WO2019230591A1 - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
固体電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子と、外装樹脂と、被覆層と、を備える。コンデンサ素子は、誘電体層を含む陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を有する。外装樹脂は、コンデンサ素子を覆う。被覆層は、コンデンサ素子と外装樹脂との間に位置し、少なくともフッ素化合物を含むか、又は撥油性を有する。
Description
本開示は、一般に固体電解コンデンサに関し、より詳細には、コンデンサ素子を覆う外装樹脂を備える固体電解コンデンサに関する。
特許文献1には、コンデンサ素子と、バリア層と、外装樹脂(樹脂外装)とを有する固体電解コンデンサが記載されている。バリア層は、コンデンサ素子に、被覆層、気相成長法により形成された無機物層及び/又は金属層が順次積層されて構成される。外装樹脂は、コンデンサ素子及びバリア層を被覆する。この固体電解コンデンサでは、バリア層により、外部からの湿気及び酸素の侵入を防いで特性を安定させている。
特許文献1に記載の構成では、外装樹脂がバリア層ごとコンデンサ素子を覆っているため、外装樹脂にワックス成分が含まれている場合、ワックス成分がバリア層に浸潤してコンデンサ素子に接触することがある。ワックス成分がコンデンサ素子に接触した状態で、例えば、固体電解コンデンサが高温環境下にさらされた場合等に、加熱されたワックス成分の影響で、コンデンサ素子の特性変化が生じる可能性がある。
本開示は上記事由に鑑みてなされており、コンデンサ素子の特性変化が生じにくい固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る固体電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子と、外装樹脂と、被覆層と、を備える。前記コンデンサ素子は、誘電体層を含む陽極体と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を有する。前記外装樹脂は、前記コンデンサ素子を覆う。前記被覆層は、前記コンデンサ素子と前記外装樹脂との間に位置し、フッ素化合物を含む。
本開示の他の態様に係る固体電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子と、外装樹脂と、被覆層と、を備える。前記コンデンサ素子は、誘電体層を含む陽極体と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を有する。前記外装樹脂は、前記コンデンサ素子を覆う。前記被覆層は、前記コンデンサ素子と前記外装樹脂との間に位置し、撥油性を有する。
本開示によれば、コンデンサ素子の特性変化が生じにくい固体電解コンデンサを提供できる、という利点がある。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る固体電解コンデンサ(electrolytic capacitor)1は、図2に示すように、少なくとも1つのコンデンサ素子2と、外装樹脂3と、を有している。コンデンサ素子2は、図1に示すように、陽極体4と、固体電解質層5と、を有している。陽極体4は、誘電体層41を含んでいる。固体電解質層5は、誘電体層41の少なくとも一部を覆っている。外装樹脂3は、コンデンサ素子2を覆っている。図1は、図2の領域Z1を拡大した概略断面図である。
(1)概要
本実施形態に係る固体電解コンデンサ(electrolytic capacitor)1は、図2に示すように、少なくとも1つのコンデンサ素子2と、外装樹脂3と、を有している。コンデンサ素子2は、図1に示すように、陽極体4と、固体電解質層5と、を有している。陽極体4は、誘電体層41を含んでいる。固体電解質層5は、誘電体層41の少なくとも一部を覆っている。外装樹脂3は、コンデンサ素子2を覆っている。図1は、図2の領域Z1を拡大した概略断面図である。
このような構成の固体電解コンデンサ1では、コンデンサ素子2が外装樹脂3に覆われているため、固体電解コンデンサ1の外部から固体電解コンデンサ1に作用する力、温度又は湿度等の影響をコンデンサ素子2が受けにくく、コンデンサ素子2の特性変化を低減できる。ただし、外装樹脂3にワックス成分300(図4A参照)等の油分が含まれている場合、ワックス成分300の影響でコンデンサ素子2の特性変化が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、フッ素化合物を含む被覆層6を更に備える。被覆層6は、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間に位置する。ここで、被覆層6は、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間にあればよく、被覆層6がコンデンサ素子2の表面の全面を覆うこと、及び被覆層6の全面が外装樹脂3で覆われていることは固体電解コンデンサ1に必須の構成ではない。
上述した構成によれば、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間に位置する被覆層6により、被覆層6が無い構成に比較して、外装樹脂3に含まれるワックス成分300等の油分がコンデンサ素子2に接触しにくくなる。すなわち、フッ素化合物を含む被覆層6により、外装樹脂3からコンデンサ素子2へのワックス成分300等の油分の浸潤が生じにくくなる。したがって、例えば、固体電解コンデンサ1が高温環境下にさらされた場合等に、外装樹脂3中の油分が加熱されて高温になることがあっても、コンデンサ素子2に対しては油分の影響は生じにくく、コンデンサ素子2の特性変化が生じにくくなる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の構成について、図1~図3を参照して、より詳細に説明する。図3では、外装樹脂3を想像線(2点鎖線)で示している。以下で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
以下、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の構成について、図1~図3を参照して、より詳細に説明する。図3では、外装樹脂3を想像線(2点鎖線)で示している。以下で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、一例として、サーバ装置、コンピュータ装置及び家庭用ゲーム機等のCPU(Central Processing Unit)の電源ラインに用いられる。その他にも、固体電解コンデンサ1は、例えば、通信機器及び産業機器等のFPGA(Field-Programmable Gate Array)の電源ライン、並びにグラフィックボード等のGPU(Graphics Processing Unit)の電源ライン等に用いられる。ただし、固体電解コンデンサ1の用途は、これらに限定されず、固体電解コンデンサ1は多岐の分野に使用可能である。
固体電解コンデンサ1は、図2及び図3に示すように、少なくとも1つのコンデンサ素子2、外装樹脂3及び被覆層6に加えて、端子部7を更に備えている。端子部7は、陽極用の第1端子71と、陰極用の第2端子72と、を有している。また、コンデンサ素子2は、陽極体4及び固体電解質層5に加えて、陰極層8を更に有している。陰極層8は、固体電解質層5の少なくとも一部を覆うように、コンデンサ素子2の表面上に形成されている。第1端子71は、陽極体4の陽極側導電部42(図1参照)に電気的に接続され、第2端子72は、陰極層8の陰極側導電部82(図1参照)に電気的に接続される。これにより、コンデンサ素子2の陽極体4(の陽極側導電部42)及び陰極層8(の陰極側導電部82)は、それぞれ第1端子71及び第2端子72にて外部回路と電気的に接続可能となる。
本実施形態においては、端子部7を構成する第1端子71及び第2端子72は、導電性の金属板(リードフレーム)にて構成されている。これら第1端子71及び第2端子72の各々は、その少なくとも一部が外装樹脂3の表面から露出するように、外装樹脂3中に埋め込まれている。つまり、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、外装樹脂3の表面から露出した端子部7(第1端子71及び第2端子72)を半田付け等により、回路基板に機械的かつ電気的に接続する表面実装技術に対応した、チップ部品(チップコンデンサ)である。
ここで、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2を複数備えている。これら複数のコンデンサ素子2は、互いに積層された状態で、1つの外装樹脂3にて覆われている。複数のコンデンサ素子2の各々が、陽極体4と、固体電解質層5と、陰極層8と、を有している。複数のコンデンサ素子2の各々は、図3に示すように、厚み方向の一方から見て略長方形状となる板状に形成されている。このように、それぞれ板状に形成された複数のコンデンサ素子2は、その厚み方向において互いに重なるように積層される。本開示において、コンデンサ素子2が積層されている方向を「積層方向」ともいう。本実施形態では一例として、固体電解コンデンサ1は、7枚のコンデンサ素子2を備え、これら7枚のコンデンサ素子2が各々の厚み方向を積層方向とするように積層された構成を有する。
すなわち、固体電解コンデンサ1は、互いに同一構成である複数のコンデンサ素子2が積層方向に積層された構造体(積層体)を備えており、これら複数のコンデンサ素子2の各々がコンデンサを構成する。これら複数のコンデンサ素子2は、第1端子71及び第2端子72の間において、電気的に並列に接続されている。これにより、固体電解コンデンサ1全体として、2つの端子(第1端子71及び第2端子72)間における電気抵抗値を比較的低く抑えることが可能である。
より詳細には、図3に示すように、各コンデンサ素子2を厚み方向(積層方向)の一方から見たときに、各コンデンサ素子2の表面には、長手方向の一端(図2の例では右端)側から順に、陽極取出部91、絶縁部92、露出部位51(後述する)、陰極層8が形成されている。陽極取出部91、絶縁部92及び露出部位51は、それぞれ帯状に形成されている。陽極取出部91は、第1端子71を接続するための部位であって、陽極側導電部42の一部を誘電体層41より露出させて構成されている。つまり、第1端子71が陽極取出部91に接続されることにより、第1端子71と陽極体4の陽極側導電部42とが電気的に接続されることなる。また、陰極層8には、第2端子72が接続される。
さらに、本実施形態では、コンデンサ素子2における固体電解質層5が導電性高分子を含んでいる。導電性高分子は、一例として、PPy(ポリピロール)、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)又はポリアニリン等である。つまり、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1では、固体電解質として、二酸化マンガン等ではなく、導電性高分子を採用している。
上述したような構成の固体電解コンデンサ1は、等価直列抵抗(ESR:Equivalent series resistance)を低く抑えることができ、優れた低ESR性能を実現可能である。
以下、各コンデンサ素子2を構成する、陽極体4、固体電解質層5及び陰極層8について、図1を参照して更に詳しく説明する。
陽極体4は、誘電体層41と、陽極側導電部42と、を含んでいる。陽極側導電部42は平板状である。誘電体層41は、陽極側導電部42の厚み方向の少なくとも一面に形成されている。陽極側導電部42は、各コンデンサ素子2において陽極として機能する部位であって、導電性を有する金属板からなる。誘電体層41は、陽極側導電部42の表面の略全面を覆うように、より詳細には、少なくとも陽極側導電部42の表面のうち固体電解質層5が形成される部分に形成されている。そのため、本実施形態では、誘電体層41は、陽極側導電部42の厚み方向の片面だけでなく、陽極側導電部42の厚み方向の両面に形成されている。
具体的には、陽極体4は、弁作用金属を含んでいる。弁作用金属は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等、並びにこれらを含む合金を含む。本実施形態では一例として、陽極体4に含まれる弁作用金属はアルミニウムである。すなわち、陽極側導電部42はアルミニウム(Al)製の金属板(金属箔)である。陽極側導電部42の表面にはアルミニウムの酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)の被膜が形成され、この被膜が誘電体層41を構成する。
固体電解質層5は、陽極体4の表面上に形成されている。固体電解質層5は、陽極側導電部42上に直接的に形成されるのではなく、誘電体層41上に形成される。つまり、陽極側導電部42に対しては、誘電体層41を介して固体電解質層5が積層されることになる。固体電解質層5は、陽極取出部91(図3参照)及び絶縁部92を除き、陽極体4の表面の略全面を覆うように形成されている。そのため、本実施形態では、固体電解質層5は、陽極体4の厚み方向の片面だけでなく、陽極体4の厚み方向の両面に形成されている。
また、本実施形態では、上述したように固体電解質層5は導電性高分子を含んでいる。導電性高分子からなる固体電解質層5は、主として電子伝導による電気伝導性を有するので、イオン伝導による電気伝導性を有する電解質に比較して、低ESR化を図ることが可能である。
陰極層8は、陰極側導電部82と、カーボン層81と、を含んでいる。カーボン層81は、固体電解質層5の表面上に直接的に形成されている。陰極側導電部82は、カーボン層81の表面に形成されている。陰極側導電部82は、導電性を有する金属層からなる。陰極側導電部82は、一例として、銀(Ag)ペースト膜からなる。ここで、陰極層8は、固体電解質層5の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、陰極層8は、固体電解質層5の表面の全域ではなく、固体電解質層5の表面の一部のみを覆っている。言い換えれば、固体電解質層5は、陰極層8に覆われない露出部位51を含んでいる。つまり、固体電解質層5の一部は、陰極層8に覆われておらず、露出部位51として陰極層8から露出する。本実施形態では、固体電解質層5における絶縁部92側の端縁から一定幅の部位が露出部位51となる。
陰極層8は、上述した露出部位51を除き、固体電解質層5の表面の略全面を覆うように形成されている。そのため、本実施形態では、陰極層8は、陽極体4の厚み方向の片面側だけでなく、陽極体4の厚み方向の両面側において、固体電解質層5の表面上に形成されている。
以上説明した構成によれば、各コンデンサ素子2は、図1に示すように、陽極体4の厚み方向(積層方向)の両側に、固体電解質層5及び陰極層8が、この順に積層されることにより形成される。より詳細には、陽極側導電部42の厚み方向(積層方向)の両側に、誘電体層41、固体電解質層5、カーボン層81及び陰極側導電部82が、この順に積層されることにより、コンデンサ素子2が構成されている。
本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、上記構成のコンデンサ素子2を複数備え、これら複数のコンデンサ素子2は、各コンデンサ素子2の厚み方向(積層方向)に積層されて一体化されている。そして、複数のコンデンサ素子2のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子2は、接合部20にて接合されている。本実施形態では、積層方向に積層された複数のコンデンサ素子2のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子2は、各々の陰極層8における陰極側導電部82間が、電気的かつ機械的に接続されている。すなわち、接合部20は、積層方向に隣接する一対のコンデンサ素子2の陰極層8における陰極側導電部82同士を接合する。接合部20は、一例として、陰極層8(の陰極側導電部82)同士を接合する導電性接着剤にて実現される。
外装樹脂3は、上述した構成のコンデンサ素子2を覆う樹脂部材である。本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2を複数備えているので、外装樹脂3は、これら複数のコンデンサ素子2が積層方向に積層されて一体化された構造体(積層体)の全体を覆っている。外装樹脂3は、コンデンサ素子2を覆うことにより、外部から応力、湿気及び酸素等がコンデンサ素子2に作用することを抑制する。本実施形態では一例として、外装樹脂3はエポキシ樹脂からなる。
ここで、外装樹脂3は、ワックス成分300(図4A参照)を含んでいる。本開示でいう「ワックス」は、高級脂肪酸と一価又は二価の高級アルコールとのエステルを指す融点の高い油脂状の物質、及びこれとよく似た性状を示す中性脂肪、高級脂肪酸及び炭化水素等である。外装樹脂3に含まれるワックス成分300としては、例えば、カルナバろう及びモンタン酸エステル等がある。これらのワックス成分300は、例えば、外装樹脂3の成型時における離型性を向上させる機能、又は外装樹脂3の艶出しの機能等を有する。
被覆層6は、上述したようにコンデンサ素子2と外装樹脂3との間に位置する。被覆層6は、フッ素を含有する樹脂等のフッ素化合物からなる。被覆層6は、一例として、パーフルオロアルキルメタクリレート、パーフルオロアルキルアクリレート、又はパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物等を含む。フッ素化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルキルトリアルコキシシラン等の1ないし複数を含む。
被覆層6は、図1に示すように、コンデンサ素子2を覆うようにコンデンサ素子2の表面上に形成されている。本実施形態では、被覆層6は、少なくも露出部位51を覆っている。要するに、被覆層6は、固体電解質層5のうち、陰極層8に覆われておらず、露出部位51として陰極層8から露出する部位を覆うように、コンデンサ素子2の表面上に形成されている。ただし、本実施形態では、被覆層6は、コンデンサ素子2の陰極層8(の陰極側導電部82)も覆うように、露出部位51から陰極層8にかけて形成されている。被覆層6の厚みは、一例として、5〔μm〕以下であって、より好ましくは3〔μm〕以下である。
また、本実施形態では、被覆層6は、複数のコンデンサ素子2の各々の表面のうち、接合部20を除く部位の少なくとも一部に形成されている。言い換えれば、被覆層6は、接合部20には形成されておらず、接合部20を避けるように形成されている。接合部20は、上述したように複数のコンデンサ素子2のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子2同士を接合しており、本実施形態では、一対のコンデンサ素子2の各々の陰極層8における陰極側導電部82同士を接合している。そのため、被覆層6は、陰極層8(の陰極側導電部82)同士を接合する接合部20を避けるように形成されている。
また、本実施形態では、複数のコンデンサ素子2のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子2間の少なくとも一部には、被覆層6が位置している。言い換えれば、被覆層6は、積層方向に積層された複数のコンデンサ素子2の隙間にも存在する(図1参照)。
ここにおいて、被覆層6は、フッ素化合物を含むので、一例としてその撥油性により、外装樹脂3からコンデンサ素子2へのワックス成分300の浸潤が生じにくくなる。本実施形態においては、被覆層6は、接触角が50度以上となる撥油性を有している。具体的には、n-ヘキサデカンの液滴(油滴)を被覆層6の表面に付着させた際に、n-ヘキサデカンの液滴に対する被覆層6の静的接触角、つまり被覆層6の対油接触角は50度以上になる。
また、被覆層6は、撥油性を有していれば、フッ素化合物を含まなくてもよい。すなわち、被覆層6は、一例として、シリコーン樹脂等の撥油性を有する樹脂でも実現可能である。フッ素化合物を含まない被覆層6であっても、接触角が50度以上となる撥油性を有することが好ましい。撥油性を有する被覆層6により、少なからず外装樹脂3からコンデンサ素子2へのワックス成分300の浸潤が生じにくくなる。また、被覆層6は、フッ素化合物を含み、かつ撥油性を有することがより好ましい。
(3)製造方法
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法について説明する。
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、基本的には、以下の手順により製造される。すなわち、固体電解コンデンサ1の製造方法は、陽極体準備、化成、固体電解質層形成、陰極塗布、素子積層、陽極溶接、樹脂成型、及び端子加工の工程を含んでいる。
まず、陽極体準備の工程では、表面に誘電体層41を構成する酸化被膜を有する金属板(本実施形態ではアルミニウム)に打抜き加工等を施すことにより、各コンデンサ素子2の陽極体4を成す基材を形成する。化成の工程では、基材に対して、誘電体層41の修復を行なう。固体電解質層形成の工程では、基材に対して固体電解質層5を構成する導電性高分子の形成を行う。このとき、導電性高分子又はその原料を含む溶液を用いて、基材(陽極体4)の表面上に導電性高分子(固体電解質層5)を形成する。陰極塗布の工程では、基材における固体電解質層5の表面上に、カーボン及び銀ペーストを順に塗布することにより、陰極層8(カーボン層81及び陰極側導電部82)を形成する。これにより、各コンデンサ素子2が完成する。
次に、素子積層の工程では、複数のコンデンサ素子2が積層方向に積層され、かつ接合部20を構成する導電性接着剤にて隣接する一対のコンデンサ素子2の陰極層8同士を接合する。このとき、複数のコンデンサ素子2は、第1端子71及び第2端子72を構成する導電性の金属板(リードフレーム)上に積層される。陽極溶接の工程では、第1端子71を陽極取出部91に対して溶接により電気的かつ機械的に接続する。
その後の樹脂成型の工程では、コンデンサ素子2が積層方向に積層されて一体化された構造体(積層体)を覆うように、トランスファモールドにより外装樹脂3を形成する。このとき、第1端子71及び第2端子72の各々の一部が外装樹脂3の表面から露出するように、外装樹脂3が成型される。端子加工の工程では、リードフレームを分断し個片化し、かつ第1端子71及び第2端子72が曲げ加工される。これにより、固体電解コンデンサ1が完成する。
ところで、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法は、フッ素化合物を含む、又は撥油性を有する被覆層6を形成するための樹脂被覆の工程を更に含んでいる。樹脂被覆の工程は、樹脂成型の工程よりも前であって、陰極塗布、素子積層及び陽極溶接のいずれかの工程後に行われる。本実施形態では一例として、陽極溶接の工程後に、樹脂被覆の工程を行う。樹脂被覆の工程では、コンデンサ素子2が積層方向に積層されて一体化された構造体(積層体)の表面に、フッ素化合物を含む、又は撥油性を有する樹脂材料を塗布することにより、被覆層6を形成する。
積層工程の工程後に被覆層6が形成されることにより、被覆層6は、上述したように複数のコンデンサ素子2の各々の表面のうち、接合部20を除く部位の少なくとも一部に形成されることになる。つまり、被覆層6は、接合部20には形成されず、接合部20を避けるように形成されることになる。さらに、樹脂被覆の工程においては、フッ素を含む又は撥油性を有する樹脂材料は、積層されたコンデンサ素子2の隙間にまで回り込むようにコンデンサ素子2に塗布される。これにより、複数のコンデンサ素子2のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子2間の少なくとも一部にも、被覆層6が形成されることになる。
また、固体電解コンデンサ1の製造方法は、コンデンサ素子2の乾燥工程を更に含んでいてもよい。コンデンサ素子2の乾燥工程は、樹脂成型の工程よりも前であって、陰極塗布、素子積層及び陽極溶接のいずれかの工程後に行われる。乾燥工程では、例えば、高温雰囲気(例えば200〔℃〕)にコンデンサ素子2を所定時間置くことにより、コンデンサ素子2における水分200(図4A参照)の含有量を低減する。このような乾燥工程を固体電解コンデンサ1の製造方法に含むことにより、乾燥工程を含まない場合に比べて、コンデンサ素子2における水分200の含有量を低減できる。
(4)比較例
次に、図4A及び図4Bを参照して、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1と、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xとの比較結果について説明する。比較例に係る固体電解コンデンサ1Xは、被覆層6が無い点を除いて、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1と共通の構成を有している。図4A及び図4Bでは、外装樹脂3に含まれているワックス成分300及びコンデンサ素子2に含まれている水分200を模式的に表している。以下では、外装樹脂3を成型する樹脂成型の工程、又は固体電解コンデンサ1,1Xの使用時において、固体電解コンデンサ1,1Xが高温(例えば、125〔℃〕)環境下にさらされた場合を想定する。
次に、図4A及び図4Bを参照して、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1と、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xとの比較結果について説明する。比較例に係る固体電解コンデンサ1Xは、被覆層6が無い点を除いて、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1と共通の構成を有している。図4A及び図4Bでは、外装樹脂3に含まれているワックス成分300及びコンデンサ素子2に含まれている水分200を模式的に表している。以下では、外装樹脂3を成型する樹脂成型の工程、又は固体電解コンデンサ1,1Xの使用時において、固体電解コンデンサ1,1Xが高温(例えば、125〔℃〕)環境下にさらされた場合を想定する。
比較例に係る固体電解コンデンサ1Xでは、図4Bに示すように、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間に被覆層6が存在しないため、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1に比べて、外装樹脂3に含まれるワックス成分300がコンデンサ素子2に接触しやすい。すなわち、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間には、外装樹脂3からコンデンサ素子2へのワックス成分300の浸潤を抑制する被覆層6が存在しないため、固体電解コンデンサ1に比べると、コンデンサ素子2へのワックス成分300の浸潤が生じやすい。そのため、固体電解コンデンサ1Xが高温環境下にさらされた場合に、ワックス成分300が加熱されて高温になると、コンデンサ素子2に含有されている水分200と高温のワックス成分300との接触が生じる可能性がある。そして、高温のワックス成分300が水分200に接触すると、水分200が急激に気化され、コンデンサ素子2がダメージ(損傷)を受けることがある。その結果、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xでは、コンデンサ素子2に対してワックス成分300が影響し、コンデンサ素子2の特性変化が生じることがある。
一方、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1では、図4Aに示すように、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間に位置する被覆層6により、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xに比べて、外装樹脂3に含まれるワックス成分300がコンデンサ素子2に接触しにくくなる。すなわち、フッ素化合物を含む被覆層6、又は撥油性を有する被覆層6により、固体電解コンデンサ1Xに比べると、外装樹脂3からコンデンサ素子2へのワックス成分300の浸潤が生じにくくなる。特に、本実施形態では、被覆層6は、コンデンサ素子2の固体電解質層5のうちの露出部位51を少なくとも覆っているので、外装樹脂3に含まれるワックス成分300の固体電解質層5との接触を抑制しやすい。これにより、固体電解コンデンサ1が高温環境下にさらされた場合に、ワックス成分300が加熱されて高温になることがあっても、そもそもコンデンサ素子2に含有されている水分200と高温のワックス成分300との接触は生じにくい。その結果、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1では、コンデンサ素子2に対してはワックス成分300の影響は生じにくく、コンデンサ素子2の特性変化が生じにくい。
特に、本実施形態では、コンデンサ素子2の乾燥工程(「(3)製造方法」参照)により、コンデンサ素子2における水分200の含有量が低減されている。そのため、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1では、コンデンサ素子2に含有されている水分200の量がそもそも少なく、コンデンサ素子2に含有されている水分200と高温のワックス成分300との接触はより生じにくい。
本実施形態に係る固体電解コンデンサ1と、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xとを比較することで、下記表1のような比較結果が得られた。表1では、漏れ電流(LC:Leakage Current)による不良品発生率を「LC不良率〔%〕」、コンデンサ素子2に生じた損傷の数を「素子損傷〔箇所〕」、信頼性試験の結果を「信頼性試験〔%〕」として表している。信頼性試験の結果は、「ΔC」、「Δtanδ」、「ΔESR」及び「ΔLC」の4項目について、サンプル(固体電解コンデンサ1,1X)を125〔℃〕に加熱した場合の、初期値からの変化率〔%〕を表している。「ΔC」は容量の変化率、「Δtanδ」はtanδ(誘電正接)の変化率、「ΔESR」は等価直列抵抗の変化率、「ΔLC」は漏れ電流の変化率を表す。
上記表1からも明らかなように、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xに比べて、全ての項目について改善が見られる。特に信頼性試験の結果から、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1は、比較例に係る固体電解コンデンサ1Xに比べて、コンデンサ素子2の特性変化(「ΔC」、「Δtanδ」、「ΔESR」及び「ΔLC」)が生じにくいことが明らかである。
(5)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
固体電解コンデンサ1は、第1端子71及び第2端子72の2つの端子を有する2端子構造に限らず、3つ以上の端子を有する構造であってもよい。
また、固体電解質層5は、導電性高分子に限らず、例えば、二酸化マンガン又は有機半導体等であってもよい。
また、被覆層6は、コンデンサ素子2と外装樹脂3との間にあればよく、被覆層6がコンデンサ素子2の表面上に直接的に形成されていることは固体電解コンデンサ1に必須の構成ではない。一例として、コンデンサ素子2の表面上に、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂、又はセラミック等からなる保護層が形成され、被覆層6は、保護層の表面上に形成されていてもよい。この場合、保護層は、被覆層6と同様に少なくも固体電解質層5の露出部位51を覆うことが好ましい。反対に、コンデンサ素子2の表面上に被覆層6が形成され、被覆層6の表面上に、上記保護層が形成されていてもよい。
また、外装樹脂3は固体電解コンデンサ1の最外殻を構成していなくてもよく、例えば、ダブルモールド(二色成型)等により、外装樹脂3が更に別の樹脂部材によって覆われていてもよい。
また、固体電解コンデンサ1に含まれるコンデンサ素子2の枚数は7枚に限定されず、例えば、2枚以上10枚以下の適宜の枚数のコンデンサ素子2が積層されていてもよい。
また、コンデンサ素子2において、陽極体4の厚み方向の両面に、固体電解質層5及び陰極層8が形成されることは、固体電解コンデンサ1に必須の構成ではなく、例えば、陽極体4の厚み方向の片面のみに、固体電解質層5及び陰極層8が形成されていてもよい。
また、被覆層6を形成するための樹脂被覆の工程は、素子積層の工程後に限らず、例えば、陰極塗布の工程後であって、素子積層の工程前に行われてもよい。また、被覆層6を形成する方法は、塗布に限らず、例えば、フッ素化合物を含む樹脂シートをコンデンサ素子2の表面に貼り付ける等の方法により被覆層6を形成してもよい。
また、陽極側導電部42はアルミニウムに限らず、例えば、タンタル等であってもよい。また、陽極体4(陽極側導電部42及び誘電体層41)の形状は平板状に限らず、例えば、弁作用金属粉末から形成される多孔質焼結体であってもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、少なくとも1つのコンデンサ素子(2)と、外装樹脂(3)と、被覆層(6)と、を備える。コンデンサ素子(2)は、誘電体層(41)を含む陽極体(4)と、誘電体層(41)の少なくとも一部を覆う固体電解質層(5)と、を有する。外装樹脂(3)は、コンデンサ素子(2)を覆う。被覆層(6)は、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置し、フッ素化合物を含む。
以上説明したように、第1の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、少なくとも1つのコンデンサ素子(2)と、外装樹脂(3)と、被覆層(6)と、を備える。コンデンサ素子(2)は、誘電体層(41)を含む陽極体(4)と、誘電体層(41)の少なくとも一部を覆う固体電解質層(5)と、を有する。外装樹脂(3)は、コンデンサ素子(2)を覆う。被覆層(6)は、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置し、フッ素化合物を含む。
この態様によれば、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置する被覆層(6)により、被覆層(6)が無い構成に比較して、外装樹脂(3)に含まれる油分がコンデンサ素子(2)に接触しにくくなる。すなわち、フッ素化合物を含む被覆層(6)により、外装樹脂(3)からコンデンサ素子(2)への油分の浸潤が生じにくくなる。したがって、例えば、固体電解コンデンサ(1)が高温環境下にさらされた場合等に、外装樹脂(3)中の油分が加熱されて高温になることがあっても、コンデンサ素子(2)に対しては油分の影響は生じにくく、コンデンサ素子(2)の特性変化が生じにくくなる。
第2の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、少なくとも1つのコンデンサ素子(2)と、外装樹脂(3)と、被覆層(6)と、を備える。コンデンサ素子(2)は、誘電体層(41)を含む陽極体(4)と、誘電体層(41)の少なくとも一部を覆う固体電解質層(5)と、を有する。外装樹脂(3)は、コンデンサ素子(2)を覆う。被覆層(6)は、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置し、撥油性を有する。
この態様によれば、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置する被覆層(6)により、被覆層(6)が無い構成に比較して、外装樹脂(3)に含まれる油分がコンデンサ素子(2)に接触しにくくなる。すなわち、撥油性を有する被覆層(6)により、外装樹脂(3)からコンデンサ素子(2)への油分の浸潤が生じにくくなる。したがって、例えば、固体電解コンデンサ(1)が高温環境下にさらされた場合等に、外装樹脂(3)中の油分が加熱されて高温になることがあっても、コンデンサ素子(2)に対しては油分の影響は生じにくく、コンデンサ素子(2)の特性変化が生じにくくなる。
第3の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第1又は2の態様において、外装樹脂(3)は、ワックス成分(300)を含む。
この態様によれば、ワックス成分(300)により、外装樹脂(3)の成型時における離型性の向上、及び外装樹脂(3)の艶出し等の効果が期待できる。さらに、コンデンサ素子(2)と外装樹脂(3)との間に位置する被覆層(6)により、ワックス成分(300)がコンデンサ素子(2)に接触しにくくなる。
第4の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第1~3のいずれかの態様において、コンデンサ素子(2)は、固体電解質層(5)の少なくとも一部を覆う陰極層(8)を更に有する。固体電解質層(5)は、陰極層(8)に覆われない露出部位(51)を含む。被覆層(6)は、少なくも露出部位(51)を覆う。
この態様によれば、油分の浸潤がコンデンサ素子(2)の特性に影響しやすい露出部位(51)への油分の浸潤が、被覆層(6)にて生じにくくなる。
第5の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、第1~4のいずれかの態様において、コンデンサ素子(2)を複数備える。複数のコンデンサ素子(2)は、互いに積層された状態で、1つの外装樹脂(3)にて覆われている。
この態様によれば、複数のコンデンサ素子(2)を1つの外装樹脂(3)で覆っているので、複数のコンデンサ素子(2)間に作用する応力等についても、外装樹脂(3)にて緩和することができる。
第6の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第5の態様において、複数のコンデンサ素子(2)のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子(2)は、接合部(20)にて接合されている。被覆層(6)は、複数のコンデンサ素子(2)の各々の表面のうち、接合部(20)を除く部位の少なくとも一部に形成されている。
この態様によれば、接合部(20)を除く部位に被覆層(6)が形成されているため、被覆層(6)が接合部(20)に作用して接合部(20)の接合強度を低下させる等の問題が生じにくい。
第7の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、第5又は6の態様において、複数のコンデンサ素子(2)のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子(2)間の少なくとも一部には、被覆層(6)が位置する。
この態様によれば、互いに隣接する一対のコンデンサ素子(2)間の隙間にも被覆層(6)が存在することで、外装樹脂(3)に含まれる油分がコンデンサ素子(2)により接触しにくくなる。
第8の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第1~7のいずれかの態様において、被覆層(6)は、接触角が50度以上となる撥油性を有する。
この態様によれば、被覆層(6)が十分な撥油性を有するので、外装樹脂(3)からコンデンサ素子(2)への油分の浸潤がより生じにくくなる。
第9の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第1~8のいずれかの態様において、陽極体(4)は、平板状の陽極側導電部(42)と、陽極側導電部(42)の厚み方向の少なくとも一面に形成された誘電体層(41)と、を含む。
この態様によれば、陽極体(4)が平板状になるので、固体電解コンデンサ(1)の低背化又は薄型化を図ることができる。
第10の態様に係る固体電解コンデンサ(1)では、第1~9のいずれかの態様において、固体電解質層(5)は、導電性高分子を含む。
この態様によれば、等価直列抵抗を低く抑えることができる。
第2~10の態様に係る構成については、固体電解コンデンサ(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
1 固体電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 外装樹脂
4 陽極体
5 固体電解質層
6 被覆層
8 陰極層
20 接合部
41 誘電体層
42 陽極側導電部
51 露出部位
300 ワックス成分
2 コンデンサ素子
3 外装樹脂
4 陽極体
5 固体電解質層
6 被覆層
8 陰極層
20 接合部
41 誘電体層
42 陽極側導電部
51 露出部位
300 ワックス成分
Claims (10)
- 誘電体層を含む陽極体と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を有する少なくとも1つのコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を覆う外装樹脂と、
前記コンデンサ素子と前記外装樹脂との間に位置し、フッ素化合物を含む被覆層と、を備える、
固体電解コンデンサ。 - 誘電体層を含む陽極体と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を有する少なくとも1つのコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を覆う外装樹脂と、
前記コンデンサ素子と前記外装樹脂との間に位置し、撥油性を有する被覆層と、を備える、
固体電解コンデンサ。 - 前記外装樹脂は、ワックス成分を含む、
請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記コンデンサ素子は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層を更に有し、
前記固体電解質層は、前記陰極層に覆われない露出部位を含み、
前記被覆層は、少なくも前記露出部位を覆う、
請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記コンデンサ素子を複数備え、
前記複数のコンデンサ素子は、互いに積層された状態で、1つの前記外装樹脂にて覆われている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記複数のコンデンサ素子のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子は、接合部にて接合されており、
前記被覆層は、前記複数のコンデンサ素子の各々の表面のうち、前記接合部を除く部位の少なくとも一部に形成されている、
請求項5に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記複数のコンデンサ素子のうち互いに隣接する一対のコンデンサ素子間の少なくとも一部には、前記被覆層が位置する、
請求項5又は6に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記被覆層は、接触角が50度以上となる撥油性を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記陽極体は、平板状の陽極側導電部と、前記陽極側導電部の厚み方向の少なくとも一面に形成された前記誘電体層と、を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 前記固体電解質層は、導電性高分子を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
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