WO2020009188A1 - 細胞シートの製造方法、心筋細胞シート、および心筋細胞シート製造用キット - Google Patents
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Abstract
培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液の中央方向に向かって前記動物細胞を集めながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
Description
本発明は、細胞シートの製造方法、心筋細胞シート、および心筋細胞シート製造用キットに関する。
移植用の細胞シートは、細胞の接着力を利用して、細胞をシャーレの底面などの基材に接着培養させて作製されている(例えば、特許文献1を参照)。接着培養により支持体の上に形成された細胞シートは、使用時に支持体から剥離する必要があるが、細胞の接着力が邪魔をして、細胞シートの形態を維持したまま支持体から剥離することが難しい。
本発明は、支持体からの細胞シートの剥離に伴う細胞シートの破壊を生じることなく細胞シートを製造するための技術を提供することを目的とする。
一つの側面によれば、培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液の中央方向に向かって前記動物細胞を集めながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法が提供される。
別の側面によれば、80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シートが提供される。
更に別の側面によれば、iPS細胞由来の心筋細胞と、前記心筋細胞を培養するための培養液と、前記培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キットが提供される。
本発明によれば、支持体からの細胞シートの剥離に伴う細胞シートの破壊を生じることなく細胞シートを製造するための技術を提供することができる。
1.細胞シートの製造方法
細胞シートの製造方法は、培養液中に分散している動物細胞を、培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めながら浮遊培養して、培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む。
細胞シートの製造方法は、培養液中に分散している動物細胞を、培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めながら浮遊培養して、培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む。
1-1.動物細胞
この方法で使用される動物細胞の動物種は、特に限定されないが、好ましくは哺乳類、齧歯類、より好ましくは霊長類、更に好ましくはヒトである。
この方法で使用される動物細胞の動物種は、特に限定されないが、好ましくは哺乳類、齧歯類、より好ましくは霊長類、更に好ましくはヒトである。
動物細胞は、特に限定されないが、例えば、多能性幹細胞由来の分化細胞、動物の組織から採取された分化細胞、多能性幹細胞、体性幹細胞が挙げられる。「多能性幹細胞」は、生体を構成する全ての細胞に分化することができる多分化能(pluripotency)と、細胞分裂を経てもその多分化能を維持することができる自己複製能とを有する細胞を意味する。「多能性幹細胞」には、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が含まれる。「体性幹細胞」は、特定の細胞に分化することができる限定した分化能と、細胞分裂を経てもその限定した分化能を維持することができる自己複製能とを有する細胞を意味する。「体性幹細胞」には、間葉系幹細胞が含まれる。
動物細胞は、好ましくは、多能性幹細胞由来の分化細胞、より好ましくはiPS細胞由来の分化細胞、更に好ましくはiPS細胞由来の心筋細胞、最も好ましくはiPS細胞由来のヒト心筋細胞である。あるいは、動物細胞は、好ましくは、体性幹細胞、より好ましくは間葉系幹細胞、更に好ましくはヒト間葉系幹細胞である。
動物細胞が、多能性幹細胞由来の分化細胞である場合、多能性幹細胞から公知の分化誘導法により作製することができる。あるいは、多能性幹細胞由来の分化細胞は、商業的に入手可能なものを使用してもよい。動物細胞が体性幹細胞である場合、動物から採取されたものを使用してもよいし、商業的に入手可能なものを使用してもよい。
動物細胞が、多能性幹細胞由来の分化細胞である場合、かかる細胞は、高い分化細胞純度、例えば80~100%の分化細胞純度を有することが好ましい。動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞である場合、iPS細胞由来の心筋細胞を、好ましくは80~100%、より好ましく85~100%、更に好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度で含む。本明細書において、細胞純度のパーセンテージは、細胞の数に基づくパーセンテージを表す。心筋細胞純度は、心筋マーカーであるcardiac troponin T (cTnT)、α-actinin、α-cardiac actin、GATA-4などの抗体を用いてフローサイトメトリーで解析することにより求めることができる。
iPS細胞由来の心筋細胞であって、高い心筋細胞純度を有する心筋細胞は、例えば、公知のプロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法により作製することができる(WO2015/182765を参照)。プロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法は、高い心筋分化効率を達成することができるため、かかる方法により作製されたiPS細胞由来の心筋細胞は、高い心筋細胞純度を達成することができる。
1-2.培養液および培養容器
培養液は、使用される動物細胞の培養に適した組成を有する公知の培養液を使用することができる。動物細胞が心筋細胞の場合、培養液は、心筋細胞の培養用の培養液として公知のものを使用することができる。好ましくは、心筋細胞の培養用の培養液は、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩を含む無機塩類と、緩衝液とを含む。より好ましくは、心筋細胞の培養用の培養液は、DMEM、RPMI、IMDM、Ham-12などの基礎培地を用いてもよい。基礎培地は、例えばシグマアルドリッチジャパンより入手可能である。例えば、心筋細胞の培養用の培養液は、下記組成を有する培養液を用いてもよい:
0.01~0.5g/L(例えば、0.182g/L)のCaCl2、
0~1.0g/L(例えば、0.09767g/L)のMgSO4、
0.1~1.0g/L(例えば、0.4g/L)のKCl、
0~10.0g/L(例えば、3.362g/L)のNaHCO3、
1.0~20.0g/L(例えば、5.4525g/L)のNaCl、
0~1.0g/L(例えば、0.109g/L)のNa2HPO4、および
0~20.0g/L(例えば、5.958g/L)のHEPES。
培養液は、使用される動物細胞の培養に適した組成を有する公知の培養液を使用することができる。動物細胞が心筋細胞の場合、培養液は、心筋細胞の培養用の培養液として公知のものを使用することができる。好ましくは、心筋細胞の培養用の培養液は、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩を含む無機塩類と、緩衝液とを含む。より好ましくは、心筋細胞の培養用の培養液は、DMEM、RPMI、IMDM、Ham-12などの基礎培地を用いてもよい。基礎培地は、例えばシグマアルドリッチジャパンより入手可能である。例えば、心筋細胞の培養用の培養液は、下記組成を有する培養液を用いてもよい:
0.01~0.5g/L(例えば、0.182g/L)のCaCl2、
0~1.0g/L(例えば、0.09767g/L)のMgSO4、
0.1~1.0g/L(例えば、0.4g/L)のKCl、
0~10.0g/L(例えば、3.362g/L)のNaHCO3、
1.0~20.0g/L(例えば、5.4525g/L)のNaCl、
0~1.0g/L(例えば、0.109g/L)のNa2HPO4、および
0~20.0g/L(例えば、5.958g/L)のHEPES。
培養液は、血清を含んでいなくてもよいし、血清添加前の培養液に対して、40質量%以下の量で血清を含んでいてもよい。培養液のpHは特に限定されないが、好ましくは6.0~9.0、より好ましくは7.0~8.0である。
培養液は、細胞の浮遊培養およびシート形成のために、培養液の深さが、例えば5mm以上、好ましくは5~50mmになるように容器に入れることが好ましい。
培養液は、細胞シートの製造効率の観点から、増粘剤を更に含むことが好ましい。増粘剤が培養液中に含まれると、培養液に粘度が付与される。その結果、動物細胞が培養液中で容器底面に沈みにくく、浮遊状態を安定に維持することができる。また、動物細胞と培養液との摩擦が少なくなり、動物細胞が培養液中で移動しやすくなる。増粘剤が培養液中に存在すると、動物細胞が培養液中に浮遊した状態でシート状に集まりやすくなり、これにより、シート形成の効率を高めることができる。一方で、細胞シートの移植利用の観点から、細胞シートへの増粘剤の付着の可能性を排除するためには、培養液は、増粘剤を含んでいないことが好ましい。
増粘剤は、培養液に粘度を付与することができれば特に限定されず、例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ジェランガム、コラーゲン、ヒアルロン酸、Hystem(登録商標)などを使用することができる。増粘剤は、例えば10~3000 mPa・S、好ましくは50~1000 mPa・Sの粘度を有する培養液を調製するのに必要な量で、培養液に添加することができる。すなわち、増粘剤を含む培養液は、例えば10~3000 mPa・S、好ましくは50~1000 mPa・Sの粘度を有する。本明細書において「粘度」は、25℃における粘度を指す。増粘剤としてメチルセルロース(例えばR&D Systems, Inc. HSC001)を使用した場合、例えばメチルセルロース重量で0.001~0.01g/mLの濃度で培養液に添加することができる。
培養液を収容する容器は、浮遊培養に適した任意の容器を使用することができる。容器は、細胞接着性が低い内壁を有することが好ましい。例えば、容器への細胞の接着を阻害するコーティングが内壁に施されている容器を使用することができる。このような浮遊培養用容器は周知であり、市販されている。コーティングは、例えば、Poly-HEMA、すなわちポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、またはMPC、すなわち2-メタクリロイルエチルホスホリルコリンによるコーティングが知られている。
容器は、平底容器が好ましい。平底容器は、浮遊培養中の動物細胞をシート形状に集めるのに適している。平底容器の底面の形状は、任意であり、円形でも四角形でもよい。本発明の方法では、平底容器の底面と相似の形状を有する細胞シートが製造されるため、円形の細胞シートを製造したい場合、円形の底面を有する平底容器を使用することが好ましい。
容器は、市販されている浮遊培養用の平底容器を使用することができ、浮遊培養用ディッシュ、浮遊培養用フラスコ、浮遊培養用プレート(すなわち、マイクロタイタープレート)などを使用することができる。より具体的には、直径3.5~10cmの浮遊培養用ディッシュ、培養面積12.5~225cm2の浮遊培養用フラスコ、浮遊培養用の6ウェルプレート、浮遊培養用の12ウェルプレート、浮遊培養用の24ウェルプレート、浮遊培養用の96ウェルプレートなどを使用することができる。例えば、超低接着表面を有する細胞培養容器として市販されている容器、例えば、Ultra-Low Attachmentディッシュ(コーニング)、Ultra-Low Attachmentフラスコ(コーニング)、Ultra-Low Attachmentプレート(コーニング)、PrimeSurfaceディッシュ(住友ベークライト)などを使用することができる。
1-3.浮遊培養
動物細胞は、浮遊培養のために培養液中に播種され、培養液中に分散される。このとき、動物細胞は、培養液中に単一細胞の状態で、すなわち細胞がバラバラの状態で、分散していることが好ましい。培養液中に播種するための動物細胞は、細胞塊を蛋白質分解酵素で処理することにより準備することができる。
動物細胞は、浮遊培養のために培養液中に播種され、培養液中に分散される。このとき、動物細胞は、培養液中に単一細胞の状態で、すなわち細胞がバラバラの状態で、分散していることが好ましい。培養液中に播種するための動物細胞は、細胞塊を蛋白質分解酵素で処理することにより準備することができる。
動物細胞は、浮遊培養の開始時に、細胞シート形成に適した細胞密度で培養液中に存在することが好ましい。動物細胞は、浮遊培養の開始時に、例えば0.1×106~10×106細胞/cm2、好ましくは2×106~4×106細胞/cm2の細胞密度で存在することが好ましい。
本発明の方法では、培養液中に分散している動物細胞を、培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めながら浮遊培養する。好ましくは、培養液中に分散している動物細胞を、全体としてシート形状を形成するように、培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めながら浮遊培養する。
「培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めること」を説明するための図を図1に示す。本明細書において「培養液の中央方向に向かって動物細胞を集める」とは、培養液中の各細胞が、“培養液の重心を通って重力方向に平行な直線”へ向けて移動するように動物細胞を集めることを指す(図1参照)。好ましくは、「培養液の中央方向に向かって動物細胞を集める」とは、培養液中の各細胞が、“培養液の重心を通って重力方向に平行な直線”へ向けてほぼ水平方向に移動するように動物細胞を集めることを指す(図1参照)。本明細書において「ほぼ水平方向」とは、重力方向に対して90°±10°の方向、好ましくは重力方向に対して90°±5°の方向を指す。
培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めることにより、浮遊培養中の細胞同士の接触の機会が増え、これにより細胞同士が接着し、この繰り返しにより、培養液中に浮遊する細胞シートを、支持体を使用しないで形成することができる。
したがって、浮遊培養は、培養液の中央方向に向かって動物細胞を集めることができれば、任意の方法により行うことができる。浮遊培養は、好ましくは、培養液に振動を付与することにより行うことができる。あるいは、浮遊培養は、培養液に、培養液の中央方向に向かう音波を発生させることにより行ってもよい。
浮遊培養は、使用される動物細胞に適した培養条件で行うことができる。心筋細胞の場合、浮遊培養は、5%CO2の雰囲気下で、20~43℃の温度で行うことができる。浮遊培養は、シートを形成するのに必要な期間にわたって行う必要があり、例えば6時間以上、好ましくは12~24時間にわたって行われる。
好ましい態様において、細胞シートの製造方法は、培養液中に分散している動物細胞を、培養液に振動を付与しながら浮遊培養して、培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む。
本発明の方法の好ましい態様を模式的に図2に示す。図2の(a)は、動物細胞1が、培養容器3に収容された培養液2中に分散している様子を示し、図2の(b)は、培養液2に振動を付与しながら動物細胞1を浮遊培養すると、動物細胞1が培養液2の中央方向に向かって徐々に集まる様子を示し、図2の(c)は、浮遊培養を継続すると、動物細胞1がシート状に自己集合し、互いに接着して細胞シート4を形成する様子を示す。
培養液に振動を付与することにより、浮遊培養中の細胞同士の接触の機会が増え、これにより細胞同士が接着し、この繰り返しにより、培養液中に浮遊する細胞シートを、支持体を使用しないで形成することができる。
したがって、浮遊培養中の細胞同士の接触の機会が増え、これにより細胞同士が接着することができれば、任意の振動条件を採用することができる。
振動は、好ましくは、重力方向に対して交差する方向、より好ましくは、重力方向に対してほぼ垂直な方向の振動である。これにより、浮遊培養中の細胞は、効率良く接触し、効率良く接着することができる。本明細書において「重力方向に対してほぼ垂直な方向」とは、重力方向に対して90°±10°の方向、好ましくは重力方向に対して90°±5°の方向を指す。振動は、より好ましくは、重力方向に対して垂直な方向(すなわち、水平方向)の振動である。
振動は、往復振動であってもよいが、好ましくは回転振動である。本明細書において「回転振動」は、回転体の回転運動に伴って発生する振動であり、例えば円運動状の振動である。
回転振動、例えば円運動状の振動により、培養液の中央方向に向かって細胞を効率よく集めることができる。振動は、更に好ましくは、重力方向に対してほぼ垂直な方向の円運動状の振動である。振動は、更に好ましくは、重力方向に対して垂直な方向(すなわち、水平方向)の円運動状の振動である。
振動の周波数は、一般には1~10000Hz、好ましくは2~3000Hz、より好ましくは5~100Hz、更に好ましくは10~50Hzであり、振幅は、一般には0.1~10000μm、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは1~10μmである。なお、振動が回転振動である場合、上記の「振幅」は、回転軸に対して垂直な第1方向の振幅と、回転軸及び第1方向に対して垂直な第2方向の振幅とを意味している。
振動を付与しながらの浮遊培養は、例えば、振動付与装置を用いて行うことができる。振動付与装置は、一例として、細胞を静置培養するための培養空間を内部に有する培養器本体と、培養器本体の内部に取り付けられ、培養容器に振動を付与するための振動発生器とを含む。
培養器本体は、細胞培養に適した環境条件(温度、湿度、雰囲気など)を満たすように管理された密閉空間を提供するとともに、培養容器を出し入れ可能であることが求められるため、開閉式のドアを前面に備えている。培養器本体は、通常、培養容器を載置するための載置台を備えている。培養器本体の内部空間は、換気されてもよいし換気されなくてもよい。
振動発生器は、培養器本体の内部に取り付けられている。振動発生器は、培養器本体の天井に設置してもよく、培養容器を載置するための載置台に設置してもよい。振動発生器は、例えば、モーターを含んでいる。振動発生器は、モーターの回転軸が、重力方向に平行な向きになるように培養器本体の内部に取り付けられていることが好ましい。
振動は、一般的には、浮遊培養の全期間にわたって継続的に培養液に付与される。振動は、少なくとも細胞シートが形成されるまでの期間にわたって継続的に培養液に付与されていることが好ましい。振動は、培養液の中央方向に向かって細胞を集めることができれば、継続的に付与されてもよいし、間歇的に付与されてもよい。
細胞シートの製造が完了したことは、細胞シートの製造を肉眼で確認するとともに、培養容器を揺らして細胞シートが一体性を保っていることを確認することにより判断することができる。
1-4.効果
本発明の方法は、浮遊培養により、培養液中に浮遊する細胞シートを形成することができる。このため、本発明の方法は、接着培養により支持体上に細胞シートを製造する場合と異なり、細胞シートを支持体から剥離する必要がなく、そのまま移植材料として使用することができる。また、本発明の方法は、支持体からの細胞シートの剥離に伴う細胞シートの破壊を生じることなく細胞シートを製造することができる。
本発明の方法は、浮遊培養により、培養液中に浮遊する細胞シートを形成することができる。このため、本発明の方法は、接着培養により支持体上に細胞シートを製造する場合と異なり、細胞シートを支持体から剥離する必要がなく、そのまま移植材料として使用することができる。また、本発明の方法は、支持体からの細胞シートの剥離に伴う細胞シートの破壊を生じることなく細胞シートを製造することができる。
また、本発明の方法は、浮遊培養を1日程度行うことにより細胞シートを製造可能であるため、短期間での細胞シートの製造を可能にする非常に簡便な方法であり、細胞シートの大量生産に適している。
また、本発明の方法によれば、シート化したい目的細胞の純度が高い細胞シートを製造することができる。すなわち、従来の細胞シートの製造で必要とされていた線維芽細胞などの追加の細胞を必要とすることなく、細胞純度の高い細胞シートを製造することができる。本発明者らは、最大で98%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シートの製造を実証している。心筋細胞はガン化しないため、心筋細胞純度が高い心筋細胞シートは、移植後、ガン化のリスクが低いという点で優れている。
また、本発明の方法によれば、均一な形状を有する細胞シートを製造することができる。本明細書において「均一な形状」とは、細胞シートが、肉眼で見た際に、細胞シートの平面の90%以上の面積にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつ培養容器底面と相似の形状を示すことをいう。「細胞シートが、肉眼で見た際に、細胞シートの平面の90%以上の面積にわたってほぼ均一な厚みを有する」とは、細胞シートのごく一部の箇所(例えば、シートの端っこや中央部分のごく一部の箇所など)に、極端に薄い厚さを有する部分が存在していても差し支えないことを意味する。言い換えれば、細胞シートは、肉眼で見た際に、細胞シートの平面の90%以上の面積にわたってほぼ均一な厚みを有していれば、実用上問題ない。「ほぼ均一な厚み」とは、例えば、細胞シートの平面の90%以上の面積にわたって、最小の厚みと最大の厚みが、その中間の値±25%の範囲、好ましくはその中間の値±20%の範囲に入ることをいう。細胞シートは、培養液中に分散している細胞の集合により形成され、細胞シートの形状を制御することは難しいため、「培養容器底面と相似の形状」の表現が、厳密に相似の形状を表していないことは明らかである。「均一な形状」の表現は、細胞シートが破れている場合や、縮んで丸まった形状を示す場合を除外する意味で用いられる。培養容器として、容器底面が真円の平底容器を使用した場合、「均一な形状」は、細胞シートが、肉眼で見た際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつ真円と相似の形状(すなわち、およそ円形の形状)を示すことをいう。
また、本発明の方法は、培養容器の底面サイズを変えることで、細胞シートのサイズを自由にコントロールすることができ、比較的大きなサイズの細胞シートを製造することができる。例えば円形のシートの場合、直径5cm以上の細胞シートを製造することができる。また、本発明の方法は、培養容器の底面と相似の形状を有する細胞シートを製造することができるため、培養容器の底面の形状を変えることで、細胞シートの形状を自由にコントロールすることができる。
また、本発明の方法によれば、十分な強度を持ち、ハンドリングが容易な細胞シートを製造可能であるため、移植時に扱いやすいという利点を有する。例えば、本発明の細胞シシートは、ヘラなどで掬って移植部位に貼り付けることが可能である。
一方、従来の方法(WO2011/058813)は、筋芽細胞と、筋芽細胞以外の細胞(間葉系幹細胞や線維芽細胞など)とを混合して接着培養により細胞シートを製造しており、細胞シートの形成には、シート化したい目的細胞以外に追加の細胞を添加することが必須であった。かかる従来の方法(すなわち、追加の細胞を利用した接着培養による方法)は、本願出願日の時点において、当該技術分野で主流であり、かかる従来の方法により製造された心筋細胞シートを用いて臨床研究が開始されたところである。本発明者らは、従来の方法(WO2011/058813)を用いて、80%以上の心筋細胞純度を有する心筋細胞シートを製造してみたが、支持体から細胞シートを剥離する際に細胞シートが破れてしまうか、縮んで丸まってしまい、均一な形状を有するシートを製造することができなかった。
上述のとおり、本発明の方法では、シート化したい目的細胞以外の細胞がほとんど存在しなくても、均一な形状および十分な強度を有する細胞シートを製造することができた。これは、細胞が、浮遊培養中に、ほとんど隙間なく密集した状態でシート状に自己集合し、互いに接着してシート化したためと考えられる。本発明の方法は、細胞シートの作成に追加の細胞の添加が必須であるという本願出願時の技術常識を覆して、従来とは全く異なる手法を採用して細胞純度の高い細胞シートの製造を可能にしており、画期的な方法である。
2.細胞シート
別の側面によれば、上述の方法により製造された細胞シートが提供される。本発明の細胞シートは、上述の「1-4.効果」の欄で述べた効果を有する。
別の側面によれば、上述の方法により製造された細胞シートが提供される。本発明の細胞シートは、上述の「1-4.効果」の欄で述べた効果を有する。
本発明の細胞シートは、製造時に、シート化したい目的細胞の他に、線維芽細胞などの追加の細胞を必要としないため、シート化したい目的細胞の純度が高い。具体的には、本発明の細胞シートは、好ましくは80~100%、より好ましくは85~100%、更に好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の目的細胞純度を有する。細胞シートの目的細胞純度は、シート形成のために使用された原料細胞における目的細胞純度とほぼ同じである。
また、本発明の細胞シートは、好ましくは、均一な形状を有する。また、本発明の細胞シートは、好ましくは、目的細胞以外の細胞を含まない。すなわち、本発明の細胞シートは、好ましくは、100%の目的細胞純度を有する。本発明の細胞シートは、好ましくは、線維芽細胞を含まない。
また、本発明の細胞シートは、目的に応じて、種々のサイズのシートとすることができる。例えば、細胞シートは、小型動物への移植または薬剤応答のスクリーニングのために製造する場合には、比較的小さいサイズとすることができる。あるいは、細胞シートは、大型動物への移植または大きな組織特有の薬剤応答の検査のために製造する場合には、比較的大きなサイズとすることができる。本発明の細胞シートは、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。本明細書において「最大長さ」とは、細胞シートの平面の輪郭上の2点を結ぶ線分のうち最も長いものの長さを指す。細胞シートが円形の場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。細胞シートが、ほぼ真円の形状を有する場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの直径を有する。細胞シートが四角形の場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。細胞シートは、例えば0.01~1cmの厚みを有する。
細胞シートは、任意の動物種の任意の細胞タイプのシートであるが、好ましくは心筋細胞シート、より好ましくはヒト心筋細胞シートである。本発明の心筋細胞シートは、上述の「1-4.効果」の欄で述べた効果を有する。
本発明の心筋細胞シートは、高い心筋細胞純度を有する。具体的には、心筋細胞シートは、好ましくは80~100%、より好ましくは85~100%、更に好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する。ヒト心筋細胞シートは、好ましくは80~100%、より好ましくは85~100%、更に好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%のヒト心筋細胞純度を有する。心筋細胞シートの心筋細胞純度は、シート形成のために使用された原料細胞における心筋細胞純度とほぼ同じである。
本発明の心筋細胞シートは、好ましくは、均一な形状を有する。また、本発明の心筋細胞シートは、好ましくは、心筋細胞以外の細胞を含まない。すなわち、本発明の心筋細胞シートは、好ましくは、100%の心筋細胞純度を有する。本発明の心筋細胞シートは、好ましくは、線維芽細胞を含まない。
また、本発明の心筋細胞シートは、目的に応じて、種々のサイズのシートとすることができ、比較的大きなサイズとすることができる。本発明の心筋細胞シートは、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。心筋細胞シートが円形の場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。心筋細胞シートが、ほぼ真円の形状を有する場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの直径を有する。心筋細胞シートが四角形の場合、例えば0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する。
3.心筋細胞シート製造用キット
別の側面によれば、
iPS細胞由来の心筋細胞と、
心筋細胞を培養するための培養液と、
培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キットが提供される。
別の側面によれば、
iPS細胞由来の心筋細胞と、
心筋細胞を培養するための培養液と、
培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キットが提供される。
本発明のキットにおいて、iPS細胞由来の心筋細胞は、好ましくは80~100%、より好ましく85~100%、更に好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する。かかる心筋細胞は、上述のとおり、公知のプロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法により作製することができる(WO2015/182765を参照)。
心筋細胞は、公知のプロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法により作製された心筋細胞塊であってもよいし、公知のプロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法により作製された心筋細胞塊を蛋白質分解酵素で処理することにより得られた単一細胞の集団であってもよい。「単一細胞の集団」とは、細胞が互いにくっついておらず、バラバラの状態にあることを指す。
本発明のキットにおいて、培養液は、心筋細胞の培養用の培養液として公知のものを使用することができる。培養液は、例えば、上述の「1-2.培養液および培養容器」の欄で述べた「心筋細胞の培養用の培養液」とすることができる。培養液は、上述のとおり、血清を含んでいなくてもよいが、血清を含んでいることが好ましい。培養液が血清を含む場合、血清添加前の培養液に対して、例えば40質量%以下の量で血清を含むことができる。
培養液は、上述の「1-2.培養液および培養容器」の欄で述べたとおり、細胞シートの製造時に増粘剤を含んでいてもよい。したがって、キットに含まれる培養液は、増粘剤を予め含んでいてもよい。この場合、増粘剤は、一般的には、培養液に所望の粘度を付与するのに必要な量で培養液に含まれる。あるいは、キットに含まれる培養液は、増粘剤を含んでおらず、培養液とは別のパッケージで増粘剤がキットに含まれていてもよい。この場合、増粘剤は、一般的には、培養液に所望の粘度を付与するのに必要な量でキットに含まれる。増粘剤が培養液とは別のパッケージでキットに含まれる場合、ユーザが、細胞シートの製造前に、培養液に増粘剤を添加する必要がある。
本発明のキットにおいて、浮遊培養用容器は、上述の「1-2.培養液および培養容器」の欄で述べた培養容器とすることができる。すなわち、浮遊培養用容器は、上述の「1-2.培養液および培養容器」の欄で例示したものを使用することができる。
浮遊培養用容器は、上述のとおり、細胞接着性が低い内壁を有することが好ましい。浮遊培養用容器は、上述のとおり、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されていることが好ましい。コーティングは、Poly-HEMA、すなわちポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、またはMPC、すなわち2-メタクリロイルエチルホスホリルコリンによるコーティングが知られている。
本発明のキットは、心筋細胞シートを作製する手順を記載した説明書を更に含んでいてもよい。かかる説明書は、ユーザが心筋細胞シートを製造することができるように、上述の「1-3.浮遊培養」の欄で述べた浮遊培養の仕方を記載している。
本発明のキットにおいて、iPS細胞由来の心筋細胞は、製造したい細胞シートのサイズ、言い換えれば浮遊培養用容器の底面サイズに応じて、適切な量でキット内に含まれる。また、本発明のキットにおいて、培養液は、浮遊培養用容器のサイズに応じて、適切な量でキット内に含まれる。例えば、直径6cmの円形底面および10mL容量を有する浮遊培養用容器がキット内に含まれる場合、1~100×10e6個の心筋細胞および1~1000mLの培養液をキット内に含むことができる。
4.好ましい実施形態
以下に、本発明の好ましい実施形態をまとめて示す。
[1]培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液の中央方向に向かって前記動物細胞を集めながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
[2]前記浮遊培養が、前記培養液に振動を付与することにより行われる[1]に記載の方法。
[3]培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液に振動を付与しながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
[4]前記振動が、重力方向に対してほぼ垂直な方向の振動、好ましくは重力方向に対して垂直な方向の振動である[2]または[3]に記載の方法。
[5]前記振動が、回転振動である[2]~[4]の何れか1に記載の方法。
以下に、本発明の好ましい実施形態をまとめて示す。
[1]培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液の中央方向に向かって前記動物細胞を集めながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
[2]前記浮遊培養が、前記培養液に振動を付与することにより行われる[1]に記載の方法。
[3]培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液に振動を付与しながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
[4]前記振動が、重力方向に対してほぼ垂直な方向の振動、好ましくは重力方向に対して垂直な方向の振動である[2]または[3]に記載の方法。
[5]前記振動が、回転振動である[2]~[4]の何れか1に記載の方法。
[6]前記振動が、円運動状の振動である[2]~[5]の何れか1に記載の方法。
[7]前記振動が、重力方向に対してほぼ垂直な方向の円運動状の振動、好ましくは重力方向に対して垂直な方向の円運動状の振動である[2]~[6]の何れか1に記載の方法。
[8]前記振動が、1~10000Hz、好ましくは2~3000Hz、より好ましくは5~100Hz、更に好ましくは10~50Hzの周波数を有する[2]~[7]の何れか1に記載の方法。
[9]前記振動が、0.1~10000μm、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは1~10μmの振幅を有する[2]~[8]の何れか1に記載の方法。
[10]前記培養液が、5mm以上、好ましくは5~50mmの深さを有する[1]~[9]の何れか1に記載の方法。
[7]前記振動が、重力方向に対してほぼ垂直な方向の円運動状の振動、好ましくは重力方向に対して垂直な方向の円運動状の振動である[2]~[6]の何れか1に記載の方法。
[8]前記振動が、1~10000Hz、好ましくは2~3000Hz、より好ましくは5~100Hz、更に好ましくは10~50Hzの周波数を有する[2]~[7]の何れか1に記載の方法。
[9]前記振動が、0.1~10000μm、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは1~10μmの振幅を有する[2]~[8]の何れか1に記載の方法。
[10]前記培養液が、5mm以上、好ましくは5~50mmの深さを有する[1]~[9]の何れか1に記載の方法。
[11]前記培養液が、増粘剤を含む[1]~[10]の何れか1に記載の方法。
[12]前記増粘剤が、10~3000 mPa・S、好ましくは50~1000 mPa・Sの粘度を有する培養液を調製するのに必要な量で培養液に含まれる[11]に記載の方法。
[13]前記培養液を収容する容器が、平底容器である[1]~[12]の何れか1に記載の方法。
[14]前記培養液を収容する容器が、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されている[1]~[13]の何れか1に記載の方法。
[15]前記動物細胞が、前記浮遊培養の開始時に0.1×106~10×106細胞/cm2の細胞密度、好ましくは2×106~4×106細胞/cm2の細胞密度で存在する[1]~[14]の何れか1に記載の方法。
[12]前記増粘剤が、10~3000 mPa・S、好ましくは50~1000 mPa・Sの粘度を有する培養液を調製するのに必要な量で培養液に含まれる[11]に記載の方法。
[13]前記培養液を収容する容器が、平底容器である[1]~[12]の何れか1に記載の方法。
[14]前記培養液を収容する容器が、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されている[1]~[13]の何れか1に記載の方法。
[15]前記動物細胞が、前記浮遊培養の開始時に0.1×106~10×106細胞/cm2の細胞密度、好ましくは2×106~4×106細胞/cm2の細胞密度で存在する[1]~[14]の何れか1に記載の方法。
[16]前記浮遊培養が、5%CO2の雰囲気下で行われる[1]~[15]の何れか1に記載の方法。
[17]前記浮遊培養が、20~43℃の温度で行われる[1]~[16]の何れか1に記載の方法。
[18]前記浮遊培養が、6時間以上、好ましくは12~24時間にわたって行われる[1]~[17]の何れか1に記載の方法。
[19]前記動物細胞が、哺乳類または齧歯類の細胞、好ましくは霊長類の細胞、より好ましくはヒトの細胞である[1]~[18]の何れか1に記載の方法。
[20]前記動物細胞が、多能性幹細胞由来の分化細胞、動物の組織から採取された分化細胞、多能性幹細胞、または体性幹細胞を含む[1]~[19]の何れか1に記載の方法。
[17]前記浮遊培養が、20~43℃の温度で行われる[1]~[16]の何れか1に記載の方法。
[18]前記浮遊培養が、6時間以上、好ましくは12~24時間にわたって行われる[1]~[17]の何れか1に記載の方法。
[19]前記動物細胞が、哺乳類または齧歯類の細胞、好ましくは霊長類の細胞、より好ましくはヒトの細胞である[1]~[18]の何れか1に記載の方法。
[20]前記動物細胞が、多能性幹細胞由来の分化細胞、動物の組織から採取された分化細胞、多能性幹細胞、または体性幹細胞を含む[1]~[19]の何れか1に記載の方法。
[21]前記動物細胞が、多能性幹細胞由来の分化細胞を含む[1]~[20]の何れか1に記載の方法。
[22]前記動物細胞が、iPS細胞由来の分化細胞を含む[1]~[21]の何れか1に記載の方法。
[23]前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を含む[1]~[22]の何れか1に記載の方法。
[24]前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を80~100%、好ましくは85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度で含む[1]~[23]の何れか1に記載の方法。
[25]前記iPS細胞由来の心筋細胞が、iPS細胞由来のヒト心筋細胞である[23]または[24]に記載の方法。
[26]前記動物細胞が、間葉系幹細胞である[1]~[20]の何れか1に記載の方法。
[27]前記動物細胞が、ヒト間葉系幹細胞である[1]~[21]の何れか1に記載の方法。
[22]前記動物細胞が、iPS細胞由来の分化細胞を含む[1]~[21]の何れか1に記載の方法。
[23]前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を含む[1]~[22]の何れか1に記載の方法。
[24]前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を80~100%、好ましくは85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度で含む[1]~[23]の何れか1に記載の方法。
[25]前記iPS細胞由来の心筋細胞が、iPS細胞由来のヒト心筋細胞である[23]または[24]に記載の方法。
[26]前記動物細胞が、間葉系幹細胞である[1]~[20]の何れか1に記載の方法。
[27]前記動物細胞が、ヒト間葉系幹細胞である[1]~[21]の何れか1に記載の方法。
[28][1]~[27]の何れか1に記載の方法により製造される細胞シート。
[29]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[28]に記載の細胞シート。
[30][1]~[27]の何れか1に記載の方法により製造される心筋細胞シート。
[31]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[30]に記載の心筋細胞シート。
[32]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シート。
[29]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[28]に記載の細胞シート。
[30][1]~[27]の何れか1に記載の方法により製造される心筋細胞シート。
[31]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[30]に記載の心筋細胞シート。
[32]80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シート。
[33]均一な形状である[30]~[32]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[34]心筋細胞以外の細胞を含まない[30]~[33]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[35]0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する[30]~[34]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[36]円形または四角形の形状を有する[30]~[35]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[37]前記心筋細胞シートが、哺乳類または齧歯類の心筋細胞シート、好ましくは霊長類の心筋細胞シート、より好ましくはヒトの心筋細胞シートである[30]~[36]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[34]心筋細胞以外の細胞を含まない[30]~[33]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[35]0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する[30]~[34]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[36]円形または四角形の形状を有する[30]~[35]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[37]前記心筋細胞シートが、哺乳類または齧歯類の心筋細胞シート、好ましくは霊長類の心筋細胞シート、より好ましくはヒトの心筋細胞シートである[30]~[36]の何れか1に記載の心筋細胞シート。
[38]iPS細胞由来の心筋細胞と、
前記心筋細胞を培養するための培養液と、
前記培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キット。
[39]前記容器が、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されている[38]に記載のキット。
[40]前記心筋細胞が、80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[38]または[39]に記載のキット。
[41]前記キットが、前記培養液に粘度を付与するための増粘剤を更に含む[38]~[40]の何れか1に記載のキット。
[42]前記容器が、平底容器である[38]~[41]の何れか1に記載のキット。
[43]前記心筋細胞が、哺乳類または齧歯類の心筋細胞、好ましくは霊長類の心筋細胞、より好ましくはヒトの心筋細胞である[38]~[42]の何れか1に記載のキット。
前記心筋細胞を培養するための培養液と、
前記培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キット。
[39]前記容器が、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されている[38]に記載のキット。
[40]前記心筋細胞が、80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する[38]または[39]に記載のキット。
[41]前記キットが、前記培養液に粘度を付与するための増粘剤を更に含む[38]~[40]の何れか1に記載のキット。
[42]前記容器が、平底容器である[38]~[41]の何れか1に記載のキット。
[43]前記心筋細胞が、哺乳類または齧歯類の心筋細胞、好ましくは霊長類の心筋細胞、より好ましくはヒトの心筋細胞である[38]~[42]の何れか1に記載のキット。
[実施例1]心筋細胞シートの製造
(1)方法
ヒトiPS細胞(京都大学iPS細胞研究所 253G1株)から、プロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法を用いて、心筋細胞純度85~98%の心筋細胞塊(すなわち、数百ミクロンから数ミリのサイズを有する、心筋細胞の凝集体)を作製した(WO2015/182765を参照)。心筋細胞純度は、心筋マーカーであるcTnT抗体を用いてフローサイトメトリーで解析することにより求めた。
(1)方法
ヒトiPS細胞(京都大学iPS細胞研究所 253G1株)から、プロテインフリー心筋分化誘導(PFCD)法を用いて、心筋細胞純度85~98%の心筋細胞塊(すなわち、数百ミクロンから数ミリのサイズを有する、心筋細胞の凝集体)を作製した(WO2015/182765を参照)。心筋細胞純度は、心筋マーカーであるcTnT抗体を用いてフローサイトメトリーで解析することにより求めた。
得られた心筋細胞塊を、0.25%のトリプシンを含むプロテアーゼ溶液で20~40分間処理して、バラバラの単一心筋細胞に分散した。
分散した単一心筋細胞を遠心操作し、プロテアーゼ溶液を含む上清を捨てた。その後、得られた心筋細胞を、20%メチルセルロース、20%FBS、10μM Y27632(Rho結合キナ-ゼ阻害剤)を添加したDMEMまたはIMDM基礎培地に懸濁した。
懸濁した単一心筋細胞を、1×106~4×106細胞/cm2の細胞密度で、下記の培養容器に播種し、ピペッティングにより細胞を培養液中に均一に攪拌した。これにより、心筋細胞を、培養液中に単一細胞の状態で分散させることができた。
Ultra-Low Attachment 96ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 24ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 6ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 6cmディッシュ(コーニング)
Ultra-Low Attachment 10cmディッシュ(コーニング)
Ultra-Low Attachment 96ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 24ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 6ウェルプレート(コーニング)
Ultra-Low Attachment 6cmディッシュ(コーニング)
Ultra-Low Attachment 10cmディッシュ(コーニング)
培養容器を、培養器本体と振動発生器とを備えた振動付与装置に移し、細胞を37℃、5% CO2環境下で培養した。培養器本体は、培養容器を載置するための金属板を備えている。振動発生器は、モーターを含み、モーターの回転軸が、重力方向に平行な向きになるように培養器本体の天井に取り付けられている。培養は、振動を培養液に付与しながら行った。培養の間、培養器本体の内部空間は換気した。
振動条件は以下のとおりであった(後述の「(3)振動の測定」の欄を参照)。
種類:ほぼ水平方向の円運動状の振動
周波数:20Hz(1200rpm)
振幅:0.5~3.0μm
種類:ほぼ水平方向の円運動状の振動
周波数:20Hz(1200rpm)
振幅:0.5~3.0μm
本発明の方法を実施する際には、培養容器を金属板の上に直接静置し、培養容器の下に何も置かなかった。一方、比較例の方法を実施する際には、培養容器の下に培養容器と同一の空の容器を置くか、または、培養容器の下に防振材(クッション)を置いた。
培養を開始してから20~24時間後、心筋細胞シートが形成されたかどうかを目視で確認した。
(2)結果
培養容器を金属板の上に直接静置した場合、0.1~8cmの直径を有する円形の心筋細胞シートが形成された。その後、培養容器を手で揺らして振ってもシートの形状が円形に保たれていることを確認した。具体的な結果は、以下のとおりであった。
培養容器を金属板の上に直接静置した場合、0.1~8cmの直径を有する円形の心筋細胞シートが形成された。その後、培養容器を手で揺らして振ってもシートの形状が円形に保たれていることを確認した。具体的な結果は、以下のとおりであった。
Ultra-Low Attachment 96ウェルプレートの場合、直径1mm~数ミリ程度の円形の心筋細胞シートが形成された。
Ultra-Low Attachment 24ウェルプレートの場合、直径0.5~1cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。得られた心筋細胞シートの写真を図3Aおよび3Bに示す。
Ultra-Low Attachment 24ウェルプレートの場合、直径0.5~1cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。得られた心筋細胞シートの写真を図3Aおよび3Bに示す。
Ultra-Low Attachment 6ウェルプレートの場合、直径1~3cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。
Ultra-Low Attachment 6cmディッシュの場合、直径2~5cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。得られた心筋細胞シートの写真を図4に示す。
Ultra-Low Attachment 6cmディッシュの場合、直径2~5cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。得られた心筋細胞シートの写真を図4に示す。
Ultra-Low Attachment 10cmディッシュの場合、直径4~8cm程度の円形の心筋細胞シートが形成された。得られた心筋細胞シートの写真を図5に示す。
いずれの心筋細胞シートも、拍動および細胞内カルシウム蛍光を確認することができた。
いずれの心筋細胞シートも、拍動および細胞内カルシウム蛍光を確認することができた。
いずれの心筋細胞シートも、シート形成のために使用された原料細胞における心筋細胞純度と同じ心筋細胞純度85~98%を有していた。本発明の方法は、細胞シートの形成のために目的細胞以外の追加の細胞を必要としないため、高い心筋細胞純度を有する原料細胞を使用することにより、高い心筋細胞純度を有する細胞シートを製造することができた。
また、いずれの心筋細胞シートも、均一な形状を有していた。すなわち、いずれの心筋細胞シートも、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。
また、いずれの心筋細胞シートも、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。
また、上記結果から、本発明の方法は、培養容器の底面サイズを変えることで、細胞シートのサイズを自由にコントロールできることが実証された。
また、上記結果から、本発明の方法は、培養容器の底面サイズを変えることで、細胞シートのサイズを自由にコントロールできることが実証された。
一方、培養容器の下に培養容器と同一の空の容器を置いた場合、穴の空いたバラバラの複数のシート片が形成され、一体性を保った1枚のシートを形成することができなかった。培養容器の下に防振材(クッション)を置いた場合も、穴の空いたバラバラの複数のシート片が形成され、一体性を保った1枚のシートを形成することができなかった。
(3)振動の測定
振動は、振動測定装置(LKーG5000変位計 キーエンス社)により測定した。振動は、金属板(すなわち、培養容器を載置するための台)、培養容器、および振動付与装置本体の3箇所で測定した。
振動は、振動測定装置(LKーG5000変位計 キーエンス社)により測定した。振動は、金属板(すなわち、培養容器を載置するための台)、培養容器、および振動付与装置本体の3箇所で測定した。
金属板の水平方向の振動は、装置の奥行き方向で測定した。金属板の水平方向の振動は、周波数:20Hz(1200rpm)および振幅:0.5~3.0μmであった。
培養容器の水平方向の振動は、装置の奥行き方向で測定した。培養容器の水平方向の振動は、周波数:20Hz(1200rpm)および振幅:0.5~3.0μmであった。
振動付与装置の水平方向の振動は、装置の幅方向および奥行き方向の両方で測定した。幅方向の振動は、周波数:20Hz(1200rpm)および振幅:0.5~3.0μmであった。奥行き方向の振動は、周波数:20Hz(1200rpm)および振幅:0.5~3.0μmであった。
金属板、培養容器、および振動付与装置本体の3箇所において、同じ周波数および同じ振幅が測定された。また、幅方向および奥行き方向で、同じ周波数および同じ振幅が測定された。このことから、振動付与装置によりほぼ水平方向の円運動状の振動が発生していると考えられる。
一方、培養容器の下に培養容器と同一の空の容器を置いた場合や、培養容器の下に防振材(クッション)を置いた場合、培養容器の水平方向の振動を測定すると、非常に小さい振幅がときどき観測されただけであった。
(4)考察
本実施例で細胞シートが形成されたメカニズムは、以下のとおりであると推測される。ほぼ水平方向の円運動状の振動により、培養容器の側壁付近の培養液は、強い振動が付与され、培養容器の中央付近の培養液は、側壁付近の培養液と比べて弱い振動が付与されている。これにより、培養液中に分散している各細胞が、当該細胞が存在している場所から、より弱い振動が付与されている場所へ(すなわち、培養液の中央方向へ向かって)、振動しながら徐々に移動し、培養液の中央方向に向かって集まる。その結果、一体性を保った細胞シートが形成されたと考えられる(図2参照)。
本実施例で細胞シートが形成されたメカニズムは、以下のとおりであると推測される。ほぼ水平方向の円運動状の振動により、培養容器の側壁付近の培養液は、強い振動が付与され、培養容器の中央付近の培養液は、側壁付近の培養液と比べて弱い振動が付与されている。これにより、培養液中に分散している各細胞が、当該細胞が存在している場所から、より弱い振動が付与されている場所へ(すなわち、培養液の中央方向へ向かって)、振動しながら徐々に移動し、培養液の中央方向に向かって集まる。その結果、一体性を保った細胞シートが形成されたと考えられる(図2参照)。
[実施例2]増粘剤を含まない培養液を用いた心筋細胞シートの製造
培養液に20%メチルセルロースを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 96ウェルプレート(コーニング)を使用した。心筋細胞は、1×106細胞/cm2または2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
培養液に20%メチルセルロースを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 96ウェルプレート(コーニング)を使用した。心筋細胞は、1×106細胞/cm2または2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
増粘剤を培養液に添加しなくても、直径5mm程度の円形の心筋細胞シートを形成することができた。得られた心筋細胞シートの写真を図6に示す。図6において、左側の写真は、1×106細胞/cm2の細胞密度の場合を示し、右側の写真は、2×106細胞/cm2の細胞密度の場合を示す。
いずれの心筋細胞シートも、心筋細胞純度は95.0%であった。また、いずれの心筋細胞シートも、均一な形状を有していた。すなわち、いずれの心筋細胞シートも、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。また、いずれの心筋細胞シートも、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。
[実施例3]98%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シートの製造
98%の心筋細胞純度を有する心筋細胞塊を分化誘導し、これを培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 6cmディッシュ(コーニング)を使用した。心筋細胞は、2.2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
98%の心筋細胞純度を有する心筋細胞塊を分化誘導し、これを培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 6cmディッシュ(コーニング)を使用した。心筋細胞は、2.2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
98%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シートを形成することができた。直径は、3cm程度であった。得られた心筋細胞シートの写真を図7に示す。
心筋細胞シートは、均一な形状を有していた。すなわち、心筋細胞シートは、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。また、心筋細胞シートは、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。高い心筋細胞純度を有する心筋細胞シートは、心筋細胞は増殖性が低いことから品質管理しやすく、また移植に用いる場合、造腫瘍性のリスクが低いという点で優れている。
[実施例4]マウス線維芽細胞シートおよびヒトiPS細胞シートの製造
マウス胎児線維芽細胞(MEFフィーダ―細胞 コスモバイオCBA-311)を培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 24ウェルプレートを使用した。マウス線維芽細胞は、2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
マウス胎児線維芽細胞(MEFフィーダ―細胞 コスモバイオCBA-311)を培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 24ウェルプレートを使用した。マウス線維芽細胞は、2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
線維芽細胞を用いた場合も、細胞シートを形成することができた。直径は、1.5cm程度であった。得られた線維芽細胞シートの写真を図8に示す。
線維芽細胞シートの線維芽細胞純度は100%であった。また、線維芽細胞シートは、均一な形状を有していた。すなわち、線維芽細胞シートは、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。また、線維芽細胞シートは、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。線維芽細胞シートは、培養皮膚や結合組織の移植などに利用することができる。
また、ヒトiPS細胞(京都大学iPS細胞研究所 253G1株)を培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 24ウェルプレート(コーニング)を使用した。ヒトiPS細胞は、2.5×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
未分化なiPS細胞を用いた場合も、細胞シートを形成することができた。直径は、0.7cm程度であった。得られたiPS細胞シートの写真を図9に示す。
iPS細胞シートのiPS細胞純度は99%であった。また、iPS細胞シートは、均一な形状を有していた。すなわち、iPS細胞シートは、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。また、iPS細胞シートは、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。iPS細胞シートは、様々な組織分化培養に利用することができる。
[実施例5]四角形状の細胞シートの製造
培養容器として、Ultra-Low Attachment T25フラスコ(コーニング)を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。心筋細胞は、3×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
培養容器として、Ultra-Low Attachment T25フラスコ(コーニング)を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って心筋細胞シートを製造した。心筋細胞は、3×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
四角形状の底面を有する容器を使用した場合も、心筋細胞シートを形成することができた。心筋細胞シートは、約1.0×約2.5cmのサイズであった。得られた心筋細胞シートの写真を図10に示す。
心筋細胞シートの心筋細胞純度は95%であった。また、心筋細胞シートは、均一な形状を有していた。すなわち、心筋細胞シートは、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつ容器底面と相似の四角形状を有していた。また、心筋細胞シートは、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。
上記結果から、本発明の方法は、培養容器の底面の形状を変えることで、細胞シートの形状を自由にコントロールすることができることが実証された。
[実施例6]ヒト間葉系幹細胞シートの製造
ヒト間葉系幹細胞(hMSC ロンザ PT-2501)を培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 6ウェルプレートを使用した。ヒト間葉系幹細胞は、2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
ヒト間葉系幹細胞(hMSC ロンザ PT-2501)を培養容器に播種したことを除いて、実施例1と同様の方法に従って細胞シートを製造した。培養容器は、Ultra-Low Attachment 6ウェルプレートを使用した。ヒト間葉系幹細胞は、2×106細胞/cm2の細胞密度で、培養容器に播種した。
ヒト間葉系幹細胞を用いた場合も、細胞シートを形成することができた。最大長さは、1.8cm程度であった。得られた線維芽細胞シートの写真を図11に示す。
ヒト間葉系幹細胞シートの細胞純度は100%であった。また、ヒト間葉系幹細胞シートは、比較的均一な形状を有していた。すなわち、ヒト間葉系幹細胞シートは、肉眼で観察した際に、シート全体にわたってほぼ均一な厚みを有し、かつおよそ円形の形状を有していた。また、ヒト間葉系幹細胞シートは、十分な強度を有し、ヘラで掬ってハンドリングが可能であった。ヒト間葉系幹細胞シートは、心筋梗塞や下肢虚血、創傷への移植などに利用することができる。
Claims (17)
- 培養液中に分散している動物細胞を、前記培養液の中央方向に向かって前記動物細胞を集めながら浮遊培養して、前記培養液中に浮遊する細胞シートを形成することを含む、細胞シートの製造方法。
- 前記浮遊培養が、前記培養液に振動を付与することにより行われる請求項1に記載の方法。
- 前記振動が、重力方向に対してほぼ垂直な方向の振動である請求項2に記載の方法。
- 前記振動が、回転振動である請求項2または3に記載の方法。
- 前記培養液が、増粘剤を含む請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
- 前記動物細胞が、前記浮遊培養の開始時に0.1×106~10×106細胞/cm2の細胞密度で存在する請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
- 前記動物細胞が、iPS細胞由来の分化細胞を含む請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
- 前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を含む請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
- 前記動物細胞が、iPS細胞由来の心筋細胞を80~100%、好ましくは90~100%の心筋細胞純度で含む請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
- 前記動物細胞が、間葉系幹細胞である請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
- 80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する心筋細胞シート。
- 均一な形状である請求項11に記載の心筋細胞シート。
- 心筋細胞以外の細胞を含まない請求項11または12に記載の心筋細胞シート。
- 0.1~30cm、好ましくは1~10cmの最大長さを有する請求項11~13の何れか1項に記載の心筋細胞シート。
- iPS細胞由来の心筋細胞と、
前記心筋細胞を培養するための培養液と、
前記培養液を収容する浮遊培養用容器とを含む、心筋細胞シート製造用キット。 - 前記容器が、その内壁に、細胞の接着を阻害するコーティングが施されている請求項15に記載のキット。
- 前記心筋細胞が、80~100%、好ましく85~100%、より好ましくは90~100%、更に好ましくは95~100%、最も好ましくは98~100%の心筋細胞純度を有する請求項15または16に記載のキット。
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121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
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NENP | Non-entry into the national phase |
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