JP6145697B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、ドアを任意位置で固定できる冷蔵庫に関するものである。
一般に冷蔵庫は冷蔵室のドアが回転自在に軸支してあり、ドアを開けて食品を出し入れする時に開いたドアが、設置条件やドア自体或いはドア内側のポケットに収納した食品の重量によって閉方向に回動することがある。そのため、この冷蔵室内の食品の出し入れは閉まろうとするドアを片手で押さえながら行う必要があり、使い勝手が悪いという課題を有していた。
このような課題を解決するものとして、ドアを開放位置で停止させるようにした冷蔵庫が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
図11は特許文献1に記載された従来の冷蔵庫のドア開状態を示す斜視図、図12は同従来の冷蔵庫のドア軸支部分を示す部分欠裁斜視図である。
図11、図12において、ドア101の回転軸102にはドラム103とこのドラム103を制動するブレーキシュー104とからなる制動装置105が設けれ、この制動装置105は押しボタンノブ106を介してロッド部材107をスライドさせると、前記ブレーキシュー104が押し広げられて、ドラム103、すなわちドア101の回転軸102の制動が解除されるようになっている。
よって、この冷蔵庫では押しボタンノブ106をスプリング108に抗して押しながらドア101を開き、ドア101が開いたところで押しボタンノブ106の押し操作を解除すると、スプリング108の附勢力によってロッド部材107が元の状態に復動し、ブレーキシュー104の押し広げがなくなってブレーキシュー104がドラム103に圧接し、ドラム103、すなわちドア101の回転軸102の回転を停止させる。これによって、ドア101はその位置で停止保持され、食品等の出し入れが容易に行えるようになる、というものである。
実開平2−114893号公報
しかしながら、前記従来の特許文献1に記載の構成では、ドア101を開くときはもちろん、閉じるときにも、ドア101を回転させる間中は常に押しボタンノブ106を押してドア101を動作させる必要があり、ドア101の開・閉操作が煩雑で使い勝手が悪いものになってしまう課題があった。
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなしたもので、ドア開閉の簡便さを損なうことなく開放したドアを停止可能として、使い勝手の良い冷蔵庫を提供することを目的としたものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の前面開口部を閉塞する回転式のドアと、前記ドアを開閉するハンドルと、前記ドアを開閉する際の閉方向の回転動作を規制する規制モードを有するドア回転動作制御部と、前記ドアに設けた操作部とを備え、前記ドア回転動作制御部は、前記操作部の動作に連係して、前記規制モードを解除する構成としてある。
これによって、ドア回転動作制御部による回転規制をドア閉方向に設定することで、ドアはこれまで通り特別な操作をすることなく開放することができるとともに、開放した扉が扉自体の自重等によって閉方向に動作しようとしてもそのドアの回転は規制されて開放位置に停止させることができる。しかも上記回転規制は操作部の操作によって解除できるので、ドアの閉方向の回転も軽い力で行うことができるうえに、上記回転規制解除は操作部を一時的に操作するだけでよいので、ドアを回転させる間中操作し続けなければならないというような煩雑さもなく、ドア開・閉を簡便に行うことができる。
本発明の冷蔵庫は、ドア開・閉の簡便さを維持しつつ、ドアを開放位置に停止させて、食品収納、取出し時の利便性を向上させ、使い勝手の良い冷蔵庫とすることができる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図 同実施の形態1における冷蔵庫の側面断面図 同実施の形態1における冷蔵庫のドアを示す分解斜視図 同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部を示す分解斜視図 同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部のワンウェイクラッチを示す平面図 同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部のトルクリミッタを示し、(a)は平面図、(b)は側面図 同実施の形態1におけるドア開閉状態を示す平面図 同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部の動作を示し、(a)はAモード時の説明図、(b)はBモード時の説明図 同実施の形態1における冷蔵庫の操作部設置位置を示す側面図 同実施の形態2における冷蔵庫の操作部設置位置を示す斜視図 従来の冷蔵庫のドア開状態を示す斜視図 従来の冷蔵庫のドア軸支部分を示す部分欠裁斜視図
第1の発明は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の前面開口部を閉塞する回転式のドアと、前記ドアを開閉するハンドルと、前記ドアを開閉する際の閉方向の回転動作を規制する規制モードを有するドア回転動作制御部と、前記ドアに設けた操作部とを備え、前記ドア回転動作制御部は、前記操作部の動作に連係して、前記規制モードを解除する構成としてある。
これにより、ドア回転動作制御部による回転規制をドア閉方向に設定することで、ドアはこれまで通り特別な操作をすることなく開放することができるとともに、開放した扉が扉自体の自重等によって閉方向に動作しようとしてもそのドアの回転は規制されて開放位置に停止させることができる。しかも上記回転規制は操作部の操作によって解除できるので、ドアの閉方向の回転も軽い力で行うことができるうえに、上記回転規制解除は操作部を一時的に操作するだけでよいので、ドアを回転させる間中操作し続けなければならないというような煩雑さもなく、ドア開・閉を簡便に行うことができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記操作部と前記ドア回転動作制御部とは機械的
手段で連係したもので、ドア回転動作制御部と操作部は離して設けることができるから、操作部をドアの最も操作しやすい位置に設置することができ、使い勝手を向上させることができる。
第3の発明は、第1の発明において、前記操作部と前記ドア回転動作制御部とは電気的手段で連係したもので、前記第2の発明と同様操作部をドアの最も操作しやすい位置に設置することができ、使い勝手を向上させることができるとともに、電気的手段による連係とすることによって例えば操作部をドア前面に設けたタッチスイッチ等で構成することができ、操作部の操作性も向上させて一段と使い勝手の良いものとすることができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記操作部は前記ハンドルの近傍に備えたもので、ドア開閉時に手をかけたハンドル部分から大きく手を移動させることなく操作部の操作が可能となるので、操作部の操作性が向上する。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、前記操作部は前記ドアの側面部に備えたもので、ドア側面部は手をかけやすいところであるから、操作部の操作も容易に行えるようになり、その操作性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図、図2は同実施の形態1における冷蔵庫の側面断面図、図3は同実施の形態1における冷蔵庫のドアを示す分解斜視図、図4は同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部を示す分解斜視図、図5は同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部のワンウェイクラッチを示す平面図、図6は同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部のトルクリミッタを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、図7は同実施の形態1におけるドア開閉状態を示す平面図、図8は同実施の形態1における冷蔵庫のドア回転動作制御部の動作を示し、(a)はAモード時の説明図、(b)はBモード時の説明図、図9は同実施の形態1における冷蔵庫の操作部設置位置を示す側面図である。
図1から図7において、冷蔵庫11には、冷蔵庫本体12と、冷蔵温度帯に調整された冷蔵室13と、冷凍温度帯に調整された製氷室14と、上段冷凍室15と、下段冷凍室16と、冷蔵温度帯に調整された野菜室17が配置されている。また、各貯蔵室には前面開口部を閉塞するように、冷蔵室左ドア18と、冷蔵室右ドア19と、製氷室ドア20と、上段冷凍室ドア21と、下段冷凍室ドア22と、野菜室ドア23が設けられている。これら複数のドアの内、冷蔵室左ドア18と冷蔵室右ドア19は、端部が軸支された回転式ドアであり、他の製氷室ドア20、上段冷凍室ドア21、下段冷凍室ドア22、野菜室ドア23は手前方向に直線的に開閉できる引出し式ドアである。
冷蔵室13と製氷室14の間、また冷蔵室13と上段冷凍室15の間は、断熱性を有する第一の仕切壁24で区切られている。また同様に、下段冷凍室16と野菜室17の間も断熱性を有する第二の仕切壁25で仕切られている。さらに、製氷室14及び上段冷凍室15と下段冷凍室16は、断熱性を有する仕切体26で区切られている。この仕切体26は冷凍室の全幅に亘って設けられている。
冷蔵室13内には食品を載置する複数の冷蔵室棚27が設けられ、冷蔵室左ドア18及び冷蔵室右ドア19には複数のドア棚28が設けられている。また、製氷室14内には氷を貯蔵する貯氷ケース29が設けられ、上段冷凍室15内には第一の冷凍ケース30が設
けられている。また、下段冷凍室16内には第二の冷凍ケース31と、第三の冷凍ケース32が設けられており、第三の冷凍ケース32は第二の冷凍ケース31の上を前後方向に摺動可能な構造となっている。また、野菜室17内には第一の野菜ケース33と第二の野菜ケース34が設けられており、第二の野菜ケース34は第一の野菜ケース33の上を前後方向に摺動可能な構造となっている。
冷蔵庫本体12の背面上部には圧縮機35が配置され、同じく冷蔵庫本体12の背面には制御基板36が配置されている。また、冷蔵庫本体12の背面下部には霜取り水を受け蒸発させる蒸発皿37が配置されている。
冷蔵室13内の背面には、庫内に冷気を導く冷蔵室ダクト38が配置されている。また、冷蔵室13の下部、第一の仕切壁24の上には給水タンク39が置かれ、給水ポンプ40、給水パイプ41が連結されている。
製氷室14の上部、第一の仕切壁24の下面には製氷ユニット42が設けられている。
製氷室14、上段冷凍室15、下段冷凍室16の背面には、庫内に冷気を導く冷凍ダクト43が設けられている。冷凍ダクト43の背面には、冷凍ファン44を備えた蒸発器カバー45が蒸発器46の前方に設けられている。蒸発器46の下部には、除霜ヒータ47が配置されている。また、蒸発器カバー45の上方に冷蔵室13内への冷気を制御する風路ダンパ48が配置されている。
野菜室17内の背面には、庫内に冷気を導く野菜室ダクト49が配置されている。
冷蔵庫本体12には、天面に上部ヒンジ50が配置され、第一の仕切壁24の前面に下部ヒンジ51が配置されている。上部ヒンジ50と下部ヒンジ51は、それぞれ上部ドア回転軸52と下部ドア回転軸53を備えている。
冷蔵室右ドア19にはその上面と下面にそれぞれ上部軸受け54と下部軸受け55が設けられており、上部ドア回転軸52と下部ドア回転軸53に回転可能にそれぞれ係合されている。
そして、冷蔵室右ドア19下面の下部軸受け55と下部ドア回転軸53との間には、図4に示す如くワンウェイクラッチ57とトルクリミッタ58の組み合わせからなるドア回転動作制御部56が装着してある。
ドア回転動作制御部56は以下に述べるように構成されており、ドア開方向の動作を規制せず閉方向の動作を規制するAモード、及びドア開方向の動作および閉方向の動作ともに規制しないBモード、さらに開方向の動作および閉方向の動作ともに規制するCモードを有する。
すなわち、ワンウェイクラッチ57は、図5に示すように外輪57aと内輪57bとからなっており、外輪57aは冷蔵室右ドア19とともに回転するように下部軸受け55に装着固定されている。そして、この外輪57aは、下部ドア回転軸53側となる内輪57bに対しドア開方向となる図5中の右回転方向Xにはフリーに回転し、反対のドア閉方向となる左方向Yには固定されて内輪57bとともに回転するようになっている。
また、トルクリミッタ58は前記ワンウェイクラッチ57と下部ドア回転軸53との間に装設され、図6に示すように外輪58aと内輪58bからなっていて、外輪58aはその外周の凸状リブ58cが前記ワンウェイクラッチ57の内輪57bに設けた凹状溝57
cに嵌合してワンウェイクラッチ57の内輪57bと一体に回転するようになっている。更に、トルクリミッタ58の内輪58bは前記下部ドア回転軸53に嵌合してその係合面58dによって下部ドア回転軸53に係合し下部ドア回転軸53と一体になっている。そして、前記トルクリミッタ58の外輪58aは、下部ドア回転軸53側と一体となった内輪57bに対しドア開方向となる図6中の右回転方向X1にはフリーに回転し、反対のドア閉方向となる左方向Y1には規制されて内輪57bとともに回転し、以下に説明する操作部61の操作によって規制解除されてフリーの状態になる。
すなわち、前記ドア回転動作制御部56は、そのトルクリミッタ58のY1方向、すなわち、Aモードにおける扉開方向の規制を解除する操作部61が冷蔵室右ドア19の下面のハンドル60の横部分に設けてある。
この操作部61は冷蔵室右ドア19の下面ハンドル横部分に手前方向に回転動作可能に軸支されており、これと連係して動作するロッド部材62を備え、上記ロッド部材62が操作部61の回転動作によって前記ドア回転動作制御部56のY(Y1)方向の規制を解除するようになっている。
尚、ドアの軸支に関する構成は冷蔵室右ドア19について説明したが、冷蔵室左ドア18も同様の構成となっている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷蔵庫のユーザーが冷蔵室13に食品を出し入れする場合には、冷蔵室左ドア18、又は冷蔵室右ドア19、もしくは両方のドアを開く動作を行う。この動作は冷蔵室右ドア19のドア下部に設けたハンドル60に手をかけて何ら特別な操作をすることなく普通の冷蔵庫と同様に行われる。
すなわち、通常、冷蔵室右ドア19は、図8(a)に示すように開方向の動作を規制せず閉方向の動作を規制するAモードとなっていて、特許文献1記載のような特別な操作をすることなく冷蔵室右ドア19を開くことができる。
冷蔵室左ドア18や冷蔵室右ドア19は、食品の出し入れに十分な角度まで開かれ、開閉動作自体も従来の冷蔵庫と同様に行うことができる。尚、ドア開放における最大角度は、例えば100°から140°程度に設定されていることが多い(図7の角度a)。
しかしながら、冷蔵庫が設置される床面の状態や、素材、冷蔵庫自体の据付角度は様々であり、必ずしも水平に設置されているとは限らない。さらには、ドア棚28への食品収納量はユーザー宅によって様々である。したがって、冷蔵室右ドア19を開けたとしても、手を離すと自閉してしまう場合もある。特にドア開放側に壁などの障害物が存在する場合などはドア開角度が90°未満の場合もあり、ドアが自閉してしまう現象が避けられない場合がある。
手を離すと冷蔵室ドアが自閉するような設置環境であれば、ユーザーは多くの場合、片手で冷蔵室ドアを押さえながらもう一方の手で食品を冷蔵室2内に収納することになる(例えば図7の角度b、c)。
冷蔵室2において、冷蔵室棚27の最上段や2段目などの比較的上部に食品を載置する場合や、ユーザーの身長が低い場合などは食品収納に困難を伴う場合もある。さらに鍋等の比較的重い物の場合は両手を使って収納する必要があり、冷蔵室右ドア19を片手で固定すること自体が困難な場合もある。また、さらに幅広の収納物を収納する場合などは、
冷蔵室左ドア18、冷蔵室右ドア19の両方を同時に開放しておく必要があり、片手で固定することは困難を伴う場合がある。
しかしながら、この実施の形態の冷蔵庫では、上記のような状態での食品収納に関する不便を解消することができる。
すなわち、開放された冷蔵室右ドア19の閉方向への回転は同ドアと一体になったワンウェイクラッチ57がY方向に回転しようとすることになるのであるが、このY方向の回転は内輪57bとともに回転することになるトルクリミッタ58のY1となって規制されているためその位置で停止保持される。よって、ユーザーは冷蔵室右ドア19を手で固定する必要がなくなり、食品等の出し入れが容易に行える。
また、トルクリミッタ58は冷蔵室右ドア19を開放した任意の位置でY1方向の回転を規制するので、冷蔵室右ドア19の位置を微調整したい場合でも特別に何らかの操作を行うことなく、冷蔵室右ドア19を更に回転方向へ動かすだけでドアの開放停止位置を容易に変更できる。よって食品出し入れの実使用に対する要求を満たすことができる。すなわち、冷蔵室2内への食品の出し入れの際には、冷蔵室右ドア19をドア閉方向(図7のd方向)に微調整する必要はなく、ほとんどの場合ドア開方向(図7のe方向)への移動が要求されるので、本実施の形態の動作で十分要求を満たすことができるのである。
また、冷蔵室右ドア19を閉じるときは、図8(b)に示すように操作部61を奥側に回転させる。これにより、ロッド部材62が動作して前記トルクリミッタ58のY1方向の規制を解除し、同Y1方向の回転をフリーとする。したがって、ユーザーは一時的に操作部61を操作するだけでよく、以降は操作部61に手をかけたまま、或いは操作部61から手を離して冷蔵室右ドア19の適所を閉成方向に軽く押して回転させれば冷蔵室右ドア19を閉じることができるとともに、ドア閉成時にトルクリミッタ58に回転規制力がかかり続けてドア回転動作制御部56が損傷することを防止することもできる。
また、上記操作部61はハンドル60の近傍に設けてあるから、ハンドル60に手をかけるのと同様の手軽さで操作することができるとともに、ドア開閉時に手をかけたハンドルから大きく手を移動させることなく操作部61の操作が可能となるので、操作部61の操作性が向上する。
更に、前記操作部61とドア回転動作制御部56とはロッド部材62等のような機械的手段で連係させているので、ドア回転動作制御部56と操作部61は離して設けることができる。よって操作部61は冷蔵室右ドア19の最も操作しやすい位置、例えばドア開放端側の下面等に設置することができ、使い勝手が向上する。
また、近年、家庭用の冷蔵庫においては、外形寸法を変えずに大容量化の方向で進化しており、その断熱壁は薄型化される傾向にある。ドアにおいても同様で、特に比較的温度の高い冷蔵室のドアは、冷凍室ドア等に比べ薄型設計されることが多い。また、外観の意匠性を向上させる目的でラウンドしたドア形状にすることも多く、回転式の冷蔵室ドアでは、ドア回転軸付近が最も壁厚が薄くなっている。
このような冷蔵庫であっても本実施の形態のドア回転動作制御部56はドアの軸支部自体に組み込む構成としてあり、かつ、操作部61とドア回転動作制御部56とを連係する部材はロッド部材62としてあるから、このドア回転動作制御部56やロッド部材62が冷蔵室右ドア19からはみ出すようなことがなく、外観を損なうこともない。
尚、上記では主に冷蔵室右ドア19について動作、作用を説明したが、冷蔵室左ドア1
8についても同様の動作、作用を有する。したがって、冷蔵室左右ドアの回転規制を個別に行うことも可能となっている。例えば、ドアが大きく食品収納量の多い冷蔵室右ドア19のドア回転動作制御部56をAまたはCモードにし、比較的小さく、食品収納量の少ない冷蔵室左ドア18のドア回転動作制御部56をBモードにする場合が考えられる。また逆に、冷蔵室左ドア18をAまたはCモードにし、冷蔵室右ドア19をBモードにする場合も考えられ、特に左利きのユーザーが食品を収納する場合の利便性を向上できる。さらに、冷蔵室左ドア18と冷蔵室右ドア19を両方AまたはCの規制モードにすると、冷蔵室2の開口部を大きく開いたまま固定することができ、幅広の収納物の出し入れ、及び両手での食品収納の際に非常に利便性が高い。いずれの場合も操作部61の操作によってドア回転の規制を解除するように構成することで、以降の回転が可能となる。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵庫本体12と、前記冷蔵庫本体12の前面開口部を閉塞する回転式のドアと、前記ドアを開閉するハンドル60と、前記ドアを開閉する際の一方の回転動作を規制する規制モードを有するドア回転動作制御部56と、前記ドアに設けた操作部61とを備え、前記ドア回転動作制御部56は、前記操作部61の動作に連係して、前記規制モードを解除する構成としてあるから、ドア回転動作制御部56による回転規制をドア閉方向に設定することで、ドアはこれまで通り特別な操作をすることなく開放することができるとともに、開放したドアがドア自体の自重等によって閉方向に動作しようとしてもそのドアの回転は規制されて開放位置に停止させることができる。しかも上記回転規制は操作部61の操作によって解除できるので、ドアの閉方向の回転も軽い力で行うことができるうえに、上記回転規制解除は一時的に操作部61を操作するだけでよいので、ドアを回転させる間中操作し続けなければならないというような煩雑さもなく、ドア開・閉を簡便に行うことができる。
また前記操作部61と前記ドア回転動作制御部56とは機械的手段で連係してあるので、ドア回転動作制御部56と操作部61とを離して設けることができ、操作部61をドアの最も操作しやすい位置に設置することができて、使い勝手を向上させることができる。
また、操作部61はハンドル60の近傍に設けてあるから、ドア開閉時に手をかけたハンドル60から大きく手を移動させることなく操作部61の操作が可能となるので、操作部61の操作性が向上する。
また、ドア回転動作制御部56はドア軸支部分に組み込む形態とし、このドア回転動作制御部56と操作部61とはロッド部材62によって連係させているので、薄型のドアであっても外観を損なうことなく実装することができる。
尚、本実施の形態では、操作部61の位置をハンドル60の左隣としたが、右隣あるいはハンドル内上部に配置しても良い。
なお、本実施の形態では、冷蔵室右ドア19が閉の状態では、ドア開方向の動作を規制せず閉方向の動作を規制するAモードを通常状態として説明したが、冷蔵室右ドア19が閉の状態では、ドア開方向の動作および閉方向の動作ともに規制しないBモードとし、操作部61の操作によりAモードに移行するようにしてもよい。
(実施の形態2)
この実施の形態2は図示しないものの前記実施の形態1に示す操作部61とドア回転動作制御部56との連係を電気的手段で行うようにしたものである。
この実施の形態2によれば、前記実施の形態1と同様、操作部61をドアの最も操作しやすい位置に設置して使い勝手の良いものとすることができるとともに、電気的手段によ
る連係とすることによって、例えばドア前面にタッチスイッチを設ける等して操作部61を構成することができ、操作部61の操作性も向上して一段と使い勝手の良いものとなる。
またこの実施の形態2では、ドア回転動作制御部56自体を電気的手段で構成して操作部61と連携させることも考えられる。
例えば、永久磁石或いは磁性体を内周面に配置した外輪と電磁石を外周面に配置した内輪とでドア回転動作制御部56を形成し、このドア回転動作制御部56の電磁石を操作部61となるスイッチ部に配線接続して連係させるのである。これにより、操作部61の操作によって電磁石をオン、オフして当該電磁石の吸着力により外輪の回転を規制或いは規制解除することができ、この場合、操作部61とドア回転動作制御部56とを連係するものは配線だけとなるので操作部61の設置自由度が更に良くなる利点がある。
(実施の形態3)
図10は実施の形態3の冷蔵庫を示す。この実施の形態3の冷蔵庫は、前記実施の形態1、2で説明した操作部61を冷蔵室右ドア19の開放端側の側面部に設けたものである。
この実施の形態3も、ドア側面部は手をかけやすいところであるから、操作部61の操作が容易に行え、その操作性が向上する。
(実施の形態4)
この実施の形態4は前記実施の形態2で例示した電動タイプのドア回転動作制御部を用いた場合の変形例である。すなわち、この実施の形態4も図示はしないものの、そのドア回転動作制御部は、通常、電磁石が非通電でドア開・閉両方向にフリーに回転可能となっていて、操作部を操作して電磁石に通電した時その位置で回転が規制されるようになっている。
したがってこの実施の形態4では、通常、冷蔵室右ドア19は開・閉両方向とも規制されることなく自由に回転可能に軸支された状態であるから、冷蔵室右ドア19は特別な操作なしで開くことができる。
冷蔵室右ドア19を開き終わった状態で操作部61を操作すると、電磁石に通電されてその吸着力によりドア回転動作制御部56は冷蔵室右ドア19の閉回転および開方向の両方を規制し、冷蔵室右ドア19を開放位置で停止保持させる。よって、冷蔵室右ドア19が自重等で閉方向或いは開方向に回転してふらつくようなことがなくなり、食品等の出し入れが容易に行えるとともに、冷蔵室右ドア19が更に開いて例えば隣接する壁等に当たって損傷等するのを防止することができる。
冷蔵室右ドア19を閉じるときには操作部61を基の状態に戻す。これにより、電磁石が非通電状態となってドア回転動作制御部56は回転規制を解除され、回転がフリーとなる。よって、ユーザーは冷蔵室右ドア19を手で軽く押すなどすることによって閉じることができる。
なお、上記各実施の形態1〜4は本発明を実施する一形態として示したもので、そのいずれも本発明の目的を達成する範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記各実施の形態ではドア下部の軸支部にドア回転動作制御部56を設けたものを例示して説明したが、これは上部に設けても良いものである。
また、冷蔵室ドアは2枚のドアを有するフレンチドア方式として説明したが、1枚のドアであっても同様の効果を有するものである。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、ドア開閉の簡便さを維持しつつ、ドアを開放位置に停止させて、食品収納、取出し時の利便性を向上させることができるので、家庭用冷蔵庫のみならず、業務用冷蔵庫、自動販売機、食品倉庫等の収納物を出し入れする機器に対して適用できる。
11 冷蔵庫
12 冷蔵庫本体
18 冷蔵室左ドア
19 冷蔵室右ドア
51 下部ヒンジ
53 下部ドア回転軸
56 ドア回転動作制御部
57 ワンウェイクラッチ
58 トルクリミッタ
60 ハンドル
61 操作部
62 ロッド部材

Claims (5)

  1. 冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の前面開口部を閉塞する回転式のドアと、前記ドアを開閉するハンドルと、前記ドアを開閉する際の閉方向の回転動作を規制する規制モードを有するドア回転動作制御部と、前記ドアに設けた操作部とを備え、前記ドア回転動作制御部は、前記操作部の動作に連係して、前記規制モードを解除することを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記操作部と前記ドア回転動作制御部とは機械的手段で連係したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記操作部と前記ドア回転動作制御部とは電気的手段で連係したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  4. 前記操作部は前記ハンドルの近傍に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記操作部は前記ドアの側面部に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
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