WO2019216423A1

WO2019216423A1 - 貼付材

Info

Publication number: WO2019216423A1
Application number: PCT/JP2019/018789
Authority: WO
Inventors: 敬太小澤; 升吉田; 真紀子吉山
Original assignee: 日東電工株式会社
Priority date: 2018-05-11
Filing date: 2019-05-10
Publication date: 2019-11-14
Also published as: JP2019198642A; US20210130657A1; EP3791839A1; EP3791839A4; CN112040916A

Abstract

本発明は、ポリウレタンフィルムと、前記ポリウレタンフィルムの一方の面に設けられた第１の粘着剤層と、前記ポリウレタンフィルムの他方の面に設けられたカバーテープとを含む貼付材であって、前記カバーテープは、基材と、前記基材の一方の面に設けられた第２の粘着剤層とを含み、前記第２の粘着剤層の粘着面が、前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面側に積層されており、前記第１の粘着剤層は、粘着剤と、有機液状成分とを含む貼付材に関する。

Description

貼付材

　本発明は貼付材に関する。特に皮膚面に貼付するための皮膚貼付材に関する。

　皮膚の創傷の保護や汚染防止を目的として、皮膚の創傷の上から粘着シートを被覆することが一般的に行われている。また、スポーツ観戦やイベントなどにおいて、関連する絵柄や色模様を顔面や腕などの皮膚に装飾することが行われている。このような皮膚に装飾する方法として、あらかじめ絵柄や色模様が印刷された粘着シートを皮膚面に貼付することによって装飾する方法が提案されている（例えば、特許文献１～３参照）。

日本国特開平７－６７９１２号公報日本国特開２０００－１６０１１１号公報日本国特開２００５－３４８９７４号公報

　皮膚面に貼付する粘着シートとしては、皮膚面の貼付中における違和感を和らげるために、皮膚面の動きに追従するような柔軟性の高い粘着シートが求められている。しかし、このような柔軟性の高い粘着シートは、皮膚面への貼付の際に、粘着シートに皺が発生しやすくなったり、あるいは、粘着シートの粘着面同士が貼り付いてしまうなど、取扱いが難しいという課題がある。このため、粘着シートの粘着剤層積層面と反対面に保護フィルムを積層させた構成とすることにより、柔軟性の高い粘着シートに腰を持たせて、粘着シートの取扱い性を向上させるという工夫がなされている。しかし、粘着シートに積層された保護フィルムは、剥離可能に積層されていることから簡単に剥がれやすく、一旦保護フィルムが剥がれてしまうと再度粘着シートへ積層することが困難なため、更なる改善が求められている。

　本発明は、前記現状に鑑み、皮膚面への貼付の際に皺になりにくく、簡便できれいに貼付することができる貼付材を提供することを目的とする。また、保護フィルムとして粘着剤層を有するカバーテープを用いることにより、貼付材を保管している間、カバーテープの剥離を防止するとともに、一旦カバーテープが剥離したとしても再度積層することができる貼付材を提供することを目的とする。

　本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。

　すなわち、本発明は下記に示すとおりである。
（１）ポリウレタンフィルムと、前記ポリウレタンフィルムの一方の面に設けられた第１の粘着剤層と、前記ポリウレタンフィルムの他方の面に設けられたカバーテープとを含む貼付材であって、
　前記カバーテープは、基材と、前記基材の一方の面に設けられた第２の粘着剤層とを含み、前記第２の粘着剤層の粘着面が、前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面側に積層されており、
　前記第１の粘着剤層は、粘着剤と、有機液状成分とを含む
　貼付材。
（２）前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面の少なくとも一部に、印刷層が形成されている（１）に記載の貼付材。
（３）前記第１の粘着剤層における前記有機液状成分の含有量が、１０～６０質量％である（１）または（２）に記載の貼付材。
（４）前記有機液状成分が、脂肪酸エステルを含む（１）～（３）のいずれかに記載の貼付材。
（５）前記粘着剤が、アクリル系粘着剤を含む（１）～（４）のいずれかに記載の貼付材。

　本発明の貼付材は、ポリウレタンフィルムにカバーテープを積層することにより、貼付材の腰を持たせ、皮膚面へ貼付する際の取扱い性を向上させることができる。また、貼付材を保管している間、カバーテープの剥離を防止するとともに、カバーテープが誤って剥離しても再度ポリウレタンフィルムに貼付することができ、ポリウレタンフィルムの表面に傷などが付かないように保護することができる。そして、本発明の貼付材を顔面や腕などの皮膚面に貼付した後、カバーテープを取り除くと、皮膚面に対して優れた貼付性を有するとともに、皮膚面の動きに応じて柔軟に伸び縮みし、貼付していることを感じさせないような良好なフィット感を有する。さらに、使用後、皮膚面から貼付材を剥離する際の物理的な皮膚刺激を抑えることができる。

図１は本発明の貼付材の一態様を表す概略断面図である。なお、図はいずれも本発明の概念を分かりやすく説明するために貼付材に対して垂直方向に拡大して描画されている。

　本発明の貼付材は、ポリウレタンフィルムと、前記ポリウレタンフィルムの一方の面（以下、「第１の面」ともいう）に設けられた第１の粘着剤層と、前記ポリウレタンフィルムの他方の面（以下、「第２の面」ともいう）に設けられたカバーテープとを含む貼付材であって、前記カバーテープは、基材と、前記基材の一方の面に設けられた第２の粘着剤層とを含み、前記第２の粘着剤層の粘着面が、前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面側に積層されており、前記第１の粘着剤層は、粘着剤と、有機液状成分とを含むものである。すなわち、該貼付材は、ポリウレタンフィルムの一方の面に、第１の粘着剤層を設け、前記ポリウレタンフィルムの他方の面に、基材と第２の粘着剤層とからなるカバーテープの第２の粘着剤層面が積層され、第１の粘着剤層が、粘着剤と、有機液状成分とを含むものである。
　なお、ポリウレタンフィルムの第１の面及び第２の面は、ポリウレタンフィルムにおける互いに対向する２つの主面である。

　本発明におけるポリウレタンフィルムに含まれるウレタン樹脂は、特に制限されるものではなく、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂などの一般的なウレタン樹脂を用いることができる。
　ポリウレタンフィルムの厚さの上限は、好ましくは５０μｍ、より好ましくは３０μｍ、さらに好ましくは２０μｍ、特に好ましくは１５μｍ、とりわけ９μｍであり、下限は、好ましくは１μｍ、より好ましくは３μｍである。ポリウレタンフィルムの厚さが１μｍ未満であると、貼付材を使用する際、または、使用後皮膚面から貼付材を剥離する際に、貼付材が破断してしまうおそれがある。一方、ポリウレタンフィルムの厚さが５０μｍを超えると、貼付材の柔軟性が乏しくなるため、貼付材を皮膚面に貼付している間、皮膚面の柔軟な動きに対して違和感が生じたり、皮膚面に蒸れや蒸れに伴うかぶれなどが生じる場合がある。

　ポリウレタンフィルムの他方の面（第２の面）の少なくとも一部には、印刷層が形成されていることが好ましい。印刷層は、一般的に行なわれるフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、レーザープリンターなどにより形成する。また、印刷層に用いられるインクは、通常、顔料と、油脂類、天然樹脂、合成樹脂などを溶剤に溶かしてなるワニスを主剤とし、これに若干の滑剤や硬化剤などの添加物を加えたものなどが挙げられる。印刷層に用いられるインクの色相は、貼付材の用途によって適宜決定することができるが、例えば、スポーツ観戦やイベントなどの用途では、関連する絵柄や色模様の色相を有するものを使用し、創傷被覆などの用途では、皮膚に貼付した際に目立ちにくい肌色に近い色相を有するものを使用することが多い。
　また、印刷層の厚みとしては、特に限定されないが、擦れやムラを生じることなく均一な印刷層を形成するためには、上限が好ましくは１０．０μｍ、より好ましくは５．０μｍであり、また、下限が好ましくは０．１μｍ、より好ましくは０．５μｍである。

　本発明において、第１の粘着剤層に用いられる粘着剤は、特に制限されるものではなく、一般的に使用されているものが用いられるが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられ、これらは単独でまたは２種以上組み合わせて使用される。中でも、粘着力の調整が容易であることや、皮膚と接触した際の皮膚刺激性が少ないことなどにより、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。

　アクリル系粘着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物から得られるアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。

　（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、粘着剤層に良好な貼付性を付与する主成分となるものであり、特にアルキル基の炭素数が６以上、さらには６～１８の長鎖アルキル基を用いると効果的である。なお、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、皮膚に対する刺激性が比較的少なく、長時間の使用によっても粘着力の低下が起こりにくいという利点を有するものである。

　このような（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸のブチルエステル、プロピルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ドデシルエステル、ラウリルエステルなどを単独もしくは２種以上併用して用いることができる。なお、これらのアルキルエステル鎖は直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。

　アクリル系粘着剤は、水蒸気透過性、所謂透湿性を付与するために、アルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物から得られるアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。このようなアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体は特に限定されないが、例えば、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどの炭素数が１～４のアルコキシ基を有するアルコキシアルキルアクリレートが好ましく用いられる。

　また、アクリル系粘着剤は、さらにカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物から得られるアクリル系粘着剤を用いてもよい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を含むことによって、得られる粘着剤の凝集力が向上するので、粘着剤層の特性を調整する上で重要な単量体となる。このような単量体の代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、（無水）マレイン酸などが挙げられる。これらのうち、共重合性や取扱性などの点で好ましい単量体としては、アクリル酸やメタクリル酸が挙げられる。

　第１の粘着剤層に含まれるアクリル系粘着剤は、上記（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体とアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体とが共重合することによって得られるものが好ましく、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体とアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体とが共重合することによって得られるものがより好ましい。

　さらに、アクリル系粘着剤は、上記各単量体以外に、親水性の付与などの各種改質を行うための改質用単量体として、スチレンや酢酸ビニル、Ｎ－ビニル－２－ピロリドンなどの単量体を必要に応じて適宜共重合してもよい。

　アクリル系粘着剤を構成する（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量は、上限が好ましくは８０質量％、より好ましくは７５質量％であり、下限が好ましくは４０質量％、より好ましくは５０質量％である。（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量が上記範囲内であれば、良好な貼付性を示すとともに、被着体からの剥離の際に糊残り現象が生じず優れた剥離性を示す。

　また、アクリル系粘着剤におけるアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、上限が好ましくは６０質量％、より好ましくは５０質量％であり、下限が好ましくは１０質量％、より好ましくは２０質量％、さらに好ましくは２５質量％である。アルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体の含有量が上記範囲内であれば、粘着剤層に優れた透湿性を付与することができ、皮膚貼付時の蒸れや蒸れに伴うかぶれを低減する効果を奏する。

　なお、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させる場合、上述したアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、上限が好ましくは５０質量％、より好ましくは４５質量％であり、下限が好ましくは１０質量％、より好ましくは２０質量％である。

　上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の含有量は、上限が好ましくは１０質量％、より好ましくは８質量％であり、下限が好ましくは１質量％、より好ましくは３質量％である。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の含有量が上記範囲内であれば、粘着剤層に優れた凝集力を付与することができ、糊残り現象などを抑えることができる。

　本発明において、第１の粘着剤層には、有機液状成分が含有される。有機液状成分は、粘着剤層に柔軟性を付与するとともに、皮膚面から貼付材を剥離する際の物理的な皮膚刺激を低減することができる。

　このような有機液状成分としては、室温（２５℃）で液状またはペースト状であるもの、あるいは２種以上を混合して用いる場合には、最終的に混合物が室温（２５℃）で液状またはペースト状となるものであれば特に限定されない。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類；オリーブ油、ヒマシ油などの植物性油脂類；液状ラノリンなどの動物性油脂類；スクアラン、流動パラフィンなどの炭化水素類；各種界面活性剤；エトキシ化ステアリルアルコール；イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの長鎖アルコール類；カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸類；Ｎ－メチルピロリドン、Ｎ－ドデシルピロリドンなどのピロリドン類；デシルメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、フタル酸、マレイン酸、アジピン酸、ステアリン酸や各種脂肪酸とアルキルアルコールとのエステル類、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとのエステル類などが挙げられ、これらは１種を単独で、または２種以上を混合して使用することができる。

　中でも、各種脂肪酸とアルキルアルコールとのエステル類、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとのエステル類が好ましく、より具体的には、１価のアルコールのエステルとしては、ジブチルフタレート、ジ－２－エチルヘキシルフタレート、ジブチルアジペート、ジ－２－エチルヘキシルセバケート、ジブチルマレエート、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、２－エチルへキサン酸セチル、２－エチルヘキサン酸イソセチル、２－エチルヘキサン酸ステアリル、コハク酸ジオクチルなどが挙げられる。また、２価以上のアルコールのエステルとしては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ－２－エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリ－２－エチルヘキサン酸トリメチロールプロパンなどを１種もしくは２種以上併用して使用することができる。このような有機液状成分は貼付材の他の要因などによって適宜決定できるが、粘着剤との相溶性の観点から、脂肪酸エステル、さらに好ましくはグリセリン脂肪酸エステルが好適に用いられる。

　また、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸として、カプリル酸、カプリン酸、２－エチルヘキシル酸などの飽和脂肪酸を挙げることができ、これらの単独もしくは２以上を用いることができる。これらの飽和脂肪酸は不飽和二重結合を有さないので、粘着剤、すなわち粘着剤層の酸化劣化を防止することができる。

　飽和脂肪酸として上述のようなカプリル酸などを用いた場合、各種飽和脂肪酸とアルコールとのエステル類として、トリカプリル酸グリセリルやトリカプリン酸グリセリル、トリ－２－エチルヘキサン酸グリセリルが得られる。これらの脂肪酸エステルの中でも、粘着剤との相溶性などの点から、グリセリン脂肪酸エステルの一種であるトリカプリル酸グリセリルを用いることがより好ましい。

　第１の粘着剤層中における有機液状成分の含有量は、上限が好ましくは６０質量％、より好ましくは５０質量％であり、下限が好ましくは５質量％、より好ましくは１０質量％、さらに好ましくは１５質量％、特に好ましくは２０質量％である。また、粘着剤１００質量部に対する有機液状成分の含有割合は、上限が好ましくは２００質量部、より好ましくは１００質量部、さらに好ましくは８０質量部、特に好ましくは７０質量部であり、下限が好ましくは１０質量部、より好ましくは１５質量部、さらに好ましくは２０質量部、特に好ましくは３０質量部である。有機液状成分の含有量および含有割合が、上記範囲にあることによって、第１の粘着剤層に十分な柔軟性を付与することができるため、皮膚面の動きに対しても良好な貼付性を有するとともに、皮膚から貼付材を剥離する際の物理的な皮膚刺激を抑えることができる。さらに、第１の粘着剤層に含まれる有機液状成分が、支持体であるポリウレタンフィルムの背面側（第２の面側）へ滲み出すため、ポリウレタンフィルムの背面にシリコーン系樹脂処理などの剥離処理を施さなくても、ポリウレタンフィルムに対するカバーテープの剥離性と密着性という、相反する特性の両立に寄与すると推察される。

　第１の粘着剤層には、適度な凝集力を付与するために架橋処理を施してもよい。架橋処理としては、電子線やγ線、Ｘ線などの電離性放射線の照射による物理的架橋と、架橋剤による化学的架橋とがあるが、取扱い性や再現性良く架橋を施すという観点から架橋剤による化学的架橋処理を施すことが好ましい。例えば、第１の粘着剤層を構成する材料を配合した粘着剤組成物に架橋剤を添加して、加熱処理することで架橋処理が施される。このような架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属キレート系架橋剤など、架橋処理する際に使用される架橋剤を用いることができる。

　上記のようにして架橋処理を施した第１の粘着剤層は、架橋度合いによって適度な貼付性と凝集性とのバランスを保持するものであるが、粘着剤の分子量や分子量分布もこれらの調整に対して影響を与えるものである。

　第１の粘着剤層の厚さは特に限定されるものではなく、本発明の貼付材の用途や、貼付する部位などに応じて適宜に設定することができる。一例として、前記厚さの上限が好ましくは１００μｍ、より好ましくは５０μｍ、さらに好ましくは３５μｍであり、下限が好ましくは１０μｍ、より好ましくは１６μｍであり、さらに好ましくは２０μｍである。第１の粘着剤層の厚さを上記範囲とすることによって、皮膚面に対して適度な粘着力を付与することができる。

　本発明の貼付材において、カバーテープは、基材と第２の粘着剤層とを有する。カバーテープに用いられる基材としては、具体的には、ポリオレフィンフィルム（ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど）やポリエステルフィルム（ポリエチレンテレフタレートフィルムなど）のプラスチックフィルムなどが挙げられる。基材の厚さは、上限が好ましくは８０μｍ、より好ましくは７０μｍであり、下限が好ましくは３０μｍ、より好ましくは４０μｍである。

　第２の粘着剤層に用いられる粘着剤は、特に制限されるものではなく、一般的に使用されているものが用いられるが、第１の粘着剤層に用いられる粘着剤と同様のものを使用することができる。中でも、支持体であるポリウレタンフィルムとの密着性、剥離性などの観点から、アクリル系粘着剤が好適に用いることができる。第２の粘着剤層の厚さとしては、好ましくは５～３０μｍ、より好ましくは５～１５μｍである。

　本発明の貼付材においては、第１の粘着剤層の表面の汚染を防ぐために、必要に応じて使用するまで第１の粘着剤層の表面を剥離ライナーにて被覆する。この剥離ライナーは、一般的な粘着テープに用いられるものを使用することができる。剥離ライナー用の基材としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムやこれらのフィルムに金属を蒸着した金属蒸着プラスチックフィルム；和紙、洋紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などの紙類；不織布、布などの繊維質材料による基材；金属箔などが挙げられ、上記剥離ライナー用の基材の表面にシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂などの剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものを剥離ライナーとして使用することができる。

　図１に、本発明の一実施形態に係る貼付材の概略断面図を示す。ここで、本実施形態の貼付材１０は、印刷層７と剥離ライナー５とを備える態様の貼付材である。該貼付材１０においては、ポリウレタンフィルム１の一方の面（第１の面）に第１の粘着剤層２を設けられており、第１の粘着剤層２の粘着面は剥離ライナー５で被覆されている。また、ポリウレタンフィルム１の他方の面（第２の面）には印刷層７が形成されており、さらには、基材３と第２の粘着剤層４とからなるカバーテープ６が、第２の粘着剤層４の粘着面側がポリウレタンフィルム１の他方の面（第２の面）側となるように、印刷層７上に積層されている。

　本発明の貼付材の皮膚面への貼付方法について、以下に例示する。まず剥離ライナーを剥離して第１の粘着剤層を露出し、第１の粘着剤層側を皮膚面に貼り付け、貼付材の上から手で押さえ密着させる。その後、カバーテープをゆっくりと剥離し、皮膚面への貼付が完了する。このような貼付方法により、柔軟性の高い貼付材を皺なく綺麗に簡便に皮膚面へ貼付することができる。

　本発明の貼付材のカバーテープがポリウレタンフィルムに密着したままで、剥離ライナーの剥離を容易に行うためには、第１の粘着剤層と剥離ライナーとの剥離力が、第２の粘着剤層とポリウレタンフィルム（ポリウレタンフィルムの第２の面側）との剥離力よりも小さいことが好ましい。第２の粘着剤層とポリウレタンフィルムとの剥離力は、上限が好ましくは０．６０Ｎ／２０ｍｍ幅、より好ましくは０．５０Ｎ／２０ｍｍ幅であり、下限が好ましくは０．１５Ｎ／２０ｍｍ幅、より好ましくは０．２０Ｎ／２０ｍｍ幅である。第２の粘着剤層とポリウレタンフィルムとの剥離力が０．１５Ｎ／２０ｍｍ幅未満の場合、貼付材を保管している間にカバーテープが剥がれたり、あるいは、貼付材の使用時に剥離ライナーよりも先にカバーテープが剥がれてしまうおそれがある。一方、第２の粘着剤層とポリウレタンフィルムとの剥離力が０．６０Ｎ／２０ｍｍ幅を超えると、カバーテープの剥離が重く、貼付材を皮膚に貼付した後、カバーテープを剥離する際に、貼付材も一緒に剥がれてしまうおそれがある。

　以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下にて、「部」および「％」とは、それぞれ「質量部」および「質量％」を意味する。また、本明細書において、「質量部」は「重量部」と実質的に同義であり、「質量％」は「重量％」と実質的に同義である。

（比較例１）
　トルエン中でアクリル酸イソノニル６５部、アクリル酸２－メトキシエチル３０部、アクリル酸５部からなる単量体混合物を共重合反応させてアクリル系粘着剤のトルエン溶液を得た。得られたアクリル系粘着剤の溶液に、前記アクリル系粘着剤１００部に対して、有機液状成分としてのトリカプリル酸グリセリル６０部、架橋剤としての三官能性イソシアネート化合物０．０４部を配合して均一な粘着剤溶液を作製した。

　次に、片面にシリコーン系樹脂による剥離処理を施した紙製剥離ライナー（厚さ９７μｍ）の剥離処理面に、上記粘着剤溶液を、乾燥後の厚さが２５μｍとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、厚さ８μｍのポリウレタンフィルムと保護フィルム（厚さ４０μｍのポリプロピレンフィルム）とが積層された積層フィルムのポリウレタンフィルム面に貼り合わせて、比較例１の貼付材を得た。

（実施例１）
　得られた比較例１の貼付材について、ポリプロピレンフィルム（保護フィルム）を剥離した後、ポリウレタンフィルム面に、基材と粘着剤層とを備えるカバーテープ（品名：ＳＰＶ－３６２ＭＫ、日東電工株式会社製）の粘着剤層側を貼り合わせて、実施例１の貼付材を得た。

（実施例２）
　得られた比較例１の貼付材について、ポリプロピレンフィルム（保護フィルム）を剥離した後、レーザープリンターを用いて、ポリウレタンフィルム面にインクを塗布して印刷層を形成した。さらに、印刷層の上に、基材と粘着剤層とを備えるカバーテープ（品名：ＳＰＶ－３６２ＭＫ、日東電工株式会社製）の粘着剤層側を貼り合わせて、実施例２の貼付材を得た。

（実施例３）
　実施例１において、厚さ８μｍのポリウレタンフィルムに代えて、厚さ３０μｍのポリウレタンフィルムを用いた以外は、実施例１と同様にして実施例３の貼付材を得た。

（比較例２）
　実施例１において、厚さ８μｍのポリウレタンフィルムに代えて、厚さ１２μｍのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例１と同様にして比較例２の貼付材を得た。

（比較例３）
　片面にシリコーン系樹脂による剥離処理を施した紙製剥離ライナー（厚さ９７μｍ）の剥離処理面に、比較例１におけるアクリル系粘着剤の溶液（有機液状成分や架橋剤を含まない）を、乾燥後の厚さが２５μｍとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、厚さ８μｍのポリウレタンフィルムとポリプロピレンフィルム（保護フィルム）とが積層された積層フィルムのポリウレタンフィルム面に貼り合わせた。

　次に、ポリプロピレンフィルム（保護フィルム）を剥離した後、ポリウレタンフィルム面に、基材と粘着剤層とを備えるカバーテープ（品名：ＳＰＶ－３６２ＭＫ、日東電工株式会社製）の粘着剤層側を貼り合わせて比較例３の貼付材を得た。

　（剥離力）
　実施例１～３および比較例１～３の貼付材を、幅２０ｍｍ、長さ１００ｍｍの帯状に裁断し試験片を作製した。試験片の剥離ライナーを剥がした後、粘着剤層面をフェノール樹脂製積層板に２ｋｇのゴムローラーを５０ｍｍ／秒の速さで一往復させて貼り合わせた。次に、試験片の長手方向の一端において、カバーテープ（比較例１は保護フィルム）端部から約５ｍｍを剥がして１８０°角に折り返し、補助紙（幅約２０ｍｍ、長さ約２００ｍｍ）を貼り付けて長さを延長した。引張り試験機を用い、補助紙の一端を上部の留金にはさみ、フェノール樹脂製積層板を下部の留金にはさみ、２３℃±２℃、５０±１０％ＲＨの雰囲気下で、３００ｍｍ／分の速度で１８０°方向にカバーテープ（比較例１は保護フィルム）を連続して引き剥がし、剥離力を測定した（ｎ＝３の平均値）。

（作業性）
　実施例１～３および比較例１～３の貼付材を、一辺３０ｍｍ×３０ｍｍの略正方形に裁断し試験片を作製した。試験片の剥離ライナーを剥がし、粘着剤層面を被験者の腕に貼り合わせて、手のひらで試験片を１０秒間押さえた後、カバーテープ（比較例１は保護フィルム）の端部を指で掴んで剥離した際の試験片の状態を下記の評価基準に基づき評価し、評価点を算出した（ｎ＝３の平均値）。
　５：試験片が腕から浮かず、皺にならない。
　３：試験片が腕から若干浮くが、皺にならない。
　１：試験片が腕から浮き、皺になる。

（再貼付性）
　実施例１～３および比較例１～３の貼付材を、一辺３０ｍｍ×３０ｍｍの略正方形に裁断し試験片を作製した。試験片の剥離ライナーを剥がした後、粘着剤層面をフェノール樹脂製積層板に２ｋｇのゴムローラーを５０ｍｍ／秒の速さで一往復させて貼り合わせた。次に、カバーテープ（比較例１は保護フィルム）の端部を指で掴んで一部剥離し、剥離した部分を再度貼り合わせた際の試験片の状態を下記の評価基準に基づき評価し、評価点を算出した（ｎ＝３の平均値）。
　３：密着している。
　１：密着しない。

　結果を表１に示す。
　実施例１～３の貼付材は、保管中、カバーテープの端部が剥離してもポリウレタンフィルムへ再貼付することができるとともに、使用時においてはカバーテープを容易に剥離することができるものであった。これに対し、比較例１の貼付材は、保管中保護フィルムに剥がれが生じると再貼付することができなかった。また、比較例２および３の貼付材は、使用時に皮膚面へ貼付後、カバーテープを剥離する際に、皮膚面から貼付材の浮きが見られ、きれいに簡便に貼付することが難しいものであった。

　以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。

　なお、本出願は、２０１８年５月１１日出願の日本特許出願（特願２０１８－０９１８７８）に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。

１　ポリウレタンフィルム
２　第１の粘着剤層
３　基材
４　第２の粘着剤層
５　剥離ライナー
６　カバーテープ
７　印刷層
１０　貼付材

Claims

　ポリウレタンフィルムと、前記ポリウレタンフィルムの一方の面に設けられた第１の粘着剤層と、前記ポリウレタンフィルムの他方の面に設けられたカバーテープとを含む貼付材であって、
　前記カバーテープは、基材と、前記基材の一方の面に設けられた第２の粘着剤層とを含み、前記第２の粘着剤層の粘着面が、前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面側に積層されており、
　前記第１の粘着剤層は、粘着剤と、有機液状成分とを含む
　貼付材。
　前記ポリウレタンフィルムの前記他方の面の少なくとも一部に、印刷層が形成されている請求項１に記載の貼付材。
　前記第１の粘着剤層における前記有機液状成分の含有量が、１０～６０質量％である請求項１または２に記載の貼付材。
　前記有機液状成分が、脂肪酸エステルを含む請求項１～３のいずれか一項に記載の貼付材。
　前記粘着剤が、アクリル系粘着剤を含む請求項１～４のいずれか一項に記載の貼付材。