WO2017175540A1 - 耐放射線性樹脂添加剤、耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び耐放射線性医療用成形体 - Google Patents
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Abstract
下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物を有効成分として含有する耐放射線性樹脂添加剤並びに前記ビスフェノール化合物とアミド樹脂とを含有する耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物を用いて作製された耐放射線性医療用成形体。 式(1)(式中、R1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)式(2)(式中、R4、R5、R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
Description
本発明は、耐放射線性樹脂添加剤、耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び耐放射線性医療用成形体に関する。
医療分野では、様々な高分子材料の医療用材料が用いられている。これらの材料から製造される医療機器は、最終段階で滅菌する必要がある。その滅菌法としては、高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、及び放射線滅菌が主に用いられている。
これらのうち、高圧蒸気滅菌は、医療機器を高温高圧可で処理することで、高分子材料は劣化や変性が起こるため、あまり用いられていない。EOG滅菌法は、高分子材料の劣化が少なく、これまで広く用いられてきた。しかし、近年、EOG滅菌後の医療材料中にEOGが残留し、それが生体に対して悪影響を及ぼすことが指摘された。そのため、最近は、放射線滅菌法が注目されている。
放射線滅菌は、ガンマ線や電子線を医療機器に照射することにより滅菌する方法である。確かに、放射線の照射により、医療機器に残存する微生物などを殺菌することは可能である。しかし、医療機器の構成部品に含まれる高分子材料の高分子鎖間の架橋を生じさせたり、逆に分子鎖が切断されたりすることによって、高分子の強度低下や、伸び率の変化等の物性の変形を引き起こし、医療機器の性能に悪影響を及ぼすことが指摘されている。
これへの対応策として、特許文献1には、樹脂成分に多官能トリアジン化合物を含有させた組成物から成る医用材料が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のような多官能トリアジン化合物を含有した樹脂組成物を用いても、特に高い強度の電子線に対しては、耐放射線性が不十分であることが指摘されており、その改善が求められていた。そこで、本発明の目的は、樹脂本来の伸び・強度を低下させずに高い強度の放射線に対しても耐放射線性に優れる耐放射線性樹脂添加剤、耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び耐放射線性医療用成形体を提供することにある。
本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討を行なった。その結果、特許文献1に記載の多官能トリアジン化合物は自己凝集性が強く、その融点が80℃以下であるため、例えば脂肪族ポリアミド樹脂、ポリオレフィンなどの樹脂などに対して添加すると、融点や溶融粘度が大きく異なり、樹脂マトリックス内に均一分散させることが難しいことが判明した。そして、それが均一に分散されていない場合、(1)放射線照射を行っても多官能トリアジン化合物同士のラジカル架橋反応はほとんど進まず、自己反応化が多く進行し、樹脂に対して異物となり、伸び・強度が低下する、(2)放射線照射を行わなくても、不均一分散により伸び・強度が低下する恐れもある、と考えられた。そこで、さらに検討を行ったところ、特定のビスフェノール化合物を用いることで前述の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記[1]~[9]の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物、[10]及び[11]の耐放射線性医療用成形体、[12]の耐放射線性樹脂添加剤に関する。
[1](a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物と、(b)アミド樹脂と、を含有する耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
(式中、R4、R5、R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
[2]前記(a)ビスフェノール化合物を0.01~10重量%含有する前記[1]に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
[3]前記(a)ビスフェノール化合物が、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、または、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)である前記[1]又は[2]に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
[4]前記(b)アミド樹脂が、ソフトセグメントとして、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造を有し、ハードセグメントとして、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造を有する、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
[5]前記(b2)カルボン酸末端ポリアミドが、(b21)下記一般式(3)で表される少なくとも1種のアミノカルボン酸に由来する構造と、(b22)下記一般式(4)で表される少なくとも1種のジカルボン酸に由来する構造とを有する、前記[4]に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
(式中、R7は、各々独立して炭素数1以上の飽和炭化水素基であり、nは0以上の整数を示す。また、R7を含む繰り返し単位が2種以上含まれる場合、R7を含む繰り返し単位毎の総和をnとする。)
(式中、R8は、直結、または、炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
[6]前記(b1)ポリエーテルジアミンが下記一般式(5)で表される少なくとも1種である前記[4]又は[5]に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
(式中、R9は独立して炭素数1以上の飽和炭化水素基を示し、R10は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。mは1以上の整数を示す。また、R9を含む繰り返し単位が2種以上含まれる場合、R9を含む繰り返し単位毎の総和をmとする。)
[7]前記(b1)ポリエーテルジアミンが下記一般式(6)で表される少なくとも1種である前記[4]~[6]のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
(式中、x+zは1以上の整数、yは1以上の整数を示す。)
[8]前記(b)アミド樹脂が、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造と、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造と、(b3)下記一般式(7)で表される少なくとも1種のジアミンに由来する構造とを有する、前記[4]~[7]のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
(式中、R11は、炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
[9]前記(b2)カルボン酸末端ポリアミドの数平均分子量(Mn)が4000以上である前記[4]~[8]のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
[10]前記[1]~[9]のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物を含有する樹脂組成物を用いて作製された耐放射線性医療用成形体。
[11]医療用チューブ又は医療用バルーンである前記[10]に記載の耐放射線性医療用成形体。
[12]下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物を有効成分として含有する耐放射線性樹脂添加剤。
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
(式中、R4、R5、R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
本発明によれば、樹脂本来の伸び・強度を低下させることなく高い強度の放射線に対しても耐放射線性に優れる耐放射線性樹脂添加剤、耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び耐放射線性医療用成形体を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態に係る、耐放射線性樹脂添加剤、耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物及び耐放射線性医療用成形体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<耐放射線性樹脂添加剤>
前記耐放射線性樹脂添加剤は、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物を有効成分として含有する。
前記耐放射線性樹脂添加剤は、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物を有効成分として含有する。
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
(式中、R4、R5、R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
このような構造を有するビスフェノール化合物を有効成分として含む樹脂添加剤は、各種の樹脂組成物に添加されることで、ガンマ線や電子線などの放射線が照射された場合でも、その樹脂組成物の物性の変化を効果的に抑制することができる。即ち、樹脂本来の伸び・強度を低下させることがない。このような機能は、このビスフェノール化合物の各種の樹脂に対する分散性が良好な結果、放射線が樹脂組成物に照射される時に発生するラジカルを捕捉する、或いは、ラジカルの発生を妨げることにより、樹脂組成物に含まれる高分子化合物の分子鎖の切断や分子鎖同士の架橋を防止していると考えられる。
一般式(1)で示されるビスフェノール化合物としては、式(1)中のR1、R2、R3は、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基であればよい。飽和炭化水素基の構造は鎖状、環状の何れでもよい。樹脂組成物との化学的相互作用の観点からは鎖状が好ましい。鎖状の場合は、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。また、炭素数1以上の飽和炭化水素基としては、耐放射線性の観点から、炭素数が1以上8以下であるのが好ましく、1以上6以下がより好ましい。このような飽和炭化水素基の組み合わせとしては、R1は、水素原子又は炭素数が1以上4以下であるのが好ましく、R2は、水素原子又は炭素数が1以上4以下であるのが好ましく、R3は、水素原子又は炭素数が1以上4以下であるのが好ましい。このうち、R1は、炭素数が3であるプロピル基、R2は、炭素数が1のメチル基、R3は、炭素数が4であるブチル基であるのが特に好ましく、例えば、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)が挙げられる。
一般式(2)で示されるビスフェノール化合物としては、式(2)中のR4、R5、R6は、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基であればよい。飽和炭化水素基の構造は鎖状、環状の何れでもよい。樹脂組成物との化学的相互作用の観点からは鎖状が好ましい。鎖状の場合は、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。炭素数1以上の飽和炭化水素基としては、耐放射線性の観点から、炭素数が1以上8以下であるのが好ましく、1以上4以下がより好ましい。一般式(2)で示されるさらに好ましいビスフェノール化合物としては、R4は水素原子、R5は水素原子または炭素数が1以上4以下の飽和炭化水素基、R6は、水素原子または炭素数が1以上6以下の飽和炭化水素基である。このうち、R4は水素原子、R5は炭素数が2であるエチル基、R6は、炭素数が4であるブチル基が特に好ましく、例えば、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)が挙げられる。
前述したビスフェノール化合物は、市販のものを使用することができる。例えば、三菱化学株式会社製のヨシノックスBB、425等が挙げられる。尚、これらの市販品は、耐放射線性樹脂添加剤として使用可能であるが、これまで耐放射線性を有するものとしては知られていなかったものである。
前記耐放射線性樹脂添加剤は、各種の樹脂とともに使用することができる。このような樹脂としては、特に限定はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。このうちポリアミド樹脂が好適である。また、ポリアミド樹脂のうち、ポリアミドエラストマーがより好適である。
前記耐放射線性樹脂添加剤には、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。
前記耐放射線性樹脂添加剤は、放射線が照射される工程を経て流通される成形体の構成材料に適用することができる。照射する放射線の種類は特に限定はなく、例えば、イオン、電子、陽子、中性子等の粒子放射線、ガンマ線、X線等の電磁放射線が挙げられる。このうち、ガンマ線や電子線等により滅菌処理を行う医療用等の構成材料に前記耐放射線性樹脂添加剤を適用するのが好適である。
耐放射線性樹脂添加剤の樹脂への添加量は、放射線の種類、その照射条件、樹脂組成等に応じて適宜選択することができる。
<耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物>
前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物は、(a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物と、(b)アミド樹脂と、を含有する。
前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物は、(a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物と、(b)アミド樹脂と、を含有する。
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
(式中、R4、R5、R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。)
前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物は、このような構造を有するビスフェノール化合物を良好な分散状態で含むため、例えば滅菌処理としてガンマ線や電子線等の放射線が照射された場合でも、ポリアミド樹脂組成物を用いて作製された成形体に放射線が照射される時に発生するラジカルを捕捉する、或いは、ラジカルの発生を妨げることができると考えられる。そのため、成形体を構成するポリアミド樹脂組成物に含まれる高分子化合物の分子鎖の切断や分子鎖同士の架橋を防止し、ポリアミド樹脂組成物により作製された成形体の物性の変化を効果的に抑制することができる、即ち、ポリアミド樹脂組成物に含まれるアミド樹脂等の本来の伸び・強度を低下させることがないと考えられる。放射線照射後の残留ラジカルに関しても同様である。尚、以下では、「耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物」を「樹脂組成物」と略称する場合がある。また、「耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物に含まれる(a)前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるビスフェノール化合物」を「(a)ビスフェノール化合物」と略称する場合がある。
前記樹脂組成物において使用可能な(a)ビスフェノール化合物は、前述の耐放射線性樹脂添加剤で使用可能なものと同じものを使用することができる。したがって、前記樹脂組成物は前述の耐放射線性樹脂添加剤を含んでもよい。そのため、(a)ビスフェノール化合物については、前述の耐放射線性樹脂添加剤における説明を参照するものとする。
前記樹脂組成物に含まれる(a)ビスフェノール化合物の含有量は、耐放射線性、樹脂本来の伸び・強度を低下させない観点から、樹脂組成物全量に対して0.01~10重量%が好ましく、0.1~5重量%がより好ましい。
前記樹脂組成物に使用可能な(b)アミド樹脂としては、アミド結合を構成単位として含む重合体であればよい。例えば、構成単位に脂肪族骨格を含むナイロン等の脂肪族ポリアミド、構成単位に芳香族骨格を含むアラミド等の芳香族ポリアミド、ハードセグメントとしてポリアミドのブロックとソフトセグメントとしてポリエーテルやポリエステル等のブロックとを有するポリアミドエラストマー等が挙げられる。このうち、(a)ビスフェノール化合物の耐放射線性の機能がより効果的に発揮されるため、ポリアミドエラストマーが好適である。また、ポリアミドとの共重合性や柔軟性付与のため、ソフトセグメントとしてポリエーテルのブロックを有するものが好ましい。
前記ポリアミドエラストマーとしては、ソフトセグメントとしてポリエーテルのブロックを有するものが好ましいことは前述のとおりである。このようなポリエーテルのブロックとしては、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造を有しているものが好ましく、ポリエーテルジアミン又はポリオキシアルキレングリコールに由来する構造を有しているのがより好ましい。
ポリオキシアルキレングリコールは、アルキレンオキシド又はアルキレングリコールが重合した構造を有し、両末端に水酸基を有するポリエーテルジオールである。このようなポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、構成単位に含まれるアルキレン基の炭素数が2以上4以下のものが好ましく、より具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリール等を例示できる。ポリアルキレングリコールは、ポリアミドとの共重合性や柔軟性付与の観点から、数平均分子量が100~2000であるのが好ましく、200~1000であるのがより好ましい。
ポリエーテルジアミンは、ポリアミドとの共重合性の観点から、両末端にアミノ基を有するポリエーテルであるのが好ましい。このようなポリエーテルジアミンとしては、例えば、下記一般式(5)で表される少なくとも1種であるのが好ましい。
一般式(5)中、R9は独立して炭素数1以上の飽和炭化水素基を示し、R10は炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。mは1以上の整数を示す。また、R9を含む繰り返し単位が2種以上含まれる場合、R9を含む繰り返し単位毎の総和をmとする。例えば一般式(6)を例にするとx+y+z=mである。mは、共重合性と柔軟性付与の観点から、1以上200以下が好ましく、2以上100以下がより好ましい。
一般式(5)中のR9、R10で示される飽和炭化水素基としては、炭素数が1以上であれば特に限定はないが、柔軟性に優れる観点で、炭素数が1以上10以下であることが好ましく、2以上4以下であることがより好ましい。その構造としては、鎖状、環状の何れでもよい。耐放射線性樹脂添加剤との化学的相互作用の観点からは鎖状が好ましい。鎖状の場合は、直鎖状のものでもよいし、分岐鎖を有するものでもよい。
R9を含む繰り返し単位は、1種でもよいし、2種以上含んでもよい。この繰り返し単位を2種以上含む場合、反応性に優れる観点から、(b1)ポリエーテルジアミンは、下記一般式(6)で表される少なくとも1種であるのが好ましい。
一般式(6)中、x+zは1以上の整数、yは1以上の整数を示す。これにより、柔軟性付与が可能となる。x+zは、好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下である。また、yは、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上10以下である。ここで、x、y、zは、例えば後述の実施例のようにしてGPC測定により決定することができる。
このような一般式(6)で示されるポリエーテルジアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレン、1,2-ポリオキシプロピレン、1,3-ポリオキシプロピレンあるいはそれらの共重合物であるポリオキシアルキレンのアミノ変性体等のポリエーテルジアミン化合物が挙げられる。具体的には、米国HUNTSMAN社製のジェファーミンEDシリーズ等を好ましく用いることができる。一般式(6)中、x+zは1以上6以下で、yは1以上20以下を示すジェファーミンEDシリーズは、ED600とED900である。このうち、x+zが1以上6以下のものとしては、ED900、x+zが1以上4以下のものとしては、ED600、yが1以上15以下のものとしてはED900、yが1以上10以下のものとしては、ED600である。
前記ポリアミドエラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリアミドのブロックを有するものが好ましい。このようなポリアミドのブロックとしては、重合反応性の観点から、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造を有するのが好ましい。このようなハードセグメントを構成し得るポリアミドのブロックとしては、脂肪族ポリアミドのブロックが好ましく、このような脂肪族ポリアミドのブロックとしては、(b21)下記一般式(3)で表される少なくとも1種のアミノカルボン酸(以下、(b21)成分と称する場合がある。)に由来する構造と、(b22)下記一般式(4)で表される少なくとも1種のジカルボン酸(以下、(b22)成分と称する場合がある。)に由来する構造を有するのが好ましい。
一般式(3)中、R7は、各々独立して炭素数1以上の飽和炭化水素基であり、nは0以上の整数を示す。また、R7を含む繰り返し単位が2種以上含まれる場合、R7を含む繰り返し単位毎の総和をnとする。
nは重合反応性および得られるポリアミドエラストマーの力学的特性の観点で、好ましくは1以上100以下、より好ましくは10以上50以下、さらに好ましくは20以上40以下である。ここで、nは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる数平均分子量により決定することができる。
このような(b21)成分を構成するR7は、炭素数1以上の飽和炭化水素基であればよい。飽和炭化水素基の構造は、鎖状、環状の何れでもよい。耐放射線性樹脂添加剤との化学的相互作用の観点からは鎖状が好ましい。鎖状の場合は、直鎖状でもよいし、分岐鎖を有してもよい。但し、重合反応性及び得られるポリアミドエラストマーの力学的特性の点で、R7が炭素数6以上18以下の直鎖状の飽和炭化水素基であることが好ましい。好ましい(b21)成分としては、例えば、1-6アミノヘキサン酸、1-7アミノヘプタン酸、1-8アミノオクタン酸、1-9アミノノナン酸、1-10アミノデカン酸、1-11アミノウンデカン酸、1-12アミノドデカン酸、1-14アミノテトラデカン酸、1-16アミノヘキサデカン酸、1-17アミノヘプタデカン酸、1-18アミノオクタデカン酸等のアミノカルボン酸、その縮合生成物が挙げられる。また、(b21)成分がアミノカルボン酸の縮合生成物である場合は、これらのアミノカルボン酸を1種用いた縮合生成物でもよいし、2種以上組み合わせた縮合生成物でもよい。
尚、特にR7の炭素鎖が長くなるにしたがい、ポリアミドエラストマーの靱性が向上する傾向にある。
尚、特にR7の炭素鎖が長くなるにしたがい、ポリアミドエラストマーの靱性が向上する傾向にある。
また、(b21)成分は、ジアミンとジカルボン酸との縮合生成物であってもよく、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合生成物であるナイロン6-6、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸との重縮合生成物であるナイロン6-9、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合生成物であるナイロン6-10、ヘキサメチレンジアミンと1-12ドデカ二酸との縮合生成物であるナイロン6-12、あるいは、ノナメチレンジアミンとアジピン酸との縮合生成物であるナイロン9-6等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(b21)成分の数平均分子量(Mn)は2000以上8000以下であるのが好ましく、3000以上7000以下がより好ましい。
数平均分子量がこのような範囲であることで、機械的特性に優れたブロック共重合体となり得る。
尚、(b21)成分の数平均分子量は、例えばゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)により算出することができる。また、この場合、数平均分子量は10%程度の測定のバラツキがあることが知られている。したがって、本発明において、数平均分子量をGPC基づき算出する場合は、複数回の測定結果の平均値を数平均分子量とする。また、複数回の測定が不可能な場合は、1回の測定結果の10%程度の幅を考慮して、この範囲に上記数平均分子量が含まれる場合は、(b21)成分の数平均分子量の条件を満足するものとする。
数平均分子量がこのような範囲であることで、機械的特性に優れたブロック共重合体となり得る。
尚、(b21)成分の数平均分子量は、例えばゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)により算出することができる。また、この場合、数平均分子量は10%程度の測定のバラツキがあることが知られている。したがって、本発明において、数平均分子量をGPC基づき算出する場合は、複数回の測定結果の平均値を数平均分子量とする。また、複数回の測定が不可能な場合は、1回の測定結果の10%程度の幅を考慮して、この範囲に上記数平均分子量が含まれる場合は、(b21)成分の数平均分子量の条件を満足するものとする。
一般式(4)中、R8は、直結、または、炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。飽和炭化水素基の構造は、鎖状、環状の何れでもよい。耐放射線性樹脂添加剤との化学的相互作用の観点からは鎖状が好ましい。鎖状の場合は、直鎖状でもよいし、分岐鎖を有してもよい。飽和炭化水素基としては、炭素数が1以上であれば特に限定はないが、重合反応性および得られるポリアミドエラストマーの力学的特性の観点で、炭素数が2以上10以下であることが好ましく、直鎖状であることがさらに好ましい。
このような(b22)成分として用いることが可能な化合物としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらのジカルボン酸は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
このような(b22)成分として用いることが可能な化合物としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらのジカルボン酸は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
前記(b21)成分アミノ基(A)と(b22)成分のモノカルボン酸基(B)を含む場合、そのモル比(A/B)は、特に限定はないが、好適な数平均分子量のポリアミドエラストマーを得られやすい観点から、モル比(A/B)は1/2以上5/4以下が好ましく、実質的に1/1であるのがより好ましい。ここで、実質的に1/1であるとは、原料の重量から算出されるアミノ基とモノカルボン酸基のモル数が概ね等モルであることを意味する。
(b2)カルボン酸末端ポリアミドの数平均分子量(Mn)は、ブロック共重合体におけるハードセグメントとしての役割の観点で、2000以上であるのが好ましく、4000以上であるのがより好ましく、2000以上8000以下であるのがさらに好ましく、3000以上7000以下が特に好ましい。
前記ポリアミドエラストマーとしては、共重合反応性と柔軟性付与の観点より、ハードセグメントのポリアミドのブロックとして、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造と、(b3)下記一般式(7)で表される少なくとも1種のジアミン(以下、(b3)成分と称する場合がある。)に由来する構造とを有するものがより好ましい。
一般式(7)中、R11は、炭素数1以上の飽和炭化水素基を示す。R11は、炭素数1以上の直鎖状、または、分岐状の飽和炭化水素基であれば限定はないが、得られるポリアミドエラストマーの力学的特性をより向上させる観点で、炭素数が2以上14以下であることが好ましく、4以上12以下がより好ましい。具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2-4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルペンタメチルジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらのうち、上記観点から、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンから選択される少なくとも1種の脂肪族ジアミンがより好ましい。
前記(b)アミド樹脂に(b3)成分に由来する構造が含まれる場合のその構造単位と(b1)成分に由来する構造単位とのモル比率は、特に限定はない。(b1)成分に由来する構造のモル比率を大きくすることで柔軟性を高くすることができる。したがって、用途に応じて、適宜選択すればよい。
前記ポリアミドエラストマーとしては、柔軟性付与の観点から、ソフトセグメントとして、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造を有し、ハードセグメントとして、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造を有するものがより好ましい。また、共重合反応性の観点から、ソフトセグメントとして、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造と、ハードセグメントとして、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造及び(b3)一般式(7)で表される少なくとも1種のジアミンに由来する構造と、を有するものがさらに好ましい。また、(b2)カルボン酸末端ポリアミドに由来する構造として、(b21)成分に由来する構造と(b22)成分に由来する構造とを有するものが特に好ましい。
前記ポリアミドエラストマーの溶融粘度(メルトフローレート、MFR)は、230℃、2.16kgf(21.2N)において0.1~20(g/10min)であることが好ましい。これにより、押出し成形性が良好となり得る。溶融粘度をこの様な範囲とするためには、重合時の反応温度、反応時間、溶液濃度などを適宜調整すればよい。
前記ポリアミドエラストマーのショアD硬度は、50~100が好ましく、60~80がより好ましい。これにより、成形体の柔軟性が得られ得る。ショアD硬度をこの様な範囲とするためには、(b1)成分の仕込み量、(b3)成分を用いる場合は(b1)成分と(b3)成分の仕込み比を適宜調整すればよい。
前記ポリアミドエラストマーの数平均分子量は10000以上150000以下が好ましく、20000以上100000以下がより好ましい。数平均分子量をこのような範囲にすることで、加工性や機械的特性に優れ得る。
前記ポリアミドエラストマーにおいて、成形体の引張試験における破断伸びは100%以上600%以下が好ましく、200%以上600%以下がより好ましい。また破断応力は20MPa以上100MPa以下が好ましく、30MPa以上90MPa以下がより好ましい。尚、引張試験は、例えば、後述の方法により行うことができる。或いは、JIS K 7161に準拠して行うことができる。
前記ポリアミドエラストマーには、リン化合物が含まれていてもよい。これにより、成形体の破断伸びや破断応力をより向上させることができる。そのため、例えば医療用バルーンに好適である。また、後述するように、ポリアミドエラストマーの製造工程においては、重合反応の安定化や酸化に起因する着色を防止することができる。このようなリン化合物としては、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。このうち、重合反応の安定性の向上、ポリアミドエラストマーに対する耐熱安定性の付与、成形体の力学的特性の向上の観点からは、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。
リン化合物の含有量は、ポリアミド樹脂組成物中にリン元素として5ppm以上5000ppm以下が好ましく、20ppm以上4000ppm以下がより好ましく、30ppm以上3000ppm以下がさらに好ましい。
リン化合物の含有量は、ポリアミド樹脂組成物中にリン元素として5ppm以上5000ppm以下が好ましく、20ppm以上4000ppm以下がより好ましく、30ppm以上3000ppm以下がさらに好ましい。
前記ポリアミドエラストマーには、前述の(a)ビスフェノール化合物及びリン化合物以外に、特性を損なわない範囲で、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。具体的には、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑材、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、難燃剤、補強材、無機フィラー、微小繊維、X線不透過剤などを添加することができる。
以下に、前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物の(b)アミド樹脂が、(b1)成分、(b21)成分及び(b22)成分、又は、(b1)成分、(b21)成分、(b22)成分及び(b3)成分に由来する構造を有するポリアミドエラストマーである場合に、当該ポリアミドエラストマーの製造方法の実施形態について説明する。
前記ポリアミドエラストマーは、少なくとも(b21)、(b22)及び(b1)成分並びに必要に応じて用いる(b3)成分を反応させることで得ることができる。例えば、(b21)、(b22)及び(b1)成分又は(b21)、(b22)、(b1)及び(b3)成分を同時に混合し反応させる方法、(b21)成分と(b22)成分とを反応させた後に残りの成分を添加して、反応させる方法等が挙げられる。このうち、所望のハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック共重合体を効率的に合成する観点からは、(i)(b21)成分と(b22)成分を混合し反応させてプレポリマーを得る工程(以下、「工程(i)」と称する。)と、工程(i)で得られたプレポリマーに(b1)成分又は(b1)成分と(b3)成分を混合し反応させる工程(以下、「工程(ii)」と称する。)と、を含む製造方法により得ることが好ましい。
工程(i)において、(b21)成分と(b22)成分を混合する際の混合比率は、特に限定はないが、所望のハードセグメント長が得られやすい点で、(b21)成分のアミノ基(A)と(b22)成分のモノカルボン酸基(B)のモル比(A/B)は1/2以上5/4以下が好ましく、実質的に1/1であるのがより好ましい。
尚、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分を同時に混合し反応させる製造方法の場合でも、工程(i)及び(ii)を含む製造方法の場合でも、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分におけるアミノ基とカルボン酸基が実質的に等モルになるように混合することが好ましい。
尚、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分を同時に混合し反応させる製造方法の場合でも、工程(i)及び(ii)を含む製造方法の場合でも、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分におけるアミノ基とカルボン酸基が実質的に等モルになるように混合することが好ましい。
また、アミノ基とカルボン酸基の等モル性を崩す要因となり得る化合物の添加は、所望の物性を低下させない程度にすることが望ましい。
(b1)、(b21)及び(b22)の各成分の混合比率は、特に制限はないが(b21)成分は、(b1)、(b21)及び(b22)成分の全成分に対して70~98.5重量%が好ましく、85~98重量%がより好ましい。(b22)成分は、(b1)、(b21)及び(b22)成分の全成分に対して0.5~20重量%が好ましく、1~10重量%がより好ましい。(b1)成分は、(b1)、(b21)及び(b22)成分の全成分に対して0.5~20重量%が好ましく、1~10重量%がより好ましい。また、(b3)成分を用いる場合は、(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)の各成分の混合比率は、特に制限はないが(b21)成分は、(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分に対して70~98.5重量%が好ましく、85~98重量%がより好ましい。(b22)成分は、(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分に対して0.5~20重量%が好ましく、1~10重量%がより好ましい。(b1)成分は、(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分に対して0.5~20%が好ましく、1~10重量%がより好ましい。(b3)成分は、(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分に対して0.5~30重量%が好ましく、1~20重量%がより好ましい。
したがって、工程(i)においては、工程(ii)を考慮して(b21)成分と(b22)成分の混合量を決定するとよい。但し、上述したように、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分におけるアミノ基とカルボン酸基のモル比を考慮するのが好ましく、そのモル比が実質的に等モルになるように混合量を決定することが好ましい。また、(b21)成分が縮合重合生成物である場合は、重合前の化合物を基準に混合量を決定することもできる。
したがって、工程(i)においては、工程(ii)を考慮して(b21)成分と(b22)成分の混合量を決定するとよい。但し、上述したように、(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の全成分におけるアミノ基とカルボン酸基のモル比を考慮するのが好ましく、そのモル比が実質的に等モルになるように混合量を決定することが好ましい。また、(b21)成分が縮合重合生成物である場合は、重合前の化合物を基準に混合量を決定することもできる。
本発明のポリアミドエラストマーの製造方法においては、工程(i)及び(ii)における反応は、溶媒中で、あるいは溶媒を用いずに無溶媒の状態で行うことが出来るが、精製などが必要なく、簡便に目的のポリアミドエラストマーが得られやすい点で、溶媒を用いずに無溶媒で反応させることが好ましい。このような無溶媒での反応は、溶融混練法により行うことができる。したがって、工程(i)における(b21)成分及び(b22)成分、並びに、工程(ii)におけるプレポリマーと、(b1)成分又は(b1)成分及び(b3)成分とを溶融混練法で反応させるのが好ましい。
(b1)、(b21)及び(b22)成分又は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の重合反応としては、常圧溶融重縮合反応または減圧溶融重縮合反応、あるいはその組合せを採用することができる。減圧溶融重縮合の場合は、重合反応性の点で、窒素ガス雰囲気で、反応容器内の圧力を0.1~0.01(MPa)とするのが好ましい。これらの溶融重縮合反応は、無溶媒の状態で溶融混練法により行うことができる。
前記ポリアミドエラストマーの製造方法における工程(i)および工程(ii)の反応温度は、重合反応が起これば特に制限されないが、反応速度と熱分解の抑制のバランスから、160~300℃が好ましく、200~280℃で行うことがより好ましい。なお、工程(i)および(ii)の反応温度は同一でも異なっていても良い。
前記ポリアミドエラストマーの製造方法における工程(i)および(ii)の重合反応時間は、分子量の高分子量化や着色の抑制等の観点から、3~10時間であることが好ましい。なお、工程(i)および(ii)の重合反応時間は同一でも異なっていても良い。
前記ポリアミドエラストマーの製造方法は、回分式でも、連続式であってもよい。例えば、バッチ式反応釜等を用いた回分式でもよいし、一槽式又は多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置等を単独又は組み合わせて用いた連続式でもよい。
前記ポリアミドエラストマーの製造において、必要に応じて触媒として、リン化合物を用いることができる。このようなリン化合物としては、例えば、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。このうち、重合反応の安定性の向上、ポリアミドエラストマーに対する耐熱安定性の付与、成形体の力学的特性の向上の観点からは、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機リン化合物を用いるのが好ましい。
このようなリン化合物の仕込み時の重量は、工程(i)及び工程(ii)のうち少なくとも1方において、(b1)、(b21)及び(b22)成分、(b3)成分を用いる場合は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の合計重量に対して、好ましくは10ppm以上10000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以上5000ppm以下である。また、この時(b21)成分が縮合重合生成物である場合は、縮合重合前の化合物の添加量を基準とすることができる。尚、反応で発生する副生成物によって、リン化合物が反応系外へ排出されることがあるため、仕込み重量とポリアミドエラストマー中のリン元素含有量は同じでなくても良い。得られるポリアミドエラストマー中のリン元素含有量が、5ppm以上5000ppm以下となるように含有させるのが好ましく、20ppm以上4000ppm以下がより好ましく、30ppm以上3000ppm以下がさらに好ましい。
このようなリン化合物の仕込み時の重量は、工程(i)及び工程(ii)のうち少なくとも1方において、(b1)、(b21)及び(b22)成分、(b3)成分を用いる場合は(b1)、(b21)、(b22)及び(b3)成分の合計重量に対して、好ましくは10ppm以上10000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以上5000ppm以下である。また、この時(b21)成分が縮合重合生成物である場合は、縮合重合前の化合物の添加量を基準とすることができる。尚、反応で発生する副生成物によって、リン化合物が反応系外へ排出されることがあるため、仕込み重量とポリアミドエラストマー中のリン元素含有量は同じでなくても良い。得られるポリアミドエラストマー中のリン元素含有量が、5ppm以上5000ppm以下となるように含有させるのが好ましく、20ppm以上4000ppm以下がより好ましく、30ppm以上3000ppm以下がさらに好ましい。
工程(ii)において各成分を反応させた後は、例えば溶融状態の重合体をひも状に引き出して冷却し、必要に応じて、ペレット等として得ることができる。
前記耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物は、例えば、(I)(a)ビスフェノール化合物の存在下で(b)アミド樹脂を合成し、必要に応じて、他の添加剤を混合する方法、(II)(a)ビスフェノール化合物、予め合成した(b)アミド樹脂、必要に応じて用いる他の添加剤を混合する方法等により得ることができる。(I)の方法の場合は、(II)の方法の場合に比べて、(b)アミド樹脂中に(a)ビスフェノール化合物が均一に分散されている傾向にある。(I)の方法では、前述のポリアミドエラストマーの製造方法の実施形態を例に挙げると、少なくとも(b21)、(b22)及び(b1)成分並びに必要に応じて用いる(b3)成分を反応させる際に、(a)ビスフェノール化合物を存在させておけばよい。(a)ビスフェノール化合物の添加の仕方は特に限定はなく、必要量を1回で添加してもよいし、複数回に分けて、添加してもよい。(I)の方法や(II)の方法において各成分を混合する際の混合方法は、(I)の方法では(b)アミド樹脂中に他の添加剤が、(II)の方法では(b)アミド樹脂中に(a)ビスフェノール化合物等が均一な濃度分布になるように混合可能なものであればよい。例えば、タンブルミキサ、リボンブレンダ、ヘンシェルミキサ等の混合機、オープンローラ、ニーダ、バンバリーミキサ、コンティニュアスミキサ、単軸スクリュー押出機(単軸押出機)、二軸以上の多軸スクリュー押出機(多軸押出機)などの混練機を用いた方法が挙げられる。このうち、混合効率の観点から単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機が好ましい。多軸スクリュー押出機としては、非噛み合い型、噛み合い型の何れでもよいが、噛み合い型が好ましく、噛み合い型としては、同方向回転型、異方向回転型の何れでもよいが、異方向回転型が好ましい。混合条件は、アミド樹脂の特性に応じて適宜決定することができる。
必要に応じて、各成分を前述の混合機、混練機を用いて混合する前に、乾燥処理を行ってもよい。樹脂組成物中の水分量が100~3000ppmとすることで、水蒸気による気泡が発生しない成形体となる。この際の乾燥条件としては、60~100℃で、4~12時間が好ましい。
前記樹脂組成物の形態は、用途に応じて適宜決定することができ、例えば、紛体状、ペレット状などが挙げられる。
<耐放射線性医療用成形体>
前記耐放射線性医療用成形体は、前述の樹脂組成物を用いて作製されたものである。前述の樹脂組成物を用いることで、耐放射線性に優れる成形体が得られる。したがって、ガンマ線や電子線等の放射線、特に、高い強度の電子線による滅菌処理が行われる医療用途に好適である。また、医療用途の成形体としては、高い強度の電子線で滅菌処理されることが想定されることから、医療用チューブ、医療用バルーンが特に好適である。また、前記耐放射線性医療用成形体は、前述の樹脂組成物を用いて、用途等に応じて、押出成形、射出成形、ブロー成形等の従来の各種の成形方法により成形することができる。
前記耐放射線性医療用成形体は、前述の樹脂組成物を用いて作製されたものである。前述の樹脂組成物を用いることで、耐放射線性に優れる成形体が得られる。したがって、ガンマ線や電子線等の放射線、特に、高い強度の電子線による滅菌処理が行われる医療用途に好適である。また、医療用途の成形体としては、高い強度の電子線で滅菌処理されることが想定されることから、医療用チューブ、医療用バルーンが特に好適である。また、前記耐放射線性医療用成形体は、前述の樹脂組成物を用いて、用途等に応じて、押出成形、射出成形、ブロー成形等の従来の各種の成形方法により成形することができる。
また、(b)アミド樹脂が、所定のポリアミドエラストマーである場合は、ポリエーテル鎖やポリアミド鎖を適度に含んでいるため、吸水性による物性変化が小さく、樹脂の溶融特性により押出し成形性及び引取り成形性に優れ、ブロー成形性に優れ、強靭性に優れている。そのため、例えば、押出成形体である医療用チューブ等や、ブロー成形体である医療用ボトル、医療用バルーン等の部材の構成材料としても好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術範囲を限定されるものではない。
1.ペレットの作製方法
実施例及び比較例で用いる各ポリアミド樹脂と添加剤をドライブレンド後、同方向噛合型2軸押出機φ16mm(L/D=40)を用いて、設定温度200~230℃、スクリュー回転数600rpmで溶融混錬して、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例で用いる各ポリアミド樹脂と添加剤をドライブレンド後、同方向噛合型2軸押出機φ16mm(L/D=40)を用いて、設定温度200~230℃、スクリュー回転数600rpmで溶融混錬して、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
2.チューブの作製方法
チューブは、前述の各ペレット状のポリアミド樹脂組成物を用い、1軸押出機(φ15mm、L/D=28)を用いて、設定温度200~230℃、スクリュー回転数20~30(rpm)で、外径が0.88(mm)で、内径が0.46(mm)となるように押出成形で作製した。得られたチューブを後述する電子照射試験及び引張試験のサンプルとして用いた。
チューブは、前述の各ペレット状のポリアミド樹脂組成物を用い、1軸押出機(φ15mm、L/D=28)を用いて、設定温度200~230℃、スクリュー回転数20~30(rpm)で、外径が0.88(mm)で、内径が0.46(mm)となるように押出成形で作製した。得られたチューブを後述する電子照射試験及び引張試験のサンプルとして用いた。
3.電子線照射試験
電子線照射試験は、電子線照射装置(RDI社製、ダイナミトロン型電子加速器)を用いて、表面予定線量80kGy(加速電圧4.8(MV)、電流20mA、処理速度6.2m/min)、線量測定装置(CTA線量計用島津UV-1800分光光度計)、CTA線量計(富士写真フィルム社製FTR-125)を用いて実施した。
試験方法は、サンプルを支持体(ダンボール5枚)を敷いた照射用カートに水平面上に平滑に並べ、鉛直方向上側より電子線照射を行った。
電子線照射試験は、電子線照射装置(RDI社製、ダイナミトロン型電子加速器)を用いて、表面予定線量80kGy(加速電圧4.8(MV)、電流20mA、処理速度6.2m/min)、線量測定装置(CTA線量計用島津UV-1800分光光度計)、CTA線量計(富士写真フィルム社製FTR-125)を用いて実施した。
試験方法は、サンプルを支持体(ダンボール5枚)を敷いた照射用カートに水平面上に平滑に並べ、鉛直方向上側より電子線照射を行った。
4.引張試験
引張試験は、Instron社製5564型を使用し、温度23℃の恒温相内で実施した。試験条件はチャック間距離50mm、引張速度200(mm/min)とした。サンプルの乾燥は、真空乾燥機により-0.1(MPa)減圧状態で4時間乾燥させた。
引張試験は、Instron社製5564型を使用し、温度23℃の恒温相内で実施した。試験条件はチャック間距離50mm、引張速度200(mm/min)とした。サンプルの乾燥は、真空乾燥機により-0.1(MPa)減圧状態で4時間乾燥させた。
(製造例)
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、12アミノドデカン酸1200gおよび次亜リン酸0.6gを仕込み、容器内を十分窒素置換し、溶融させるために280℃で1時間昇温し、数平均分子量が6200となるまで重合し、ハードセグメントを構成する(b21)成分を得た。
そして、得られた(b21)成分の末端アミン基のモル量と等モルのアジピン酸((b22)成分)35g(0.24mol)を添加し、220℃で1時間反応させカルボン酸末端ポリアミド(b2)を得た。カルボン酸末端ポリアミド(b2)の数平均分子量は、6500であった。
得られたカルボン酸末端ポリアミド(b2)の両末端カルボン酸基と等モルになるように、(b3)成分としてヘキサメチレンジアミン14g(0.12mol)、(b1)成分としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600)を72g(0.12mol)仕込み、260℃まで昇温し、さらに4時間重合を行って、ポリアミドエラストマー(HMDP6(55))を得た。
重合終了後、撹拌を停止し、ポリマーを取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミドエラストマーをひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、12アミノドデカン酸1200gおよび次亜リン酸0.6gを仕込み、容器内を十分窒素置換し、溶融させるために280℃で1時間昇温し、数平均分子量が6200となるまで重合し、ハードセグメントを構成する(b21)成分を得た。
そして、得られた(b21)成分の末端アミン基のモル量と等モルのアジピン酸((b22)成分)35g(0.24mol)を添加し、220℃で1時間反応させカルボン酸末端ポリアミド(b2)を得た。カルボン酸末端ポリアミド(b2)の数平均分子量は、6500であった。
得られたカルボン酸末端ポリアミド(b2)の両末端カルボン酸基と等モルになるように、(b3)成分としてヘキサメチレンジアミン14g(0.12mol)、(b1)成分としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600)を72g(0.12mol)仕込み、260℃まで昇温し、さらに4時間重合を行って、ポリアミドエラストマー(HMDP6(55))を得た。
重合終了後、撹拌を停止し、ポリマーを取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミドエラストマーをひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。
(実施例1)
ハードセグメントとしてポリアミド12に由来する構造を有し、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレングリコールに由来する構造を有するポリアミドエラストマー(アルケマ社製、PEBAX7233)のペレット95重量部に対し、ビスフェノール化合物(三菱化学株式会社製、ヨシノックスBB)5重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量910ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が399.1%、破断荷重の平均値が31.1Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が401.2%、破断加重の平均値が30.3Nであった。
ハードセグメントとしてポリアミド12に由来する構造を有し、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレングリコールに由来する構造を有するポリアミドエラストマー(アルケマ社製、PEBAX7233)のペレット95重量部に対し、ビスフェノール化合物(三菱化学株式会社製、ヨシノックスBB)5重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量910ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が399.1%、破断荷重の平均値が31.1Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が401.2%、破断加重の平均値が30.3Nであった。
(実施例2)
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量860ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が412.1%、破断荷重の平均値が34.6Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が413.6%、破断加重の平均値が32.9Nであった。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量860ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が412.1%、破断荷重の平均値が34.6Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が413.6%、破断加重の平均値が32.9Nであった。
(実施例3)
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99.5重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量780ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が387%、破断荷重の平均値が33.1Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が390.4%、破断加重の平均値が31.9Nであった。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99.5重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量780ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が387%、破断荷重の平均値が33.1Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が390.4%、破断加重の平均値が31.9Nであった。
(実施例4)
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99.9重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量820ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が410.7%、破断荷重の平均値が33.5Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が414.2%、破断加重の平均値が32.4Nであった。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99.9重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量820ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が410.7%、破断荷重の平均値が33.5Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が414.2%、破断加重の平均値が32.4Nであった。
(実施例5)
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(三菱化学株式会社製、ヨシノックス425)1重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量830ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が389.6%、破断荷重の平均値が32.8Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が390.7%、破断加重の平均値が31.6Nであった。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(三菱化学株式会社製、ヨシノックス425)1重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量830ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が389.6%、破断荷重の平均値が32.8Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が390.7%、破断加重の平均値が31.6Nであった。
(実施例6)
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)1重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mm状の半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量790ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が400.5%、破断荷重の平均値が30.9Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が401.5%、破断加重の平均値が31.5Nであった。
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)1重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mm状の半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量790ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が400.5%、破断荷重の平均値が30.9Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が401.5%、破断加重の平均値が31.5Nであった。
(実施例7)
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99.5重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.5重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mm状の半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量890ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が404.1%、破断荷重の平均値が32.4Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が403.7%、破断加重の平均値が32.2Nであった。
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99.5重量部に対し、ビスフェノール化合物(ヨシノックスBB)0.5重量部をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mm状の半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量890ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が404.1%、破断荷重の平均値が32.4Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が403.7%、破断加重の平均値が32.2Nであった。
(比較例1)
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、0.5重量部の添加剤a(BASF社製、IRGANOX1010)および0.5重量部の添加剤b(BASF社製、IRGANOX1098)をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量800ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が389.9%、破断荷重の平均値が28.6Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が413.2%、破断加重の平均値が25.1Nであった。
ポリアミドエラストマー(PEBAX7233)のペレット99重量部に対し、0.5重量部の添加剤a(BASF社製、IRGANOX1010)および0.5重量部の添加剤b(BASF社製、IRGANOX1098)をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量800ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が389.9%、破断荷重の平均値が28.6Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が413.2%、破断加重の平均値が25.1Nであった。
(比較例2)
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量830ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が410.8%、破断荷重の平均値が32.5Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が436.3%、破断加重の平均値が30.0Nであった。
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量830ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が410.8%、破断荷重の平均値が32.5Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が436.3%、破断加重の平均値が30.0Nであった。
(比較例3)
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99重量部に対し、1重量部の添加剤b(IRGANOX1098)をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量760ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が449.7%、破断荷重の平均値が35.7Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が473.9%、破断加重の平均値が32.9Nであった。
製造例で得られたポリアミドエラストマーのペレット99重量部に対し、1重量部の添加剤b(IRGANOX1098)をドライブレンドし、2軸押出機で混合し、概ね直径3mm×長さ3mmの半透明の無色ペレットを得た。この時点での分子量低下がないこともGPCで確認した。その後、得られたペレットを80℃で6時間乾燥させ、水分量760ppmとした。そして、一軸押出機により外径0.88mm、内径0.46mmの中空状チューブを得た。そのチューブ10本の引張試験を実施した結果、破断伸びの平均値が449.7%、破断荷重の平均値が35.7Nであった。
このチューブに80kGyの電子線照射を行い、24時間後、同様に引張試験を行った結果、破断伸びの平均値が473.9%、破断加重の平均値が32.9Nであった。
実施例1~7及び比較例1~3の組成及び測定結果を表1に示す。
実施例および比較例から、所定構造のビスフェノール化合物を用いることで、放射線の照射による破断伸び及び破断荷重の劣化が抑制されていることが分かる。
Claims (12)
- 前記(a)ビスフェノール化合物を0.01~10重量%含有する請求項1に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
- 前記(a)ビスフェノール化合物が、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、または、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)である請求項1又は2に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
- 前記(b)アミド樹脂が、ソフトセグメントとして、(b1)ポリエーテルジアミン及びポリオキシアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種に由来する構造を有し、ハードセグメントとして、(b2)カルボン酸末端ポリアミドの少なくとも1種に由来する構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
- 前記(b2)カルボン酸末端ポリアミドの数平均分子量(Mn)が4000以上である請求項4~8のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の耐放射線性医療用ポリアミド樹脂組成物を含有する樹脂組成物を用いて作製された耐放射線性医療用成形体。
- 医療用チューブ又は医療用バルーンである請求項10に記載の耐放射線性医療用成形体。
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