WO2019073585A1

WO2019073585A1 - エレベータ巻上機の揚重装置

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Publication number: WO2019073585A1
Application number: PCT/JP2017/037086
Authority: WO
Inventors: 靖征小出; 良直高橋; 大輔岡田; 慎太郎長井; 雅大天野; 岳広加藤; 聖史深貝
Original assignee: 三菱電機株式会社
Priority date: 2017-10-12
Filing date: 2017-10-12
Publication date: 2019-04-18

Abstract

この発明によるエレベータ巻上機の揚重装置は、エレベータ巻上機が載置固定される揚重用アタッチメントと、揚重用アタッチメントに設けられた吊り部によって、揚重用アタッチメントを吊り上げる揚重具とを備えている。揚重具としては、例えば、電動チェーンが用いられる。揚重用アタッチメントには、錘が設けられている。エレベータ巻上機および揚重用アタッチメントの全体の重心は、錘を設けることによって、吊り部より下方に設定されている。

Description

エレベータ巻上機の揚重装置

　この発明は、エレベータの新規設置工事、またはモダニゼーション工事において用いられる、エレベータ巻上機の揚重装置に関するものである。

　エレベータの新規設置工事、またはモダニゼーション工事においては、新しいエレベータ巻上機を、揚重装置を用いて、昇降路の頂部にある機械室に揚重し、機械台または巻上機台の上に取り付ける場合がある。揚重装置は、揚重具として、電動チェーンまたはチェーンブロックを備えている。エレベータ巻上機の揚重作業においては、機械室に櫓が組まれ、櫓の上部に、揚重具が取り付けられる。揚重具のフックは、エレベータ巻上機の上端にあるＩボルトに玉掛けされたロープに取り付けられる。揚重具を巻き上げることによって、エレベータ巻上機は、揚重される。ここで、フックがロープに取り付けられる位置が、吊点である。このように、吊点がエレベータ巻上機より上方にあるため、エレベータ巻上機を機械室に揚重するためには、機械室に十分な高さが必要となる。

　これに対して、従来技術として、揚重台に固定されたエレベータ巻上機を、揚重台とともに揚重する揚重装置がある（例えば、特許文献１参照）。この従来の揚重装置では、揚重台にＩボルトが固定され、Ｉボルトに玉掛けされたロープに、揚重具のチェーンが取り付けられている。ここで、チェーンがロープに取り付けられる位置が、吊点となる。そのため、特許文献１における吊点は、エレベータ巻上機の上方にあった場合と比較して下がる。このようにして、吊点を下げることによって、エレベータ巻上機を揚重するために必要となる、機械室の高さは、低減される。

特開２０１０－２４７９１７号公報

　しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。特許文献１に記載された揚重装置では、エレベータ巻上機は、揚重台に載置固定され、揚重台とともに揚重される。近年、エレベータ巻上機は、大型化および重量化される傾向にある。そのため、エレベータ巻上機および揚重台の全体の重心は、大型化および重量化される以前と比べて、上方となる傾向にある。

　一方、特許文献１に記載された揚重装置における吊点は、揚重台のＩボルトに玉掛けされたロープに、チェーンが取り付けられた位置となっている。そのため、巻上機に直接、ロープが接続されていた場合と比較して、吊点は下方にある。

　エレベータ巻上機が大型化および重量化されることで、エレベータ巻上機および揚重台の重心は、上方に向かう傾向にある一方で、特許文献１に係る揚重装置における吊点は、下方に設けられている。したがって、エレベータ巻上機および揚重台の重心は、吊点より上方となる可能性がある。この場合、エレベータ巻上機は、横転しやすくなってしまい、揚重作業を慎重に行う必要がある。これにより、揚重作業に多大な時間を要していた。

　この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、揚重作業の時間を短縮できるエレベータ巻上機の揚重装置を提供することを目的とする。

　この発明によるエレベータ巻上機の揚重装置は、エレベータ巻上機が載置固定される揚重用アタッチメントと、揚重用アタッチメントに設けられる吊り部によって、揚重用アタッチメントを吊り上げる揚重具とを備える。揚重用アタッチメントには、錘が設けられる。エレベータ巻上機および揚重用アタッチメントの重心は、吊り部より下方である。

　この発明によるエレベータ巻上機の揚重装置は、エレベータ巻上機が巻上機台とともに揚重される際に、エレベータ巻上機および揚重用アタッチメントの全体の重心を下げ、エレベータ巻上機を横転しにくくする構成を備えている。これにより、揚重作業の時間を短縮できるエレベータ巻上機の揚重装置を提供することができる。

この発明の実施の形態１によるエレベータ巻上機の揚重装置の正面図である。図１における巻上機および巻上機台の周辺を、模式的に示した斜視図である。

　以下、この発明のエレベータ巻上機の揚重装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。

　実施の形態１．
　図１は、この発明の実施の形態１によるエレベータ巻上機の揚重装置の正面図である。揚重装置は、エレベータの新規設置工事、またはモダニゼーション工事の際に用いられる。

　エレベータの昇降路頂部の機械室１１には、揚重装置１２が設置されている。揚重装置１２は、櫓５、電動チェーン６、およびアタッチメント１を備えている。アタッチメント１は、中央に垂直方向の穴が設けられた平板である。アタッチメント１には、巻上機２が載置固定されている。巻上機２は、ボルトによって、アタッチメント１に固定されている。アタッチメント１は、巻上機２を揚重するための揚重台であるとともに、巻上機２が、機械室１１に据え付けられる場合の巻上機台を兼ねる。その際、アタッチメント１は、機械室１１に設置されている機械台４に、複数の防振ゴム１０を介して、固定される。アタッチメント１は、揚重用アタッチメントを構成し、巻上機２は、エレベータ巻上機を構成する。

　櫓５は、梁５ａおよび左右一対の脚５ｂを有している。梁５ａは、左右一対の脚５ｂをつないで、脚５ｂの上端に設けられている。梁５ａには、チェーン６ａを備える電動チェーン６が、２基固定されている。電動チェーン６は、揚重具を構成する。

　チェーン６ａには、ロープ８が接続されている。ロープ８とチェーン６ａとの接続部が、吊点３となる。吊点３は、吊り部を構成する。ロープ８は、Ｉボルト７に玉掛けされている。Ｉボルト７は、アタッチメント１に固定されている。Ｉボルト７は、アタッチメント１の中心線Ｃに対して、前後および左右に、対称に４つ設けられている。

　アタッチメント１には、錘９が４つ備えられている。錘９は、巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｇが、アタッチメント１の中心線Ｃ上となるように、配置されている。錘９は、アタッチメント１に対して着脱自在である。図１では、錘９は、アタッチメント１の下部に図示されているが、説明のためであり、この位置に限定されるものではない。

　機械台４は、巻上機２の長手方向に対して垂直に、２つの鋼材が平行に配されたものである。機械台４の鋼材は、断面形状がＨ型であり、上面板４ａおよび下面板４ｂを有している。上面板４ａには、アタッチメント１が固定される。下面板４ｂは、機械室１１の、図示しない床面に固定されている。

　図２は、図１における巻上機および巻上機台の周辺を、模式的に示した斜視図である。
　実施の形態１の揚重装置の作用について、図２および、例となる具体的な数値を用いて、説明する。

　アタッチメント１は、厚さ４００ｍｍ、重さ１００ｋｇである。巻上機２は、高さ８００ｍｍ、重さ５００ｋｇである。錘９の重さは、合計で２００ｋｇである。また、吊点３は、アタッチメント１の上面１ａから上方２００ｍｍの位置に設けられている。

　巻上機２およびアタッチメント１は、電動チェーン６によって、一体となって揚重される。ロープ８とチェーン６ａとの接続部である吊点３は、アタッチメント１の上面１ａから上方２００ｍｍの位置にある。一方、錘９がアタッチメント１に装着されている場合、巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｇは、アタッチメント１の上面１ａから上方１７５ｍｍの位置にある。すなわち、重心Ｇは、吊点３より下方にある。したがって、巻上機２およびアタッチメント１は、揚重される際に、横転しにくくなっている。

　この実施の形態１において、錘９がアタッチメント１に装着されていないとすると、巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｊは、アタッチメント１の上面１ａから上方３００ｍｍの位置となる。すなわち、重心Ｊは、吊点３より上方にある。この場合、巻上機２およびアタッチメント１は、揚重される際に、横転しやすくなっていた。

　吊点の中心点Ｐは、吊点にかかるロープ荷重の重心である。実施の形態１において、左右の吊点３の中心点Ｐは、左右の吊点３の中点である。したがって、左右の吊点３の中心点Ｐは、アタッチメント１の中心線Ｃ上にある。一方、巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｇも、アタッチメント１の中心線Ｃ上にある。そのため、吊点３の中心点Ｐは、重心Ｇの鉛直線上にある。これにより、巻上機２およびアタッチメント１が揚重される際のバランスは、さらに改善される。

　アタッチメント１は、機械室１１に揚重された後、巻上機２から取り外されずに、機械台４に固定され、巻上機２に対する巻上機台としての役割を果たす。アタッチメント１を、巻上機台として、そのまま利用することによって、限られたスペースしかない機械室１１に新たな機器を増やす必要がない。また、アタッチメント１から、機械室１１内に設置した新たな巻上機台へ、巻上機２を移す必要がない。

　巻上機２を揚重する際、アタッチメント１には、錘９が装着されている。アタッチメント１は、巻上機２とともに、機械室１１に揚重され、機械台４に固定される。この場合、錘９が、巻上機台としてのアタッチメント１に装着されたままであると、アタッチメント１によって防振ゴム１０にかかる負担は、錘９の分だけ大きくなる。そのため、錘９を着脱自在としておく。アタッチメント１が機械台４に固定された後、錘９をアタッチメント１から取り外すことによって、アタッチメント１によって防振ゴム１０にかかる負担を、錘９が備えられていない場合と変わらないところまで、低減することができる。また、錘９を４つ設けることによって、巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｇを、所望の位置に合わせこめるように、それぞれの錘９の、重さおよび設置する位置を設計することができる。

　このように、実施の形態１における揚重装置１２は、巻上機２が載置固定されるアタッチメント１と、アタッチメント１に設けられる吊点３によって、アタッチメント１を吊り上げる電動チェーン６とを備えている。アタッチメント１には、錘９が設けられている。巻上機２およびアタッチメント１の全体の重心Ｇは、錘９を設けることによって、吊点３より下方に設定されている。

　このように、錘９を、アタッチメント１に装着することによって、重心Ｇを吊点３より下方に移動させることができ、巻上機２およびアタッチメント１を、より横転しにくくすることができる。これにより、揚重作業の時間を短縮できるエレベータ巻上機の揚重装置を提供することができる。

　錘９は、アタッチメント１に対して、着脱自在である。そのため、アタッチメント１が機械台４に固定された後、錘９をアタッチメント１から取り外すことができる。これにより、アタッチメント１によって防振ゴム１０にかかる負担を低減することができる。

　吊点３は、２つ設けられ、吊点３の中心点Ｐは、巻上機２およびアタッチメント１の重心Ｇの鉛直線上にある。これにより、巻上機２およびアタッチメント１が揚重される際のバランスは、さらに改善される。

　アタッチメント１は、巻上機２の巻上機台として用いられる。これにより、限られたスペースしかない機械室１１に新たな機器を増やす必要がない。また、アタッチメント１から、機械室１１内に設置した新たな巻上機台へ、巻上機２を移す必要がない。

　１　アタッチメント（揚重用アタッチメント）、２　巻上機（エレベータ巻上機）、３　吊点（吊り部）、６　電動チェーン（揚重具）、９　錘、１２　揚重装置、Ｇ　重心、Ｐ　吊点の中心点（吊り部の中心点）。

Claims

　エレベータ巻上機が載置固定される揚重用アタッチメントと、
　前記揚重用アタッチメントに設けられる吊り部によって、前記揚重用アタッチメントを吊り上げる揚重具と、
　を備え、
　前記揚重用アタッチメントには、錘が設けられ、
　前記エレベータ巻上機および前記揚重用アタッチメントの全体の重心は、前記錘を設けることによって、前記吊り部より下方に設定される、
　エレベータ巻上機の揚重装置。
　前記錘は、前記揚重用アタッチメントに対して、着脱自在である、
　請求項１に記載のエレベータ巻上機の揚重装置。
　前記吊り部は、複数設けられ、
　複数の前記吊り部の中心点は、前記重心の鉛直線上にある、
　請求項１または２に記載のエレベータ巻上機の揚重装置。
　前記揚重用アタッチメントは、前記エレベータ巻上機の巻上機台として用いられる、
　請求項１から３のいずれか１項に記載のエレベータ巻上機の揚重装置。