WO2017022223A1

WO2017022223A1 - 冷蔵庫

Info

Publication number: WO2017022223A1
Application number: PCT/JP2016/003500
Authority: WO
Inventors: 森　貴代志; 健一柿田; 上迫　豊志
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2015-07-31
Filing date: 2016-07-28
Publication date: 2017-02-09
Also published as: JP2022008513A; JP2020112348A; JP6964227B2; CN107850372A; JP6706734B2; JP7289044B2; JP2017032264A

Abstract

冷蔵庫は、筐体と、筐体内に備えられた野菜室（１６）と、野菜室（１６）を開閉自在に閉塞する扉（１６ａ）と、扉（１６ａ）を自動開閉させる扉開閉部（２３）とを備える。扉開閉部（２３）は、扉（１６ａ）の開閉動作に係る負荷量に関らず、扉（１６ａ）の開閉量を一定にするように扉（１６ａ）の動作を制御するよう構成されている。

Description

冷蔵庫

　本発明は、収納室の扉を自動で開閉する手段を備えた冷蔵庫に関する。

　近年では、食生活の変化および郊外型の大型スーパーマーケットの増加により、日々買い物をする習慣が薄れて来ており、例えば１週間分の食料品を纏め買いして冷蔵庫に保存しておくような傾向が強くなっている。また、比較的大型の冷蔵庫を使用する高齢者が増加しており、そのような使用者にとって、纏め買いした食品および扉の総重量が重く、収納室の開閉が負担に感じられるようになってきている。

　一方、冷蔵庫の閉じ忘れが意図せず発生することがあり、扉が少しでも開いた状態で放置されると、暖気の侵入による保存性能の低下、冷却量の増加による消費電力の増大、および外湿気の侵入による収納室内の結露および着霜が発生し、冷蔵庫の機能を損ねることになる。

　このような問題のうち、収納室の開扉の負担を軽減する冷蔵庫として、ソレノイドを使用したアクチュエータにより、自動開扉するものがある（特許文献１参照）。

　図８は、特許文献１に記載された従来の冷蔵庫の引出し冷凍室周辺の側方から見た断面図である。

　図８に示す冷蔵庫１００は、扉開放ユニット１１５を有し、扉開放ユニット１１５は、冷凍室扉１０９表面のハンドル部１０９ａに形成された磁気レバーからなるタッチスイッチ１１６へのタッチ操作によって、ホールＩＣおよびマイコン制御により駆動される。扉開放ユニット１１５は、ヨーク１１７内に設けられており、ボビンの外周にコイルが巻装されたものが樹脂でモールドされたソレノイド１１８と、ソレノイド１１８への通電によって吸引され、パイプの先端に固着された押し棒１２３とから構成されている。扉開放ユニット１１５は、ゴムブッシュなどの緩衝材を介して、仕切壁部１１３の前後に亘って取り付けられたソレノイドケースにねじ固定されている。

　ソレノイド１１８への通電時には、プランジャ１２２の前方への水平移動によって押し棒１２３の先端部が前方へ延出し、ノック部材１２７の後部に立設された係合片１２７ａを押圧し、ノック部材１２７の先端部が冷凍室扉９の裏面側に向かって突出するよう構成されている。

　このような構成により、ソレノイド１１８への通電により、プランジャ１２２の先端に設けられた押し棒が前方に突き出ることで開扉動作が行われる。

　しかしながら、上述した構成は、ソレノイドを駆動源したプランジャが突き出され、その勢いで扉が開かれる構成となっており、その後の開扉は殆ど惰性で動作するため、プランジャが突き出されるときのプランジャ出力、冷凍室内の食品の重さ、あるいは冷蔵庫本体の傾き等の影響で開閉量および開扉速度が不安定となる。このため、例えば、冷蔵庫の手前方向への傾斜、および、収納室内の食品重量が軽量である等の条件下などでは、扉が開き過ぎて使用者に衝突することがある。さらに、開扉速度が速すぎて使用者に不安を感じさせることがある。

　また、例えば、冷蔵庫が奥方向へ傾斜して設置されている場合、および、収納室内の食品重量が軽量である等の条件下では、扉の開きが悪く十分な開閉量が得られず、使用者に不便を感じさせることがある。さらに、開扉速度が遅すぎて使用者をしばらく待たせてしまうことがある。

　さらには、特許文献に示されるような構成では自動閉扉することができず、使用者の扉の閉め忘れに対応することができないなどの問題がある。

日本国特許第４４４４３３０号公報

　本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであり、扉および収納室に加わる負荷に関わらず、開閉量を安定させ、かつ開閉速度を任意に加減速できる自動扉開閉機能を備えた冷蔵庫を提供する。

　具体的には、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、筐体と、筐体内に備えられた収納室と、収納室を開閉自在に閉塞する扉と、扉を自動開閉させる扉開閉部とを備える。扉開閉部は、扉の自動開閉量（扉が閉じた状態から開いた状態までの距離）が一定となるように扉の開閉の動作を制御するよう構成されている。

　このような構成により、冷蔵庫の手前方向へ傾斜がある場合、あるいは収納室内の食品重量が軽量であり、開閉量が大きくなり易い条件下でも、適度な寸法で扉が開かれるため、例えば使用者に扉が衝突するようなことを防ぐことができ、安全で使い勝手のよい、高品位な自動扉開閉が可能となる。また、冷蔵庫が奥方向へ傾斜している場合、あるいは収納室内の食品重量が重く、開閉量が狭くなり易い条件下でも、収納室内を見渡しやすい適度な開閉量で開扉することができる。

　また、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、扉開閉部が扉の開閉速度を任意に加減速できるよう構成されていてもよい。

　このような構成により、冷蔵庫の手前方向への傾斜がある場合、あるいは収納室内の食品重量が軽量であり、開扉速度が速くなり易い条件下でも適度な速度で開かれるため、例えば勢いよく開扉して使用者に不安を与えるようなことを防ぐことができ、安全で使い勝手のよい、高品位な自動扉開閉が可能となる。また、冷蔵庫の奥方向への傾斜がある場合、あるいは収納室内の食品重量が重く、開扉速度が遅くなり易い条件下でも、適度な速度で開扉されるため、開扉時に使用者を長時間待たせることを防ぐことができる。

　また、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、扉開閉部は、扉の可動範囲のうち所定の範囲で、扉と係合するように、または、扉に設けられた、扉と連結して動作する部位と係合するように、構成されていてもよい。

　このような構成により、開扉時には、扉開閉部と扉との係合が外れる直前で減速できるので、惰性で扉が開き過ぎないように調節できる。また、閉扉時には、扉が完全に閉じる直前で減速することで、使用者が扉と筐体との隙間に指を挟んだ場合の負傷などを防止することができる。

　また、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、扉開閉部は、モータまたはソレノイドを駆動源とした電動アクチュエータで構成されていてもよい。

　このような構成により、入力電圧の調節等で開閉量および開扉速度の調節が容易となる。

　また、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、扉が閉じられる方向に扉を引き込む密閉維持部を備え、扉が閉じているときは、扉開閉部と扉との係合、または、扉開閉部と、扉に設けられた、扉と連結して動作する部位との係合が外れ、密閉維持機構によって収納室の密閉状態が維持されるよう構成されていてもよい。

　このような構成により、扉が閉じた状態では、扉開閉部と扉または扉に設けられた、扉と連結して動作する部位との係合が外れているため、扉開閉部が使用者の負荷とならず手動で扉開閉が可能となる。さらに、密閉維持部で手動開扉を妨げない程度の強さで扉を引込み、密閉状態を保持することができる。

　また、本発明の実施の形態の一例による冷蔵庫は、扉と連結して設けられた収納ケースが、収納室に設けられたレール上をスライド動作することにより扉が開閉されるよう構成され、扉開閉部は、レールに沿って設けられた可動部材と係合し扉を動作させるよう構成されていてもよい。

　このような構成により、食品を収納することができないレール周辺の空間（無効空間）に扉開閉部を配置することができるため、使用者にとっての実質の収納容積を減少させずに扉の自動開閉を実現できる。

図１は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の正面図である。図２は、図１の２－２断面図であり、本発明の実施の形態の冷蔵庫の扉が閉じられた状態の野菜室の断面を示す図である。図３は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の自動開閉中の野菜室の断面図である。図４は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の扉がほぼ開かれた状態の野菜室の断面図である。図５は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の手動開扉中の野菜室の断面図である。図６Ａは、本発明の実施の形態の冷蔵庫の自動開扉動作中の開閉量と開扉速度との関係を示す図である。図６Ｂは、従来の突き出し式の開扉機構の自動開扉動作中の開閉量と開扉速度との関係を示す図である。図７は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の自動閉扉動作中の開閉量と開扉速度の関係を示す図である。図８は、従来の引出し冷凍室周辺の側面断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。

　（実施の形態）
　以下、本発明の実施の形態を図１から図５に基づいて説明する。

　図１は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の正面図であり、図２は、図１の２－２線断面図であり、本発明の実施の形態の冷蔵庫の扉が閉じた状態の野菜室の断面を示す。図３は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の自動開閉中の野菜室の断面図である。また、図４は、本発明の実施の形態の冷蔵庫の扉がほぼ開かれた状態の野菜室の断面図であり、図５は、本発明の実施の形態における冷蔵庫の手動開扉中の野菜室の断面図である。

　図１から図５において、冷蔵庫１０は、筐体（断熱箱体）１１を有し、筐体１１は、主に鋼板が用いられた外箱と、ＡＢＳなどの樹脂で成形された内箱と、外箱と内箱との間に注入された断熱材とで構成されている。

　筐体１１は、複数の収納室に断熱区画されており、最上部に冷蔵室１２が設けられ、冷蔵室１２の下部に製氷室１３および切換室１４が横並びに設けられている。また、製氷室１３および切換室１４の下部に冷凍室１５が配置され、最下部に野菜室１６が配置されている。筐体１１の各収納室の前面開口部には、外気と庫内とを区画するための断熱扉がそれぞれ設けられている。冷蔵室１２の断熱扉である冷蔵室扉１２ａの中央部付近には、操作部１７が設けられている。操作部１７により、各収納室の庫内温度設定、並びに、製氷および急速冷却などの設定が行われる。

　冷蔵室１２内の最上部の後方領域に形成された機械室内には、圧縮機および水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルの構成部品が収納されている。

　冷凍室１５の背面には、冷気を生成する冷却室が設けられている。冷却室内には、冷却器および冷却ファンが配置されている。冷却ファンは、冷却器で冷却された冷気を冷蔵室１２、切換室１４、製氷室１３、野菜室１６および冷凍室１５に送風する。冷気が通る風路内には、冷却ファンからの風量を調節する風量調節ダンパが設置されている。また、冷却器およびその周辺に付着する霜および氷を除霜するために、ラジアントヒータ、ドレンパンおよびドレンチューブ蒸発皿等が配設されている。

　冷蔵室１２は、冷蔵保存のために凍らない温度を下限に、通常１℃～５℃に設定され、最下部の野菜室１６は、冷蔵室１２と同等もしくは若干高い温度帯の２℃～７℃に設定されている。また、冷凍室１５は、冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常－２２℃～－１５℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば－３０℃～－２５℃の低温で設定されることもある。

　製氷室１３では、冷蔵室１２内の貯水タンクから送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機で氷がつくられ、氷は室内下部に配置された貯氷容器に貯蔵される。

　切換室１４は、１℃～５℃で設定される冷蔵温度帯、２℃～７℃で設定される野菜保存の温度帯、および、通常－２２℃～－１５℃で設定される冷凍温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室１４は、製氷室１３に並設された独立扉を備えた収納室であり、独立扉には、例えば引き出し式の扉が用いられる。

　なお、本実施の形態では、切換室１４は、冷蔵、野菜保存および冷凍の温度帯を含む温度帯に設定可能な収納室としているが、冷蔵は冷蔵室１２、野菜保存は野菜室１６、および、冷凍は冷凍室１５にそれぞれ委ねて、冷蔵と冷凍との中間の温度帯のみに切り換えられる収納室として構成されていても構わない。また、切換室１４は、特定の温度帯、例えば近年冷凍食品の需要が多くなってきたことに伴い、冷凍温度帯に固定された収納室として構成されていても構わない。

　野菜室の扉１６ａには、フレーム１９によって支持された収納ケース２０が取付けられている。引出しレール２１は、野菜室１６の内壁に固定されており、フレーム１９は引出しレール２１上をスライドするよう構成されている。また、フレーム１９と扉１６ａとは一体構造となっているため、フレーム１９と収納ケース２０とは、扉１６ａの開閉に伴って動作する。

　また、野菜室１６の内壁には、扉開閉部であるアクチュエータ２３が引出しレール２１の近傍に設けられている。アクチュエータ２３は、モータおよびギア機構などで構成され、モータの動力をリンク２４に伝達する。可動部材であるリンク２４は、引出しレール２１近傍に設けられ、凹型の形状を有しており、ガイド２５に沿って動作する。扉１６ａには、扉１６ａと連結して動作する部位であるフレーム１９が設けられている。フレーム１９には、突起部２６が設けられており、リンク２４の凹部に突起部２６が入り込んで係合すると、リンク２４の動作に伴ってフレーム１９が動作する。上述したように、フレーム１９および扉１６ａ、並びに収納ケース２０は連結されており連動して動作するため、アクチュエータ２３により扉１６ａを自動開閉することが可能となる。

　扉１６ａは、扉１６ａおよびその他スイッチ系操作部へのタッチ動作、あるいは光学系センサによるジェスチャ、あるいは音声認識等をトリガとして自動開扉動作が実行されるよう構成されている。

　また、ガイド２５は、単純な直線形状ではなく、図２に示すように、扉１６ａが閉じた状態ではリンク２４と突起部２６との係合が外れるように、端部がやや下方向に角度を有するように設けられている。これは、リンク２４と突起部２６とが常時係合されていた場合、使用者が自動ではなく手動で扉１６ａを開扉するときに、アクチュエータ２３内のギア機構またはモータが負荷となり、開扉に通常よりも強い力が必要となってしまうため、扉１６ａが開扉されるときの負荷を緩和させるためである。

　扉１６ａの開扉動作が開始された後は、図３に示すように、リンク２４と突起部２６とは係合区間（所定の範囲）Ｘｊにおいて係合し、リンク２４の動作に伴って扉１６ａが開かれていく。扉１６ａが一定量（一定距離）開いた後には、図４に示すように、ガイド２５と突起部２６との係合が外れ、扉１６ａは惰性でさらに少し開かれていく。

　閉扉の場合は、上述の自動開扉動作の逆動作が行われ、突起部２６がリンク２４と係合できる位置まで使用者が扉１６ａを閉じたときに自動閉扉が開始される。すなわち、図３に示すように、リンク２４と突起部２６が係合し、扉１６ａが閉じられる方向へと動作させる。扉１６ａが閉じられた後は、図２に示すように、リンク２４と突起部２６との係合が外れ、扉１６ａは、自動開扉および手動開扉のいずれも可能な状態で待機する。

　扉１６ａには、扉１６ａが閉じた状態における野菜室１６の密閉性を高めるため、バネまたはレールの傾斜等を利用した密閉保持機構２７が設けられている。密閉保持機構２７は、開扉を妨げない程度の力でフレーム１９を閉じ方向に引き込む。なお、密閉保持機構２７は、アクチュエータ２３内に内蔵されていてもよい。

　扉１６ａが閉じた状態から、使用者が扉１６ａを手動開閉するときは、図５に示すように、リンク２４と突起部２６とは係合せず、使用者への負荷なく扉１６ａを開閉できる。このとき、アクチュエータ２３は動作せず、リンク２４は初期位置にある。

　なお、アクチュエータ２３の動力源は、モータの代わりとしてソレノイドを使用するなど、他の駆動源でもよい。

　以上のように構成された冷蔵庫１０について、以下、その動作を図６Ａ、図６Ｂおよび図７を用いて説明する。

　図６Ａは、本実施の形態における冷蔵庫１０の自動開扉動作中の開閉量と開扉速度との関係を示す図である。

　アクチュエータ２３が動作すると、図６Ａに示す原点位置にてリンク２４と突起部２６とが係合し、野菜室１６内に殆ど食品が入っていないような軽負荷時は、開扉速度Ｖ１が得られ、野菜室１６内に例えば２０ｋｇ程度の食品が入っているような重負荷時は、開扉速度Ｖ２が得られる。扉開閉時の負荷の大小は、食品の重量だけでなく、他の要因によっても変化する。例えば、冷蔵庫１０の筐体１１が前後の傾きを有し、筐体１１が前方向に傾いているときは扉１６ａが開かれ易く負荷が軽くなり、奥方向に傾いている時は扉１６ａが開かれにくく負荷が重くなる。

　ただし、本実施の形態のアクチュエータ２３は、起動時のモータ電流、および、モータへの通電からモータが少し動作するまでの時間から、負荷を推定するため、開扉速度Ｖ１と開扉速度Ｖ２とはほぼ同速度となっている。また、このような負荷推定をせずとも、引出しレール２１は、ベアリング等が使用された低摩擦構成となっているため、開扉速度Ｖ１と開扉速度Ｖ２との差は少ない。

　扉１６ａは、係合区間Ｘｊを移動する間は、アクチュエータ２３に係合したまま動作するため、開扉速度Ｖ１または開扉速度Ｖ２といった一定の速度で開閉量（扉が閉じられた状態から開かれた状態までの距離。以下同じ。）が開閉量Ｘ１まで開扉されることができる。

　開閉量がＸ１に達した後、リンク２４と突起部２６との係合が外れ、扉１６ａには初速Ｖ１またはＶ２が与えられるため、惰性で開閉量Ｘ２または開閉量Ｘ３に達するまで開かれる。上述したように、引出しレール２１は、ベアリング等を使用した低摩擦構成となっているため、開閉量Ｘ２と開閉量Ｘ３の差は少ない。

　扉１６ａの開閉量は、いかなる負荷条件においても、冷蔵庫１０正面に立つ使用者に衝突しない範囲でなるべく広く開かれることが望ましい。具体的には、身長１ｍの子供が冷蔵庫１０の扉１６ａを開閉するとき、扉１６ａから子供の体までの距離は３００ｍｍから３５０ｍｍ前後となるため、開閉量Ｘ２または開閉量Ｘ３はこの距離に合わせて設定されるのが好ましい。

　本実施の形態において、扉１６ａの可動範囲とは、図６Ａに示す原点位置から開閉量Ｘ２までの範囲をいう。

　また、上述した負荷推定に応じて、開閉量Ｘ１直前で開扉の速度を落とすなど、惰性で開扉する区間（範囲）を短縮することも、本実施の形態に示すような冷蔵庫１０の構成ならば可能となる。当然、開閉量Ｘ１直前で開扉の速度を上げ、惰性で開扉する区間を延ばすこともできる。

　ここで、特許文献１に示したような一般的な突き出し式の自動開扉機構と、本実施の形態の冷蔵庫１０の引出し式の自動開扉機構との比較を説明する。

　図６Ｂは、従来の冷蔵庫の突き出し式の開扉機構の自動開扉動作中の開閉量と開扉速度との関係を示す図である。

　図６Ｂに示すように、従来の一般的な突き出し式の開扉機構では、開扉装置が動作すると、軽負荷時は開扉速度Ｖ３が得られ、重負荷時は開扉速度Ｖ４が得られる。開扉速度Ｖ３と開扉速度Ｖ４とには大きな差異が発生している。なお、負荷検知機能がある場合は、この差を少なくできる可能性がある。

　その後、当接区間（範囲）Ｘｐにて開扉機構と扉とが短時間当接して開扉力が与えられ、扉が突き出される。扉開閉量が開閉量Ｘ４に達した時点で扉開閉機構により扉が突き放たれ、このときの初速Ｖ３または初速Ｖ４による惰性で扉が開かれる。このとき、軽負荷であれば扉は広く開かれ、開閉量Ｘ５に達する。また、重負荷の時は扉が狭めに開かれ、開閉量Ｘ６で停止する。

　このように開閉量Ｘ５と開閉量Ｘ６とで大きな差があることは、一般的な開扉機構においては、扉が初速Ｖ３または初速Ｖ４を与えられて突き出されるため、開閉量Ｘ４から開閉量Ｘ５、または、開閉量Ｘ４から開閉量Ｘ６の区間（範囲）の惰性で開く寸法が、初速Ｖ３または初速Ｖ４に支配され、制御可能な開扉機構と扉とが接する当接区間Ｘｐが１００ｍｍ前後と短めであることが原因である。即ち、惰性で開かれる開閉量は、食品の重量および冷蔵庫筐体の傾きの影響を受けやすく、かつ直接的な制御が不可能なため、大きなバラツキが出る。

　上述したように、適度な開閉量（扉１６ａが閉じられた状態から開かれた状態までの距離）は３００ｍｍから３５０ｍｍ前後であるが、一般的な構成では、軽負荷のときは４００ｍｍ程度まで勢いよく開扉し、冷蔵庫の使用者が子供であれば扉により使用者が押し倒されてしまう危険性がある。また、重負荷のときは開閉量が不足し、かつ開扉速度が遅くなり、快適に使用できない懸念がある。

　一方、本実施の形態の冷蔵庫１０は、直接的な扉開閉制御が可能な係合区間Ｘｊ（リンク２４と突起部２６との係合区間）が比較的長く、上述した適度な開閉量３００ｍｍから３５０ｍｍに対して４０％～５０％以上を占めるため、惰性で開扉する区間が短くなり、開閉量および開閉速度がバラつかず自在に調節し易い。

　さらに、本実施の形態の冷蔵庫１０は、以下に説明するような自動閉扉動作も可能である。

　図７は、本実施の形態の冷蔵庫の自動閉扉動作中の開閉量と開扉速度との関係を示す図である。

　図７に示すように、例えば、扉１６ａが開かれた状態で、開閉量はＸ１１であるとする。使用者が扉１６ａを閉じるため手動で少し閉扉操作し、開閉量がＸ１２となった時点でリンク２４と突起部２６とが係合し、アクチュエータ２３は自動閉扉動作を開始する。これ以降は使用者の操作は必要なく、扉１６ａは自動的に閉扉される。アクチュエータ２３による閉扉区間は、開閉量Ｘ１２から原点までの係合区間Ｘｊであり、比較的長い寸法を自動閉扉することが可能である。

　自動閉扉が開始された後、扉１６ａはリンク２４により開閉速度Ｖ１１の速度で閉扉されていく。次に、開閉量がＸ１３になるまで閉じられたとき、リンク２４による閉扉速度はＶ１２まで減速され、ゆっくりと閉扉が完遂される。このように、扉１６ａが減速して閉扉されるように構成されているのは、扉１６ａと筐体１１との間に使用者が指を挟む等の危険性を回避すると同時に、静かで上品な印象を与えるためである。なお、減速後に、実際に使用者が指を挟んでしまった場合は、モータ電流およびリンク２４の位置変化の遅さからそれを検知し、閉扉を停止させることも可能である。

　なお、アクチュエータ２３は、リンク２４の位置を検出することができ、扉１６ａの開閉量および開閉速度の調節をさらに容易にしている。

　さらに、係合区間Ｘｊではアクチュエータ２３の速度を自在に調節できるため、適切な開扉状態で、扉１６ａの加速および減速が可能である。

　また、本実施の形態では、野菜室１６の扉１６ａの開閉について例示して説明したが、冷凍室１５をはじめ他の収納室への適用も可能である。また、ガイド２５の形状等を工夫することで、冷蔵室１２のような観音扉への適用も可能である。

　なお、図６Ａ、図６Ｂおよび図７の開閉扉量、および、開閉扉速度の関係を示す図は簡易的に示したものであるため、実際に発生する多少の速度変動等は省略している。

　以上説明したように、本実施の形態によれば、扉を自動で開閉することができるだけでなく、収納室に加わる負荷等に関わらず扉の開閉量を安定させ、且つ扉の開閉速度を任意に加減速でき、上品で使い易い冷蔵庫を提供できる。

　本発明は、扉および収納室に加わる負荷に関わらず、開閉量を安定させ、且つ開閉速度を任意に加減速できる自動扉開閉機能を備えた冷蔵庫を提供する。よって、家庭用および業務用の冷蔵庫をはじめ、温調が不要な収納庫等、扉を有する収納庫にも幅広く利用することができる。

　１０　　冷蔵庫
　１１　　筐体
　１２　　冷蔵室
　１２ａ　　冷蔵室扉（断熱扉）
　１３　　製氷室
　１４　　切換室
　１５　　冷凍室
　１６　　野菜室
　１６ａ　　扉
　１７　　操作部
　１９　　フレーム
　２０　　収納ケース
　２１　　引出しレール
　２３　　アクチュエータ（扉開閉部）
　２４　　リンク（可動部材）
　２５　　ガイド
　２６　　突起部
　２７　　密閉保持機構

Claims

筐体と、前記筐体内に備えられた収納室と、前記収納室を開閉自在に閉塞する扉と、前記扉を自動開閉させる扉開閉部とを備え、前記扉開閉部は、前記扉の自動開閉量が一定になるように前記扉の前記開閉の動作を制御するよう構成された冷蔵庫。
前記扉開閉部は、前記扉の開閉速度を任意に加減速できるよう構成された請求項１に記載の冷蔵庫。
前記扉開閉部は、前記扉の可動範囲のうち所定の範囲で前記扉または前記扉に設けられた前記扉と連結して動作する部位と係合するよう構成された請求項１または２に記載の冷蔵庫。
前記扉開閉部は、モータまたはソレノイドを駆動源とした電動アクチュエータで構成されている請求項１から３のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
前記扉が閉じられる方向に前記扉を引き込む密閉維持部を備え、
前記扉が閉じているときは、
前記扉開閉部と、前記扉または前記部位との係合が外れ、前記密閉維持機構によって前記扉と前記収納室との密閉状態が維持されるよう構成された請求項３または４のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
前記扉と連結して設けられた収納ケースが、前記収納室に設けられたレール上をスライド動作することにより前記扉が開閉されるよう構成され、前記扉開閉部は、前記レールに沿って設けられた可動部材が前記扉または前記部位と係合し前記扉を動作させるよう構成された請求項３から５のいずれか一項に記載の冷蔵庫。