WO2016152770A1 - クレーンのブーム脱着装置、およびクレーンのブーム脱着方法 - Google Patents

Abstract

　クレーンとは別の動力装置を用いる必要なくブームの脱着を容易に行えるようにし、上部旋回体の大型化、質量、およびコストを抑制する。ブーム脱着装置１は、ブーム２０と、伸縮シリンダ３１（駆動シリンダ）と、ブーム支持装置５０と、を備える。ブーム支持装置５０の少なくとも一部は、上部旋回体１３よりもブーム先端側Ｘ２に配置される。ブーム支持装置５０は、上部旋回体１３とブーム２０とのブームフットピン２０ａによる連結が切り離された状態で伸縮シリンダ３１が伸縮動作したときに、ブーム２０の後端部（ブーム後端側Ｘ１の端部）がブーム軸方向Ｘに移動可能となるように、ブーム２０を支持する。

Description

クレーンのブーム脱着装置、およびクレーンのブーム脱着方法

　本発明は、クレーンのブーム脱着装置、およびクレーンのブーム脱着方法に関する。

　例えば特許文献１などに、上部旋回体に対してブームを脱着（取り付け、取り外し）する技術が記載されている。同文献の図１１には、ブームが脱着されるクレーンとは別の動力装置（同文献の要約における「他の楊重手段」）を用いて、ブームの脱着が行われる技術が記載されている。また、同文献の図１～図８および要約には、ブーム受け台を用いてブームの脱着が行われる技術が記載されている。

特開平５－３３０７９０号公報

　特許文献１の要約に記載のように、ブーム受け台により、他の楊重手段がなくても、ブームの脱着作業が可能となる。しかし、同文献の図３および図４に記載のように、このブーム受け台は、ブーム支持ブラケット（同文献における「フートブラケット」）とブームとの間に配置される。そのため、上部旋回体が大型化する問題がある。また、ブーム受け台の分、上部旋回体の質量が増加する問題があり、上部旋回体のコストが増加する問題がある。例えば、上部旋回体が輸送される場合、輸送寸法や輸送質量が法令により制限されるので、上部旋回体の寸法や質量の増大は好ましくない。

　そこで本発明は、クレーンとは別の動力装置を用いる必要なくブームの脱着を容易に行うことができ、かつ、上部旋回体の大型化、質量、およびコストを抑制できる、クレーンのブーム脱着装置、およびクレーンのブーム脱着方法を提供することを目的とする。

　第１の観点によるクレーンのブーム脱着装置は、上部旋回体と、ブームと、駆動シリンダと、ブーム支持部と、を備える。前記ブームは、ブームフットピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられる。前記駆動シリンダは、前記上部旋回体または前記ブームに設けられ、前記ブームを駆動させる。前記ブーム支持部は、前記ブームを支持する。前記ブーム支持部の少なくとも一部は、前記上部旋回体よりもブーム先端側に配置される。前記ブーム支持部は、前記上部旋回体と前記ブームとの前記ブームフットピンによる連結が切り離された状態で前記駆動シリンダが伸縮動作したときに、前記ブームの後端部がブーム軸方向に移動可能となるように、前記ブームを支持する。

　第２の観点によるクレーンのブーム脱着方法は、ブームと、駆動シリンダと、を備えるクレーンに用いられる。前記ブームは、ブームフットピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられる。前記駆動シリンダは、前記上部旋回体または前記ブームに設けられ、前記ブームを駆動させる。前記上部旋回体よりもブーム先端側で前記ブームが支持された状態、かつ、前記上部旋回体と前記ブームとの前記ブームフットピンによる連結が切り離された状態で、前記駆動シリンダを伸縮動作させることで、前記ブームの後端部をブーム軸方向に移動させる。

　第１の観点により、クレーンとは別の動力装置を用いる必要なくブームの脱着を容易に行うことができ、かつ、上部旋回体の大型化、質量、およびコストを抑制できる。第２の観点により、クレーンとは別の動力装置を用いる必要なくブームの脱着を容易に行うことができ、かつ、上部旋回体の大型化、質量、およびコストを抑制できる。

ブーム脱着装置１の全体図である。 図１に示す上部旋回体１３からブーム２０が取り外された状態を示す図１相当図である。 図２に示すブーム先端側支持装置６０などの拡大図である。 図３のＦ４矢視図である。 図３のＦ５矢視図である。 図２に示す第二ブーム後端側支持装置７２などの拡大図である。 図６のＦ７－Ｆ７矢視断面図である。 図６のＦ８矢視図である。 図１に示すクレーン１０を示す図である。 図１に示すブーム２０の脱着途中のブーム脱着装置１を示す図である。 図１に示すブーム２０の脱着途中のブーム脱着装置１を示す図である。 図１に示すブーム２０の脱着途中のブーム脱着装置１を示す図である。 図１に示すブーム２０の脱着途中のブーム脱着装置１を示す図である。 図１に示すブーム２０の脱着途中のブーム脱着装置１を示す図である。 第２実施形態の図１相当図である。 第２実施形態の図９Ａ相当図である。 第２実施形態の図９Ｂ相当図である。 第２実施形態の図９Ｃ相当図である。 第２実施形態の図９Ｄ相当図である。 第２実施形態の図９Ｅ相当図である。 第２実施形態の図９Ｆ相当図である。 第３実施形態の図１相当図である。 図１２に示すブーム３２０の脱着途中の図１２相当図である。 図１２に示すブーム３２０の脱着途中の図１２相当図である。 図１２に示すブーム３２０が旋回フレーム３１５から取り外された状態を示す図１２相当図である。 図１２に示すブーム脱着装置３０１の一部を上から見た図である。 図１２のＦ１７－Ｆ１７矢視断面図である。 図１５のＦ１８－Ｆ１８矢視断面図である。 図１５のＦ１９－Ｆ１９矢視断面図である 図１２に示す台車３４７周辺を示す図である。

　図１～図９Ｆを参照して、第１実施形態のブーム脱着装置１について説明する。

　ブーム脱着装置１は、図１および図２に示すように、上部旋回体１３（下記）に対してブーム２０（下記）を脱着する装置である。図１に示すように、ブーム脱着装置１は、クレーン１０と、トラック４０（搬送台車）と、ブーム支持装置５０（ブーム支持部）と、を備える。

　クレーン１０は、ブーム２０（下記）を備える建設機械であり、さらに詳しくは、移動式クレーンである。クレーン１０は、下部走行体１１と、上部旋回体１３と、起伏シリンダ１９（駆動シリンダ）と、ブーム２０と、伸縮シリンダ３１（駆動シリンダ）（図２参照）と、伸縮用油圧ホース３３（図２参照）と、を備える。

　下部走行体１１は、クローラ１１ａを備え、クレーン１０を走行させる部分である。

　上部旋回体１３は、下部走行体１１に対して旋回自在に、下部走行体１１の上に搭載される。上部旋回体１３は、旋回フレーム１５と、運転室１７と、を備える。旋回フレーム１５の一部には、ブーム２０が取り付けられるブーム支持ブラケット１５ｂがある。運転室１７は、旋回フレーム１５に搭載される。

　起伏シリンダ１９は、上部旋回体１３に対してブーム２０を起伏させるシリンダであり、油圧シリンダである。起伏シリンダ１９の基端部は、起伏シリンダフットピン１９ｃを介して旋回フレーム１５に連結される。起伏シリンダ１９の先端部は、起伏シリンダロッドピン１９ｄを介してブーム２０に連結される。起伏シリンダ支持装置１９ｓは、起伏シリンダ１９とブーム２０とが切り離された状態のとき（起伏シリンダロッドピン１９ｄが取り外されたとき）に、旋回フレーム１５に対して起伏シリンダ１９を支持する。

　ブーム２０は、吊荷を吊るためのフックＨ１など（図９Ａ参照）が取り付けられる部材である。ブーム２０は、ブームフットピン２０ａを介して、上部旋回体１３に対して起伏可能に、上部旋回体１３に取り付けられる。ブームフットピン２０ａは、ブーム２０の基端部（ブームフット）と、ブーム支持ブラケット１５ｂと、を連結するピンである。ブームフットピン２０ａは、旋回フレーム１５に対するブーム２０の回転軸である。ブーム２０は、箱型であり、伸縮可能であり、差込構造（箱型伸縮構造）を有し、複数段の単位ブームを備え、具体的には４段の単位ブームを備える。ブーム２０は、基端側（後端側）から先端側の順に、基端ブーム２１と、２段ブーム２２と、３段ブーム２３と、先端ブーム２５と、を備える。以下では、ブーム２０の長手方向が水平方向（または略水平方向）となるようにブーム２０が配置された場合について説明する。ブーム２０の軸方向（長手方向）をブーム軸方向Ｘとする。ブーム２０は、ブーム軸方向Ｘに伸縮可能である。ブーム２０の先端側から後端側に向かう側（上部旋回体１３における後側）をブーム後端側Ｘ１とし、その逆側（上部旋回体１３における前側）をブーム先端側Ｘ２とする。ブーム２０の幅方向（ブーム軸方向Ｘに直交する水平方向）を、ブーム幅方向Ｙとする。

　基端ブーム２１（基本ブーム）は、ブーム２０を構成する複数の単位ブームのうち最もブーム後端側Ｘ１の単位ブームである。基端ブーム２１は、起伏シリンダ取付ブラケット２１ｂを備える。起伏シリンダ取付ブラケット２１ｂは、基端ブーム２１の腹面（下面）に設けられ、起伏シリンダロッドピン１９ｄが取り付けられる部分である。

　先端ブーム２５は、ブーム２０を構成する複数の単位ブームのうち最もブーム先端側Ｘ２の単位ブームである。図３に示すように、先端ブーム２５のブーム先端側Ｘ２の端部（先端部）は、側板２５ａと、先端シーブ２５ｂと、ブームポイントピン２５ｃと、を備える。側板２５ａ・２５ａは、図４に示すように、ブーム幅方向Ｙに対向する２枚の板材である。先端シーブ２５ｂは、先端ブーム２５の先端部の下端部に配置される滑車であり、ブーム幅方向Ｙに並ぶように複数枚設けられ、例えば４枚設けられる。先端シーブ２５ｂには、フックＨ１（図９Ａ参照）を吊るための吊上げロープが掛けられる。ブームポイントピン２５ｃ（先端シーブ固定ピン）は、側板２５ａに対して先端シーブ２５ｂを回転自在に支持するピンである。ブームポイントピン２５ｃは、ブーム幅方向Ｙに延び、２枚の側板２５ａ・２５ａよりもブーム幅方向Ｙ両外側に突出する。なお、図９Ａに示すように、先端ブーム２５には、補助フックＨ２を吊るための補助シーブ２７が取り付けられてもよい。

　伸縮シリンダ３１（駆動シリンダ）は、図２に示すように、ブーム２０に設けられ、ブーム２０を駆動させる。伸縮シリンダ３１は、ブーム２０の内部に配置され、ブーム２０を伸縮させる、油圧シリンダである。

　伸縮用油圧ホース３３は、伸縮シリンダ３１と上部旋回体１３との間で油を供給および排出するための油圧ホースであり、ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部と上部旋回体１３とにつながれる。

　トラック４０（搬送台車）は、貨物を搬送するための荷台４１を備える自動車である。トラック４０は、ブーム２０を搬送するための台車であり、ブーム２０以外の貨物も搬送可能である。

　ブーム支持装置５０（ブーム支持部）は、ブーム２０を支持するための装置である。ブーム支持装置５０は、旋回フレーム１５よりもブーム先端側Ｘ２に配置され、上部旋回体１３よりもブーム先端側Ｘ２に配置される。ブーム支持装置５０は、上部旋回体１３から離れた位置に配置され、運転室１７よりもブーム先端側Ｘ２に配置される。ブーム支持装置５０は、トラック４０に設けられ、さらに詳しくは、荷台４１の上に搭載（配置）される。ブーム支持装置５０は、フレーム５１と、ブーム先端側支持装置６０（ブーム先端側支持部）と、ブーム後端側支持装置７０（ブーム後端側支持部）と、を備える。

　フレーム５１は、ブーム先端側支持装置６０およびブーム後端側支持装置７０を支持する部分である。フレーム５１は、荷台４１に固定され、例えば荷台４１のブーム先端側Ｘ２の端部からブーム後端側Ｘ１の端部にわたって配置される。フレーム５１は、レール５３と、横部材５５（図５参照）と、ストッパ５７と、を備える。

　レール５３は、ブーム軸方向Ｘに延びる棒状部材である。図５に示すように、レール５３は、ブーム幅方向Ｙに間隔をあけて複数本設けられ、具体的には２本設けられる。なお、図５ではブーム２０を想像線（二点鎖線）で示した（図８も同様）。図４に示すように、ブーム軸方向Ｘから見たレール５３の断面は、例えばＣ字状であり、Ｉ字状などでもよい。図２に示すように、レール５３のブーム軸方向Ｘの長さは、基端ブーム２１の長さとほぼ同じである。

　横部材５５は、図５に示すように、フレーム５１のブーム先端側Ｘ２の端部またはその近傍に配置され、ブーム軸方向Ｘに間隔をあけて２本設けられる。２本の横部材５５・５５それぞれは、ブーム幅方向Ｙに延び、２本のレール５３同士をつなぐように配置される。なお、横部材５５と同様の部材（図示なし）が、２本のレール５３の接合のために設けられる。

　ストッパ５７は、図２に示すように、フレーム５１のブーム後端側Ｘ１の端部またはその近傍に配置される。ストッパ５７は、ブーム後端側支持装置７０のブーム後端側Ｘ１への移動を規制する。

　ブーム先端側支持装置６０（ブーム先端側支持部）は、ブーム２０のブーム先端側Ｘ２の部分を支持する部分であり、さらに詳しくは、先端ブーム２５を支持する部分であり、先端ブーム２５を支持する装置（治具、固定治具）である。図３に示すように、ブーム先端側支持装置６０は、先端固定部６１と、補強部材６３と、固定ピン６５と、を備える。

　先端固定部６１は、先端ブーム２５を支持し、さらに詳しくは、ブームポイントピン２５ｃを支持し、ブームポイントピン２５ｃを下から支持する（受ける）ためのＵ字状凹部を有する。図４に示すように、先端固定部６１は、ブーム幅方向Ｙに間隔をあけて２つ設けられ、側板２５ａよりもブーム幅方向Ｙ両外側のブームポイントピン２５ｃを支持する。図３に示すように、先端固定部６１は、フレーム５１から上に突出する。先端固定部６１は、フレーム５１に固定され、さらに詳しくは、レール５３のブーム先端側Ｘ２の端部の近傍に固定され、２本の横部材５５・５５の間（ブーム軸方向Ｘにおける間）の位置でレール５３に固定される。

　補強部材６３は、フレーム５１と先端固定部６１との固定（連結）を補強する部材である。補強部材６３は、先端固定部６１のブーム軸方向Ｘの端面（さらに詳しくは両端面）と、フレーム５１の（レール５３の）上面と、に固定され、例えば板状である。

　固定ピン６５は、ブームポイントピン２５ｃが先端固定部６１から外れないようにするためのピン（ロックピン）である。固定ピン６５は、先端固定部６１に受けられたブームポイントピン２５ｃよりも上に配置され、先端固定部６１のＵ字状凹部の上端部同士をブーム軸方向Ｘにつなぐように先端固定部６１に取り付けられる。

　ブーム後端側支持装置７０は、図２に示すように、ブーム先端側支持装置６０よりもブーム後端側Ｘ１に配置される。ブーム後端側支持装置７０は、ブーム２０を支持し、さらに詳しくは、基端ブーム２１を支持し、基端ブーム２１を下から支持する（受ける）。ブーム後端側支持装置７０は、ブーム軸方向Ｘに移動可能な台車（支持台車）である。ブーム後端側支持装置７０のブーム幅方向Ｙへの移動は規制される。ブーム後端側支持装置７０は、任意の高さに調整可能に構成される。ブーム後端側支持装置７０は、ブーム軸方向Ｘに間隔をあけて複数設けられ、具体的には２つ設けられる。ブーム後端側支持装置７０には、第一ブーム後端側支持装置７１と、第二ブーム後端側支持装置７２と、がある。第一ブーム後端側支持装置７１と第二ブーム後端側支持装置７２とは同様に構成される。

　第二ブーム後端側支持装置７２は、第一ブーム後端側支持装置７１よりもブーム後端側Ｘ１に配置される。図６に示すように、第二ブーム後端側支持装置７２は、外枠８１と、内枠８２と、天板８３と、昇降シリンダ８５と、車輪支持部８７と、車輪８８と、固縛装置８９と、を備える。

　外枠８１および内枠８２は、入れ子に構成され、上下方向に伸縮可能に構成される。内枠８２は、外枠８１の内側に配置され、外枠８１に対して上下に移動自在である。図８に示すように、外枠８１および内枠８２それぞれは、上から見て枠状（周状、空間を囲む形状）であり、例えば上から見て四角形などである。天板８３は、図６および図７に示すように、基端ブーム２１（ブーム２０）に接し、基端ブーム２１（ブーム２０）を支持する部分である。天板８３は、第二ブーム後端側支持装置７２の上端部を構成し、内枠８２の上端部に固定される。天板８３の厚さ方向は、上下方向である。なお、図７では、ブーム２０の内部構造を省略した。

　昇降シリンダ８５（支持高さ変更部）は、天板８３（ブーム２０を支持する部分）を任意の高さに変え、さらに詳しくは、内枠８２および天板８３を、外枠８１に対して上下に移動させる。昇降シリンダ８５は、外枠８１および内枠８２の内部に配置され、天板８３よりも下側に配置される。昇降シリンダ８５は、上下方向に伸縮可能なシリンダであり、例えば油圧シリンダなどである。

　車輪支持部８７は、外枠８１に対して車輪８８を支持する部分である。車輪支持部８７は、外枠８１に固定され、外枠８１からブーム軸方向Ｘの両側に突出し、例えば板状であり、例えばブーム幅方向Ｙに直交する。

　車輪８８は、第二ブーム後端側支持装置７２をブーム軸方向Ｘに移動可能に（移動自在に）する。車輪８８は、車輪支持部８７を介して外枠８１に取り付けられ、外枠８１に対して回転自在である。車輪８８は、レール５３上に配置され（載せられ）、レール５３上を転がることが可能である。図８に示すように、車輪８８は、複数設けられ、具体的には４つ設けられる。４つの車輪８８は、ブーム軸方向Ｘおよびブーム幅方向Ｙに互いに間隔をあけて配置され、上から見たとき外枠８１の四隅の近傍に配置される。１本のレール５３に車輪８８が２つずつ配置される。

　固縛装置８９は、図７に示すように、第二ブーム後端側支持装置７２に基端ブーム２１（ブーム２０）を固縛するための装置である。固縛装置８９は、固縛部材８９ａと、固縛部材固定部８９ｂと、を備える。固縛部材８９ａは、基端ブーム２１の外周部を縛ることが可能な部材であり、具体的には例えば、バンド、ベルト、ロープ、またはチェーンなどである。固縛部材８９ａの長さは調整可能である。固縛装置８９と基端ブーム２１の外周部との間に当て部材（図示なし）が設けられてもよく、例えば、ブーム軸方向Ｘから見た基端ブーム２１の角部に当てられる角当て部材が設けられてもよい。固縛部材固定部８９ｂは、固縛部材８９ａが固定される部分である。固縛部材固定部８９ｂは、外枠８１に固定され、さらに詳しくは、外枠８１からブーム幅方向Ｙ外側に突出する。固縛部材固定部８９ｂには、固縛部材８９ａを取り付けるための部分が設けられ、具体的には例えば、かぎ状部分または孔（いずれも図示なし）が設けられる。なお、図７において二点鎖線で示すように、固縛部材８９ａは、内枠８２または天板８３に固定されてもよい。

（ブーム脱着方法）
　図２に示すブーム脱着装置１によるブーム脱着方法の概略は次の通りである。上部旋回体１３よりもブーム先端側Ｘ２でブーム２０が支持された状態にする（図９Ａ～図９Ｃ参照）。また、上部旋回体１３とブーム２０との、ブームフットピン２０ａおよび起伏シリンダロッドピン１９ｄによる連結が切り離された状態にする。これらの状態で、伸縮シリンダ３１を（ブーム２０を）伸縮動作させることで、基端ブーム２１を（ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部を）ブーム軸方向Ｘに移動させる。これにより、上部旋回体１３に対してブーム２０を脱着させる（図９Ｄ～図９Ｆ参照）。ブーム脱着方法の詳細は次の通りである。

（ブーム２０の取り外し）
　図９Ａ～図９Ｆの順に示すように、ブーム２０が上部旋回体１３から取り外される。以下ではブーム２０の取り外しを手順に沿って説明する。

　図９Ａに示すフックＨ１、補助シーブ２７、および補助フックＨ２が、ブーム２０から取り外される。

　図９Ｂに示すように、トラック４０が上部旋回体１３の前（ブーム先端側Ｘ２）に移動（後退）する。このとき、トラック４０が、ブーム２０の真下にレール５３が配置されるように移動する。ブーム２０が、最縮小状態よりも伸ばされ、水平方向よりもわずかに起こされる。これにより、先端ブーム２５の先端部が、ブーム先端側支持装置６０の真上に配置される。

　第一ブーム後端側支持装置７１が、レール５３上に配置され、さらに詳しくは、レール５３のブーム後端側Ｘ１の端部（またはその近傍）に配置される。

　図９Ｃに示すように、ブーム２０が下げられ、先端ブーム２５の先端部が下げられる。これにより、図３に示すように、ブームポイントピン２５ｃが、先端固定部６１に支持される（あずけられる）。そして、固定ピン６５が先端固定部６１に取り付けられることで、ブームポイントピン２５ｃが先端固定部６１に固定される。

　図９Ｃに示すように、第一ブーム後端側支持装置７１の高さが調整される。さらに詳しくは、図６に示す昇降シリンダ８５を伸ばすことで、天板８３を上昇させる。これにより、第一ブーム後端側支持装置７１が、ブーム２０の荷重を受け、ブーム２０を支持する。

　図９Ｃに示すように、基端ブーム２１が、固縛装置８９により第一ブーム後端側支持装置７１に固縛される。

　ブームフットピン２０ａが、基端ブーム２１およびブーム支持ブラケット１５ｂから取り外される。起伏シリンダロッドピン１９ｄが、起伏シリンダ１９および起伏シリンダ取付ブラケット２１ｂから取り外される。このとき、起伏シリンダ１９は、起伏シリンダ支持装置１９ｓに支持される。このとき、第一ブーム後端側支持装置７１によりブーム２０の荷重が受けられており、また、ブーム先端側支持装置６０により先端ブーム２５が固定されている。よって、ブームフットピン２０ａを取り外した際に、ブーム２０が動く（例えば落ちる）ことが抑制されるので、ブームフットピン２０ａの取り外しを容易に行える（起伏シリンダロッドピン１９ｄの取り外しも同様）。このとき、ブーム２０は、ブーム先端側支持装置６０（先端固定部６１（図３参照））による支持と、第一ブーム後端側支持装置７１による高さ調整可能な支持とにより、ブームポイントピン２５ｃ（図３参照）を軸として起伏動作できる。

　図９Ｄに示すように、ブーム２０が、伸縮シリンダ３１（図２参照）により縮められる。その結果、基端ブーム２１が先端ブーム２５に対してブーム先端側Ｘ２に移動し、基端ブーム２１が上部旋回体１３から（ブーム支持ブラケット１５ｂから）取り外される。このとき、第一ブーム後端側支持装置７１が、基端ブーム２１の移動に追従して（ブーム２０の伸長に追従して）、レール５３に沿ってブーム軸方向Ｘに滑らかに走行移動する。ブーム２０がある程度縮められた状態（最縮小状態よりも長い状態）で、ブーム２０の縮小が停止される。

　第二ブーム後端側支持装置７２が、レール５３上に設置され、さらに詳しくは、レール５３のブーム後端側Ｘ１の端部（またはその近傍）に配置され、起伏シリンダ取付ブラケット２１ｂよりもブーム後端側Ｘ１に配置される。第一ブーム後端側支持装置７１と同様に、第二ブーム後端側支持装置７２の高さが調整され、基端ブーム２１が固縛装置８９により固縛される。このとき、第二ブーム後端側支持装置７２の高さの調整に応じて、第一ブーム後端側支持装置７１の高さが調整されてもよい。

　図９Ｅに示すように、ブーム２０がさらに縮められる。さらに詳しくは、ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部（ブームフット）と起伏シリンダ１９とが上下方向に干渉しない位置まで、ブーム２０が縮められる。そして、ブーム後端側支持装置７０が下げられる。

　図９Ｆに示すように、ブーム２０が最縮小状態（または最縮小に近い状態）まで縮められる。その後、伸縮用油圧ホース３３が、ブーム２０から取り外される。その後、ブーム２０がブーム支持装置５０に支持された状態のまま、ブーム２０がトラック４０により搬送される。

（ブーム２０の取り付け）
　上記のブーム２０の取り付け手順とは逆の手順（またはほぼ逆の手順）により、図９Ｆ～図９Ａの順に、ブーム２０が上部旋回体１３に取り付けられる。以下ではブーム２０の取り付けを手順に沿って説明する。なお、図９Ａ～図９Ｆにおける動作の向きを表す矢印は逆向きであるとして説明する。

　図９Ｆに示すように、伸縮用油圧ホース３３がブーム２０に取り付けられる。図９Ｅに示すように、ブーム２０が伸縮シリンダ３１（図２参照）により伸ばされることで、基端ブーム２１が先端ブーム２５に対してブーム後端側Ｘ１に移動する。このときブーム後端側支持装置７０が、基端ブーム２１の移動に追従して、ブーム後端側Ｘ１に走行移動する。ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部（ブームフット）と起伏シリンダ１９とが干渉しない位置に、ブーム後端側支持装置７０が上げられることで、ブーム２０が上げられる。

　図９Ｄに示すように、ブーム２０がさらに伸ばされる。さらに詳しくは、第二ブーム後端側支持装置７２が、レール５３のブーム後端側Ｘ１の端部（またはその近傍）に移動するまで、ブーム２０が伸ばされる。

　第二ブーム後端側支持装置７２の固縛部材８９ａが、ブーム２０から取り外される。第二ブーム後端側支持装置７２が下げられ、第二ブーム後端側支持装置７２がレール５３から取り外される。

　図９Ｃに示すように、ブーム２０がさらに伸ばされ、また、第一ブーム後端側支持装置７１の高さが調整される。このとき、ブーム２０は、ブーム先端側支持装置６０（先端固定部６１（図３参照））による支持と、第一ブーム後端側支持装置７１による高さ調整可能な支持とにより、ブームポイントピン２５ｃ（図３参照）を軸として起伏動作できる。これにより、ブームフットピン２０ａのピン孔、および、起伏シリンダロッドピン１９ｄのピン孔、それぞれの上下方向の位置合わせが行われる。この位置合わせが行われた状態で、ブームフットピン２０ａが、ブーム支持ブラケット１５ｂおよびブーム２０に取り付けられる。また、この位置合わせが行われた状態で、起伏シリンダロッドピン１９ｄが、起伏シリンダ１９および起伏シリンダ取付ブラケット２１ｂに取り付けられる。よって、ブームフットピン２０ａおよび起伏シリンダロッドピン１９ｄの取り付けを容易に行える。

　第一ブーム後端側支持装置７１の固縛部材８９ａがブーム２０から取り外される。図３に示すブーム先端側支持装置６０の固定ピン６５が、先端固定部６１から取り外される。

　図９Ｃから図９Ｂに示すように、ブーム２０が起こされることにより、図３に示すブームポイントピン２５ｃが、先端固定部６１から外れる。その後、トラック４０が前進退避する（ブーム先端側Ｘ２に移動する）。

　図９Ａに示すように、フックＨ１、補助フックＨ２、および補助シーブ２７がブーム２０に取り付けられる。

（第１の発明の効果）
　図１に示すブーム脱着装置１による効果は次の通りである。ブーム脱着装置１は、上部旋回体１３と、ブーム２０と、伸縮シリンダ３１と、ブーム支持装置５０と、を備える。ブーム２０は、ブームフットピン２０ａを介して上部旋回体１３に起伏可能に取り付けられる。伸縮シリンダ３１（駆動シリンダ）は、上部旋回体１３またはブーム２０に設けられ、ブーム２０を駆動させる。ブーム支持装置５０は、ブーム２０を支持する。
　［構成１－１］ブーム支持装置５０の少なくとも一部は、上部旋回体１３よりもブーム先端側Ｘ２に配置される。
　［構成１－２］ブーム支持装置５０は、上部旋回体１３とブーム２０とのブームフットピン２０ａによる連結が切り離された状態で伸縮シリンダ３１が伸縮動作したときに、ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部（後端部）がブーム軸方向Ｘに移動可能となるように、ブーム２０を支持する。

　上記［構成１－２］では、上部旋回体１３に対してブーム２０を脱着するための動力として、伸縮シリンダ３１の伸縮動作が利用される。よって、クレーン１０とは別の動力装置を用いる必要なく、ブーム２０の脱着を行える。

　上記［構成１－１］では、ブーム支持装置５０の少なくとも一部は、上部旋回体１３とは別に設けられる。よって、ブーム２０の脱着時にブーム２０を支持するための構造を上部旋回体１３に設ける必要がない。または、上部旋回体１３に設置するブーム支持装置５０を小さくできる（例えば、図１２に示す第３実施形態の第一ガイドローラ装置３５１を参照）。よって、上部旋回体１３の大型化、質量、およびコストを抑制できる。

　例えば、特許文献１に記載の「ブーム受け台」が上部旋回体１３に設けられる場合と比べると、本実施形態では、ブーム支持ブラケット１５ｂと、ブーム２０と、の間の幅方向の隙間を小さくできるので、上部旋回体１３の幅を狭くできる。また、上部旋回体１３にブーム受け台を設ける必要がないので、上部旋回体１３の大型化を抑制でき、上部旋回体１３の質量を抑制でき、上部旋回体１３のコスト増加を抑制できる。上部旋回体１３の大型化および質量を抑制できる結果、クレーン１０の動作に必要な燃料および排気ガスの量を抑制できる。また、上部旋回体１３を輸送するための車両を小型化でき、上部旋回体１３の輸送に必要な燃料および排気ガスの量を抑制でき、上部旋回体１３の輸送に必要なコストを抑制できる。

（第２の発明の効果）
　［構成２］ブーム２０は、伸縮可能である。駆動シリンダは、ブーム２０を伸縮させる伸縮シリンダ３１である。

　上記［構成２］では、上部旋回体１３に対してブーム２０を脱着するための動力として、伸縮シリンダ３１の伸縮動作（すなわちブーム２０の伸縮動作）を利用できる。

（第３の発明の効果）
　［構成３］図２に示すように、ブーム支持装置５０は、ブーム先端側支持装置６０と、ブーム先端側支持装置６０よりもブーム後端側Ｘ１に配置されるブーム後端側支持装置７０と、を備える。

　この［構成３］により、ブーム先端側支持装置６０およびブーム後端側支持装置７０のいずれか一方しか備えない場合に比べ、ブーム２０を確実に支持できる。よって、上部旋回体１３に対するブーム２０の脱着を確実に行える。

（第４の発明の効果）
　［構成４］ブーム支持装置５０は、ブーム軸方向Ｘに延びるレール５３を備える。ブーム後端側支持装置７０は、レール５３に沿ってブーム軸方向Ｘに移動可能である。

　この［構成４］により、ブーム２０の伸縮動作に追従して、ブーム後端側支持装置７０が移動する。よって、ブーム後端側支持装置７０は、伸縮動作しているブーム２０を確実に支持できる。また、ブーム後端側支持装置７０がレール５３に沿って移動しない場合に比べ、ブーム後端側支持装置７０が滑らかに移動しやすいので、ブーム後端側支持装置７０の移動により生じる騒音を抑制しやすい。

（第５の発明の効果）
　［構成５］ブーム後端側支持装置７０は、図６に示すように、天板８３（ブーム２０を支持する部分）を任意の高さに変える昇降シリンダ８５（支持高さ変更部）を備える。

　この［構成５］により、ブーム２０の取り付け時には次の効果が得られる。天板８３がブーム２０を支持しているときに（図９Ｄ参照）、昇降シリンダ８５が天板８３の高さを変えることで、ブーム２０の高さを変えることができる。よって、ブームフットピン２０ａ（図１参照）のピン孔の位置合わせを容易に行える。その結果、ブームフットピン２０ａの差し込み作業を容易に行える。また、起伏シリンダロッドピン１９ｄの取り付けが行われる場合は、上記［構成５］により、起伏シリンダロッドピン１９ｄのピン孔の位置合わせも容易に行える。

　上記［構成５］により、ブーム２０の取り外し時には次の効果が得られる。天板８３がブーム２０を支持していない状態のときに（図９Ｂと図９Ｃとの間の状態を参照）、昇降シリンダ８５が天板８３を高くすることで、ブーム後端側支持装置７０がブーム２０を支持できる。よって、図９Ｃに示すように、ブーム２０が支えられた状態でブームフットピン２０ａの取り外しができるので、ブームフットピン２０ａの取り外しを確実に行える。

（第６の発明の効果）
　［構成６］図２に示すように、ブーム後端側支持装置７０は、ブーム軸方向Ｘに間隔をあけて複数設けられる。

　この［構成６］により、ブーム後端側支持装置７０が１つのみ設けられる場合に比べ、より安定してブーム２０を支持できる。

（第１３の発明の効果）
　［構成１３］ブーム支持装置５０は、ブーム２０を搬送するためのトラック４０（搬送台車）に設けられる。

　この［構成１３］により、ブーム２０の取り外し作業の後、トラック４０に設けられたブーム支持装置５０にブーム２０が支持された状態のままで、トラック４０がブーム２０を搬送できる。

　また、［構成１３］により、ブーム２０の取り付け作業の前に、トラック４０に設けられたブーム支持装置５０にブーム２０が支持された状態でブーム２０が搬送された場合は次の効果が得られる。この場合、搬送時のブーム２０の状態のままで、ブーム２０の取り付け作業を開始できる。

（第１４の発明の効果）
　本実施形態のブーム脱着方法による効果は次の通りである。このブーム脱着方法は、図２に示すブーム２０と、伸縮シリンダ３１と、を備えるクレーン１０に用いられる。ブーム２０は、ブームフットピン２０ａを介して、上部旋回体１３に起伏可能に取り付けられる。伸縮シリンダ３１（駆動シリンダ）は、上部旋回体１３またはブーム２０に設けられ、ブーム２０を駆動させる。
　［構成１４］上部旋回体１３よりもブーム先端側Ｘ２でブーム２０が支持された状態、かつ、上部旋回体１３とブーム２０とのブームフットピン２０ａによる連結が切り離された状態で、伸縮シリンダ３１を伸縮動作させる。この伸縮動作により、ブーム２０のブーム後端側Ｘ１の端部をブーム軸方向Ｘに移動させる。
　この［構成１４］により、上記「（第１の発明の効果）」と同様の効果が得られる。

（第１５の発明の効果）
　［構成１５］ブーム脱着方法において、ブーム２０は、伸縮可能であり、駆動シリンダは、ブーム２０を伸縮させる伸縮シリンダ３１である。
　この［構成１５］により、上記「（第２の発明の効果）」と同様の効果が得られる。

（第２実施形態）
　図１０～図１１Ｆを参照して、図１０に示す第２実施形態のブーム脱着装置２０１について、第１実施形態との相違点を説明する。なお、ブーム脱着装置２０１のうち、第１実施形態との共通点については、第１実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した。

　図１に示すように、第１実施形態では、下部走行体１１はクローラ１１ａを備えていたが、図１０に示すように、第２実施形態では、下部走行体２１１（下部本体）はクローラ１１ａ（図１参照）を備えていない。これは、第２実施形態では、クレーン１０が、分解（または組立）の途中段階であり、下部走行体２１１からクローラ１１ａが取り外された状態のためである。このとき、この下部走行体２１１のカーボディ２１１ｂに、ジャッキ２１１ｃが取り付けられている。

　カーボディ２１１ｂは、クローラ１１ａ（図１参照）が取り付けられる部分である。
　ジャッキ２１１ｃ（トランスリフター）は、カーボディ２１１ｂに取り付けられる油圧ジャッキ（油圧シリンダ）である。ジャッキ２１１ｃは、上部旋回体１３を任意の高さに持ち上げる。さらに詳しくは、ジャッキ２１１ｃは、地面に対してカーボディ２１１ｂを持ち上げることで、上部旋回体１３の地面に対する高さを任意に変えることが可能であり、上部旋回体１３の地面に対する傾きを任意に変えることが可能である。ジャッキ２１１ｃは、複数箇所に設けられ、具体的には４か所に設けられ、ブーム軸方向Ｘおよびブーム幅方向Ｙに互いに間隔をあけて配置される。

（ブーム脱着方法）
　図１１Ａ～図１１Ｆの順に示すように、上部旋回体１３からブーム２０が取り外される。図１１Ｆ～図１１Ａの順に示すように、上部旋回体１３にブーム２０が取り付けられる。第２実施形態のブーム脱着方法の、第１実施形態との相違点は次の通りである。

（ブーム２０の取り外し）
　図９Ｃに示すように第１実施形態では、ブーム２０の取り外し時に、ブーム２０が下げられることで先端ブーム２５がブーム先端側支持装置６０に支持された。
　一方、図１０に示す第２実施形態では、例えば、第１実施形態よりも荷台４１が低いことなどにより、ブーム２０を下げるだけではブーム先端側支持装置６０に先端ブーム２５を支持させることができない。そこで、図１１Ｃに示すように、ジャッキ２１１ｃにより、上部旋回体１３の地面に対する高さが調整され、上部旋回体１３の地面に対する傾きが調整される。さらに詳しくは、上部旋回体１３の前側（ブーム先端側Ｘ２）部分よりも、後側（ブーム後端側Ｘ１）部分が高く持ち上げられる。これにより、先端ブーム２５がブーム先端側支持装置６０に支持される。

（ブーム２０の取り付け）
　第１実施形態では、ブーム２０の取り付け時に、図９Ｃに示す第一ブーム後端側支持装置７１の高さが調整されることにより、ブームフットピン２０ａのピン孔、および、起伏シリンダロッドピン１９ｄのピン孔、それぞれの上下方向の位置合わせが行われた。
　一方、第２実施形態では、例えば、第一ブーム後端側支持装置７１の高さ調整だけでは上記のピン孔の位置が合わない。そこで、図１１Ｃに示すように、ジャッキ２１１ｃにより上部旋回体１３の高さや傾きが調整される。これにより、ブームフットピン２０ａのピン孔、および、起伏シリンダロッドピン１９ｄのピン孔の上下方向の位置合わせが行われる。

（第７の発明の効果）
　図１０に示すブーム脱着装置２０１による効果は次の通りである。ブーム脱着装置２０１は、ジャッキ２１１ｃを備える。
　［構成７］ジャッキ２１１ｃは、上部旋回体１３を任意の高さに持ち上げる。

　この［構成７］により、ブーム２０の取り外し時には次の効果が得られる。ジャッキ２１１ｃにより上部旋回体１３を任意の高さに持ち上げることで、上部旋回体１３に取り付けられたブーム２０を任意の高さに変えることができる。よって、ブーム支持装置５０にブーム２０を適切に支持させることができる。

　上記［構成７］により、ブーム２０の取り付け時には次の効果が得られる。ジャッキ２１１ｃにより上部旋回体１３を任意の高さに持ち上げることで、上部旋回体１３の（ブーム支持ブラケット１５ｂの）ブームフットピン２０ａのピン孔の位置を任意の高さに変えることができる。よって、ブームフットピン２０ａの取り付けを容易に行える。

（第３実施形態）
　図１２～図２０を参照して、図１２に示す第３実施形態のブーム脱着装置３０１について説明する。なお、ブーム脱着装置３０１のうち、第１実施形態との共通点については説明を省略した。

　ブーム脱着装置３０１は、クレーン３１０と、トラック３４０（搬送台車）と、ブーム支持装置３５０（ブーム支持部）と、シリンダ受台３６０（図１７参照）と、を備える。クレーン３１０は、下部走行体３１１と、上部旋回体３１３と、起伏シリンダ３１９（駆動シリンダ）と、ブーム３２０と、を備える。

　上部旋回体３１３は、旋回フレーム３１５を備える。旋回フレーム３１５は、底板３１５ａと、ブーム支持ブラケット３１５ｂと、を備える。ブーム支持ブラケット３１５ｂは、底板３１５ａから上に突出する。なお、図１２～図１５では、上部旋回体３１３を二点鎖線で示した。

　起伏シリンダ３１９（駆動シリンダ）は、シリンダチューブ３１９ａと、シリンダロッド３１９ｂ（図１３参照）と、を備える。シリンダチューブ３１９ａは、シリンダフットピン３１９ｃを介して旋回フレーム３１５に取り付けられ（連結され）、旋回フレーム３１５に対して回転（起伏）可能である。図１３に示すように、シリンダロッド３１９ｂは、シリンダチューブ３１９ａに差し込まれ、シリンダチューブ３１９ａの軸方向に移動可能である。シリンダロッド３１９ｂは、シリンダロッドピン３１９ｄを介してブーム３２０に取り付けられ、ブーム３２０に対して回転可能である。

　ブーム３２０は、図１２に示すように、ブームフットピン３２０ａを介して、旋回フレーム３１５に（上部旋回体３１３に）取り付けられる。以下では、ブーム３２０の長手方向が水平方向（または略水平方向）となるようにブーム３２０が配置された場合について説明する。ブーム３２０を構成する単位ブームには、基端ブーム３２１と、先端ブーム３２５と、がある。

　基端ブーム３２１（基本ブーム）は、図１４に示すように、箱型の基端ブーム本体３２１ａと、起伏用ブラケット３２１ｂと、脱着用ブラケット３２２（脱着用連結部材）と、を備える。

　起伏用ブラケット３２１ｂには、ブーム３２０を起伏させるとき（ブーム使用時、クレーン作業時、図１２参照）、および、上部旋回体３１３に対してブーム３２０を脱着させるとき（ブーム脱着作業時、図１３～図１５参照）に、起伏シリンダ３１９が取り付けられる。図１３に示すように、起伏用ブラケット３２１ｂには、シリンダロッドピン３１９ｄを介してシリンダロッド３１９ｂの先端部（ブーム先端側Ｘ２端部）が取り付けられる。起伏用ブラケット３２１ｂは、基端ブーム本体３２１ａの腹面（下面）に設けられ（固定され）、基端ブーム本体３２１ａの腹面から下に突出する。

　脱着用ブラケット３２２（脱着用連結部材）には、図１５に示すように、ブーム脱着作業時に起伏シリンダ３１９が取り付けられる。脱着用ブラケット３２２には、シリンダロッドピン３１９ｄを介してシリンダロッド３１９ｂの先端部が取り付け可能である。脱着用ブラケット３２２は、基端ブーム本体３２１ａの腹面に設けられ（固定され）、基端ブーム本体３２１ａの腹面から下に突出する。脱着用ブラケット３２２は、起伏用ブラケット３２１ｂよりもブーム後端側Ｘ１に配置される。脱着用ブラケット３２２は、脱着用ブラケット３２２に起伏シリンダ３１９が取り付けられないときに起伏シリンダ３１９に干渉しないように構成される。具体的には、脱着用ブラケット３２２の少なくとも一部は、基端ブーム３２１に対して脱着可能である。脱着用ブラケット３２２は、脱着用ブラケット支持部３２２ａと、脱着用ブラケット本体３２２ｂと、を備える。脱着用ブラケット支持部３２２ａは、基端ブーム本体３２１ａの腹面に固定される。

　脱着用ブラケット本体３２２ｂは、脱着用ブラケット支持部３２２ａに対して脱着可能であり、例えばピン（図１７参照）を介して脱着用ブラケット支持部３２２ａに取り付けられる。脱着用ブラケット本体３２２ｂは、起伏シリンダ３１９が取り付けられる部分であり、脱着用ブラケット支持部３２２ａから下に突出する。

　先端ブーム３２５の先端部（ブーム先端側Ｘ２端部）は、図２０に示すように、側板３２５ａと、ブームポイントピン３２５ｃと、を備える。

　トラック３４０（搬送台車）は、図１４に示すように、ブーム３２０を搬送する自動車であり、荷台３４１を備える。

　ブーム支持装置３５０（ブーム支持部）は、ブーム３２０を支持するための装置である。ブーム支持装置３５０は、ブーム３２０を下から支持する。ブーム支持装置３５０は、第一ガイドローラ装置３５１と、第二ガイドローラ装置３５２と、レール３５３と、台車３５７と、を備える。

　第一ガイドローラ装置３５１は、ブーム３２０の後端側部分（ブーム３２０のブーム軸方向Ｘ中央よりもブーム後端側Ｘ１部分）を支持する。第一ガイドローラ装置３５１は、旋回フレーム３１５に設けられる（設置される）。図１７に示すように、第一ガイドローラ装置３５１は、基端ブーム３２１を支持し、基端ブーム本体３２１ａの腹面を下から支持し、例えば基端ブーム本体３２１ａの腹面のブーム幅方向Ｙ両外側部分（例えば両外側端部）を支持する。第一ガイドローラ装置３５１は、２つの単位装置を備え、第一ガイドローラ装置３５１Ｌと、第一ガイドローラ装置３５１Ｒと、を備える。第一ガイドローラ装置３５１Ｌおよび第一ガイドローラ装置３５１Ｒは、シリンダチューブ３１９ａと干渉しないように（シリンダチューブ３１９ａを避けるように）、ブーム幅方向Ｙに間隔をあけて配置される。第一ガイドローラ装置３５１Ｌと第一ガイドローラ装置３５１Ｒとは、ブーム軸方向Ｘから見て左右対称に構成される。以下では、主に第一ガイドローラ装置３５１Ｌについて説明し、第一ガイドローラ装置３５１Ｒの説明を省略する。第一ガイドローラ装置３５１Ｌは、伸縮フレーム３５１ａと、フレーム連結部３５１ｂと、昇降シリンダ３５１ｃと、ガイドローラ支持部３５１ｄと、ガイドローラ３５１ｅと、を備える。

　伸縮フレーム３５１ａは、上下方向に伸縮可能な箱状部材である。伸縮フレーム３５１ａは、例えば、外側フレーム３５１ａ１と、内側フレーム３５１ａ２と、を備える。内側フレーム３５１ａ２は、外側フレーム３５１ａ１よりも内側に配置され、外側フレーム３５１ａ１よりも上側に突出する。

　フレーム連結部３５１ｂは、第一ガイドローラ装置３５１Ｌの伸縮フレーム３５１ａの上端部と、第一ガイドローラ装置３５１Ｒの伸縮フレーム３５１ａの上端部と、を連結する。フレーム連結部３５１ｂは、例えば厚さ方向が上下方向の板状である。

　昇降シリンダ３５１ｃ（支持位置昇降装置）は、ガイドローラ３５１ｅを昇降させ、ガイドローラ３５１ｅによるブーム３２０の支持位置を昇降させる。昇降シリンダ３５１ｃは、シリンダ受台３６０を昇降させ、シリンダ受台３６０によるシリンダチューブ３１９ａの支持位置を昇降させる。昇降シリンダ３５１ｃは、伸縮フレーム３５１ａの内部に配置される（収容される）。昇降シリンダ３５１ｃは、伸縮フレーム３５１ａを上下方向に伸縮さ、さらに詳しくは、外側フレーム３５１ａ１に対して内側フレーム３５１ａ２を昇降させる。昇降シリンダ３５１ｃは、例えば油圧シリンダなどである。

　ガイドローラ支持部３５１ｄは、ガイドローラ３５１ｅを支持する部分であり、伸縮フレーム３５１ａから上に突出する。ガイドローラ支持部３５１ｄは、例えば、ガイドローラ３５１ｅを挟む２枚の板などにより構成される。

　ガイドローラ３５１ｅは、ブーム３２０の（基端ブーム３２１の）腹面に当たり、腹面を支持する部分である。ガイドローラ３５１ｅは、ガイドローラ支持部３５１ｄに対して回転自在であり、図１４に示す基端ブーム３２１のブーム軸方向Ｘへの移動に伴って回転する。

　第二ガイドローラ装置３５２、レール３５３、および台車３５７それぞれは、旋回フレーム３１５よりもブーム先端側Ｘ２に配置され、上部旋回体３１３よりもブーム先端側Ｘ２に配置される。第二ガイドローラ装置３５２、レール３５３、および台車３５７それぞれは、旋回フレーム３１５から離れた位置に（旋回フレーム３１５から切り離された状態で）配置され、上部旋回体３１３から離れた位置に配置される。具体的には、第二ガイドローラ装置３５２、レール３５３、および台車３５７それぞれは、トラック３４０に設けられ、さらに詳しくは、荷台３４１の上に搭載（配置）される。

　第二ガイドローラ装置３５２は、ブーム３２０の後端側部分やブーム軸方向Ｘ中央部を支持する。第二ガイドローラ装置３５２は、第一ガイドローラ装置３５１とほぼ同様に構成される。以下では、第二ガイドローラ装置３５２について、第一ガイドローラ装置３５１との相違点を主に説明する。図１８に示すように、第二ガイドローラ装置３５２は、２つの単位装置を備え、第二ガイドローラ装置３５２Ｌと、第二ガイドローラ装置３５２Ｒと、を備える。第二ガイドローラ装置３５２Ｌおよび第二ガイドローラ装置３５２Ｒは、シリンダロッド３１９ｂと干渉しないように配置され、起伏用ブラケット３２１ｂと干渉しないように配置される。第二ガイドローラ装置３５２Ｌおよび第二ガイドローラ装置３５２Ｒそれぞれは、伸縮フレーム３５２ａ（外側フレーム３５２ａ１および内側フレーム３５２ａ２）と、昇降シリンダ３５２ｃと、ガイドローラ支持部３５２ｄと、ガイドローラ３５２ｅと、を備える。第二ガイドローラ装置３５２Ｒと第二ガイドローラ装置３５２Ｌとは、独立（左右独立）に構成される。具体的には、第二ガイドローラ装置３５２は、図１７に示す第一ガイドローラ装置３５１のフレーム連結部３５１ｂに対応する部材を備えない。図１８に示すガイドローラ３５２ｅの幅（ブーム幅方向Ｙの寸法）は、図１７に示す第一ガイドローラ装置３５１のガイドローラ３５１ｅの幅よりも広い。

　レール３５３は、図１４に示すように、ブーム軸方向Ｘに延びる棒状部材である。レール３５３は、図１９に示すように、ブーム幅方向Ｙに間隔をあけて複数本設けられ、具体的には２本設けられる。ブーム軸方向Ｘから見たレール３５３の断面は、例えばＣ字状であり、Ｉ字状などでもよい。

　台車３５７は、図２０に示すレール３５３に沿ってブーム軸方向Ｘに移動可能である。台車３５７は、ブーム３２０を支持し、具体的には、先端ブーム３２５を支持し、先端ブーム３２５の先端部（ブーム先端側Ｘ２端部）を支持する。台車３５７は、台車フレーム３５７ａと、台車ローラ３５７ｂと、ブームポイントピン固定部３５７ｃと、を備える。台車フレーム３５７ａは、台車ローラ３５７ｂおよびブームポイントピン固定部３５７ｃを支持するフレームである。

　台車ローラ３５７ｂは、台車３５７をレール３５３に沿って移動自在とする部材である。台車ローラ３５７ｂは、台車フレーム３５７ａに取り付けられ、台車フレーム３５７ａに対して台車ローラ３５７ｂの軸回りに回転自在である。台車ローラ３５７ｂは、複数設けられ、例えば１本のレール３５３につき４個（合計８個）設けられる。図１９に示すように、台車ローラ３５７ｂには、レール３５３の下側の面に当たるローラ（１本のレール３５３につき２個、合計４個）がある。台車ローラ３５７ｂには、台車３５７が上に移動しようとしたときに、レール３５３の上側の面に当たるローラ（１本のレール３５３につき２個、合計４個）がある。

　ブームポイントピン固定部３５７ｃは、図２０に示すように、先端ブーム３２５を支持し、さらに詳しくは、ブームポイントピン３２５ｃを支持し、ブームポイントピン３２５ｃを下から支持する（受ける）ためのＵ字状凹部を有する。ブームポイントピン固定部３５７ｃは、例えばピンにより、ブームポイントピン固定部３５７ｃに対してブームポイントピン３２５ｃを固定する。図１９に示すように、ブームポイントピン固定部３５７ｃは、ブーム幅方向Ｙに間隔をあけて２つ設けられ、側板３２５ａよりもブーム幅方向Ｙ両外側のブームポイントピン３２５ｃを支持する。ブームポイントピン固定部３５７ｃは、台車フレーム３５７ａから上に突出する。

　シリンダ受台３６０は、図１７に示すように、起伏シリンダ３１９のシリンダチューブ３１９ａを受ける（下から支持する）台である。シリンダ受台３６０は、旋回フレーム３１５に設けられる。シリンダ受台３６０は、第一ガイドローラ装置３５１に設けられ、２つのガイドローラ支持部３５１ｄの間（ブーム幅方向Ｙの間）に配置され、フレーム連結部３５１ｂの上面に設置される。シリンダ受台３６０は、ブーム軸方向Ｘから見たとき、シリンダチューブ３１９ａの下面を受けることが可能な形状であり、具体的にはＵ字状や円弧状である。

（作動）
　図１２に示すブーム脱着装置３０１の作動の概要は次の通りである。旋回フレーム３１５とブーム３２０とのブームフットピン３２０ａによる連結が切り離される。また、ブーム３２０が、旋回フレーム３１５よりもブーム先端側Ｘ２で支持され、上部旋回体３１３よりもブーム先端側Ｘ２で支持される。好ましくは、ブーム３２０が、さらに旋回フレーム３１５上で、支持される。そして、起伏シリンダ３１９が伸縮することで、ブーム３２０がブーム軸方向Ｘに移動する。下記の例では、ブーム３２０の脱着時に、起伏シリンダ３１９が２回伸縮する（２回伸長し、２回縮小する）。この作動により、ブーム３２０は、上部旋回体３１３に対して脱着される。ブーム脱着装置３０１の作動の詳細は次の通りである。

　ブーム３２０の位置が、上部旋回体３１３に取り付けられた位置（機体装着位置）から、トラック３４０に搭載された位置（搬送台車位置）に変えられるとき（ブーム３２０取り外し時）の、ブーム脱着装置３０１の作動は次の通りである。以下では、工程の順に沿って説明する（工程の順は適宜変更されてもよい）。

　［工程Ａ］第一ガイドローラ装置３５１およびシリンダ受台３６０（図１６参照）が、旋回フレーム３１５に設置される。また、台車３５７が、レール３５３に設置される。

　［工程Ｂ］ブーム３２０が起伏シリンダ３１９により伏せられ、ブーム３２０が（先端ブーム３２５が）台車３５７に支持される。次に、図２０に示すように、ブームポイントピン３２５ｃが、ブームポイントピン固定部３５７ｃに固定される。

　［工程Ｃ］図１７に示す昇降シリンダ３５１ｃの駆動により、ガイドローラ３５１ｅおよびシリンダ受台３６０が昇降する。この昇降により、ガイドローラ３５１ｅがブーム３２０（基端ブーム３２１）を支持する。また、シリンダ受台３６０が、シリンダチューブ３１９ａを支持する。

　［工程Ｄ］図１２に示すブームフットピン３２０ａが、ブーム３２０のブーム後端側Ｘ１端部およびブーム支持ブラケット３１５ｂから取り外される。

　［工程Ｅ］作業者の操作により、起伏シリンダ３１９が伸ばされる。すると、ブーム３２０がブーム先端側Ｘ２に移動する。このとき、ブーム３２０は、第一ガイドローラ装置３５１および台車３５７に支持された状態で、ブーム先端側Ｘ２に移動する。その結果、ブーム３２０のブーム後端側Ｘ１端部が、ブーム支持ブラケット３１５ｂから、ブーム先端側Ｘ２に離れる。図１３に示すように、ブーム３２０のブーム後端側Ｘ１端部とブーム支持ブラケット３１５ｂとのブーム軸方向Ｘの距離が所定距離になったときに、起伏シリンダ３１９の伸長が止められる。

　［工程Ｆ］シリンダロッドピン３１９ｄが、シリンダロッド３１９ｂおよび起伏用ブラケット３２１ｂから取り外される。次に、起伏シリンダ３１９が縮められる。

　［工程Ｇ］図１４に示すように、第二ガイドローラ装置３５２が、荷台３４１に設置され、例えば起伏用ブラケット３２１ｂよりもブーム後端側Ｘ１（旋回フレーム３１５側）に配置される。

　［工程Ｈ］脱着用ブラケット３２２が、ブーム３２０に設置される。さらに詳しくは、脱着用ブラケット本体３２２ｂが、脱着用ブラケット支持部３２２ａに取り付けられる。そして、シリンダロッドピン３１９ｄが、シリンダロッド３１９ｂおよび脱着用ブラケット３２２に取り付けられる。

　［工程Ｉ］起伏シリンダ３１９が伸ばされる。すると、ブーム３２０が、ブーム軸方向Ｘのブーム先端側Ｘ２に移動する。図１５に示すように、このとき、ブーム３２０は、台車３５７および第二ガイドローラ装置３５２に支持された状態で、ブーム先端側Ｘ２に移動する。その結果、ブーム３２０が、搬送台車位置（荷台３４１上の位置）に配置される。

　［工程Ｊ］シリンダロッドピン３１９ｄが、シリンダロッド３１９ｂおよび脱着用ブラケット３２２から取り外される。そして、起伏シリンダ３１９が縮められる。

　［工程Ｋ］ブーム３２０が、トラック３４０により搬送される。

　ブーム３２０の位置が、搬送台車位置から機体装着位置（図１２参照）に変えられるとき（ブーム３２０の取り付け時）のブーム脱着装置３０１の作動は、ブーム３２０の取り外し時の作動とは逆の工程の順により行われる。

（第８の発明の効果）
　図１２に示すブーム脱着装置３０１による効果は次の通りである。
　［構成８］駆動シリンダは、上部旋回体３１３に取り付けられ、上部旋回体３１３に対してブーム３２０を起伏させる起伏シリンダ３１９である。

　上記［構成８］では、ブーム３２０の脱着に起伏シリンダ３１９が用いられるので、起伏シリンダ３１９を作動させるために必要な部材を上部旋回体３１３の外に出す必要がなく、ブーム３２０の脱着作業を容易に行える。

　この効果の具体例は次の通りである。例えば、上部旋回体３１３に対するブーム３２０の脱着をするための動力として、ブーム３２０を伸縮させるための伸縮シリンダ（図２に示す伸縮シリンダ３１を参照）を利用することが考えられる。ここで、伸縮シリンダに圧油を供給する油圧ポンプは上部旋回体３１３に配置され、伸縮シリンダはブーム３２０の内部に配置される。そのため、上部旋回体３１３と伸縮シリンダとに油圧ホース（図２に示す伸縮用油圧ホース３３を参照）がつながれた状態で、ブーム３２０の脱着を行う必要がある。そのため、上部旋回体３１３の外に油圧ホースを出す必要があるので、油圧ホースの取り回し作業が必要になる。一方、本実施形態では、ブーム３２０の脱着に起伏シリンダ３１９が用いられるので、上部旋回体３１３の外に油圧ホースを出す必要がなく、油圧ホースの取り回し作業が不要になる。よって、油圧ホースの取り回し作業が必要な場合に比べ、ブーム３２０の脱着作業を容易に行える。

（第９の発明の効果）
　図１５に示すように、ブーム３２０は、起伏用ブラケット３２１ｂと、脱着用ブラケット３２２と、を備える。起伏用ブラケット３２１ｂには、ブーム３２０を起伏させるときに起伏シリンダ３１９が取り付けられる。
　［構成９］脱着用ブラケット３２２は、起伏用ブラケット３２１ｂよりもブーム後端側Ｘ１（ブーム後端側）に配置され、起伏シリンダ３１９を取り付け可能である。

　ブーム脱着装置３０１は、上記［構成９］を備える。よって、起伏シリンダ３１９が最も伸長したときの起伏シリンダ３１９の先端部よりもブーム先端側Ｘ２に起伏用ブラケット３２１ｂがある状態でも、起伏シリンダ３１９は、脱着用ブラケット３２２を介してブーム３２０をブーム軸方向Ｘに移動させることができる。よって、脱着用ブラケット３２２が設けられない場合に比べ、上部旋回体３１３に対してブーム３２０をよりブーム先端側Ｘ２に遠ざけることができる、または、よりブーム先端側Ｘ２の位置からブーム３２０を上部旋回体３１３に近づけることができる。よって、ブーム３２０の脱着を適切に行える。

（第１０の発明の効果）
　［構成１０］ブーム脱着装置３０１は、図１７に示すように、シリンダ受台３６０を備える。シリンダ受台３６０は、上部旋回体３１３の旋回フレーム３１５に設けられ、起伏シリンダ３１９のシリンダチューブ３１９ａを受ける。

　上記［構成１０］により、図１２に示すブーム３２０の脱着時に、シリンダチューブ３１９ａが旋回フレーム３１５に対して支持される。よって、起伏シリンダ３１９は、ブーム３２０をブーム軸方向Ｘに適切に移動させることができる。よって、ブーム３２０の脱着を適切に行える。シリンダチューブ３１９ａが旋回フレーム３１５に対して支持される結果、起伏シリンダ３１９とブーム３２０との連結部分が旋回フレーム３１５に対して支持される。よって、起伏シリンダ３１９とブーム３２０とを連結する部材（例えばシリンダロッドピン３１９ｄ）の脱着を適切に行える。

（第１１の発明の効果）
　［構成１１］ブーム支持装置３５０は、レール３５３と、台車３５７と、を備える。レール３５３は、ブーム軸方向Ｘに延びる。台車３５７は、レール３５３に沿ってブーム軸方向Ｘに移動可能であり、ブーム３２０を支持する。

　上記［構成１１］により、台車３５７は、ブーム３２０の脱着時にブーム軸方向Ｘに移動するブーム３２０を、確実に支持できる。よって、ブーム３２０の脱着を適切に行える。

（第１２の発明の効果）
　［構成１２］ブーム支持装置３５０（第一ガイドローラ装置３５１）は、さらに上部旋回体３１３の旋回フレーム３１５に設けられる。

　上記［構成１２］により、上部旋回体３１３よりもブーム先端側Ｘ２のみにブーム支持装置３５０が配置される場合よりも、ブーム３２０を確実に支持できる。よって、ブーム３２０の脱着を適切に行える。

（第１６の発明の効果）
　本実施形態のブーム脱着方法による効果は次の通りである。
　［構成１６］駆動シリンダは、上部旋回体３１３に取り付けられ、上部旋回体３１３に対してブーム３２０を起伏させる起伏シリンダ３１９である。
　この［構成１６］により、上記「（第８の発明の効果）」と同様の効果が得られる。

（変形例）
　上記の各実施形態は様々に変形されてもよい。互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、図２に示す上部旋回体１３に対するブーム２０の脱着を行うための動力として、伸縮シリンダ３１と、図１２に示す起伏シリンダ３１９と、が用いられてもよい。例えば、図２に示す伸縮シリンダ３１によりブーム２０の脱着が行われるときに、図１２に示す第一ガイドローラ装置３５１が用いられてもよい。

　固定や連結などは、直接的に行われてもよく、間接的に行われてもよい。例えば、図２に示す起伏シリンダ支持装置１９ｓは、旋回フレーム１５に直接固定されてもよく、図１７に示すシリンダ受台３６０のように、例えば第一ガイドローラ装置３５１などの部材を介して旋回フレーム３１５に取り付けられてもよい。

　図１に示す下部走行体１１はホイールを備えてもよい。クレーン１０はホイール式でもよい。図２に示すブーム２０の単位ブームの段数は４段だったが、この段数は２段、３段、または５段以上でもよい。

　上記実施形態ではブーム支持装置５０は、トラック４０に設けられた。しかし、ブーム支持装置５０は、トラック４０以外の搬送台車に設けられてもよく、自走しない搬送台車に設けられてもよく、例えばトレーラーに設けられてもよく、また例えばブーム２０の搬送専用の台車に設けられてもよく、この台車と一体でもよい。また、ブーム支持装置５０は、搬送台車に設けられなくてもよく、地面や床面などに固定されてもよい。

　上記実施形態では、ブーム支持装置５０は装置であったが、ブーム支持装置５０の一部または全部は装置でないブーム支持部でもよい。装置でないブーム支持部は、ブロック状の物でもよく、例えば木などでもよい。

　図３に示すように、ブーム先端側支持装置６０は、先端ブーム２５のブームポイントピン２５ｃを支持した。しかし、ブーム先端側支持装置６０は、ブームポイントピン２５ｃ以外の部分を支持してもよく、例えば側板２５ａを支持してもよく、例えば側板２５ａの下端部を支持してもよい。また、ブーム先端側支持装置６０は、先端ブーム２５以外の単位ブーム（基端ブーム２１を除く）を支持してもよい。横部材５５や補強部材６３は設けられなくてもよい。

　図２に示すように、ブーム後端側支持装置７０の数は２であったが、１でもよく、３以上でもよい。ブーム後端側支持装置７０は、高さ調整不可能に構成されてもよく、例えば入れ子でない箱状部材などにより構成されてもよい。ブーム後端側支持装置７０は、ブーム軸方向Ｘに移動不可能でもよく、例えばフレーム５１や荷台４１に固定されてもよい。

　ブーム後端側支持装置７０に、ブーム２０の荷重を検出する荷重検出手段が設けられてもよい。この荷重検出手段により、図９Ｃに示すブームフットピン２０ａを取り外すときに、ブーム後端側支持装置７０がブーム２０を適切に支持しているかどうかを検出できる。図６に示す昇降シリンダ８５が油圧シリンダの場合、この荷重検出手段は、例えば油圧シリンダに供給される作動油の圧力を検出する油圧センサである。この荷重検出手段は、ロードセルなどでもよい。

　上記実施形態では、油圧シリンダである昇降シリンダ８５により天板８３の高さが変えられたが、天板８３の高さは、例えば電動モータなどにより電力を用いて変えられてもよい。

　上記実施形態では、車輪８８がレール５３上に配置されることにより、ブーム後端側支持装置７０が、ブーム軸方向Ｘに移動可能とされた。しかし、車輪８８を、例えば滑り部材などに代えてもよい。滑り部材は、レール５３に対して滑りやすく構成され、例えば板状（スライディングパッド）であり、例えば樹脂製である。車輪８８や滑り部材は、レール５３の上に配置されなくてもよく、レール５３の横（ブーム幅方向Ｙ外側または内側）や、レール５３に形成された溝などに配置されてもよい。

　上記実施形態の、上部旋回体１３からブーム２０を取り外す手順、および、上部旋回体１３にブーム２０を取り付ける手順は、適宜変更されてもよい。第２実施形態では、ジャッキ２１１ｃにより、上部旋回体１３の地面に対する傾きが調整されたが、傾きが調整されずに高さのみ調整されてもよい。

　図２に示すように、第１および第２実施形態では、起伏シリンダ１９が上部旋回体１３に接続された状態で、ブーム２０が上部旋回体１３に対して脱着された。しかし、起伏シリンダ１９が、ブーム２０に接続された状態かつ上部旋回体１３から切り離された状態で、ブーム２０が上部旋回体１３に対して脱着されてもよい。

　図１２に示す第３実施形態のブーム脱着装置３０１では、ブーム３２０は、伸縮式でなくてもよい。

　図１４に示す脱着用ブラケット３２２の数は、上記実施形態では１であったが、２以上でもよい。また脱着用ブラケット３２２は設けられなくてもよい。旋回フレーム３１５に対してブーム３２０を脱着させる際に必要な、起伏シリンダ３１９の伸縮回数は、上記実施形態では２回であったが、１回や３回以上でもよい。

　図１５に示すように、上記実施形態では、ブーム脱着作業時のシリンダロッド３１９ｂとブーム３２０との連結は、脱着用ブラケット３２２（脱着用連結部材）およびシリンダロッドピン３１９ｄにより行われた。しかし、ブーム脱着作業時のシリンダロッド３１９ｂとブーム３２０との連結は、例えば、ワイヤなどを取り付け可能な部材（脱着用連結部材）およびワイヤなどにより行われてもよい。

　第一ガイドローラ装置３５１や第二ガイドローラ装置３５２と同様の装置が、旋回フレーム３１５や荷台３４１上に、さらに設けられてもよい。

　図２０に示す台車ローラ３５７ｂの数は、上記実施形態では８であったが、８未満でもよく、８を超えてもよい。図１９に示すように、上記実施形態では、レール３５３の下側の面にのみ当たる台車ローラ３５７ｂと、レール３５３の上側の面にのみ当たる台車ローラ３５７ｂと、が設けられた。しかし、レール３５３の上側および下側の両面に当たる台車ローラ３５７ｂが設けられてもよい。上記実施形態では、レール３５３および台車ローラ３５７ｂにより、台車３５７の上への移動が規制されたが、この移動の規制は行われなくてもよい。具体的には例えば、レール３５３の上面の上に台車ローラ３５７ｂが配置されてもよい（図７に示すレール５３と車輪８８との配置を参照）。

　図１９に示すように、上記実施形態では、ブームポイントピン固定部３５７ｃにブームポイントピン３２５ｃが固定されることで、ブーム３２０が台車３５７に支持された。しかし、台車３５７は、ブームポイントピン３２５ｃを固定することなく、ブームポイントピン３２５ｃを支持してもよい。また、台車３５７は、先端ブーム３２５の例えば側板３２５ａを支持してもよい。また、台車３５７は、先端ブーム３２５以外の単位ブーム（図１２に示す基端ブーム３２１など）を支持してもよい。

　上記実施形態では、図１７に示すシリンダ受台３６０は、昇降シリンダ３５１ｃによって、ガイドローラ３５１ｅと共に昇降した。しかし、ガイドローラ３５１ｅを昇降させるための（ブーム３２０を昇降させるための）昇降シリンダ３５１ｃとは別に、シリンダ受台３６０を昇降させるための昇降シリンダが設けられてもよい。この場合、ガイドローラ３５１ｅの高さ（ブーム３２０の高さ）の調整と、シリンダ受台３６０の高さの調整と、を別に行える。よって、図１２に示すブームフットピン３２０ａ用のピン孔の位置決め、および、図１３および図１４に示すシリンダロッドピン３１９ｄ用のピン孔の位置決めを適切に行える。

　１、２０１、３０１　ブーム脱着装置
　１０、３１０　クレーン
　１３、３１３　上部旋回体
　１５、３１５　旋回フレーム
　１９、３１９　起伏シリンダ（駆動シリンダ）
　２０、３２０　ブーム
　２０ａ、３２０ａ　ブームフットピン
　３１　伸縮シリンダ（駆動シリンダ）
　４０、３４０　トラック（搬送台車）
　５０、３５０　ブーム支持装置（ブーム支持部）
　５３、３５３　レール
　６０　ブーム先端側支持装置（ブーム先端側支持部）
　７０　ブーム後端側支持装置（ブーム後端側支持部）
　７１　第一ブーム後端側支持装置（第一ブーム後端側支持部）
　７２　第二ブーム後端側支持装置（第二ブーム後端側支持部）
　８５　昇降シリンダ（支持高さ変更部）
　２１１ｃ　ジャッキ
　３１９ａ　シリンダチューブ
　３２１ｂ　起伏用ブラケット
　３２２　脱着用ブラケット（脱着用連結部材）
　３５７　台車
　３６０　シリンダ受台
　Ｘ　ブーム軸方向
　Ｘ１　ブーム後端側
　Ｘ２　ブーム先端側

Claims (16)

1. 　上部旋回体と、
   　ブームフットピンを介して前記上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームと、
   　前記上部旋回体または前記ブームに設けられ、前記ブームを駆動させる駆動シリンダと、
   　前記ブームを支持するブーム支持部と、
   　を備え、
   　前記ブーム支持部の少なくとも一部は、前記上部旋回体よりもブーム先端側に配置され、
   　前記ブーム支持部は、前記上部旋回体と前記ブームとの前記ブームフットピンによる連結が切り離された状態で前記駆動シリンダが伸縮動作したときに、前記ブームの後端部がブーム軸方向に移動可能となるように、前記ブームを支持する、
   　クレーンのブーム脱着装置。
2. 　請求項１に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブームは、伸縮可能であり、
   　前記駆動シリンダは、前記ブームを伸縮させる伸縮シリンダである、
   　クレーンのブーム脱着装置。
3. 　請求項２に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブーム支持部は、
   　ブーム先端側支持部と、
   　前記ブーム先端側支持部よりもブーム後端側に配置されるブーム後端側支持部と、
   　を備える、
   　クレーンのブーム脱着装置。
4. 　請求項３に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブーム支持部は、ブーム軸方向に延びるレールを備え、
   　前記ブーム後端側支持部は、前記レールに沿ってブーム軸方向に移動可能である、
   　クレーンのブーム脱着装置。
5. 　請求項３または４に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブーム後端側支持部は、前記ブームを支持する部分を任意の高さに変える支持高さ変更部を備える、
   　クレーンのブーム脱着装置。
6. 　請求項３から請求項５のいずれか１項に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブーム後端側支持部は、ブーム軸方向に間隔をあけて複数設けられる、
   　クレーンのブーム脱着装置。
7. 　請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記上部旋回体を任意の高さに持ち上げるジャッキを備える、
   　クレーンのブーム脱着装置。
8. 　請求項１に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記駆動シリンダは、前記上部旋回体に取り付けられ、前記上部旋回体に対して前記ブームを起伏させる起伏シリンダである、
   　クレーンのブーム脱着装置。
9. 　請求項８に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
   　前記ブームは、
   　前記ブームを起伏させるときに前記起伏シリンダが取り付けられる起伏用ブラケットと、
   　前記起伏用ブラケットよりもブーム後端側に配置され、前記起伏シリンダを取り付け可能な脱着用連結部材と、
   　を備える、
   　クレーンのブーム脱着装置。
10. 　請求項８または９に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
    　前記上部旋回体の旋回フレームに設けられ、前記起伏シリンダのシリンダチューブを受けるシリンダ受台を備える、
    　クレーンのブーム脱着装置。
11. 　請求項８から請求項１０のいずれか１項に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
    　前記ブーム支持部は、
    　ブーム軸方向に延びるレールと、
    　前記レールに沿ってブーム軸方向に移動可能であり、前記ブームを支持する台車と、
    　を備える、
    　クレーンのブーム脱着装置。
12. 　請求項８から請求項１１のいずれか１項に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
    　前記ブーム支持部は、さらに前記上部旋回体の旋回フレームに設けられる、
    　クレーンのブーム脱着装置。
13. 　請求項１から請求項１２のいずれか１項に記載のクレーンのブーム脱着装置であって、
    　前記ブーム支持部は、前記ブームを搬送するための搬送台車に設けられる、
    　クレーンのブーム脱着装置。
14. 　ブームフットピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームと、前記上部旋回体または前記ブームに設けられ、前記ブームを駆動させる駆動シリンダと、を備えるクレーンのブーム脱着方法であって、
    　前記上部旋回体よりもブーム先端側で前記ブームが支持された状態、かつ、前記上部旋回体と前記ブームとの前記ブームフットピンによる連結が切り離された状態で、前記駆動シリンダを伸縮動作させることで、前記ブームの後端部をブーム軸方向に移動させる、
    　クレーンのブーム脱着方法。
15. 　請求項１４に記載のクレーンのブーム脱着方法であって、
    　前記ブームは、伸縮可能であり、
    　前記駆動シリンダは、前記ブームを伸縮させる伸縮シリンダである、
    　クレーンのブーム脱着方法。
16. 　請求項１４に記載のクレーンのブーム脱着方法であって、
    　前記駆動シリンダは、前記上部旋回体に取り付けられ、前記上部旋回体に対して前記ブームを起伏させる起伏シリンダである、
    　クレーンのブーム脱着方法。

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