WO2019194032A1 - ソリッド成形材料用樹脂組成物、及びその製造方法、並びにソリッド成形体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、セルロース繊維のナノ解繊物と熱可塑性樹脂(B)とを含有するソリッド成形材料用樹脂組成物であって、セルロース繊維のナノ解繊物が、少なくとも分子内に下記構造を有する(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)であることを特徴とするソリッド成形材料用樹脂組成物である。
Description
本発明は、ソリッド成形材料用途に好適な熱可塑性樹脂と変性セルロース繊維の複合体であるソリッド成形材料用樹脂組成物、及びその製造方法、並びにソリッド成形体に関する。
従来、樹脂に用いられる補強材料として、炭素繊維やガラス繊維等が広く一般的に使用されている。しかしながら、炭素繊維は燃え難いため、サーマルリサイクルに不向きで、かつ価格が高い。また、ガラス繊維は、比較的安価であるが、サーマルリサイクルにおいては廃棄に問題がある。
一方、植物繊維から得られるミクロフィブリル化セルロースは比較的安価であり、かつサーマルリサイクルに優れている。また、鋼鉄の5分の1の軽さで同等の強度を有することから、繊維補強樹脂用の充填剤として注目されている。
しかしながら、ミクロフィブリル化セルロースは、樹脂や硬化剤との反応性や樹脂中での分散性が低いため、樹脂にミクロフィブリル化セルロースを加えると、ミクロフィブリル化セルロースと樹脂との間の界面で、接着強度が落ちるという問題がある。それにより、ミクロフィブリル化セルロースの補強効果が発現せず、逆に曲げ強度等の機械的強度が低下する原因となる。
このような課題に対して、ミクロフィブリル化セルロースの樹脂中での分散性を改善させる目的で、相溶化剤を用いたり、あるいは、ミクロフィブリル化工程の前後においてセルロース繊維を変性剤等によって変性処理し、セルロース繊維にカルボキシ基等の置換基を導入したりする試みがなされている。
例えば、特許文献1等に記載されているように、セルロース系のミクロフィブリル化植物繊維とポリプロピレン等のポリオレフィンからなる複合材料において、マレイン酸変性ポリプロピレンを相溶化剤、又は界面補強剤として使用することが広く知られている。
また、特許文献2では、変性セルロース繊維として、セルロースの水酸基の一部に多塩基酸無水物を半エステル化してカルボキシ基を導入し、得られたセルロース繊維をミクロフィブリル化させたものを樹脂の補強材料として用いることが記載されている。
上記いずれの方法を用いても、ミクロフィブリル化セルロースの補強効果が発現し成形体の機械的強度は向上するが、一方で、これらの方法においては、熱可塑性樹脂と共に高温で溶融混練した際の樹脂の着色、あるいは樹脂にポリオキシメチレンを用いた場合の分解物に起因する臭気が課題となっていた。
このように、単に相溶化剤としての酸変性ポリオレフィンを樹脂に混合したり、セルロース繊維にカルボキシ基を導入したりして樹脂に対するミクロフィブリル化セルロースの分散性を改善するのみでは、得られた補強用樹脂を成形材料に用いた場合において、成形体として十分な機械的強度を得ることは非常に困難であった。
本発明は、高温で溶融混練しても着色や強度の低下を招かない、耐熱性能及び機械強度に優れた変性セルロースを用いたソリッド成形材料用樹脂組成物及びその製造方法、並びにソリッド成形体を提供することを目的とする。本発明におけるソリッド成形体とは、未発泡の成形体である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、セルロース繊維に多価塩基酸無水物と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物とを反応させた変性セルロース繊維とすることで、変性セルロース繊維の性能が向上することを見出した。これにより、高温での溶融混練時においても分解物の発生が少なく着色が抑制されたソリッド成形材料用樹脂組成物を得ることができる。また、本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物をソリッド成形材料の補強材として用いた場合に着色の程度が低く、高強度、高弾性、臭気の少ないソリッド成形体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すものである。
(1)セルロース繊維のナノ解繊物と熱可塑性樹脂(B)とを含有するソリッド成形材料用樹脂組成物であって、セルロース繊維のナノ解繊物が、少なくとも分子内に下記構造を有する(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)であることを特徴とするソリッド成形材料用樹脂組成物。
(2)熱可塑性樹脂(B)の軟化点または融点のいずれかが190℃以下であり、少なくともポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂のいずれか1つを含むことを特徴とする前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(3)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)が、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)との反応物であることを特徴とする前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(4)カルボキシ基含有変性セルロース(C)が、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)との反応物であることを特徴とする前記(3)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(5)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の質量比が、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=1~55/45~99であることを特徴とする前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(6)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)の酸価が30mgKOH/g未満である前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(7)前記(1)~(6)のいずれか1項に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物を含有するソリッド成形体。
(8)セルロース繊維のナノ解繊物と熱可塑性樹脂(B)とを含有するソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法であって、セルロース繊維のナノ解繊物が、少なくとも分子内に下記構造を有する(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)であり、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)とを反応させて得られ、かつ(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合方法が溶融混練であることを特徴とするソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法。
(9)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)が、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)とを反応させてカルボキシ基含有変性セルロース(C)とした後に、さらに(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)を反応させて得られる変性セルロース繊維であることを特徴とする前記(8)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法。
(1)セルロース繊維のナノ解繊物と熱可塑性樹脂(B)とを含有するソリッド成形材料用樹脂組成物であって、セルロース繊維のナノ解繊物が、少なくとも分子内に下記構造を有する(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)であることを特徴とするソリッド成形材料用樹脂組成物。
(3)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)が、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)との反応物であることを特徴とする前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(4)カルボキシ基含有変性セルロース(C)が、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)との反応物であることを特徴とする前記(3)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(5)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の質量比が、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=1~55/45~99であることを特徴とする前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(6)(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)の酸価が30mgKOH/g未満である前記(1)に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
(7)前記(1)~(6)のいずれか1項に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物を含有するソリッド成形体。
(8)セルロース繊維のナノ解繊物と熱可塑性樹脂(B)とを含有するソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法であって、セルロース繊維のナノ解繊物が、少なくとも分子内に下記構造を有する(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)であり、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)とを反応させて得られ、かつ(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合方法が溶融混練であることを特徴とするソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法。
本発明に記載の(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維を用いたソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法によれば、変性セルロース繊維または用いる樹脂の分解による臭気の発生や着色を抑制することができ、また得られたソリッド成形材料用樹脂組成物をソリッド成形材料の補強材料として用いた場合、着色及び臭気が抑制された高強度、高弾性率のソリッド成形体を得ることができる。
以下、ソリッド成形材料用樹脂組成物及びそれらの製造方法について詳述する。
<変性セルロース繊維(A)>
本発明に用いる変性セルロース繊維(A)は、少なくとも分子内に下記構造を有する変性セルロース繊維であればよく、カルボキシ基含有セルロース繊維と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物とを反応させることで得ることができる。耐熱性及び樹脂との相溶性の観点から、適度にカルボキシ基とグリシジル基が反応していることが好ましい。また、下記構造に示すXは、アルキル、アルケニル、アリール、環状アルキル、環状アルケニルであればよく、疎水性である熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、炭素数4以上のアルキル、アルケニル、アリール、環状アルキル、環状アルケニルであることが好ましい。下記構造に示すYは、(CH2)nであり、nは1以上の整数であればよい。下記構造に示すZはH又はCH3である。
本発明に用いる変性セルロース繊維(A)は、少なくとも分子内に下記構造を有する変性セルロース繊維であればよく、カルボキシ基含有セルロース繊維と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物とを反応させることで得ることができる。耐熱性及び樹脂との相溶性の観点から、適度にカルボキシ基とグリシジル基が反応していることが好ましい。また、下記構造に示すXは、アルキル、アルケニル、アリール、環状アルキル、環状アルケニルであればよく、疎水性である熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、炭素数4以上のアルキル、アルケニル、アリール、環状アルキル、環状アルケニルであることが好ましい。下記構造に示すYは、(CH2)nであり、nは1以上の整数であればよい。下記構造に示すZはH又はCH3である。
カルボキシ基含有セルロース繊維と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物との反応は、反応前後でのセルロース繊維上のカルボキシ基の量について、酸価測定を行うことにより確認することができる。また、変性セルロース繊維(A)の酸価は好ましくは0.1~100、より好ましくは0.1~50、更に好ましくは0.1~30である。セルロース繊維の酸価が高いと、高温高圧での溶融混練時に、変性セルロース繊維に含まれるアセタール結合やエステル結合の分解の恐れがあるため、酸価は低い方が好ましい。
本発明に用いる変性セルロース繊維(A)の酸価は、次の手順で求めた値をいう。
(1)酸価の測定には、原料として用いた変性剤やその加水分解物等の副生成物を洗浄することで除去した変性セルロース繊維を用いる。洗浄に用いる溶媒は、変性セルロース繊維(A)を溶解又は分解せず、かつ原料として用いた変性剤やその加水分解物等の副生成物を溶解させることのできる物を用いる必要がある。例えば、エタノールやイソプロピルアルコールを好適に用いることができる。
(2)変性セルロース繊維(固形で1g)をトルエン/エタノール=1/1混合溶媒50mLに膨潤させ、呈色試薬として0.5%エタノール性フェノールフタレイン指示薬を0.5mL加えて撹拌する。
(3)変性セルロース繊維膨潤液に0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下する。変性セルロース繊維膨潤液が赤色に着色してから30秒間消失しなかった時点を終点とし、以下の式により算出する。
酸価=0.1×56.1×a
a:中和に要した0.1N水酸化カリウムの体積(mL)
(1)酸価の測定には、原料として用いた変性剤やその加水分解物等の副生成物を洗浄することで除去した変性セルロース繊維を用いる。洗浄に用いる溶媒は、変性セルロース繊維(A)を溶解又は分解せず、かつ原料として用いた変性剤やその加水分解物等の副生成物を溶解させることのできる物を用いる必要がある。例えば、エタノールやイソプロピルアルコールを好適に用いることができる。
(2)変性セルロース繊維(固形で1g)をトルエン/エタノール=1/1混合溶媒50mLに膨潤させ、呈色試薬として0.5%エタノール性フェノールフタレイン指示薬を0.5mL加えて撹拌する。
(3)変性セルロース繊維膨潤液に0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下する。変性セルロース繊維膨潤液が赤色に着色してから30秒間消失しなかった時点を終点とし、以下の式により算出する。
酸価=0.1×56.1×a
a:中和に要した0.1N水酸化カリウムの体積(mL)
なお、変性セルロース繊維(A)の酸価を後述するソリッド成形材料用樹脂組成物から算出する場合は、次の手順で求める。
(1)ソリッド成形体を325meshステンレスメッシュで包み、キシレン還流下、140℃で5時間処理を行うことで樹脂を溶解除去し、ソリッド成形体からミクロフィブリル化変性セルロース繊維を抽出する。
(2)得られたミクロフィブリル化変性セルロース繊維(乾燥質量1g)にトルエン/エタノール混合溶媒を加え、分散させる。この際、分散方法は特に限定されないが、高圧ホモジナイザーや超音波装置等を用いることが好ましい。
(3)得られたミクロフィブリル化変性セルロース繊維分散液に呈色試薬としてフェノールフタレインを加えて撹拌し、これに0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下することで酸価を算出した。
(1)ソリッド成形体を325meshステンレスメッシュで包み、キシレン還流下、140℃で5時間処理を行うことで樹脂を溶解除去し、ソリッド成形体からミクロフィブリル化変性セルロース繊維を抽出する。
(2)得られたミクロフィブリル化変性セルロース繊維(乾燥質量1g)にトルエン/エタノール混合溶媒を加え、分散させる。この際、分散方法は特に限定されないが、高圧ホモジナイザーや超音波装置等を用いることが好ましい。
(3)得られたミクロフィブリル化変性セルロース繊維分散液に呈色試薬としてフェノールフタレインを加えて撹拌し、これに0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下することで酸価を算出した。
また、本発明に用いる変性セルロース繊維(A)は、ナノ解繊物(ミクロフィブリル化セルロース)である必要がある。ただし、混合前に必ずしもミクロフィブリル化されたものである必要はなく、混合後の成形材料中で十分にミクロフィブリル化されていれば良い。ミクロフィブリル化セルロースの繊維径は、平均値が通常4~800nm、好ましくは10~550nm、特に好ましくは20~400nmである。
変性セルロース繊維(A)を得るのに使用するセルロース繊維の原料としては、セルロース繊維を含んでいる材料であればよく、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビートなどに含まれる植物由来の繊維(以下、植物繊維と略することがある)やナタデココ等の微生物セルロースが挙げられる。好ましい植物繊維としては木材が挙げられ、例えば、マツ、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシアなどが挙げられ、また、これらを原料として得られる紙、あるいは古紙なども用いることができる。セルロース繊維は、1種単独でも用いてもよく、これらから選ばれた2種以上を用いてもよい。セルロース繊維は、上記植物繊維含有材料から得られるパルプや、マーセル化を施したセルロース繊維が挙げられるが、レーヨンやセロファン、リヨセル等の再生セルロース繊維などを含むものであっても良い。
上記セルロース繊維としては、植物繊維を化学的及び/又は機械的にパルプ化することで得られるケミカルパルプ(未晒クラフトパルプ(UKP)、漂白クラフトパルプ(BKP)、亜硫酸パルプ(SP)、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。これらのパルプの中でも、繊維強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプが特に好ましい。
変性セルロース繊維(A)は、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)の反応物であることが好ましい。
カルボキシ基含有変性セルロース(C)としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、TEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl radical)触媒酸化セルロース等が挙げられる。本発明においては特にその製造方法を限定しないが、熱可塑性樹脂との親和性を担保し、かつ、後の反応で導入される不飽和結合の導入量を比較的調整しやすく、また製造が容易であることから、セルロース繊維の水酸基に炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)を反応して得られたカルボキシ基含有変性セルロース(C)が好ましい。
本発明の効果を阻害しない限りにおいて、変性セルロース繊維(A)の製造に際して、セルロース繊維に対する炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)の添加順は特に限定されない。例えば、セルロース繊維に炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)を反応させた後に(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)を反応させても良いし、同時に添加し反応させても良い。
炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)としては、特に限定されないが、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、アルキル若しくはアルケニルコハク酸無水物などが挙げられる。好ましくは、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物である。また、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリブタジエン(MPB)、無水マレイン酸変性ポリイソプレン(MPI)、α-オレフィンと無水マレイン酸の共重合体の様な、高分子骨格に対し多価塩基酸が複数個導入された様な化合物も好適に用いることができる。
炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)を反応させたセルロース繊維の置換度(セルロースのグルコース単位あたり1つの水酸基が置換された場合、置換度1と表す。以下、DSと略することがある。)は、0.01~2.0が好ましく、0.02~1.0がより好ましく、0.03~0.8がさらに好ましい。DSを0.01~2.0に設定することによって、さらに(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)を反応させる際の反応性を損なわず、効率的に変性セルロース繊維の耐熱性を向上させ、成形体の着色及び臭気を抑え、機械強度を向上させることができる。
なお、本発明におけるDSは、原料として用いた炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)やそれらの加水分解物等の副生成物を洗浄により除去した後、質量増加率から換算して求めたものである。
(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、イタコン酸ジグリシジル、メタクリル酸2-メチルグリシジル等が挙げられる。カルボキシ基含有セルロース(C)のカルボン酸とグリシジル基の反応においては、必ずしも(メタ)アクリル基を有する必要は無いが、耐熱性や物性の向上を目的としソリッド成形体を電子線や過酸化物を用いて架橋させる際、変性セルロース繊維(A)上に(メタ)アクリル基が導入されていることにより、樹脂成分との共架橋が期待できる。
本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)のほかに、(メタ)アクリル基を持たないがグリシジル基は有する化合物(D’)を併用してもよい。その量としては、化合物(D)を導入して残るカルボキシ基を全て消費する程度までであれば用いることができる。化合物(D’)としては、オクチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
化合物(D)や化合物(D’)とカルボキシ基を反応させることで変性セルロース繊維のカルボキシル残基の量を低減すると、成形体を製造する際の熱安定性が向上するため、できる限り変性セルロース繊維のカルボキシル残基は少ない方が好ましい。
<熱可塑性樹脂(B)>
本発明の発泡成形体用組成物に用いられる熱可塑性樹脂(B)は、成形材料用樹脂として通常用いられているものであれば特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体またはその加水分解物などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;熱可塑性ポリウレタンなどのウレタン樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリオキシメチレン樹脂;アイオノマー樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、ならびにオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂である。熱可塑性樹脂(B)の軟化点または融点のいずれかは、190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。また、0℃以上であることが好ましい。
本発明の発泡成形体用組成物に用いられる熱可塑性樹脂(B)は、成形材料用樹脂として通常用いられているものであれば特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体またはその加水分解物などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;熱可塑性ポリウレタンなどのウレタン樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリオキシメチレン樹脂;アイオノマー樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、ならびにオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂である。熱可塑性樹脂(B)の軟化点または融点のいずれかは、190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。また、0℃以上であることが好ましい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、変性セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)以外に、他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、相溶化剤、無機充填剤、顔料、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤などを挙げることができる。
相溶化剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、酸化ポリエチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂やエポキシ基含有樹脂(グリシジルメタクリレート及びエチレンの共重合体等)を挙げることができ、市販の各種相溶化剤を使用してもよい。
本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物は、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=1~55/45~99の質量比であることが好ましい。より好ましくは(A)/(B)=20~50/50~80であり、(A)/(B)=30~50/50~70がさらに好ましい。本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物の質量比は(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)及び熱可塑性樹脂(B)を最初にほぼ均一に分散した状態とした段階のものをいう。変性セルロース繊維(A)及び熱可塑性樹脂(B)以外の他の添加剤は、変性セルロース繊維(A)及び熱可塑性樹脂(B)の合計を100質量%としたときに20質量%以下となることが好ましい。
<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法>
本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物は、一軸又は多軸混練機、ニーダー等を用いて、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合し、樹脂成分中に繊維成分を均一に微細分散することで得られる。混合前の変性セルロース繊維(A)が、予め解繊されていないものを用いる場合でも、この混合工程において繊維成分がナノ解繊されていればよい。また、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合する前に、変性セルロース繊維(A)と粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをあらかじめ混合しておいてもよい。あらかじめ混合しておくことで、混合時に変性セルロース繊維(A)をより容易に熱可塑性樹脂(B)に分散させやすくなる。変性セルロース繊維(A)と粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをあらかじめ混合する際には、乾燥した変性セルロース繊維(A)と、乾燥し粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをミキサー等で混合してもよいし、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)のいずれとも反応しない溶剤中に粉末化した変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を分散させ、この分散液を濾過、乾燥してもよい。そして、本発明の製造方法においては、一軸又は多軸混練機、ニーダー等を用いて混合を行うが、混合における原料の配合順や混合温度、溶融のタイミングは特に限定されない。例えば、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融して混練しても良いし、又は、予め熱可塑性樹脂(B)を溶融しておき、混練時に変性セルロース繊維(A)を混合しても良い。溶融混練における混練温度としては、加工性や変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の分散や劣化を考慮すると、温度が70~240℃であることが好ましい。また、一軸又は多軸混練機のスクリュー回転速度は全工程とも25~400rpmの範囲であることが好ましい。
本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物は、一軸又は多軸混練機、ニーダー等を用いて、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合し、樹脂成分中に繊維成分を均一に微細分散することで得られる。混合前の変性セルロース繊維(A)が、予め解繊されていないものを用いる場合でも、この混合工程において繊維成分がナノ解繊されていればよい。また、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合する前に、変性セルロース繊維(A)と粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをあらかじめ混合しておいてもよい。あらかじめ混合しておくことで、混合時に変性セルロース繊維(A)をより容易に熱可塑性樹脂(B)に分散させやすくなる。変性セルロース繊維(A)と粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをあらかじめ混合する際には、乾燥した変性セルロース繊維(A)と、乾燥し粉末化した熱可塑性樹脂(B)とをミキサー等で混合してもよいし、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)のいずれとも反応しない溶剤中に粉末化した変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)を分散させ、この分散液を濾過、乾燥してもよい。そして、本発明の製造方法においては、一軸又は多軸混練機、ニーダー等を用いて混合を行うが、混合における原料の配合順や混合温度、溶融のタイミングは特に限定されない。例えば、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融して混練しても良いし、又は、予め熱可塑性樹脂(B)を溶融しておき、混練時に変性セルロース繊維(A)を混合しても良い。溶融混練における混練温度としては、加工性や変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)の分散や劣化を考慮すると、温度が70~240℃であることが好ましい。また、一軸又は多軸混練機のスクリュー回転速度は全工程とも25~400rpmの範囲であることが好ましい。
本発明のソリッド成形材料用樹脂組成物は、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)からなる。ソリッド成形材料用樹脂組成物の加工適性(分散性、混練時間短縮、ペレット化など)やソリッド成形体の機械強度を考慮すれば、変性セルロース繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=1~55/45~99からなる質量比にて混合して、ソリッド成形材料用樹脂組成物を製造することが好ましい。本発明の製造方法においては、変性セルロース繊維(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合は、溶融混練が好ましい。
このようにして製造されたソリッド成形材料は、任意の濃度に希釈及び成形することで、弾性と強度に優れたソリッド成形体を得ることができる。例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の内装材及び外装材;照明器具筐体、パソコン及びテレビ等の家電筐体及び筐体の補強材、内部部品等;携帯電話や電子ペーパー端末、パソコン端末、映像再生機器等の電子機器の筐体、構造材、内部部品等;建材部品;文具等の事務機器等;容器やコンテナー;玩具及び雑貨部品;スポーツ及び健康部品や、各種シート、単層フィルム及び多層フィルム;緩衝材料;包装材料等のソリッド成形体として使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
<物性値測定法>
これらの実施例の一部で用いられた物性値測定法は、以下のとおりである。
これらの実施例の一部で用いられた物性値測定法は、以下のとおりである。
<1>カルボキシ基含有変性セルロース(C)の水酸基置換度(DS)の算出
カルボキシ基含有変性セルロース(C)の置換度DSの算出は、反応物を洗浄することにより原料として用いた変性剤や、それらの加水分解物等の副生成物を除去した後、反応前後の質量増加率により求めたものであり、以下の式より算出した。
DS=(b/c)/(d/e)
b:(カルボキシ基含有変性セルロース(C)の乾燥質量)-(セルロース繊維の乾燥質量)
c:多価塩基酸無水物(E)の分子量
d:セルロース繊維の乾燥質量
e:セルロースを構成するグルコースユニットの分子量(分子量162)
カルボキシ基含有変性セルロース(C)の置換度DSの算出は、反応物を洗浄することにより原料として用いた変性剤や、それらの加水分解物等の副生成物を除去した後、反応前後の質量増加率により求めたものであり、以下の式より算出した。
DS=(b/c)/(d/e)
b:(カルボキシ基含有変性セルロース(C)の乾燥質量)-(セルロース繊維の乾燥質量)
c:多価塩基酸無水物(E)の分子量
d:セルロース繊維の乾燥質量
e:セルロースを構成するグルコースユニットの分子量(分子量162)
<2>変性セルロース繊維の酸価の算出
酸価の測定には、原料として用いた変性剤やそれらの加水分解物等の副生成物を洗浄することで除去した変性セルロース繊維を用いた。変性セルロース繊維(乾燥質量1g)をトルエン/エタノール混合溶媒に膨潤させ、呈色試薬としてフェノールフタレインを加えて撹拌して変性セルロース繊維膨潤液とし、これに0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下した。変性セルロース繊維膨潤液が赤色に着色してから30秒間消失しなかった時点を終点とし、以下の式により算出した。
酸価=0.1×56.1×a
a:中和に要した0.1N水酸化カリウムの体積(mL)
酸価の測定には、原料として用いた変性剤やそれらの加水分解物等の副生成物を洗浄することで除去した変性セルロース繊維を用いた。変性セルロース繊維(乾燥質量1g)をトルエン/エタノール混合溶媒に膨潤させ、呈色試薬としてフェノールフタレインを加えて撹拌して変性セルロース繊維膨潤液とし、これに0.1N水酸化カリウム-エタノール溶液を滴下した。変性セルロース繊維膨潤液が赤色に着色してから30秒間消失しなかった時点を終点とし、以下の式により算出した。
酸価=0.1×56.1×a
a:中和に要した0.1N水酸化カリウムの体積(mL)
<3>ソリッド成形材料用樹脂組成物中の変性セルロース繊維の数平均繊維径の算出
ソリッド成形材料用樹脂組成物を325meshステンレスメッシュで包み、キシレン還流下、140℃で5時間処理を行うことで樹脂を溶解除去し、ミクロフィブリル化変性セルロース繊維をソリッド成形材料用樹脂組成物から抽出し、これを電子顕微鏡で観察し、繊維の幅を計測することでミクロフィブリル化変性セルロース繊維の数平均繊維径を算出した。
ソリッド成形材料用樹脂組成物を325meshステンレスメッシュで包み、キシレン還流下、140℃で5時間処理を行うことで樹脂を溶解除去し、ミクロフィブリル化変性セルロース繊維をソリッド成形材料用樹脂組成物から抽出し、これを電子顕微鏡で観察し、繊維の幅を計測することでミクロフィブリル化変性セルロース繊維の数平均繊維径を算出した。
<4>機械強度の測定
上記<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法>で得られたソリッド成形材料用樹脂組成物を任意の濃度に希釈及び成形し、オリエンテック(株)製引張試験機「テンシロンRTM-50」を用いてソリッド成形体の強度測定を行った。
上記<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法>で得られたソリッド成形材料用樹脂組成物を任意の濃度に希釈及び成形し、オリエンテック(株)製引張試験機「テンシロンRTM-50」を用いてソリッド成形体の強度測定を行った。
<変性セルロース繊維の製造>
[カルボキシ基含有変性セルロース(C-1)の製造例]
容器へ水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)500質量部(固形分100質量部)とN-メチルピロリドン(以下、NMPと略することがある)150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物19.9質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-1)を得た。DSは0.11、酸価は29であった。図1にFT-IR分析によって得られたカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)のスペクトルを示す。
[カルボキシ基含有変性セルロース(C-1)の製造例]
容器へ水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)500質量部(固形分100質量部)とN-メチルピロリドン(以下、NMPと略することがある)150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物19.9質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-1)を得た。DSは0.11、酸価は29であった。図1にFT-IR分析によって得られたカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)のスペクトルを示す。
[カルボキシ基含有変性セルロース(C-2)の製造例]
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物59.7質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-2)を得た。DSは0.29、酸価は65であった。
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物59.7質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-2)を得た。DSは0.29、酸価は65であった。
[カルボキシ基含有変性セルロース(C-3)の製造例]
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、α-オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(ダイヤカルナ(登録商標:三菱ケミカル株式会社)30M)を19.9質量部投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-3)を得た。DSは0.04、酸価は8であった。
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、α-オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(ダイヤカルナ(登録商標:三菱ケミカル株式会社)30M)を19.9質量部投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-3)を得た。DSは0.04、酸価は8であった。
[カルボキシ基含有変性セルロース(C-4)の製造例]
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、コハク酸無水物を6.2質量部投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-4)を得た。DSは0.10、酸価は32であった。
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、コハク酸無水物を6.2質量部投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、カルボキシ基含有変性セルロース(C-4)を得た。DSは0.10、酸価は32であった。
[変性セルロース繊維(A-1)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート4.4質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、不飽和結合を有する変性セルロース繊維(A-1)を得た。酸価は11であった。図1にFT-IRによって得られた変性セルロース繊維(A-1)のスペクトルを示す。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート4.4質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、不飽和結合を有する変性セルロース繊維(A-1)を得た。酸価は11であった。図1にFT-IRによって得られた変性セルロース繊維(A-1)のスペクトルを示す。
[変性セルロース繊維(A-2)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート7.3質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-2)を得た。酸価は2であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート7.3質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-2)を得た。酸価は2であった。
[変性セルロース繊維(A-3)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-2)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート9.9質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、不飽和結合を有する変性セルロース繊維(A-3)を得た。酸価は24であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-2)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート9.9質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、不飽和結合を有する変性セルロース繊維(A-3)を得た。酸価は24であった。
[不飽和結合を有する変性セルロース繊維(A-4)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース繊維(C-3)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート1.3質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-4)を得た。酸価は3であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース繊維(C-3)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート1.3質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-4)を得た。酸価は3であった。
[変性セルロース繊維(A-5)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート4.4質量部とブチルグリシジルエーテル2.7質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-5)を得た。酸価は1であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-1)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、グリシジルメタクリレート4.4質量部とブチルグリシジルエーテル2.7質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-5)を得た。酸価は1であった。
[変性セルロース繊維(A-6)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-4)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、とグリシジルメタクリレート3.5質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-6)を得た。酸価は13であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-4)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、とグリシジルメタクリレート3.5質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-6)を得た。酸価は13であった。
[変性セルロース繊維(A-7)の製造例]
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-2)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、とグリシジルメタクリレート6.6質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-7)を得た。酸価は36であった。
容器へカルボキシ基含有変性セルロース(C-2)100質量部(固形)とNMP150質量部を仕込み、とグリシジルメタクリレート6.6質量部を投入し、130℃で3時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-7)を得た。酸価は36であった。
[変性セルロース繊維(A-8)の製造例]
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物19.9質量部及びグリシジルメタクリレート3.8質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-8)を得た。酸価は4であった。
容器へ水を含んだ、NBKP500質量部(固形分100質量部)とNMP150質量部を仕込み、減圧脱水により水分を留去し、ヘキサデセニルコハク酸無水物19.9質量部及びグリシジルメタクリレート3.8質量部を投入し、80℃で4時間反応した。反応後減圧留去によりNMPを留去し、変性セルロース繊維(A-8)を得た。酸価は4であった。
[オリゴエステル化セルロース繊維(A-9)の製造例]
密閉式加圧型ニーダー中において、乾燥セルロース繊維50gと無水マレイン酸2.3gを50rpmで撹拌しながら120℃で20分加熱して反応させた後、得られた反応生成物にアリルグリシジルエーテル3.2gを添加し、再度50rpmで撹拌しながら90℃で20分加熱することにより、オリゴエステル化セルロース繊維(A-9)を得た。酸価は5であった。
密閉式加圧型ニーダー中において、乾燥セルロース繊維50gと無水マレイン酸2.3gを50rpmで撹拌しながら120℃で20分加熱して反応させた後、得られた反応生成物にアリルグリシジルエーテル3.2gを添加し、再度50rpmで撹拌しながら90℃で20分加熱することにより、オリゴエステル化セルロース繊維(A-9)を得た。酸価は5であった。
<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造1>
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)の製造例]
変性セルロース繊維(C-1)40質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下の直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製:ウルトゼックス(登録商標)4020L、軟化点115℃、融点126℃、以下、ウルトゼックス4020Lと略することがある)60質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて140℃で混練し、得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)を得た。なお、数平均繊維径は220ナノメートルであった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)の製造例]
変性セルロース繊維(C-1)40質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下の直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製:ウルトゼックス(登録商標)4020L、軟化点115℃、融点126℃、以下、ウルトゼックス4020Lと略することがある)60質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて140℃で混練し、得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)を得た。なお、数平均繊維径は220ナノメートルであった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-2~10)の製造例]
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を表3に示すとおりに変更した以外は、(R-1)と同様に製造した。なお、それぞれの樹脂組成物(R-2~10)の数平均繊維径は下表の通りである。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を表3に示すとおりに変更した以外は、(R-1)と同様に製造した。なお、それぞれの樹脂組成物(R-2~10)の数平均繊維径は下表の通りである。
<ソリッド成形体の製造及び評価>
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1~4、6、9、10、11、12)を、射出成形機を用いてJIS規格K7162に記載のダンベル型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7162に準拠して、引張物性を測定した。この測定値から、樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表4に示す。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1~4、6、9、10、11、12)を、射出成形機を用いてJIS規格K7162に記載のダンベル型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7162に準拠して、引張物性を測定した。この測定値から、樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表4に示す。
<ソリッド成形体の製造及び評価>
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1、4~11)を、二本ロール(安田精機製)にてウルトゼックス4020Lを用いて変性セルロースは10質量%、熱可塑性樹脂は90質量%となるよう4倍希釈し1mm厚とした後、160℃でプレス成形してソリッド成形体とし、引張物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表5に示す。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(R-1、4~11)を、二本ロール(安田精機製)にてウルトゼックス4020Lを用いて変性セルロースは10質量%、熱可塑性樹脂は90質量%となるよう4倍希釈し1mm厚とした後、160℃でプレス成形してソリッド成形体とし、引張物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表5に示す。
<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造2>
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)の製造例](比較例6)
変性セルロース繊維(C-1)50質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリプロピレン(プライムポリマー社製:プライムポリプロ(登録商標)J108M(融点170℃))50質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて170℃で混練し、得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)を得た。なお、数平均繊維径は200ナノメートルであった。また、プレス温度190℃で1mm厚に熱プレスし、放温後、分光測色計(コニカミノルタ社製:CM-700d)を用いてプレスフィルムの明度(L*)を測定した結果、40であった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)の製造例](比較例6)
変性セルロース繊維(C-1)50質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリプロピレン(プライムポリマー社製:プライムポリプロ(登録商標)J108M(融点170℃))50質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて170℃で混練し、得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)を得た。なお、数平均繊維径は200ナノメートルであった。また、プレス温度190℃で1mm厚に熱プレスし、放温後、分光測色計(コニカミノルタ社製:CM-700d)を用いてプレスフィルムの明度(L*)を測定した結果、40であった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(S-2)の製造例](実施例14)
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を変性セルロース繊維(A-1)に変更した以外は、(S-1)と同様に製造した。数平均繊維径は170ナノメートルであった。また、プレスフィルムの明度(L*)は60であった。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(S-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を変性セルロース繊維(A-1)に変更した以外は、(S-1)と同様に製造した。数平均繊維径は170ナノメートルであった。また、プレスフィルムの明度(L*)は60であった。
<ソリッド成形体の製造及び評価>(参考例3)
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(S1~2)を、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリプロピレン(プライムポリマー社製:プライムポリプロ(登録商標)J108M(融点170℃))と質量比50/50で変性セルロースが25質量%、熱可塑性樹脂が75質量%となるよう混合し、射出成形機を用いてJIS規格K7171に記載のバー型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7171に準拠して、曲げ物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表6に示す。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(S1~2)を、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリプロピレン(プライムポリマー社製:プライムポリプロ(登録商標)J108M(融点170℃))と質量比50/50で変性セルロースが25質量%、熱可塑性樹脂が75質量%となるよう混合し、射出成形機を用いてJIS規格K7171に記載のバー型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7171に準拠して、曲げ物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表6に示す。
<ソリッド成形材料用樹脂組成物の製造3>
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-1)の製造例](比較例7)
変性セルロース繊維(C-1)20質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリオキシメチレン(三菱エンジニアリングプラスチック社製:ユピタールF30-03、融点165℃)80質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて180℃で混練したが、変性セルロース繊維(C-1)の残存カルボキシ基によりポリオキシメチレンが分解し、製造が困難であった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-1)の製造例](比較例7)
変性セルロース繊維(C-1)20質量部、軟化点または融点のいずれかが190℃以下のポリオキシメチレン(三菱エンジニアリングプラスチック社製:ユピタールF30-03、融点165℃)80質量部の混合物を(株)テクノベル製の二軸混練機(KZW、スクリュー径:15mm、L/D:45、スクリュー回転数:300rpm、処理速度200g/時)にて180℃で混練したが、変性セルロース繊維(C-1)の残存カルボキシ基によりポリオキシメチレンが分解し、製造が困難であった。
[ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-2)の製造例](実施例15)
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を変性セルロース繊維(A-2)に変更した以外は、(T-1)と同様に製造した。なお、変性セルロース繊維(A-2)を使用した場合には、ポリオキシメチレンの分解は生じず、安全に製造可能であった。得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(T-2)を得た。なお、数平均繊維径は150ナノメートルであった。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-1)の製造に供した変性セルロース繊維(C-1)を変性セルロース繊維(A-2)に変更した以外は、(T-1)と同様に製造した。なお、変性セルロース繊維(A-2)を使用した場合には、ポリオキシメチレンの分解は生じず、安全に製造可能であった。得られた溶融混練物をペレタイザー(井本製作所製)を用いてペレット化し、含有する変性セルロース繊維がナノ解繊されたソリッド成形材料用樹脂組成物(T-2)を得た。なお、数平均繊維径は150ナノメートルであった。
<ソリッド成形体の製造及び評価>(参考例4)
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-2)を、ユピタールF30-03と質量比50/50で変性セルロースが10質量%、熱可塑性樹脂が90質量%になるよう混合し、射出成形機を用いてJIS規格K7171に記載のバー型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7171に準拠して、曲げ物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表7に示す。
上記ソリッド成形材料用樹脂組成物(T-2)を、ユピタールF30-03と質量比50/50で変性セルロースが10質量%、熱可塑性樹脂が90質量%になるよう混合し、射出成形機を用いてJIS規格K7171に記載のバー型試験片を成形してソリッド成型体とし、JISK7171に準拠して、曲げ物性を測定した。樹脂単独での測定値を100とした場合の相対値を算出した結果を表7に示す。
図1より、カルボキシ基含有変性セルロース(C-1)に対しグリシジルメタクリレートを反応させることにより、エステル基由来の吸収(1720cm-1)が増加しており、ヒドロキシ基由来の吸収(3300cm-1)が増加すると共にアルキル基由来の吸収(2900cm-1)が相対的に減少している。また、反応後、酸価も減少していることから、カルボキシ基がエステル基へと変換され、同時にヒドロキシ基が生じたことが分かる。さらには、原料として用いたNBKPに対し、同様の条件下でグリシジルメタクリレートを添加したが、洗浄後のFT-IRスペクトルからはエステル基由来の吸収は観測されなかった。したがって、カルボキシ基含有セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)の反応において、カルボキシ基によるグリシジル基の開環反応が起こったことは明らかである。
表4より、本願発明のソリッド成形体を用いた実施例1~5は、そうでない比較例1~4に比べて、得られるソリッド成形体の機械強度が向上することが分かる。表5は表4の変性セルロース量を変更したものであるが表4と同様の結果であることが分かる。また、表5における実施例6~10と実施例11との比較から、カルボキシ基含有変性セルロース(C)がセルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)との反応物であることが機械強度の点でより好ましいことが分かる。さらに、実施例2、7と実施例4、12との比較から、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)の酸価は30mgKOH/g未満であることが機械強度の点でより好ましいことが分かる。加えて、実施例6~10と実施例13との比較から、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)の製造においては、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)とを反応させてカルボキシ基含有変性セルロース(C)とした後に(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)を反応させた方が機械強度の点でより好ましいことが分かる。
実施例の表6より、本願発明を満足する変性セルロース繊維(A)を用いた実施例14は、カルボキシ基含有変性セルロースを用いた比較例6と比べて、カルボキシ基が(メタ)アクリル基を有する化合物と反応していることにより、得られるソリッド成形体の機械強度が向上するだけでなく、セルロース繊維自体の耐熱性が向上し、ソリッド成形体の色目も向上していることが分かる。
実施例の表7より、本願発明を満足し酸価の低い変性セルロース繊維(A)を用いた実施例15は、カルボキシ基含有変性セルロースを用いた比較例7と比べて、カルボキシ基が(メタ)アクリル基を有する化合物と反応していることにより、混練時の高温高圧下においても樹脂劣化を引き起こさない。これにより、得られるソリッド成形体の機械強度が向上するだけでなく、安全に混練、成形できることが分かる。
Claims (9)
- 前記熱可塑性樹脂(B)の軟化点または融点のいずれかが190℃以下であり、前記熱可塑性樹脂(B)が、少なくともポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂のいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)が、カルボキシ基含有変性セルロース(C)と(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)との反応物であることを特徴とする請求項1に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
- 前記カルボキシ基含有変性セルロース(C)が、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)との反応物であることを特徴とする請求項3に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)と前記熱可塑性樹脂(B)の質量比が、(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)/熱可塑性樹脂(B)=1~55/45~99であることを特徴とする請求項1に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)の酸価が30mgKOH/g未満である請求項1に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物を含有するソリッド成形体。
- 前記(メタ)アクリル基含有変性セルロース繊維(A)が、セルロースと炭素数8以上の多価塩基酸無水物(E)とを反応させて前記カルボキシ基含有変性セルロース(C)とした後に、さらに前記(メタ)アクリル基及びグリシジル基を有する化合物(D)を反応させて得られる変性セルロース繊維であることを特徴とする請求項8に記載のソリッド成形材料用樹脂組成物の製造方法。
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