JP2014217823A - マイクロチャネルリアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタにおいて、光化学反応時の反応流体の温度制御を精密に行えるようにする。
【解決手段】マイクロチャネルリアクタは、反応流体を流通させるマイクロチャネルである反応流体流路20が形成され、その反応流体流路20の内面の少なくとも一部に光触媒が担持された反応プレート22と、反応プレート22に積層され、反応流体の温度を制御するための温調流体を流通させる温調流路24が形成された温調プレート26とを含む積層体16と、反応流体に光化学反応を生じさせるための光を出射し、その出射する光が反応流体流路20の反応流路38に入射するように積層体16に対して積層された光源プレート18とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタに関するものである。
従来、反応流路に反応流体を流通させながら、その反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタが知られており、そのようなリアクタの一例が下記特許文献1に開示されている。
下記特許文献1に開示されたマイクロチャネルリアクタは、内部に反応流路が形成された光透過性の反応器と、その反応器に積層された光照射装置とを備えている。反応器には、その反応器の厚み方向と直交する長手方向に当該反応器を貫通するように延びる反応流路が形成されている。反応流路の内面には、光触媒を担持した膜が形成されている。光照射装置は、反応器の厚み方向の一方の端面上に設けられ、反応流路に沿って延びるように配置されている。光照射装置は、その反応器側の面から光を出射し、その出射された光は、反応器を透過しつつ反応流路内に入射するようになっている。反応流路に入射した光は、光触媒に吸収され、その光触媒が反応流路を流れる反応流体に触媒作用を及ぼして光化学反応を生じさせる。
特開2007−313426号公報
反応流体の光化学反応では、発熱もしくは吸熱が生じ、それによって反応流体の温度変化が大きくなると、意図しない副反応等が生じる虞がある。このため、光化学反応時の反応流体の温度を制御することが望まれる。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタにおいて、光化学反応時の反応流体の温度制御を行えるようにすることである。
上記目的を達成するためには、マイクロチャネルリアクタから外部に離れて温度制御手段を設置し、その温度制御手段によってマイクロチャネルリアクタ内の反応流路を流れる反応流体の温度制御を行うことが一般的に考えられる。しかし、この場合には、温度制御手段から反応流体流路内の反応流体までの距離が大きくなり、その結果、温度制御手段による温度制御に対する反応流体の温度の応答性が悪くなる。このため、光化学反応時の反応流体の温度制御を精密に行うことができない。そこで、本願発明者は、このような問題点を解消するために以下のマイクロチャネルリアクタを発明した。
本発明によるマイクロチャネルリアクタは、反応流体を流通させながらその反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタであって、反応流体を流通させるマイクロチャネルである反応流体流路が形成され、その反応流体流路の内面の少なくとも一部に光触媒が担持された反応プレートと、前記反応プレートに積層され、反応流体の温度を制御するための温調流体を流通させる温調流路が形成された温調プレートとを含む積層体と、反応流体に光化学反応を生じさせるための光を出射し、その出射する光が前記反応流体流路に入射するように前記積層体に対して積層された光源プレートとを備えている。
このマイクロチャネルリアクタでは、積層体の反応プレートに形成された反応流体流路の内面の少なくとも一部に光触媒が担持され、光源プレートが出射する光が反応流体流路に入射するようにその光源プレートが積層体に対して積層されているため、反応流体流路を流れる反応流体に光化学反応が生じる。そして、このマイクロチャネルリアクタでは、反応流体の温度を制御するための温調流体を流通させる温調流路が形成された温調プレートが反応プレートに積層されているため、温調流路を流れる温調流体と反応プレートに形成された反応流体流路を流れる反応流体との熱交換により光化学反応時の反応流体の温度制御を行うことができる。しかも、温調プレートが反応プレートに積層されていることから、マイクロチャネルリアクタから外部に離れて設けられた温度制御手段によって反応流体流路を流れる反応流体の温度制御を行う場合に比べてダイレクトに反応流体の温度制御を行うことができ、光化学反応時の反応流体の温度制御を精密に行うことができる。
上記マイクロチャネルリアクタにおいて、前記反応プレートは、金属材料によって形成され、前記反応流体流路は、前記光触媒が内面に担持されていて反応流体に光化学反応を生じさせる部分である反応流路を有し、この反応流路は、前記反応プレートのうち前記光源プレート側を向く面に形成されて前記光源プレートから出射された光を当該反応流路内に導入する導入部を有することが好ましい。
この構成では、熱伝導率の高い金属材料によって反応プレートが形成されているため、その反応プレートに形成された反応流体流路を流れる反応流体と温調プレートに形成された温調流路を流れる温調流体との間の熱交換を良好に行うことができる。このため、反応流体の温度制御を良好に行うことができる。また、この構成では、反応プレートが金属材料によって形成されることにより光が反応プレートを透過不能となっていても、反応流体流路のうちの反応流路が、反応プレートの光源プレート側を向く面に形成された光の導入部を有するため、光源プレートから出射された光を反応流路内に導入できる。従って、当該構成では、反応流路を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
この場合において、前記積層体は、前記光源プレートの厚み方向における両面上にそれぞれ設けられ、前記光源プレートの一方の面上に設けられた積層体は、前記光源プレートの一方の面に対して積層された前記反応プレートである第1反応プレートと、その第1反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層された前記温調プレートである第1温調プレートとを含み、前記光源プレートの前記一方の面と反対側の面上に設けられた積層体は、前記光源プレートの前記反対側の面に対して積層された前記反応プレートである第2反応プレートと、その第2反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層された前記温調プレートである第2温調プレートとを含み、前記光源プレートは、その両面から光を出射するように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、光源プレートの両面から出射される光によってその両面上にそれぞれ設けられた積層体の各反応プレートの反応流路を流れる反応流体に光化学反応を生じさせることができるため、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大させることができる。しかも、この構成では、1つの光源プレートをその光源プレートの両面側の2つの積層体に設けられた各反応流路内で光化学反応を生じさせるための光源として共用することができる。このため、光源プレートの設置数を削減することができ、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化することができる。従って、この構成では、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大することができ、しかも、反応プレートが金属材料によって形成されていることに起因して光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
上記マイクロチャネルリアクタにおいて、前記温調プレートは、金属材料によって形成されていて、前記反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層されていることが好ましい。
この構成では、熱伝導率の高い金属材料によって温調プレートが形成されているため、その温調プレートに形成された温調流路を流れる温調流体と反応プレートに形成された反応流体流路を流れる反応流体との間の熱交換を良好に行うことができる。このため、反応流体の温度制御を良好に行うことができる。また、この構成では、温調プレートが金属材料によって形成されることにより光が温調プレートを透過不能となっていても、温調プレートが反応プレートのうち光源プレートと反対側を向く面に対して積層されているため、光源プレートから出射された光は、温調プレートによって遮られることなく反応プレートの反応流体流路に入射できる。従って、当該構成では、反応流体流路を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
上記マイクロチャネルリアクタにおいて、前記積層体は、前記反応プレートとその反応プレートに積層された前記温調プレートとを有する複数の流路ユニットが積層されることによって形成され、前記各流路ユニットの前記反応プレート及び前記温調プレートは、透光性を有する材料によって形成されていてもよい。
この構成では、積層体が複数の反応プレートを備えることになるため、積層体に複数の反応流体流路が設けられ、その結果、マイクロチャネルリアクタにおける光化学反応による反応流体の処理量を拡大することができる。さらに、この構成によれば、光源プレートから出射された光が積層体の各反応プレート及び各温調プレートを透過しつつ各反応プレートの反応流体流路に入射し、その各反応流体流路内を流れる反応流体に光化学反応が生じる。従って、この構成では、光源プレートを積層体の複数層での反応流体流路内で光化学反応を生じさせるための光源として共用することができる。このため、光源プレートの設置数を削減してマイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量を拡大することができる。
この場合において、前記光源プレートは、前記複数の流路ユニットの積層方向における前記積層体の一方の端面上に積層されていてもよい。
この構成によれば、光源プレートの加工の煩雑さを軽減しながら、光源プレートから反応流体流路への光の照射が阻害されるのを防ぐことができる。具体的には、仮に、流路ユニットの積層方向における積層体の中間部に光源プレートが設けられた場合には、その光源プレートの厚み方向の両面を互いに平行な平面に形成しなければ、その両面とそれらの面に対して積層される流路ユニットのプレートとの間に隙間が生じ、光源プレートから反応流体流路への光の照射が阻害される虞がある。これに対して、この構成では、光源プレートのうち積層体の一方の端面に対して積層される一方の面の平面度さえ確保すれば、その積層体の一方の端面に対して光源プレートを隙間なく接合でき、光源プレートから反応流体流路への光の照射が阻害されるのを防ぐことができる。このため、上記のように光源プレートの厚み方向の両面を互いに平行な平面に形成する必要がある場合に比べて、光源プレートの加工の煩雑さを軽減することができる。
上記反応プレート及び温調プレートが透光性を有する材料によって形成されている構成において、前記積層体は、前記光源プレートの厚み方向における両面上にそれぞれ設けられ、前記光源プレートは、その両面から光を出射するように構成されていてもよい。
この構成によれば、光源プレートの両面から出射される光によってその両面上にそれぞれ設けられた積層体の各反応プレートの反応流体流路を流れる反応流体に光化学反応を生じさせることができるため、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大させることができる。しかも、この構成では、1つの光源プレートをその光源プレートの両面側の2つの積層体に設けられた各反応流体流路内で光化学反応を生じさせるための光源として共用することができる。このため、光源プレートの設置数を削減することができ、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化することができる。従って、この構成では、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大することができる。また、光源プレートから出射される光は、反応プレート及び温調プレートを透過するたびに減衰していくが、本構成のように光源プレートの両面上にそれぞれ積層体が設けられていて光源プレートがその両面から光を出射する場合には、仮に光源プレートの両面側の積層体を足し合わせた積層数の積層体の一端面上に光源プレートが設けられている場合に比べて、光源プレートから遠い側の積層体の端面近傍に達する光の減衰の程度は小さくなる。このため、本構成では、光源プレートから遠い側の積層体の端面近傍に位置する反応流体流路でも反応流体に良好な光化学反応を生じさせることができる。
上記マイクロチャネルリアクタにおいて、前記反応プレートと前記温調プレートの積層方向における前記積層体の一方の端部には、前記反応プレートが配置され、その反応プレートに形成された前記反応流体流路は、前記積層方向における当該反応プレートの外端面に形成された溝の開口が、その外端面上に積層された前記光源プレートにより封止されることによって形成されていることが好ましい。
この構成では、反応プレートの反応流体流路を構成する溝の開口を封止するために光源プレートが利用されているので、その溝の開口を封止するための仕切板を別途設ける場合と比べて、マイクロチャネルリアクタの小型化及び製造コストの削減を図ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタにおいて、光化学反応時の反応流体の温度制御を精密に行うことができる。
本発明の第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタの上面図である。 第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタのリアクタ本体の各ヘッダを取り外した状態を図1中の矢印II方向から見た側面図である。 第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタの積層体を構成する反応プレートの平面図である。 図3に示した反応プレートを構成する反応プレート第1層の平面図である。 図3に示した反応プレートを構成する反応プレート第2層の平面図である。 図3に示した反応プレートを構成する反応プレート第3層の平面図である。 第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタの積層体を構成する温調プレートの平面図である。 本発明の第2実施形態によるマイクロチャネルリアクタのリアクタ本体の図2相当図である。 本発明の第3実施形態によるマイクロチャネルリアクタのリアクタ本体の断面図である。 本発明の第4実施形態によるマイクロチャネルリアクタのリアクタ本体の断面図である。 本発明の第1変形例によるリアクタ本体の断面図である。 本発明の第2変形例によるリアクタ本体の断面図である。 本発明の第3変形例によるリアクタ本体の断面図である。 本発明の第4変形例によるリアクタ本体の断面図である。 本発明の第5変形例によるリアクタ本体の断面図である。 本発明の第6変形例によるリアクタ本体の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタの構成について説明する。
本発明の第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタは、光触媒が担持された内面を有するマイクロチャネルに反応流体を流通させながらその反応流体に光化学反応を生じさせるものである。
具体的に、この第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタは、図1に示すように、リアクタ本体2と、第1反応流体供給ヘッダ4と、第2反応流体供給ヘッダ6と、反応流体排出ヘッダ8と、温調流体供給ヘッダ10と、温調流体排出ヘッダ12とを備えている。
リアクタ本体2は、図2に示すように、積層された複数の流路ユニット14からなる積層体16と、1枚の光源プレート18とを有する。
積層体16を形成する各流路ユニット14は、複数の反応流体流路20が形成された反応プレート22と、複数の温調流路24が形成された温調プレート26とによって形成されている。反応プレート22及び温調プレート26は、透光性を有する材料によって形成されており、例えばガラスやアクリル樹脂等によって形成されている。各プレート22,26は、長方形の略平板状の外形を有する。
反応プレート22に形成された各反応流体流路20は、反応流体が流通するマイクロチャネル(微細流路)である。各反応流体流路20は、図3に示すように、第1反応流体が導入される第1導入路32と、第2反応流体が導入される第2導入路34と、第1導入路32を流れる第1反応流体と第2導入路34を流れる第2反応流体とを合流させる合流部36と、合流後の反応流体を流通させながらその反応流体に光化学反応を生じさせる反応流路38とによって構成されている。第1導入路32及び第2導入路34は、反応プレート22の厚み方向における一方の面側に形成されており、反応流路38は、反応プレート22の厚み方向における他方の面側に形成されている。合流部36は、反応プレート22を厚み方向に貫通し、第1導入路32及び第2導入路34の下流側の端部と反応流路38の上流側の端部とを繋いでいる。反応プレート22は、第1導入路32及び第2導入路34を形成する反応プレート第1層22aと、合流部36を形成する反応プレート第2層22bと、反応流路38を形成する反応プレート第3層22cとがこの順番で積層されて互いに接合されることによって形成されている。これら反応プレート第1〜第3層22a〜22cは、上記の透光性を有する材料によって薄板状に形成されている。
反応プレート第1層22aには、図4に示すように、その幅方向(短手方向)の一端から他端へその幅方向に延びる複数の溝40が形成されている。各溝40は、反応プレート第1層22aの厚み方向の両面においてそれぞれ開口している。図2に示すように、流路ユニット14の積層方向における積層体16の一端には、反応プレート第1層22aが配置されている。この反応プレート第1層22aの厚み方向の両面のうち反応プレート第2層22bと反対側の面に形成された各溝40の開口は、当該面上に設けられた光源プレート18によって封止されている。また、それ以外の反応プレート第1層22aでは、その第1層22aの反応プレート第2層22bと反対側の面に形成された各溝40の開口が、当該面に接合された隣り合う流路ユニット14の温調プレート26によって封止されている。また、各反応プレート第1層22aの反応プレート第2層22b側の面に形成された各溝40の開口は、その面に接合された反応プレート第2層22bによって封止されている。このように各反応プレート第1層22aの両面の各溝40の開口が封止されることによって、各反応プレート第1層22aの第1導入路32及び第2導入路34が形成されている。また、各反応プレート第1層22aのうちその長手方向において各溝40間に位置する部位は、図4に示すように、当該第1層22aの幅方向に延びる細長いバー状となっており、それら各部位は、当該第1層22aの厚みよりも小さい厚みを有する連結部41によって連結されている。
また、図3に示すように、第1導入路32は、反応プレート第1層22aの幅方向の一端から中央部まで延び、第2導入路34は、反応プレート第1層22aの幅方向の他端から中央部まで延び、両導入路32,34の下流側の端部は互いに繋がっている。反応プレート第1層22aの幅方向の前記一端に形成された第1導入路32の端部は、当該第1導入路32に対する第1反応流体の入口である。反応プレート第2層22bの幅方向の前記他端に形成された第2導入路34の端部は、当該第2導入路34に対する第2反応流体の入口である。
反応プレート第2層22bには、当該第2層22bが反応プレート第1層22aと積層された状態でその第1層22aの各溝40と重なり且つ当該第2層22bの幅方向の中央に位置する部位に複数の貫通穴42(図5参照)が形成されている。各貫通穴42は、当該第2層22bを厚み方向に貫通している。これらの貫通穴42によって、第1導入路32及び第2導入路34の下流側の端部と連通する複数の合流部36(図3参照)が形成されている。
反応プレート第3層22c(図6参照)には、複数の溝44が形成されている。各溝44は、反応プレート第3層22cが反応プレート第2層22bと積層された状態でその第2層22bの対応する貫通穴42と重なる位置を始点とし、その始点から当該第3層22cの幅方向に蛇行しながら当該第3層22cの長手方向に延び、当該第3層22cの長手方向において前記始点と反対側の領域で当該第3層22cの幅方向の一方の端縁に終点を有する。各溝44は、反応プレート第3層22cの厚み方向の両面においてそれぞれ開口している。この第3層22cの厚み方向の一方の面に形成された各溝44の開口が当該一方の面に接合された反応プレート第2層22bによって封止されるとともに第3層22cの厚み方向の他方の面に形成された各溝44の開口が当該他方の面に接合された温調プレート26によって封止されることにより、各合流部36と連通する蛇行した複数の反応流路38(図3参照)が形成されている。各反応流路38の内面には、光が照射されることにより反応流体に光化学反応を生じさせる触媒作用を示す光触媒が担持されている。各反応流路38の内面に担持される光触媒としては、光触媒として機能し得る既知の様々な物質が適用され、その物質を含む薄い層が反応プレート第3層22cの各溝44の内面に形成されることによって各反応流路38の内面に光触媒が担持されている。
温調プレート26に形成された温調流路24(図7参照)は、反応流体流路20を流れる反応流体、特に反応流路38を流れる反応流体の温度を制御するための温調流体を流通させるマイクロチャネル(微細流路)である。温調プレート26は、図2に示すように、温調プレート第1層26aと、温調プレート第2層26bと、温調プレート第3層26cとがこの順番で積層されて互いに接合されることによって形成されている。これら温調プレート第1〜第3層26a〜26cは、上記の透光性を有する材料によって薄板状に形成されている。
温調プレート第1層26a及び温調プレート第3層26cは、平板状の薄板である。温調プレート第2層26bには、当該温調プレート第2層26bの長手方向の一端から他端へその長手方向に沿って直線的に延びる複数の溝46(図7参照)が形成されている。各溝46は、温調プレート第2層26bの厚み方向の両面においてそれぞれ開口している。温調プレート第2層26bの厚み方向の一方の面に形成された各溝46の開口がその一方の面に接合された温調プレート第1層26aによって封止されるとともに温調プレート第2層26bの厚み方向の他方の面に形成された各溝46の開口がその他方の面に接合された温調プレート第3層26cによって封止されることにより、複数の温調流路24が形成されている。複数の温調流路24は、温調プレート26が反応プレート22と積層された状態でその反応プレート22に形成された複数の反応流路38と各プレート22,26の積層方向から見て重なる範囲に設けられている。
複数の流路ユニット14は、それらの厚み方向(各プレート22,26の積層方向)において積層されている。隣り合う流路ユニット14は、一方の流路ユニット14の反応プレート22上に他方の流路ユニット14の温調プレート26が接合されることによって一体化されている。すなわち、積層体16全体として見れば、反応プレート22と温調プレート26とが交互に繰り返し積層されることによってその積層体16が形成されている。
光源プレート18は、積層体16の各反応プレート22に形成された各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせるための光を出射するものである。この光源プレート18は、出射する光が各反応流体流路20の反応流路38に入射するように積層体16に対して積層されている。具体的に、光源プレート18は、平板状に形成されており、流路ユニット14の積層方向における積層体16の一方の端面を構成する反応プレート22の第1層22a上に積層されている。この光源プレート18の厚み方向における一方の面は、積層体16の一方の端面を構成する反応プレート第1層22aの反応プレート第2層22bと反対側の面に接合されており、当該光源プレート18は、この一方の面全体から略均一に光を出射する。光源プレート18としては、例えば、発光部が端部に設けられており、その発光部から出射されて端部に入射した光を面照射する導光板や、液晶ディスプレイのバックライトとして用いられるプレート状の発光装置、また、透光性を有する樹脂製(例えばアクリル樹脂製)のプレート中に発光素子が埋め込まれて形成された発光装置や、発光素子が透光性を有する樹脂プレートによって挟み込まれて形成された発光装置などが用いられる。
第1反応流体供給ヘッダ4は、各流路ユニット14の反応プレート22の幅方向の一方の端部に形成された各第1導入路32の入口を覆うように、リアクタ本体2(積層体16)の幅方向の一方の側面に取り付けられている。この第1反応流体供給ヘッダ4には、第1反応流体の供給配管4aが接続されており、その供給配管4a及び第1反応流体供給ヘッダ4を通じて各第1導入路32へ第1反応流体が供給される。
第2反応流体供給ヘッダ6は、各流路ユニット14の反応プレート22の幅方向の他方の端部に形成された各第2導入路34の入口を覆うように、リアクタ本体2(積層体16)の前記第1反応流体供給ヘッダ4と反対側の側面に取り付けられている。この第2反応流体供給ヘッダ6には、第2反応流体の供給配管6aが接続されており、その供給配管6a及び第2反応流体供給ヘッダ6を通じて各第2導入路34へ第2反応流体が供給される。
反応流体排出ヘッダ8は、各流路ユニット14の反応プレート22の前記第2導入路34の入口と同じ側の端部に形成された反応流路38の出口を覆うように、リアクタ本体2(積層体16)の前記第2反応流体供給ヘッダ6と同じ側の側面に取り付けられている。この反応流体排出ヘッダ8には、排出配管8aが接続されており、各反応流路38を流れながら光化学反応を生じた反応流体及びその光化学反応によって生成された反応生成物が各反応流路38の出口から反応流体排出ヘッダ8内に排出されるとともにその反応流体排出ヘッダ8から排出配管8aを通じて排出される。
温調流体供給ヘッダ10は、各流路ユニット14の温調プレート26の長手方向の一方の端部に形成された各温調流路24の入口を覆うように、リアクタ本体2(積層体16)の長手方向の一方の端面に取り付けられている。この温調流体供給ヘッダ10には、温調流体の供給配管10aが接続されており、その供給配管10aの上流側の端部は、温調流体の供給装置(図示せず)に接続されている。供給装置は、供給配管10a及び温調流体供給ヘッダ10を通じて各温調流路24へ温調流体を供給するとともに、その供給する温調流体の温度制御を行う。
温調流体排出ヘッダ12は、各流路ユニット14の温調プレート26の長手方向の他方の端部に形成された各温調流路24の出口を覆うように、リアクタ本体2(積層体16)の前記温調流体供給ヘッダ10と反対側の端面に取り付けられている。この温調流体排出ヘッダ12には、温調流体の排出配管12aが接続されており、各温調流路24から温調流体排出ヘッダ12内へ温調流体が排出されるとともにその温調流体が温調流体排出ヘッダ12から排出配管12aを通じて排出される。
以上のような構成を有する第1実施形態のマイクロチャネルリアクタでは、各第1導入路32に導入された第1反応流体と対応する第2導入路34に導入された第2反応流体とが対応する合流部36において合流し、その合流した反応流体が反応プレート22の導入路32,34が形成された面から反応流路38が形成された面側へ向かって合流部36を流れ、その合流部36から対応する反応流路38へ流入する。光源プレート18からは光が出射され、その出射された光は、積層された各プレート22,26を透過しつつ、各反応プレート22に設けられた各反応流路38に入射する。各反応流路38に入射した光は、その反応流路38の内面に担持された光触媒を光励起させてその光触媒に触媒作用を生じさせ、それによってその反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせる。これにより、各反応流路38内において、反応流体は下流側へ流れつつ光化学反応を生じる。この光化学反応の際、発熱もしくは吸熱が生じるが、各反応流路38を流れる反応流体とその反応流路38に隣接する温調流路24を流れる温調流体との熱交換により反応流体の温度制御がなされ、光化学反応を生じる反応流体の温度は、予め設定された温度範囲内で推移する。その結果、意図しない副反応等が生じるのが抑制される。
この第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタでは、温調流路24が形成された温調プレート26が反応プレート22に積層されているため、温調流路24を流れる温調流体と反応プレート22に形成された反応流路38を流れる反応流体との熱交換により光化学反応時の反応流体の温度制御を行うことができる。しかも、温調プレート26が反応プレート22に積層されていることから、仮にマイクロチャネルリアクタから外部に離れた位置に温度制御手段を設けてその温度制御手段によって反応流路38を流れる反応流体の温度制御を行うような場合に比べてダイレクトに反応流体の温度制御を行うことができ、光化学反応時の反応流体の温度制御を精密に行うことができる。
また、第1実施形態では、マイクロチャネルリアクタの積層体16が複数の反応プレート22を備えるため、多数の反応流体流路20が積層体16に設けられ、その結果、マイクロチャネルリアクタにおける光化学反応による反応流体の処理量を拡大することができる。さらに、第1実施形態では、光源プレート18から出射された光が積層体16の各反応プレート22及び各温調プレート26を透過しつつ各反応プレート22の各反応流路38に入射し、その各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応が生じるため、光源プレート18を積層体16の全ての反応プレート22の反応流路38において光化学反応を生じさせるための光源として共用することができる。このため、光源プレート18の設置数を削減してマイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量を拡大することができる。
また、この第1実施形態では、光源プレート18が積層体16の一方の端面上に積層されているので、光源プレート18の加工の煩雑さを軽減しながら、光源プレート18から各反応流路38への光の照射が阻害されるのを防ぐことができる。具体的には、仮に、流路ユニット14の積層方向における積層体16の中間部に光源プレート18が設けられた場合には、その光源プレート18の厚み方向の両面を互いに平行な平面に形成しなければ、その両面とそれらの面に対して積層される流路ユニット14のプレート22(26)との間に隙間が生じ、光源プレート18から反応流路38への光の照射が阻害される虞がある。これに対して、この第1実施形態では、光源プレート18のうち積層体16の一方の端面に対して積層される一方の面の平面度さえ確保すれば、その積層体16の一方の端面に対して光源プレート18を隙間なく接合でき、光源プレート18から各反応流路38への光の照射が阻害されるのを防ぐことができる。このため、この第1実施形態では、光源プレート18の厚み方向の両面を互いに平行な平面に形成する必要がある場合に比べて、光源プレート18の加工の煩雑さを軽減することができる。
また、この第1実施形態では、積層体16の一方の端面を構成する反応プレート22の外端面に形成された溝40の開口がその外端面上に積層された光源プレート18により封止されることによって、その反応プレート22の反応流体流路20の第1導入路32と第2導入路34とが形成されている。すなわち、光源プレート18が、溝40の開口を封止して反応流体流路20の第1導入路32及び第2導入路34を形成するために利用されている。このため、溝40の開口を封止するための仕切板を別途設ける場合に比べて、マイクロチャネルリアクタの小型化及び製造コストの削減を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態によるマイクロチャネルリアクタの構成について説明する。
この第2実施形態によるマイクロチャネルリアクタでは、図8に示すように、光源プレート18の厚み方向の両面上にそれぞれ積層体16a,16bが設けられており、光源プレート18がその両面から光を出射するように構成されている。
具体的に、この第2実施形態では、光源プレート18の厚み方向の一方側に設けられた一方の積層体16aと、光源プレート18の厚み方向の他方側に設けられた他方の積層体16bとは、それぞれ同数の流路ユニット14が積層されることによって形成されている。すなわち、光源プレート18は、一方の積層体16aと他方の積層体16bとを足し合わせた積層体16において流路ユニット14の積層方向における中間部に配置されている。
光源プレート18の厚み方向の一方の面とその面上に設けられた一方の積層体16aとは互いに接合されており、光源プレート18の厚み方向の他方の面とその面上に設けられた他方の積層体16aとは互いに接合されている。光源プレート18は、その厚み方向の一方の面と他方の面とから略等しい強度で光を略均一に面照射する。光源プレート18の前記一方の面から出射された光は、一方の積層体16aの各反応プレート22及び各温調プレート26を透過しつつその各反応プレート22に設けられた各反応流路38に入射して反応流体に光化学反応を生じさせ、光源プレート18の前記他方の面から出射された光は、他方の積層体16bの各反応プレート22及び各温調プレート26を透過しつつその各反応プレート22に設けられた各反応流路38に入射して反応流体に光化学反応を生じさせる。
この第2実施形態によるマイクロチャネルリアクタの上記以外の構成は、上記第1実施形態によるマイクロチャネルリアクタの構成と同様である。
この第2実施形態では、上述のように光源プレート18の両面から出射される光によってその両面上にそれぞれ設けられた積層体16a,16bの各反応プレート22の反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせることができるため、光化学反応による反応流体の処理量を拡大させることができる。しかも、この第2実施形態では、1つの光源プレート18が、その光源プレート18の厚み方向の両面側の2つの積層体16a,16bの各反応流路38で光化学反応を生じさせるための光源として共用されている。このため、第2実施形態では、光源プレート18の設置数を削減してマイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量を拡大することができる。
また、光源プレート18から出射される光は、反応プレート22及び温調プレート26を透過するたびに減衰していくが、当該第2実施形態のように光源プレート18の両面上にそれぞれ積層体16a,16bが設けられていて光源プレート18がその両面から光を出射する場合には、各積層体16a,16bのうち光源プレート18から遠い側の端面近傍に達する光の減衰の程度は、仮に両積層体16a,16bを足し合わせた積層数の積層体の一端面上に光源プレートが設けられていてその光源プレートから出射された光がその積層体のうち光源プレートから遠い側の端面近傍に達する光の減衰の程度に比べて、小さくなる。このため、この第2実施形態では、各積層体16a,16bの光源プレート18から遠い側の端面近傍に位置する反応流路38でも反応流体に良好な光化学反応を生じさせることができる。
この第2実施形態のマイクロチャネルリアクタによって得られる上記以外の効果は、上記第1実施形態のマイクロチャネルリアクタによる効果を同様である。
(第3実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態によるマイクロチャネルリアクタの構成について説明する。
この第3実施形態によるマイクロチャネルリアクタでは、金属材料によって形成された第1反応プレート22a及び第1温調プレート26aからなる第1積層体16aと、金属材料によって形成された第2反応プレート22b及び第2温調プレート26bからなる第2積層体16bとが、光源プレート18の厚み方向の両側に分かれてその光源プレート18の対応する各面上にそれぞれ積層されている。また、この第3実施形態では、光源プレート18は、上記第2実施形態と同様、その厚み方向の両面から光を出射するように構成されている。
第1積層体16aの第1反応プレート22aは、光源プレート18の厚み方向の一方の面に対して積層されて固定されており、第1温調プレート26aは、第1反応プレート22aのうち光源プレート18と反対側を向く板面に対して積層されて接合されている。
第1反応プレート22aのうち光源プレート18側の板面には、エッチングにより複数の溝70が形成され、その板面に形成された各溝70の開口が光源プレート18の前記一方の面によって封止されることにより複数の反応流体流路20が形成されている。各反応流体流路20の反応流路38の内面、具体的には各溝70のうち反応流路38を形成する部分の内面には、光触媒が担持されている。光源プレート18の前記一方の面から出射された光は、第1反応プレート22aの光源プレート18側を向く板面に形成された各溝70の開口を通じて各反応流体流路20の反応流路38内に導入される。すなわち、第1反応プレート22aの光源プレート18側を向く板面に形成された各溝70の開口が、各反応流路38の光の導入部38aとなっている。各反応流路38内に光が入射することによってその反応流路38を流れる反応流体に光化学反応が生じる。
第1温調プレート26aのうち第1反応プレート22a側の板面には、エッチングにより複数の溝48が形成され、その板面に形成された各溝48の開口が第1反応プレート22によって封止されることにより複数の温調流路24が形成されている。
第2積層体16bの構成は、光源プレート18に対して第1積層体16aと対称な構成となっている。すなわち、第2積層体16bを構成する第2反応プレート22bは、光源プレート18の前記一方の面と反対側の面に対して積層されて固定されており、第2温調プレート26bは、第2反応プレート22bのうち光源プレート18と反対側を向く板面に対して積層されて接合されている。第2反応プレート22b及び第2温調プレート26bの構成は、第1反応プレート22a及び第1温調プレート26aの構成と対称な構成となっている。
この第3実施形態では、熱伝導率の高い金属材料によって第1及び第2反応プレート22a,22bが形成されているため、それらの反応プレート22a,22bに形成された反応流体流路20を流れる反応流体と温調プレート26a,26bに形成された温調流路24を流れる温調流体との間の熱交換を良好に行うことができる。このため、反応流体の温度制御を良好に行うことができる。また、この第3実施形態では、反応プレート22a,22bが金属材料によって形成されることにより光が反応プレート22a,22bを透過不能となっていても、反応流路38が、反応プレート22a,22bの光源プレート18側を向く板面に形成された光の導入部38aを有するため、光源プレート18から出射された光を反応流路38内に導入できる。従って、この第3実施形態では、反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
また、この第3実施形態では、光源プレート18の両面から出射される光によってその両面上にそれぞれ設けられた積層体16a,16bの各反応プレート22a,22bの反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせることができるため、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大させることができる。しかも、この第3実施形態では、1つの光源プレート18を第1積層体16aと第2積層体16bに設けられた各反応流路38内で光化学反応を生じさせるための光源として共用することができる。このため、光源プレート18の設置数を削減することができ、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化することができる。従って、この第3実施形態では、マイクロチャネルリアクタをコンパクト化しながら、光化学反応による反応流体の処理量をより拡大することができ、しかも、反応プレート22a,22bが金属材料によって形成されていることに起因して光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
(第4実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第4実施形態によるマイクロチャネルリアクタの構成について説明する。
この第4実施形態によるマイクロチャネルリアクタでは、上記第3実施形態と同様、光源プレート18の厚み方向の両側に第1積層体16aと第2積層体16bが分かれて設けられており、光源プレート18がその厚み方向の両面から光を出射するように構成されている。また、第1積層体16aの第1反応プレート22a及び第1温調プレート26aと第2積層体16bの第2反応プレート22b及び第2温調プレート26bは、金属材料によって形成されている。
第1反応プレート22aは、光源プレート18の厚み方向の一方の面上に積層されている。この第1反応プレート22aのうち光源プレート18と反対側を向く板面には、エッチングにより複数の溝52が形成され、その板面に形成された各溝52の開口が第1温調プレート26aによって封止されることにより複数の第1導入路32及び複数の第2導入路34が形成されている。また、第1反応プレート22のうち光源プレート18側の板面には、エッチングにより複数の溝54が形成され、その板面に形成された各溝54の開口が光源プレート18によって封止されることにより複数の反応流路38が形成されている。各反応流路38の内面、具体的には各溝54の内面には、光触媒が担持されている。また、第1反応プレート22aには、各溝52と対応する溝54とを連通させるように当該第1反応プレート22aを厚み方向に貫通する図略の複数の貫通穴が形成されており、それらの貫通穴によって図略の複数の合流部が形成されている。各第1導入路32と、対応する第2導入路34と、対応する合流部と、対応する反応流路38とによって、反応流体流路20が形成されている。光源プレート18から出射された光は、第1反応プレート22aの光源プレート18側の板面に形成された各溝54の開口を通じて各反応流路38内に導入される。すなわち、第1反応プレート22aの光源プレート18側の板面に形成された各溝54の開口が、各反応流路38の光の導入部38aとなっている。
第1温調プレート26aのうち第1反応プレート22aと反対側の板面には、エッチングにより複数の溝48が形成され、この板面に形成された各溝48の開口がこの板面に対して積層されたベースプレート50によって封止されることにより複数の温調流路24が形成されている。
第2積層体16bの構成は、光源プレート18に対して第1積層体16aと対称な構成となっている。すなわち、第2積層体16bを構成する第2反応プレート22b、第2温調プレート26b及びベースプレート50の構成は、第1積層体16aを構成する第1反応プレート22a、第1温調プレート26a及びベースプレート50の構成と対称な構成となっている。
この第4実施形態では、上記第3実施形態によるマイクロチャネルリアクタと同様の効果を得ることができる。
また、この第4実施形態では、熱伝導率の高い金属材料によって第1及び第2温調プレート26a,26bが形成されているため、それらの温調プレート26a,26bに形成された温調流路24を流れる温調流体と対応する反応プレート22a,22bに形成された反応流体流路20を流れる反応流体との間の熱交換を良好に行うことができる。このため、反応流体の温度制御を良好に行うことができる。また、この第4実施形態では、温調プレート26a,26bが金属材料によって形成されることにより光が温調プレート26a,26bを透過不能となっていても、温調プレート26a,26bが反応プレート22a,22bのうち光源プレート18と反対側を向く面に対して積層されているため、光源プレート18から出射された光は、温調プレート26a,26bによって遮られることなく反応プレート22a,22bの反応流路38に入射できる。従って、この第4実施形態では、反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御をより良好に行うことができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
例えば、光源プレートは、流路ユニットの積層方向における積層体の両端面上にそれぞれ積層されていてもよく、また、その積層体の両端面上に加えて流路ユニットの積層方向における積層体の中間部にも設けられていてもよい。また、複数の流路ユニットが積層される毎に1つの光源プレートが設けられていてもよい。
また、積層体を構成する複数の流路ユニットの1つずつに対して1つの光源プレートが設けられていてもよく、積層体が単一の流路ユニットによって形成されていてその積層体に対して1つの光源プレートが設けられていてもよい。これらの場合には、流路ユニットを構成する反応プレートと温調プレートのうち少なくとも一方が非透光性の材料、例えば金属材料によって形成されていてもよい。このような変形例が、図11〜図13に示されている。なお、図11〜図13では、単一の流路ユニット14に対して1つの光源プレート18が設けられた例が示されているが、積層体が複数の流路ユニット14を備えていてその複数の流路ユニット14の1つずつに対してそれぞれ1つの光源プレート18を設ける場合には、図11〜図13に示された積層構造を繰り返し積層すればよい。
図11に示されている第1変形例では、温調プレート26が金属材料によって形成されており、反応プレート22は上記第1及び第2実施形態と同様に透光性を有する材料によって形成されている。温調プレート26のうち反応プレート22と反対側の板面には、エッチングにより複数の溝48が形成され、その板面に形成された各溝48の開口がその板面に対して積層されたベースプレート50によって封止されることにより複数の温調流路24が形成されている。
この第1変形例では、熱伝導率の高い金属材料によって温調プレート26が形成されているため、その温調プレート26に形成された温調流路24を流れる温調流体と反応プレート22に形成された反応流路38を流れる反応流体との間の熱交換を良好に行うことができる。このため、光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。また、この第1変形例では、温調プレート26が金属材料によって形成されているため、光が温調プレート26を透過不能となっているが、温調プレート26が反応プレート22のうち光源プレート18と反対側を向く面に対して積層されているため、光源プレート18から出射された光は、温調プレート26によって遮られることなく反応プレート22に形成された各反応流路38に入射できる。従って、当該第1変形例では、各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
また、図12に示されている第2変形例では、反応プレート22が金属材料によって形成されており、温調プレート26は上記第1及び第2実施形態と同様に透光性を有する材料によって形成されている。反応プレート22のうち温調プレート26と反対側の板面には、エッチングにより複数の溝52が形成され、その板面に形成された各溝52の開口がその板面に対して積層されたベースプレート50によって封止されることにより第1導入路32及び第2導入路34が形成されている。また、反応プレート22のうち温調プレート26側の板面には、エッチングにより複数の溝54が形成され、その板面に形成された各溝54の開口が温調プレート26によって封止されることにより複数の反応流路38が形成されている。各反応流路38の内面、具体的には各溝54の内面には、光触媒が担持されている。また、反応プレート22には、各溝52と対応する溝54とを連通させるように当該プレート22を厚み方向に貫通する図略の複数の貫通穴が形成されており、それらの貫通穴によって図略の複数の合流部が形成されている。
また、この第2変形例では、光源プレート18が、温調プレート26のうち反応プレート22と反対側の板面に対して積層されている。すなわち、反応プレート22の反応流路38が形成された側に光源プレート18が配置され、その光源プレート18が、反応流路38側へ向かって光を面照射するようになっている。この光源プレート18から出射された光は、温調プレート26を透過し、反応プレート22の温調プレート26側の板面に形成された各溝54の開口を通じて各反応流路38内に導入される。すなわち、反応プレート22の温調プレート26側の板面(光源プレート18側を向く板面)に形成された各溝54の開口が、各反応流路38の光の導入部38aとなっている。
この第2変形例では、反応プレート22が金属材料によって形成されているため、光が反応プレート22を透過不能となっているが、反応流路38が、反応プレート22の光源プレート18側を向く面に形成された光の導入部38aを有するため、光源プレート18から出射された光を反応流路38内に導入できる。従って、当該第2変形例では、各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせることができる。
また、反応流体流路は、その全ての部分が反応プレートの厚み方向の一方側の板面に沿って形成されていてもよい。このような変形例が、図13〜図16に示されている。
図13に示されている第3変形例では、反応プレート22は、透光性を有する材料からなる反応プレート第1層62aと反応プレート第2層62bとによって形成されている。反応プレート第1層62aには、各反応流体流路20の流路形状に対応した形状を有する複数の溝64が形成されている。各溝64は、反応プレート第1層62aを厚み方向に貫通している。反応プレート第1層62aの厚み方向の一方の面に形成された各溝64の開口がその一方の面に積層された光源プレート18によって封止され、反応プレート第1層62aの厚み方向の他方の面に形成された各溝64の開口がその他方の面に積層された反応プレート第2層62bによって封止されることにより、複数の反応流体流路20が形成されている。この各反応流体流路20は、光源プレート18が積層された反応プレート22の一方の板面に沿って形成されている。また、この第3変形例では、温調プレート26が金属材料によって形成されている。温調プレート26のうち反応プレート22側の板面には、複数の溝66が形成され、その板面に形成された各溝52の開口が反応プレート22によって封止されることにより複数の温調流路24が形成されている。
図14に示されている第4変形例では、反応プレート22は、上記第3変形例と同様に構成されている。一方、この第4変形例では、温調プレート26が、透光性を有する材料からなる温調プレート第1層66aと温調プレート第2層66bとによって形成されている。温調プレート第1層66aには、各温調流路24の流路形状に対応した形状を有する複数の溝68が形成されている。各溝68は、温調プレート第1層66aを厚み方向に貫通している。温調プレート第1層66aの厚み方向の一方の面に形成された各溝68の開口がその一方の面に積層された反応プレート22によって封止され、温調プレート第1層66aの厚み方向の他方の面に形成された各溝68の開口がその他方の面に積層された温調プレート第2層66bによって封止されることにより、複数の温調流路24が形成されている。
図15に示されている第5変形例では、反応プレート22が金属材料によって形成されており、この反応プレート22のうち温調プレート26と反対側の板面には、エッチングにより複数の溝70が形成されている。各溝70は、反応流体流路20の流路形状に対応した形状に形成されている。そして、反応プレート22の温調プレート26と反対側の板面に形成された各溝70の開口がその板面に対して積層された光源プレート18によって封止されることにより、複数の反応流体流路20が形成されている。この各反応流体流路20は、光源プレート18が積層された反応プレート22の一方の板面に沿って形成されている。各反応流体流路20は、反応流体に光化学反応を生じさせる部分である反応流路38を有しており、その反応流路38を構成する溝70の内面には光触媒が担持されている。光源プレート18から出射された光は、反応プレート22の光源プレート18側を向く板面に形成された各溝70の開口を通じて各反応流体流路20に入射し、それによって、各反応流体流路20の反応流路38を流れる反応流体が光化学反応を生じる。すなわち、反応プレート22の光源プレート18側を向く板面に形成された各溝70の開口が、各反応流体流路20の反応流路38に光を導入する導入部38aとなっている。また、この第5変形例では、温調プレート26は、上記第4変形例と同様に構成されている。
図16に示されている第6変形例では、反応プレート22は、上記第5変形例と同様に構成されており、温調プレート26は、上記第3変形例と同様に構成されている。すなわち、この第6変形例では、反応プレート22と温調プレート26の両方が金属材料によって形成されている。また、温調プレート26は、反応プレート22のうち光源プレート18と反対側を向く面に対して積層されて接合されている。
上記第5変形例及び第6変形例では、反応プレート22が金属材料によって形成されていることから、反応流体流路20を流れる反応流体と温調流路24を流れる温調流体との間での熱交換を良好に行うことができ、その結果、反応流体流路20を流れる反応流体の温度制御を精密に行うことができる。また、第6変形例では、反応プレート22に加えて温調プレート26も金属材料によって形成されていることから、反応流体流路20を流れる反応流体の温度制御をより精密に行うことができる。
また、第5変形例では、反応プレート22が金属材料によって形成されているため、光が反応プレート22を透過不能となっているが、反応流路38が、反応プレート22の光源プレート18側を向く板面に形成された光の導入部38aを有するため、光源プレート18から出射された光を反応流路38内に導入できる。従って、第5変形例では、各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
また、第6変形例では、温調プレート26が金属材料によって形成されているため、光が温調プレート26を透過不能となっているが、温調プレート26が反応プレート22のうち光源プレート18と反対側を向く面に対して積層されているため、光源プレート18から出射された光は、温調プレート26によって遮られることなく反応プレート22に形成された各反応流路38に入射できる。従って、第6変形例では、各反応流路38を流れる反応流体に光化学反応を生じさせつつ、その光化学反応時の反応流体の温度制御を良好に行うことができる。
また、反応プレートに設けられる反応流体流路の構成、すなわち、第1導入路、第2導入路、合流部及び反応流路の形状、位置及び数は、上記実施形態及び変形例で示した構成に限定されず、上記以外の様々な構成を採用することができる。例えば、1つの反応プレートに形成されている反応流路の数は、1つのみであってもよい。
また、温調プレートに設けられる温調流路の構成、すなわち温調流路の形状、位置及び数は、上記実施形態及び変形例で示した構成に限定されず、上記以外の様々な構成を採用することができる。例えば、温調流路は、温調プレートの幅方向に蛇行しながら温調プレートの長手方向の一端から他端へ延びるような形状に形成されていてもよい。
また、本発明は、流路ユニットの積層方向における積層体の一端に位置する反応プレート第1層に形成された溝の開口を光源プレートで封止することによって反応流体流路を形成するものに限定されない。すなわち、流路ユニットの積層方向における積層体の一端に位置する反応プレート第1層と光源プレートとの間に、その反応プレート第1層に形成された溝の開口を封止するための透光性の仕切りプレートを介在させてもよい。
また、積層体と光源プレートとは、接着や溶着等によって互いに接合されているものに限定されず、それらの接触面が互いに接触した状態でクランプ部材やねじ止め等によって両者が互いに固定されていてもよい。
また、図1のリアクタ本体2(積層体16)に取り付けられる上記各ヘッダ4,6,8,10,12に関する構造、配置及び個数等は、あくまで一例であり、図示及び上記したものに限定されない。この各ヘッダの構造、配置及び個数等に関しては、熱交換器の分野において従来用いられている既知の様々なヘッダの構造、配置及び個数等を適用可能である。
また、反応プレート第3層22cにおいて各溝44の両側に位置する部分同士を繋ぐ連結部を各溝44を横断するように設けてもよい。この連結部は、各溝44に沿う方向において所定数の箇所に部分的に設ければよい。また、この連結部は、反応プレート第1層22aにおいて各溝40の両側に位置する部分同士を繋ぐ連結部41と同様、反応プレート第3層22cの厚みよりも小さい厚みを有するように形成する。
16 積層体
16a 第1積層体
16b 第2積層体
18 光源プレート
20 反応流体流路
22 反応プレート
22a 第1反応プレート
22b 第2反応プレート
24 温調流路
26 温調プレート
26a 第1温調プレート
26b 第2温調プレート
38 反応流路
38a 導入部

Claims (8)

  1. 反応流体を流通させながらその反応流体に光化学反応を生じさせるマイクロチャネルリアクタであって、
    反応流体を流通させるマイクロチャネルである反応流体流路が形成され、その反応流体流路の内面の少なくとも一部に光触媒が担持された反応プレートと、前記反応プレートに積層され、反応流体の温度を制御するための温調流体を流通させる温調流路が形成された温調プレートとを含む積層体と、
    反応流体に光化学反応を生じさせるための光を出射し、その出射する光が前記反応流体流路に入射するように前記積層体に対して積層された光源プレートとを備えた、マイクロチャネルリアクタ。
  2. 前記反応プレートは、金属材料によって形成され、
    前記反応流体流路は、前記光触媒が内面に担持されていて反応流体に光化学反応を生じさせる部分である反応流路を有し、この反応流路は、前記反応プレートのうち前記光源プレート側を向く面に形成されて前記光源プレートから出射された光を当該反応流路内に導入する導入部を有する、請求項1に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  3. 前記積層体は、前記光源プレートの厚み方向における両面上にそれぞれ設けられ、
    前記光源プレートの一方の面上に設けられた積層体は、前記光源プレートの一方の面に対して積層された前記反応プレートである第1反応プレートと、その第1反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層された前記温調プレートである第1温調プレートとを含み、
    前記光源プレートの前記一方の面と反対側の面上に設けられた積層体は、前記光源プレートの前記反対側の面に対して積層された前記反応プレートである第2反応プレートと、その第2反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層された前記温調プレートである第2温調プレートとを含み、
    前記光源プレートは、その両面から光を出射するように構成されている、請求項2に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  4. 前記温調プレートは、金属材料によって形成されていて、前記反応プレートのうち前記光源プレートと反対側を向く面に対して積層されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  5. 前記積層体は、前記反応プレートとその反応プレートに積層された前記温調プレートとを有する複数の流路ユニットが積層されることによって形成され、
    前記各流路ユニットの前記反応プレート及び前記温調プレートは、透光性を有する材料によって形成されている、請求項1に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  6. 前記光源プレートは、前記複数の流路ユニットの積層方向における前記積層体の一方の端面上に積層されている、請求項5に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  7. 前記積層体は、前記光源プレートの厚み方向における両面上にそれぞれ設けられ、
    前記光源プレートは、その両面から光を出射するように構成されている、請求項5に記載のマイクロチャネルリアクタ。
  8. 前記反応プレートと前記温調プレートの積層方向における前記積層体の一方の端部には、前記反応プレートが配置され、その反応プレートに形成された前記反応流体流路は、前記積層方向における当該反応プレートの外端面に形成された溝の開口が、その外端面上に積層された前記光源プレートにより封止されることによって形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロチャネルリアクタ。
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