JP2011190731A - シリンダヘッドの製造方法、製造装置、及び、シリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】2系統のウォータージャケットを備えたシリンダヘッドの製造過程において、簡易な構成で、中子を精度良く位置決めするとともに、中子のたわみや割れを防止し、製造後のウォータージャケットからのエア抜け性とを確保することができる、シリンダヘッドの製造方法、製造装置、及び、シリンダヘッドを提案する。
【解決手段】第一ウォータージャケット12を形成するための第一中子21を、金型におけるキャビティCの内部に配置し、かつ、第二ウォータージャケット13を形成するための第二中子31を、第一中子21と離間した状態で、3個の連結部材である連結ピン61を介して第一中子21と連結し、キャビティCの内部に配置した状態で、キャビティCの内部に溶湯Mを供給することにより、シリンダヘッド11を鋳造する。
【選択図】図5
【解決手段】第一ウォータージャケット12を形成するための第一中子21を、金型におけるキャビティCの内部に配置し、かつ、第二ウォータージャケット13を形成するための第二中子31を、第一中子21と離間した状態で、3個の連結部材である連結ピン61を介して第一中子21と連結し、キャビティCの内部に配置した状態で、キャビティCの内部に溶湯Mを供給することにより、シリンダヘッド11を鋳造する。
【選択図】図5
Description
本発明は、シリンダヘッドの製造方法、製造装置、及び、シリンダヘッドに関し、具体的には、シリンダヘッドに形成される排気ポートの冷却効率を向上させる技術に関する。
従来の内燃機関においては、シリンダヘッドに形成された排気ポートを通じて、シリンダブロックのシリンダから排気ガスを排出する構造が用いられている。この際、排気ポートを冷却し、高温の排気ガスの温度を低下させて排出することにより、触媒装置の触媒への熱害を低減させている。これにより、高速運転時の燃料による冷却を不要とし、燃費を向上させているのである。
また、排気ガスの冷却により、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)におけるEGRガスの温度を下げることができるため、EGRクーラーを小型化し、コストを低減しているのである。
また、排気ガスの冷却により、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)におけるEGRガスの温度を下げることができるため、EGRクーラーを小型化し、コストを低減しているのである。
上記の如く、排気ポートを流通する排気ガスを冷却する構造として、排気ポートの周辺に形成されたウォータージャケットに冷却水を流通させる技術が用いられる。このような構成においては、排気ポートの下部を冷却するウォータージャケットと、排気ポートの上部を冷却するウォータージャケットと、の2系統で冷却する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシリンダヘッドによれば、排気ポートの下側で複数のシリンダの並び方向と交差する方向(横方向)に向かって形成された第一冷却水通路(ウォータージャケット)と、排気ポートの上側で複数のシリンダの並び方向(縦方向)に向かって形成された第二冷却水通路(ウォータージャケット)と、のそれぞれに冷却水を流通させるのである。このように、2系統のウォータージャケットで排気ポートを冷却することにより冷却水の循環を促進し、1系統のウォータージャケットで冷却する構成と比較して熱交換の効率を向上させる構成としている。
また、排気ポートを下部及び上部の2系統のウォータージャケットで冷却するために、それぞれを形成するための中子を金型のキャビティ内部に配置した状態でシリンダヘッドを鋳造する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のシリンダヘッドの鋳造方法によれば、二つのウォータージャケットを形成するための中子を、プラグホールを形成するチューブ状の連結部材で連結し、それぞれの中子の位置決めを行う構成としている。
さらに、金型のキャビティ内部に中子を配置する際に、ピン状の連結部材で中子の位置決めをした状態で、鋳造を行う技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、金型のキャビティ内部に中子を配置する際に、ピン状の連結部材で中子の位置決めをした状態で、鋳造を行う技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、特許文献1によれば、シリンダヘッドに形成する2系統のウォータージャケットの構造については開示されているものの、そのような冷却構造を備えるシリンダヘッドを製造するための具体的な構成や、付随する課題の解決手段までは開示されていない。
即ち、特許文献1に開示されるシリンダヘッドを鋳造する場合、それぞれのウォータージャケットを形成するために二つの中子が金型のキャビティ内部に配置される。その際、中子の相対的な位置決めを精度良く行うことが必要となるが、その具体的な構成が開示されていない。
即ち、特許文献1に開示されるシリンダヘッドを鋳造する場合、それぞれのウォータージャケットを形成するために二つの中子が金型のキャビティ内部に配置される。その際、中子の相対的な位置決めを精度良く行うことが必要となるが、その具体的な構成が開示されていない。
また、特許文献1に記載のシリンダヘッドの如く、ウォータージャケットを2系統とした場合は、複数のシリンダの並び方向(縦方向)に延びるウォータージャケット(第二冷却水通路)を薄く長い形状とする必要がある。しかし、ウォータージャケットを形成するための中子をこのような薄く長い形状とした場合は強度が低下するため、鋳造時に中子がたわみやすくなり、割れが発生するという課題がある。
また、ウォータージャケットを2系統とした場合は、エンジンを車両に搭載した際に低い位置にあるウォータージャケットからのエア抜け性が悪くなるという課題が発生する。
また、ウォータージャケットを2系統とした場合は、エンジンを車両に搭載した際に低い位置にあるウォータージャケットからのエア抜け性が悪くなるという課題が発生する。
一方、特許文献2に記載の技術によれば、二つの中子を連結する部材として、プラグホールを形成するチューブ状の連結部材を用いているため、その形状や配置位置は限定される。また、連結部材自体を高精度に加工する必要があるため、製造コストが増大する可能性がある。
さらに、特許文献3に記載の技術によれば、キャビティ内部の中子を、ピン状の連結部材で横型である可動型に連結する構成としている。しかし、複数のシリンダの並び方向に延びるウォータージャケットを形成するために中子を薄く長い形状とした場合は、上記のような構成で中子を配置し、鋳造時のたわみや割れを防止することは困難である。
本発明は上記現状に鑑み、2系統のウォータージャケットを備えたシリンダヘッドの製造過程において、簡易な構成で、中子を精度良く位置決めするとともに、中子のたわみや割れを防止し、製造後のウォータージャケットからのエア抜け性とを確保することができる、シリンダヘッドの製造方法、製造装置、及び、シリンダヘッドを提案するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備える、シリンダヘッドを鋳造する、シリンダヘッドの製造方法であって、前記第一ウォータージャケットを形成するための第一中子を、金型におけるキャビティの内部に配置し、かつ、前記第二ウォータージャケットを形成するための第二中子を、前記第一中子と離間した位置で、1個又は複数個の連結部材を介して前記第一中子と連結して、前記キャビティの内部に配置した状態で、前記キャビティの内部に溶湯を供給することにより、シリンダヘッドを鋳造するものである。
また、請求項2においては、前記シリンダヘッドは、直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、前記第一ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、前記第二ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成されるものである。
また、請求項3においては、前記連結部材における、前記第一中子と前記第二中子との間隙部分に位置する部分には、突出部又は溝部が形成されるものである。
また、請求項4においては、前記金型は、キャビティ内の型閉じ方向に突出するガス抜きプラグが形成された上型を備え、前記連結部材は、前記ガス抜きプラグが突出する方向に軸線を向けて、前記ガス抜きプラグと同一軸線上に配設され、前記第二中子は、前記キャビティの内部に配置される際に、前記ガス抜きプラグと前記連結部材とで挟持されることにより固定されるものである。
また、請求項5においては、前記連結部材には、該連結部材の第一中子側の端部と第二中子側の端部とを連通する、空気連通孔が形成されるものである。
また、請求項6においては、排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備える、シリンダヘッドを鋳造する、シリンダヘッドの製造装置であって、キャビティが形成される金型と、前記第一ウォータージャケットを形成するための第一中子と、前記第二ウォータージャケットを形成するための第二中子と、前記第一中子と前記第二中子とを連結する連結部材とを備え、前記第一中子が前記キャビティの内部に配置され、かつ、前記第二中子が、前記第一中子と離間した位置で、1個又は複数個の前記連結部材を介して前記第一中子と連結され、前記キャビティの内部に配置された状態で、前記キャビティの内部に溶湯が供給されることにより、シリンダヘッドを鋳造するものである。
また、請求項7においては、前記シリンダヘッドは、直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、前記第一ウォータージャケットは、前記第一中子により、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、前記第二ウォータージャケットは、前記第二中子により、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成されるものである。
また、請求項8においては、前記連結部材における、前記第一中子と前記第二中子との間隙部分に位置する部分には、突出部又は溝部が形成されるものである。
また、請求項9においては、前記金型は、キャビティ内の型閉じ方向に突出するガス抜きプラグが形成された上型を備え、前記連結部材は、前記ガス抜きプラグが突出する方向に軸線を向けて、前記ガス抜きプラグと同一軸線上に配設され、前記第二中子は、前記キャビティの内部に配置される際に、前記ガス抜きプラグと、前記連結部材とで挟持されることにより固定されるものである。
また、請求項10においては、前記連結部材には、該連結部材の第一中子側の端部と第二中子側の端部とを連通する、空気連通孔が形成されるものである。
また、請求項11においては、排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備え、前記第一ウォータージャケットと、前記第二ウォータージャケットと、の間に、それぞれを連通する空気連通孔が形成された、1個又は複数個の連結部材が介挿されるものである。
また、請求項12においては、直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、前記第一ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、前記第二ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明においては、2系統のウォータージャケットを備えたシリンダヘッドの製造過程において、簡易な構成で、中子を精度良く位置決めするとともに、中子のたわみや割れを防止し、製造後のウォータージャケットからのエア抜け性とを確保することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
以下に、本発明に係るシリンダヘッドの製造方法、製造装置、及び、シリンダヘッドについて説明する。本明細書では便宜上、図1における右側を右側方、左側を左側方として説明する。また、同じく上側を上方、下側を下方として説明する。また、同じく紙面手前方向を前方、紙面奥行方向を後方として説明する。即ち、図2における下側を前方、上側と後方とする。また、図2に示す如く、本明細書においては場合に応じて、左右方向を横方向、前後方向を縦方向とすることがある。
[シリンダヘッド11の構成]
まず、第一実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置にて鋳造されるシリンダヘッド11の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
シリンダヘッド11及びシリンダブロック51は、その本体がアルミニウムを材料として構成される。そして、図1に示す如くシリンダヘッド11は、シリンダブロック51の上面53に当接して取り付けられる。さらに、シリンダブロック51に形成されたそれぞれのシリンダボア54に対応して、シリンダヘッド11には複数の排気ポート41、吸気ポート42、及び、点火プラグ取付部43が形成されている。なお、排気ポート41及び吸気ポート42は、一つのシリンダボア54に対してそれぞれ2箇所ずつ設けられている。
まず、第一実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置にて鋳造されるシリンダヘッド11の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
シリンダヘッド11及びシリンダブロック51は、その本体がアルミニウムを材料として構成される。そして、図1に示す如くシリンダヘッド11は、シリンダブロック51の上面53に当接して取り付けられる。さらに、シリンダブロック51に形成されたそれぞれのシリンダボア54に対応して、シリンダヘッド11には複数の排気ポート41、吸気ポート42、及び、点火プラグ取付部43が形成されている。なお、排気ポート41及び吸気ポート42は、一つのシリンダボア54に対してそれぞれ2箇所ずつ設けられている。
また、シリンダヘッド11には後述するように、2系統のウォータージャケットとして、第一ウォータージャケット12と第二ウォータージャケット13が形成されている。各排気ポート41及び各吸気ポート42にはシリンダボア54に対して開閉するための図示しない排気弁及び吸気弁がそれぞれ設けられる。
[シリンダブロック51の構成]
次に、シリンダヘッド11が配設されるシリンダブロック51の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
シリンダブロック51は、ボルト等の締結部材によってシリンダヘッド11が固定される上面53と、上面53に開口する円筒状のシリンダボア54と、このシリンダボア54を囲む壁状部分であるシリンダ部55と、シリンダ部55を介してシリンダボア54の左右両側に溝状に形成される左側ウォータージャケット56a・右側ウォータージャケット56bと、を有する。
次に、シリンダヘッド11が配設されるシリンダブロック51の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
シリンダブロック51は、ボルト等の締結部材によってシリンダヘッド11が固定される上面53と、上面53に開口する円筒状のシリンダボア54と、このシリンダボア54を囲む壁状部分であるシリンダ部55と、シリンダ部55を介してシリンダボア54の左右両側に溝状に形成される左側ウォータージャケット56a・右側ウォータージャケット56bと、を有する。
シリンダブロック51は、本実施例においては図2に示す如くシリンダボア54を縦方向に4個備えた直列4気筒エンジンである。これらのシリンダボア54は中心軸方向が平行となるように隣り合う状態で一列に配設される。なお、本実施例において前記シリンダボア54は直列に4箇所配設されているが、その数は3箇所以下又は5箇所以上でもよく、本実施例に限定されるものではない。
上面53は、シリンダブロック51の一側において平面として形成されるシール面であり、この上面53に、ガスケットを介する等してシリンダヘッド11が組み付けられる。上面53に対するシリンダヘッド11の組付けに際しては、締結部材がシリンダヘッド11を貫通するとともにシリンダブロック51に設けられる雌ねじ部分となる締結穴52に螺挿されるのである。
図2に示す如く、冷却水の通路である左右両側のウォータージャケット56a・56bは、シリンダブロック51の鋳造に際して複数のシリンダボア54の周囲を取り囲むように、それぞれが対向して平面視で波形状に形成される。つまり、ウォータージャケット56a・56bは、シリンダボア54に対してシリンダ部55を介して形成されているのである。具体的には、シリンダ部55は、シリンダボア54を取り囲むように形成される円筒状の壁状部分であり、図2に示す如く、隣り合うシリンダボア54に対しては円筒状の部分が繋がった状態となる。
このようにウォータージャケット56a・56bは、シリンダ部55の外周面と、これに対向するように形成される外周壁面とにより、上面53側に開口するように形成される。つまり、本実施例のシリンダブロック51は、ウォータージャケット56a・56bが上面53側に開放される構造となっている。このウォータージャケット56a・56bにより、シリンダ部55を介してシリンダボア54等が冷却されるのである。
また、左側ウォータージャケット56aの前端側には、外部に連通する連通孔57が開口されており、この連通孔57を介して図示しないウォーターポンプが接続されている。即ち、ウォーターポンプが駆動することにより、冷却水が図2中の矢印α0の如く連通孔57を通って左側ウォータージャケット56aに流入するのである。
さらに、左側ウォータージャケット56aと右側ウォータージャケット56bとは、図1に示す如く、シリンダヘッド11に形成される第一ウォータージャケット12を介して連通されている。即ち、左側ウォータージャケット56aに流入した冷却水は、第一ウォータージャケット12を通じて右側ウォータージャケット56bに流入するのである。
さらに、左側ウォータージャケット56aと右側ウォータージャケット56bとは、図1に示す如く、シリンダヘッド11に形成される第一ウォータージャケット12を介して連通されている。即ち、左側ウォータージャケット56aに流入した冷却水は、第一ウォータージャケット12を通じて右側ウォータージャケット56bに流入するのである。
[冷却水路の構成]
次に、シリンダヘッド11及びシリンダブロック51に形成される冷却水路の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
図1に示す如くシリンダヘッド11には、2系統のウォータージャケットが形成されている。具体的にはシリンダヘッド11は、排気ポート41と吸気ポート42における下側、及び、点火プラグ取付部43の周辺を冷却する第一ウォータージャケット12と、排気ポート41における上側、即ち第一ウォータージャケット12が冷却する側と反対の側、を冷却する第二ウォータージャケット13と、を備えるのである。
次に、シリンダヘッド11及びシリンダブロック51に形成される冷却水路の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
図1に示す如くシリンダヘッド11には、2系統のウォータージャケットが形成されている。具体的にはシリンダヘッド11は、排気ポート41と吸気ポート42における下側、及び、点火プラグ取付部43の周辺を冷却する第一ウォータージャケット12と、排気ポート41における上側、即ち第一ウォータージャケット12が冷却する側と反対の側、を冷却する第二ウォータージャケット13と、を備えるのである。
図1に示す如く、シリンダヘッド11の下面における左側の複数箇所には、第一ウォータージャケット12とシリンダヘッド11の外部とを連通する流入口12aが開口され、同じく右側の複数箇所には、第一ウォータージャケット12とシリンダヘッド11の外部とを連通する流出口12bが開口されている。そして、シリンダヘッド11をシリンダブロック51に組付けた際に、図2に示す如く流入口12aは左側ウォータージャケット56aの開放部分に、流出口12bは右側ウォータージャケット56bの開放部分に面するように構成されているのである。このように、第一ウォータージャケット12は、流入口12a及び流出口12bを介して、左側ウォータージャケット56aと右側ウォータージャケット56bとの双方に連通されているのである。即ち、左側ウォータージャケット56aに流入した冷却水は、流入口12aを通って第一ウォータージャケット12に流入し、流出口12bを通って右側ウォータージャケット56bに流入するのである。
より詳細には、図2中の矢印α0の如く左側ウォータージャケット56aに流入した冷却水の一部は、図2中の矢印α1の如く左側ウォータージャケット56aを後方に向かって流通する。そして、それぞれのシリンダボア54の左側を冷却する最中に、何れかの流入口12aを通って第一ウォータージャケット12に流入するのである。そして、第一ウォータージャケット12の中部を右側方に向かって横方向に流通した後(図3中の矢印β参照)、流出口12bを通って右側ウォータージャケット56bに流入するのである。その後、図2中の矢印α2の如く右側ウォータージャケット56bを後方に向かって流通し、それぞれのシリンダボア54の右側を冷却するのである。
また、シリンダヘッド11の下面における前側左寄りと後側右寄りとのそれぞれには、第二ウォータージャケット13とシリンダヘッド11の外部とを連通する流入口13a及び流入口13bが開口されている(図3及び図4参照)。そして、図2に示す如く、シリンダヘッド11をシリンダブロック51に組付けた際に、流入口13aは左側ウォータージャケット56aの開放部分の前端部に、流入口13bは右側ウォータージャケット56bの開放部分の後端部に面するように構成されているのである。
即ち、図2中の矢印α0の如く左側ウォータージャケット56aに流入した冷却水の一部は、流入口13aを通って第二ウォータージャケット13に流入し、第二ウォータージャケット13の内部を後方に向かって流通する(図3中の矢印γ1参照)。
一方、前記の如く第一ウォータージャケット12を経由して右側ウォータージャケット56bの後端部に流れてきた冷却水は、流入口13bを通って第二ウォータージャケット13に流入し、第二ウォータージャケット13の後端部を左側方に向かって流通するのである(図3中の矢印γ2参照)。そして、シリンダヘッド11の後端部に形成される流出口13c(図3中の矢印γ3及び図4参照)から流出する。
その後、高温となった冷却水は図示しないラジエータを経由することで再び冷却され、ウォーターポンプへと戻される。以降は、冷却水がこの順に各部を繰り返し循環してシリンダヘッド11及びシリンダブロック51を冷却するのである。
一方、前記の如く第一ウォータージャケット12を経由して右側ウォータージャケット56bの後端部に流れてきた冷却水は、流入口13bを通って第二ウォータージャケット13に流入し、第二ウォータージャケット13の後端部を左側方に向かって流通するのである(図3中の矢印γ2参照)。そして、シリンダヘッド11の後端部に形成される流出口13c(図3中の矢印γ3及び図4参照)から流出する。
その後、高温となった冷却水は図示しないラジエータを経由することで再び冷却され、ウォーターポンプへと戻される。以降は、冷却水がこの順に各部を繰り返し循環してシリンダヘッド11及びシリンダブロック51を冷却するのである。
[冷却水路の形状]
次に、シリンダヘッド11に形成される第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の形状について、図3から図6を用いて説明する。
第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13は、シリンダヘッド11を鋳造して成形する際に、図5(a)の如く金型に形成されるキャビティCの内部にウォータージャケット中子(以下、単に中子とする)を配置することで形成される。即ち、第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の形状は、それぞれを形成する中子の形状と略同一となるのである。以下、第一中子21の形状を説明することにより第一ウォータージャケット12の形状を説明し、第二中子31の形状を説明することにより第二ウォータージャケット13の形状を説明する。また、図3における各矢印は、第一中子21及び第二中子31によって第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13が形成された後に、第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の内部を冷却水が流通する方向を示している。
次に、シリンダヘッド11に形成される第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の形状について、図3から図6を用いて説明する。
第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13は、シリンダヘッド11を鋳造して成形する際に、図5(a)の如く金型に形成されるキャビティCの内部にウォータージャケット中子(以下、単に中子とする)を配置することで形成される。即ち、第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の形状は、それぞれを形成する中子の形状と略同一となるのである。以下、第一中子21の形状を説明することにより第一ウォータージャケット12の形状を説明し、第二中子31の形状を説明することにより第二ウォータージャケット13の形状を説明する。また、図3における各矢印は、第一中子21及び第二中子31によって第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13が形成された後に、第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13の内部を冷却水が流通する方向を示している。
シリンダヘッド11を鋳造するシリンダヘッドの製造装置は、上型101、下型102、及び横型103・103からなる金型、第一中子21及び第二中子31、並びに後述する連結ピン61などを備えている。
そして、上記の如く第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13はそれぞれ、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置した状態でシリンダヘッド11を鋳造することにより形成される。具体的には、図5(a)に示す如く、上型101、下型102、及び、横型103・103からなる金型における間隙がキャビティCとして形成される。即ち、下型102の上方に第一中子21及び第二中子31を載置した状態で上型101、横型103・103で型閉じすることで、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置するのである。なお、実際は排気ポート41や吸気ポート42を形成するために他の中子がキャビティCの内部に配設されるが、本明細書においてはこれらの他の中子についての図示及び説明を省略する。
そして、上記の如く第一ウォータージャケット12及び第二ウォータージャケット13はそれぞれ、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置した状態でシリンダヘッド11を鋳造することにより形成される。具体的には、図5(a)に示す如く、上型101、下型102、及び、横型103・103からなる金型における間隙がキャビティCとして形成される。即ち、下型102の上方に第一中子21及び第二中子31を載置した状態で上型101、横型103・103で型閉じすることで、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置するのである。なお、実際は排気ポート41や吸気ポート42を形成するために他の中子がキャビティCの内部に配設されるが、本明細書においてはこれらの他の中子についての図示及び説明を省略する。
図3に示す如く、第一中子21は、流入部21aと、シリンダボア54ごとに形成される流出部21bと、を備える。詳しくは、長手方向を前後に向けて形成される流入部21aから、右側方に4個の流出部21bが延出して形成されているのである。換言すれば、第一中子21の右側には、それぞれの流出部21bの間に3箇所のスリットが入った形状に形成されているのである。第一中子21の左右略中央部には点火プラグ取付部中子を挿入するための孔22が、また、流出部21bには吸気ポート中子を挿入するための孔23が、さらに、流入部21aには排気ポート中子を挿入するための孔24が、それぞれシリンダボア54ごとに上下方向に形成されている。
第一中子21によって形成される第一ウォータージャケット12は、図1に示す如く、流入口12aを介して左側ウォータージャケット56aと連通され、流出口12bを介して右側ウォータージャケット56bと連通される。即ち、第一中子21は、第一ウォータージャケット12が形成された後に、その内部を流入口12aから右側方の流出口12bに向かって、矢印βの如く冷却水が流通するように形成されているのである。
第二中子31は、長手方向を前後に向けて形成される主流通部31aと、主流通部31aの後端部から右側方に延出して形成される延出部31bと、を備える。主流通部31aの左側にはヘッドボルト部を形成するための孔32がシリンダボア54ごとに上下方向に形成されている。また、主流通部31aの右側にはバルブガイド中子を挿入するための孔33がシリンダボア54ごとに2個ずつ上下方向に形成されている。さらに、第二中子31の後端部には、第二ウォータージャケット13の流出口13cを形成するための流出口部31cが後方へ突出して形成されている。
第二中子31によって形成される第二ウォータージャケット13は、流入口13aを介して左側ウォータージャケット56aと連通され、流入口13bを介して右側ウォータージャケット56bと連通される。即ち、第二中子31は、第二ウォータージャケット13が形成された後で、その内部のうち、主流通部31aによって形成される部分を流入口13aから後方の流出口13cに向かって、矢印γ1の如く冷却水が流通するように形成されているのである。また、第二中子31は、第二ウォータージャケット13が形成された後で、その内部のうち、延出部31bによって形成される部分を流入口13bから左側の流出口13cに向かって、矢印γ2の如く冷却水が流通するように形成されているのである。そして、冷却水は流出口13cから矢印γ3の如く流出するのである。
即ち、本実施形態において第一ウォータージャケット12は、シリンダボア54が配列される方向に対して直交する方向である横方向に向かって冷却水が流通するように形成されている。そして、第二ウォータージャケット13は、シリンダボア54が配列される方向である縦方向に向かって冷却水が流通するように形成されているのである。
[中子の配置構成]
シリンダヘッド11の鋳造を行う前の段階で、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置する際は、図4及び図5に示す如く、第一中子21に第二中子31を連結して配設する。具体的には図3に示す如く、第一中子21の流入部21aにおける上面には、前後方向で各流出部21bの間に位置する箇所に、3個の連結孔25が形成されている。また、第二中子31の主流通部31aにおける下面には、第一中子21と連結した際に連結孔25と対向する位置に3個の連結孔35が形成されている。
シリンダヘッド11の鋳造を行う前の段階で、第一中子21及び第二中子31をキャビティCの内部に配置する際は、図4及び図5に示す如く、第一中子21に第二中子31を連結して配設する。具体的には図3に示す如く、第一中子21の流入部21aにおける上面には、前後方向で各流出部21bの間に位置する箇所に、3個の連結孔25が形成されている。また、第二中子31の主流通部31aにおける下面には、第一中子21と連結した際に連結孔25と対向する位置に3個の連結孔35が形成されている。
そして、図4及び図5(a)に示す如く、第二中子31を、第一中子21と離間した状態で、3個の連結部材である連結ピン61を介して第一中子21と連結し、キャビティCの内部に配置するのである。詳細には、図6(a)に示す如く、連結ピン61の両端部61b・61bをそれぞれの連結孔25・35に挿入することにより、第一中子21と第二中子31とを位置決めして連結するのである。
つまり、連結ピン61のうち、両端部61b・61bを除いた本体部分の長さが、第一中子21と第二中子31の間隔として、高さ方向(上下方向)に位置決めされるのである。本実施形態においては、両端部61b・61bは連結孔25・35に挿入し易くするために、先端に向かって縮径する形状となっている。連結ピン61の材料は、シリンダヘッド11を形成する材料と融点が同じアルミニウムか、若しくはそれより融点が高い鉄などが用いられる。
さらに、前記の状態でキャビティCの内部に溶湯Mを供給することにより、図5(b)に示す如くシリンダヘッド11を鋳造するのである。即ち、シリンダヘッド11を鋳造して、第一中子21、第二中子31を除去した後でも、連結ピン61はシリンダヘッド11の内部(第一ウォータージャケット12と第二ウォータージャケット13との間)に残ることとなる。
なお、連結ピン61の両端部61b・61bは第一ウォータージャケット12と第二ウォータージャケット13のそれぞれの内部で突出することとなる。しかし、連結ピン61は第一ウォータージャケット12や第二ウォータージャケット13に比べて十分小さく、また、両端部61b・61bは第一ウォータージャケット12や第二ウォータージャケット13に形成された凹み部に突出する構成としているため、冷却水の流通が阻害されることはない。
本実施形態に係るシリンダヘッド11によれば上記の如く、排気ポート41の下側でシリンダボア54の並び方向と直交する横方向に向かって形成された第一ウォータージャケット12と、排気ポート41の上側でシリンダボア54の並び方向である縦方向に向かって形成された第二ウォータージャケット13と、のそれぞれに冷却水を流通させるのである。このように、2系統のウォータージャケットで排気ポート41を冷却することにより、冷却水の循環を促進し、1系統のウォータージャケットで冷却する構成と比較して熱交換の効率を向上させる構成としている。
また、連結ピン61を介して、第二中子31を第一中子21に連結することにより、簡易な構成で中子同士の相対的な位置決めを精度良く行うことが可能となる。
さらに、ウォータージャケットを2系統として、第二ウォータージャケット13を、厚みが薄く、シリンダボア54の並び方向である縦方向に向かって長い形状とするために、第二中子31を同じく厚みが薄く長い形状として強度が低下した場合でも、第二中子31を複数の連結ピン61で支持する構成であるため、シリンダヘッド11の鋳造時に第二中子31にたわみや割れが発生することを防止できるのである。
加えて、第一中子21と第二中子31との間に連結ピン61を介挿することにより、第一中子21と第二中子31とが離間した状態でシリンダヘッド11を鋳造することができるため、鋳造されたシリンダヘッド11における第一ウォータージャケット12と第二ウォータージャケット13との連通を防ぐことができる。
さらに、ウォータージャケットを2系統として、第二ウォータージャケット13を、厚みが薄く、シリンダボア54の並び方向である縦方向に向かって長い形状とするために、第二中子31を同じく厚みが薄く長い形状として強度が低下した場合でも、第二中子31を複数の連結ピン61で支持する構成であるため、シリンダヘッド11の鋳造時に第二中子31にたわみや割れが発生することを防止できるのである。
加えて、第一中子21と第二中子31との間に連結ピン61を介挿することにより、第一中子21と第二中子31とが離間した状態でシリンダヘッド11を鋳造することができるため、鋳造されたシリンダヘッド11における第一ウォータージャケット12と第二ウォータージャケット13との連通を防ぐことができる。
図6(a)に示す如く、第一中子21と第二中子31とを連結している連結ピン61における、第一中子21と第二中子31との間隙部分に位置する部分には、鍔状の突出部61aが形成されている。つまり、シリンダヘッド11を鋳造する際に、この突出部61aが溶湯Mと係合するため、第一中子21、第二中子31を除去した後に連結ピン61がシリンダヘッド11から離脱しないように構成されているのである。
また、本実施形態においては図5(a)に示す如く、上型101には、キャビティCの内部の型閉じ方向(下方)に突出するガス抜きプラグ101aが形成されている。このガス抜きプラグ101aは、シリンダヘッド11を鋳造する際に、レジンが焼けるときに第二中子31から発生するガスや、鋳造後に砂を抜く際に用いられるものである。
そして、連結ピン61は、ガス抜きプラグ101aが突出する方向である上下方向に軸線を向けて、ガス抜きプラグ101aと同一軸線上に位置するように配設される(図4参照)。つまり、第二中子31は、キャビティCの内部に配置される際に、ガス抜きプラグ101aと、連結ピン61と、により挟持されることにより固定されるのである。
そして、連結ピン61は、ガス抜きプラグ101aが突出する方向である上下方向に軸線を向けて、ガス抜きプラグ101aと同一軸線上に位置するように配設される(図4参照)。つまり、第二中子31は、キャビティCの内部に配置される際に、ガス抜きプラグ101aと、連結ピン61と、により挟持されることにより固定されるのである。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、第二中子31をガス抜きプラグ101aと連結ピン61とで挟持することにより、より強固に固定することが可能となる。即ち、同軸上で挟持する構成であるため、第二中子31を薄く長い形状とした場合でも、第二中子31に剪断力が発生することがないのである。このため、シリンダヘッド11の鋳造時に第二中子31に浮力が発生しても、第二中子31にたわみや割れが発生することを防止できるのである。
[第二実施形態]
また、図6(b)には、第二実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子21と第二中子31との組合せ部を示している。なお以下の実施形態において、既出の実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、第一中子21と第二中子31とを連結している連結ピン161の第一中子21と第二中子31との間隙部分に位置する部分に、第一実施形態における前記突出部61aに代えて、溝部161aを形成している。
つまり、溝部161aが形成された連結ピン161の両端部161b・161bをそれぞれの連結孔25・35に挿入して第一中子21と第二中子31とを位置決めして連結する。そして、キャビティCの内部に溶湯Mを供給してシリンダヘッド11を鋳造するのである。その際、溝部161aが溶湯Mと係合するため、第一中子21、第二中子31を除去した後に連結ピン161がシリンダヘッド11から離脱しないのである。
また、図6(b)には、第二実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子21と第二中子31との組合せ部を示している。なお以下の実施形態において、既出の実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、第一中子21と第二中子31とを連結している連結ピン161の第一中子21と第二中子31との間隙部分に位置する部分に、第一実施形態における前記突出部61aに代えて、溝部161aを形成している。
つまり、溝部161aが形成された連結ピン161の両端部161b・161bをそれぞれの連結孔25・35に挿入して第一中子21と第二中子31とを位置決めして連結する。そして、キャビティCの内部に溶湯Mを供給してシリンダヘッド11を鋳造するのである。その際、溝部161aが溶湯Mと係合するため、第一中子21、第二中子31を除去した後に連結ピン161がシリンダヘッド11から離脱しないのである。
[第三実施形態]
次に、図7及び図8(a)を用いて、第三実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子221と第二中子231との連結構造について説明する。
本実施形態においては、図7及び図8(a)に示す如く、第一中子221における、第二中子231と対向する面に、3個の連結孔225が形成されている。また、第二中子231における、第一中子221と対向する面に、3個の連結孔235が形成されている。
次に、図7及び図8(a)を用いて、第三実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子221と第二中子231との連結構造について説明する。
本実施形態においては、図7及び図8(a)に示す如く、第一中子221における、第二中子231と対向する面に、3個の連結孔225が形成されている。また、第二中子231における、第一中子221と対向する面に、3個の連結孔235が形成されている。
そして、図7及び図8(a)に示す如く、第二中子231を、第一中子221と離間した状態で、3個の連結部材である連結ピン261を介して第一中子221と連結し、キャビティCの内部に配置するのである。詳細には、連結ピン261の軸線方向を水平方向に向けて、連結ピン261の両端部261b・261bをそれぞれの連結孔225・235に挿入することにより、第一中子221と第二中子231とを位置決めして連結するのである。
さらに、前記の状態でキャビティCの内部に溶湯Mを供給することにより、シリンダヘッドを鋳造するのである。なお、本実施形態においても、連結ピン261の第一中子221と第二中子231との間隙部分に位置する部分には、突出部261aが形成されている。
さらに、前記の状態でキャビティCの内部に溶湯Mを供給することにより、シリンダヘッドを鋳造するのである。なお、本実施形態においても、連結ピン261の第一中子221と第二中子231との間隙部分に位置する部分には、突出部261aが形成されている。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、シリンダヘッド11の鋳造時における第二中子231のたわみをより低減させることができる。即ち、鋳造時に第二中子231に発生する浮力は上方に向けて加わるため、下側から支持する構成では浮力を支持することは難しい。しかし、本実施形態によれば、連結ピン261による第二中子231の支持方向を浮力に対して直交する水平方向としているため、前記の如く第二中子231に浮力が加わった場合でも、連結ピン261で第二中子231を支持することができるのである。
[第四実施形態]
次に、図8(b)及び図9を用いて、第四実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子221と第二中子231との連結構造について説明する。
本実施形態においては、図8(b)及び図9に示す如く、第一中子221と第二中子231とを連結する連結ピン361に、該連結ピン361における第一中子221の側の端部と第二中子231の側の端部とを連通する、空気連通孔361cが形成されている。
なお、本実施形態においても、前記第三実施形態と同様に連結ピン361は軸線方向を水平方向に向けて、連結ピン361の両端部361b・361bがそれぞれの連結孔225・235に挿入されている。また、連結ピン361の第一中子221と第二中子231との間隙部分に位置する部分には、突出部361aが形成されている。
次に、図8(b)及び図9を用いて、第四実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置における、第一中子221と第二中子231との連結構造について説明する。
本実施形態においては、図8(b)及び図9に示す如く、第一中子221と第二中子231とを連結する連結ピン361に、該連結ピン361における第一中子221の側の端部と第二中子231の側の端部とを連通する、空気連通孔361cが形成されている。
なお、本実施形態においても、前記第三実施形態と同様に連結ピン361は軸線方向を水平方向に向けて、連結ピン361の両端部361b・361bがそれぞれの連結孔225・235に挿入されている。また、連結ピン361の第一中子221と第二中子231との間隙部分に位置する部分には、突出部361aが形成されている。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、エンジンを車両に搭載した際に、低い位置にあるウォータージャケットからのエア抜け性を確保することができる。
詳細には、エンジンが駆動した際に、ウォータージャケットの内部を流通する冷却水が沸騰することがあり、その際に発生した空気がウォータージャケットにたまる可能性がある。特に本実施形態の如くウォータージャケットを2系統とした場合は、エンジンを車両に搭載した際に低い位置にあるウォータージャケットからのエア抜け性が悪くなる場合がある。
詳細には、エンジンが駆動した際に、ウォータージャケットの内部を流通する冷却水が沸騰することがあり、その際に発生した空気がウォータージャケットにたまる可能性がある。特に本実施形態の如くウォータージャケットを2系統とした場合は、エンジンを車両に搭載した際に低い位置にあるウォータージャケットからのエア抜け性が悪くなる場合がある。
本実施形態に係るシリンダヘッドの製造装置にて鋳造されたシリンダヘッド311においては図9に示す如く、第一ウォータージャケット312と第二ウォータージャケット313とが、連結ピン361による空気連通孔361cで連通されている。このため、第一ウォータージャケット312と第二ウォータージャケット313との間で空気の移動が可能となるため、上記の場合であってもエアを排出することができ、エア抜け性を確保することができるのである。
なお、エアは冷却水と共に流通し、流出口13cから排出される。なお、連通ピン361に空気連通孔361cを形成する場合は、シリンダヘッド311の配置状態の関係から、本実施形態に記載した如く、連通ピン361の軸線を水平方向に向けて配設することが望ましい。また、本実施形態における空気連通孔361cは、エアが通過できる程度の径(例えば、0.5〜数mm程度)で形成されるため、冷却水の流通が滞ることはない。
なお、エアは冷却水と共に流通し、流出口13cから排出される。なお、連通ピン361に空気連通孔361cを形成する場合は、シリンダヘッド311の配置状態の関係から、本実施形態に記載した如く、連通ピン361の軸線を水平方向に向けて配設することが望ましい。また、本実施形態における空気連通孔361cは、エアが通過できる程度の径(例えば、0.5〜数mm程度)で形成されるため、冷却水の流通が滞ることはない。
11 シリンダヘッド
12 第一ウォータージャケット
13 第二ウォータージャケット
21 第一中子
31 第二中子
41 排気ポート
61 連結ピン
C キャビティ
12 第一ウォータージャケット
13 第二ウォータージャケット
21 第一中子
31 第二中子
41 排気ポート
61 連結ピン
C キャビティ
Claims (12)
- 排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備える、シリンダヘッドを鋳造する、シリンダヘッドの製造方法であって、
前記第一ウォータージャケットを形成するための第一中子を、金型におけるキャビティの内部に配置し、かつ、前記第二ウォータージャケットを形成するための第二中子を、前記第一中子と離間した位置で、1個又は複数個の連結部材を介して前記第一中子と連結して、前記キャビティの内部に配置した状態で、前記キャビティの内部に溶湯を供給することにより、シリンダヘッドを鋳造する、
ことを特徴とする、シリンダヘッドの製造方法。 - 前記シリンダヘッドは、直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、
前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、
前記第一ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、
前記第二ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシリンダヘッドの製造方法。 - 前記連結部材における、前記第一中子と前記第二中子との間隙部分に位置する部分には、突出部又は溝部が形成される、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシリンダヘッドの製造方法。 - 前記金型は、キャビティ内の型閉じ方向に突出するガス抜きプラグが形成された上型を備え、
前記連結部材は、前記ガス抜きプラグが突出する方向に軸線を向けて、前記ガス抜きプラグと同一軸線上に配設され、
前記第二中子は、前記キャビティの内部に配置される際に、前記ガス抜きプラグと前記連結部材とで挟持されることにより固定される、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。 - 前記連結部材には、該連結部材の第一中子側の端部と第二中子側の端部とを連通する、空気連通孔が形成される、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のシリンダヘッドの製造方法。 - 排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備える、シリンダヘッドを鋳造する、シリンダヘッドの製造装置であって、
キャビティが形成される金型と、前記第一ウォータージャケットを形成するための第一中子と、前記第二ウォータージャケットを形成するための第二中子と、前記第一中子と前記第二中子とを連結する連結部材とを備え、
前記第一中子が前記キャビティの内部に配置され、かつ、前記第二中子が、前記第一中子と離間した位置で、1個又は複数個の前記連結部材を介して前記第一中子と連結され、前記キャビティの内部に配置された状態で、前記キャビティの内部に溶湯が供給されることにより、シリンダヘッドを鋳造する、
ことを特徴とする、シリンダヘッドの製造装置。 - 前記シリンダヘッドは、直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、
前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、
前記第一ウォータージャケットは、前記第一中子により、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、
前記第二ウォータージャケットは、前記第二中子により、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成される、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシリンダヘッドの製造装置。 - 前記連結部材における、前記第一中子と前記第二中子との間隙部分に位置する部分には、突出部又は溝部が形成される、
ことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載のシリンダヘッドの製造装置。 - 前記金型は、キャビティ内の型閉じ方向に突出するガス抜きプラグが形成された上型を備え、
前記連結部材は、前記ガス抜きプラグが突出する方向に軸線を向けて、前記ガス抜きプラグと同一軸線上に配設され、
前記第二中子は、前記キャビティの内部に配置される際に、前記ガス抜きプラグと、前記連結部材とで挟持されることにより固定される、
ことを特徴とする、請求項6から請求項8の何れか1項に記載のシリンダヘッドの製造装置。 - 前記連結部材には、該連結部材の第一中子側の端部と第二中子側の端部とを連通する、空気連通孔が形成される、
ことを特徴とする、請求項6から請求項9の何れか1項に記載のシリンダヘッドの製造装置。 - 排気ポートと、該排気ポートにおける片側を冷却する第一ウォータージャケットと、前記排気ポートにおける前記第一ウォータージャケットが冷却する側と反対の側を冷却する第二ウォータージャケットと、を備え、
前記第一ウォータージャケットと、前記第二ウォータージャケットと、の間に、それぞれを連通する空気連通孔が形成された、1個又は複数個の連結部材が介挿される、
ことを特徴とする、シリンダヘッド。 - 直列する複数のシリンダボアを有するシリンダブロックに配設され、
前記排気ポートは、前記シリンダヘッドにおける、前記シリンダブロックの各シリンダボアと対向する位置に複数個形成され、
前記第一ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に対して直交する方向に向かって冷却水が流通するように形成され、
前記第二ウォータージャケットは、前記シリンダボアが配列される方向に向かって冷却水が流通するように形成される、
ことを特徴とする、請求項11に記載のシリンダヘッド。
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