JP2006002007A - 熱可塑性複合樹脂組成物および、これを成形してなる木目調樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性複合樹脂組成物および、これを成形してなる木目調樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形時に木目調の模様が発現しやすく、ブロー成形性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性等に優れ、更には、成形加工工程等で発生する不良品や成形品の仕上げ工程で発生する樹脂屑などをリサイクルしても木目調の模様を発現しうる熱可塑性複合樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を共重合してなるビニル系共重合体(B)との混合物であって、ゴム質重合体の含有量が10〜30重量%である混合物100重量部に対して、木粉(C)0〜30重量部と、加工助剤(D)1〜50重量部とを添加してなる熱可塑性樹脂組成物(I)80〜99重量%と、該熱可塑性樹脂組成物(I)とは、色調の異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂組成物(II)1〜20重量%とを配合してなる熱可塑性複合樹脂組成物。この熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形することにより得られる木目調樹脂成形品。

Description

本発明はブロー成形に適した熱可塑性複合樹脂組成物と、この熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形してなる木目調の樹脂成形品に関する。詳しくは、特定組成のゴム含有グラフト共重合体および木粉や加工助剤を混合してなる熱可塑性樹脂組成物とこれとは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物とを混合してなり、成形時に木目調の模様が発現しやすく、ブロー成形性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性等に優れ、更には、成形加工工程等で発生する不良品や成形品の仕上げ工程で発生する樹脂屑などをリサイクルしても木目調の模様を発現しうる熱可塑性複合樹脂組成物と、この熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形してなる、木目調および木質感に優れた木目調樹脂成形品に関する。
従来、ブロー成形法が適用される樹脂材料は、ポリオレフィン等が主体であったが、近年、ブロー成形技術の発達により、ポリオレフィンだけでなく、エンジニアリングプラスチックにもブロー成形法が応用展開されてきている。中でもABS樹脂は、本来の樹脂性能として耐衝撃性、機械特性、耐薬品性等に優れているため、建材分野、家電分野、事務機器分野など広い分野におけるブロー成形の適用が検討されてきた。しかして、近年、森林の保護のため、木材の需要を低減すべく、また、加工コストの低減により製品価格を安価なものとするべく、更には、天然素材の耐久性の低さを補うべく、建材分野、家電分野、事務機器分野などの用途においては、木目調の樹脂成形品が適用されるようになってきている。
しかしながら、ABS樹脂は、パリソンのドローダウン性に劣り、ブロー成形法によって木目調の成形品を得ることが難しいなどの問題があった。また、ブロー成形法においては、“バリ”と呼ばれる製品外郭部分の樹脂屑が大量に発生するため、これをリサイクルすることが望まれるが、従来のABS樹脂をブロー成形する場合、バージン材で木目調が発現しても、リサイクル材では木目調が消失するため、リサイクルに不向きであるという問題もあった。
このようなことから、成形加工性、耐久性に優れ、特にリサイクル材からも木目調の模様を容易に発現できる樹脂素材が求められていた。
従来、ブロー成形により木目調の樹脂成形品を得るための熱可塑性複合樹脂組成物については種々提案がなされている。例えば、特開平8−207125号公報には、セルロース材の粉砕紛を磨砕、表面処理した固定粒を樹脂に配合して木質感を得る方法が記載されている。しかし、この方法では、ABS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂では、耐衝撃性が大きく低下するといった問題がある。
また、特開平10−219078号公報には、スチレン系樹脂にセルロース系物質、セルロース系顔料を配合する熱可塑性複合樹脂組成物が記載されているが、このような組成物では射出成形には適するかもしれないが、ブロー成形では木目調を得ることが困難なため十分ではなかった。
さらに、特開2002−355884号公報には、色調の異なる樹脂を用い、溶融樹脂を複数に分割しながら合流させる方法が記載されているが、この方法では特殊な装置を必要とし、既存の設備に改良を加える必要があるため、費用などの面から実用には困難があった。
特開平8−207125号公報 特開平10−219078号公報 特開2002−355884号公報
上述の如く、従来において、木目調の樹脂成形品を得るための検討はなされているが、特別な装置を必要とせずに、耐衝撃性や耐久性を保持した成形品を得るには至っていない。また、このような状況下では、不良品の発生は避けられないが、発生した不良品を粉砕して再利用すると木目調が得られ難く、生産効率の低下、労働力や電力などのエネルギー消費の無駄、材料処分など全てにおいて資源の浪費となり、環境保護のための木材に代わる材料を利用する本来の目的を果たすことが出来ていなかった。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、特別な添加剤や装置を必要とすることなく、木目調を有し、かつ耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の性能をも十分に満足するブロー成形品を得ることができる熱可塑性複合樹脂組成物であって、更に、ブロー成形で発生するバリなどの樹脂屑をも再利用することが可能なリサイクルに適した熱可塑性複合樹脂組成物と、この熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形してなる木目調樹脂成形品を提供するものである。
本発明者は、上記従来の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ゴム含有グラフト共重合体、ビニル系共重合体、木粉、および加工助剤からなる熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物とを混合してなる熱可塑性複合樹脂組成物であれば、ブロー成形に適し、耐衝撃性、耐熱性、耐久性等にも優れた木目調樹脂成形品を得ることができ、しかも、リサイクルにも適することを見出して本発明を完成させた。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、
芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を共重合してなるビニル系共重合体(B)との混合物であって、前記ゴム質重合体の含有量が10〜30重量%である混合物100重量部に対して、
木粉(C)0〜30重量部と、
加工助剤(D)1〜50重量部と
を添加してなる熱可塑性樹脂組成物(I)80〜99重量%と、
該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂組成物(II)1〜20重量%とを配合してなることを特徴とする。
本発明の木目調樹脂成形品は、このような本発明の熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形することにより得られる。
上記(A)〜(D)成分を特定量で配合することにより得られた熱可塑性樹脂組成物(I)と、この熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物(II)とを所定の割合で混合することにより、ブロー成形等の成形加工性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の性能を満足し、更に木質感、木目調に優れ、かつ、樹脂成形品の加工工程等で発生する樹脂屑などを再生処理しても木目調が発現可能な、リサイクルにも適した熱可塑性複合樹脂組成物を得ることができる。
特に、ゴム含有グラフト共重合体(A)として特定のゴム量、グラフト率およびビニル単量体組成比のものを用いると共に、特定の粒子径範囲の木粉、特定の加工助剤剤を用いることにより、さらには熱可塑性樹脂組成物(I)と(II)の色差および荷重たわみ温度差の調整により、上記効果を確実に得ることができる。
本発明によれば、ブロー成形により、良好な成形性のもとに、優れた木目調および木質感を有したABS系樹脂成形品が得られる。この木目調樹脂成形品は、耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の性能にも優れる。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物によれば、ブロー成形で発生する樹脂屑等を再利用した場合であっても、問題なく木目調を発現させることができ、そのまま再生処理に供することができるため、廃材の処理に至らず、資源の有効活用、廃棄物の低減、コストの大幅な削減を図ることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物は、ゴム質重合体にシアン化ビニル単量体および芳香族ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体ならびに必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を共重合してなるビニル系共重合体(B)の合計100重量部に対して、木粉(C)0〜30重量部と加工助剤(D)1〜50重量部とを添加してなる熱可塑性樹脂組成物(I)と、この熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂組成物(II)とを配合してなるものである。
本発明で使用するゴム含有グラフト共重合体(A)とは、一般にABS、ASA、AES、MBS等で表現される、ゴム質重合体に硬質重合体がグラフト重合したコア/シェル構造を有したものである。
ゴム含有グラフト共重合体(A)を形成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴム、ポリオルガノシロキサン等のシリコン系ゴム等が挙げられ、これらは1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。なお、これらゴム質重合体は、モノマーから使用することができ、ゴム質重合体の構造がコア/シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
ゴム質重合体の平均粒子径は、通常0.1〜2.0μmの範囲にあるが、特に0.2〜0.8μmの範囲が好ましい。ゴム質重合体の平均粒子径の測定法については、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
また、上記のゴム質重合体のゲル含有量は、通常50〜100重量%、好ましくは60〜99.5重量%である。この範囲内であれば、機械的強度が発現でき、また、リサイクル後でも衝撃強度を保持できる。
なお、ゴム質重合体のゲル含有量を測定するには、各種溶剤を使用して膨潤度を測定する。例えば、ポリブタジエンではトルエン、ポリブチルアクリレートではアセトンを用いると測定が行いやすい。測定および算出方法は、例えば、次の通りである。即ち、秤量したゴム質重合体を、溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で分取し、金網上に残った不溶分を60℃、24時間乾燥した後秤量する。分取前のゴム質重合体に対する不溶分の割合(重量%)を求め、ゴム質重合体のゲル含有量とする。
このようなゴム質重合体にグラフト重合する芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
また、ゴム質重合体にグラフト重合するシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との重量比はシアン化ビニル単量体/芳香族ビニル単量体=15/85〜40/60であることが好ましく、より好ましくは、シアン化ビニル単量体/芳香族ビニル単量体=20/80〜35/65である。シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との重量比がこの範囲外であると耐衝撃性や着色性が低下するためである。
なお、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の比率は上記のままで、全単量体成分中30重量%以下の範囲でこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を使用することができる。共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルとマレイミド化合物が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが挙げられる。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、場合により官能基により変性された単量体を含んでもよく、例えば、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。これらの他の単量体を使用する場合、その使用割合は単量体混合物100重量%に対して30重量%以下、特に10重量%以下であることが好ましい。
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、好ましくは、上記のゴム質重合体20〜80重量%の存在下、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と場合によりこれら単量体と共重合可能な他の単量体との混合物80〜20重量%をグラフト重合させることにより得ることができる(ただし、ゴム質重合体と単量体混合物との合計で100重量%)。
ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率((アセトン不溶分重量/ゴム質重合体重量−1)×100)は、15〜150%、特に30〜130%、とりわけ35〜100%であることが好ましい。ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト率が15%より低い場合には、ゴム質重合体の分散性が低下し、機械的強度の低下を生じる。一方、グラフト率が150%より高い場合には、ブロー成形性が低下するため好ましくない。なお、グラフトしている共重合体は、ゴム質重合体の外部のみならず内部にオクルードした構造であっても良い。
グラフト重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合により行うことができ、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。さらに、重合方法の異なるゴム含有グラフト共重合体を混合してもよい。
本発明で用いるビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と、必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を共重合してなるものである。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これらの単量体と共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルとマレイミド化合物が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが挙げられる。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、場合により官能基により変性された単量体を含んでもよく、例えば、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
なお、ビニル系共重合体(B)を形成する単量体成分の各比率としては、シアン化ビニル単量体/芳香族ビニル単量体の重量比で15/85〜40/60、特に20/80〜35/65であることが好ましい。シアン化ビニル単量体/芳香族ビニル単量体の重量比がこの範囲外では、分散性や熱安定性が低下する。また、これら単量体と共重合可能な他の単量体は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の比率は上記のままで、全単量体成分中30重量%以下の範囲で使用することができる。
なお、この(B)成分については、(A)成分のグラフト重合時に生成する、ゴム質重合体と化学的に結合を有しないビニル系共重合体を含むことができる。
ビニル系共重合体(B)の重量平均分子量は、80,000〜300,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10,0000〜250,000の範囲である。ビニル系共重合体(B)の重量平均分子量が低い場合には、成形時のドローダウン性が悪くなるうえ、製品の耐衝撃性が得られない。また、この範囲を超えた場合にも、成形時にドローダウン性、木目調や木質感が得られなくなるためである。
なお、ここで、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)にてテトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定したものをポリスチレン(PS)換算で示したものである。
本発明においては、上記ゴム含有グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)との混合物中のゴム質重合体の含有量が10〜30重量%の範囲となるように調整する。この範囲よりもゴム質重合体の含有量が低い場合には、耐衝撃性が得られず、また、この範囲を超えた場合には、ドローダウン性や木質感が得られなくなる。これら混合物中のゴム質重合体の含有量は、赤外分光測定装置を使用することにより測定することができる。
本発明で使用する木粉(C)としては、特に制限はなく、木材種としては、例えばエゾマツ、トドマツ、カラマツなどのマツ類、ツガ、サクラ、スギ、ナラ、ヒノキ、シナノキ、ブナ、ラワン、モミなどが挙げられ、これらの原木を裁断し、製材する際に発生するノコくずやオガクズおよび木材の細片などを破砕したもの、木材製品として利用し難く安価な細い木材や廃材等を利用することができる。また、パルプ製造やボード建材の原料として大量に工業生産されている木材チップ製品を用いることもできる。特に木粉となる木材の種類は限定されないが、木粉の平均粒子径は、好ましくは10〜500μmの範囲であり、より好ましくは40〜500μmの範囲であり、特に好ましくは80〜400μmの範囲である。木粉(C)の平均粒子径がこの範囲から外れて大きいと、ブツや異物となり木質感が得られないばかりか、外観不良となってしまう。また、平均粒子径がこの範囲より小さい場合は、木質感が得られず、木質感を得るためにその配合量を多くすると耐衝撃性が低下してしまう。木粉(C)の粒子径は、篩いに掛けることによって調整することができる。
なお、木粉(C)は、異なる種類のものや平均粒子径の異なるものを2種以上組み合わせて用いても良い。
木粉(C)の配合量は、ゴム含有グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して0〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部である。木粉(C)の配合量がこの範囲より多いと耐衝撃性が低下する。また、木粉を使用しなくても遠目には木目調、木質感は得られるが、近くで観察すると木質感に劣ってくるため、良好な木質感を得るためには配合することが好ましい。
本発明において使用される加工助剤(D)としては、メタクリル酸メチル単位を成分に含む共重合体からなる助剤であり、メタクリル酸メチル単位10〜95重量%、アクリル酸アルキルエステル単位5〜60重量%、およびこれらと共重合可能な他の単量体単位0〜50重量%からなる共重合体、好ましくはメタクリル酸メチル単位として40〜95重量%、アクリル酸アルキルエステル単位を5〜60重量%、これらと共重合可能な他の単量体単位0〜30重量%からなる共重合体であることが好ましい。即ち、この共重合体は、その構成単位にメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位を必須成分として有していることが好ましく、これらを含まない共重合体は、ゴム変性熱可塑性樹脂に対して、ブロー成形の際に金型への転写性を向上させる効果を有しない。
ここで、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位は、それぞれメタクリル酸メチルおよびアクリル酸アルキルエステルから誘導されるるものである。アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸と炭素数1〜18のアルカノールとのエステルであり、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルを用いるのが好ましい。
加工助剤(D)の配合量は、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部であり、より好ましくは10〜30重量部である。加工助剤(D)の配合量がこの範囲内であれば、ドローダウン性を良好にすることができ、改質効果が著しく優れる。
なお、メタクリル酸メチルを主成分とする加工助剤(D)としては市販品を用いることができ、具体的な商品例として、三菱レイヨン(株)社製のメタブレンP−551A、L−1000などが挙げられる。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(D)の3成分、或いは上記(A)、(B)、(C)、(D)の4成分を含む熱可塑性樹脂組成物(I)80〜99重量%と、この熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂組成物(II)1〜20重量%を配合してなる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂組成物(II)は、熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調が異なり、この(I)成分と(II)成分の色差は、3以上であればより明確に木目調が得られ、好ましくは色差が7以上であり、さらに好ましくは色差が10以上であることが好ましい。なお、この色差の上限については、離れすぎていると自然な木目が得られ難く、返って、人工的な木目となり、木質感を損なうことから通常60以下である。熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との色差は、各熱可塑性樹脂組成物に配合する顔料の種類や配合量を調整することにより制御することができる。
熱可塑性樹脂組成物(II)は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、その他の共重合可能な単量体の成分のうち、少なくとも3つ以上の単量体から構成されたビニル系共重合体を含む熱可塑性複合樹脂組成物であることが望ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(II)は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、その他の共重合可能な単量体の成分のうち、少なくとも3つ以上の単量体から構成されたビニル系共重合体との混合物100重量部に、前述の熱可塑性樹脂組成物(I)で例示した木粉0〜30重量部と、同加工助剤0〜50重量部とを添加してなるものが好ましく、熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるゴム含有グラフト共重合体を構成する成分としてのゴム質重合体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体としては、熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるゴム含有グラフト共重合体(A)の構成成分として前述したものを用いることができ、そのゴム質重合体の平均粒子径、ゲル含有量、ゴム質重合体にグラフト重合するシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との重量比、ゴム質重合体と単量体混合物とのグラフト重合比率やグラフト率についても、熱可塑性樹脂組成物(I)のゴム含有グラフト共重合体(A)と同様の条件を採用することができる。
また、熱可塑性樹脂組成物(II)において、ゴム含有グラフト共重合体とビニル系共重合体との混合物中のゴム質重合体含有量についても熱可塑性樹脂組成物(I)におけるゴム質重合体含有量と同様の理由から10〜30重量%であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるビニル系共重合体を構成する芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物及びその他の共重合可能な単量体の成分としても、熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるビニル系共重合体(B)の構成成分として前述したものを用いることができ、このビニル系共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量体/マレイミド化合物/その他の共重合可能な単量体の成分=9〜38/36〜80/5〜30/0〜10(重量比)の範囲で調製される。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物(II)は、熱可塑性樹脂組成物(I)よりも荷重たわみ温度が5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上高いものであることが望ましい。
熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度が熱可塑性樹脂組成物(I)より5℃以上高くない場合には、良好な木目調を得ることができない場合があるが、本発明では、このように熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)の荷重たわみ温度を確認することにより、木目調を発現させるための組み合わせを容易に選定することができる。
なお、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度の差は通常25℃以下である。これを超えると成形加工中に未溶融部が発生し、返って木目調が得られなくなるためである。
熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度を高く調整する方法としては、熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるビニル系共重合体の成分において、α−メチルスチレンやN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の耐熱成分を熱可塑性樹脂組成物(I)よりも多く用いる方法が挙げられる。もっとも簡便な方法として、ビニル系共重合体(B)の構成成分として例示した単量体成分のうち、α−メチルスチレンやN−フェニルマレイミドの配合量を多くする方法が挙げられる。なお、このビニル系共重合体の重量平均分子量については、熱可塑性樹脂組成物(I)のビニル系共重合体(B)について前述した範囲内で調整することができる。
この熱可塑性樹脂組成物(II)は、樹脂成形品の木目調を色以外で際立たせるために木粉を含んでも良いが、木粉を含まない場合の方が返って木質感を強調できるため、通常は木粉を必要としない。また、木質感と木目調を強調するために、上記の熱可塑性樹脂組成物(II)は、1種のみならず、2種以上組み合わせても良い。
なお、熱可塑性樹脂組成物(I)についても異なるものを2種以上組み合わせて用いても良いことは言うまでもない。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との混合重量比率は、成分(I)/成分(II)=80/20〜99/1であり、より好ましくは、85/15〜99/1の範囲であり、さらに好ましくは90/10〜98/2の範囲である。この混合重量比率が上記範囲から外れると、目的とする木目調が得られ難くなる。
なお、本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物(I)及び(II)には、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維やガラス繊維、タルクやウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン化合物など)、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤などの1種又は2種以上が挙げられる。その他の樹脂としては、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、HIPS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)は、(A)〜(D)成分と必要に応じて用いられる各種の添加剤やその他の樹脂を混合してペレット化することにより得ることができる。ペレット化の方法としては特に制限はないが、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いた溶融混練法が好ましく、必要に応じて、サイドフィードなどにより木粉やその他の添加剤を配合することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(II)についても、熱可塑性樹脂組成物(I)の製法と同様な方法で各種配合成分を混合してペレット化することにより得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)の各熱可塑性樹脂組成物の混合時期は特に制限されず、ペレット形状のまま所定の配合量で予め混合されてもよいし、どちらか、または両方の熱可塑性複合樹脂組成物が溶融した状態で混合されてもよい。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物は、ブロー成形に適しており、また、その製造工程で発生するバリなど樹脂屑の再利用にも適している。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物よりなる樹脂屑は、そのままの状態もしくは、場合によって破砕したものを溶融再生処理に供することができるという利点を有するものである。この場合、樹脂にリサイクルしても木目調が発現できるため、成形中に回収することも可能であるが、別途回収しておいて、上述の熱可塑性樹脂組成物(I)又は熱可塑性樹脂組成物(II)のペレットの製造工程において、原料として混合使用することも可能である。
バリなどの仕上げ工程で発生する樹脂屑や成形初めの製品にならない成形品の破砕品をリサイクルする場合、回収される樹脂屑や破砕品の成分は、全熱可塑性複合樹脂組成物の中に30重量%以下、特に20重量%以下、とりわけ10重量%以下であることが好ましい。リサイクル材の割合がこの範囲を超えると、バージン材の成形品と木質感ないし木目調の違いが生じる可能性があるため好ましくない。
以下に、合成例、実施例、および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」を意味するものとする。
また、重量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
ゴム質重合体の重量平均粒子径は、日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法より求めて使用した。
また、単量体の重量組成比率は、(株)堀場製作所製:FT−IRを使用して求めた。
[ゴム含有グラフト共重合体]
合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(a−1)の製造
以下の配合にて、乳化重合法によりABS共重合体を合成した。
〔配合〕
スチレン(ST) 38部
クリロニトリル(AN) 12部
ポリブタジエンラテックス 50部(固形分として)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.1部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量85%、平均粒子径0.3μm)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(a−1)を得た。
合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(a−2)の製造
ゴム量を20部、スチレンを56部、アクリロニトリルを24部としたこと以外は、上記と同様にして、ABSグラフト共重合体(a−2)を得た。
合成例3:ゴム含有グラフト共重合体(a−3)の製造
ポリブチルアクリレート(ゲル含有量65%、平均粒子径0.34μm)50部(固形分として)の存在下、AN15部、ST35部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にグラフト重合を行いASAグラフト共重合体(a−3)を得た。
合成例1,2,3で製造したゴム含有グラフト共重合体のゴム質含有量、単量体の重量組成比率、グラフト率、およびアセトン可溶分の重量平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
ゴム含有グラフト共重合体(a−1):ゴム含有量=50.2%
AN/ST=24/76
グラフト率=40%
重量平均分子量(Mw)=110,000
ゴム含有グラフト共重合体(a−2):ゴム含有量=19.8%
AN/ST=30/70
グラフト率=67%
重量平均分子量(Mw)=145,000
ゴム含有グラフト共重合体(a−3):ゴム含有量=50.4%
AN/ST=30/70
グラフト率=57%
重量平均分子量(Mw)=155,000
[ビニル系共重合体]
合成例4:ビニル系共重合体(b−1)の製造
以下のように、懸濁重合法によりビニル系共重合体を合成した。
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN30部、ST70部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、ビニル系共重合体(b−1)を得た。
合成例5:ビニル系共重合体(b−2)の製造
AN25部、ST20部、α−メチルスチレン(AMST)35部、N−フェニルマレイミド(NPMI)20部からなるモノマー混合物を使用し、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(b−2)を得た。
合成例4および5で製造したビニル系共重合体の単量体の重量組成比率、および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、以下の通りであった。
ビニル系共重合体(b−1):AN/ST=29/71
重量平均分子量(Mw)=210,000
ビニル系共重合体(b−2):AN/(ST+AMST)/NPNI
=24/57/19
重量平均分子量(Mw)=150,000
[木粉(C)]
AMERICAN WOOD FIBERS社の下記製品、および製材で発生した木粉を用いた。
木粉(c−1):Wood Flour 4010(平均粒子径;210μm)
木粉(c−2):Wood Flour 2010(平均粒子径;400μm)
木粉(c−3):製材により発生したマツの木粉(平均粒子径;850μm)
[加工助剤(D)]
以下のものを用いた。
加工助剤(d−1):三菱レイヨン社製「メタブレンP−551A」
加工助剤(d−2):三菱レイヨン社製「メタブレンL−1000」
[熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造および評価]
上記(A)〜(D)成分を表1に示す配合割合で混合し、更に、顔料、滑剤、および酸化防止剤と共に混合した後、200〜240℃で2軸押出機(日本製鋼所製「TEX−44」)にて溶融混合し、ペレット化することにより、熱可塑性樹脂組成物ア〜サのペレットを作成した。
これらの樹脂ペレットを2オンス射出成形機(東芝(株)製)で220〜250℃にて成形し、耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)、耐熱性(荷重たわみ温度)を下記方法で測定した。また、それぞれの熱可塑性樹脂組成物のプレートを目視にて観察して色目を調べた。これらの結果を表1に示した。
シャルピー衝撃強さ(KJ/m):ISO 179(常温)
荷重たわみ温度(℃):ISO 75(測定荷重18.2MPa)
Figure 2006002007
[実施例及び比較例]
表1の熱可塑性樹脂組成物を表2に示す組み合わせ及び配合で用いてブロー成形を行い、下記の評価方法を実施し、結果を表2に示した。
なお、組み合わせた熱可塑性樹脂組成物(I)と(II)について、ミノルタ(株)製:分光測色計CM−508dを用いて色度を測定し、熱可塑性樹脂組成物(I)を基準として熱可塑性樹脂組成物(II)の色差を求め、表2に併記した。また、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との荷重たわみ温度差(熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度−熱可塑性樹脂組成物(I)の荷重たわみ温度)を表2に併記した。
<ドローダウン性> アキュームレータ付きブロー成形機(宇部興産(株)製DA65、スクリュー径65mm、アキュームレータ容量3.0L)を使用して、ダイス温度を200〜210℃に設定し、長さ650mmのパリソンを射出した。パリソンを射出する圧力を一定とし、ダイキャップはパリソン長が650±10mmになるように調整した。最初のパリソン長650mmが自由落下で100mm伸びるまでの所要時間をドローダウン時間として計測した。0〜5秒を×、6〜10秒を△、11〜20秒を○、21秒以上を◎とし、この時間が長いほどドローダウン性は優れ、11秒以上の性能を有すれば偏肉の可能性が無く、均一な肉厚が成形でき、各部位の強度へ影響することが少なくなり、ブロー成形性に優れるため合格とした。
また、ボードと呼ばれる中空成形品を成形し、以下の評価に用いた。
<木目調> 得られた成形品の木目の模様を観察した。良好な木目模様が発現され優れているものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、木目模様が得られないものを×とした。
<木質感> 木目調と同様に成形品の表面外観と艶を観察した。表面外観と艶が特に優れているものを◎、良好なものを○、どちらかが劣るものを△、両方とも劣るものを×とした。
<耐衝撃性> 各中空成形品の同一個所から、2mm厚みの板状サンプルを切り出し、シャルピー衝撃試験機を用いて、衝撃値を測定した。15kJ/m以上を合格(○)とし、それ未満を不合格(×)とした。
<耐久性(耐候性)> 各中空成形品の同一個所から、2mm厚みの板状サンプルを切り出し、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製「WEL−SUN−HC型」)を用い、63℃雨無しの条件に500時間暴露後のサンプルについてシャルピー衝撃試験機を用いて、衝撃値を測定した。15kJ/m以上を合格(○)とし、それ未満を不合格(×)とした。
<リサイクル性> ブロー成形品をナイフで削り、仕上げを施した段階で発生した樹脂屑を集め、熱可塑性複合樹脂組成物の配合割合の中で10重量%を回収して、上記と同様にブロー成形を行い、その成形品外観を観察し、表面外観、木目調、木質感などを目視観察して評価した。特に優れたものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、得られないものを×とした。
Figure 2006002007
[考察]
表2から明らかなように、本発明の請求項の要求を満たす実施例1〜7の熱可塑性複合樹脂組成物は、ブロー成形性、衝撃強度、耐久性、木目調、木質感ともに優れており、さらに優れたリサイクル性をも有している。
これに対して、請求範囲から外れている熱可塑性樹脂組成物やその組み合わせによる成形を行った比較例1〜4は、ブロー成形性、耐衝撃性、耐久性、強度、木目調、木質感、リサイクル性のいずれかが劣り、これらのバランスが得られていないことが明らかである。比較例1は、熱可塑性樹脂組成物(I)のゴム含有量が請求範囲を満たしていないため、耐衝撃性、耐久性が得られない。比較例2は、熱可塑性樹脂組成物(I)と(II)の色差が請求範囲を満たしていないので、通常の成形、さらにリサイクルを行った際に木質感が得られ難くなる。比較例3は、荷重たわみ温度の差が無いため、通常の成形やリサイクルを行った際にも、木目調、木質感がまったく得られないものであった。比較例4は、木粉の粒子径が大きいため、異物に見えることから木質感が得られ難く、さらに、ナイフで削り取る際に、木粉の抜け落ちにより目視でも確認できるような穴が発生するといった加工性の悪さもあった。
本発明の熱可塑性複合樹脂組成物を成形してなる木目調を有する樹脂成形品は、優れた耐久性、耐衝撃性、耐熱性、成形性、リサイクル性を発揮することから、成形時の無駄がなく、非常に広範な用途に使用することができる。
例えば、学習机やテーブルなどの天板、椅子、パーティション、ロッカーやクローゼットなどの家具、ベッドのヘッドボードやフットボードなどの寝具、扉や取っ手、階段などの手摺、柱、欄間などの住宅内装建材、ダクトカバーや窓枠、雨どいなどの住宅外装部品、仏壇や額縁などの化粧板、洗面台や流し台の前扉や、棚板や引出し、ケース類、お盆やトレイといった製品や部品、また、アームレスト、フロアボックスなどの車両・船舶などの外装や内装部品、テレビやステレオのスピーカー筐体、ピアノやカスタネットなどの楽器分野など市場のニーズに合わせて多彩な用途に使用することができる。

Claims (8)

  1. ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(A)と、
    芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を共重合してなるビニル系共重合体(B)と
    の混合物であって、前記ゴム質重合体の含有量が10〜30重量%である混合物100重量部に対して、加工助剤(D)1〜50重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物(I)80〜99重量%と、
    該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂組成物(II)1〜20重量%とを配合してなることを特徴とする熱可塑性複合樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂組成物(I)が、ゴム含有グラフト共重合体(A)と、前記ゴム質重合体の含有量が10〜30重量%である混合物100重量部に対して、木粉(C)0〜30重量部と、加工助剤(D)1〜50重量部とを添加してなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  3. 木粉(C)の平均粒子径が10〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  4. 加工助剤(D)がメタクリル酸メチル単位を成分に含む共重合体からなる助剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂組成物(II)は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、その他の共重合可能な単量体の成分のうち、少なくとも3つ以上の単量体から構成されたビニル系共重合体を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との色差が3以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度が熱可塑性樹脂組成物(I)の荷重たわみ温度よりも5℃以上高いことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱可塑性複合樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の熱可塑性複合樹脂組成物をブロー成形してなる木目調樹脂成形品。
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