WO2020137015A1

WO2020137015A1 - 振動発生装置

Info

Publication number: WO2020137015A1
Application number: PCT/JP2019/035232
Authority: WO
Inventors: 賢司河野; 慧武藤
Original assignee: クラリオン株式会社
Priority date: 2018-12-28
Filing date: 2019-09-06
Publication date: 2020-07-02
Also published as: EP3904160A4; EP3904160A1; US20220069192A1

Abstract

日光への暴露を抑えること。　振動を発生する振動発生部と、車両５０に固定される車両側固定部３０を有し、前記振動発生部が発生する振動を前記車両５０に伝達する振動伝達部材４と、を備え、前記車両側固定部３０は、前記振動発生部の振動方向からみて、当該振動発生部の範囲Ｒ内に設けられている振動発生装置１を構成した。

Description

振動発生装置

　本発明は、振動発生装置に関する。

　車両のフロントウインドガラスを振動させて音を発生する技術として特許文献１がある。特許文献１には、「自動車（例えば貨物自動車、特にキャブオーバー型の貨物自動車）のフロントガラスに圧電振動子が設置されており、圧電振動子に電気信号を印加する電気信号供給装置を設け、電気信号供給装置は警報システム（運転者に対する警報システム、公知の各種警報システム）から運転者に対する警報信号が出力された際に圧電振動子に電気信号を印加する機能を有している。」ことが記載されている。

特開２０１１－２０６５１号公報

　特許文献１では、フロントウインドガラスに設けた圧電振動子が日光に曝されて紫外線劣化し易い、という問題がある。

　本発明は、日光への暴露が抑えられる振動発生装置を提供することを目的とする。

　この明細書には、２０１８年１２月２８日に出願された日本国特許出願・特願２０１８－２４７２３９の全ての内容が含まれる。

　本発明は、振動を発生する振動発生部と、車両に固定される車両側固定部を有し、前記振動発生部が発生する振動を前記車両に伝達する振動伝達部材と、を備え、前記車両側固定部は、前記振動発生部の振動方向からみて、当該振動発生部の範囲内に設けられていることを特徴とする振動発生装置を提供する。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動伝達部材は、前記車両側固定部から離間する方向に延び、先端が自由端である延在部を有し、前記車両側固定部が、前記車両の開口部を覆うウインドガラス、又は当該ウインドガラスを支持するフレームに固定され、前記延在部の先端に前記振動発生部が固定されていることを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記車両側固定部は、前記振動発生部の重心を通って前記振動発生部の振動方向に延びる線上に位置することを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動発生部は、前記車両側固定部が前記ウインドガラス、又は前記フレームに固定された場合に、前記振動方向を水平方向に向けて配置されることを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記延在部は、前記振動発生部の発熱を伝導する高熱伝導性を有する、ことを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記延在部は、板状を成し、前記車両側固定部が前記ウインドガラス、又は前記フレームに固定された場合に板面が水平になる、ことを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記車両側固定部は、前記車両の幅方向に、少なくとも前記延在部の幅よりも長い、ことを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動発生部は、前記振動に伴って空気振動を生じさせる振動部材を備え、前記振動部材が生じさせた空気振動を前記車両のウインドガラスに入射させることを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動伝達部材は、前記振動部材が前記ウインドガラスに対向する位置に前記振動発生部を配置することを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動部材が生じさせた空気振動を前記ウインドガラスに向けて反射する反射部材を備えることを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記車両側固定部の一端部に前記振動発生部が固定される、ことを特徴とする。

　本発明は、上記振動発生装置において、前記振動部材は、高音域の空気振動を生じさせることを特徴とする。

　本発明によれば、日光への暴露が抑えられる。

図１は、本発明の第１実施形態に係る振動発生装置の構成を示す四面図であり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は上面図、（Ｃ）は側面図、（Ｄ）は底面図である。図２は、エキサイタの構成を示す斜視図である。図３は、エキサイタの断面図である。図４は、振動発生装置が取り付けられた車両の構成を示す図であり、（Ａ）は外観図、（Ｂ）は（Ａ）に示したＡ―Ａでの断面図である。図５は、天井内装材裏側空間のフロント側の内部構成を模式的に示す図である。図６は、本発明の変形例に係る振動発生装置の構成を車両への取付構造とともに模式的に示す図である。図７は、本発明の他の変形例に係る振動発生装置の構成を示す図である。図８は、本発明の第２実施形態に係る振動発生装置の設置状態を模式的に示す図である。図９は、第２実施形態に係る振動発生装置が備えるエキサイタの構成を示す断面図である。図１０は、第２実施形態の変形例に係る構成を示す模式図である。図１１は、第２実施形態の変形例に係る構成を示す模式図である。図１２は、第２実施形態の変形例に係る構成を示す模式図である。

　以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
＜第１実施形態＞
　図１は本実施形態に係る振動発生装置１の構成を示す四面図であり、図１（Ａ）は正面図、図１（Ｂ）は上面図、図１（Ｃ）は側面図、図１（Ｄ）は底面図である。
　振動発生装置１は、振動を発生する振動発生部材であるエキサイタ２と、このエキサイタ２が発生する振動を伝達する振動伝達部材４と、を備える。

　図２はエキサイタ２の構成を示す斜視図であり、図３はエキサイタ２の断面図である。
　エキサイタ２には、音源機器５９（図５）から音声電気信号が入力され、当該音声電気信号に基づいて振動を発生する装置である。
　より詳細には、図２、及び図３に示すように、エキサイタ２は、中心軸Ｃを有する筒状のフレーム６と、磁気回路８と、当該磁気回路８をフレーム６に懸架するダンパ１０と、フレーム６の内部に収められたボイスコイル９（図３）と、を備える。かかるエキサイタ２では、ボイスコイル９に音声電気信号が入力されたときに、ボイスコイル９と磁気回路８との間にローレンツ力が作用し、これによりダンパ１０に懸架された磁気回路８が振動する。

　フレーム６は、軽量化に有利な樹脂材、又は放熱に有利な金属材から円筒形状に形成される。
　磁気回路８は、図３に示すように、ヨーク１２と、円盤状磁石１４と、プレート１６と、を有し、これらは全て平面視略円形に形成され、この順にフレーム６の外側から中心軸Ｃに沿って積層される。ヨーク１２は、中心軸Ｃに沿って延びる側壁１２Ａを有し、この側壁１２Ａの内側に、円盤状磁石１４、及びプレート１６が側壁１２Ａと隙間をあけて内包され、この隙間によって磁気ギャップｇが形成される。
　かかる磁気回路８は、上述の通り、ダンパ１０によってフレーム６の中心軸Ｃと同軸に懸架される。ダンパ１０は、ステンレス等の金属から成る薄い板状の部材であり、図２に示すように、磁気回路８の周囲に設けられる。

　ボイスコイルボビン１８は、一端部１８Ａが磁気回路８の磁気ギャップｇに入り込む程度の径を有した円筒状を成し、フレーム６の内に中心軸Ｃと同軸に、磁気回路８の下側に収められる。この一端部１８Ａには、音声電気信号が印加されるボイスコイル９が巻き回され、当該ボイスコイル９が磁気ギャップｇに配置される。一方、ボイスコイルボビン１８の他端部１８Ｂは、フレーム６の開口を塞ぐ板部２０に固定される。

　ボイスコイル９には信号線２１が接続され、当該信号線２１から音声電気信号が入力される。音声電気信号の入力に伴ってボイスコイルボビン１８、及び磁気回路８には、フレーム６の中心軸Ｃの方向にローレンツ力が働き、ダンパ１０によって懸架状態に成された磁気回路８がフレーム６の中心軸Ｃの方向に振動することとなる。

　エキサイタ２は、磁気回路８、ボイスコイルボビン１８、及びフレーム６が回転体形状を成し、それぞれがフレーム６の中心軸Ｃに同軸に組み付けられる。これにより、エキサイタ２の重心Ｇは、概ね中心軸Ｃの上、又は中心軸Ｃの近傍に位置する構成となっている。

　振動伝達部材４は、エキサイタ２を車両５０（図４）側の振動板となる部材に固定する機能と、振動板となる部材から離間した位置にエキサイタ２を配置する機能と、当該エキサイタ２の振動を振動板となる部材に伝達する機能と、を有した部材である。
　具体的には、振動伝達部材４は、図１に示すように、車両５０の部材に固定される車両側固定部３０と、この車両側固定部３０から離間する方向に水平に直線状に延び、その先端が自由端となる延在部３２と、この延在部３２の自由端である先端に設けられ、エキサイタ２が固定される振動発生部固定部３４と、を備える。エキサイタ２は、この振動伝達部材４によって、車両側の部材から離間した位置に片持支持状態で配置される。

　かかる振動伝達部材４は、アルミニウム等の矩形状の金属板を折り曲げ加工して形成される。具体的には、図１（Ｃ）に示すように、矩形金属板の一端側を所定の傾斜角度αで折り曲げることで車両側固定部３０が形成され、矩形金属板の他端側を９０度に折り曲げることで振動発生部固定部３４が形成される。

　車両側固定部３０は、図１（Ｂ）に示すように、その上面に平面状の固定面３０Ａを有し、その固定面３０Ａが接着剤、或いは両面テープなどの粘着剤で車両側に強固に固着される。
　また振動発生部固定部３４も、車両側固定部３０と同様に、図１（Ａ）に示すように、その上面に平面状の固定面３４Ａを有し、その固定面３４Ａに、エキサイタ２が固定される。エキサイタ２の固定には、接着剤や両面テープ、螺子などの任意の固定手法を用いることができる。

　延在部３２は、図１（Ｂ）、及び図１（Ｃ）に示すように、所定の幅Ｗ、及び所定の長さＬの平面視略矩形状を成す板状部である。延在部３２は、エキサイタ２の発熱を長さＬの方向に伝える高熱伝導性を有し、かつ、エキサイタ２の振動に伴って鉛直方向Ｄ（図５）に撓む程度の可撓性を有した金属材料（本実施形態ではアルミニウム）によって形成される。
　延在部３２に対する車両側固定部３０の傾斜角度αは、当該車両側固定部３０が車両側の部材に固定されたときに、延在部３２を水平（鉛直方向に垂直な方向）に延在させるための角度である。このとき、延在部３２は、板面３２Ａが水平面と略平行になる姿勢で延在し、図１（Ｃ）に点線で示すように、鉛直方向Ｄに適度な撓み量で撓み易くなっている。

　また延在部３２が平面視略矩形状であるため、高音域に相当する音の振動を延在部３２から発することもできる。また延在部３２に伝熱したエキサイタ２の発熱を、延在部３２の全体の表面から十分に放熱することもでき、エキサイタ２の冷却性能を高めることができる。

　ここで、エキサイタ２は、振動方向、すなわちフレーム６の中心軸Ｃが振動発生部固定部３４の固定面３４Ａに対して垂直になる姿勢で固定される。この固定面３４Ａは、延在部３２の端部を９０度に折り曲げて形成されているため、図１（Ｃ）に示すように、エキサイタ２の中心軸Ｃは延在部３２と略平行になる。車両取付時には、延在部３２は水平に維持されるので、エキサイタ２も振動方向が水平を向いた状態で固定される。これにより、走行時等に車両５０が鉛直方向Ｄに揺れたとしても、この揺れに対してエキサイタ２の磁気回路８の振動方向が直交するので、この揺れによって磁気回路８が大きく揺り動かされて、当該磁気回路８を懸架するダンパ１０が破損する、といった事態を防止できる。
　また仮に、車両５０の鉛直方向Ｄの揺れが、エキサイタ２の振動と共振するような周波数成分を含んでいた場合でも、この揺れによるエキサイタ２の振動増幅も抑えられる。

　さて振動伝達部材４にあっては、図１（Ｃ）に示すように、車両側固定部３０、及び振動発生部固定部３４はいずれも、延在部３２に対して同じ側（図示例では、下側）に折り曲げられることで両者は対向する。特に本実施形態では、車両側固定部３０は、振動発生部固定部３４に固定されたエキサイタ２の中心軸Ｃの線上に位置するように構成される。上述の通り、エキサイタ２の重心Ｇは中心軸Ｃの線上にあるので、エキサイタ２の重心Ｇを通る振動方向（中心軸Ｃの方向）の延長線上に固定端である車両側固定部３０が位置することになる。
　この構成により、自由端に固定されたエキサイタ２が振動を発した場合に、自身の振動によって大きく揺れてしまう、といった事態を抑制できる。なお、かかるエキサイタ２の揺れの抑制効果については、エキサイタ２の重心Ｇを通る振動方向の延長線上でなくともよく、当該延長線の近傍に車両側固定部３０が配置されていれば、その効果が得られる。

　また、図１（Ｃ）に示すように、振動発生装置１において、車両側固定部３０は、振動方向（中心軸Ｃの方向）からエキサイタ２をみたときに、当該エキサイタ２の範囲Ｒ内に配置されている。この構成によれば、エキサイタ２と車両側固定部３０との鉛直方向Ｄにおけるズレ（離間距離）が抑えられるので、エキサイタ２における水平方向の振動が車両側固定部３０に正確に伝わり易くなり、音の再現性を高めることができる。

　次いで、振動発生装置１の車両取付構造について説明する。
　図４は振動発生装置１が取り付けられた車両５０の構成を示す図であり、図４（Ａ）は外観図、図４（Ｂ）は図４（Ａ）に示したＡ―Ａでの断面図である。
　一般に車両５０には、振動板となり得る部材としてルーフパネル（アウターパネルとも呼ばれる）５４を有するが、本実施形態の振動発生装置１は、車両５０に形成された開口部を覆うウインドガラスを振動板として振動させ、車室内に音を発生させる。
　具体的には、本実施形態の振動発生装置１は、開閉不能に車両５０に取り付けられたウインドガラスの１つであるフロントウインドガラス５１を振動板として振動させる。かかる振動発生装置１は、図４（Ｂ）に示すように、車両５０の屋根を構成するルーフパネル５４と、車両５０の天井内装材５５との間の空間（以下、天井内装材裏側空間という）Ｓであって、車両５０の車幅の略中央に設置される。振動発生装置１が車幅の略中央に設置されることで、左右のいずれかに偏らせて設置した場合に比べ、フロントウインドガラス５１の振動が左右両側支持するピラー５７（いわゆるＡピラー）の影響を受け難くでき、特に低音域を響かせることができる。

　図５は、天井内装材裏側空間Ｓのフロント側の内部構成を模式的に示す図である。
　同図に示すように、天井内装材裏側空間Ｓにおいて、フロントウインドガラス５１の上端部５１Ａがルーフパネル５４の先端部５４Ａに接着等により接合される。またルーフパネル５４の先端部５４Ａには、当該ルーフパネル５４の強度を補強するレインフォース５６の先端部５６Ａが重ねて固定される。これらルーフパネル５４の先端部５４Ａ、及びレインフォース５６の先端部５６Ａによって、フロントウインドガラス５１の上端部５１Ａを固定するフレーム６５が構成される。

　そして、このフレーム６５と天井内装材５５との間に露出するフロントウインドガラス５１のガラス面に振動発生装置１の車両側固定部３０が接着剤、或いは粘着剤などで固定され、当該車両側固定部３０から車両後方（すなわち天井内装材裏側空間Ｓの奥側）に離間した位置にエキサイタ２が片持支持状態で延在部３２に支持される。
　この構成においては、エキサイタ２がフロントウインドガラス５１から離間した位置に配置されるため、フロントウインドガラス５１に直接、エキサイタ２を固定する構成に比べて日光が当たり難くなり日光への暴露が抑えられる。またフレーム６５と天井内装材５５との間に、エキサイタ２をフロントウインドガラス５１に固定するための十分なスペースＢが設けられていない場合でも、車両側固定部３０を固定できるだけのスペースＢが確保さえされていれば、振動発生装置１を設置することができる。さらに、振動発生装置１が天井内装材裏側空間Ｓに配置されることで、フロントウインドガラス５１に振動発生装置１を固定した場合でも、振動発生装置１が乗員の視界を妨げることもなく、視界に入ることもない。

　上述の通り、振動発生装置１は、車両側固定部３０の固定面３０Ａが傾斜角度αで傾斜することで、延在部３２が水平方向に延び、かつ、エキサイタ２が振動方向（中心軸Ｃ）を水平方向に向けた姿勢で、片持支持状態で配置される。
　これにより、エキサイタ２から大きな加速度の振動が入った場合でも、延在部３２が適度に撓むことで、揺れに起因した違和感を生じさせるような衝撃音を撓みにより分散させてフロントウインドガラス５１への当該衝撃音の伝達を抑制しつつ、エキサイタ２が発する振動についてはフロントウインドガラス５１に十分に伝えることができる。また、エキサイタ２の磁気回路８の振動方向が鉛直方向に対して直交することから、車両５０の鉛直方向Ｄの揺れが磁気回路８の振動を強めダンパ１０を損傷するといったこともない。

　上述した実施形態は、次のような効果を奏する。

　本実施形態の振動発生装置１は、車両側固定部３０がエキサイタ２の振動方向（中心軸Ｃの方向）からみて、当該エキサイタ２の範囲Ｒ内に設けられている。
　これにより、エキサイタ２と車両側固定部３０との鉛直方向Ｄにおけるズレ（離間距離）が抑えられるので、エキサイタ２における水平方向の振動が車両側固定部３０に正確に伝わり易くなり、音の再現性を高めることができる。
　また、フロントウインドガラス５１にエキサイタ２を直接固定する必要がないため、エキサイタ２に日光が当たり難くなり、エキサイタ２への日光の暴露が抑えられる。

　本実施形態の振動発生装置１は、エキサイタ２の振動を伝達する振動伝達部材４を備え、車両５０のフロントウインドガラス５１に固定される車両側固定部３０と、この車両側固定部３０から離間する方向に延び、先端が自由端である延在部３２と、を有し、この延在部３２の先端にエキサイタ２が固定された構成である。
　この構成によれば、フロントウインドガラス５１から延在部３２によって離間された位置にエキサイタ２が配置されるので、エキサイタ２に日光が、より当たり難くなる。
　さらに、エキサイタ２はフロントウインドガラス５１から離間配置されるので、フロントウインドガラス５１において乗員の視界の邪魔になり難くできる。

　本実施形態の振動発生装置１は、エキサイタ２の重心Ｇを通り振動方向（中心軸Ｃの方向）に延びる線上に車両側固定部３０が位置する。
　これにより、延在部３２の自由端に固定されたエキサイタ２が、自身が発する振動により大きく揺れ動いてしまう、といった事態を抑制できる。

　本実施形態の振動発生装置１は、車両側固定部３０がフロントウインドガラス５１に固定された場合に、エキサイタ２が、自身の振動方向（中心軸Ｃの方向）を水平方向に向けて配置される構成とした。
　この構成によれば、車両５０が走行時などに鉛直方向Ｄに揺れたとしても、この揺れに対してエキサイタ２の振動方向が直交するので、この揺れによってエキサイタ２が大きく揺り動かされてダンパ１０が損傷する、といった事態を防止できる。
　また仮に、車両５０の鉛直方向Ｄの揺れが、エキサイタ２の振動と共振するような周波数成分を含んでいた場合でも、この揺れによるエキサイタ２の振動増幅も抑えられる。

　本実施形態の振動発生装置１は、延在部３２がエキサイタ２の振動に伴って撓む程度の可撓性を有する。これにより、揺れに起因した違和感を生じさせるような衝撃音を撓みにより分散させ、フロントウインドガラス５１への当該衝撃音の伝達を抑制しつつ、エキサイタ２が発する振動についてはフロントウインドガラス５１に十分に伝えることができる。

　本実施形態の振動発生装置１は、延在部３２が、エキサイタ２の発熱を伝導する高熱伝導性を有する材料から形成されているため、その全長の全域からエキサイタ２の熱を効率良く放熱できる。

　本実施形態の振動発生装置１において、延在部３２は板状を成し、車両側固定部３０がフロントウインドガラス５１に固定された場合に板面３２Ａが水平になるように配置される。これにより、車両５０の鉛直方向Ｄの揺れに応じて、上述した撓みを適度に発生させることができる。また、延在部３２が板状を成すことで放熱面積が増えてエキサイタ２の冷却性能が高められ、さらに、エキサイタ２の高周波域の振動音（すなわち高音域の音）を板面３２Ａから響かせることもできる。

＜第１実施形態の変形例＞

　第１実施形態では、振動発生装置１をフロントウインドガラス５１に固定した構成を例示したが、これに限らず、図６に示すように、車両側固定部３０を、フロントウインドガラス５１を支持するフレーム６５に固定してもよい。
　この構成によれば、エキサイタ２の振動がフレーム６５を通じて、ルーフパネル５４（車両５０が備えるパネル部材）にも伝えられ、当該ルーフパネル５４も振動板として振動させることができる。

　また同図６に示すように、延在部３２と、車両側固定部３０との間に、車両５０の側の部材（図示例では、レインフォース５６）を回避する等の目的で適宜の連結部１３３を一体に設けた振動発生装置１００を構成してもよい。

　また図７に示すように、車両側固定部２３０の固定面２３０Ａを車幅方向Ｅに、少なくとも延在部３２の幅Ｗよりも長く延ばした振動発生装置２００を構成してもよい。この構成によれば、固定面２３０Ａの面積が拡大するので、振動発生装置２００を、より強固にフロントウインドガラス５１やフレーム６５に固定でき、これらフロントウインドガラス５１やフレーム６５に対して、振動をより伝えることができる。

　また振動発生装置１、１００、２００を、フロントウインドガラス５１の下端部、又は、当該下端部を支持するフレームに固定してもよい。この場合、振動発生装置１、１００、２００は、インストルメントパネルの下に配置されることが好ましい。

　また振動発生装置１、１００、２００のいずれも、フロントウインドガラス５１に限らず、車両５０の開口部を閉じるものであれば、例えばリアウィンドガラスなどの任意のウインドガラス、又は、当該ウインドガラスを支持するフレームに固定できる。そして、かかる振動発生装置１、１００、２００によって、これらウインドガラス、又はフレームを振動板として振動させて、車室内に音を発することができる。

＜第２実施形態＞
　次いで、本発明の第２実施形態について説明する。
　図８は、本実施形態に係る振動発生装置３００の設置状態を模式的に示す図である。
　同図に示すように、振動発生装置３００は、第１実施形態の振動発生装置１と同様に、車両５０の天井内装材裏側空間Ｓに配置され、振動を発生する振動発生部材であるエキサイタ３０２と、このエキサイタ３０２が発生する振動を車両５０の側に伝達する振動伝達部材３０４と、を備える。

　振動伝達部材３０４は、エキサイタ３０２を車両５０側の振動板となる部材に固定する機能と、当該エキサイタ２の振動を振動板となる部材に伝達する機能と、を有し、具体的には、車両５０のレインフォース３５６に固定される車両側固定部３３０と、エキサイタ３０２が固定される振動発生部固定部３３４と、を備える。車両側固定部３３０は、上記延在部３２と同様に、直線状に延びる矩形板材であり、その一端部３３０Ａが略９０度にＬ字状に折れ曲がって振動発生部固定部３３４が形成されている。すなわち、本実施形態の振動発生装置３００においても、車両側固定部３３０がエキサイタ３０２の振動方向（中心軸Ｃの方向）からみて、当該エキサイタ３０２の範囲Ｒ内に設けられており、音の再現性が高められている。

　かかる振動伝達部材３０４は、車両側固定部３３０の全長の略全ての範囲がレインフォース３５６における水平な水平面部３５６Ａに固定されることで、振動発生部固定部３３４の固定面３３４Ａが鉛直方向Ｄに平行に配置される。当該固定面３３４Ａに上記エキサイタ３０２が固定されることで、エキサイタ３０２の振動方向（中心軸Ｃ）が水平方向に合わせられる。

　そして、エキサイタ３０２が音源機器５９（図５）から入力される音声電気信号に基づいて振動すると、その振動がレインフォース３５６を含むフレーム６５を介してフロントウインドガラス５１に伝達される。これにより、フロントウインドガラス５１が、スピーカのいわゆる振動板として機能し、音が車室内に発せられることとなる。
　特に、車両側固定部３３０の一端部３３０Ａには、第１実施形態の振動発生装置１が備える延在部３２を介在させずに、振動発生部固定部３３４が直接的に設けられ、なおかつ、車両側固定部３３０の大部分がレインフォース３５６に固定されているので、エキサイタ３０２の低音域の振動成分がレインフォース３５６に正確に伝えられ、低音域の再現性が高い音をフロントウインドガラス５１から発することができる。

　ここで、本実施形態では、振動発生部固定部３３４は、車両側固定部３３０よりもフロントウインドガラス５１の側に近い位置に配置されることで、固定面３３４Ａに固定されたエキサイタ３０２が当該フロントウインドガラス５１に対向（正対）した状態で配置される。
　さらに、本実施形態の車両５０においては、天井内装材５５とフロントウインドガラス５１との間には通し部３７０が設けられている。この通し部３７０は、天井内装材５５とフロントウインドガラス５１の間に、車幅方向に設けられた隙間、１つの開口、又は複数の開口（例えばグリッド）によって形成されている。

　かかる構成の下、エキサイタ３０２の振動によって空気振動が生じると、その空気振動がフロントウインドガラス５１に入射して当該フロントウインドガラス５１で反射し、通し部３７０を通じて車室内に導入され、拡がることとなる。
　これにより、振動伝達部材３０４の振動伝達に伴う音に加え、空気振動に伴う音も車室内に拡がるので、車室内の音響効果がより高められることとなる。

　図９は、エキサイタ３０２の構成を示す断面図である。
　同図に示すように、本実施形態のエキサイタ３０２は、前掲図３に示すエキサイタ２に比べて、ボイスコイルボビン１８の一端部１８Ａから他端部１８Ｂまでの距離が長く、なおかつ、この他端部１８Ｂの外周面がフレーム６に形成された開口部３１９の周縁部に取り付けられ、この他端部１８Ｂの開放部分を覆うようにして、振動部材３２０が設けられている。振動部材３２０は、ドーム形状を呈するシルクやアルミニウム等で構成されており、ボイスコイルボビン１８と共に中心軸Ｃの方向に振動することで、当該振動部材３２０から空気振動が効率良く出力される。この振動部材３２０には、高域専用スピーカのドーム部にも採用されているシルクやアルミニウムが用いられているため、肌理の細かい高音域の音に対応した空気振動が出力される。

　エキサイタ３０２が発した肌理の細かな高音域の空気振動は、上述の通り、通し部３７０を通じて車室内に導入される。すなわち、車室内においては、通し部３７０から導入された高音域の音と、フロントウインドガラス５１から発せられる、低音域の再現性が高い音と、が拡がることとなり、非常に高い音響効果が実現される。

　本実施形態によれば、第１実施形態と同様な効果に加え、次のような効果を奏する。

　本実施形態の振動発生装置３００においては、エキサイタ３０２がフロントウインドガラス５１に振動伝達部材３０４によって対向配置されることで、エキサイタ２を直接、フロントウインドガラス５１に固定する必要がないため、エキサイタ２に日光が当たり難くなり、エキサイタ２への日光の暴露が抑えられる。
　加えて、本実施形態では、エキサイタ３０２は、振動に伴って空気振動を生じさせる振動部材３２０を備え、この振動部材３２０が生じさせた空気振動を車両５０のフロントウインドガラス５１に入射させる。これにより、振動伝達部材３０４の振動伝達に伴う音に加え、空気振動に伴う音によって、音響効果がより高められる。

　本実施形態では、振動伝達部材３０４は、振動部材３２０がフロントウインドガラス５１に対向する位置にエキサイタ３０２を配置した。これにより、空気振動がフロントウインドガラス５１に直接的に入射するので、当該空気振動の減衰が抑えられる。

　本実施形態では、車両側固定部の３３０の一端部３３０Ａにエキサイタ３０２が固定されているので、延在部３２を備える場合に比べ、エキサイタ３０２の振動（特に、低音域の振動成分）が車両５０の側に正確に伝えられ、音の再現性が高められる。

　本実施形態では、振動部材３２０は、高音域の空気振動を生じさせる。これにより、振動伝達部材３０４の振動伝達に伴う、低音域の再現性が高い音と、空気振動に伴う高音域の音との混合によって、非常に高い音響効果が実現される。

＜第２実施形態の変形例＞
　第２実施形態では、エキサイタ３０２をフロントウインドガラス５１に対向配置したが、これに限らない。
　例えば図１０に示すように、振動伝達部材３０４は、エキサイタ３０２を車両側固定部３３０よりもフロントウインドガラス５１から離れた位置に配置し、かつ、エキサイタ３０２の正面に、当該エキサイタ３０２が生じさせた空気振動をフロントウインドガラス５１に向けて反射する反射部材３９０を設けてもよい。
　これにより、フロントウインドガラス５１から奥まった位置にエキサイタ３０２が配置されるので、日光の暴露がより抑えられる。
　この場合において、図１１、及び図１２に示すように、第１実施形態の振動発生装置１、及び、第１実施形態の変形例に係る振動発生装置１００において、高音域の空気振動を生じさせるエキサイタ３０２をエキサイタ２の代わりに備え、かつ、エキサイタ３０２の正面に反射部材３９０を設けてもよい。
　反射部材３９０は、天井内装材裏側空間Ｓにおいて、例えば車両５０のルーフパネル５４に設置されるが、車両５０内での反射部材３９０の設置態様は、エキサイタ３０２の空気振動を反射可能であれば任意である。

　例えば、振動発生装置３００の車両側固定部３３０が、エキサイタ３０２の側面視において、略Ｔ字状に振動発生部固定部３３４から延びてもよい。

　上述した第１、及び第２実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。

　例えば、本明細書において、水平、垂直、平行、鉛直方向等の方向、各種の数値、及び形状は、特段の断りがなされていない限り、これらの方向、及び数値の周辺の範囲、並びに近似の形状を意識的に除外するものではなく、同一の作用効果を奏し、また数値にあっては臨界的意義を逸脱しない限りにおいて、その周辺の範囲、並びに近似の形状（いわゆる、均等の範囲）を含むものである。すなわち、例えば、水平、垂直、平行、鉛直方向等の方向はそれぞれ、略水平、略垂直、略平行、略鉛直方向であってもよい。

　１、１００、２００、３００　振動発生装置
　２、３０２　エキサイタ（振動発生部）
　４、３０４　振動伝達部材
　６　フレーム
　８　磁気回路
　９　ボイスコイル
　１０　ダンパ
　１８　ボイスコイルボビン
　３０、２３０、３３０　車両側固定部
　３０Ａ、２３０Ａ　固定面
　３２　延在部
　３２Ａ　板面
　３４、３３４　振動発生部固定部
　３４Ａ、３３４Ａ　固定面
　５０　車両
　５１　フロントウインドガラス（ウインドガラス）
　５４　ルーフパネル
　５５　天井内装材
　６５　フレーム
　３２０　振動部材
　Ｃ　中心軸（振動方向）
　Ｄ　鉛直方向
　Ｅ　車幅方向
　Ｇ　重心
　Ｓ　天井内装材裏側空間
　α　傾斜角度

Claims

　振動を発生する振動発生部と、
　車両に固定される車両側固定部を有し、前記振動発生部が発生する振動を前記車両に伝達する振動伝達部材と、を備え、
　前記車両側固定部は、前記振動発生部の振動方向からみて、当該振動発生部の範囲内に設けられている
　ことを特徴とする振動発生装置。
　前記振動伝達部材は、
　前記車両側固定部から離間する方向に延び、先端が自由端である延在部を有し、
　前記車両側固定部が、前記車両の開口部を覆うウインドガラス、又は当該ウインドガラスを支持するフレームに固定され、
　前記延在部の先端に前記振動発生部が固定されている
　ことを特徴とする請求項１に記載の振動発生装置。
　前記車両側固定部は、
　前記振動発生部の重心を通って前記振動発生部の振動方向に延びる線上に位置することを特徴とする請求項２に記載の振動発生装置。
　前記振動発生部は、
　前記車両側固定部が前記ウインドガラス、又は前記フレームに固定された場合に、前記振動方向を水平方向に向けて配置される
　ことを特徴とする請求項３に記載の振動発生装置。
　前記延在部は、
　前記振動発生部の発熱を伝導する高熱伝導性を有する、ことを特徴とする請求項２から４のいずれかに記載の振動発生装置。
　前記延在部は、
　板状を成し、
　前記車両側固定部が前記ウインドガラス、又は前記フレームに固定された場合に板面が水平になる、
　ことを特徴とする請求項２から５のいずれかに記載の振動発生装置。
　前記車両側固定部は、
　前記車両の幅方向に、少なくとも前記延在部の幅よりも長い、ことを特徴とする請求項２から６のいずれかに記載の振動発生装置。
　前記振動発生部は、
　前記振動に伴って空気振動を生じさせる振動部材を備え、
　前記振動部材が生じさせた空気振動を前記車両のウインドガラスに入射させる
　ことを特徴とする請求項１に記載の振動発生装置。
　前記振動伝達部材は、
　前記振動部材が前記ウインドガラスに対向する位置に前記振動発生部を配置する
　ことを特徴とする請求項８に記載の振動発生装置。
　前記振動部材が生じさせた空気振動を前記ウインドガラスに向けて反射する反射部材を備える
　ことを特徴とする請求項８に記載の振動発生装置。
　前記車両側固定部の一端部に前記振動発生部が固定される、ことを特徴とする請求項８から１０のいずれかに記載の振動発生装置。
　前記振動部材は、高音域の空気振動を生じさせる
　ことを特徴とする請求項１１に記載の振動発生装置。