部については図示を省略している。
 本実施形態のシリンダヘッド本体10には、図示しないバルブガイドが挿通される挿通孔7(第二孔部)及びポート噴射弁の取付孔5がいずれも吸気ポート部11と連通するように形成されている。また、吸気ポート部11には、ポート噴射弁が取り付けられる側(図4中の上側)に広がって形成された拡張部16と取付孔5の開口5aと挿通孔7の開口7aとが形成されている。
 図3に示すように、樹脂部20は、吸気ポート部11の内面に沿って配置され、シリンダヘッド本体10の熱が吸気へ伝わるのを抑制する断熱部材(樹脂部材)である。樹脂部20は、シリンダヘッド本体10の材質よりも熱伝導率の低い樹脂で形成されており、より好ましくは耐熱性の高い樹脂で形成される。
 樹脂部20は、吸気の流れ方向に交差する方向に境界を持つ二つの部位を有して構成されている。一方の部位(以下「第一樹脂部20a」という)は、樹脂部20のうち吸気流れ方向の最下流部に位置する端末部分であり、他方の部位(以下「第二樹脂部20b」という)は、第一樹脂部20aの吸気流れ方向の上流側(以下、単に「上流側」という)において第一樹脂部20aと連続して設けられて吸気ポート部11の内面を広範囲に被覆する部分である。第一樹脂部20a,第二樹脂部20bの材質は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。第一樹脂部20a,第二樹脂部20bを互いに異なる材質とする場合には、第一樹脂部20aの方が第二樹脂部20bよりも柔軟性が高い材質であることが好ましい。なお、図3ではわかりやすいように、第二樹脂部20bにドットを付して示す。
 図3に示すように、樹脂部20は、吸気ポート部11の全長のうち、燃焼室2側の部分(下流部)を除いて配置されている。言い換えると、吸気ポート部11には、樹脂部20が配置されない部分と配置される部分とが存在する。以下、前者の部分を露出部12といい、後者の部分を被覆部13という。すなわち、露出部12は、シリンダヘッド本体10の素材面が吸気に直接的に接触する(露出した)部分であり、被覆部13は、樹脂部20で覆われておりシリンダヘッド本体10の素材面が吸気に直接的に接触しない部分である。樹脂部20は、露出部12とともに吸気ポート3の内面を構成する。
 図3及び図4に示すように、露出部12は吸気ポート部11のうち燃焼側2側に位置し、被覆部13は露出部12よりも上流側に位置する。被覆部13は、吸気流れ方向に直交する断面形状(以下、単に「断面形状」という)が露出部12よりも一回り大きく形成されている。このため、露出部12と被覆部13との境界(吸気ポート部11における吸気流れ方向の中途)には、断面の大きさが変化する段差部14が設けられる。なお、本実施形態では、上記の拡張部16及び取付孔5の開口5aが段差部14よりも上流側に位置し、挿通孔7の開口7aが段差部14よりも吸気流れ方向の下流側(以下、単に「下流側」という)に位置する。また、本実施形態の吸気ポート部11は、シリンダヘッド本体10の壁部1aに形成された開口11aから段差部14までの部分が直線状に形成されている。吸気ポート部11の開口11aには、図示しない吸気マニホールドが接続される。
 本実施形態の段差部14は、吸気ポート部11の二股に分かれる分岐点15(図4,図7参照)又は分岐点15よりも下流側に位置する。また、段差部14は、バルブガイドの挿通孔7の開口7aよりも上流側に位置する。すなわち、一つの吸気ポート部11に二つの段差部14が設けられ、各段差部14は燃焼室2から離隔して設けられる。なお、本実施形態のシリンダヘッド本体10は、吸気ポート部11の開口11a側の端部(吸気流れ方向の上流端)が絞られており、この部分には樹脂部20が配置されない第二の露出部12′が設けられる。
 ここで、本実施形態の樹脂部20の構成について詳述する。上述したように、樹脂部20は、吸気ポート部11の段差部14に嵌まる第一樹脂部20aと、被覆部13に配置される第二樹脂部20bとを有する。第一樹脂部20aは、予め所定形状に形成されたシール部材21からなる。シール部材21の材質は特に限定されず、例えば樹脂やゴム等の弾性体を選択してもよい。一方、第二樹脂部20bは、射出成型によって吸気ポート部11内に流し込まれる溶融樹脂が固化することで形成される部分である。樹脂部20は、溶融樹脂が固化することでシール部材21と一体化された部材である。
 図5(a)及び(b)は、シール部材21の平面図及び正面図である。なお、仮に第一樹脂部20aをシリンダヘッド本体10から取り出した場合には、第一樹脂部20aも図5(a)及び(b)に示す形状と略同一の形状となっている。シール部材21は、段差部14に嵌め込まれる環状部21aを複数有する。本実施形態では、図5(a)及び(b)に示すように、段差部14に嵌め込まれる二つの環状部21aが一つの連結部21bによって連結された形状であるシール部材21を例示する。本実施形態のシール部材21は、眼鏡形状に準えることができる。
 各環状部21aは、段差部14にそれぞれ嵌め込まれる環状の部分であり、眼鏡に例えるとレンズの縁(いわゆるリム)に相当する。環状部21aは、段差部14の断面形状に一致した外形状を持ち、周方向において略一様な厚みを持つ。二つの環状部21aは、鏡面対象となるような形状に形成されており、互いに隙間をあけて隣接配置される。連結部21bは、二つの環状部21aの最も近接する部位を連結した部分であり、眼鏡に例えるとブリッジに相当する。連結部21bは、環状部21aよりも薄肉に形成された薄肉部を有しており、図5(c)に示すように、二つの環状部21aが互いに近付く方向に折り曲がりやすくなっている。本実施形態の連結部21bは、環状部21aとの境界部分(上記した二つの環状部21aの近接する部位)から等距離の位置に形成された切欠きによって、薄肉部が形成されている。なお、連結部21bの薄肉部に折り曲げを補助するノッチ線を設け、より折り曲がりやすい構成としてもよい。
 本実施形態のシール部材21は、各環状部21aの二箇所からそれぞれ同一方向に立設された壁部21cを有する。壁部21cは、図3に示すように、環状部21aが段差部14に嵌め込まれた状態で吸気ポート部11の内面に沿う部分であり、図5(c)に示すように、シール部材21が折り曲げられた状態のときに内側となる方向に向かって延びている。壁部21cはシール部材21が吸気ポート部11に設置されたときの姿勢を保持する機能と、第二樹脂部20bとなる溶融樹脂が注入されたときに、シール部材21と溶融樹脂との一体化を促進する機能とを併せ持つ。ここでは、各環状部21aに二つの壁部21cが互いに90度ずれて設けられたシール部材21を例示しているが、壁部21cの個数や配置はこれに限られない。
 第一樹脂部20a(シール部材21)の環状部21aの厚み及び第二樹脂部20bの厚みは、露出部12に対する被覆部13の断面形状の大きさの差(段差部14の高低差)に応じて設定される。これは、露出部12の内面と樹脂部20の内面とが滑らかに接続されていれば、吸気抵抗の増大を回避できるためである。すなわち、段差部14の高低差と第一樹脂部20aの厚み及び第二樹脂部20bの厚みとを略同一に設定すれば、段差部14にシール部材21が嵌まり、この状態で溶融樹脂が流し込まれて被覆部13に第二樹脂部20bが形成されれば、樹脂部20と露出部12とが面一な内面を形成することができるからである。
[2.シリンダヘッドの製造方法]
 次に、上述したシリンダヘッド本体10の吸気ポート部11に樹脂部20を配置することでシリンダヘッド1を製造する方法について、図6(a)~(c)に示すフローチャートと図7~図14を参照しながら説明する。なお、図5(a)~(c)に示すシール部材21は予め用意しておく。
 まず、図6(a)に示すように、壁部1aに形成されている吸気ポート部11の開口11aからシール部材21を挿入し、段差部14に嵌め込む(第一ステップS10)。吸気ポート部11の開口11aは、吸気ポート部11の中途における断面形状よりも小さいことから、シール部材21を挿入する際には、図7に示すように、シール部材21を図5(c)に示す折り曲げ状態で挿入する。なお、図8は、段差部14にシール部材21の環状部21aが嵌め込まれ、壁部21cが吸気ポート部11の内面に沿わされた状態を示す。
 第一ステップS10後、吸気ポート部11に型30を挿入して、型30の先端部分をシール部材21に密着させる〔図6(a)の第二ステップS20〕。ここで、型30の一例を図9(a)及び(b)に示す。本実施形態の型30は、吸気ポート部11の内形状よりも小さい外形状を有し、吸気ポート部11に対して抜き挿しする方向(吸気の流通方向)に沿って分割された複数の部品が組み合わされて構成されているスライド型である。具体的には、型30は、吸気ポート部11の拡張部16を含む上部に配置される上方型31と、上方型31よりも下方に配置される下方型32と、上方型31及び下方型32の間に配置される中央型33と、少なくとも中央型33の両側方に配置される側方型34と、取付孔5に挿通される弁型35とを有する。
 上方型31は、拡張部16の形状に沿った上面と平らな下面とを有する。上方型31の燃焼室2側の端部は二股形状であり、上方型31の上面には弁型35が嵌合される穴が形成されている。下方型32は、吸気ポート部11の下面側の形状に沿った下面と平らな上面とを有し、燃焼室2側の端部が二股形状に形成されている。中央型33は、その上面,下面及び両側面がいずれも平面であり、開口11a側の端部から燃焼室2側の端部に向かって拡開するとともに燃焼室2側の端部が二股形状に形成されている。中央型33は、吸気ポート部11内の空間に配置した上方型31及び下方型32の両方に対してスライド自在に形成されている。
 側方型34は、中央型33の両側方であって上方型31及び下方型32の間に配置される形状に形成されている。具体的には、二つの側方型34は、各上面,各下面及び中央型33側の各側面がいずれも平面であり、開口11a側の端部から燃焼室2側の端部に向かって先細形状となっている。また、各側方型34は、吸気ポート部11内の空間に配置した各型31~33に対してスライド自在に形成されている。弁型35は、取付孔5の形状と略一致する外形状を有し、その先端部が取付孔5から拡張部16内に進入して上方型31の上面に形成された穴に嵌合するように形成されている。弁型35は、上方型31の穴に嵌合することで上方型31を保持する機能を持つ。
 スライド型30を挿入する第二ステップS20の手順を説明する。第二ステップS20では、吸気ポート部11の開口11aから、上方型31,下方型32,中央型33,側方型34の順に挿入するとともに、ポート噴射弁を取り付けるための取付孔5に弁型35を挿入する。なお、弁型35は、他の型31~34とは異なり取付孔5に挿入されて吸気ポート部11内で上型31と組み合わされて上型31を保持するため、弁型35の挿入タイミングは上方型31を挿入した後であることが好ましく、上方型31を挿入した次(直後)であることがより好ましい。
 本実施形態では、図6(b)に示すように、まず、上方型31を開口11aから挿入して拡張部16を含む上部に収容し(ステップS21)、この状態で弁型35を取付孔5から挿入して上方型31に嵌合する(ステップS23)。次いで、下方型32を開口11aから挿入して下部に配置し(ステップS25)、さらに中央型33を上方型31及び下方型32の双方に対してスライドさせながら挿入することで(ステップS27)、吸気ポート部11の内部において三つの型31~33を組み立てる。最後に二つの側方型34をそれぞれ三つの型31~33に対してスライドさせながら挿入することで(ステップS29)、スライド型30を図10に示す状態とする。なお、図11(a)に示すように、スライド型30の先端部分はシール部材21に密着させる。
 そして、第二ステップS20後、スライド型30が配置されている吸気ポート部11の内部に、第二樹脂部20bとなる溶融樹脂を供給する〔図6(a)の第三ステップS30〕。本実施形態のシリンダヘッド本体10には、溶融樹脂を供給するための注入口9(図2参照)が気筒ごとに形成されているため、各注入口9に図示しないインジェクションを接続して溶融樹脂を流し込む。溶融樹脂は、吸気ポート部11の内面とスライド型30の外面との間に形成される空間に広がっていく。
 ここで、溶融樹脂が広がる空間における燃焼室2側の縁部は、図11(a)に示すように、段差部14に嵌め込まれたシール部材21によってシールされている。このため、燃焼室2側への樹脂漏れが回避される。一方、吸気ポート部11にスライド型30を挿入した状態では、図11(b)に示すように、吸気ポート部11の上流側における絞り部分(第二の露出部12′)とスライド型30との間に僅かな隙間が形成される。この隙間は、スライド型30の位置ずれを吸収する機能を持つ一方で、溶融樹脂の漏れを発生させる可能性がある。このため、本実施形態のスライド型30には、吸気ポート部11の開口11aのフランジ面11b〔図7,図11(b)参照〕に密着するバリ切り用の部品36が装着される。これにより、溶融樹脂が広がる空間における開口11a側の縁部もシールされ、樹脂漏れが回避される。
 第三ステップS30後、溶融樹脂が固化することでシール部材21と溶融樹脂とが一体化し、第一樹脂部20aと第二樹脂部20bとを有する一つの樹脂部20が形成された以降に〔図6(a)のステップS35のYESルート〕、吸気ポート部11からスライド型30を抜き取る〔図6(a)の第四ステップS40〕。第四ステップS40では、ポート噴射弁を取り付けるための取付孔5から弁型35を抜き取るとともに、吸気ポート部11から、側方型34,中央型33,下方型32,上方型31の順で抜き取る。なお、弁型35を抜くタイミングは上方型31を抜き取る前であればよく、上方型31を抜く直前であることがより好ましい。
 本実施形態では、図6(c)に示すように、二つの側方型34をスライドさせて抜き取り(ステップS41)、次いで中央型33を抜き取る(ステップS43)。次に、下方型32を、中央型33を抜くことで生まれた空間に上昇させてから抜き取る(ステップS45)。さらに、弁型35を抜き取るとともに(ステップS47)、上方型31を、中央型33及び下方型32を抜くことで生まれた空間に下降させてから抜き取る(ステップS49)。このように、先に側方型34及び中央型33を抜き取ることで、樹脂部20の内面との接触を極力回避して、下方型32及び上方型31を抜き取ることができる。
 なお、型30は図9(a)及び(b)に示すスライド型に限られず、例えば図12(a)及び(b)に示す型30′を用いてもよい。この型30′も、上記のスライド型30と同様、吸気ポート部11の内形状よりも小さい外形状を有し、吸気ポート部11に対して抜き挿しする方向(吸気の流通方向)に沿って分割された複数の部品が組み合わされて構成されているスライド型である。具体的には、型30′は、吸気ポート部11の拡張部16を含む上部に配置される上方型31′と、上方型31′よりも下方に配置される下方型32′と、上方型31′及び下方型32′の間に配置される中央型33′と、少なくとも中央型33′の両側方に配置される側方型34′と、取付孔5に挿通される弁型35′とを有する。
 図12(a)及び(b)に示す側方型34′は、上記の側方型34と異なり、上方型31′及び下方型32′の両側方にも接触する形状に形成されている。すなわち、各側方型34′は、上方型31′の上面から下方型32′の下面までの寸法と同等の高さ寸法を有し、吸気ポート部11内の空間に配置した三つの型31′~33′の全ての側面に面接触するとともに、これらの側面に対してスライド自在に形成されている。側方型34′は、上記の側方型34と同様、開口11a側の端部から燃焼室2側の端部に向かって先細形状に形成されている。なお、上方型31′,下方型32′,中央型33′及び弁型35′は、上記の各型31,32,33,35と同様に構成されている。
 このスライド型30′を用いた場合でも、上述した手順〔図6(a)~(c)の手順〕で樹脂部20を成型することができる。すなわち、第二ステップS20では、上方型31′を開口11aから挿入して拡張部16を含む上部に収容し(ステップS21)、この状態で弁型35′を取付孔5から挿入して上方型31′に嵌合する(ステップS23)。次いで、下方型32′を開口11aから挿入して下部に配置し(ステップS25)、さらに中央型33′を上方型31′及び下方型32′の双方に対してスライドさせながら挿入することで(ステップS27)、吸気ポート部11の内部において三つの型31′~33′を組み立てる。最後に二つの側方型34′をそれぞれ三つの型31′~33′に対してスライドさせながら挿入することで(ステップS29)、スライド型30′を図13及び図14に示す状態とする。なお、上述したように、スライド型30′の先端部分はシール部材21に密着させる。
 第二ステップS20後、スライド型30′が配置されている吸気ポート部11の内部に溶融樹脂を供給する〔図6(a)の第三ステップS30〕。ここで、溶融樹脂が広がる空間における燃焼室2側の縁部は、上述したように、段差部14に嵌め込まれたシール部材21によってシールされているため、燃焼室2側への樹脂漏れが回避される。一方、溶融樹脂が広がる空間における開口11a側の縁部は、バリ切り用の部品36′によってシールされ、樹脂漏れが回避される。
 第三ステップS30後、溶融樹脂が固化することでシール部材21と溶融樹脂とが一体化し、第一樹脂部20aと第二樹脂部20bとを有する一つの樹脂部20が形成された以降に〔図6(a)のステップS35のYESルート〕、吸気ポート部11からスライド型30′を抜き取る〔図6(a)の第四ステップS40〕。すなわち、第四ステップS40では、二つの側方型34′をスライドさせて抜き取り(ステップS41)、次いで中央型33′を抜き取る(ステップS43)。次に、下方型32′を、中央型33′を抜くことで生まれた空間に上昇させてから抜き取る(ステップS45)。さらに、弁型35′を抜き取るとともに(ステップS47)、上方型31′を、中央型33′及び下方型32′を抜くことで生まれた空間に下降させてから抜き取る(ステップS49)。
[3.作用,効果]
 (1)上述したシリンダヘッド1の製造方法では、まず、吸気ポート部11の段差部14にシール部材21を嵌め、そこに型30,30′を密着させた状態で溶融樹脂を流し込んでシール部材21と一体化させるため、溶融樹脂の漏れを防止できる。これにより、鋳造品であるシリンダヘッド本体10に追加処理を施さなくても燃焼室2側のシール面を確保でき、樹脂漏れを防止することができる。
 また、吸気ポート部11に樹脂部20を配置することで吸気の温度上昇を抑制できるため、吸入空気量の減少とノッキングの発生とを抑制でき、エンジン性能の向上を図ることができる。さらに、上述した製造方法により製造されたシリンダヘッド1では、吸気ポート3における燃焼室2に近い部分に樹脂部20が配置されず、露出部12として設けられるため、排ガスの逆流により吸気ポート3内に高温のガスが入り込んだとしても樹脂部20の劣化を抑制できる。
 (2)上述した型30,30′は、吸気ポート部11に対して抜き挿しする方向に沿って分割された複数の部品(型)が組み合わされて構成されたスライド型であるため、吸気ポート部11がアンダーカットとなるような形状であっても、複数の部品で構成されたスライド型30,30′で容易に抜き挿しすることができる。
 (3)また、図6(b)に示す手順で吸気ポート部11にスライド型30,30′を挿入すれば、吸気ポート部11内でスライド型30,30′を容易に組み立てることができる。さらに、弁型35,35′によって上方型31,31′を保持できるため、スライド型30,30′の姿勢を吸気ポート部11内で安定させることができ、樹脂部20の肉厚のばらつきを抑制できる。
 (4)上述した製造方法では、図6(c)に示す手順で吸気ポート部11からスライド型30,30′を抜き取るため、側方型34,34′及び中央型33,33′を先に抜くことでできたスペースに下方型32,32′及び上方型31,31′を移動させてから抜くことができる。これにより、下方型32,32′及び上方型31,31′を樹脂部20に接触させずに抜き取ることができる。
 (5)なお、上述した吸気ポート部11は、開口11aから段差部14までの部分(おもに被覆部13)が直線状に形成されているため、型30,30′の外形状を簡素化できる。このため、吸気ポート部11に対し、型30,30′を簡単に抜き挿しできることから、シリンダヘッド1を容易に製造できる。
 (6)上述した吸気ポート部11の段差部14は、バルブガイドが挿通される挿通孔7の開口7aよりも上流側に位置することから、樹脂部20が燃焼室2から逆流した高温ガスの影響を受けて劣化することをより抑制できる。
 (7)上述したシール部材21には壁部21cが設けられていることから、段差部14に嵌め込んだ状態のシール部材21の姿勢を保持できる。さらに、壁部21cは吸気ポート部11の被覆部13の内面に沿うため、シール部材21と溶融樹脂とが壁部21cを介して一体化されやすくなる。
 (8)上述した吸気ポート部11は二股形状に形成され、段差部14が二股に分かれる分岐点又は分岐点よりも下流側に設けられており、シール部材21はこの段差部14に嵌め込まれる複数の環状部21aを有する。分岐点の断面はより円形状に近いことから、型30,30′を挿入してシール部材21を潰す際に均等に荷重がかかりやすくなり、潰し量を均一化できるため、溶融樹脂の漏れを防止できる。また、シール部材21を複数の環状部21aに分割することで、一つ一つのシールの断面積を小さくでき、各シール面にかかる荷重を低減できるため、成型時に発生する応力及びひずみを低減することができる。
 (9)なお、上述したシール部材21は二つの環状部21aを連結した形状となっている。すなわち、二つの段差部14に一つのシール部材21を嵌め込めばよいため、工程数を削減できる。また、シール部材21が連結形状であることから、シール部材21の挿入時に、その向きを間違えにくくすることができる。
 (10)さらに、上述したシール部材21の連結部21bは、環状部21aよりも薄肉に形成された薄肉部を有するため、シール部材21を簡単に折り曲げ状態にできる。これにより、シール部材21を吸気ポート部11に容易に挿入でき、簡単かつ精度よく段差部14に嵌め込むことができる。
[4.変形例]
 上述したシリンダヘッド1の製造方法は一例であって、上述した手順に限られない。例えば、弁型35,35′を下方型32,32′や側方型34,34′の挿入後に挿入してもよい。また、第四ステップS40において、最初に弁型35,35′を抜いてもよいし、側方型34,34′を抜いた次に抜いてもよい。
 上述した型30,30′の構成は一例であって、上述したものに限られない。上述した型30,30′はいずれも五つの型31~35,31′~35′から構成されたスライド型であるが、型の個数は五つでなくてもよい。型は、吸気ポート部11の内部に配置できる構成であればよく、吸気ポート部11に対して抜き挿しする方向に沿って分割された複数の部品(型)からなるスライド型でなくてもよい。例えば、吸気ポート部の形状がアンダーカットになっていない場合には、単一の型で構成することもできる。また、燃焼室2側から吸気ポート部11内に挿入する型を、開口11a側から挿入する型と組み合わせるような型であってもよい。
 上述したシリンダヘッド1の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、直列四気筒エンジンのシリンダヘッドでなくてもよいし、筒内噴射弁及びポート噴射弁の両方を備えたエンジンのシリンダヘッドでなくてもよい。また、1気筒に吸気弁が一つ設けられるエンジンのシリンダヘッドや、1気筒に吸気弁が二つ以上設けられるシリンダヘッドであって吸気ポート内で二股に分かれていないもの(吸気ポートの入口部からそれぞれ独立したポートで形成されたもの)であってもよい。この場合、吸気ポート部の形状が二股形状とはならず、一つの吸気ポート部に設けられる樹脂部は、一つの第一樹脂部と一つの第二樹脂部とから構成される。
 上述した吸気ポート部11の構成は一例であり、段差部14の位置が上述した位置以外であってもよい。例えば、吸気ポート部11に分岐点15がある場合に、段差部が分岐点15よりも上流側に設けられていてもよい。また、ポート噴射弁が設けられないエンジンであれば、拡張部16も不要となる。少なくとも、吸気ポート部11には、燃焼室2側に位置する露出部12と、露出部12よりも上流側に位置して第二樹脂部20bに覆われる被覆部13と、露出部12及び被覆部13の境界に位置する段差部14とが形成されていればよい。
 上述した樹脂部20及びシール部材21の各構成は一例であって、上述したものに限られない。上述した実施形態では、二つの部位20a,20bを有する樹脂部20を例示したが、樹脂部20が三つ以上の部位を有していてもよい。例えば、上記の第二樹脂部20bに連続して設けられるとともに吸気ポート部11の上流端部を封止する第三の部位や、溶融樹脂を流し込むための注入口9内で固化した部位を持つ樹脂部であってもよい。また、二股形状の吸気ポート部11の段差部14に嵌め込まれるシール部材21が、連結部21bを有さずに分割されていてもよいし、壁部21cを省略してもよい。また、環状部21aが三つ以上設けられていてもよい。
 1 シリンダヘッド
 1a 壁部
 2 燃焼室
 3 吸気ポート
 4 吸気バルブ孔
 5 ポート噴射弁の取付孔(第一孔部)
 5a 開口
 7 挿通孔(第二孔部)
 7a 開口
 10 シリンダヘッド本体
 11 吸気ポート部
 11a 開口
 14 段差部
 15 分岐点
 16 拡張部
 20 樹脂部
 21 シール部材
 21a 環状部
 21b 連結部
 21c 壁部
 30,30′ スライド型(型)
 31,31′ 上方型
 32,32′ 下方型
 33,33′ 中央型
 34,34′ 側方型
 35,35′ 弁型
 S10 第一ステップ
 S20 第二ステップ
 S30 第三ステップ
 S40 第四ステップ

Claims (10)

  1.  燃焼室に連通する吸気ポート部が形成されたシリンダヘッド本体を有するシリンダヘッドの製造方法であって、
     前記吸気ポート部における吸気流れ方向の中途には、前記吸気流れ方向に直交する断面の大きさが変化する段差部が形成されており、
     前記シリンダヘッド本体の壁部に形成された前記吸気ポート部の開口から樹脂製のシール部材を挿入して前記段差部に嵌め込む第一ステップと、
     前記第一ステップ後、前記吸気ポート部に型を挿入して前記シール部材に密着させる第二ステップと、
     前記第二ステップ後、前記型が配置されている前記吸気ポート部の内部に溶融樹脂を供給する第三ステップと、
     前記第三ステップ後、前記溶融樹脂が固化することで前記シール部材と一体化した樹脂部が形成された以降に、前記型を前記吸気ポート部から抜き取る第四ステップと、を備えた
    ことを特徴とする、シリンダヘッドの製造方法。
  2.  前記型は、前記吸気ポート部に対して抜き挿しする方向に沿って分割された複数の部品が組み合わされて構成されているスライド型である
    ことを特徴とする、請求項1記載のシリンダヘッドの製造方法。
  3.  前記シリンダヘッド本体には、ポート噴射弁を取り付けるための第一孔部が前記吸気ポート部と連通するように形成されており、
     前記吸気ポート部の前記段差部よりも前記吸気流れ方向の上流側には、前記第一孔部側に広がった拡張部と前記第一孔部の開口とが形成されており、
     前記スライド型は、前記拡張部を含む上部に配置される上方型と、前記上方型よりも下方に配置される下方型と、前記上方型及び前記下方型の間に配置される中央型と、少なくとも前記中央型の両側方に配置される側方型と、前記第一孔部に挿通される弁型と、を有し、
     前記第二ステップでは、前記吸気ポート部の開口から、前記上方型、前記下方型、前記中央型、前記側方型の順に挿入するとともに、前記第一孔部に前記弁型を挿入する
    ことを特徴とする、請求項2記載のシリンダヘッドの製造方法。
  4.  前記第四ステップでは、前記第一孔部から前記弁型を抜き取るとともに、前記吸気ポート部から前記側方型、前記中央型、前記下方型、前記上方型の順で抜き取る
    ことを特徴とする、請求項3記載のシリンダヘッドの製造方法。
  5.  前記吸気ポート部は、前記吸気ポート部の開口から前記段差部までの部分が直線状に形成されている
    ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。
  6.  前記シリンダヘッド本体には、バルブガイドが挿通される第二孔部が前記吸気ポート部と連通するように形成されており、
     前記段差部は、前記第二孔部の開口よりも前記吸気流れ方向の上流側に位置する
    ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。
  7.  前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれた状態で前記吸気ポート部の内面に沿う壁部を有する
    ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。
  8.  前記吸気ポート部は、二つの吸気バルブ孔を介して前記燃焼室と連通する二股形状に形成されており、
     前記段差部は、前記吸気ポート部の二股に分かれる分岐点又は前記分岐点よりも前記吸気流れ方向の下流側に位置し、
     前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれる環状部を複数有する
    ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。
  9.  前記シール部材は、前記段差部に嵌め込まれる二つの前記環状部が連結された形状である
    ことを特徴とする、請求項8記載のシリンダヘッドの製造方法。
  10.  前記環状部を連結する連結部は、前記環状部よりも薄肉に形成された薄肉部を有する
    ことを特徴とする、請求項9記載のシリンダヘッドの製造方法。
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