JP4285203B2 - シリンダブロック - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダライナからなるシリンダの周囲にウォータジャケットを有するシリンダブロックに関するものである。
従来、内燃機関用シリンダブロックとして、図8に示すように、それぞれシリンダボア51を有するシリンダ52の周囲にウォータジャケット53と、そのウォータジャケット53を囲む外側壁54とを有し、全体を鋳造により一体的に形成したものが知られている。また、シリンダ52のシリンダボア51部分をシリンダライナによって構成したものも知られている。これらのシリンダブロック55では、外側壁54の複数箇所(1つのシリンダ52につき4箇所)に、ねじ穴56がシリンダ52の中心軸Lに平行に設けられている。そして、これらのねじ穴56に螺入されたヘッドボルトにより、シリンダヘッドが外側壁54に締結される。
ところが、こうしたシリンダブロック55では、ヘッドボルトをねじ穴56に螺入してゆくと、シリンダヘッドガスケットのボアシール部におけるビード等の押圧により、シリンダボア51を変形させようとする力が発生する。従って、ヘッドボルトによる締結前には真円度の高かったシリンダボア51の開口部の形状が、図8において二点鎖線で示すように十字のような形状に変形、いわゆる四次変形するおそれがある。こうした変形によりシリンダボア51の真円度が低下すると、シリンダボア51のピストンリングとの摩擦が大きくなってフリクションロスが増大し、燃費の悪化を招く。加えて、クランクケースからシリンダボア51及びピストン間の隙間を通って燃焼室内へ漏出し、燃焼により消費されるオイルの量が増大する。
一方、関連する技術として、シリンダヘッド及びシリンダライナを一体構造とする内燃機関が例えば特許文献1に記載されている。この内燃機関では、シリンダライナがシリンダブロックに上方から嵌入され、このシリンダライナとシリンダブロックの外側壁との間にウォータジャケットが形成される。外側壁に螺入されたヘッドボルトによりシリンダヘッドがシリンダブロックに締結される。この技術によると、シリンダライナと外側壁とが分離されているため、そのシリンダライナにヘッドボルトの締付けに伴う前記力が加わりにくくなる。そのため、シリンダライナ(シリンダボア)の変形を少なくし、上述した燃費悪化やオイル消費量の増大を抑制することが可能である。
特開平5−26100号公報
ところで、シリンダライナがシリンダヘッドやシリンダブロックとは別部材によって構成されている場合、通常、そのシリンダライナは次のようにして製造される。まず、遠心鋳造法によって円筒状の鋳造品が形成される。遠心鋳造法は、回転している中空円筒状の鋳型に注湯し、その回転に伴い発生する遠心力によって中空の鋳造品を製造する方法であり、鋳巣の少ない緻密な鋳造品を大量生産することができる利点がある。そして、円筒状の鋳造品を所定の長さに切断し、その後、切削等の方法により所定の形状に加工することでシリンダライナが得られる。
これに対し、前述したシリンダライナをシリンダヘッドと一体構造とした特許文献1に記載の内燃機関では、シリンダライナの肉厚がシリンダヘッドと比較して非常に薄い。このことから、シリンダライナと一体となったシリンダヘッドを鋳造により製造しようとすると、鋳型の成形空間(キャビティ)うちシリンダライナを成形する箇所の幅が狭い。このため、この幅の狭い箇所では湯周り性が悪く、注湯された溶融金属を同箇所に充填させることが難しく、鋳巣が発生しやすい。また、もともと複雑な形状をなしているシリンダヘッドにさらにシリンダライナが加わるため、全体の形状が非常に複雑となる。そのため、こうした複雑な形状をなす製品を加工(切削等)したり搬送したりするために大がかりな製造設備が必要となるという問題もある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋳巣の発生や製造設備の大型化を招くことなくシリンダボアの変形を抑制することのできるシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、シリンダの周囲にウォータジャケットを有し、かつシリンダヘッドに隣接して配置されるシリンダブロックにおいて、前記シリンダを構成するシリンダライナと、前記ウォータジャケットとする部位を囲む外側壁を有するシリンダブロック本体と、前記シリンダライナの前記シリンダヘッド側端部に固定され、かつ前記シリンダブロック本体及び前記シリンダヘッド間に配置されるアッパデッキ部とを備え、前記シリンダライナについて前記アッパデッキ部の固定されていない側の端部は前記外側壁の内側面から離間しており、同外側壁と前記アッパデッキ部の固定されていない側の前記端部との間にシール材が介在され、前記アッパデッキ部を通して前記シリンダブロック本体の外側壁に螺入されたねじ部材により前記シリンダヘッドとの締結が行われるものであるとする。
上記シリンダブロック本体、シリンダライナ、アッパデッキ部等の構成部材を用いてシリンダブロックを組付けるとともに、そのシリンダブロックにシリンダヘッドを締結する際には、まずシリンダライナのシリンダヘッド側の端部にアッパデッキ部を固定する。この固定に際しては、例えば請求項5に記載の発明によるように、シリンダライナをアッパデッキ部のライナ挿通孔に圧入してもよい。また、請求項6に記載の発明によるように、ライナ挿通孔に挿通されたシリンダライナを溶接によりアッパデッキ部に固定してもよい。
次に、シリンダライナをシリンダブロック本体内に配置した状態で、アッパデッキ部をシリンダブロック本体の外側壁上に載置する。さらに、アッパデッキ部上にシリンダヘッドガスケットを挟んでシリンダヘッドを載置する。このようにしてアッパデッキ部をシリンダブロック本体の外側壁とシリンダヘッドとによって挟み込んだ状態にする。
そして、シリンダヘッド及びアッパデッキ部を通してねじ部材を外側壁に螺入させる。この際、シリンダヘッドガスケットのボアシール部におけるビード等の押圧により、外側壁にはこれを変形させようとする力が作用する。しかし、シリンダブロック本体、特に外側壁とシリンダライナとは別部材によって構成されている。また、シリンダライナについてアッパデッキ部の固定されていない側の端部は外側壁の内側面から離間しており、同外側壁とアッパデッキ部の固定されていない側の端部との間には、シール材が介在されている。このため、シリンダライナはねじ部材の締結に伴う前記力の影響を受けにくく、変形しにくい。
また、請求項1に記載の発明では、シリンダライナ、アッパデッキ部及びシリンダヘッドが別部材により構成されている。このため、シリンダライナについては既存のものと同様、遠心鋳造等の方法によって鋳巣の少ない状態で製造することが可能である。また、アッパデッキ部についても、鋼板を切削等することにより製造したり、ダイカスト等の一般的な鋳造方法によって、鋳巣の少ない状態で製造したりすることが可能である。
加えて、シリンダブロックは組み立てられた状態では複雑な形状をなすが、そのシリンダブロックの構成部材であるシリンダブロック本体、シリンダライナ及びアッパデッキ部の各々は単純又は比較的単純な形状をなしている。従って、これらシリンダブロック本体、シリンダライナ及びアッパデッキ部が一体となって複雑な形状をなし、かつ大きなシリンダブロックを製造したり搬送したりする場合に比べて、製造設備が小さくてすむ。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記アッパデッキ部は前記シリンダライナを挿通させるライナ挿通孔を有しており、前記シリンダライナのシリンダヘッド側の端部外周には、アッパデッキ部と当接する当接面を有する位置決め部が設けられているとする。
上記の構成によれば、シリンダライナをアッパデッキ部に固定する際には、アッパデッキ部のライナ挿通孔にシリンダライナを挿通させる。この挿通の過程で、シリンダライナのシリンダヘッド側の端部外周に設けられた位置決め部が、その当接面においてアッパデッキ部に当接する。この当接によりシリンダライナのそれ以上の挿通が規制される。このため、シリンダヘッドのアッパデッキ部に対する位置決めを容易に行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記位置決め部は前記シリンダライナの外周に設けられた突部により構成されているとする。
上記の構成によれば、突部からなる位置決め部がアッパデッキ部に当接することにより、そのアッパデッキ部に対するシリンダライナの位置決めが行われる。そのほかにも、シリンダライナにおいて突部が設けられた箇所の肉厚は、設けられていない他の箇所の肉厚よりも大きくなる。このため、シリンダライナのアッパデッキ部との固定部分の剛性を位置決め部によって高めることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記位置決め部は前記シリンダライナの外周の全周にわたって形成されているとする。
上記の構成によれば、位置決め部がシリンダライナの外周の全周に設けられていることから、複数の位置決め部がシリンダライナの外周に互いに離間した状態で設けられる場合等、位置決め部がシリンダライナの全周に設けられていない場合に比べ、位置決め部の体積が大きくなる。このため、シリンダライナのアッパデッキ部との固定部分の剛性をより一層効果的に高めることができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明において、前記シリンダライナは複数用いられており、これらのシリンダライナはそれぞれ単独で前記アッパデッキ部に固定されているとする。
上記の構成によれば、複数のシリンダボアを有するシリンダブロックにおいて、各シリンダボアがシリンダライナによって構成され、しかも、各シリンダライナは他のシリンダライナからそれぞれ独立している。このことから、遠心鋳造、切削等により、鋳巣が少なく所望形状をなすシリンダライナを製造することが可能である。そして、圧入、溶接等によることで、全てのシリンダライナをアッパデッキ部に固定することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明において、前記シリンダライナは複数用いられており、各シリンダライナは隣のシリンダライナとの結合のための連結部を有しており、同連結部において少なくとも2つのシリンダライナが相互に連結された状態で前記アッパデッキ部に固定されているとする。
上記の構成によれば、複数のシリンダボアを有するシリンダブロックにおいて、各シリンダボアがシリンダライナによって構成され、しかも、各シリンダライナは他のシリンダライナからそれぞれ独立している。このことから、遠心鋳造、切削等により、鋳巣が少なく所望形状をなすシリンダライナを製造することが可能である。こうして製造された各シリンダライナは連結部を有している。このため、隣合う少なくとも2つのシリンダライナ同士を連結部にて相互に連結させることができる。そして、このように連結された複数のシリンダライナがアッパデッキ部に固定されると、各シリンダライナを隣のシリンダライナから独立させた状態でアッパデッキ部に固定した場合に比べて、アッパデッキ部及びシリンダライナの全体の剛性が高くなる。
以下、本発明を、複数のシリンダとそれらの周囲のウォータジャケットとを有するエンジン用シリンダブロックに具体化した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、シリンダブロック11は、エンジンのシリンダヘッド12の下側に配置されて、ねじ部材としての複数本のヘッドボルト13によりそのシリンダヘッド12に締結されるものであり、シリンダブロック本体14、シリンダライナ15及びアッパデッキ部16を備えて構成されている。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック本体14はシリンダブロック11の多くの部分を占めるものであり、下部に位置するスカート部17と、上部に位置して、ウォータジャケット25とする部位を囲む外側壁18とを備えている。シリンダブロック本体14は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的比重の小さな金属材料を用い、ダイカスト、中圧鋳造、低圧鋳造等の鋳造法により一体に形成されている。
図3及び図4に示すように、各シリンダライナ15はシリンダを構成するものであり、鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。各シリンダライナ15は上下両端が開放された円筒状をなしている。各シリンダライナ15がシリンダブロック11に組込まれた状態では、各シリンダライナ15の内部空間は、ピストンリングの装着されたピストン(図示略)を往復動可能に収容するためのシリンダボア10を構成する。各シリンダボア10においてピストンよりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室(図示略)の一部を構成する。
各シリンダライナ15の外周面15aであって、そのシリンダライナ15の上端面から若干下方に離れた箇所には、突部からなる位置決め部22がシリンダライナ15の全周にわたって一体に形成されている。位置決め部22の上部にはシリンダライナ15の中心軸Lに直交する当接面22aが形成されている。
上記構成の各シリンダライナ15は遠心鋳造、切削加工、研削加工等を経て製造されている。遠心鋳造は、鋳型を回転させた状態で溶湯を流し込み、遠心力を利用して溶湯を加圧することにより鋳造品を作る方法であり、鋳巣等の欠陥の少ない緻密な鋳造品の大量生産に適している。各シリンダライナ15の内周面は、燃焼室での混合気や燃焼によって生じたガスの気密性を保つために、切削加工、研削加工により、精度(真円度)の高い円筒面に形成されている。前述した位置決め部22もまた切削加工、研削加工等により所望の形状に精度よく形成されている。
図1及び図2に示すように、アッパデッキ部16は、シリンダブロック本体14とシリンダヘッド12との間に介在されるものであり、板状をなし、前述したシリンダブロック本体14の外側壁18に対応した外形形状を有している。アッパデッキ部16の複数(シリンダの数と同数)の箇所には、シリンダライナ15の上端部の外径と同一又は若干小さな径を有する円形のライナ挿通孔23が互いに離間し、かつ列をなした状態で設けられている。なお、上記構成のアッパデッキ部16は、鋼板を用い、これを切削等することによって製造することができる。また、シリンダブロック本体14と同様、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材料を材料とし、鋳造等の方法により製造することもできる。
シリンダブロック11には、アッパデッキ部16及びシリンダヘッド12を外側壁18に締結するための次の構造が採用されている。外側壁18の上面はシリンダライナ15の中心軸Lに直交する平面に形成されている。外側壁18において、各シリンダライナ15の周囲の複数箇所(1つのシリンダライナ15に対し4箇所)には、ヘッドボルト13を上方から螺入可能にしたねじ穴19が設けられている。各ねじ穴19は外側壁18の上面において開口し、かつシリンダライナ15の中心軸Lに平行に延びている。シリンダヘッド12及びアッパデッキ部16において各ねじ穴19に対向する箇所には、ヘッドボルト13を挿通可能にしたボルト挿通孔21,24がそれぞれ設けられている。
上記シリンダブロック本体14、シリンダライナ15、アッパデッキ部16等の構成部材を用いてシリンダブロック11を組付けるとともに、そのシリンダブロック11にシリンダヘッド12を締結する場合には、まず、全てのシリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定する。この固定に際しては、各シリンダライナ15の上端部をアッパデッキ部16の下方からライナ挿通孔23に挿通する。この挿通の過程で、シリンダライナ15の上端部外周に設けられた位置決め部22が、その当接面22aにおいて、アッパデッキ部16の下面であってライナ挿通孔23の周囲に当接する。この当接によりシリンダライナ15のそれ以上の挿通が規制される。この状態では、各シリンダライナ15の上端面とアッパデッキ部16の上面とが同一平面又は略同一平面に属する。そして、シリンダライナ15のアッパデッキ部16との当接部分、例えば位置決め部22においてシリンダライナ15をアッパデッキ部16に溶接する。この溶接により、中心軸Lがアッパデッキ部16に直交した状態でシリンダライナ15がそのアッパデッキ部16に固定される。
次に、全てのシリンダライナ15がシリンダブロック本体14内に位置し、かつボルト挿通孔24がねじ穴19に合致するようにアッパデッキ部16をシリンダブロック本体14の外側壁18上に載置する。さらに、アッパデッキ部16上にシリンダヘッドガスケット20を挟んでシリンダヘッド12を載置する。この際、ボルト挿通孔21がボルト挿通孔24に合致するようにアッパデッキ部16に対するシリンダヘッド12の位置を合わせる。そして、シリンダヘッド12の上方からヘッドボルト13をボルト挿通孔21,24に挿通し、ねじ穴19に螺入させる。このヘッドボルト13により、アッパデッキ部16を介してシリンダヘッド12が外側壁18に締付けられる。
この際、シリンダヘッドガスケット20のボアシール部におけるビード等の押圧により、外側壁18にはこれを変形させようとする力が作用する。しかし、シリンダブロック本体14、特に外側壁18とシリンダライナ15とは別部材によって構成されていて、両者が分離されている。このため、シリンダライナ15はヘッドボルト13の締結に伴う前記力の影響を受けにくい。そして、全てのヘッドボルト13の締付けを終えると、シリンダライナ15の固定されたアッパデッキ部16を間に挟み込んだ状態でシリンダヘッド12がシリンダブロック11に締結される。
この締結に伴い、アッパデッキ部16がシリンダブロック本体14及びシリンダヘッド12に固定され、全部のシリンダライナ15が列をなした状態でシリンダブロック本体14内の所定箇所に配置される。この状態では、各シリンダライナ15の少なくとも下面が外側壁18とスカート部17との境界部分に当接する。さらに、各シリンダライナ15の下端部外周面が外側壁18の内側面18aに当接されてもよい。各シリンダライナ15の少なくとも上部外周面は外側壁18の内側面18aから離間する。これらの外周面15a、内側面18a及びアッパデッキ部16によって囲まれた空間は、シリンダブロック本体14や各シリンダライナ15を冷却するための冷却水の通路であるウォータジャケット25を構成する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)シリンダブロック本体14、シリンダライナ15及びアッパデッキ部16を別部材によって構成している。そして、シリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定した後、アッパデッキ部16をシリンダブロック本体14及びシリンダヘッド12間に固定する構成を採用している。このため、シリンダヘッド12をヘッドボルト13によってアッパデッキ部16及びシリンダブロック本体14に締結する際に、シリンダライナ15がヘッドボルト13の締結に伴う力の影響を受けにくい。その結果、この力によってシリンダボア10が変形してシリンダボア10の真円度が低下するのを抑制することができる。従って、真円度の低下による不具合である燃費の悪化やオイル消費量の増大を抑制することができる。
(2)シリンダライナ15及びアッパデッキ部16をシリンダヘッド12とは別部材により構成し、アッパデッキ部16のシリンダブロック本体14及びシリンダヘッド12への固定に先立ち、シリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定するようにしている。このため、シリンダライナ15については既存のものと同様、遠心鋳造等の方法によって鋳巣の少ない状態で製造することが可能である。また、アッパデッキ部16についても、鋼板を用い、これを切削等することによって製造することが可能である。また、ダイカスト等の一般的な鋳造方法によって、鋳巣の少ない状態でアッパデッキ部16を製造することも可能である。加えて、シリンダブロック11は組み立てられた状態では複雑な形状をなすが、そのシリンダブロック11の構成部材であるシリンダブロック本体14、シリンダライナ15及びアッパデッキ部16の各々は単純又は比較的単純な形状をなしている。従って、これらシリンダブロック本体14、シリンダライナ15及びアッパデッキ部16が一体となって複雑な形状をなし、かつ大きなシリンダブロック11を加工(切削等)したり搬送したりする場合に比べて、製造設備が小さくてすむ。
(3)シリンダブロックの全体を鋳造により一体で成形する場合には、鋳型のうちウォータジャケットを成形するための箇所が薄いことから、鋳造が繰り返されることによりこの箇所が摩耗や破損をきたしやすく、型寿命が短くなる。しかし、本実施形態では、シリンダブロック11がシリンダブロック本体14、シリンダライナ15、アッパデッキ部16に分割されており、これらが別々に成形される。そして、これらの構成部材を組付けることにより、ウォータジャケット25を有するシリンダブロック11が製作される。従って、いずれの鋳型にもウォータジャケット25を成形するための箇所が不要となる。このため、鋳造が繰り返されても上述したような摩耗、破損のおそれが少なく、型寿命を長くすることができる。
(4)各シリンダライナ15の上端部外周に、当接面22aを有する位置決め部22を設けている。このため、当接面22aがアッパデッキ部16に当接するまで各シリンダライナ15をライナ挿通孔23に挿通することにより、シリンダヘッド12のアッパデッキ部16に対する位置決めを容易に行うことができる。
(5)シリンダライナ15の外周に突部を設け、この突部を位置決め部22としている。シリンダライナ15において突部が設けられた箇所の肉厚は、設けられていない他の箇所の肉厚よりも大きい。そのため、この位置決め部22によってシリンダライナ15のアッパデッキ部16との固定部分の剛性を高めることができる。
(6)上記(5)に関連するが、突部からなる位置決め部22をシリンダライナ15の全周にわたって設けている。このため、位置決め部22がシリンダライナ15の全周に設けられていない場合、例えば複数の位置決め部22がシリンダライナ15の外周に互いに離間した状態で設けられる場合等に比べ、位置決め部22の体積を大きくしシリンダライナ15のアッパデッキ部16との固定部分の剛性をより一層効果的に高めることができる。
(7)複数のシリンダを有するシリンダブロック11において、各シリンダをシリンダライナ15によって構成し、しかも、各シリンダライナ15を他のシリンダライナ15からそれぞれ独立させた状態でアッパデッキ部16に固定している。このことから、遠心鋳造、切削、研削等を経ることで、鋳巣が少なく所望形状をなすシリンダライナ15を製造することが可能である。そして、圧入、溶接等によることで、全てのシリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・前記実施形態とは異なる態様で各シリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定してもよい。例えば、各シリンダライナ15の上端部外周に雄ねじを形成するとともに、アッパデッキ部16におけるライナ挿通孔23の内周面に雌ねじを形成し、この雌ねじに雄ねじを螺合させることにより各シリンダライナ15をアッパデッキ部16に締付け固定してもよい。
・シリンダライナ15のアッパデッキ部16への固定に際し、シリンダライナ15をライナ挿通孔23に圧入してもよい。その一例を図5に示す。この場合、ライナ挿通孔23の上部及び位置決め部22をともに下側(シリンダヘッドから離れる側)ほど縮径するテーパ状に形成する。そして、この位置決め部22を有するシリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定する際には、アッパデッキ部16の上方からライナ挿通孔23にシリンダライナ15を圧入する。この際、アッパデッキ部16の上面におけるライナ挿通孔23の開口部分がシリンダライナ15よりも大径となっているため、同シリンダライナ15の下端部をこの開口部分に容易に挿入させることができる。そして、シリンダライナ15の圧入の過程で位置決め部22がライナ挿通孔23に当接して、それ以上の挿通が規制され、アッパデッキ部16に対するシリンダライナ15の位置決めが行われる。なお、圧入後、必要に応じ位置決め部22をアッパデッキ部16に溶接等によって固定してもよい。
・前記実施形態では、複数のシリンダライナ15をそれぞれ隣のシリンダライナ15から独立させた状態でアッパデッキ部16に固定したが、これに加え、隣合うシリンダライナ15,15同士を相互に連結させてもよい。その一例を図6及び図7に示す。
図6では、平坦な接合面26a,27aを有する連結部26,27が各シリンダライナ15の外周面に1つ又は2つ設けられている。相対向する一対の連結部26,27のうち一方の接合面26aには溝28が形成され、他方の接合面27aにはこの溝28に圧入される突条29が形成されている。
図7では、各シリンダライナ15の外周面15aに、比較的幅の広い1本の突条からなる連結部31が形成されるとともに、中心軸Lを挟んで前記連結部31とは反対側の位置に、2本の突条からなる連結部32が形成されている。連結部32における両突条の間隔は連結部31の幅よりも若干狭く設定されている。
上述した図6及び図7では、各シリンダライナ15が他のシリンダライナ15とは別部材により構成されている。このことから、遠心鋳造、切削等を経ることで、鋳巣が少なく所望形状をなすシリンダライナ15を製造することが可能である。こうして製造された各シリンダライナ15は連結部26,27又は31,32を有している。このため、隣合う2つのシリンダライナ15,15同士を連結部26,27又は31,32にて相互に連結させることができる。図6の場合、突条29を溝28に圧入させて両接合面26a,27aを密接させることによって、隣合うシリンダライナ15,15同士が連結される。また、図7の場合、連結部31の突条を連結部32の両突条間に圧入させることにより、隣合うシリンダライナ15,15同士が連結される。
そして、上記のように連結された複数のシリンダライナ15,15,・・・をアッパデッキ部16に固定させると、各シリンダライナ15をそれぞれ隣のシリンダライナ15から独立させた状態でアッパデッキ部16に固定した場合に比べて、その連結された分、アッパデッキ部16及びシリンダライナ15の全体の剛性が高くなる。
なお、複数のシリンダライナ15をアッパデッキ部16に固定する場合、全てのシリンダライナ15を相互に連結させて1つのアセンブリとしてもよいが、少なくとも2つのシリンダライナ15,15を相互に連結させた状態でアッパデッキ部16に固定してもよい。例えば、複数のシリンダライナ15,15,・・・を複数のグループに分け、グループ毎にシリンダライナ15を相互に連結させてアッパデッキ部16に固定してもよい。
・図6において、相対向する接合面26a,27aの少なくとも一方に破線で示すような凹部33を予め形成しておき、両接合面26a,27aを互いに当接させたときに両連結部26,27間に冷却水通路を構成する空間が形成されるようにしてもよい。
・シリンダブロック本体14内に配置されたシリンダライナ15と同シリンダブロック本体14との当接面におけるシール性を高めるために、シリンダライナ15及びシリンダブロック本体14の一方又は双方において、当接面となる箇所に液体シール材(例えばシリコーン系シール材)を予め塗布しておいてもよい。
・位置決め部22をシリンダライナ15とは別に製作し、溶接等によってこの位置決め部22をシリンダライナ15に固定してもよい。
一実施形態におけるシリンダブロックを、対向する一対のヘッドボルトを通る平面において破断して示す断面図。 シリンダライナが固定されたアッパデッキ部をシリンダブロック本体及びシリンダヘッド間で固定する前の状態を示す部分分解斜視図。 シリンダライナをアッパデッキ部に固定する前の状態を示す部分分解斜視図。 シリンダライナの中心軸を通る平面においてシリンダブロックを破断して示す部分断面図。 シリンダライナのアッパデッキ部に対する固定構造について別の形態を示す部分断面図。 シリンダライナの外周面に連結部を設け、アッパデッキ部への固定に先立ち隣合うシリンダライナ同士を連結する別の形態を示す平面図。 シリンダライナの外周面に連結部を設け、アッパデッキ部への固定に先立ち隣合うシリンダ同士を連結する別の形態を示す部分平面図。 背景技術におけるシリンダブロックについてシリンダボアが変形する様子を説明する部分平面図。
符号の説明
10…シリンダボア、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…ヘッドボルト(ねじ部材)、14…シリンダブロック本体、15…シリンダライナ、16…アッパデッキ部、18…外側壁、22…位置決め部、22a…当接面、23…ライナ挿通孔、25…ウォータジャケット、26,27,31,32…連結部。

Claims (8)

  1. シリンダの周囲にウォータジャケットを有し、かつシリンダヘッドに隣接して配置されるシリンダブロックにおいて、
    前記シリンダを構成するシリンダライナと、
    前記ウォータジャケットとする部位を囲む外側壁を有するシリンダブロック本体と、
    前記シリンダライナの前記シリンダヘッド側端部に固定され、かつ前記シリンダブロック本体及び前記シリンダヘッド間に配置されるアッパデッキ部と
    を備え、前記シリンダライナについて前記アッパデッキ部の固定されていない側の端部は前記外側壁の内側面から離間しており、同外側壁と前記アッパデッキ部の固定されていない側の前記端部との間にシール材が介在され、前記アッパデッキ部を通して前記シリンダブロック本体の外側壁に螺入されたねじ部材により前記シリンダヘッドとの締結が行われることを特徴とするシリンダブロック。
  2. 前記アッパデッキ部は前記シリンダライナを挿通させるライナ挿通孔を有しており、前記シリンダライナのシリンダヘッド側の端部外周には、アッパデッキ部と当接する当接面を有する位置決め部が設けられている請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記位置決め部は前記シリンダライナの外周に設けられた突部により構成されている請求項2に記載のシリンダブロック。
  4. 前記位置決め部は前記シリンダライナの外周の全周にわたって形成されている請求項3に記載のシリンダブロック。
  5. 前記シリンダライナは前記アッパデッキ部の前記ライナ挿通孔に圧入されている請求項2〜4のいずれか1つに記載のシリンダブロック。
  6. 前記ライナ挿通孔に挿通されたシリンダライナは溶接により前記アッパデッキ部に固定されている請求項2〜5のいずれか1つに記載のシリンダブロック。
  7. 前記シリンダライナは複数用いられており、これらのシリンダライナはそれぞれ単独で前記アッパデッキ部に固定されている請求項1〜6のいずれか1つに記載のシリンダブロック。
  8. 前記シリンダライナは複数用いられており、各シリンダライナは隣のシリンダライナとの結合のための連結部を有しており、同連結部において少なくとも2つのシリンダライナが相互に連結された状態で前記アッパデッキ部に固定されている請求項1〜6のいずれか1つに記載のシリンダブロック。
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