WO2017221642A1 - 三塩化ホウ素の製造方法 - Google Patents

三塩化ホウ素の製造方法 Download PDF

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秀行 栗原
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    • C01P2006/80Compositional purity
    • C01P2006/82Compositional purity water content

Definitions

  • one embodiment of the present invention is as follows [1] to [10].
  • [1] A method for producing boron trichloride by reaction of boron carbide with chlorine gas, A chlorine-containing gas containing chlorine gas and having a water content of 1 ppm by volume or less is added to boron carbide at a temperature lower than the production start temperature at which the production of boron trichloride starts by the reaction between boron carbide and chlorine gas.
  • a chlorine-containing gas can be used as in the dehydration step, and only chlorine gas may be used, or a mixed gas composed of chlorine gas and inert gas is used. Also good.
  • the same type of chlorine-containing gas may be used, or another type of chlorine-containing gas may be used. That is, the ratio of the chlorine gas in the chlorine-containing gas may be the same or different between the generation process and the dehydration process.
  • Example 2 The reaction was performed in the same manner as in Example 1 except that the following chlorine gas was used instead of the high-purity chlorine gas as the chlorine-containing gas used for the boron carbide dehydration treatment. That is, a commercial industrial chlorine gas having a purity of 99.9% by volume and a water content of 5 ppm by volume is passed through a SUS cylinder filled with 1 L of molecular sieves 3A to reduce the water content to 1 ppm by volume or less. This was used as a chlorine-containing gas. As a result, the reaction was completed in 6 hours, the amount of boron trichloride obtained was 167 g, and the yield was 99% by mass. The amount of by-produced hydrogen chloride was 1 mg.
  • Example 4 In Example 1, the boron carbide was heated to 390 ° C. while flowing a chlorine-containing gas at room temperature into the tubular reaction vessel, and dehydration treatment was performed to remove the moisture contained in the boron carbide. Boron carbide was heated to 390 ° C. while flowing a chlorine-containing gas heated to 390 ° C. into the tubular reaction vessel, and a dehydration treatment was performed to remove moisture contained in the boron carbide. In Example 4, the dehydration time was 40 minutes. The reaction was performed in the same manner as in Example 1 except for these points. As a result, the reaction was completed in 6 hours, the amount of boron trichloride obtained was 167 g, and the yield was 99% by mass. The amount of by-produced hydrogen chloride was 1 mg.
  • the reaction was completed in 6 hours, the amount of boron trichloride obtained was 161 g, and the yield was 95% by mass.
  • the amount of by-produced hydrogen chloride was 2.6 g. Since white crystals were attached to the outlet of the tubular reaction vessel after completion of the reaction, the white crystals were a mixture of boric acid and boron oxide when analyzed by powder X-ray diffraction measurement and differential thermal / thermogravimetry. .

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Abstract

反応系内の水分を十分に除去することによって水分に起因する副生成物の生成を抑制して効率的に三塩化ホウ素を製造することができる三塩化ホウ素の製造方法を提供する。三塩化ホウ素の製造方法は、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度で、塩素ガスを含有し且つ水分含有量が1体積ppm以下である塩素含有ガスを、炭化ホウ素に接触させ、炭化ホウ素に含有される水分と塩素含有ガス中の塩素ガスとを反応させて炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水工程と、脱水工程で脱水した炭化ホウ素に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成する生成工程と、を備える。

Description

三塩化ホウ素の製造方法
 本発明は三塩化ホウ素の製造方法に関する。
 三塩化ホウ素(BCl)の製造方法としては、ホウ酸(B(OH))を活性炭に担持させて塩素ガス(Cl)と反応させる方法(例えば特許文献1、2を参照)や、炭化ホウ素(BC)と塩素ガスを反応させる方法(例えば特許文献3を参照)が知られている。これら三塩化ホウ素の製造方法においては、反応系内に水分が存在すると、生成した三塩化ホウ素が加水分解して三塩化ホウ素の製造効率が低下するという問題があった。また、三塩化ホウ素の加水分解によって生じたホウ酸や酸化ホウ素が、三塩化ホウ素の製造ラインを閉塞させるおそれがあるという問題もあった。
 そのため、特許文献1に開示の三塩化ホウ素の製造方法では、ホウ酸と塩素ガスを反応させる前に、高温下において不活性ガスで処理することによって、ホウ酸及び活性炭に含有される水分を除去している。しかしながら、この方法では、水分を十分に除去するまでに長時間を要するおそれがあり、脱水終了の判定も困難であった。
 また、特許文献2に開示の三塩化ホウ素の製造方法では、ホウ酸と塩素ガスを反応させる前に、高温下において不活性ガスと塩素ガスで順次処理することによって、ホウ酸及び活性炭に含有される水分を除去している。しかしながら、約300℃からホウ酸と塩素ガスの反応が生じ三塩化ホウ素の生成が始まってしまうため、塩素ガスによる水分除去時の温度は290℃が限界であるが、290℃では水分を十分に除去できないおそれがあった。
 さらに、特許文献3に開示の三塩化ホウ素の製造方法では、炭化ホウ素と塩素ガスの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する温度は約400℃であるため、炭化ホウ素と塩素ガスを反応させる前に、特許文献2に開示の三塩化ホウ素の製造方法よりも高温で、塩素ガスによる炭化ホウ素の水分除去が可能と思われる。しかしながら、特許文献3には、炭化ホウ素の水分除去についての記載はない。
日本国特許公開公報 2010年第111550号 日本国特許公開公報 昭和58年第20715号 日本国特許公開公報 2009年第227517号
 そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、反応系内の水分を十分に除去することによって水分に起因する副生成物の生成を抑制して効率的に三塩化ホウ素を製造することができる三塩化ホウ素の製造方法を提供することを課題とする。
 前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]~[10]の通りである。
[1] 炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素を製造する方法であって、
 炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度で、塩素ガスを含有し且つ水分含有量が1体積ppm以下である塩素含有ガスを、炭化ホウ素に接触させ、前記炭化ホウ素に含有される水分と前記塩素含有ガス中の塩素ガスとを反応させて前記炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水工程と、
 前記脱水工程で脱水した前記炭化ホウ素に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成する生成工程と、
を備える三塩化ホウ素の製造方法。
[2] 前記塩素含有ガスは、ゼオライトを含有する乾燥剤に接触させたものである[1]に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[3] 前記脱水工程で前記塩素含有ガスを前記炭化ホウ素に接触させる温度が300℃以上である[1]又は[2]に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[4] 前記脱水工程で前記塩素含有ガスを前記炭化ホウ素に接触させる温度が400℃以下である[1]又は[2]に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[5] 前記脱水工程を大気圧よりも低圧下で行う[1]~[4]のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[6] 前記塩素含有ガスは、20体積%以上60体積%以下の塩素ガスと、残部の不活性ガスとからなる[1]~[5]のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[7] 前記不活性ガスが窒素ガス、アルゴン、及びヘリウムのうちの少なくとも一つである[6]に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[8] 前記炭化ホウ素は、目開き5.60mmの乾式篩を通過する篩下が100質量%であり、目開き1mmの乾式篩を通過しない篩上が65質量%以上である粉体である[1]~[7]のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[9] 前記生成工程における炭化ホウ素と塩素ガスとの反応温度が800℃以上1100℃以下である[1]~[8]のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
[10] 前記脱水工程を反応容器内で行い、前記反応容器から前記脱水工程中に排出される排出ガス中の水及び塩化水素の少なくとも一方の量を測定して、前記反応容器内の水分量を評価する水分量評価工程をさらに備える[1]~[9]のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
 本発明によれば、反応系内の水分を十分に除去することによって水分に起因する副生成物の生成を抑制して効率的に三塩化ホウ素を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る三塩化ホウ素の製造方法を説明する三塩化ホウ素製造装置の概略図である。
 炭化ホウ素と塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を製造するに際して、反応系内に水分が存在すると、生成した三塩化ホウ素が加水分解し、ホウ酸、酸化ホウ素が副生成物として生成する。よって、塩素ガス中の水分や炭化ホウ素中の水分が多量であると、三塩化ホウ素の収率が低下したり、三塩化ホウ素の製造ラインが副生成物により閉塞したりするおそれがある。
 本発明者らは、鋭意検討した結果、炭化ホウ素と塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を製造するに際して、炭化ホウ素に含有される水分を塩素ガスによって十分に除去することができる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
 なお、三塩化ホウ素が加水分解してホウ酸が生成する反応は、以下の式で示される。
   BCl + 3HO → B(OH) + 3HCl
 また、塩素ガスにより水分を除去する場合等に生じる塩素ガスと水の反応は、以下の式で示される。
   Cl+ HO → HClO + HCl
 以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。例えば、本実施形態において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の効果が奏される範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
 本実施形態の三塩化ホウ素の製造方法は、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素を製造する方法であって、炭化ホウ素に含有される水分を塩素ガスにより除去する脱水工程と、脱水工程で脱水した炭化ホウ素に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成する生成工程と、を備える。
 脱水工程は、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度で、塩素ガスを含有し且つ水分含有量が1体積ppm以下である塩素含有ガスを、炭化ホウ素に接触させ、炭化ホウ素に含有される水分と塩素含有ガス中の塩素ガスとを反応させて炭化ホウ素に含有される水分を除去する工程である。
 このような本実施形態の三塩化ホウ素の製造方法によれば、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度で炭化ホウ素中の水分と塩素ガスとを反応させるので、脱水工程において、炭化ホウ素に含有される水分を塩素ガスによって十分に除去することができる。したがって、反応系内の水分が十分に除去されるため、生成した三塩化ホウ素の加水分解が抑制され、三塩化ホウ素を効率的に高収率で製造することができる。また、水分に起因する副生成物であるホウ酸、酸化ホウ素の生成が抑制されるため、三塩化ホウ素の製造ラインの閉塞が起きにくい。よって、三塩化ホウ素の製造ラインに付着したホウ酸、酸化ホウ素を除去する作業を頻繁に行う必要がない。
 なお、本発明において「炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度」とは、脱水工程の滞留時間内において、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により生成した三塩化ホウ素の量の割合が、反応原料(炭化ホウ素と塩素ガス)及び反応生成物(三塩化ホウ素)の合計量100体積%に対して0.5体積%を超える温度を意味する。なお、反応原料及び反応生成物が、例えば空間速度100/hで反応容器を通過する場合は、1/100時間を滞留時間とすることができる。前記空間速度は、通常100~800/hの範囲で選択することができる。
 この生成開始温度は、通常は400℃以下であるので、脱水工程で塩素含有ガスを炭化ホウ素に接触させる温度は300℃以上としてもよく、300℃以上400℃以下とすることが好ましく、350℃以上390℃以下とすることがより好ましい。300℃以上であれば、塩素ガスと水が反応しやすいため脱水効率が高くなる。また、400℃以下であれば、炭化ホウ素と塩素ガスの反応が生じにくい。
 脱水工程で塩素含有ガスを炭化ホウ素に接触させる際には、加熱していない常温の塩素含有ガスを、例えば300℃以上に加熱した炭化ホウ素に接触させてもよいが、例えば300℃以上に予め加熱した塩素含有ガスを、例えば300℃以上に加熱した炭化ホウ素に接触させてもよい。炭化ホウ素に接触させる以前に塩素含有ガスを加熱することによって、塩素ガスと水との反応速度を向上させることができるので、脱水工程の処理時間を短縮することが可能となる。
 脱水工程で用いる塩素含有ガスの水分含有量は1体積ppm以下であるが、水分含有量が1体積ppm以下であれば、塩素含有ガスが接触する金属製部材が腐食しにくいとともに、炭化ホウ素の水分を十分に除去することができる。そのため、脱水工程で用いる塩素含有ガスとして塩素ガスを用いる場合には、純度99.999体積%以上の塩素ガスを用いることが好ましい。
 脱水工程で用いる塩素含有ガスの水分含有量を1体積ppm以下とする方法は特に限定されるものではなく、例えば、乾燥剤を用いて乾燥させる方法があげられる。詳述すると、水分含有量が1体積ppm超過の塩素含有ガスを乾燥剤に接触させ、塩素含有ガス中の水分を乾燥剤に吸着させて、塩素含有ガスの水分含有量を1体積ppm以下とする方法である。例えば、水分を多く含有する工業用塩素ガスを乾燥剤に接触させることにより乾燥して、水分含有量を1体積ppm以下とすることができる。
 乾燥剤の例としてはゼオライトがあげられ、具体例としてはモレキュラーシーブス3A、モレキュラーシーブス4A、ハイシリカゼオライトAW300、ハイシリカゼオライトAW500があげられる。ゼオライトは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、乾燥剤は、ゼオライト以外の他の成分を含有していてもよい。
 塩素含有ガスの水分含有量は、例えばフーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)を用いて測定した塩化水素の吸光度から算出することができる。フーリエ変換赤外分光装置としては、例えばサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のNicolet iS10 FT-IRを用いることができる。
 脱水工程で用いる塩素含有ガスは、塩素ガスを含有し且つ水分含有量が1体積ppm以下であるならば、塩素ガスの含有率は特に限定されるものではなく、塩素ガスを塩素含有ガスとして用いてもよいし、塩素ガスと不活性ガスからなる混合ガスを用いてもよい。不活性ガスの種類は特に限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴン、及びヘリウムのうちの少なくとも一つとすることができる。塩素含有ガス中の塩素ガスの割合は20体積%以上60体積%以下としてもよく、30体積%以上50体積%以下がより好ましく、40体積%以上50体積%以下がさらに好ましい。塩素含有ガス中の塩素ガスの割合が上記のような範囲であれば、炭化ホウ素の水分を十分に且つ効率的に除去することができる。
 脱水工程において炭化ホウ素に接触させる塩素含有ガスの流量は、脱水工程において使用する容器のサイズによるが、容器の容量が200~300cmである場合には、例えば200ccm(cm/min)以上2000ccm以下としてもよく、800ccm以上1300ccm以下がより好ましい。
 さらに、本実施形態の三塩化ホウ素の製造方法は、脱水工程、生成工程に加えて、脱水工程を行う反応容器内の水分量を評価する水分量評価工程をさらに備えていてもよい。すなわち、脱水工程を反応容器内で行い、反応容器から脱水工程中に排出される排出ガス中の水及び塩化水素の少なくとも一方の量を測定して、脱水工程を行う反応容器内の水分量を評価してもよい。
 水分量評価工程を備えていれば、脱水工程の終了の判定(すなわち、炭化ホウ素中の水分を十分に除去したことの判定)を行うことができる。例えば、脱水工程において使用する容器から排出される排出ガス中の水濃度及び塩化水素濃度の少なくとも一方を測定し、水濃度が10体積ppm以下、又は、塩化水素濃度が10体積ppm以下となった時点を脱水工程の終了としてもよい。
 脱水工程において使用する容器から排出される排出ガス中の水濃度及び塩化水素濃度は、例えばフーリエ変換赤外分光装置を用いて測定した水及び塩化水素の吸光度から算出することができる。水及び塩化水素の吸収波長を任意に選択し、水濃度及び塩化水素濃度を算出することができる。ただし、以前の実績から脱水工程の好適な処理時間が判明している場合には、水濃度及び塩化水素濃度の測定を行うことなく、以前の実績に基づいて脱水工程の終了を決定してもよい。
 脱水工程は、大気圧下や大気圧よりも高圧下で行ってもよいが、大気圧よりも低圧下で行ってもよい。例えば、-0.090MPaG以上-0.010MPaG以下の減圧下で脱水工程を行ってもよい。大気圧よりも低圧下で炭化ホウ素に塩素含有ガスを接触させると、炭化ホウ素中の水分の除去効率が向上するとともに、水と塩素ガスの反応により生成した塩化水素や次亜塩素酸の除去効率も向上するので、脱水工程の処理時間を短縮することが可能となる。
 脱水工程は炭化ホウ素を反応容器に装填し、反応容器内で炭化ホウ素に塩素含有ガスを接触させて、炭化ホウ素に含有される水分と塩素含有ガス中の塩素ガスとを反応させてもよい。
 脱水工程において炭化ホウ素中の水分の除去を行う反応容器と、生成工程において炭化ホウ素と塩素ガスとの反応を行う反応容器は、同一の容器でもよいし別の容器でもよい。すなわち、1つの反応容器内で脱水工程と生成工程の両工程を行ってもよいし、第一の反応容器内で脱水工程を行った後に炭化ホウ素を第一の反応容器から第二の反応容器に移して生成工程を行ってもよい。また、反応容器の形状は特に限定されるものではなく、例えば管状、球状でもよい。さらに、脱水工程及び/又は生成工程で用いる反応容器の材質は、塩素ガス、三塩化ホウ素、塩化水素等によって腐食されないものであるならば特に限定されるものではなく、例えば黒鉛、金属でもよい。
 炭化ホウ素は粉体としたものを用いることができるが、目開き5.60mmの乾式篩を通過する篩下が100質量%であり、目開き1mmの乾式篩を通過しない篩上が65質量%以上である粉体を用いてもよい。炭化ホウ素の粉末の粒径が5.60mm以下であれば、表面積が大きくなるため、塩素ガスとの反応速度が大きくなる。また、炭化ホウ素の粉末の粒径が5.60mm以下であれば、脱水工程や生成工程で使用する反応容器に最密充填しやすいので、三塩化ホウ素の生産性が高くなる。
 一方、粒径1mm超過のものが65質量%以上であれば、粒径の小さいものが少ないので、脱水工程中、生成工程中、又は生成工程後において流通する塩素含有ガスによって炭化ホウ素の粉末が飛散しにくい。よって、脱水工程において炭化ホウ素中の水分の除去を行う反応容器や、生成工程において炭化ホウ素と塩素ガスとの反応を行う反応容器から、炭化ホウ素の粉末が流出しにくい。炭化ホウ素の粉末の粒径は、1mm以上5mm以下であることがより好ましく、1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。
 生成工程における炭化ホウ素と塩素ガスとの反応温度は、800℃以上1100℃以下としてもよく、900℃以上1000℃以下がより好ましい。生成工程における炭化ホウ素と塩素ガスとの反応温度が上記のような温度であれば、三塩化ホウ素の生成速度が十分に高いうえ、生成工程を行う反応容器の周辺の金属製部材に損傷が生じにくい。
 生成工程において炭化ホウ素に反応させる塩素ガスとしては、脱水工程と同様に塩素含有ガスを用いることができ、塩素ガスのみを用いてもよいし、塩素ガスと不活性ガスからなる混合ガスを用いてもよい。生成工程と脱水工程とでは、同種の塩素含有ガスを用いてもよいし、別種の塩素含有ガスを用いてもよい。すなわち、生成工程と脱水工程とで、塩素含有ガス中の塩素ガスの割合は同一でもよいし、異なってもよい。
 以下に、本実施形態の三塩化ホウ素の製造方法について、三塩化ホウ素製造装置の一例を示す図1を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、図1においては、本発明の特徴を分かりやすくするために、説明の便宜上、要部を拡大して図示している場合があり、図1に示した各構成要素の寸法比率等は、実際の三塩化ホウ素製造装置と同じであるとは限らない。
 図1の三塩化ホウ素製造装置は、塩素ガスが充填された塩素ガス容器1(例えばボンベ)と、不活性ガスである窒素ガスが充填された窒素ガス容器2(例えばボンベ)と、ゼオライトを含有する乾燥剤が充填された乾燥塔3と、炭化ホウ素の粉末4が装填される黒鉛製の管状反応容器5と、三塩化ホウ素製造装置の内部を減圧する真空ポンプ6と、ガス中の三塩化ホウ素、水分、塩化水素等を分析するフーリエ変換赤外分光装置7と、を備えている。
 管状反応容器5のうちの上流側部分には、ガスの予熱を行う予熱部5Aが設けられているとともに、管状反応容器5のうちの下流側部分には、炭化ホウ素の粉末4が装填される反応部5Bが予熱部5Aと連通するように設けられている。予熱部5A及び反応部5Bは、それぞれヒーター11、12によって温度制御されるとともに、それぞれ断熱材13、14に覆われて保温されている。
 三塩化ホウ素を製造する際には、まず塩素ガスを塩素ガス容器1から配管21を介して乾燥塔3に導入する。その際には、レギュレーター22にて塩素ガスの供給圧を調整しつつ、マスフローコントローラー23にて塩素ガスの流量を調整する。乾燥塔3に導入された塩素ガスは乾燥剤と接触し、塩素ガスに含有される水分が乾燥剤に吸着される。乾燥後の塩素ガスの水分含有量は1体積ppm以下とする。ただし、水分含有量が1体積ppm以下の塩素ガスを用いる場合は、塩素ガスを乾燥塔3に導入しなくてもよい。
 水分含有量が1体積ppm以下に乾燥された塩素ガスは、配管24を介して管状反応容器5に送られるが、配管24の中間部分において(すなわち、管状反応容器5よりも上流側で)窒素ガスと混合され、塩素ガスと窒素ガスの混合ガスとなる。すなわち、窒素ガス容器2と配管24の中間部分とを連通する配管25が配されており、窒素ガスが窒素ガス容器2から配管25を介して配管24の中間部分に導入されて、塩素ガスと窒素ガスが混合されるようになっている。このとき、マスフローコントローラー26により窒素ガスの流量が調整可能となっているので、混合ガス中の塩素ガスの割合はマスフローコントローラー26により調整可能となっている。窒素ガスの水分含有量が1体積ppm以下であるものを用いれば、混合ガスの水分含有量は1体積ppm以下となる。
 塩素ガスと窒素ガスの混合ガスは配管24を介して管状反応容器5に送られ、まず予熱部5Aに導入される。そして、混合ガスが予熱部5Aにおいてヒーター11によって所望の温度(例えば、脱水工程における炭化ホウ素の温度と同一の温度)に加熱される。予熱された混合ガスは、管状反応容器5内を下流側に移動し、反応部5Bに送られる。ただし、混合ガスの予熱は行わず、常温の混合ガスを反応部5Bに導入してもよい。
 反応部5Bには炭化ホウ素の粉末4が装填されており、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度(例えば300℃以上400℃以下)にヒーター12によって加熱されている。そこに予熱された混合ガスが送られて炭化ホウ素の粉末4と接触するため、炭化ホウ素の粉末4に含有される水分と混合ガス中の塩素ガスとが反応し、炭化ホウ素の粉末4に含有される水分が除去される(脱水工程)。なお、この脱水工程は、大気圧下で行ってもよいし、大気圧よりも低圧下で行ってもよい。脱水工程を大気圧よりも低圧下で行う場合には、真空ポンプ6を用いて三塩化ホウ素製造装置の内部を減圧すればよい。
 炭化ホウ素の粉末4からの水分の除去が完了したら、塩素ガス容器1からの塩素ガスの導入を止め、三塩化ホウ素製造装置の内部を流通するガスを窒素ガスのみとして、管状反応容器5内のガスを窒素ガスで置換する。そして、ヒーター12によって反応部5Bを加熱し、炭化ホウ素の粉末4の温度を上記生成開始温度以上の温度(例えば800℃以上1100℃以下)に上昇させる。炭化ホウ素の粉末4の温度が上記生成開始温度以上の温度となったときに、再び塩素ガス容器1から塩素ガスを導入する。ここで、炭化ホウ素と塩素ガスとの反応が開始し、三塩化ホウ素が生成する(生成工程)。生成した三塩化ホウ素は混合ガスによって管状反応容器5から送り出され、配管27を介して三塩化ホウ素製造装置から取り出される。
 本実施形態の三塩化ホウ素製造装置はフーリエ変換赤外分光装置7を備えているので、配管27を通るガスの一部をフーリエ変換赤外分光装置7に引き込んで、ガス中の三塩化ホウ素の分析を行うことができる。これにより、三塩化ホウ素の収量、収率を算出することができる。また、ガス中の水、塩化水素を分析することにより、管状反応容器5内の水分量を評価することができる(水分量評価工程)。よって、管状反応容器5から脱水工程中に排出される排出ガス中の水及び塩化水素の少なくとも一方の量を測定することにより、脱水工程の終了の判定(すなわち、炭化ホウ素の粉末4中の水分を十分に除去したことの判定)を行うことができる。
 このようにして製造された三塩化ホウ素は、不純物を含有している場合がある。不純物としては、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、水素ガス、ヘリウム、塩化水素、塩素ガス、四塩化ケイ素等があげられる。これらの不純物は、蒸留等の精製方法によって除去することができるので、例えば蒸留によって精製して、不純物が少ない高純度の三塩化ホウ素とすることができる。
 以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
〔実施例1〕
 図1の三塩化ホウ素製造装置と同様の三塩化ホウ素製造装置を用い、上記実施形態と同様の操作を行って炭化ホウ素と塩素ガスを反応させ、三塩化ホウ素を製造した。塩素含有ガスは、純度99.999体積%、水分含有量0.9体積ppmの市販の高純度塩素ガスを用いた。炭化ホウ素は、乾式篩で粒径を測定した場合に、目開き5.60mmの乾式篩を通過する篩下が100質量%、目開き1mmの乾式篩を通過しない篩上が65質量%以上となる粉体を用いた。
 この炭化ホウ素の粉末20gを黒鉛製の管状反応容器(内径22mm、高さ700mm、炭化ホウ素が充填された反応部の体積19cm)内に装填し、流量500ccmの窒素ガスを管状反応容器に流しながら、炭化ホウ素を15分間かけて390℃に昇温した。その後、管状反応容器に流すガスを窒素ガスから上記塩素含有ガス(高純度塩素ガス)に切り換え、大気圧下で1時間にわたって常温の塩素含有ガスを流すことにより(流量は500ccm)、炭化ホウ素に含有される水分と塩素ガスとを反応させて、炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水処理を行った。
 脱水処理中は、管状反応容器から排出される排出ガスをフーリエ変換赤外分光光度計に引き込んで、排出ガスの赤外分光分析を行った。そして、脱水処理後の排出ガス中の三塩化ホウ素の濃度が0.5体積%以下であり、且つ、塩化水素の濃度が10体積ppm以下まで低下したことを確認したことで、炭化ホウ素に含有される水分の除去が完了したと判断し、脱水処理を終了した。
 次に、管状反応容器に流すガスを塩素含有ガスから窒素ガスに切り換え、管状反応容器内のガスを窒素ガスで置換した。そして、炭化ホウ素を900℃に昇温した後に、大気圧下で常温の上記塩素含有ガス(高純度塩素ガス)を管状反応容器に流すことにより(流量は200ccm)、脱水した炭化ホウ素に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成した。反応中は、管状反応容器から排出される排出ガスをフーリエ変換赤外分光光度計に引き込んで赤外分光分析を行い、排出ガス中の三塩化ホウ素と塩化水素の濃度を測定した。
 6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は167gであった。フーリエ変換赤外分光光度計での分析結果による三塩化ホウ素の生成量が減少に転じた時点を反応終了とし、生成した三塩化ホウ素の積算値から算出した三塩化ホウ素の収量を、炭化ホウ素の反応前後での質量減少量から算出される三塩化ホウ素の理論生成量で除した値を収率とすると、収率は99質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1mgであった。
〔実施例2〕
 炭化ホウ素の脱水処理に用いる塩素含有ガスとして高純度塩素ガスに代えて以下の塩素ガスを用いた点以外は、実施例1と同様に反応を行った。すなわち、純度99.9体積%、水分含有量5体積ppmの市販の工業用塩素ガスを、1Lのモレキュラーシーブス3Aを充填したSUS製シリンダーを通過させて、水分含有量を1体積ppm以下に低減したものを、塩素含有ガスとして用いた。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は167gであり、収率は99質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1mgであった。
〔実施例3〕
 炭化ホウ素の脱水処理に用いる塩素含有ガスとして高純度塩素ガスに代えて以下のガスを用いた点以外は、実施例1と同様に反応を行った。すなわち、市販の高純度塩素ガスと窒素ガスとを等量混合し水分含有量を1体積ppm以下とした混合ガスを、塩素含有ガスとして用いた。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は167gであり、収率は99質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1mgであった。
〔実施例4〕
 実施例1では、常温の塩素含有ガスを管状反応容器に流しながら炭化ホウ素を390℃に加熱して、炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水処理を行ったが、実施例4では、予め390℃に加熱した塩素含有ガスを管状反応容器に流しながら炭化ホウ素を390℃に加熱して、炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水処理を行った。また、実施例4では、脱水処理の時間は40分間とした。これら以外の点は実施例1と同様にして反応を行った。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は167gであり、収率は99質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1mgであった。
〔実施例5〕
 実施例1では大気圧下で脱水処理を行ったが、実施例5では-0.015MPaGの減圧下で脱水処理を行った。また、実施例5では、脱水処理での塩素含有ガスの流量は150ccmとした。これら以外の点は実施例1と同様にして反応を行った。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は167gであり、収率は99質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1mgであった。
〔実施例6〕
 脱水処理時の炭化ホウ素の温度を390℃から290℃に変更した点以外は、実施例1と同様に反応を行った。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は166gであり、収率は98質量%であった。また、副生した塩化水素の量は1.1gであった。反応終了後の管状反応容器の出口部分には白色結晶が付着していたため、粉末X線回折測定と示差熱・熱重量測定により分析したところ、白色結晶はホウ酸と酸化ホウ素の混合物であった。
〔比較例1〕
 脱水処理時に流すガスを塩素含有ガスから、水分含有量が1体積ppm以下の窒素ガスに変更した点以外は、実施例1と同様に反応を行った。すなわち、比較例1では、塩素含有ガスを用いた脱水処理は行わなかった。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は161gであり、収率は95質量%であった。また、副生した塩化水素の量は2.6gであった。反応終了後の管状反応容器の出口部分には白色結晶が付着していたため、粉末X線回折測定と示差熱・熱重量測定により分析したところ、白色結晶はホウ酸と酸化ホウ素の混合物であった。
〔比較例2〕
 脱水処理時に流す塩素含有ガスを高純度塩素ガスから水分含有量5体積ppmの市販の工業用塩素ガスに変更した点以外は、実施例1と同様に反応を行った。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は161gであり、収率は95質量%であった。また、副生した塩化水素の量は2.6gであった。反応終了後の管状反応容器の出口部分には白色結晶が付着していたため、粉末X線回折測定と示差熱・熱重量測定により分析したところ、白色結晶はホウ酸と酸化ホウ素の混合物であった。
〔比較例3〕
 図1の三塩化ホウ素製造装置と同様の三塩化ホウ素製造装置を用い、上記実施形態と同様の操作を行って三塩化ホウ素を製造した。ただし、炭化ホウ素の代わりにホウ酸と活性炭の混合物を用い、ホウ酸と塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を製造した。塩素含有ガスとしては、純度99.999体積%、水分含有量0.9体積ppmの市販の高純度塩素ガスを用いた。
 ホウ酸89gと活性炭89gの混合物178gを黒鉛製の管状反応容器内に装填し、流量500ccmの窒素ガスを管状反応容器に流しながら、混合物を15分間かけて290℃に昇温した。その後、管状反応容器に流すガスを窒素ガスから上記塩素含有ガス(高純度塩素ガス)に切り換え、大気圧下で1時間にわたって常温の塩素含有ガスを流すことにより(流量は500ccm)、混合物に含有される水分と塩素ガスとを反応させて、混合物に含有される水分を除去する脱水処理を行った。
 脱水処理中は、管状反応容器から排出される排出ガスをフーリエ変換赤外分光光度計に引き込んで、排出ガスの赤外分光分析を行った。そして、排出ガス中の三塩化ホウ素の濃度が0.5体積%以下であり、且つ、塩化水素の濃度が10体積ppm以下まで低下したことを確認したことで、混合物に含有される水分の除去が完了したと判断し、脱水処理を終了した。
 次に、管状反応容器に流すガスを塩素含有ガスから窒素ガスに切り換え、管状反応容器内のガスを窒素ガスで置換した。そして、混合物を500℃に昇温した後に、大気圧下で常温の上記塩素含有ガス(高純度塩素ガス)を管状反応容器に流すことにより(流量は200ccm)、脱水した混合物に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成した。反応中は、管状反応容器から排出される排出ガスをフーリエ変換赤外分光光度計に引き込んで赤外分光分析を行い、排出ガス中の三塩化ホウ素と塩化水素の濃度を測定した。
 その結果、6時間で反応が終了し、得られた三塩化ホウ素の量は161gであり、収率は95質量%であった。また、副生した塩化水素の量は2.6gであった。反応終了後の管状反応容器の出口部分には白色結晶が付着していたため、粉末X線回折測定と示差熱・熱重量測定により分析したところ、白色結晶はホウ酸と酸化ホウ素の混合物であった。
   1    塩素ガス容器
   2    窒素ガス容器
   3    乾燥塔
   4    炭化ホウ素の粉末
   5    管状反応容器
   6    真空ポンプ
   7    フーリエ変換赤外分光装置

Claims (10)

  1.  炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素を製造する方法であって、
     炭化ホウ素と塩素ガスとの反応により三塩化ホウ素の生成が開始する生成開始温度よりも低い温度で、塩素ガスを含有し且つ水分含有量が1体積ppm以下である塩素含有ガスを、炭化ホウ素に接触させ、前記炭化ホウ素に含有される水分と前記塩素含有ガス中の塩素ガスとを反応させて前記炭化ホウ素に含有される水分を除去する脱水工程と、
     前記脱水工程で脱水した前記炭化ホウ素に塩素ガスを反応させて三塩化ホウ素を生成する生成工程と、
    を備える三塩化ホウ素の製造方法。
  2.  前記塩素含有ガスは、ゼオライトを含有する乾燥剤に接触させたものである請求項1に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  3.  前記脱水工程で前記塩素含有ガスを前記炭化ホウ素に接触させる温度が300℃以上である請求項1又は請求項2に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  4.  前記脱水工程で前記塩素含有ガスを前記炭化ホウ素に接触させる温度が400℃以下である請求項1又は請求項2に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  5.  前記脱水工程を大気圧よりも低圧下で行う請求項1~4のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  6.  前記塩素含有ガスは、20体積%以上60体積%以下の塩素ガスと、残部の不活性ガスとからなる請求項1~5のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  7.  前記不活性ガスが窒素ガス、アルゴン、及びヘリウムのうちの少なくとも一つである請求項6に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  8.  前記炭化ホウ素は、目開き5.60mmの乾式篩を通過する篩下が100質量%であり、目開き1mmの乾式篩を通過しない篩上が65質量%以上である粉体である請求項1~7のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  9.  前記生成工程における炭化ホウ素と塩素ガスとの反応温度が800℃以上1100℃以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
  10.  前記脱水工程を反応容器内で行い、前記反応容器から前記脱水工程中に排出される排出ガス中の水及び塩化水素の少なくとも一方の量を測定して、前記反応容器内の水分量を評価する水分量評価工程をさらに備える請求項1~9のいずれか一項に記載の三塩化ホウ素の製造方法。
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