WO2019168022A1

WO2019168022A1 - 接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法

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Publication number: WO2019168022A1
Application number: PCT/JP2019/007538
Authority: WO
Inventors: 英一黒崎
Original assignee: 田中精密工業株式会社
Priority date: 2018-03-02
Filing date: 2019-02-27
Publication date: 2019-09-06
Also published as: JP6515241B1; EP3780363A1; JP2019150813A; CN110741541A; US20210031227A1; KR20200118215A; CN110741541B; KR102169906B1; EP3780363A4; US10953427B2

Abstract

打ち抜かれる帯状薄鋼板の移送速度によらずに接着剤を安定的に塗付することができ、積層鉄芯の生産性向上に寄与する積層鉄芯の接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法を提供する。接着剤塗布装置は帯状薄鋼板の接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する吐出孔（１８）を備える接着剤吐出部と、接着剤吐出部を収容する接着剤容器（８）と、接着剤吐出部に対して所定圧力で接着剤を供給するタンク（７）とを有し、接着剤吐出部は接着剤容器（８）に固定され、帯状薄鋼板（２）が所定形状に打ち抜かれるときに帯状薄鋼板（２）の下面が接着剤容器（８）の上面に当接した際に、タンク（７）から供給されて、帯状薄鋼板（２）の下面に当接する接着剤容器（８）の上面から一定の距離にある吐出孔（１８）から吐出される接着剤を帯状薄鋼板（２）の下面に塗布する。

Description

接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法

　本発明は、接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法に関する。

　本発明は、回転電機の固定子や回転子に用いられる積層鉄芯の接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法に関し、特に、帯状薄鋼板から所定形状に打ち抜かれた鉄芯薄板を積層接着するための接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法に関する。

　回転電機用の積層鉄芯は一般に、電磁鋼板のフープ材（帯状薄鋼板）を素材として、その帯状薄鋼板を順次金型装置に送給することにより製造される。金型装置では、帯状薄鋼板に対してパイロット穴やスロット部、内径ティース等の所定の打ち抜き加工が順次行われて鉄芯薄板が連続的にかたちづくられ、打ち抜き後の鉄芯薄板を所定の枚数積層して固着させることにより積層鉄芯が製造される。鉄芯薄板の固着には、各鉄芯薄板にかしめ用の凹凸を形成しておき、積層時に圧着させてかしめ結合させる積層かしめ法や、積層後にレーザ溶接等によって鉄芯薄板を結合する積層溶接法も存在するが、結合部位の磁気特性の劣化等が生じ難いことから、金型装置内で帯状薄鋼板の表面に接着剤を塗布し、打ち抜きと同時に鉄芯薄板を積層して接着させる積層接着法（特許文献１、２参照）が広く提案されている。

　積層接着法に用いる接着剤供給装置としては、例えば、プレス成形ラインの下金型内において上下に摺動自在に保持されたシリンダと、シリンダの先端部に設けられた複数の接着剤転写用ノズルと、シリンダの先端側内部に画成されて、接着液供給通路から所定圧で供給された接着液を貯留する貯留室と、シリンダ内に摺動自在に設けられ、貯留室内の接着液を転写用ノズル方向へ押し出すピストンとを備え、プレス成形機の上金型を下降させてシリンダ先端部を押圧することで、ピストンをシリンダに対して相対的に上昇させて、転写用ノズルから鉄芯薄板に向けて接着液が吐出されるようにしたものが存在する（特許文献３参照）。

　ところで、上記特許文献３に記載の発明においては、接着液を吐出させるためのシリンダおよびピストンの相対移動がプレス成形機のラム（金型）の上下動によって実現されるため、プレス動作の速度を増大させた場合、転写用ノズルから鉄芯薄板に向けて吐出される接着液の速度も増大することとなる。従って、プレス動作速度が一定の限界を超えると、転写用ノズルから接着液が過大に吐出されて接着強度にばらつきが生じる上、接着液が周囲に飛散して金型等に悪影響を及ぼす虞があった。即ち、特許文献３に記載の発明では、鉄芯薄板に対する接着液の適切な転写を実現可能な範囲でプレス動作の速度を設定する必要があり、プレス動作の高速化も一定の制約を受けるという課題があった。このような課題は、ラムの上下動によってピストンを直接移動させる構成とした場合も同様に生じ得る。

　そこで、打ち抜きによる帯状薄鋼板の移送速度によらずに接着剤を塗付するための積層鉄芯の製造装置が提案されている（特許文献４、５、６）。

特開２００１－２５２１８号公報特開２００１－３２１８５０号公報特開２００３－３３７１１号公報特許第５１６０８６２号明細書特許第５５７６４６０号明細書特許第５８９０４７６号明細書

　しかし、特許文献４ないし６に記載された積層鉄芯の製造装置は、金型装置の内部に帯状薄鋼板に接着剤を塗布する装置を備えているため、所定量の接着剤が塗布されているかどうかを確認することや塗布量を調整することが困難であるとともに、接着剤塗布装置のメンテナンス性に劣っており、製造工程中に何らかのトラブルが発生したときに適切な処置を施すことが極めて困難である。さらに、特許文献４に記載された積層鉄芯の製造装置では、フープ材１が下金型１１の上面１１ａに当接した際に、吐出孔６２から吐出される接着剤がフープ材１の下面に塗布される。そして、フープ材１の下面に接着剤を塗布しないようにするために、駆動装置９２が駆動して駆動部材９１を後退させて、駆動部材９１のカム面９１ａとベース本体４１のカム面４１ａとが係合状態となって、接着剤吐出部３１が下限位置まで下降し、接着剤をフープ材１の下面に塗布しないようにしている。すなわち、特許文献４に記載された積層鉄芯の製造装置は接着剤吐出部３１を進退動させることにより、フープ材１の下面に接着剤を塗布する。従って、進退動に伴って上記カム面９１ａとカム面４１ａが摩耗するので、フープ材１の下面への接着剤の塗布量が変動する。また、特許文献４に記載された積層鉄芯の製造装置は接着剤吐出部３１を進退動させるので、吐出孔６２が複数ある場合、接着剤導入ブロック４３の僅かな傾きがあれば、フープ材１の下面との距離が異なる吐出孔６２が発生するという不都合がある。

　本発明は、従来の前記問題点に鑑みてこれを改良したものであって、打ち抜かれる帯状薄鋼板の移送速度によらずに接着剤を安定的に塗付することができ、積層鉄芯の生産性向上に寄与する積層鉄芯の接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法を提供することを目的とするものである。

　前記課題を解決するために本願第一発明は、金型装置において帯状薄鋼板から所定形状に打ち抜かれた鉄芯を積層して互いに接着するために上記金型装置以外の場所で当該帯状薄鋼板に接着剤を塗布する装置であって、帯状薄鋼板の接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する吐出孔を備える接着剤吐出部と、上記接着剤吐出部を収容する接着剤容器と、上記接着剤吐出部に対して所定圧力で接着剤を供給する接着剤供給部とを有し、上記接着剤吐出部は接着剤容器に固定され、帯状薄鋼板が所定形状に打ち抜かれるタイミングにおいて帯状薄鋼板が接着剤容器に当接した際に、上記帯状薄鋼板に当接する接着剤容器の端面に対して内側に離間している接着剤の吐出孔から吐出される接着剤を帯状薄鋼板に塗布することを特徴とする。

　本願第二発明は、接着剤容器は帯状薄鋼板の上側又は下側にあることを特徴とする。

　本願第三発明は、接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段を有していることを特徴とする。

　本願第四発明は、接着剤容器は、吐出孔が複数設けられ、当該複数の吐出孔が連通する接着剤溜まりを有することを特徴とする。

　本願第五発明は、接着剤容器と、帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段とを、一体に昇降させ得る昇降装置を有することを特徴とする。

　本願第六発明は、接着剤容器に発熱体を有することを特徴とする。

　本願第七発明は、金型装置において帯状薄鋼板から所定形状に打ち抜かれた鉄芯を積層して互いに接着するために上記金型装置以外の場所で当該帯状薄鋼板に接着剤を塗布する方法であって、帯状薄鋼板の接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する吐出孔を備える接着剤吐出部と、上記接着剤吐出部を収容する接着剤容器と、上記接着剤吐出部に対して所定圧力で接着剤を供給する接着剤供給部と、不要な接着剤を帯状薄鋼板に塗布しないように接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段とを有し、上記接着剤吐出部は接着剤容器に固定され、帯状薄鋼板が所定形状に打ち抜かれるタイミングにおいて帯状薄鋼板が接着剤容器に当接した際に、上記帯状薄鋼板に当接する接着剤容器の端面に対して内側に離間している接着剤の吐出孔から吐出される接着剤を帯状薄鋼板に塗布することを特徴とする。

　本願第一発明と本願第二発明と本願第七発明によれば、打ち抜き時の帯状薄鋼板の上面または下面と吐出孔の先端との距離は一定であって、吐出孔上に盛り上がっている接着剤はほぼ定量であり、打ち抜きを行う装置（金型装置）の上下動に同期して、ほぼ定量の接着剤を帯状薄鋼板の上面または下面に塗布することが可能である。また、吐出孔が複数であっても、それら各吐出孔の先端と帯状薄鋼板の上面または下面との距離は同じなので、正確に接着剤を塗布することが可能である。さらに、金型装置を分解することなく、接着剤の塗布量を確認したり、塗布量を調整することができる。本願第三発明によれば、必要に応じて、接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段で帯状薄鋼板を昇降させて吐出孔から引き離すことにより、帯状薄鋼板の上面または下面に接着剤が塗布されないようにすることができる。さらに、本願第一発明と本願第三発明によれば、帯状薄鋼板の昇降を拘束するものがないので、帯状薄鋼板を容易に接着剤容器から引き離すことができる。本願第四発明によれば、複数の吐出孔から接着剤を安定して帯状薄鋼板の上面または下面に塗布することができる。本願第五発明によれば、接着剤容器と、帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段とを、一体に昇降させ得る昇降装置で昇降させて、帯状薄鋼板の上面または下面と接着剤容器の端面との距離を容易に調整することができる。本願第六発明によれば、接着剤容器は金型装置の外に設けられているので、発熱体で接着剤を昇温して接着剤の流動性を向上させることにより、金型装置に熱的な影響を与えることがなく、また、金型装置から熱的な影響を受けることもなく、吐出孔から接着剤を安定して帯状薄鋼板に塗布することができる。

図１は、本発明の接着剤塗布装置及びその前後設備を含む一実施形態の概略構成図である。図２は、本発明の接着剤塗布装置及びその後続設備の一実施形態の拡大斜視図である。図３は、本発明の接着剤塗布装置の一実施形態の断面を含む動作状態を示す拡大正面図である。図４は、本発明の接着剤塗布装置の一実施形態の断面を含む別の動作状態を示す拡大正面図である。図５は、本発明の接着剤塗布装置の一実施形態の断面を含むさらに別の動作状態を示す拡大正面図である。図６（ａ）は本発明の接着剤塗布装置及びその前後設備を含む別の実施形態の概略構成図、図６（ｂ）は本発明の接着剤塗布装置及びその前後設備を含む、さらに別の実施形態の概略構成図である。図７は、本発明の接着剤塗布装置の一実施形態の断面を含む動作状態を説明する拡大正面図である。

　以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。

　図１は、本発明の接着剤塗布装置及びその前後設備を含む一実施形態の概略構成図である。図１において、１は帯状薄鋼板２が巻かれたコイル材である。３は接着剤塗布装置、６は上金型４と下金型５からなる金型装置である。図１に示すように、接着剤塗布装置３は金型装置６の直前に設置されている。コイル材１から送り出された帯状薄鋼板２の下面に接着剤塗布装置３によって接着剤が塗布された後、帯状薄鋼板２は金型装置６で所定の形状に打ち抜かれて、矢示方向に送られる。図１においては、金型装置６の直前に接着剤塗布装置３が設けられているが、接着剤塗布装置３の直前に、金型装置６とは別の金型装置を設け、その別の金型装置で帯状薄鋼板２を所定の形状に打ち抜いた後、帯状薄鋼板２の下面に接着剤塗布装置３によって接着剤を塗布し、さらに、その帯状薄鋼板２を金型装置６で所定の形状に打ち抜くこともできる。

　また、図６（ａ）に示すように、図１に示す接着剤塗布装置３と金型装置６を、枠体２１ａと２１ｂと２１ｃと２１ｄで囲まれたプレス装置内に配し、上記と同様に、コイル材１から送り出された帯状薄鋼板２の下面に接着剤塗布装置３によって接着剤を塗布した後、帯状薄鋼板２を金型装置６で所定の形状に打ち抜いて、矢示方向に送ることもできる。この場合、上金型４は置台２２ａに保持され、下金型５と接着剤塗布装置３は置台２２ｂに保持されている。なお、図６（ａ）においては、接着剤塗布装置３は帯状薄鋼板２に対して下側に配置されているが、接着剤の粘度や接着剤の供給圧力によっては、図６（ｂ）に示すように、接着剤塗布装置３を帯状薄鋼板２の上側に配置することも可能である。すなわち、後記する段落００２７では、上金型４を下金型５に向かって下降させて帯状薄鋼板２を所定の形状に打ち抜くタイミングに同期させて、帯状薄鋼板２の下面に対して接着剤が塗布されるが、接着剤塗布装置３を帯状薄鋼板２の上側に配置する場合、図６（ｂ）に示すように、接着剤塗付装置３を置台２２ａに吐出孔１８（図３、図４、図５参照）を下向きにして取付け、上金型４と同時に下金型５に向かって下降させる構成を採用することにより、帯状薄鋼板２を所定の形状に打ち抜くタイミングに同期させて、帯状薄鋼板２の上面に対して接着剤を塗布することができる。というのは、本発明において使用される接着剤は、水のように自由に流動せず、一定の粘性を有している。すなわち、本発明で使用される接着剤は、いわゆるチキソトロピー性に類似する特性を備えているので、図６（ｂ）に示すように、接着剤塗布装置３を帯状薄鋼板２の上側に配置しても、接着剤が下方に垂れることはなく、この段落００２１に記載したように、帯状薄鋼板２を金型装置６で所定の形状に打ち抜くタイミングに同期させて、帯状薄鋼板２の下面に対して接着剤を塗布するときと同様に、帯状薄鋼板２の上面に対して接着剤を塗布することができるのである。

　図２は、本発明の接着剤塗布装置及びその後続設備の一実施形態の拡大斜視図である。図２において、７は接着剤が貯留されているタンクであり、後記する接着剤を吐出する吐出孔を備える接着剤吐出部に対してホース７ａを経て所定の圧力で接着剤が常時供給される。８は接着剤吐出部を収容する接着剤容器である。９は帯状薄鋼板２を昇降させることが可能なリフトピン（接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板のみを昇降させることが可能な手段）、１０は第一昇降装置、１１は内部にスライドブロックを収容している矩形状容器である。

　図３は、本発明の接着剤塗布装置の断面を含む一実施形態の動作状態を示す拡大正面図である。図３において、第一昇降装置１０のノブ１０ａを回動することにより、接着剤容器８とリフトピン９と矩形状容器１１を昇降させることができる。矩形状容器１１に収容されたスライドブロックは、上側の第一スライドブロック１２ａと下側の第二スライドブロック１２ｂからなる。下側の第二スライドブロック１２ｂはスライド片１３に接続されており、スライド片１３はロッド１４に接続されている。ロッド１４はシリンダー１５内に進入または退避することが可能であり、ロッド１４は、開口部１５ａに空圧源から適切な圧力の圧空または油圧源から適切な圧力の圧油を供給することにより、ロッド１４をシリンダー１５内に進入または退避させることが可能である。１６はシリンダー１５を昇降させて、シリンダー１５の下面と、第二スライドブロック１２ｂの下面との上下方向の位置を一致させるための第二昇降装置であり、ノブ１６ａを回動することによりシリンダー１５を昇降させて、シリンダー１５の下面と、第二スライドブロック１２ｂの下面との上下方向の位置を一致させることができる。

　図５に示すように、ロッド１４がシリンダー１５内に進入することにより、第二スライドブロック１２ｂが左方に引っぱられると、第一スライドブロック１２ａは第二スライドブロック１２ｂと接触している斜面１７をせり上がる。その結果、第一スライドブロック１２ａに支持されているリフトピン９は上昇し、帯状薄鋼板２を上昇させる。このように、リフトピン９は接着剤容器８をその位置に置いたままで、帯状薄鋼板２を昇降させることができる。

　図３において、１８は接着剤を吐出する吐出孔である。図３、図４及び図５に示すように、吐出孔１８は接着剤容器８の端面に対して内側に離間している。また、この吐出孔１８を備えた接着剤吐出部は接着剤容器８に固定されている。本実施形態においては、吐出孔１８は６個であるが、もちろん６個に限定されるものではない。タンク７に貯留されて所定の圧力で供給される接着剤はホース７ａおよび接着剤溜まり１９を経て、６個の各吐出孔１８から同じ量の接着剤を安定して吐出することができる。６個の吐出孔１８は接着剤溜まり１９に連通している。２０は接着剤を所定の温度に昇温するための電気ヒーターであり、図示しない電源と接続されており、接着剤容器８の周縁部に吐出孔１８を取り囲むように配置されている。電気ヒーター２０で接着剤を昇温することにより、接着剤容器８内にある接着剤の流動性を向上させ、吐出孔１８から安定して接着剤を吐出することができる。接着剤容器８は金型装置６の外に設けられているので、電気ヒーター２０による昇温の影響が金型装置に及んだり、逆に金型装置の温度変化が接着剤の流動性に影響を及ぼすことはない。

　上記のように構成される接着剤塗布装置を用いて帯状薄鋼板に接着剤を塗布する方法について説明する。
　図１に示すように、コイル材１から送り出された帯状薄鋼板２は接着剤塗布装置３で接着剤を塗布された後、金型装置６で所定の形状に打ち抜かれるという工程を経るが、その詳細について以下に説明する。

　帯状薄鋼板２に対して途切れることなく接着剤が塗布されるのではなく、図１において、上金型４を下金型５に向かって下降させて帯状薄鋼板２を所定の形状に打ち抜くタイミングに同期させて、帯状薄鋼板２に対して接着剤が塗布される。すなわち、図３に示すように、打ち抜き以外のタイミングでは、帯状薄鋼板２と、接着剤容器８の上面およびリフトピン９の先端との間には所定の間隔（数ｍｍ程度）が設けられている。そして、図１において、帯状薄鋼板２を所定の形状に打ち抜くタイミングでは、上金型４が下金型５に向かって下降することで帯状薄鋼板２は下金型５側に向けて押圧されるので、図４及び図７に示すように、帯状薄鋼板２の下面が接着剤容器８の上面に当接する。タンク７に貯留されて所定の圧力で供給される接着剤はホース７ａ及び接着剤溜まり１９を経て常時吐出孔１８から吐出される。接着剤容器８の上面と吐出孔１８の先端との上下方向の距離は不変であって、打ち抜き時に接着剤容器８の上面に当接する帯状薄鋼板２の下面と吐出孔１８の先端との距離は一定であるから、吐出孔１８上に盛り上がっている接着剤はほぼ定量である。従って、ほぼ定量の接着剤を帯状薄鋼板２の下面に塗布することができる。

　上記のようにして、帯状薄鋼板２の下面に接着剤が塗布された後、帯状薄鋼板２が所定の形状に打ち抜かれることによって得られる鉄芯は下金型５内に積層される。この積層鉄芯が所定枚数に達すると、下金型５から排出される。下金型５から排出される積層鉄芯には、加熱等の所定の後処理が施された後、組み立てられる。本実施形態では、帯状薄鋼板２の下面に接着剤が塗布されるので、下金型５から排出される所定枚数の鉄芯薄板のロットの中で、最下層にある鉄芯薄板には接着剤が塗布されないようにしなければならない。そこで、各ロットの中で最初に打ち抜かれて得られる鉄芯薄板には接着剤が塗布されないようにするために、図５に示すように、ロッド１４がシリンダー１５内に進入すると、第二スライドブロック１２ｂが左方に引き込まれ、第一スライドブロック１２ａは第二スライドブロック１２ｂと接触している斜面１７をせり上がる。その結果、第一スライドブロック１２ａに支持されているリフトピン９は上昇して帯状薄鋼板２を上昇させる。その結果、帯状薄鋼板２の下面と吐出孔１８の先端との距離は図４の状態より大きくなるので、吐出孔１８上に盛り上がっている接着剤は帯状薄鋼板２の下面に塗布されない。このとき、帯状薄鋼板２の下面を吐出孔１８の先端から引き離すだけでよいので、リフトピン９の上昇量に高い精度は要求されない。

　そして、各ロットの最下層以外の鉄芯薄板の下面には接着剤が確実に塗付されるようにするために、各ロットで最初に打ち抜かれて鉄芯薄板となる帯状薄鋼板２の一部分が接着剤塗布装置３を通過した後、直ちにロッド１４はシリンダー１５から退避するように右方に移動して第二スライドブロック１２ｂは右方に押圧されるので、第一スライドブロック１２ａは第二スライドブロック１２ｂと接触している斜面１７を下降して、図３に示すように、帯状薄鋼板２と、接着剤容器８の上面およびリフトピン９の先端との間には所定の間隔が設けられている状態に復帰する。

　上記のように、帯状薄鋼板２の打ち抜き時に、図４に示すように、帯状薄鋼板２の下面を接着剤容器８の上面に当接させて、吐出孔１８から吐出される接着剤を、うまく帯状薄鋼板２の下面に塗布することができるように、打ち抜き前に、ノブ１０ａを回動することにより、接着剤容器８とリフトピン９と矩形状容器１１を適切な距離だけ昇降させる操作が行われる。また、上記第一昇降装置１０に代えて、接着剤容器８とリフトピン９と矩形状容器１１を適切な距離だけ昇降させるために、高さ調整プレートを利用することもできる。

　また、下金型５から排出される鉄芯薄板の各ロットの中で、最初に打ち抜かれて得られる鉄芯薄板には接着剤が塗布されないようにするために、図５に示すように、リフトピン９が上昇して帯状薄鋼板２を上昇させ、吐出孔１８上に盛り上がっている接着剤が帯状薄鋼板２の下面に塗布されないようにしなければならない。そこで、段落００２４に記載した動作が問題なく行われるように、打ち抜き前に、ノブ１６ａを回動することによりシリンダー１５を昇降させて、シリンダー１５の下面と、第二スライドブロック１２ｂの下面との上下方向の位置を一致させる操作が行われる。

　本発明は、打ち抜き時の帯状薄鋼板の下面と接着剤を吐出する吐出孔の先端との距離が一定であるという特徴を有しており、その距離は経時的な摩耗やずれ等がなく一定であることを以下に説明する。本発明において、接着剤吐出部は接着剤容器に固定され、接着剤の吐出孔は接着剤容器の端面に対して内側に離間し、接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段を有している。従って、帯状薄鋼板が所定形状に打ち抜かれるタイミングにおいて帯状薄鋼板が接着剤容器に当接した際に、接着剤容器の端面に当接する帯状薄鋼板の端面から一定の距離にある（接着剤容器の端面に対して内側に離間している）吐出孔から吐出される、ほぼ定量の接着剤を帯状薄鋼板に塗布することができる。一方、段落００２８に記載したように、不要な接着剤を帯状薄鋼板に塗布しないようにしなければならないことがある。そのために、段落００２４に記載したように、接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段を有している。従って、不要な接着剤を帯状薄鋼板に塗布しないように接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることができるのである。このように、帯状薄鋼板に接着剤を塗布するときに、接着剤を吐出する吐出孔の先端と帯状薄鋼板の端面との距離を一定に保つ機能と、帯状薄鋼板に接着剤を塗布しないときに、接着剤を吐出する吐出孔から帯状薄鋼板を引き離す機能とが分離されているという重要な特徴を備えていることになる。

　これらの機能（段落００３２に記載の接着剤を吐出する吐出孔の先端と帯状薄鋼板の端面との距離を一定に保つ機能と接着剤を吐出する吐出孔から帯状薄鋼板を引き離す機能）が一体である場合、特許文献４のように、帯状薄鋼板の下面と吐出孔の先端との距離は、カム面の係合状態に常に依存するため、カム面に摩耗が発生したり、接着剤導入ブロック４３に僅かな傾きがあった場合、吐出孔の先端と帯状薄鋼板の下面との距離を一定に保つ機能を果たせなくなる。一方、本発明では、カム面が摩耗したとしても、その影響は帯状薄鋼板を引き離す機能を有するリフトピン９の上昇量に現れることになるものの、段落００２８に記載のように、リフトピン９の上昇量に高い精度は要求されない。また、吐出孔１８の先端と帯状薄鋼板２の下面との距離を一定に保つ機能を有する接着剤容器８の上面と吐出孔１８の間には、摩耗を起こすような可動部は存在しない。この結果、打ち抜き時の帯状薄鋼板２の下面と接着剤を吐出する吐出孔１８の先端との距離は、経時的な摩耗やずれ等がなく一定であることを維持できるのである。

　仮に、金型装置内に接着剤塗付装置がある場合、帯状薄鋼板を昇降させようとしても、金型装置内の様々な部材や機器に拘束されて容易に昇降させることはできない。

　本発明の接着剤塗布装置は、ステップモータやモータコア用の積層鉄芯に適用可能である。

１　コイル材
２　帯状薄鋼板
３　接着剤塗布装置
４　上金型
５　下金型
６　金型装置
７　タンク
８　接着剤容器
９　リフトピン
１０　第一昇降装置
１０ａ　ノブ
１１　矩形状容器
１２ａ　第一スライドブロック
１２ｂ　第二スライドブロック
１３　スライド片
１４　ロッド
１５　シリンダー
１５ａ　開口部
１６　第二昇降装置
１６ａ　ノブ
１７　斜面
１８　吐出孔
１９　接着剤溜まり
２０　電気ヒーター
２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄ　枠体
２２ａ、２２ｂ　置台

Claims

　金型装置において帯状薄鋼板から所定形状に打ち抜かれた鉄芯を積層して互いに接着するために上記金型装置以外の場所で当該帯状薄鋼板に接着剤を塗布する装置であって、帯状薄鋼板の接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する吐出孔を備える接着剤吐出部と、上記接着剤吐出部を収容する接着剤容器と、上記接着剤吐出部に対して所定圧力で接着剤を供給する接着剤供給部とを有し、上記接着剤吐出部は接着剤容器に固定され、帯状薄鋼板が所定形状に打ち抜かれるタイミングにおいて帯状薄鋼板が接着剤容器に当接した際に、上記帯状薄鋼板に当接する接着剤容器の端面に対して内側に離間している接着剤の吐出孔から吐出される接着剤を帯状薄鋼板に塗布することを特徴とする接着剤塗布装置。
　接着剤容器は帯状薄鋼板の上側又は下側にあることを特徴とする請求項１記載の接着剤塗布装置。
　接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段を有していることを特徴とする請求項１または２記載の接着剤塗布装置。
　接着剤容器は、吐出孔が複数設けられ、当該複数の吐出孔が連通する接着剤溜まりを有することを特徴とする請求項１ないし３のいずれか１項記載の接着剤塗布装置。
　接着剤容器と、帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段とを、一体に昇降させ得る昇降装置を有することを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１項記載の接着剤塗布装置。
　接着剤容器に発熱体を有することを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項記載の接着剤塗布装置。
　金型装置において帯状薄鋼板から所定形状に打ち抜かれた鉄芯を積層して互いに接着するために上記金型装置以外の場所で当該帯状薄鋼板に接着剤を塗布する方法であって、帯状薄鋼板の接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する吐出孔を備える接着剤吐出部と、上記接着剤吐出部を収容する接着剤容器と、上記接着剤吐出部に対して所定圧力で接着剤を供給する接着剤供給部と、不要な接着剤を帯状薄鋼板に塗布しないように接着剤容器を昇降させずに帯状薄鋼板を昇降させることが可能な手段とを有し、上記接着剤吐出部は接着剤容器に固定され、帯状薄鋼板が所定形状に打ち抜かれるタイミングにおいて帯状薄鋼板が接着剤容器に当接した際に、上記帯状薄鋼板に当接する接着剤容器の端面に対して内側に離間している接着剤の吐出孔から吐出される接着剤を帯状薄鋼板に塗布することを特徴とする接着剤塗布方法。