JPH04126485U - 自動車用ガラス振動型スピーカ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は自動車室内で音響を再生するスピー
カに関し、自動車室内で平面波の音波を容易に形成する
ことを目的とする。 【構成】 自動車に搭載されるスピーカにおいて、振動
板を振動させるためのスピーカ用アクチュエータ（１）
と、振動板として用いられかつ前記スピーカ用アクチュ
エータ（１）が取り付けられる自動車ガラス（２）とを
備え、複数の自動車ガラス（２）にそれぞれ前記スピー
カ用アクチュエータ（１）を取り付けて音楽信号に人工
的に付加する残響信号を形成してなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車室内で音響を再生するスピーカに関する。 本考案では特に自動車室内で平面波の音波を容易に形成することを目的とする 。

【０００２】

【従来の技術】

自動車に搭載されるオーディオシステムにおけるスピーカには例えばリアトレ イに埋め込まれるリアスピーカ、ドアに取り付けられるドアスピーカ、ダッシュ ボード上又はダッシュボードに埋め込まれたフロントスピーカ等がある。 さらに機能的には、音楽信号に人工的に付加する残響信号を形成する音場制御 装置に使用されるスピーカが上記スピーカとは別に設けられる場合がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の自動車搭載用スピーカでは、自動車室内の空間を広くす るべく、スピーカ寸法が小さくなるように制約され、さらにデザイン又は安全上 突起物を生じさせないようにするためスピーカ取付けが埋め込み方式になってい るが、スピーカ寸法が小さいと、聴取者との距離が小さいこともあり音圧や良好 な周波数特性が得にくく、また点音源に近いため、前方の拡がりを得にくいとの 問題があり、特に残響付加を効果的にするには平面波での再現が望まれ、さらに は、埋め込み方式によりコスト高となり、スピーカ数の増加に対し新たな取り付 け空間を設けることが困難であるとの問題があった。

【０００４】 したがって、本考案は上記問題点に鑑みて、スピーカ特性を改善できかつ取り 付けが容易になる自動車用ガラス振動型スピーカを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記問題点を解決するために自動車に搭載されるスピーカにおいて、 振動板を振動させるためのスピーカ用アクチュエータと、前記振動板として用い られかつ前記スピーカ用アクチュエータが取り付けられる自動車ガラスとを設け る。さらに複数の前記自動車ガラスにそれぞれ前記スピーカ用アクチュエータを 取り付けて音楽信号に人工的に付加する残響信号を形成してなる。

【０００６】

【作用】

本考案の自動車用ガラス振動型スピーカによれば自動車用ガラスにスピーカ用 アクチュエータが取り付けられることにより自動車用ガラスが振動板となり平面 波の音源になる。自動車室内のように音源と聴取者との間が小さい場合にはスピ ーカを大形にせずに平面波が得られ、スピーカの取り付けが容易で取り付け場所 をとらない。特に音楽信号に人工的に付加する残響音の特性が音源から十分に離 れたものだからほとんど平面波になっているので、この残響音を形成するのに有 効である。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 図１は本考案の実施例に係る自動車用ガラス振動型スピーカを示す図である。 本図の構成には自動車10内に電気信号を伝送するスピーカコード（SPコード）に 接続されるスピーカ用アクチュエータ１と、自動車の構成部分であって、スピー カ用アクチュエータ１が取り付けられるフロントガラス２と、自動車の構成部分 であって、フロントガラス２との間にスピーカ用アクチュエータ１が取り付けら れるルームミラーとが含まれる。

【０００８】 なお、フロントガラス２がダッシュボードでかくれる延長部２−１にスピーカ 用アクチュエータ１−１が取り付けられるようにしてもよい。 図２は本実施例に係るスピーカ用アクチュエータを示す図である。本図の構成 には、ボビンに巻回されたボイスコイル11と、ボイスコイル11の位置に磁場を形 成する一方のプレート12と、磁束を発生するマグネット13と、プレート12と磁場 を形成する他方のセンターポール14と、ボビンに固定され、フロントガラス２に 振動を与える固定部15と、固定部15とフロントガラス２を接着固定する両面接着 部16と、固定部15と、プレート12、マグネット13、センターポール14等を支持す るフレームとの間に設けられるゴム性のダンパー兼エッジ17とが含まれる。

【０００９】 次に、本実施例の動作を説明する。スピーカ用アクチュエータ１に電気信号が 入力すると、ボイスコイル11が磁場によって力を発生し、前後に移動するにとも なって、固定部15が振動するので、この振動がフロントガラス２に伝わって、フ ロントガラス２が振動する。フロントガラス２の面積が非常に大きいので、フロ ントガラス２の振動により生じる音はほぼ平面波になる。

【００１０】 スピーカ用アクチュエータ１はフロントガラス２に接着で固定されるのでフロ ントガラスへの取り付けが容易であり、ルームミラー３の裏側、ダッシュボード の裏側等の運転者からみて死角の位置に取り付けられて、運転視野を妨げること もない。好適にはスピーカ用アクチュエータ１の取り付け位置は上記制約を考慮 の上、ガラスの振動の腹部よりも少しずれた位置であることが望ましい。

【００１１】 図３はスピーカ用アクチュエータを取り付ける振動板用の自動車用ガラスを示 す図である。自動車用ガラスには車種によって異なるが、例として普通乗用車で は図に示すように、フロントガラス21、リアガラス22、サイドガラス23，24，25 および26がある。したがって、本実施例によれば、従来に対して６個スピーカを 容易に増設できることになり、しかも得られる音源が全部平面波であり、車室内 ではスピーカと聴取者との距離が小さく限定され、かつスピーカを小形に制約さ れる条件下においては音質特性改善が図れる。

【００１２】 図４は本考案の実施例に係る、音場制御装置に用いられる自動車用ガラス振動 型スピーカの一例を示す図である。 本図に示すように、自動車用ガラス21，22，23，24，25および26にスピーカ用 アクチュエータ１をそれぞれ接着固定してスピーカを構成する。残響音創成部30 では入力信号Ｕi に基づき種々の音楽会場の拡がり感を創成し、同一音楽会場で も会場の位置による拡がり感を創成する。拡がり感を創成した信号は、もとの入 力信号と合成され、例えば自動車用ガラス21，23，24，25および26の各スピーカ 用アクチュエータ１に送出される。入力信号Ｕi を入力する低域通過フィルタ40 は、高域部をカットして直接音を生成し残響音創成部30の創成信号と合成され、 この合成信号は自動車用ガラス22のスピーカ用アクチュエータ１へ送出される。

【００１３】 図５は残響音創成部の構成例を示す図である。本図の残響音形成部は直接音信 号Ｖi をＴ₁ 時間およびＴ₂ 時間遅延させる初期遅延メモリ31と、Ｔ₁ 時間だけ 遅延された直接音信号を受ける遅延メモリ32、この遅延メモリ32によって遅延さ れた信号ごとにある係数を乗算する複数の乗算器33および、該乗算器33の出力を 逐次加算する複数の加算器34からなる初期反射音生成部30と、前記Ｔ₂ 時間だけ 遅延された直接音信号をΔＴだけ遅延する遅延器35、該遅延器35の信号における 係数を乗算する乗算器36および該乗算器36の出力信号と該遅延器35の入力信号を 加算する加算器37からなる残響音生成部38と、前記加算器34および遅延器35の出 力信号を加算する加算器39とを包含する。

【００１４】 図５は残響音創成部により生成される音場を説明する図である。本図に示すよ うに初期遅延メモリ31により遅延された直接音信号は初期反射音生成部30により 初期反射音信号に形成され、さらに残響音生成部38により残響音に形成される。 この初期反射音信号および残響音信号の形成により各音楽会場、例えばコンサー トホール、ライブハウス、教会、スタジアムのようにそれぞれ異なる拡がり感の 再現が可能になる。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば自動車用ガラスにスピーカ用アクチュエー タが取り付けられることによって自動車用ガラスが振動板として、平面波の音源 となるので音質が改善されるのみならず、取付けが容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る自動車用ガラス振動型ス
ピーカを示す図である。

【図２】本実施例に係るスピーカ用アクチュエータを示
す図である。

【図３】スピーカ用アクチュエータを取り付ける振動板
用の自動車用ガラスを示す図である。

【図４】本考案の実施例に係る、音場制御装置に用いら
れる自動車用ガラス振動型スピーカの一例を示す図であ
る。

【図５】残響音創成部の構成を示す図である。

【図６】残響音創成部により生成される音場を説明する
図である。

【符号の説明】

１…スピーカ用アクチュエータ ２…フロントガラス ２−１…延長部 ３…ルームミラー １０…自動車

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｇ１０Ｋ 15/12

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車に搭載されるスピーカにおいて、
   振動板を振動させるためのスピーカ用アクチュエータ
   と、前記振動板として用いられかつ前記スピーカ用アク
   チュエータが取り付けられる自動車ガラスとを備える自
   動車用ガラス振動型スピーカ。
2. 【請求項２】 複数の前記自動車ガラスにそれぞれ前記
   スピーカ用アクチュエータを取り付けて音楽信号に人工
   的に付加する残響信号を形成する自動車用ガラス振動型
   スピーカ。