WO2017111119A1 - マイクロリアクター - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、分岐した配管を用いないで、複数のマイクロリアクターに均一に液体を分配する方法が記載されている。
特許文献3には、積層された複数の流路ユニットからなるマイクロチャンネルリアクタが記載されている。
特許文献4には、マイクロ化学プラントの低コスト化や小型化を目的としたマイクロリアクターが記載されている。
このように、流路を分岐させることによるナンバリングアップは、技術的な課題を多く含む。そのため、装置の並列化によるナンバリングアップの方が、より工業化が容易である。しかし、このナンバリングアップは、装置の製造コストが莫大となるため、より安価にナンバリングアップが可能なマイクロリアクターの実現が望まれている。
プランジャポンプは連続運転が容易であるが、ピストンが1個だと脈動が大きくなり、反応条件にばらつきが生じてしまう。そのため、2個あるいは3個のピストンを連結した、高価な2連あるいは3連のポンプを使用する必要がある。
(1)気体の圧力によって液体原料を移送する移送手段を備えるマイクロリアクター。
前記移送手段は、前記原料タンク内の気体の圧力によって、前記原料タンク内に貯留されている液体原料を移送する、(1)に記載のマイクロリアクター。
前記原料タンクと前記ミキサを接続する配管に小径部が設けられている、(2)から(5)のうちいずれかに記載のマイクロリアクター。
前記複数の原料タンクから移送される液体原料が前記ミキサによって混合される、(6)から(8)のうちいずれかに記載のマイクロリアクター。
前記複数のマイクロリアクターが並列に接続されている、マイクロ化学プラント。
前記原料タンクに複数の流路が接続されている、マイクロ化学プラント。
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係るマイクロリアクターのフローを示している。
図1に示すように、第1実施形態に係るマイクロリアクター10は、原料タンク12と、恒温槽14と、反応物タンク16を備えている。原料タンク12は、液体原料を貯留するためのタンクである。恒温槽14は、液体原料を加熱するための槽である。液体原料を加熱することによって得られた反応物は、反応物タンク16に貯留される。原料タンク12と後述する小径部28は、配管18によって接続されている。小径部28と反応物タンク16は、配管20によって接続されている。配管20を流れる液体原料は、恒温槽14内を通過することで所定の温度に加熱される。
従来のマイクロリアクターは、液体原料を移送するために、高価なシリンジポンプやプランジャポンプを備えていた。そのため、装置全体の製造コストが莫大になるという問題があった。
本実施形態に係るマイクロリアクター10によれば、原料タンク12に充填されている窒素ガスの圧力によって、液体原料を移送することができるため、シリンジポンプやプランジャポンプが不要である。したがって、装置全体の製造コストを大幅に削減することができる。
さらに、原料タンク12と配管20を接続する配管18には、小径部28が設けられている。この小径部28によって圧力損失を調整することができる。圧力損失を調整することによって、配管18を流れる液体原料の流量を調整することができる。その結果、配管20を流れる液体原料の流量を一定に維持することができる。また、反応を均一に進行させることが可能であり、一定の品質を有する目的物を安定的に製造することができる。
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、第2実施形態に係るマイクロリアクターのフローを示している。
図2に示すように、第2実施形態に係るマイクロリアクター110は、2つの原料タンク112a、112bと、ミキサ114と、反応物タンク116を備えている。原料タンク112a、112bは、2種類の液体原料を貯留するためのタンクである。原料タンク112a、112bから送られてくる液体原料は、ミキサ114によって混合される。液体原料を混合して得られた反応物は、反応物タンク116に貯留される。原料タンク112aとミキサ114は、配管118aによって接続されている。原料タンク112bとミキサ114は、配管118bによって接続されている。ミキサ114と反応物タンク116は、配管120によって接続されている。
従来のマイクロリアクターは、液体原料を移送するために、高価なシリンジポンプやプランジャポンプを備えていた。そのため、装置全体の製造コストが莫大になるという問題があった。
本実施形態に係るマイクロリアクター110によれば、原料タンク112a、112bに充填されている窒素ガスの圧力によって、液体原料を移送することができるため、シリンジポンプやプランジャポンプが不要である。したがって、装置全体の製造コストを大幅に削減することができる。
さらに、2つの原料タンク112a、112bとミキサ114を接続する配管118a、118bには、小径部128a、128bがそれぞれ設けられている。この小径部128a、128bによって、圧力損失を調整することができる。圧力損失を調整することによって、配管118a、118bを流れる液体原料の流量を調整することができる。また、液体原料が原料タンク112a、112bに逆流することを防止することができる。その結果、ミキサ114に供給される液体原料の流量を一定に調整することができる。また、反応を均一に進行させることが可能であり、一定の品質を有する目的物を安定的に製造することができる。
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
第3実施形態は、上記で説明した第2実施形態とほぼ同様であるが、3種類の液体原料を2段階で反応させる点が異なっている。以下、第2実施形態と同様の部分については説明を省略することがある。
図3に示すように、本実施形態に係るマイクロリアクター210は、3つの原料タンク212a、212b、212cと、2つのミキサ214a、214bと、反応物タンク216を備えている。原料タンク212a、212b、212cは、3種類の液体原料を貯留するためのタンクである。原料タンク212a、212b、212cから送られてくる液体原料は、2つのミキサ214a、214bによって混合される。3種類の液体原料を混合して得られた反応物は、反応物タンク216に貯留される。原料タンク212aとミキサ214aは、配管218aによって接続されている。原料タンク212bとミキサ214aは、配管218bによって接続されている。原料タンク212cとミキサ214bは、配管218cによって接続されている。ミキサ214aとミキサ214bは、配管218dによって接続されている。ミキサ214bと反応物タンク216は、配管220によって接続されている。
最初に、第1の原料タンク212aから送られてくる液体原料と、第2の原料タンク212bから送られてくる液体原料を、第1のミキサ214aによって混合する。次に、第1のミキサ214aによって混合された2種類の液体原料と、第3の原料タンク212cから送られてくる液体原料を、第2のミキサ214bによって混合する。これにより、3種類の液体原料を、2段階で混合して反応させることができる。
従来のマイクロリアクターは、液体原料を移送するために、高価なシリンジポンプやプランジャポンプを備えていた。そのため、装置全体の製造コストが莫大になるという問題があった。
本実施形態に係るマイクロリアクター210によれば、原料タンク212a、212b、212cに充填されている窒素ガスの圧力によって、液体原料を移送することができるため、シリンジポンプやプランジャポンプが不要である。したがって、装置全体の製造コストを大幅に削減することができる。
さらに、原料タンク212a、212b、212cとミキサ214a、214bを接続する配管218a、218b、218cには、小径部228a、228b、228cがそれぞれ設けられている。この小径部228a、228b、228cによって、圧力損失を調整することができる。圧力損失を調整することによって、配管218a、218b、218cを流れる液体原料の流量を調整することができる。また、液体原料が原料タンク212a、212b、212cに逆流することを防止することができる。その結果、ミキサ214a、214bに供給される液体原料の流量を一定に調整することができる。また、反応を均一に進行させることが可能であり、一定の品質を有する目的物を安定的に製造することができる。
以下、本発明の第4実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
第4実施形態は、上記で説明した第2実施形態とほぼ同様であるが、2種類の液体原料を混合するのではなく、液体原料と気体原料を混合する点が異なっている。以下、第2実施形態と同様の部分については説明を省略することがある。
図4に示すように、本実施形態に係るマイクロリアクター310は、原料タンク312と、原料タンク313と、ミキサ314と、反応物タンク316を備えている。原料タンク312は、液体原料を貯留するためのタンクである。原料タンク313は、気体原料を貯留するためのタンクである。液体原料と気体原料は、ミキサ314によって混合される。液体原料と気体原料を混合して得られた反応物は、反応物タンク316に貯留される。原料タンク312とミキサ314は、配管318aによって接続されている。原料タンク313とミキサ314は、配管318bによって接続されている。ミキサ314と反応物タンク316は、配管320によって接続されている。
本発明のマイクロリアクターは、2種類の液体原料を混合する反応系だけでなく、液体原料と気体原料を混合する反応系に適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、原料タンクの数が1つ、2つ、または3つである例を示したが、原料タンクの数はこれらに限定されない。
(2)上記実施形態では、配管の材質が樹脂である例を示したが、配管の材質はこれに限定されない。配管は、例えば金属によって形成されてもよい。
(3)上記実施形態では、小径部は、樹脂製のチューブの例を示したが、小径部はこれに限定されない。小径部は、例えば、金属のチューブによって形成されてもよい。また、HPLCやイオンクロマトの背圧を調整するために使用されている公知のバックプレッシャーチューブやバックプレッシャーレギュレーターを、小径部として使用してもよい。
(4)上記実施形態では、液体原料を移送するための気体が窒素である例を示したが、気体の種類はこれに限定されない。液体原料を移送するための気体は、例えば、空気やアルゴンガスであってもよい。
(5)上記実施形態では、反応させる物質(液体原料及び/又は原料の溶液)を移送する例を示したが、原料の希釈用溶剤、反応停止剤、あるいは抽出用溶剤等を移送してもよい。
実施形態1で説明したマイクロリアクター10を、以下の式(1)に示すDiels―Alder反応に適用した。
実施形態2で説明したマイクロリアクター110を、以下の式(2)に示すカルバゾールの臭素化反応に適用した。
実施形態2で説明したマイクロリアクター110を、以下の式(3)に示すスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)(H)の合成反応に適用した。
実施形態3で説明したマイクロリアクター210を、以下の式(4)に示すナフチルボロン酸の合成反応に適用した。
原料タンクを2つ用いて、図8に示す装置を組み立てた。この装置を用いて、3流路のナンバリングアップについて検討した。
図8に示すように、共通の窒素ガス供給源から、原料タンクAと原料タンクBに窒素ガスを供給した。窒素ガス供給源の出口側の配管に、圧力調整弁(レギュレータ)を取り付けた。圧力調整弁の先を分岐させて、その分岐させた先にコック及び原料タンクをそれぞれ接続した。
原料タンクBには、上記と同じPTFE製チューブを1本接続した。このチューブを、流路Bと呼ぶ。
それぞれのチューブの先に、三方バルブ、ドレイン、及び、1/16インチ、内径1mm、長さ300mmのPTFE製チューブを接続した。そのチューブの先に、1/16インチ、内径0.25mm、長さ80mmのPEEK製チューブを接続した。このPEEK製のチューブは、本発明の小径部に相当する。その小径部の先に、反応物タンクを接続した。
1つの原料タンクに10本の流路を接続して、図9に示す装置を組み立てた。この装置を用いて、10流路のナンバリングアップについて検討した。
図9に示すように、窒素ガス供給源から、原料タンクに高圧の窒素ガスを供給した。この原料タンクに、1/8インチ、内径1.58mm、長さ1300mm(800mmと500mmのチューブを接続したチューブ)の PTFE製チューブを10本接続した。それぞれのチューブの先に、三方バルブ、及び、1/16インチ、内径1mm、長さ300mmのPTFE製チューブを接続した。そのチューブの先に、内径0.25mm、長さ200mmのPEEK製チューブを接続した。このPEEK製のチューブは、本発明の小径部に相当する。その小径部の先に、反応物タンクをそれぞれ接続した。
これに対して、本発明のマイクロリアクターによれば、流路の数に応じて原料タンク内の圧力を変化させる必要がない。また、一部の流路が閉塞した場合でも、他の流路の流速にはほとんど影響がない。したがって、流路を分岐させることによるナンバリングアップが容易である。
1つの原料タンクに10本の流路を接続して、図10に示す装置を組み立てた。この装置を用いて、10流路のナンバリングアップについて検討した。具体的には、図10に示す装置を、以下の式(2)に示すカルバゾールの臭素化反応に適用した。
N-ブロモスクシイミド(NBS)7.5g(42mmol)をDMFに溶解させることで液体原料1000mlを得た。得られた液体原料を、第2の原料タンクに貯留した。
図11に示す装置を、以下の式(4)に示す1-ナフチルボロン酸の合成反応に適用した。
以下、比較例について説明する。
シリンジポンプを用いて液体原料を移送することによって、上記の式(4)に示すナフチルボロン酸の合成反応を行った。
1.6M n-BuLi ヘキサン溶液25mlをシクロペンチルメチルエーテル(CPME)75mlで希釈することで液体原料100ml(0.4M)を得た。得られた液体原料を、第2のシリンジポンプに貯留した。
ホウ酸トリイソプロピル(B(OiPr)3)11.6gをTHFに溶解させることで液体原料100ml(0.62M)を得た。得られた液体原料を、第3のシリンジポンプに貯留した。
内径1.0mmのT字型の微小流路が形成されたミキサ(YMC社製 YMC-P-0020)を用いて、液体原料を混合した。
第1、第2および第3のシリンジポンプの流量は、5ml/minに設定した。
2種類の液体原料を第1のミキサによって室温で混合し、内径0.5mm、長さ20cmの配管内でLi化させた。
第1のミキサによって混合された2種類の液体原料と、第3の原料タンクに貯留されている液体原料を、第2のミキサによって混合し、内径1mm、長さ100cmの配管内で反応させた。これにより、目的とする反応物である1-ナフチルボロン酸を得た。
得られた反応物をHPLCで分析した結果は、1-ナフチルボロン酸(K)89%、原料の1-ブロモナフタレン(I)0.3%、脱ブロモ体であるナフタレン(L)6.8%であった。高温条件で生成しやすいブチル付加体(M)は1.9%であった。
図8に示す装置の小径部を取り外して、上記実施例5と同様の測定を行った。これにより、小径部を取り付けることによる効果を実証した。
12、112a、112b、112c、212a、212b、212c、312 原料タンク
14 恒温槽
16、116、216、316 反応物タンク
18、20、118a、118b、120、218a、218b、218c、218d、220、318a、318b、320 配管
19a,19b コネクタ
22、122a、122b、222a、222b、222c、322 窒素供給配管
24、124a、124b、224a、224b、224c、324 圧力調整弁
26、126a、126b、226a、226b、226c 開閉バルブ
28、128a、128b、228a、228b、228c、328、400、410 小径部
114、214a、214b、314 ミキサ
Claims (12)
- 気体の圧力によって液体原料を移送する移送手段を備えるマイクロリアクター。
- 前記液体原料を貯留するための原料タンクを備えており、
前記移送手段は、前記原料タンク内の気体の圧力によって、前記原料タンク内に貯留されている液体原料を移送する、請求項1に記載のマイクロリアクター。 - 前記原料タンク内に気体を供給する気体供給手段を備える、請求項2に記載のマイクロリアクター。
- 前記原料タンク内の気体の圧力を調整するための圧力調整手段を備える、請求項2または請求項3に記載のマイクロリアクター。
- 前記原料タンクは耐圧タンクで構成されている、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクター。
- 前記液体原料と他の原料とを混合するためのミキサを備え、
前記原料タンクと前記ミキサを接続する配管に小径部が設けられている、請求項2から請求項5のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクター。 - 前記小径部は、その上流側及び/または下流側の配管の内径よりも小さい内径を有するチューブで構成されている、請求項6に記載のマイクロリアクター。
- 前記原料タンクと前記小径部を接続する配管の内部の圧力が1.5MPa以下である、請求項6または請求項7に記載のマイクロリアクター。
- 前記原料タンクを複数有しており、
前記複数の原料タンクから移送される液体原料が前記ミキサによって混合される、請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクター。 - 前記気体は窒素である、請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクター。
- 請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクターを複数備えたマイクロ化学プラントであって、
前記複数のマイクロリアクターが並列に接続されている、マイクロ化学プラント。 - 請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載のマイクロリアクターを備えたマイクロ化学プラントであって、
前記原料タンクに複数の流路が接続されている、マイクロ化学プラント。
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