WO2017164310A1 - 取付け構造 - Google Patents

Abstract

取付け構造は、可撓部及び前記可撓部の一端に設けられた爪部を有する第１取付け部及び第２取付け部を含む第１部材と、前記第１部材が装着される第２部材と、を備え、前記第１取付け部は、前記爪部の下面と前記下面に連続する前記可撓部の表面とのなす角が鈍角であり、第２取付け部は、前記爪部の下面と前記下面に連続する前記可撓部の表面とのなす角が直角または鋭角である。

Description

取付け構造

　本発明は、材料の弾性を利用して部品同士を結合する取付け構造に関する。特に、鍵盤装置の鍵の取付け構造に関する。

　従来、部品同士を結合する方式として、スナップフィットと呼ばれる、材料の弾性を利用した簡易な取付け構造が知られている。この取付け構造は、例えば、プラスチック等の成形部品を組み合わせて結合する際に利用される。

　上述の取付け構造は、部品同士の結合の容易性が要求されるともに、いったん結合した後は、簡単に外れないように固定されるという性能が要求される。このような性能を考慮した取付け構造として、例えば、特許文献１では、プリント配線板の取付け構造が提案されている。

実開平１－１７６９８７号公報

　しかしながら、特許文献１で提案されている取付け構造は、部品寸法のばらつきを考慮していないため、部品寸法のばらつきに起因して、部品同士が意図せず分離してしまったり、部品同士の取付けが困難になってしまったりする可能性がある。

　また、部品寸法のばらつきを考慮した設計として、スナップフィットの爪部分にある程度のマージンを設け、部品寸法のばらつきを吸収することも考えられる。しかしながら、マージンを設けることによって部品のガタつきが発生してしまうため、部品同士が意図せず分離してしまうおそれがある。

　本発明の一側面に係る目的は、部品同士の意図しない分離を防ぎつつ、部品のガタつきを抑制することの可能な取付け構造を提供することである。

　本発明の一側面に係る取付け構造は、第１可撓部、及び前記第１可撓部の一端に設けられ、前記第１可撓部の一面から突出した第１爪部を有する第１取付部、並びに第２可撓部、及び前記第２可撓部の一端に設けられ、前記第２可撓部の一面から突出した第２爪部を有する第２取付部を含む第１部材と、前記第１取付部が挿入される第１挿入孔、及び前記第２取付部が挿入される第２挿入孔を含む第２部材と、を備え、前記第１挿入孔及び前記第２挿入孔は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着する装着方向に延び、前記第１取付部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記第１可撓部の前記一面から続く前記第１爪部の面の少なくとも一部を前記第１挿入孔の第１係止部に接触させることで、当該第１挿入孔の第１係止部に前記第１爪部を引掛けることができるように構成されており、前記第２取付部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記第２可撓部の前記一面から続く前記第２爪部の面の少なくとも一部を前記第２挿入孔の第２係止部に接触させることで、当該第２挿入孔の第２係止部に前記第２爪部を引掛けることができるように構成されており、前記第１爪部の前記面と前記第１可撓部の前記一面とのなす角は鈍角であり、前記第２爪部の前記面と前記第２可撓部の前記一面とのなす角は直角又は鋭角である。なお、例えば、第１可撓部及び第２可撓部は、一方向に延びる形状を有している。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは異なる方向であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは反対方向であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向に直交する方向であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記装着方向において、前記第１可撓部の長さと前記第２可撓部の長さとは相違してよい。

　本発明の一側面に係る取付け構造は、可撓部、前記可撓部の両端部の間に設けられ、前記可撓部の外壁面から突出した第１爪部、及び前記可撓部に一端部に設けられ、前記可撓部の外壁面から突出した第２爪部を有する取付け部を含む第１部材と、前記取付け部が挿入される挿入孔を含む第２部材と、を備え、前記挿入孔は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着する装着方向に延び、前記挿入孔の内壁面には、段差部が設けられ、前記取付け部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記可撓部の外壁面から続く前記第２爪部の面の少なくとも一部を前記段差部よりも前記装着方向の奥側に設けられた前記挿入孔の係止部に接触させ、かつ前記可撓部の外壁面から続く前記第１爪部の面の少なくとも一部を前記挿入孔の内壁面に設けられた前記段差部に接触させることで、当該挿入孔の係止部に前記第２爪部を引掛け、かつ前記段差部に前記第１爪部を引掛けることができるように構成される。なお、例えば、可撓部は、一方向に延びる形状を有している。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記第１爪部の前記面と前記可撓部の外壁面とのなす角は鈍角であってよく、前記第２爪部の前記面と前記可撓部の外壁面とのなす角は直角又は鋭角であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは異なる方向であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは反対方向であってよい。

　上記一側面に係る取付け構造において、前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向に直交する方向であってよい。

　本発明の一側面に係る鍵盤装置は、フレームと、長手方向に延びる複数の鍵と、前記各鍵を前記フレームに回動可能に連結する複数の連結部材と、前記各連結部材及び前記各鍵の結合部分、並びに前記各連結部材及び前記フレームの結合部分の少なくともいずれか一方に設けられる、上記いずれかの形態に係る取付け構造と、を備える。

　本発明によれば、部品同士の意図しない分離を防ぎつつ、部品のガタつきを抑制することができる。

図１は、実施形態の鍵盤装置の構成を示す図である。 図２は、実施形態の音源装置の構成を示すブロック図である。 図３は、実施形態の筐体内部の構成を側面から見た場合の一例を示す図である。 図４は、実施形態の棒状可撓部を含む構造体の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図５は、実施形態の第１部材の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図６Ａは、実施形態の第１取付け部における第１爪部の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図６Ｂは、実施形態の第１取付け部における第１爪部の作用について説明するための図である。 図７Ａは、実施形態の第２取付け部における第２爪部の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図７Ｂは、実施形態の第２取付け部における第２爪部の作用について説明するための図である。 図８は、実施形態の第２部材の構成を上方から見た場合の一例を示す図である。 図９は、実施形態の第２部材の図８に示すＡ－Ａ’線の断面の一例を示す図である。 図１０は、実施形態の第２部材の図８に示すＢ－Ｂ’線の断面の一例を示す図である。 図１１は、実施形態の第２部材の構成を背面から見た場合の一例を示す図である。 図１２は、実施形態の取付け構造の図８に示すＡ－Ａ’線の断面の一例を示す図である。 図１３Ａは、変形例に係る第１取付け部の構成を例示する。 図１３Ｂは、変形例に係る第１取付け部の構成を例示する。 図１４は、変形例に係る第１部材の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図１５は、変形例に係る第２部材の構成を上方から見た場合の一例を示す図である。 図１６は、変形例に係る第１部材の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。 図１７は、変形例に係る第２部材の構成を上方から見た場合の一例を示す図である。 図１８は、変形例に係る取付け構造の図８に示すＡ－Ａ’線に対応する断面の一例を示す。 図１９は、変形例に係る取付け構造の図８に示すＡ－Ａ’線に対応する断面の一例を示す。 図２０は、変形例に係る取付け構造の図８に示すＡ－Ａ’線に対応する断面の一例を示す。

　以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号（数字の後にＡ、Ｂ等を付しただけの符号）を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率（各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等）は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。

　［鍵盤装置の構成］
　図１は、実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置１は、この例では、電子ピアノなどユーザ（演奏者）の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置１は、外部の音源装置を制御するための制御データ（例えば、ＭＩＤＩ）を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置１は、音源装置を有していなくてもよい。

　鍵盤装置１は、鍵盤アセンブリ１０を備える。鍵盤アセンブリ１０は、長手方向に延びる複数の鍵１００を備えている。当該複数の鍵１００は、複数の白鍵１００ｗ及び黒鍵１００ｂを含んでいる。複数の白鍵１００ｗ及び複数の黒鍵１００ｂは並んで配列されている。この配列された方向をスケール方向という。図１の例では、鍵１００の数は、８８個である。ただし、鍵１００の数は、このような例に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。なお、以下では、白鍵１００ｗ及び黒鍵１００ｂを特に区別せずに説明する場合には、単に「鍵１００」と記載する場合がある。また、以下の説明において、符号の最後に「ｗ」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。符号の最後に「ｂ」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。

　鍵盤アセンブリ１０の一部は、筐体９０の内部に存在している。鍵盤装置１を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ１０のうち筐体９０に覆われている部分を非外観部ＮＶといい、筐体９０から露出してユーザから視認できる部分を外観部ＰＶという。すなわち、外観部ＰＶは、鍵１００の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵１００のうち外観部ＰＶによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。

　筐体９０内部には、音源装置７０及びスピーカ８０が配置されている。音源装置７０は、鍵１００の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ８０は、音源装置７０において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置１は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどが備えられていてもよい。

　なお、図１～図３の説明において、上、下、左、右、手前及び奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置１を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部ＮＶは、外観部ＰＶよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側、鍵後端側のように、鍵１００を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵１００に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵１００に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵１００ｂのうち、黒鍵１００ｂの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵１００ｗよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。

　図２は、実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置７０は、信号変換部７１０、音源部７３０及び出力部７５０を備える。センサ３００は、各鍵１００に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ３００は、３段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。

　信号変換部７１０は、センサ３００（８８の鍵１００に対応したセンサ３００－１、３００－２、・・・、３００－８８）の出力信号を取得し、各鍵１００における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はＭＩＤＩ形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部７１０はノートオンを出力する。このとき、８８個の鍵１００のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、及び押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部７１０はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部７１０には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。

　音源部７３０は、信号変換部７１０から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部７５０は、音源部７３０によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ８０または音波形信号出力端子などに出力される。

　［鍵盤アセンブリの構成］
　図３は、実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図３に示すように、筐体９０の内部には、鍵盤アセンブリ１０及びスピーカ８０が配置されている。スピーカ８０は、鍵盤アセンブリ１０の奥側に配置されている。このスピーカ８０は、押鍵された鍵１００に応じた音を筐体９０の上方及び下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体９０の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体９０の内部から鍵盤アセンブリ１０の内部の空間を通過して、外観部ＰＶにおける鍵１００の隣接間の隙間または鍵１００と筐体９０との隙間から外部に進む。

　鍵盤アセンブリ１０は、上述した鍵１００の他にも、複数の接続部１８０、ハンマアセンブリ２００及びフレーム５００を備えている。鍵盤アセンブリ１０は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。フレーム５００は、筐体９０に固定されている。

　各鍵１００は、各接続部１８０を介して、フレーム５００に対して回動可能に接続される。具体的には、各接続部１８０は、各鍵１００の後端部を構成する板状可撓部１８１及び鍵側支持部１８３、並びに棒状可撓部１８５ａを備えている。板状可撓部１８１は、鍵１００の後端から延在している。鍵側支持部１８３は、板状可撓部１８１の後端から延在している。棒状可撓部１８５ａは、鍵側支持部１８３及びフレーム５００のフレーム側支持部５８５を連結している。これにより、棒状可撓部１８５ａは、鍵１００とフレーム５００との間に配置される。この棒状可撓部１８５ａが曲がることによって、鍵１００はフレーム５００に対して回動することができる。すなわち、この棒状可撓部１８５ａは、本発明の「連結部材」に相当し、各鍵１００は、各接続部１８０の棒状可撓部１８５ａによって、フレーム５００に回動可能に連結される。

　本実施形態では、棒状可撓部１８５ａと鍵１００の鍵側支持部１８３との結合部分、及び棒状可撓部１８５ａとフレーム５００のフレーム側支持部５８５との結合部分の両方に、後述する取付け構造２０（いわゆるスナップフィット）が設けられている。なお、本実施形態では、スナップフィットの爪部分（後述する各爪部）が引っ掛かる方向（以下、「引っ掛かり方向」とも称する）と鍵１００の長手方向とが一致するように取付け構造を設計している。スナップフィットの爪部分は、なるべく大きく撓ませたいという事情があるため、鍵１００が高密度に配置されるスケール方向に比べて長手方向の方がスペース確保の観点から有利である。

　図４は、実施形態の棒状可撓部１８５ａを含む構造体１８５の構成を側面から見た場合を示す図である。図４に示すように、構造体１８５は、棒状可撓部１８５ａの両端に後述する第１部材２０ａを取り付けた構造となっている。図４の例では、棒状可撓部１８５ａの両端に、互いに逆さ向きとなるように一対の第１部材２０ａが設けられている。そのため、一方の各第１部材２０ａを鍵側支持部１８３に装着し、他方の第１部材２０ａをフレーム側支持部５８５に装着することにより、鍵側支持部１８３及びフレーム側支持部５８５と棒状可撓部１８５ａとを結合することができる。なお、第１部材２０ａを含む取付け構造の詳細については後述する。

　鍵１００は、前端鍵ガイド１５１及び側面鍵ガイド１５３を備えている。前端鍵ガイド１５１は、フレーム５００の前端フレームガイド５１１を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド１５１は、その上部と下部のスケール方向の両側において、前端フレームガイド５１１と接触している。側面鍵ガイド１５３は、スケール方向の両側において側面フレームガイド５１３と摺動可能に接触している。この例では、側面鍵ガイド１５３は、鍵１００の側面のうち非外観部ＮＶに対応する領域に配置され、接続部１８０（板状可撓部１８１）よりも鍵前端側に存在するが、外観部ＰＶに対応する領域に配置されてもよい。

　ハンマアセンブリ２００は、フレーム５００に対して回動可能に取り付けられている。このときハンマアセンブリ２００の軸支持部２２０とフレーム５００の回動軸５２０とは少なくとも３点で摺動可能に接触する。ハンマアセンブリ２００の前端部２１０は、ハンマ支持部１２０の内部空間において概ね前後方向に摺動可能に接触する。この摺動部分、すなわち前端部２１０とハンマ支持部１２０とが接触する部分は、外観部ＰＶ（鍵本体部の後端よりも前方）における鍵１００の下方に位置する。

　ハンマアセンブリ２００は、回動軸よりも奥側において、金属製の錘部２３０が配置されている。通常時（押鍵していないとき）には、錘部２３０が下側ストッパ４１０に載置された状態であり、ハンマアセンブリ２００の前端部２１０が、鍵１００を押し戻している。押鍵されると、錘部２３０が上方に移動し、上側ストッパ４３０に衝突する。ハンマアセンブリ２００は、この錘部２３０によって、押鍵に対して加重を与える。下側ストッパ４１０及び上側ストッパ４３０は、緩衝材等（不織布、弾性体等）で形成されている。

　ハンマ支持部１２０及び前端部２１０の下方には、フレーム５００にセンサ３００が取り付けられている。押鍵により前端部２１０の下面側でセンサ３００が押しつぶされると、センサ３００は検出信号を出力する。センサ３００は、上述したように、各鍵１００に対応して設けられている。

　［取付け構造の構成］
　次に、図５～図１１を用いて、実施形態における取付け構造２０（図１２参照）について説明する。本実施形態の取付け構造２０は、いわゆるスナップフィットであり、材料の弾性を利用して部品同士を結合する。本実施形態の取付け構造２０は、第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂにより構成される。第１部材２０ａは、図４に示されるとおり、棒状可撓部１８５ａの両端それぞれに設けられる。一方、第２部材２０ｂは、第１部材２０ａと対になって取付け構造２０を構成する部材であり、図３に示す鍵側支持部１８３及びフレーム側支持部５８５それぞれに設けられる。

　なお、以下の取付け構造２０に関する説明においては、説明の便宜上、図面に示したＸ軸、Ｙ軸及びＺ軸を基準として、第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂを構成する各部位の相対的な位置関係を説明する。具体的には、Ｘ軸の矢印の向かう方向を「前方」、その逆の方向を「後方」とし、Ｙ軸の矢印の向かう方向を「右方」、その逆の方向を「左方」とし、Ｚ軸の矢印の向かう方向を「上方」、その逆の方向を「下方」とする。

　各図に示すとおり、第１部材２０ａは、第１取付け部２３、第２取付け部２６、及び位置決め部２７を備えている。第１取付け部２３は、第１可撓部２１、及び第１可撓部２１の先端に設けられ、第１可撓部２１の一面（前方側の面２１ａ）から前方に突出した第１爪部２２を有している。また、第２取付け部２６は、第２可撓部２４、及び第２可撓部２４の先端に設けられ、第２可撓部２４の一面（後方側の面２４ａ）から後方に突出した第２爪部２５を有している。位置決め部２７は、各取付け部（２３、２６）の各可撓部（２１、２４）に連結している。一方、第２部材２０ｂは、下方側から第１取付け部２３が挿入される第１挿入孔３３、下方側から第２取付け部２６が挿入される第２挿入孔３４、及び下方側から位置決め部２７が挿入される第３挿入孔３５を備えている。

　これにより、本実施形態に係る取付け構造２０は、第２部材２０ｂの下方から第１部材２０ａを装着可能に構成されている。すなわち、本実施形態では、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する方向（以下、「装着方向」とも記載する）は上下方向である。ここでは、第１部材２０ａを装着側、第２部材２０ｂを受け側として説明するため、第２部材２０ｂに対し第１部材２０ａを装着した状態とは、第１部材２０ａと第２部材２０ｂとを結合した状態をいう。各挿入孔３３～３５は、装着方向に延びている。

　なお、本実施形態では、取付け構造２０の前後方向（Ｘ軸に沿った方向）が図１及び図３に示した鍵１００の長手方向と一致している。鍵１００は、スケール方向（長手方向と直交する方向）に高い密度で配置されるため、第１部材２０ａを大きく撓ませるだけの空間を確保する余裕が少ない。そのため、取付け構造２０の前後方向を鍵１００の長手方向に一致させることにより、第１部材２０ａの撓み量を出来るだけ大きくしつつ、省スペース化を図ることができる。以下、第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂについて、個別に説明する。

　（第１部材）
　まず、図５を用いて、第１部材２０ａについて説明する。図５は、実施形態に係る第１部材２０ａの構成を側方から見た場合の一例を示す図である。

　図５に示す第１部材２０ａは、本実施形態の取付け構造２０における爪側の部材に対応する。第１部材２０ａは、第１取付け部２３、第２取付け部２６、位置決め部２７、及び連結部２９を含んでいる。第１取付け部２３は、装着方向（すなわち、上下方向）に延びるように形成されており、略四角柱状の第１可撓部２１及び第１可撓部２１の一端に設けられた第１爪部２２を有している。第２取付け部２６は、第１取付け部２３と同じ方向（すなわち、装着方向）に延びるように形成されており、略四角柱状の第２可撓部２４及び第２可撓部２４の一端に設けられた第２爪部２５を有している。位置決め部２７は、連結部２９によって、各取付け部（２３、２６）の各可撓部（２１、２４）に連結されている。

　第１取付け部２３の第１可撓部２１は、可撓性材料で構成されている。可撓性材料は、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、プラスチック材料を可撓性材料として用いることができる。本実施形態に係る第１可撓部２１は、Ｚ軸に沿った方向に延びるように形成されており、Ｘ軸に沿った方向の長さ（厚み）が、Ｙ軸に沿った方向の長さ（幅）よりも短くなるように構成されている。そのため、第１可撓部２１の可撓性は、Ｘ軸に沿った方向（すなわち、前後方向）が大きく撓み、Ｙ軸に沿った方向（すなわち、左右方向）は、Ｘ軸に沿った方向よりも小さく撓むようになっている。すなわち、第１可撓部２１は、Ｘ軸に沿った方向の可撓性に比べて、Ｙ軸に沿った方向の可撓性が低い形状となっている。

　第２取付け部２６の第２可撓部２４は、上記第１取付け部２３の第１可撓部２１よりも前方側に配置されている。この第２可撓部２４は、第１可撓部２１と同様に構成されている。すなわち、第２可撓部２４も、Ｚ軸に沿った方向に延びるように可撓性材料を用いて形成されており、Ｘ軸に沿った方向の長さ（厚み）が、Ｙ軸に沿った方向の長さ（幅）よりも短くなるように構成されている。したがって、本実施形態では、両可撓部（２１、２４）が、Ｘ軸に沿った方向に大きく撓み、Ｙ軸に沿った方向（すなわち、左右方向）には、Ｘ軸に沿った方向よりも小さく撓むようになっている。

　そのため、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着した場合に、第１部材２０ａの各爪部（２２、２５）が第２部材２０ｂの各部（後述する第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１、第２挿入孔３４の第２開口周縁部３４１）に引っ掛かることにより、両爪部（２２、２５）の脱落が防止され、両部材（２０ａ、２０ｂ）は結合されることとなる。そこで、本実施形態では、各爪部（２２、２５）が各挿入孔（３３、３４）の開口周縁部に引っ掛かる方向と各可撓部（２１、２４）の大きく撓む方向（Ｘ軸に沿った方向）とを一致させている。これにより、第２部材２０ｂに第１部材２０ａを装着させたときの両者の結合を強くすることができる。なお、本実施形態では、第２可撓部２４の装着方向の長さは、第１可撓部２１の装着方向の長さとほぼ同じになっており、両爪部（２２、２５）は同じ高さで第２部材２０ｂに引っ掛かることができるようになっている。

　第１取付け部２３の第１爪部２２は、取付け構造２０において第２部材２０ｂに対して引っ掛かる爪の一つとして機能する部位である。本実施形態に係る第１爪部２２は、第１可撓部２１の装着方向先端側の端部に設けられ、装着方向とは異なる方向（本実施形態では、前方側）に第１可撓部２１の面２１ａから突出した形状を有している。ただし、第１爪部２２の突出する方向は、前方に限定されなくてもよく、例えば、第２部材２０ｂの構成（特に、第１爪部２２が引っ掛かる面の位置）に応じて、適宜決定されてよい。なお、本実施形態では、第１取付け部２３について、説明の便宜上、図５に示した一点鎖線から下の部分を第１可撓部２１と称し、そこから上の部分を第１爪部２２と称する。第１可撓部２１及び第１爪部２２は、一体形成されてもよいし、それぞれ別の部材で構成されてもよい。

　ここで、図６Ａ及び図６Ｂを更に用いて、第１爪部２２の形状について詳細に説明する。図６Ａは、本実施形態に係る第１爪部２２の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。図６Ｂは、本実施形態に係る第１爪部２２の作用について説明するための図である。

　第１爪部２２は、第１可撓部２１の面２１ａから続く下面２２ａ（本発明の「第１爪部の面」に相当）を有している。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａに装着した際には、この下面２２ａが、第２部材２０ｂに接触して引っ掛かる部分として機能する。すなわち、本実施形態では、第１爪部２２の下面２２ａが第１可撓部２１に加わるＺ軸方向の力を受けることにより、第１部材２０ａが第２部材２０ｂから脱落しないようにすることができる。

　具体的には、図６Ａに示されるとおり、第１爪部２２を側方から見た場合に、第１爪部２２の下面２２ａと第１可撓部２１の面２１ａ（本発明の「第１可撓部の一面」に相当）とのなす角αが鈍角となっている。換言すれば、第１爪部２２の下面２２ａは、図５に示したＸ軸に対し、装着方向（Ｚ軸の矢印の向かう方向）に傾斜する面に相当し得る。また、図５に示したＸ軸方向は、第１爪部２２を第２部材２０ｂに重畳させる（引掛ける）際に、第１可撓部２１が撓む方向（可撓方向）と概ね一致する。そのため、第１爪部２２の下面２２ａは、第１可撓部２１の可撓方向に対して、装着方向（上方）側に傾斜する面に相当し得る。これにより、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着したとき、第１爪部２２は、その下面２２ａが第２部材２０ｂの上面（後述する上面３１ａ）に接した状態で、第２部材２０ｂに重畳する。

　図６Ｂは、第２部材２０ｂの上面３１ａにおける、第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１から第１爪部２２が外れかかっている状態を点線で示している。この状態において、第１爪部２２には、第１可撓部２１の弾性力によって矢印の方向に向かって力が加わっている。そのため、第１爪部２２は、上面３１ａの隅部（具体的には、第１挿入孔３３の開口の縁）に下面２２ａを接触させた状態で矢印の方向に摺動し、実線で示した位置に移動する。つまり、本実施形態では、第１爪部２２の下面２２ａと第１可撓部２１の面２１ａとのなす角αが鈍角となっていることで、第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１に接触する第１爪部２２の下面２２ａが、第１爪部２２が第２部材２０ｂに重畳する方向に当該第１開口周縁部３３１に対して摺動可能に傾斜するように構成されている。この第１開口周縁部３３１は、本発明の「第１係止部」に相当する。

　これにより、例えば、第１爪部２２の変形等により第２部材２０ｂから第１爪部２２が外れかかったとしても、第１可撓部２１の前方への弾性力が、第１爪部２２の下面２２ａによって上方への力に変換される。その結果、第１爪部２２の下面２２ａが、第１爪部２２の第２部材２０ｂへの掛かり量（第１爪部２２が第２部材２０ｂに重畳する長さ）を増加させる方向に働く。つまり、第１爪部２２の下面２２ａとその下面２２ａに連続する第１可撓部２１の面２１ａとのなす角αを鈍角とすることにより、掛かり量の自己回復機能（爪部の引き込み機能）を第１取付け部２３に持たせることができる。また、第１爪部２２の位置が多少変動しても、下面２２ａと第２部材２０ｂとが接触した状態が維持されるため、両部材（２０ａ、２０ｂ）が上下方向にガタつくのを防止することができる。

　次に、図７Ａ及び図７Ｂを更に用いて、第２取付け部２６の第２爪部２５について説明する。第２爪部２５は、上記第１爪部２２と同様に、取付け構造２０において第２部材２０ｂに対して引っ掛かる爪の一つとして機能する部位である。図５に示すとおり、本実施形態に係る第２爪部２５は、第２可撓部２４の装着方向先端側の端部に設けられ、装着方向とは異なる方向（本実施形態では、後方側）に第２可撓部２４の面２４ａから突出した形状を有している。すなわち、第２爪部２５は、上記第１爪部２２の突出する方向とは反対方向に突出している。ただし、第２爪部２５の突出する方向は、後方に限定されなくてもよく、例えば、例えば、第２部材２０ｂの構成（特に、第２爪部２５が引っ掛かる面の位置）に応じて、適宜決定されてよい。なお、本実施形態では、第２取付け部２６について、説明の便宜上、図５に示した一点鎖線から下の部分を第２可撓部２４と称し、そこから上の部分を第２爪部２５と称する。第２可撓部２４及び第２爪部２５は、一体形成されてもよいし、それぞれ別の部材で構成されてもよい。

　第２爪部２５は、第２可撓部２４の面２４ａから続く下面２５ａ（本発明の「第２爪部の面」に相当）を有している。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａに装着した際には、この下面２５ａが、第２部材２０ｂに接触して引っ掛かる部分として機能する。すなわち、本実施形態では、第２爪部２５の下面２５ａが第２可撓部２４に加わるＺ軸方向の力を受けることにより、第１部材２０ａが第２部材２０ｂから脱落しないようにすることができる。

　具体的には、図７Ａに示されるとおり、第２爪部２５を側方から見た場合に、第２爪部２５の下面２５ａと第２可撓部２４の面２４ａ（本発明の「第２可撓部の一面」に相当）とのなす角βが鋭角となっている。換言すれば、第２爪部２５の下面２５ａは、図５に示したＸ軸に対し、装着方向とは反対方向（Ｚ軸の矢印の向かう方向とは反対の方向）に傾斜する面に相当し得る。また、第２爪部２５の下面２５ａは、第２可撓部２４の可撓方向に対して、装着方向と反対方向（下方）に傾斜する面に相当し得る。これにより、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着したとき、第２爪部２５は、下面２５ａの先端部２５ｂが第２部材２０ｂの上面３１ａに接した状態で、第２部材２０ｂに重畳する。なお、この角βは、鋭角ではなく、直角であってもよい。角βが直角である場合には、第２爪部２５の下面２５ａは、第２可撓部２４の可撓方向、すなわち、第２爪部２５が第２部材２０ｂに重畳する方向に平行な面に相当し得る。

　図７Ｂは、第２部材２０ｂの上面３１ａにおける第２挿入孔３４の第２開口周縁部３４１に第２爪部２５が重畳した状態を示している。この状態において、第２可撓部２４に対して下方（矢印の向かう方向）に強い力が加わったとしても、下面２５ａが下方向に傾斜しているため、第２爪部２５は、容易には変形しない。つまり、第２爪部２５は、第１爪部２２よりも下方向への力に対して高い耐性を有しており、第１爪部２２が外れてしまうような下方向の力が第１部材２０ａに作用しても、第２取付け部２６が第２部材２０ｂから容易に脱落しないようにすることができる。この第２開口周縁部３４１は、本発明の「第２係止部」に相当する。

　図５に戻り、位置決め部２７は、両取付け部（２３、２６）と同じ方向に延びており、両取付け部（２３、２６）（特に、第１爪部２２及び第２爪部２５）の第２部材２０ｂに対する相対的な位置を決めるための部位である。位置決め部２７と各取付け部（２３、２６）の各可撓部（２１、２４）とは、平板状の連結部２９によって装着方向の後端側で連結されている。すなわち、位置決め部２７の下端部と各可撓部（２１、２４）の下端部とが、連結部２９によって連結されている。両可撓部（２１、２４）と位置決め部２７とを連結する方向の軸は、各爪部（２２、２５）が第２部材２０ｂに重畳する方向の軸と一致するのが好ましい。本実施形態では、両可撓部（２１、２４）と位置決め部２７とを連結する方向の軸と各爪部（２２、２５）が第２部材２０ｂに重畳する方向の軸とはＸ軸で一致している。これにより、位置決め部２７は、両可撓部（２１、２４）の前後方向への撓みによる力を確実に受け、両可撓部（２１、２４）を支えることができる。第１取付け部２３及び第２取付け部２６（特に、第１爪部２２及び第２爪部２５）の第２部材２０ｂに対する相対的な位置を決めるための部位であり、連結部２９によって第１可撓部２１及び第２可撓部２４と連結されている。第１可撓部２１と位置決め部２７とを連結する方向は、第１爪部２２が第２部材２０ｂに重畳する方向と一致することが好ましい。本実施形態では、第１可撓部２１及び位置決め部２７を連結する方向と第１爪部２２が第２部材２０ｂに重畳する方向と前後方向で一致している。これにより、位置決め部２７は、第１可撓部２１の前後方向への撓みによる力を確実に受け、第１可撓部２１を支えることができる。

　（第２部材）
　次に、図８～図１１を用いて、第２部材２０ｂについて説明する。図８は、実施形態に係る第２部材２０ｂの構成を上方から見た場合の一例を示す図である。図９は、実施形態に係る第２部材２０ｂの図８に示すＡ－Ａ’線の断面の一例を示す図である。図１０は、実施形態に係る第２部材２０ｂの図８に示すＢ－Ｂ’線の断面の一例を示す図である。図１１は、実施形態に係る第２部材２０ｂの構成を後方（背面側）から見た場合の一例を示す図である。

　第１挿入孔３３は、第２部材２０ｂに対する第１部材２０ａの装着方向（すなわち、上下方向）に延びて、本体部３１を貫通するように設けられている。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する際、第１部材２０ａの第１取付け部２３が、この第１挿入孔３３に下方側から挿入される。第１取付け部２３の第１可撓部２１の装着方向（Ｚ軸方向）の長さは、第１挿入孔３３の長さに対応している。これにより、第１挿入孔３３から第１爪部２２を突出させて、第１爪部２２の下面２２ａの少なくとも一部を第１挿入孔３３の上方側の第１開口周縁部３３１に接触させることで、第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１に第１爪部２２を引掛けることができる。つまり、第１挿入孔３３を抜けた後、第１部材２０ａの第１爪部２２が、本体部３１の上面３１ａにおける第１開口周縁部３３１に重畳することにより、第１部材２０ａの第１取付け部２３と第２部材２０ｂとが結合される。このように、第１挿入孔３３は、第１部材２０ａの第１取付け部２３（第１可撓部２１及び第１爪部２２）を挿入するために形成された本体部３１の内部空間に相当し得る。

　また、図９及び図１０に示すとおり、第１挿入孔３３は、第１傾斜面３３ａ及び第２傾斜面３３ｂを内壁面として有している。図９に示すとおり、第１傾斜面３３ａは、Ｘ軸を含む断面を左方側から見た場合に前方側の壁面の一部を構成する傾斜面である。一方、図１０に示すとおり、第２傾斜面３３ｂは、Ｙ軸を含む断面を前方側から見た場合に右方側（Ｙ軸の矢印の方向）の壁面の一部を構成する傾斜面である。両傾斜面（３３ａ、３３ｂ）は、第１挿入孔３３の断面を側方から見た場合に、上方向に進むに従って第１挿入孔３３の幅を狭めるように設けられている。

　これら第１傾斜面３３ａ及び第２傾斜面３３ｂは、第１取付け部２３を第１挿入孔３３に挿入する際に、第１取付け部２３の先端部に対応する第１爪部２２の上面が接する位置に配置されている。そのため、第１取付け部２３を第１挿入孔３３に挿入する際、第１爪部２２の上面がそれぞれの傾斜面を摺動することにより、第１爪部２２の位置（位置決め部２７に基づいて規定される位置）が前後方向または左右方向に移動する。これによって、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する際には、第１爪部２２が各傾斜面（３３ａ、３３ｂ）にガイドされるようにし、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着した後には、第１爪部２２が第１挿入孔３３から抜け出し難いようにすることができる。なお、第１爪部２２が第１傾斜面３３ａ及び第２傾斜面３３ｂを摺動する際、厳密には、第１爪部２２の上面が各傾斜面に接する。ここで「第１爪部の上面」とは、第１爪部２２を上方から見た場合に視認される面全体を指す。つまり、本実施形態のように、第１爪部２２が四角錐台の場合、上方から見た範囲内の頂点及び稜線も上面に含まれる。

　第２挿入孔３４は、第１挿入孔３３の前方側に設けられており、上記第１挿入孔３３とほぼ同様に構成される。すなわち、第２挿入孔３４は、第２部材２０ｂに対する第１部材２０ａの装着方向（すなわち、上下方向）に延びて、本体部３１を貫通するように設けられている。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する際、第１部材２０ａの第２取付け部２６が、この第２挿入孔３４に下方側から挿入される。第２取付け部２６の第２可撓部２４の装着方向（Ｚ軸方向）の長さは、第２挿入孔３４の長さに対応している。これにより、第２挿入孔３４から第２爪部２５を突出させて、第２爪部２５の下面２５ａの少なくとも一部を第２挿入孔３４の上方側の第２開口周縁部３４１に接触させることで、第２挿入孔３４の第２開口周縁部３４１に第２爪部２５を引掛けることができる。つまり、第２挿入孔３４を抜けた後、第１部材２０ａの第２爪部２５が、本体部３１の上面３１ａにおける第２開口周縁部３４１に重畳することにより、第１部材２０ａの第２取付け部２６と第２部材２０ｂとが結合される。このように、第２挿入孔３４は、第１部材２０ａの第２取付け部２６（第２可撓部２４及び第２爪部２５）を挿入するために形成された本体部３１の内部空間に相当し得る。なお、第２挿入孔３４の内壁面は、第１挿入孔３３と同様に形成される。すなわち、第２挿入孔３４は、２つの傾斜面を有しており、これによって、装着する際には第２爪部２５の移動を各傾斜面によりガイドし、装着した後には第２爪部が第２挿入孔３４から抜け出し難いようにすることができる。

　第３挿入孔３５は、各挿入孔（３３、３４）と同様に、第２部材２０ｂに対する第１部材２０ａの装着方向（すなわち、上下方向）に延びて、本体部３１を貫通するように設けられている。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する際、第１部材２０ａの位置決め部２７が、この第３挿入孔３５に下方側から挿入される。そして、位置決め部２７が、第３挿入孔３５の内部に締まり嵌めにより固定されることにより、第２部材２０ｂに対する各取付け部（２３、２６）の相対的な位置関係が決まる。このように、第３挿入孔３５は、第１部材２０ａにおける位置決め部２７を挿入するために形成された本体部３１の内部空間に相当し得る。

　図１１に示す切欠き部３７は、本体部３１の背面３１ｂに設けられたスリット状の部位であり、第３挿入孔３５の一部を露出させる。切欠き部３７は、位置決め部２７に連結する板状部材を配置可能にするために設けられている。なお、板状部材は、例えば、取付け構造全体の強度を補強する場合、上記鍵側支持部１８３及び／又はフレーム側支持部５８５の長さを延長する場合等に設けられる。

　切欠き部３７の一対の端部にはそれぞれ突起部３９が設けられている。各突起部３９は、切欠き部３７の広がりを規制する目的で設けられている。具体的には、第２部材２０ｂに対し第１部材２０ａを装着した状態において、これら二つの突起部３９が第１部材２０ａの一部で挟み込まれることにより、切欠き部３７の広がりが規制される。

　［特徴］
　次に、図１２を用いて、本実施形態に係る取付け構造２０の装着状態及び作用について説明する。図１２は、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着した状態を示している。

　図１２に示すとおり、本実施形態では、各取付け部（２３、２６）及び位置決め部２７を各挿入孔３３～３５に挿入することで、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着することができる。第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着すると、第１取付け部２３の第１爪部２２は、第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１に引っ掛かる。第２取付け部２６の第２爪部２５は、第２挿入孔３４の第２開口周縁部３４１に引っ掛かる。

　ここで、第１爪部２２は前方に突出しており、第２爪部２５は後方に突出している。そのため、本実施形態では、第１開口周縁部３３１に第１爪部２２が引っ掛かる方向は、第２開口周縁部３４１に第２爪部２５が引っ掛かる方向とは異なる方向になっている。具体的には、第１開口周縁部３３１に第１爪部２２が引っ掛かる方向は、第２開口周縁部３４１に第２爪部２５が引っ掛かる方向とは反対方向になっている。これにより、いずれかの取付け部が外れる方向に力が作用しても、他方の取付け部が外れないようにすることができるため、両部材（２０ａ、２０ｂ）を強固に結合することができる。

　また、本実施形態では、第１爪部２２の下面２２ａと第１可撓部２１の面２１ａとのなす角αが鈍角となっており、第２爪部２５の下面２５ａと第２可撓部２４の面２４ａとのなす角βが鋭角となっている。これにより、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着した後に、第１部材２０ａを外す方向に力が働いても、各爪部（２２、２５）の形状に起因する異なる作用を発揮することで、第１部材２０ａの脱落を防止することができる。

　例えば、第１爪部２２が変形し、第２部材２０ｂから第１爪部２２が外れかかったとする。この場合、第１可撓部２１の前方への弾性力が、第１爪部２２の下面２２ａによって装着方向（上方向）の力に変換される。その結果、第１爪部２２の下面２２ａは、第１爪部２２の第２部材２０ｂへの掛かり量を増加させる方向に第１開口周縁部３３１上を摺動する。これにより、第１取付け部２３の掛かり量を元の状態に戻すことができる。

　なお、このような作用を効果的に活用するためには、第１爪部２２の下面２２ａが第２部材２０ｂの第１開口周縁部３３１に当接可能な範囲内で、第２爪部２５の先端部２５ｂが第２開口周縁部３４１に当接するように設計するのが好ましい。この場合、両爪部（２２、２５）に対して下方向に強い力が働いたとしても、第１爪部２２が第２部材２０ｂに引っ掛かっている間に、第２爪部２５の先端部２５ｂは第２部材２０ｂの第２開口周縁部３４１に引っ掛かる。

　この第２爪部２５は、上記のとおり、下面２５ａと第２可撓部２４の面２４ａとのなす角βが鋭角となるように形成されているため、下方向の力に対して高い耐性を有している。そのため、第１爪部２２が外れない状態で、第２爪部２５を作用させて、両爪部（２２、２５）が第２部材２０ｂから外れないようにすることができる。そして、下方向に働く力が無くなった後には、第１爪部２２の作用によって、各爪部（２２、２５）の位置を元の位置に戻すことができる。

　このように、両爪部（２２、２５）を連動させて、各形状に起因する作用を相互に補完させることで、それぞれ個別に用いるよりも強固な取付け構造を実現することができる。これにより、部品同士の意図しない分離を防ぎつつ、部品のガタつきを抑制することが可能となる。なお、第１爪部２２が第２部材２０ｂから外れた場合でも、第２爪部２５が第２部材２０ｂから外れない限りは、両部材（２０ａ、２０ｂ）が完全に分離するのを防止することができる。

　また、本実施形態では、図１２における前方側（Ｘ軸において矢印の向かう方向）に図３に示した各鍵１００が存在する。演奏者が各鍵１００を押鍵すると、棒状可撓部１８５ａが撓んで曲がることにより各鍵１００がフレーム５００に対して回動する。この各鍵１００の押鍵の際には、第２部材２０ｂに略上方前方に力が作用し、各鍵１００を離した際には、第２部材２０ｂにその反対方向に力が作用する。これに対して、本実施形態に係る取付け構造２０では、第１爪部２２が、第２部材２０ｂに対して前方方向に引っ掛かっており、第２爪部２５が、第２部材２０ｂに対して後方方向に引っ掛かっている。そのため、それぞれの方向に作用する力に対して、効果的に各爪部（２２、２５）を効果的に作用させて、両部材（２０ａ、２０ｂ）が分離するのを防止することができる。以上により、本実施形態に係る取付け構造２０によれば、２つの爪部（２２、２５）の作用により、強固な取付けを実現することができる。

　また、本実施形態では、位置決め部２７が第２部材２０ｂの第３挿入孔３５に挿入されることにより、第１部材２０ａと第２部材２０ｂとの相対的な位置関係が固定される。その結果、第２部材２０ｂに対する各爪部（２２、２５）の相対的な位置が一定となるため、安定した掛かり量を確保することができる。

　［変形例］
　以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。

　＜１＞
　例えば、各取付け部（２３、２６）の各可撓部（２１、２４）の形状は、四角柱状に限定されなくてもよく、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する方向に延びる形状であれば、どのような形状に形成されてもよい。同様に、位置決め部２７の形状は、四角柱状に限定されなくてもよく、第２部材２０ｂに対して第１部材２０ａを装着する方向に延びる形状であれば、どのような形状に形成されてもよい。その他の構成要素の形状についても適宜変更されてよい。例えば、各可撓部（２１、２４）は、四角柱状以外の柱状、板状等の形状に形成されてもよい。また、位置決め部２７は、四角柱状以外の柱状、断面十字状、筒状、断面井桁状等の形状に形成されてもよい。

　＜２＞
　また、上記実施形態では、各取付け部（２３、２６）の相対的な位置決めを可能にするため、位置決め部２７及び第３挿入孔３５が設けられている。しかしながら、位置決め部２７及び第３挿入孔３５は省略されてもよい。また、第３挿入孔３５は、位置決め部２７を受け入れ可能であれば、貫通していなくてもよい。

　＜３＞
　上記実施形態では、各開口周縁部（３３１、３４１）は平らに形成されている。しかしながら、各開口周縁部（３３１、３４１）の形状は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。

　図１３Ａは、本変形例に係る第２取付け部２６の装着部分を例示する。図１３Ａに示す変形例では、本体部３１の上面における第２挿入孔３４の第２開口周縁部３４１Ａは、第２取付け部２６の第２爪部２５が引っ掛かる範囲に、第２挿入孔３４の開口に向けて下方に傾斜した、換言すると、第２爪部２５の引っ掛かり方向に対して装着方向に傾斜した傾斜面３４１１を有している。

　この場合、上記実施形態と同様に、第２取付け部２６に下方向に強い力が働いても、第２爪部２５の作用により、第２取付け部２６が第２部材２０ｂから外れないようにすることができる。また、本変形例では、本体部３１の傾斜面３４１１に対して、第２爪部２５の先端部２５ｂが接するようになっており、上記実施形態に係る第１取付け部２３と同様に、第２可撓部２４の弾性力が装着方向への力に変換されるようになっている。そのため、第２爪部２５の位置が多少変動しても、第２爪部２５を元の装着位置に戻すことができるため、両部材（２０ａ、２０ｂ）のガタつきを防止することができる。

　また、図１３Ｂに示すとおり、第１開口周縁部に傾斜面を設けてもよい。図１３Ｂは、本変形例に係る第１取付け部２３の装着部分を例示する。図１３に示す変形例では、本体部３１の上面における第１挿入孔３３の第１開口周縁部３３１Ａは、第１取付け部２３の第１爪部２２が引っ掛かる範囲に、第１挿入孔３３の開口に向けて下方に傾斜した、換言すると、第１爪部２２の引っ掛かり方向に対して装着方向に傾斜した傾斜面３３１１を有している。図１３Ｂに示すように、第１爪部２２の下面２２ａと第１開口周縁部３３１Ａの傾斜面３３１１とが同じ方向に傾斜している場合、下面２２ａが傾斜面３３１１に接した状態で、第１爪部２２は第１開口周縁部３３１Ａに引っ掛かる。この場合においても、上記第１取付け部２３と同様に、掛かり量を元に戻す作用を発揮することができる。

　＜４＞
　また、上記実施形態では、第２取付け部２６が第１取付け部２３よりも前方側に配置されている。しかしながら、各取付け部（２３、２６）の配置は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。

　図１４は、本変形例に係る第１部材２０ａ－１を例示する。図１５は、第１部材２０ａ－１に対応する第２部材２０ｂ－１を例示する。図１４の例では、第１取付け部２３が第２取付け部２６よりも前方側に配置されている。すなわち、本変形例では、第１取付け部２３及び第２取付け部２６の位置が入れ替わっている。これに対応して、図１５に示すとおり、本変形例に係る第２部材２０ｂ－１では、第１挿入孔３３及び第２挿入孔３４の位置が入れ替わっている。

　これらの点を除き、本変形例に係る第１部材２０ａ－１及び第２部材２０ｂ－１は、上記第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂと同様の構成を有している。すなわち、本変形例においても、第１開口周縁部３３１に第１爪部２２が引っ掛かる方向は、第２開口周縁部３４１に第２爪部２５が引っ掛かる方向とは反対方向になっている。第１爪部２２は、前方方向に第２部材２０ｂ－１に引っ掛かり、第２爪部２５は、後方方向に第２部材２０ｂ－１に引っ掛かる。そのため、本変形例によれば、上記実施形態と同様の構成を奏することができる。

　＜５＞
　また、上記実施形態では、第１開口周縁部３３１に第１爪部２２が引っ掛かる方向は、第２開口周縁部３４１に第２爪部２５が引っ掛かる方向とは反対方向になっている。しかしながら、各爪部（２２、２５）が各開口周縁部（３３１、３４１）に引っ掛かる方向は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。各爪部（２２、２５）が各開口周縁部（３３１、３４１）に引っ掛かる方向は、同じであってもよいし、上記実施形態以外の方向で異なっていてもよい。

　図１６は、本変形例に係る第１部材２０ａ－２を例示する。図１７は、第１部材２０ａ－２に対応する第２部材２０ｂ－２を例示する。図１６に示すとおり、本変形例に係る第１部材２０ａ－２では、第２取付け部２６の第２爪部２５は、上記実施形態と同様に、後方に向かって突出している。そのため、第２爪部２５は、第２挿入孔３４の第２開口周縁部に後方方向に引っ掛かる。一方、第１取付け部２３Ｂの第１爪部２２Ｂは、第１可撓部２１Ｂから右方向に突出している。そのため、第１爪部２２Ｂは、第１挿入孔３３Ｂの第１開口周縁部に右方向に引っ掛かる。つまり、本変形例では、第１爪部２２Ｂは、上記実施形態に係る第１爪部２２から右方向に９０度回転した方向を向いている。これに対応して、図１７に示されるとおり、第２部材２０ｂ－２では、第１挿入孔３３Ｂは、上記実施形態に係る第１挿入孔３３を右方向に９０度回転させた方向を向いている。これらの点を除き、本変形例に係る第１部材２０ａ－２及び第２部材２０ｂ－２は、上記第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂと同様の構成を有している。

　本変形例では、第１開口周縁部に第１爪部２２Ｂが引っ掛かる方向は、第２開口周縁部に第２爪部２５が引っ掛かる方向に直交する方向になっている。これによって、異なる方向から力が作用しても、各爪部（２２Ｂ、２５）が互いに直交する方向に第２部材２０ｂ－２に引っ掛かっていることで、両部材（２０ａ－２、２０ｂ－２）が分離し難いようにすることができる。なお、各開口周縁部に各爪部が引っ掛かる方向を直交させる形態は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、第１爪部２２を左方向に９０度回転させてもよい。また、第１爪部２２の向く方向を実施形態と同じにしたままで、第２爪部２５の向く方向を右又は左方向に９０度回転させてもよい。

　＜６＞
　また、上記実施形態では、第１可撓部２１と第２可撓部２４とはほぼ同じ長さに形成されており、これによって、第１爪部２２と第２爪部２５とは同じ高さに配置されている。しかしながら、各取付け部（２３、２６）の形態は、このような例に限定されなくてもよく、両可撓部（２１、２４）の長さは異なっていてもよい。

　図１８は、本変形例に係る取付け構造２０－３を例示する。図１８に示す変形例では、第１部材２０ａ－３の第２取付け部２６Ｃが第１取付け部２３よりも短くなっている。具体的には、第２可撓部２４Ｃの装着方向の長さが第１可撓部２１の長さよりも短くなっており、これによって、第２爪部２５Ｃは、第１爪部２２よりも低い位置に配置されている。これに対応して、第２部材２０ｂ－３の第２挿入孔３４Ｃにおける第２開口周縁部３４１Ｃには窪みが設けられており、第２爪部２５Ｃは、この窪みの底面３４１２に引っ掛かる。この底面３４１２が、本発明の「第２係止部」に相当する。これらの点を除き、本変形例に係る第１部材２０ａ－３及び第２部材２０ｂ－３は、上記第１部材２０ａ及び第２部材２０ｂと同様の構成を有している。本変形例でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

　なお、本変形例のように、第１爪部及び第２爪部それぞれを引掛ける対象は、第１挿入孔及び第２挿入孔それぞれの開口周縁部に限られなくてもよい。すなわち、本変形例のように、各挿入孔の内壁面に窪み等を有する場合には、当該窪み等に各爪部を引掛けてもよい。この場合、第１挿入孔及び第２挿入孔それぞれは、装着方向に貫通していなくてもよい。換言すると、第１挿入孔及び第２挿入孔それぞれは、装着方向の奥側で閉じていてもよい。

　＜７＞
　また、上記実施形態では、各爪部（２２、２５）を異なる可撓部（第１可撓部２１、第２可撓部２４）に配置した。しかしながら、各爪部（２２、２５）は、共通の可撓部に配置してもよい。

　図１９は、本変形例に係る取付け構造２０－４を例示する。図１９で示す変形例では、第１部材２０ａ－４は、上記両取付け部（２３、２６）に代えて、装着方向に延びる可撓部４５、可撓部４５の装着方向の両端部の間に設けられ、可撓部４５の外壁面４５ａから前方に向って突出した第１爪部４６、及び可撓部４５の先端部に設けられ、可撓部４５の外壁面４５ａから後方に向って突出した第２爪部４７を有する取付け部４８を備えている。この点を除き、第１部材２０ａ－４は、上記実施形態に係る第１部材２０ａと同じ構成を有している。可撓部４５は、上記各可撓部（２１、２４）と同様である。

　第１爪部４６の形状は上記第１爪部２２と同じになっており、第２爪部４７の形状は上記第２爪部２５と同様になっている。すなわち、第１爪部４６の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角は鈍角になっており、第２爪部４７の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角は鋭角になっている。

　これに応じて、第２部材２０ｂ－４は、上記各挿入孔（３３、３４）に代えて、上記取付け部４８が挿入される挿入孔４９を有している。この点を除き、第２部材２０ｂ－４は、上記実施形態に係る第２部材２０ｂと同じ構成を有している。挿入孔４９は、上記各挿入孔（３３、３４）と同様に、装着方向（上下方向）に貫通している。一方、挿入孔４９の内壁面の形状は、上記各挿入孔（３３、３４）と相違している。具体的には、挿入孔４９の内壁面は、前後方向に互いに対向する第１傾斜面４９ａ及び第２傾斜面４９ｂを有している。第１傾斜面４９ａは、Ｘ軸を含む断面を左方側から見た場合に前方側の壁面の一部を構成する傾斜面であり、第２傾斜面４９ｂは、Ｘ軸を含む断面を左方側から見た場合に後方側の壁面の一部を構成する傾斜面である。各径斜面（４９ａ、４９ｂ）は、側方から挿入孔４９の断面を見た場合に、上方向に進むに従って挿入孔４９の幅が狭くなるように設けられている。

　各傾斜面（４９ａ、４９ｂ）は、取付け部４８を挿入孔４９に挿入する際に、各爪部（４６、４７）の上面が接する位置に配置されている。具体的には、第１傾斜面４９ａは、挿入孔４９の下方側に配置されており、取付け部４８を挿入孔４９に挿入する際には、両爪部（４６、４７）が接する。一方、第２傾斜面４９ｂは、挿入孔４９の上方側に配置されており、取付け部４８を挿入孔４９に挿入する際には、第２爪部４７のみが接する。第２傾斜面４９ｂは、第１傾斜面４９ａよりも高い位置に設けられ、第１傾斜面４９ａの延長線上に第２傾斜面４９ｂが位置する構成となっている。

　これにより、取付け部４８を挿入孔４９に挿入したときに、まず、第２爪部４７の上面が第１傾斜面４９ａを摺動し、そのまま第２傾斜面４９ｂに向かって移動する。その後、第１爪部４６が第１傾斜面４９ａを摺動するとともに第２爪部４７が第２傾斜面４９ｂを摺動する。このようにして、第１爪部４６及び第２爪部４７の上面が、それぞれ第１傾斜面４９ａまたは第２傾斜面４９ｂを摺動することにより、第１爪部４６及び第２爪部４７の位置が前後方向に移動する。これにより、取付け部４８を挿入孔４９に挿入しやすくし、かつ、第２部材２０ｂ－４に対して第１部材２０ａ－４を装着した後には、両部材（２０ａ－４、２０ｂ－４）が分離し難いようにすることができる。

　また、本実施形態では、挿入孔４９の内壁面には、第２部材２０ｂ－４に対して第１部材２０ａ－４を装着した状態、すなわち、挿入孔４９から第２爪部４７を突出させ、可撓部４５の外壁面４５ａから続く第２爪部４７の下面の少なくとも一部を挿入孔４９の開口周縁部４９１に接触させた状態において第１爪部４６が到達する位置に段差部４９ｃが設けられている。そのため、第２部材２０ｂ－４に対して第１部材２０ａ－４を装着した状態では、可撓部４５の外壁面４５ａから続く第１爪部４６の下面の少なくとも一部を挿入孔４９の内壁面に設けられた段差部４９ｃに接触させることができる。これにより、本変形例では、段差部４９ｃよりも装着方向の奥側に設けられた挿入孔４９の開口周縁部４９１に第２爪部４７を引掛け、段差部４９ｃに第１爪部４６を引掛けることができるように構成されている。開口周縁部４９１は、本発明の「係止部」に相当する。

　なお、本変形例では、上記実施形態と同様に、第１爪部４６が段差部４９ｃに当接可能な範囲内で、第２爪部４７の先端部が開口周縁部４９１に接するようにしてもよい。つまり、第２部材２０ｂ－４に対して第１部材２０ａ－４を装着した状態において、第１爪部４６が段差部４９ｃに十分に引っ掛かっている際には、第２爪部４７の先端部は、開口周縁部４９１に接していなくてもよい。第１爪部４６が段差部４９ｃから外れかかる際に、第２爪部４７の先端部が、開口周縁部４９１に接するようにしてもよい。

　本変形例によれば、第１爪部４６の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角が鈍角になっており、第２爪部４７の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角が鋭角になっている。また、段差部４９ｃに第１爪部４６が引っ掛かる方向が、挿入孔４９の開口周縁部４９１に第２爪部４７が引っ掛かる方向とは反対方向になっている。そのため、両爪部（４６、４７）によって、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

　なお、本変形例において、第２爪部４７の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角は直角であってもよい。また、各爪部（４６、４７）の形状は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、第１爪部４６の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角は直角又は鋭角になっており、第２爪部４７の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角は鈍角になっていてもよい。

　また、各爪部（４６、４７）の突出する方向は、上記の例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。すなわち、各爪部（４６、４７）が第２部材２０ｂ－４に引っ掛かる方向は、同じであってもよいし、上記の例以外の方向で異なっていてもよい。また、上記変形例と同様に、段差部４９ｃに第１爪部４６が引っ掛かる方向が、挿入孔４９の開口周縁部４９１に第２爪部４７が引っ掛かる方向に直交する方向となるようにしてもよい。

　図２０は、両爪部（４６、４７）の引っ掛かり方向を同一にした取付け構造２０－５を例示する。図２０に示す変形例では、第１部材２０ａ－５の第２爪部４７の向きが、上記変形例に係る第１部材２０ａ－４の第２爪部４７と反対方向になっている。これに応じて、第２部材２０ｂ－５の挿入孔５１の形状は、上記変形例に係る第２部材２０ｂ－４の挿入孔４９と相違している。これらの点を除き、本変形例に係る取付け構造２０－５は、上記変形例に係る取付け構造２０－４と同じ構成を有している。

　本変形例に係る第２部材２０ｂ－５の挿入孔５１では、上記第２傾斜面４９ｂが省略されている。また、第２爪部４７が挿入孔５１の開口周縁部に引っ掛かることができるように、本体部３１Ｄの上面３１Ｄａがやや内側にせり出している。本変形例において、挿入孔５１に取付け部４８Ｄを挿入する際には、両爪部（４６、４７）が第１傾斜面５１ａに接する。第１爪部４６が第１傾斜面５１ａを摺動する際に、可撓部４５が後方に向かって撓み、これに応じて、両爪部（４６、４７）が後方に向かって移動する。そして、第２爪部４７が、挿入孔５１を通過して、開口周縁部５１Ｄに引っ掛かった後、又はこれとほぼ同時に、第１爪部４６が、挿入孔５１の内壁面に設けられた段差部５１ｂに引っ掛かる。本変形例においても、上記と同様に、第１爪部４６が段差部４９ｃに当接可能な範囲内で、第２爪部４７の先端部が開口周縁部４９１に接するようにしてもよい。本変形例でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

　なお、本変形例において、第１爪部４６及び第２爪部４７の形状は反対であってもよい。すなわち、第１爪部４６の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角が直角又は鋭角になっていてもよく、第２爪部４７の下面と可撓部４５の外壁面４５ａとのなす角が鈍角になっていてもよい。また、上記各変形例において、第２爪部４７が、各挿入孔（４９、５１）の内壁面であって、段差部４９ｃよりも装着方向の奥側に設けられた窪み等に係止する場合には、各挿入孔（４９、５１）は装着方向に貫通していなくてもよい。換言すると、各挿入孔（４９、５１）は、装着方向の奥側で閉じていてもよい。

　＜８＞　また、上記実施形態では、棒状可撓部１８５ａと鍵１００の鍵側支持部１８３との結合部分、及び棒状可撓部１８５ａとフレーム５００のフレーム側支持部５８５との結合部分の両方に、取付け構造２０が設けられている。しかしながら、いずれか一方の結合部分については、取付け構造２０ではなく、異なる取付方法を採用してもよい。また、上記実施形態では、鍵盤装置１において取付け構造２０を利用する例を示している。しかしながら、上記取付け構造２０は、鍵盤装置１以外の装置に利用可能である。例えば、機器装置等にプリント配線基板を取り付けるのに上記取付け構造２０が利用されてもよい。

　以上、本発明の実施形態として説明した構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。

　また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされると解される。

　１…鍵盤装置、１０…鍵盤アセンブリ、７０…音源装置、
８０…スピーカ、９０…筐体、１００…鍵、１００ｗ…白鍵、
１００ｂ…黒鍵、１２０…ハンマ支持部、１５１…前端鍵ガイド、
１５３…側面鍵ガイド、１８０…接続部、１８１…板状可撓部、
１８３…鍵側支持部、１８５…棒状可撓部を含む構造体、
１８５ａ…棒状可撓部、２００…ハンマアセンブリ、
２１０…前端部、２２０…軸支持部、２３０…錘部、
４１０…下側ストッパ、４３０…上側ストッパ、
５００…フレーム、５１１…前端フレームガイド、
５１３…側面フレームガイド、５２０…回動軸、
５８５…フレーム側支持部、７１０…信号変換部、７３０…音源部、
７５０…出力部、１８５ａ…棒状可撓部、２０…取付け構造、
２０ａ…第１部材、２０ｂ…第２部材、２１…第１可撓部、
２２…第１爪部、２２ａ…下面、２３…第１取付け部、
２４…第２可撓部、２５…第２爪部、２５ａ…下面、
２５ｂ…先端部、２６…第２取付け部、２７…位置決め部、
２９…連結部、３１…本体部、３１ａ…上面、３３…第１挿入孔、
３３ａ…第１傾斜面、３３ｂ…第２傾斜面、３４…第２挿入孔、
３５…第３挿入孔、３７…切欠き部、３９…突起部

Claims (11)

1. 　第１可撓部、及び前記第１可撓部の一端に設けられ、前記第１可撓部の一面から突出した第１爪部を有する第１取付部、並びに第２可撓部、及び前記第２可撓部の一端に設けられ、前記第２可撓部の一面から突出した第２爪部を有する第２取付部を含む第１部材と、
   　前記第１取付部が挿入される第１挿入孔、及び前記第２取付部が挿入される第２挿入孔を含む第２部材と、
   　を備え、
   　前記第１挿入孔及び前記第２挿入孔は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着する装着方向に延び、
   　前記第１取付部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記第１可撓部の前記一面から続く前記第１爪部の面の少なくとも一部を前記第１挿入孔の第１係止部に接触させることで、当該第１挿入孔の第１係止部に前記第１爪部を引掛けることができるように構成されており、
   　前記第２取付部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記第２可撓部の前記一面から続く前記第２爪部の面の少なくとも一部を前記第２挿入孔の第２係止部に接触させることで、当該第２挿入孔の第２係止部に前記第２爪部を引掛けることができるように構成されており、
   　前記第１爪部の前記面と前記第１可撓部の前記一面とのなす角は鈍角であり、
   　前記第２爪部の前記面と前記第２可撓部の前記一面とのなす角は直角又は鋭角である、
   取付け構造。
2. 　前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは異なる方向である、
   請求項１に記載の取付け構造。
3. 　前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは反対方向である、
   請求項１に記載の取付け構造。
4. 　前記第１挿入孔の前記第１係止部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記第２挿入孔の前記第２係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向に直交する方向である、
   請求項１に記載の取付け構造。
5. 　前記装着方向において、前記第１可撓部の長さと前記第２可撓部の長さとは相違する、
   請求項１に記載の取付け構造。
6. 　可撓部、前記可撓部の両端部の間に設けられ、前記可撓部の外壁面から突出した第１爪部、及び前記可撓部に一端部に設けられ、前記可撓部の外壁面から突出した第２爪部を有する取付け部を含む第１部材と、
   　前記取付け部が挿入される挿入孔を含む第２部材と、
   　を備え、
   　前記挿入孔は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着する装着方向に延び、
   　前記挿入孔の内壁面には、段差部が設けられ、
   　前記取付け部は、前記第２部材に対して前記第１部材を装着した状態において、前記可撓部の外壁面から続く前記第２爪部の面の少なくとも一部を前記段差部よりも前記装着方向の奥側に設けられた前記挿入孔の係止部に接触させ、かつ前記可撓部の外壁面から続く前記第１爪部の面の少なくとも一部を前記挿入孔の内壁面に設けられた前記段差部に接触させることで、当該挿入孔の係止部に前記第２爪部を引掛け、かつ前記段差部に前記第１爪部を引掛けることができるように構成される、
   取付け構造。
7. 　前記第１爪部の前記面と前記可撓部の外壁面とのなす角は鈍角であり、
   　前記第２爪部の前記面と前記可撓部の外壁面とのなす角は直角又は鋭角である、
   請求項６に記載の取付け構造。
8. 　前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは異なる方向である、
   請求項６又は７に記載の取付け構造。
9. 　前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向とは反対方向である、
   請求項６又は７に記載の取付け構造。
10. 　前記段差部に前記第１爪部が引っ掛かる方向は、前記挿入孔の前記係止部に前記第２爪部が引っ掛かる方向に直交する方向である、
    請求項６又は７に記載の取付け構造。
11. 　フレームと、
    　長手方向に延びる複数の鍵と、
    　前記各鍵を前記フレームに回動可能に連結する複数の連結部材と、
    　前記各連結部材及び前記各鍵の結合部分、並びに前記各連結部材及び前記フレームの結合部分の少なくともいずれか一方に設けられる、請求項１から１０のいずれか１項に記載の取付け構造と、
    を備える、
    鍵盤装置。

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