JPH0680832A - ポリオレフィン組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン組成物およびその製造方法

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JPH0680832A
JPH0680832A JP26324492A JP26324492A JPH0680832A JP H0680832 A JPH0680832 A JP H0680832A JP 26324492 A JP26324492 A JP 26324492A JP 26324492 A JP26324492 A JP 26324492A JP H0680832 A JPH0680832 A JP H0680832A
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Japan
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polyolefin
lignocellulosic
composition
anhydride
kneading
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JP26324492A
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Nobuo Shiraishi
信夫 白石
Mariko Yoshioka
まり子 吉岡
Ryuji Higashida
竜司 東田
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Rengo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】リグノセルロース系またはセルロース系材料を
用いて、加工性及び熱流動性を有し、且つ優れた機械的
強度を有する成形品を製造しうる新しいポリオレフィン
組成物を開発すること。 【構成】ポリオレフィンに、オリゴエステル化されたリ
グノセルロース系またはセルロース系物質を含有させる
こと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形時の熱可塑性が改
善され、場合により機械的物性等も改善されたポリオレ
フィン−リグノセルロース系成形用組成物、更に詳しく
は(A)多塩基酸無水物およびモノエポキシ化合物との
エステル化及び付加反応(以下付加エステル化反応とい
う)によりオリゴエステル化された木粉あるいは木質繊
維等オリゴエステル化リグノセルロースまたはセルロー
スと、(B)ポリプロピレン等ポリオレフィンおよび
(C)変性ポリプロピレンなど変性ポリオレフィンから
成る成形時の熱可塑性が改善され、場合により機械的物
性等も改善されたポリオレフィン−リグノセルロース系
成形用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】木粉または木質パルプ等リグノセルロー
スをメラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の
充填剤に使用し、これら熱硬化性樹脂の外観や弾性を改
善することは、既に工業的に確立されている技術であ
る。
【0003】しかしながら熱可塑性樹脂に化学的に無処
理の木粉または木質パルプ等リグノセルロース又はセル
ロースを、充填剤または増量剤として使用した場合は、
熱可塑性樹脂が本来有する機械的強度を著しく低下させ
るため、経済的には有利なことが予測されながら、実際
には工業的に実施されていない。
【0004】そこで、熱可塑性樹脂に化学的に無処理の
木粉、木質パルプ等リグノセルロースを充填剤として使
用するとき、同時に一定量の無水マレイン酸変性など変
性ポリオレフィンを共存させるという技術が検討され、
それによりリグノセルロース系充填剤と該各熱可塑性樹
脂との界面強度が改善され、補強効果が向上されること
が知られ、この技術は一部工業的にも実施されるように
なってきつつある。しかし、この種の複合材料系では、
リグノセルロース充填剤の混合により、成形加工時の熱
流動性が著しく低下するという問題があり、成形加工に
悪い影響を与えるという問題点があり、特に発泡成形を
困難にしている。
【0005】一方エステル化またはエーテル化等の化学
処理を行った木粉または木質パルプ等のリグノセルロー
ス材料を、各種の高分子材料の充填剤として用いる試み
が開発され、特開昭57−103804号公報や特開昭
56−135552号公報等に記載されている。しか
し、エステル化またはエーテル化等の化学処理(湿式洗
浄も含む)を行うことは木質材料等リグノセルロースの
使用目的の一つである経済性を著しく損ない、その利用
分野を極めて狭くするという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
方法の問題点を改良し、木粉、木質パルプ、種子毛繊
維、古紙解繊パルプ、コーヒー抽出残廃物等のセルロー
ス系またはリグノセルロース系材料を経済的に低廉な化
学処理を、望ましくは混練時に行いながら、熱可塑性樹
脂に、変性ポリオレフィン共存下で混練し、加工性を損
なわない熱流動性を有し、機械的強度など物性も低下す
ることなく、場合によっては逆に向上した物性を有する
新規なポリオレフィン−リグノセルロース系あるいはセ
ルロース系成形用組成物を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、混練機を用いる練り
込み時にあるいは練り込み反応で、木粉、木質パルプ等
リグノセルロース系あるいはセルロース系材料に、無水
マレイン酸など多塩基酸無水物およびモノエポキシド化
合物をエステル化および付加反応させ、オリゴエステル
鎖を側鎖として導入させた上で、望ましくは連続的に熱
可塑性ポリオレフィンおよび無水マレイン酸変性など変
性ポリオレフィンと混練することにより、成形時の熱流
動性が十分高く、同時にオリゴエステル化リグノセルロ
ースあるいはオリゴエステル化セルロース系充填剤と該
各樹脂との界面接合性が改善された成形用複合材料を経
済性を著しく損なわずに調製しうることを見出し、本発
明に到達した。
【0008】
【発明の構成並びに作用】即ち、本発明は(A)多塩基
酸無水物およびモノエポキシ化合物との付加エステル化
反応により、オリゴエステル化されたリグノセルロース
あるいはオリゴエステル化されたセルロースと、
【0009】(B)ポリオレフィン及び変性ポリオレフ
ィンを
【0010】(C)望ましくは、混練機を用いる連続法
で混練すること
【0011】により、熱流動性が十分あり、各種の成形
加工を容易にし、可能にすると共に、混練各成分間の界
面の接着性が十分あって、機械的強度など物性にも優れ
た組成物が得られることに基づくものである。
【0012】本発明の成形用樹脂組成物に用いられるリ
グノセルロース系またはセルロース系材料としては、例
えば木粉、木質パルプ、木綿等の種子毛繊維、古紙解繊
物、デスソルビングパルプ、ケミカルパルプ等が挙げら
れ、好ましくはサーモメカニカルパルプ、リファイナー
グランドパルプ、砕木パルプ等の木質パルプが使用され
る。
【0013】また、本発明に用いられる多塩基酸無水物
としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハ
ク酸、無水アジピン酸、無水グルタコン酸、無水グルタ
ル酸、無水ジグリコール酸、無水シトラコン酸、無水ジ
フェン酸、無水ニトロフタル酸、無水フタル酸、無水フ
タロン酸等が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸、無
水コハク酸、無水イタコン酸、無水アジピン酸が使用さ
れる。
【0014】また、モノエポキシ化合物としてはアリル
グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ス
チレンオキシドブチルグリシジルエーテル、アルキルフ
ェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエー
テル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリ
シジルエーテル、グリシジルメタクリレート等エポキシ
アクレリレート、ブチルグリシジルエーテルアクリレー
ト等が挙げられるが、アリルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、グリシジ
ルメタクリレートが好ましいものである。
【0015】本発明の組成物は未変性のポリオレフィン
と変性ポリオレフィンとを予め個々に用意した上で混合
する場合、あるいは前記のオリゴエステル化リグノセル
ロース乃至オリゴエステル化セルロースとの混練過程で
一部のポリオレフィンを変性する場合とを含むが、それ
らの際用いられるポリオレフィンは、エチレン、プロピ
レン等の重合によって得られ、例えばアイソタクチック
構造を主成分としたポリプロピレン、低密度(密度0.
91〜0.93)ポリエチレン、高密度(密度0.94〜
0.96)ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合
体等が挙げられる。
【0016】本発明の組成物は多くの場合、それら変
性、未変性ポリオレフィン中に25〜70重量部のリグ
ノセルロース乃至セルロース区分を含むものであり、こ
のような多数の植物由来成分を含んでいても組成物を均
一なものとし、成形時のフロー特性を向上させるために
は、未変性ポリオレフィンのメルトインデックスに対す
る配慮を行うことが望ましい。メルトインデックスの値
の低いポリオレフィンの使用により、射出成形のフロー
特性は悪くなり、発泡を試みても発泡倍率を高くするこ
とは極めて困難になる場合がある。もともとリグノセル
ロース系乃至セルロース系充填剤と未変性、変性ポリオ
レフィンとの配合、混練により得られる組成物で、この
ような熱流動性および加工性が悪いという問題点が大き
く存在しており、本発明のリグノセルロース乃至セルロ
ースをオリゴエステル化した上で、あるいはオリゴエス
テル化を継続しながら未変性及び変性ポリオレフィンと
複合化するという手法は、それらの改善策として提案さ
れたもので、用い得るメルトインデックスの下限はそれ
に応じてかなり低くなっている。これらの未変性ポリオ
レフィンは数多く市販されており、そのいずれも使用す
ることが出来る。尚、オレフィンをしかるべき量の非オ
レフィン系コモノマーと共重合することにより、得られ
た共重合体も未変性ポリオレフィンとして使用すること
が出来る。この際の非オレフィン系モノマーとしては、
例えば酢酸ビニル、塩化ビニル及びスチレンを例示出来
る。これらの未変性ポリオレフィンのうちポリプロピレ
ンを用いるのが特に好ましい。
【0017】また、変性ポリオレフィンとは、ポリプロ
ピレンの場合はメチル基の水素の一部、ポリエチレンの
場合はエチレン水素の一部を、例えば(無水)マレイン
酸、(無水)イタコン酸、マレイン酸ジメチル、マレイ
ン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、テトラハイ
ドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシ
エチルメタクリレート等の変性剤で置換して得られるも
のである。この置換反応自体は、ラジカル重合開始剤存
在下で変性剤とポリオレフィンを加熱溶融混練すること
で前者を後者に導入置換し得るものであり、このことは
よく知られている。ラジカル重合開始剤としては公知の
化合物が用いられ、具体的にはジクミルパーオキサイ
ド、ターシャリーブチルパーオシキベンゾエート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオ
キシ)ヘキサン、ジターシャリーブチルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチ
ルパーオキシ)ヘキセン−3等が挙げられ、場合によっ
てはベンゾイルパーオキシド等中温開裂型開始剤も用い
られる。尚、上の(無水)マレイン酸とは無水マレイン
酸とマレイン酸の両者を、(無水)イタコン酸とは無水
イタコン酸とイタコン酸の両者を意味する。
【0018】この変性ポリオレフィンは、ポリオレフィ
ン−リグノセルロース乃至セルロース系組成物におい
て、未変性ポリオレフィンとリグノセルロース乃至セル
ロース系充填剤との界面に局在して、相溶化剤として働
き、これらの界面接着性を改善すると共に、溶融分散状
態を改良する機能を持っている。即ち、その変性基がリ
グノセルロース乃至セルロース充填剤中の水酸基とエス
テル結合によってグラフト結合[(無水)マレイン酸ま
たは(無水)イタコン酸変性の場合]、または付加反応
(エーテル化反応)によるグラフト結合(グリシジルメ
タクリレートの場合)または水素結合(ヒドロキシエチ
ルメタクリレートの場合)を形成するので変性ポリオレ
フィンの添加量乃至存在量が少量であっても、得られた
成形物の物性は著しく向上する。
【0019】但し、前述のエステル化反応等のような化
学結合によるグラフトと単なる水素結合とでは、前者の
方が後者より起こりやすく、しかもポリオレフィン成分
とリグノセルロース系乃至セルロース系充填剤間の結合
性が強固となる。従って、本発明の組成物で用いられる
変性剤としては(無水)マレイン酸または(無水)イタ
コン酸が特に好ましい。
【0020】尚、上述の変性剤の作用に関しては、リグ
ノセルロース乃至セルロース充填剤中の水酸基とのエス
テル化反応乃至相互作用が関与するものであるが、その
水酸基としてはこれらのエステル化乃至水素結合に先だ
って行われつつあるオリゴエステル化を未だ受けていな
い、充填剤が本来持っている水酸基と導入されたオリゴ
エステル側鎖上の水酸基とがある。
【0021】また、3次元硬化組成物の製造を目的とす
る場合に加え、可塑剤および架橋剤として働くことにな
るジエポキシ化合物およびポリエポキシ化合物として
は、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコ
ール、グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグ
リシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリプロピレングリコールグリシジルエ
ーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
脂肪族ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグ
リシジルエーテルアクリレート、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステルアクリレート、フタル酸ジグリシジルエス
テル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグ
リシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリン
ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリ
シジルエーテルポリアクリレート等を挙げることが出来
る。
【0022】次に、本発明の樹脂組成物を構成する各成
分の使用割合は特に限定されるものでないが、最終的に
得られる成形物の強度特性、発泡特性、成形性に関連す
る熱流動特性等、それぞれの場合に応じて要求される特
性を考慮して定めることが望ましい。例えば、リグノセ
ルロース系あるいはセルロース系充填剤の組成物中の含
有量が70重量%を超えると、得られた組成物の機械的
強度が低下するため、70重量%未満にすることが望ま
しく、また、二塩基酸無水物およびモノエポキシ化合物
の使用量についても特に制限はないが、その合計量で通
常組成物中に3〜60重量%、好ましくは5〜30重量
%の範囲で使用するのが物性的に好ましい組成物が得ら
れる。他方ポリオレフィン、および変性ポリオレフィン
の使用量についても特に制限がないが、通常組成物中
に、前者で5〜90重量%、好ましくは10〜80重量
%の範囲で使用するのが物理的に好ましい組成物が得ら
れる。変性ポリオレフィンについては、練り込み反応の
過程、即ち、組成物成分を加熱下でポリオレフィンなど
溶融可能成分を溶融させ、リグノセルロース系乃至セル
ロース系充填剤を変性させながら混練する過程の適切な
時点で、ラジカル重合開始剤を加え、必要に応じて無水
マレイン酸など変性剤も加えて、存在するポリオレフィ
ンの一部を変性させることによっても、混練系の中に出
現させ得る。変性剤を追加的に加える場合、その使用量
はポリオレフィン100重量部にたいして0.01〜2
0重量部の範囲で使用され、好ましくは0.01〜5重
量部の範囲で選ばれる。また、ポリオレフィンの変性反
応に使用されるラジカル発生剤の使用量は、通常ポリオ
レフィン100重量部に対して0.01〜5重量部、好
ましくは0.01〜3重量部が使用される。
【0023】本発明の樹脂組成物を製造するに際し、各
成分の配合方法には特に制限がなく、通常各成分をニー
ダー、バンバリーミキサー、押出機、高速回転ミキサー
等で溶融、混練する等の方法で行われるが、特に押出機
で行うのが好ましい方法である。
【0024】また本発明の樹脂組成物には所望により、
難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、
滑剤等の各種添加剤、顔染料その他の成分を適宜配合す
ることが出来る。
【0025】
【実施例】以下に製造例たる参考例、および実施例を挙
げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施様
態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
【参考例(変性ポリプロピレンの製造例)】宇部興産
(株)製のポリプロピレン(以下PPという)「J−1
09G」100重量部に、無水マレイン酸粉末0.2重
量部およびジクミルパーオキサイド0.1重量部を加
え、冷却水を通したヘンシェルミキサー中にて10分間
撹拌し、これを二軸押出機(L/D=28,スクリュー
径30mm、ベント付)へ供給、混練反応させてペレッ
ト状の変性ポリプロピレン樹脂を得た(押出機温度19
5℃、押出機内滞留時間50秒)。
【0027】
【比較例1〜5】乾式解繊されたニュージーランド産ラ
ジアータパインのサーモメカニカルパルプ(TMPと略
す)を真空乾燥したものと、表1の比較例1〜5で示す
各種の成分をニーダー(東洋精機(株)製ラボプラスト
ミル)中にて加熱混練した。条件は以下の通り、温度1
80〜200℃、すべてを同一のビーカーに入れ軽くか
きまぜ、回転数10rpmにて5分間をかけて全量を投
入、引き続き50rpmにて10分間混練。
【0028】いずれの場合もTMPと樹脂成分[PP
(宇部興産(株)製J−109G)および変性PP[無
水マレイン酸変性PP(MPP)]および変性剤[無水
マレイン酸(MA),更には重合開始剤[ベンゾイルパ
ーオキシド(BPO)]の合計重量は24g、またいず
れの場合も酸化防止剤(AO)3種(イルガノックス1
010、アンチオックスS、BHT)を各0.024g
添加した。
【0029】これらの混練物の200℃における溶融粘
度を、(株)島津製作所製フロテスターを用いて測定し
た。測定結果を表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】これらの混練物を東洋精機製10トン試験
用ホットプレスを用いて熱圧成形し、厚み約0.4mm
のシートを作成、このシートより短冊型試験片を切り出
し、引張試験((株)島津製作所製オートグラフDCS
−R−500型、以下引張強度=δT、引張破壊伸び=
ε、引張弾性率=Eと記す)を実施した。測定結果を表
2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
【実施例1〜6】TMPを真空乾燥したものを、まず表
1に示す量比で、MAおよびモノエポキシ化合物である
フェニルグリシジルエーテル(PGE)と共に秤りと
り、乳鉢中でかきまぜた後、比較例1〜5と同様にニー
ダー中にて加熱混練し、オリゴエステル化TMPを得た
(温度120℃、回転数30rpmにて5分間、更に引
き続き90rpmで20分間混練)。
【0034】次いで180℃に調温したラボプラストミ
ルを用い、混練回転数を50rpmとし、最初の1分間
でPPを投入し、続く4分間でオリゴエステル化したT
MPを投入、その後、1分間で3mlのアセトンに溶解
したBPOをピレットを用いて滴下し、更に4分間混練
を続け、その時点でAOを投入、5分間混練を続け複合
化した。それらの量的な関係は表1に示している。
【0035】得られた混練物の200℃における溶融粘
度を表1に示しているが、比較例と比べて、全体として
溶融粘度の低下が著しいことが知られる。即ち、充填剤
がリグノセルロース系乃至セルロース系の場合にも問題
になっているポリオレフィンとの複合材料の熱流動性の
悪さ、即ち、加工性の悪さをTMPのオリゴエステル化
は大きく補っていると言える。
【0036】またこれらの混練物を成形して得たシート
からの試料の引張特性測定結果を表2の実施例1〜6に
示す。表から比較例1に比べて引張強度およびヤング率
が大きな値になっていることが知られる。実施例1〜6
において調製した試料の混練条件が、例えばブレンダー
回転速度90rpmを用いる等かなり厳しいものである
ことを考慮すると、表2に示されている引張強度などの
絶対値は十分高いものであると評価出来る。
【0037】
【実施例7〜8】実施例1〜6の場合とTMPのオリゴ
エステル化法のみをフラスコ内反応法に変えた以外は、
同様に混練複合材料を調製した。即ち、三つ口フラスコ
に表1の実施例7および8に示した量比でTMPとMA
をまず秤りとり、120℃で2時間反応させた後、PG
Eを加え、110℃で2時間反応させた。生成物を10
5℃で1時間乾燥させた後、これをオリゴエステル化T
MPとして実施例1〜6同様に混練反応を行い、混練物
を得た。
【0038】得られた混練物について200℃での溶融
粘度を測定(結果は表1に示した)すると共に成形フィ
ルムの引張特性の測定(結果は表2に示す)した。
【0039】表より、オリゴエステル化を強度に行うこ
とにより、溶融粘度がより低下し、最終成形物の引張物
性も同時に低下することが知られる。このことはオリゴ
エステル化とポリオレフィンとの混練反応を伴う複合化
は、その適性条件の探索により、より優れた複合材料を
与えるものとなることを示唆する。
【0040】
【実施例9】実施例6で得た混練物100重量部に、2
0重量部のビスフェノールAジグリシジルエーテルを加
え、180℃で2分間混練し、混練物を得た。このもの
の200℃での初期溶融粘度は1920poise(ポ
イズ)まで低下した。他方、この混練物を2枚のポリエ
チレンテレフタレートシートの間に挟んだ厚さ0.4m
mのスペーサ枠内で、熱圧成形(まず、熱盤温度90
℃、圧力160kgf/cm2で約30秒予備成形した
後、熱盤温度160℃、圧力160kgf/cm2の下1
0分間熱圧)、硬化させてフィルム状試片を得た。上記
と同様に引張試験サンプルを切り出し、引張試験を行っ
た。その結果、引張強度510kgf/cm2、引張破壊
伸び3.12%、ヤング率1.98×104kgf/cm
2の引張特性を持つ、十分高い物性の成形材料が得られ
ることが知られた。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の樹脂組成
物は、安価なリグノセルロース系乃至セルロース系材料
をいわゆるオリゴエステル化することにより、ポリオレ
フィンと複合化したときに、溶融粘度の低い成形加工性
の高い材料となしうること、しかも物性も十分評価出来
るものとなりうるという新しい知見の上に得られたもの
であり、優れた特徴を有し、低コストで加工特性および
物性の高い材料の開発に大きく寄与するものであり、そ
の工業的意義は極めて大きいものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィンに、オリゴエステル化され
    たリグノセルロース系またはセルロース系物質を含有さ
    せてなるポリオレフィン組成物。
  2. 【請求項2】ポリオレフィンの少なくとも一部が変性ポ
    リオレフィン樹脂である、請求項1に記載のポリオレフ
    ィン組成物。
  3. 【請求項3】ジエポキシ化合物以上のポリエポキシ化合
    物を更に添加してなる、請求項1乃至2に記載のポリオ
    レフィン組成物。
  4. 【請求項4】多塩基酸無水物とモノエポキシ化合物との
    エステル化及び付加反応によりオリゴエステル化された
    リグノセルロース系またはセルロース系物質と、ポリオ
    レフィンおよびラジカル重合開始剤を加熱混練し、ポリ
    オレフィンの一部を変性してなる、ポリオレフィン組成
    物の製造方法。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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