JPH101576A - ポリオレフィン系樹脂組成物、複合材および製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物、複合材および製造方法

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JPH101576A
JPH101576A JP15723096A JP15723096A JPH101576A JP H101576 A JPH101576 A JP H101576A JP 15723096 A JP15723096 A JP 15723096A JP 15723096 A JP15723096 A JP 15723096A JP H101576 A JPH101576 A JP H101576A
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俊雄 小林
Shiyuuei Fujimoto
秀英 藤本
Hideaki Matsuda
▲ひで▼明 松田
Minoru Ueda
實 上田
Hiroshi Matsumoto
寛 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木質系材料を含有する樹脂組成物から、成形
加工性および機械強度に優れたポリオレフィン系樹脂複
合材を得る。 【解決手段】 (A)ポリオレフィン30〜90重量
部、(B)重合性二重結合を有するリグノセルロース系
またはセルロース系物質70〜10重量部〔ただし、
(A)成分と(B)成分との合計量は100重量部であ
る〕、(C)(A)および(B)成分の合計量100重
量部に対して橋かけ剤0.1〜5重量部、ならびに
(D)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
対して有機過酸化物0.01〜1重量部を含有する組成
物を加熱混練して反応させ、ポリオレフィン系樹脂複合
材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木質系材料を含有
するポリオレフィン系樹脂組成物、複合材およびその製
造方法に関し、さらに詳しくは押出成形、射出成形に好
適に使用されるポリオレフィン系樹脂組成物、複合材お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬
化性樹脂に、充填剤として木質系材料を配合し、外観や
弾性を改善した複合材を得ることは広く行われている。
一方、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂に木質系材料を
配合することも行われるが、この場合は樹脂組成物の熱
流動性が低下して成形加工性が低下したり、場合によっ
ては機械強度が低下することもある。
【0003】このような問題点を解決するため、変性ポ
リオレフィン樹脂、有機過酸化物を配合することが行わ
れている。例えば、特公平1−22297号には、プロ
ピレン系樹脂、植物性繊維、変性プロピレン系樹脂およ
び有機過酸化物を特定量含有する樹脂組成物を加熱下に
反応させて樹脂複合材を得ることが記載されている。し
かし、上記樹脂複合材においても、樹脂成分と植物性繊
維との界面接合性が不十分であり、このため機械強度に
劣るという問題点がある。
【0004】また特公昭62−5186号、特公平5−
60502号にも、ポリプロピレン系樹脂、木粉(また
は籾殻)、変性ポリプロピレン系樹脂、有機過酸化物お
よび無機充填剤を配合した樹脂組成物を加熱下に反応さ
せて樹脂複合材を得ることが記載されている。しかし、
これらの樹脂複合材においても、前記と同様の問題点が
ある。
【0005】一方、木質系材料をオリゴエステル化した
後、このオリゴエステル化物を配合することも行われて
いる。例えば、特開平6−80832号には、多塩基酸
無水物とモノエポキシ化合物とのエステル化および付加
反応によりオリゴエステル化されたリグノセルロース系
またはセルロース系物質、ポリオレフィンならびにラジ
カル重合開始剤を加熱混練し、ポリオレフィンの一部を
変性してなるポリオレフィン複合材が記載されている。
【0006】しかし、上記複合材においては、機械的強
度は若干向上するものの、複合材の熱流動性をコントロ
ールすることが難しく、成形加工性が悪くなるという問
題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、木質
系材料を含有する樹脂組成物であって、成形加工性およ
び機械強度に優れた樹脂複合材を容易に製造できるポリ
オレフィン系樹脂組成物を提供することである。本発明
の他の目的は、木質系材料を含有する樹脂組成物から得
られる、成形加工性および機械強度に優れたポリオレフ
ィン系樹脂複合材を提供することである。本発明のさら
に他の目的は、上記のポリオレフィン系樹脂複合材を容
易に製造することができる製造方法を提案することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次のポリオレフ
ィン系樹脂組成物、複合材およびその製造方法である。 (1) (A)ポリオレフィン30〜90重量部、
(B)重合性二重結合を有するリグノセルロース系また
はセルロース系物質70〜10重量部〔ただし、(A)
成分と(B)成分との合計量は100重量部である〕、
(C)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
対して橋かけ剤0.1〜5重量部、ならびに(D)
(A)および(B)成分の合計量100重量部に対して
有機過酸化物0.01〜1重量部を含有するポリオレフ
ィン系樹脂組成物。 (2) ポリオレフィン(A)が、230℃、2.16
kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:AST
M D 1238)が0.1〜200g/10分のポリ
プロピレンである上記(1)記載のポリオレフィン系樹
脂組成物。 (3) 重合性二重結合を有するリグノセルロース系ま
たはセルロース系物質(B)が、リグノセルロース系ま
たはセルロース系物質に多塩基酸無水物および重合性二
重結合を有するモノエポキシ化合物を反応させて得られ
る化合物であって、化合物中に導入された多塩基酸無水
物の割合がリグノセルロース系またはセルロース系物質
に対して1〜15重量%であり、かつ化合物中に導入さ
れた重合性二重結合を有するモノエポキシ化合物の割合
がリグノセルロース系またはセルロース系物質に対して
1〜15重量%である化合物である上記(1)または
(2)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。 (4) (E)(A)および(B)成分の合計量100
重量部に対して変性ポリオレフィン0.1〜10重量部
を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の
ポリオレフィン系樹脂組成物。 (5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のポ
リオレフィン系樹脂組成物の反応物からなるポリオレフ
ィン系樹脂複合材。 (6) (A)ポリオレフィン30〜90重量部、
(B)重合性二重結合を有するリグノセルロース系また
はセルロース系物質70〜10重量部〔ただし、(A)
成分と(B)成分との合計量は100重量部である〕、
(C)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
対して橋かけ剤0.1〜5重量部、ならびに(D)
(A)および(B)成分の合計量100重量部に対して
有機過酸化物0.01〜1重量部を含有する組成物を、
150〜200℃で30秒〜30分間加熱混練して反応
させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂複合材の
製造方法。
【0009】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の
(A)成分として用いられるポリオレフィンは、炭素数
2〜20のα−オレフィンの単独重合体または共重合体
である。ポリオレフィン(A)の具体的なものとして
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどがあげられる。
これらは単独重合体であっても、2種以上のα−オレフ
ィンの共重合体であってもよい。その他にも、エチレン
・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重
合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などがあげ
られる。ポリオレフィン(A)は1種単独で使用するこ
ともできるし、2種以上を任意の混合比で混合して使用
することもできる。
【0010】本発明で用いられるポリオレフィン(A)
としてはポリプロピレンが好ましく、特にASTM D
1238により230℃、2.16kg荷重における
メルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/1
0分、好ましくは0.5〜100g/10分、さらに好
ましくは0.5〜50g/10分であるポリプロピレン
が好ましい。
【0011】本発明で使用される重合性二重結合を有す
るリグノセルロース系またはセルロース系物質(B)と
しては、重合性二重結合を有するリグノセルロース系ま
たはセルロース系物質が制限なく使用できる。具体的な
ものとしては、(B−1)多塩基酸無水物によりエステ
ル化されたエステル化リグノセルロース系またはセルロ
ース系物質に、重合性二重結合を有するモノエポキシ化
合物を付加反応させて得られる化合物、(B−2)リグ
ノセルロース系またはセルロース系物質に多塩基酸無水
物および重合性二重結合を有するモノエポキシ化合物を
反応させて得られる化合物、(B−3)リグノセルロー
ス系またはセルロース系物質に重合性二重結合を有する
酸クロリドを反応させて得られる化合物などがあげられ
る。
【0012】前記(B−1)の化合物は、リグノセルロ
ース系またはセルロース系物質の水酸基に多塩基酸無水
物がエステル結合するとともにカルボキシル基が導入さ
れ、このカルボキシル基に重合性二重結合を有するモノ
エポキシ化合物が開環付加して重合性二重結合が導入さ
れた化合物である。
【0013】前記(B−2)の化合物は、上記(B−
1)と同様の反応により重合性二重結合が導入される化
合物であるが、上記反応に加えてモノエポキシ化合物が
開環付加することにより形成される水酸基にさらに多塩
基酸無水物がエステル結合し、続いてモノエポキシ化合
物が開環付加し、この反応が繰返されることにより多塩
基酸無水物とモノエポキシ化合物とが交互に結合して重
合性二重結合が導入された化合物である。
【0014】前記(B−3)の化合物は、リグノセルロ
ース系またはセルロース系物質中の水酸基に直接重合性
二重結合を有する酸クロリドが結合することにより重合
性二重結合が導入された化合物である。
【0015】前記(B−1)および(B−2)の化合物
においては、エステル化により化合物中に導入された多
塩基酸無水物の割合(以下、多塩基酸エステル化量とい
う)は、リグノセルロース系またはセルロース系物質に
対して1〜15重量%、好ましくは2〜12重量%であ
るのが望ましい。また前記(B−1)〜(B−3)の化
合物においては、化合物中に導入された重合性二重結合
を有するモノエポキシ化合物または酸クロリドの割合
(以下、重合性二重結合の導入量という)は、リグノセ
ルロース系またはセルロース系物質に対して1〜15重
量%、好ましくは2〜12重量%であるのが望ましい。
【0016】重合性二重結合を導入する反応に供する前
のリグノセルロース系またはセルロース系物質(以下、
修飾前のリグノセルロース系またはセルロース系物質と
いう場合がある)としては、リグノセルロース、セルロ
ースまたはこれらの誘導体を含む物質であって、従来か
ら樹脂の充填剤として使用されているものが制限なく使
用できる。修飾前のリグノセルロース系またはセルロー
ス系物質は、いわゆる木質系材料であり(以下、リグノ
セルロース系またはセルロース系物質を木質系材料と称
する場合がある)、具体的なものとしては木粉、木質パ
ルプなどがあげられる。これらの修飾前の木質系材料の
原木や樹種は特に制限されない。また修飾前の木質系材
料としては、木材工業における工業廃棄物としての木質
材や未利用の木質材から得られる木質系材料を使用する
こともでき、資源の有効利用を図ることもできる。さら
に尿素等で木酸(レプリン酸、酢酸、ギ酸等)を中和処
理したものを使用することもできる。
【0017】前記(B−1)または(B−2)の化合物
を製造する際に用いる多塩基酸無水物としては、例えば
無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水テ
トラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水
イタコン酸、無水アジピン酸などがあげられる。これら
の中では、工業的に低廉な無水マレイン酸、無水フタル
酸、無水コハク酸等が好ましい。このような多塩基酸無
水物は1種単独で使用することもできるし、2種以上を
併用することもできる。
【0018】前記(B−1)または(B−2)の化合物
を製造する際に用いる重合性二重結合を有するモノエポ
キシ化合物としては、例えばアリルグリシジルエーテ
ル、グリシジルメタクリレート、メタクリルグリシジル
エーテル、グリシジルアクリレート、ビニルシクロヘキ
センモノエポキシドなどがあげられる。これらの中で
は、安価なアリルグリシジルエーテル、グリシジルメタ
クリレートが好ましい。このような重合性二重結合を有
するモノエポキシ化合物は1種単独で使用することもで
きるし、2種以上を併用することもできる。
【0019】前記(B−3)の重合性二重結合を有する
リグノセルロース系またはセルロース系物質を製造する
際に用いる重合性二重結合を有する酸クロリドとして
は、例えばアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド
などがあげられる。
【0020】重合性二重結合を有するリグノセルロース
系またはセルロース系物質(B)は、例えば次のような
方法により製造することができる。まず木質系材料に多
塩基酸無水物を導入したエステル化木質系材料は、公知
の回分式加圧混練装置または連続式混練装置により、木
質系材料と前記多塩基酸無水物とを前記多塩基酸エステ
ル化量となるように混合して加熱混練することにより製
造することができる。具体的な製造方法としては次のよ
うな方法があげられる。
【0021】1)木質系材料と多塩基酸無水物とを、溶
媒を使用することなく60℃以上で反応させる方法。こ
の場合、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸
塩、酢酸塩、酸化物、水酸化物、ジメチルベンジルアミ
ン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの塩基性触媒の存
在下に反応を行うことにより、エステル化を促進させる
ことができる。
【0022】2)木質系材料と多塩基酸無水物とを、上
記のような塩基性触媒の存在下に非プロトン性極性溶媒
中で反応させる方法。上記非プロトン性極性溶媒として
は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど
があげられる。これらのエステル化方法は、特公平3−
37490号、同3−58881号、同4−36843
号などに詳述されている方法を採用することができる。
【0023】このようにして得られたエステル化木質系
材料に、前記重合性二重結合を有するモノエポキシ化合
物を付加反応させることにより、重合性二重結合を有す
るエステル化リグノセルロース系またはセルロース系物
質(B−1)が得られる。エステル化木質系材料に重合
性二重結合を有するモノエポキシ化合物を付加反応させ
る反応条件は、モノエポキシ化合物の種類によっても異
なるが、直接エステル化木質系材料にモノエポキシ化合
物を添加して反応させる場合は、60〜150℃で1〜
8時間反応させるのが好ましく、100〜150℃で2
〜5時間反応させるのがさらに好ましい。
【0024】反応は希釈剤を使用しないで行うこともで
きるし、希釈剤としてジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド等を使用して行うこともできる。また、反
応を促進させるために、炭酸ナトリウム、ジメチルベン
ジルアミン等の塩基性触媒を用いてもよい。
【0025】前記(B−2)の化合物は、公知の回分式
加圧混練装置または連続式混練装置により、木質系材
料、前記多塩基酸無水物および重合性二重結合を有する
モノエポキシ化合物を、活性水素を有する化合物の存在
下または非存在下に、前記多塩基酸エステル化量および
重合性二重結合の導入量となるように混合して加熱混練
することにより製造することができる。反応条件は60
〜180℃で0.5〜3時間とするのが好ましい。
【0026】これらの二重結合を有するモノエポキシ化
合物の導入方法は、特公平4−36844号、特開平4
−78501号、特開平4−85347号などに詳述さ
れている方法を採用することができる。(B)成分は1
種単独で使用することもできるし、2種以上を併用する
こともできる。
【0027】本発明で用いられる橋かけ剤(C)として
は、(A)成分、(B)成分、および必要により配合さ
れる変性ポリオレフィン(E)の同一成分同士および/
または異なる成分間を架橋させることができる化合物が
制限なく使用できる。
【0028】ポリプロピレン(A)および変性ポリオレ
フィン(E)は、複合材を製造する際の加熱混練時に、
有機過酸化物(D)により開裂反応での分子量が低下す
る。分子量の低下が大きいと溶融張力(メルトテンショ
ン)が低下し、押出成形性の低下を招く。
【0029】橋かけ剤(C)を配合することにより、上
記のような成形性の低下を防止することができる。すな
わち、橋かけ剤(C)を配合すると、有機過酸化物
(D)存在下に架橋反応が生じ、ポリオレフィン(A)
等の分子量低下が防止され、かつ(B)成分とも架橋反
応が生じ、これにより本発明の複合材の溶融張力(メル
トテンション)を向上させることができる。メルトテン
ションの向上は異形押出等の成形には重要な要素であ
り、ある程度の向上を必要とする。メルトテンションが
向上する時はMFRが小さくなる。
【0030】橋かけ剤(C)としては多官能性の化合物
が使用でき、例えばジビニルベンゼン、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、ジアリルフタレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リアセテートなどがあげられる。これらは1種単独で使
用することもできるし、2種以上を組合せて使用するこ
ともできる。
【0031】本発明で用いられる有機過酸化物(D)と
しては、分子内に原子団−O−O−を有する有機物が制
限なく使用でき、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペ
ルオキシド、ヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシド
等の有機ペルオキシド;アルキルペルエステル等の有機
ペルエステル;ペルオキシジカーボネートなどがあげら
れる。
【0032】有機過酸化物(D)の具体的なものとして
は、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペル
オキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペル
オキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシ
ベンゾエート)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチ
ルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペル
オキシド、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、
t−ブチルペルオキシフェニルアセテート、t−ブチル
ペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシse
c−オクテート、t−ブチルペルオキシピバレート、ク
ミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジエ
チルアセテートなどをあげることができる。これらの中
では、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベ
ンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサンが好ましい。このような有機過
酸化物(D)は1種単独で使用することもできるし、2
種以上を併用することもできる。
【0033】(A)〜(D)成分の配合量は、ポリオレ
フィン(A)30〜90重量部、好ましくは40〜80
重量部、重合性二重結合を有するリグノセルロース系ま
たはセルロース系物質(B)70〜10重量部、好まし
くは60〜20重量部〔ただし、(A)成分と(B)成
分との合計量は100重量部である〕であり、(A)成
分と(B)成分との合計量100重量部に対して橋かけ
剤(C)0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量
部、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に
対して有機過酸化物(D)0.01〜1重量部、好まし
くは0.01〜0.5重量部である。
【0034】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に
は、前記(A)〜(D)成分に加えて、さらに変性ポリ
オレフィン(E)を配合することができる。
【0035】本発明で用いられる変性ポリオレフィン
(E)としては、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチ
ル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、
テトラヒドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート等の変性用化合物で変性
されたポリオレフィンがあげられる。変性前のポリオレ
フィンとしては、前記ポリオレフィン(A)と同様のも
のがあげられる。変性前のポリオレフィンに対する導入
された変性用化合物の量(変性量)は通常0.1〜20
重量%である。20重量%以上のものも使用できるが、
コスト高になる。
【0036】変性ポリオレフィン(E)としては、
(A)成分として使用しているポリオレフィンと同種の
変性ポリオレフィンを組合せて使用するのが好ましい。
すなわち、(A)成分のポリオレフィンがポリプロピレ
ンの場合には、(E)成分の変性ポリオレフィンとして
は変性ポリプロピレンを配合するのが好ましい。
【0037】変性ポリオレフィン(E)の配合量は、
(A)および(B)成分の合計量100重量部に対して
0.1〜10重量部である。10重量部を超えて配合す
ることもできるが、コスト高になる。本発明の組成物中
に変性ポリオレフィン(E)を配合した場合には、本発
明の複合材において、ポリオレフィン(A)と(B)成
分との親和性がさらに向上し、強度が向上する。
【0038】(A)〜(E)成分は、上記一般的な範囲
にある量で配合することができるが、全ての成分が好ま
しい範囲にある量で配合するのが最も好ましい。しか
し、ある成分が好ましい範囲にあり、かつ他の成分が一
般的な範囲にある量で配合するものも好ましい。
【0039】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、
前記(A)〜(D)成分、ならびに必要により追加する
(E)成分を前記配合量で配合した組成物である。本発
明のポリオレフィン系樹脂組成物には、無機系の充填
剤、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊
維等、あるいは有機系の充填剤、例えばポリエステル、
ポリアミド繊維等、その他に難燃剤、安定剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤等の各種添加剤や染
料、顔料等の着色剤などの他の成分を添加することがで
きる。
【0040】本発明のポリオレフィン系樹脂複合材は前
記ポリオレフィン系樹脂組成物の反応物であり、前記
(A)〜(D)成分、および必要により添加される他の
成分を、前記配合量で混合し、この混合物を150〜2
00℃、好ましくは160〜190℃で、30秒〜30
分間、好ましくは1〜20分間加熱混練して反応するこ
とにより製造することができる。
【0041】各成分の混合方法は特に限定されず、ヘン
シェルミキサーなどの混合機により混合することがで
き、均一化しておくのが好ましい。加熱混練方法も前記
条件で加熱混練できる方法であれば特に限定されず、例
えばブレンダー、ニーダー、ミキシングロール、バンバ
リーミキサー、1軸もしくは2軸の押出機などにより行
うことができる。
【0042】好ましい製造方法としては、次の製造方法
が例示できる。すなわち、各成分を室温でヘンシェルミ
キサーにより混合して均一化した後、得られた混合物を
2軸押出機で混練ゾーンの設定温度を前記温度に設定し
て混練し、組成物を混練状態で反応させて複合材を得
る。なお、温度が200℃を超えると(B)成分の分解
によるガスが発生するため、造粒温度が200℃を超え
ないように注意する必要がある。そのため、冷却コント
ロールの効く2軸押出機等を使用するのが好ましい。
【0043】このようにして得られた本発明のポリオレ
フィン系樹脂複合材は、木質系材料を配合しているにも
かかわらず熱流動性に優れ、このため成形加工性に優れ
ており、押出成形、射出成形などの成形法により任意の
形状に容易に成形することができる。また本発明の複合
材は、ポリオレフィンと木質系材料との界面接合性が改
善され、かつ(B)成分の重合性二重結合による化学結
合が形成されるため、成形により得られた成形品は機械
強度、例えば引張強度、曲げ強度、耐衝撃強度などに優
れている。
【0044】本発明の複合材の利用分野は特に制限され
ず、従来から熱可塑性樹脂が用いられている多くの分野
に使用することができるが、電気絶縁材料、工業用部品
材料、建築用材料等の分野に好適に利用でき、中でも住
宅部材、建築材料、家電製品の原料として特に好適に利
用できる。
【0045】具体的には、巾木、表面化粧板、ドア材、
外壁材、洗面化粧台、カウンター材、基礎受け板、窓
枠、壁材、廻り縁木、手すり、取っ手、構造材、土木角
材、柱、床柱、飾り柱、耐震材、壁紙、建具天井材、下
地材、畳、床、コンクリートパネル、足場材、遮蔽板、
遮音板、家具の箱天井、扉、前板裏板、棚板、袖板、幕
板、甲板、背板、座板、厨房部材、防水材、防かび材、
防腐材、雨戸板、腰板、側板、バスユニット床パン、バ
ス天井、バス壁、バス、桶、衛陶機器、便座、便蓋、ラ
ジオテレビ受信機、キャビネット、ステレオキャビネッ
ト、アンプキャビネット、スピーカー、ピアノオルガン
の親板、大屋根、巻き屋根、上下巻物板などの材料とし
て好適に利用できる。
【0046】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
は、ポリオレフィン(A)、重合性二重結合を有するリ
グノセルロース系またはセルロース系物質(B)、橋か
け剤(C)、および有機過酸化物(D)を特定量含有し
ているので、木質系材料である(B)成分を含有してい
るにもかかわらず、加熱混練により成形加工性および機
械強度に優れる複合材を容易に製造することができる。
【0047】本発明のポリオレフィン系樹脂複合材は、
上記ポリオレフィン系樹脂組成物の反応物からなるた
め、成形加工性および機械強度に優れるポリオレフィン
系樹脂および木質系材料の複合材を得ることができる。
【0048】本発明のポリオレフィン系樹脂複合材の製
造方法は、ポリオレフィン(A)、重合性二重結合を有
するリグノセルロース系またはセルロース系物質
(B)、橋かけ剤(C)、および有機過酸化物(D)を
特定量含有する混合物を特定条件で加熱混練して反応さ
せるので、成形加工性および機械強度に優れた木質系材
料を含有するポリオレフィン系樹脂複合材を容易に製造
することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。各例で使用した組成物および複合材の製造方法、
成形品の成形方法、物性の測定方法、配合成分は次の通
りである。
【0050】《ポリオレフィン系樹脂組成物および複合
材の製造方法》(A)〜(E)成分を室温でヘンシェル
ミキサーにより混合し、均一化してポリオレフィン系樹
脂組成物を得た。次に、下記条件で2軸押出機(日本製
鋼所社製、TEX30、商標)により加熱混練してポリ
オレフィン系樹脂複合材を得た。 バレル設定温度:160℃ スクリュー回転数:110rpmで樹脂温度が押出機出
口で180℃となるように設定した。 押出混練量:6kg/1時間
【0051】《物性評価のための成形品成形方法》熱圧
成形機〔(株)神藤金属工業所製、70トンプレス成形
機〕により、下記条件でプレスシート成形した。 加熱温度:180℃、予熱時間5分間 プレス圧力:50kgf/cm2 加熱圧縮時間:5分間 冷却時間:5分間 冷却プレス圧力:50kgf/cm2 冷却温度:23℃ 成形品板厚:2mm
【0052】《物性評価のための測定方法》 MFR:ASTM D 1238、190℃、2.16
kg荷重 引張強度:ASTM D 638 曲げ強度:ASTM D 638 曲げ弾性率:ASTM D 638 アイゾッド衝撃強度:ASTM D 256
【0053】《配合成分》(A)〜(E)成分として下
記のものを使用した。 ポリオレフィン(A):ホモポリプロピレン、ASTM
D 1238によるメルトフローレート(MFR)=
1.5g/10分、比重=0.91、以下ポリプロピレ
ンという。 (B)成分(木質系材料):無水マレイン酸エステル
化、アリルグリシジルエーテルエポキシ付加木粉、無水
マレイン酸エステル化量=10重量%、アリルグリシジ
ルエーテル付加量=10重量%、粒径=120メッシュ
通過品、以下重合性エステル化木粉という。 橋かけ剤(C):トリアリルイソシアヌレート(TAI
C) 有機過酸化物(D):2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン 変性ポリオレフィン(E):ASTM D 1238に
よるメルトフローレート(MFR)=1.5g/10
分、比重=0.91のホモポリプロピレンの無水マレイ
ン酸変性物(マレイン酸付加量3重量%)、以下変性ポ
リプロピレンという。
【0054】実施例1 前記ポリプロピレン2.5kg、重合性エステル化木粉
2.5kg、橋かけ剤(TAIC)5g、および有機過
酸化物2.5gを室温でヘンシェルミキサーにより10
分間攪拌して配合し、ポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。次に、前記条件で2軸押出機から押出し、ポリプロ
ピレン系樹脂複合材を得た。上記複合材を前記成形条件
で熱圧成形した。得られた成形品の物性を前記測定方法
で測定した。結果を表1に示す。
【0055】実施例2 さらに変性ポリプロピレン100gを配合した以外は実
施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
【0056】実施例3 橋かけ剤の使用量を50gに変更した以外は実施例2と
同様にして行った。結果を表1に示す。
【0057】実施例4 ポリプロピレンの配合量を2kg、重合性エステル化木
粉の配合量を3kgに変更した以外は実施例2と同様に
して行った。結果を表1に示す。
【0058】比較例1 有機過酸化物を使用しなかった以外は実施例2と同様に
して行った。結果を表2に示す。
【0059】比較例2 有機過酸化物および変性ポリプロピレンを使用しなかっ
た以外は実施例2と同様にして行った。結果を表2に示
す。
【0060】比較例3 橋かけ剤、有機過酸化物および変性ポリプロピレンを使
用しなかった以外は実施例2と同様にして行った。結果
を表2に示す。
【0061】比較例4 有機過酸化物の配合量を100gに変更し、橋かけ剤お
よび変性ポリプロピレンを使用しなかった以外は実施例
2と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0062】比較例5 橋かけ剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして
行った。結果を表3に示す。
【0063】比較例6 橋かけ剤を使用しなかった以外は実施例2と同様にして
行った。結果を表3に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】表1〜表3の注 *1 MA化PP:マレイン酸変性ポリプロピレン *2 押出性: ○;2軸押出機での造粒時における樹脂の押出状態がよ
い ×;2軸押出機での造粒時における樹脂は押出が一定に
ならない *3 ストランド外観: 良;ストランド切れの発生しない良好な場合 不良;ストランド切れの発生する場合 *4 ストランド形成せず
【0068】表1〜表3の結果から、各実施例の樹脂複
合材の押出性は比較例に比べて良好であることがわか
る。またストランド外観も良好であり、ポリプロピレン
と木粉との界面接合性に優れていることがわかる。そし
て成形品の物性も優れていることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 秀英 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油化 学工業株式会社内 (72)発明者 松田 ▲ひで▼明 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 上田 實 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 松本 寛 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリオレフィン30〜90重量
    部、 (B)重合性二重結合を有するリグノセルロース系また
    はセルロース系物質70〜10重量部〔ただし、(A)
    成分と(B)成分との合計量は100重量部である〕、 (C)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
    対して橋かけ剤0.1〜5重量部、ならびに (D)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
    対して有機過酸化物0.01〜1重量部を含有するポリ
    オレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン(A)が、230℃、
    2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MF
    R:ASTM D 1238)が0.1〜200g/1
    0分のポリプロピレンである請求項1記載のポリオレフ
    ィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 重合性二重結合を有するリグノセルロー
    ス系またはセルロース系物質(B)が、リグノセルロー
    ス系またはセルロース系物質に多塩基酸無水物および重
    合性二重結合を有するモノエポキシ化合物を反応させて
    得られる化合物であって、化合物中に導入された多塩基
    酸無水物の割合がリグノセルロース系またはセルロース
    系物質に対して1〜15重量%であり、かつ化合物中に
    導入された重合性二重結合を有するモノエポキシ化合物
    の割合がリグノセルロース系またはセルロース系物質に
    対して1〜15重量%である化合物である請求項1また
    は2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (E)(A)および(B)成分の合計量
    100重量部に対して変性ポリオレフィン0.1〜10
    重量部を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の
    ポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のポ
    リオレフィン系樹脂組成物の反応物からなるポリオレフ
    ィン系樹脂複合材。
  6. 【請求項6】 (A)ポリオレフィン30〜90重量
    部、 (B)重合性二重結合を有するリグノセルロース系また
    はセルロース系物質70〜10重量部〔ただし、(A)
    成分と(B)成分との合計量は100重量部である〕、 (C)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
    対して橋かけ剤0.1〜5重量部、ならびに (D)(A)および(B)成分の合計量100重量部に
    対して有機過酸化物0.01〜1重量部を含有する組成
    物を、150〜200℃で30秒〜30分間加熱混練し
    て反応させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂複
    合材の製造方法。
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