WO2016117461A1 - バイト - Google Patents
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Abstract
Description
また、例えばノーズRの大きさ等、切れ刃形状が互いに異なる複数種類の切削インサートの中から所定の切削インサートを選択して、工具本体に装着し旋削加工する場合がある。このような場合に、切れ刃形状が種々様々に設定された各切削インサートの逃げ面及び切れ刃に対して、クーラントを精度よく安定的に供給することが難しかった。
また切削加工の種類に応じて、逃げ面及び切れ刃の所定の部位に対して、クーラントを高精度に安定して供給することも要求されていた。
すなわち、本発明は、軸状をなす工具本体の先端部に、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面の交差稜線をなす切れ刃と、が配置されたバイトであって、前記工具本体の内部には、クーラント供給路が形成され、前記工具本体の先端部には、クーラント噴出部材が着脱可能に設けられ、前記クーラント噴出部材は、筒部と、前記筒部の内部を通して前記クーラント供給路に連通し、前記逃げ面及び前記切れ刃に向けて開口する噴出孔と、を備えることを特徴とする。
このように、クーラント噴出部材の噴出孔とクーラント供給路とが、筒部を介して連通しているので、クーラントが、噴出孔以外の部位から意図しない向きに漏出することが防止される。
従って、本発明によれば、クーラントの供給量を増大させることなく十分な量のクーラントを、逃げ面及び切れ刃に効率よく供給することができる。
すなわち、例えば工具本体の先端部に、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着される場合(刃先交換式バイトの場合)等において、複数種類の切削インサートの種々様々な切れ刃形状や切削加工の種類(以下、切れ刃形状等と省略)に対応して、互いに異なる噴出孔の形状・配置・大きさ等とされた複数種類のクーラント噴出部材を用意しておくことが可能である。そして、これらクーラント噴出部材の中から、所定の切れ刃形状に適した所定のクーラント噴出部材を選択して、工具本体に装着することができる。
従って、切れ刃形状等に係わらず、逃げ面及び切れ刃に向けてクーラントを精度よく安定して供給することができる。これにより、切れ刃近傍の冷却効率を高めることができる。よって、切削精度の向上、切削加工の高効率化、工具寿命の延長(長寿命化)等の効果を期待することができる。
これにより、上述したクーラントを逃げ面及び切れ刃に向けて精度よく供給することができる、という効果が、より顕著なものとなる。
従って、クーラント噴出部材により上述した顕著な作用効果が得られつつも、バイトをコンパクトに構成でき、かつ、クーラント噴出部材を装着したことによって旋削加工の条件が制限されてしまうような事態も防止できる。
以下、本発明の第1実施形態に係るバイトである刃先交換式バイト30について、図面を参照して説明する。
本実施形態の刃先交換式バイト30は、金属材料等からなる被削材に旋削加工(切削加工)を施すものである。
図1~図6に示されるように、刃先交換式バイト30は、超硬合金等の硬質材料からなる切削インサート1と、鋼材等からなり切削インサート1が着脱可能に装着される工具本体31と、を備えている。
工具本体31は、軸状をなしており、切削インサート1は、板状をなしていて工具本体31の先端部に配置される。また、切削インサート1には、すくい面7と、逃げ面8と、すくい面7と逃げ面8の交差稜線をなす切れ刃5と、が形成されている。
本実施形態の工具本体31は、その軸線Oに垂直な断面が矩形状をなしていて、角棒状に形成されている。工具本体31は、軸線O方向の両端部のうち、先端部が、加工時に被削材の加工面に接近配置され、基端部が、不図示の工作機械に着脱可能に取り付けられる。
ここで、本明細書では、刃先交換式バイト30の工具本体31の軸線O方向のうち、被削材の加工面に向かう方向(切削インサート1が配置される端部へ向かう方向)を先端側といい、被削材の加工面とは反対側へ向かう方向を基端側という。
また、工具本体31の軸線Oに垂直な仮想平面に平行な方向のうち、切削インサート1のすくい面7が向く方向を上方といい、すくい面7とは反対側を向く方向を下方といい、上方及び下方(上下方向)に直交する方向を側方という。
ただし、特に図示していないが、旋削加工時においては、刃先交換式バイト30の工具本体31は、インサート取付座32に配設された切削インサート1のすくい面7が、鉛直方向の下方を向くように、工作機械に装着される。
本実施形態では、インサート軸線Cは、工具本体31の上下方向(図6における上下方向)に対して傾斜して延びている。
インサート取付座32は、切削インサート1の形状に対応して切り欠かれるように形成された凹状をなしており、本実施形態では、切削インサート1が略菱形の矩形板状に形成されているのに対応して、インサート取付座32は、工具本体31の先端部において軸線O方向の先端側、上方及び側方へ向けて開口する略菱形の矩形穴状をなしている。
図示の例では、シート部材35が、皿ねじにより底壁39に螺着されている。また、シート部材35の外周面のうち、下方部分が、下方へ向かうに従い漸次インサート径方向の内側へ向かうように傾斜している。シート部材35は、例えば超硬合金等の硬質材料により形成される。
なお、図6に示される例では、一対の側壁同士の交差部分に、切削インサート1及びシート部材35の鋭角の角部を収容するように、インサート軸線C方向に延びる溝状のぬすみ部40が形成されている。
クランプ駒33及びクランプねじ34を含むクランプ機構は、切削インサート1をインサート取付座32のシート部材35に向けて押圧し、かつ切削インサート1をインサート取付座32の一対の側壁に向けて(工具本体31の内側へ向けて)引き込むことで、インサート取付座32に対する切削インサート1の移動を規制して、該切削インサート1をクランプ(固定)する。
クーラント供給路36は、工具本体31の内部に形成されたクーラント(油性又は水溶性の切削剤)の流路である。図6に示される例では、クーラント供給路36が上下方向に延びており、工具本体31の下面に開口している。また、クーラント供給路36の上端部は、該上端部以外の部位よりも小径に形成されている。
クーラント供給路36には、刃先交換式バイト30の外部に設けられた不図示のクーラント供給手段が接続される。
収容凹部38は、クーラント噴出部材37の形状に対応して切り欠かれるように形成された凹状をなしている。収容凹部38は、クーラント供給路36に接続する孔部41と、孔部41におけるクーラント供給路36とは反対側に接続する切り欠き部42と、を備えている。孔部41は、後述するクーラント噴出部材37の筒部43に対応する形状とされており、切り欠き部42は、クーラント噴出部材37の噴出部44に対応する形状とされている。
図6に示される例では、孔部41のうち、切り欠き部42に接続する部分が、クーラント供給路36に接続する部分よりも大径となっている。
図5及び図6において、クーラント噴出部材37は、収容凹部38に収容されるように工具本体31の先端部に配設される。本実施形態では、クーラント噴出部材37が、工具本体31の先端部に取付ねじ45により着脱可能に固定されている。
また、クーラント噴出部材37は、切削インサート1の逃げ面8に対して、該逃げ面8に平行な方向のうち、切れ刃5とは反対側に隣り合うように配設される。具体的に、クーラント噴出部材37は、インサート取付座32の下方に隣接する収容凹部38に装着されており、切削インサート1の逃げ面8に対して、インサート軸線C方向の切れ刃5とは反対側(つまり下方であり、インサート軸線C方向に沿うすくい面7から着座面側)に隣り合うように配設されている。
そして、噴出部44には、筒部43の内部を通してクーラント供給路36に連通し、切削インサート1の逃げ面8及び切れ刃5に向けて開口する噴出孔46が形成されている。また、クーラント噴出部材37の噴出孔46と、切れ刃5との間に、逃げ面8が位置しており、噴出孔46は、逃げ面8に隣り合うように配設される。
図6に示されるインサート軸線C方向に沿う縦断面視で、筒部43は、クーラント供給路36との連結部分から工具本体31の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い(本実施形態では先端側及び側方に向かうに従い)、漸次噴出孔46から切れ刃5側へ向かって(つまりインサート軸線C方向に沿う着座面からすくい面7側へ向かって、工具本体31の上方へ向かって)、傾斜して延びている。
また、筒部43の外周には、環状のシール部材47が嵌合している。図示の例では、筒部43の外周面に設けられた溝48内に、シール部材47として、樹脂材料等からなるOリングが配設されている。また、シール部材47は、収容凹部38の孔部41の内周面に密着している。
図9において、本実施形態の噴出孔46の開口形状は、噴出部44のL字状をなす上面の形状と同様に、L字状をなしている。
また、図2に示されるように、工具本体31を上下方向から見た上面視においては、噴出部44は、切削インサート1の切れ刃5よりも工具本体31の内側(軸線O方向の基端側かつ側方の内側)に後退して配置される。
また、図10及び図12に示されるように、噴出部44の側方の両端部には、取付ねじ45が係止される切り欠き凹部49が形成されている。
図5~図7に示されるように、切削インサート1は、板状をなすインサート本体2と、インサート本体2の表裏面(表面及び裏面)3、及びこれら表裏面3の周縁同士をインサート軸線C方向に沿うように接続する外周面4と、表裏面3と外周面4との交差稜線部に形成された切れ刃5と、インサート本体2をインサート軸線C方向に貫通して形成され、表裏面3に開口するとともにクランプ駒33(クランプ機構)に係止される取付孔6と、を備えている。
具体的には、図5及び図7において、インサート本体2の表裏面3における外周端縁の各コーナ部は凸曲線状をなしており、これら各コーナ部のうち、菱形状をなす表裏面3の一対の鋭角の角部に位置するコーナ部及びその近傍が、切れ刃5とされている。また、表裏面3の各中央部に(インサート軸線Cに同軸に)、取付孔6が開口している。
またインサート本体2の外周面4のうち、少なくとも切れ刃5に隣接する領域を含む部位が、逃げ面8とされる。
切削インサート1の切れ刃5は、すくい面7と逃げ面8との交差稜線部に形成されている。図5、図7及び図8に示されるように、切れ刃5は、表裏面3のコーナ部(すくい面7のコーナ部)に位置するコーナ刃9と、コーナ刃9の両端に接続して直線状に延びる一対の直線刃10、11と、を有している。つまり切れ刃5は、コーナ刃9と、このコーナ刃9をインサート周方向から挟むように該コーナ刃9に連続する一対の直線刃10、11と、を備えており、コーナ刃9は、切れ刃5全長における中間部分(一対の直線刃10、11同士の間)に配置されている。
なお、切削インサート1における少なくとも切れ刃5近傍(切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8)には、CVDコーティング膜等の硬質膜が被覆されていることが好ましい。
またこの上面図で、L字状をなす噴出孔46の幅中心を通るL字状の仮想線Vは、切れ刃5のコーナ刃9及び直線刃10、11との間の距離が略一定(所定範囲内の距離)となるように配置されている。つまり、図8の上面図で、噴出孔46の幅中心をなす仮想線Vは、切れ刃5の刃長方向に沿うように延びている。
以上説明した本実施形態の刃先交換式バイト30によれば、工具本体31の先端部に、クーラント噴出部材37が配設されており、クーラント供給路36を流れるクーラントが、該クーラント噴出部材37の筒部43及び噴出部44の噴出孔46を通して、切削インサート1の逃げ面8及び切れ刃5に向けて噴出させられる。
このように、クーラント噴出部材37の噴出孔46とクーラント供給路36とが、筒部43を介して連通しているので、クーラントが、噴出孔46以外の部位から意図しない向きに漏出することが防止される。
従って、本実施形態によれば、クーラントの供給量を増大させることなく十分な量のクーラントを、逃げ面8及び切れ刃5に効率よく供給することができる。
すなわち、本実施形態のように、工具本体31の先端部に、切れ刃5を有する切削インサート1が着脱可能に装着される場合(刃先交換式バイト30の場合)において、複数種類の切削インサート1の種々様々な切れ刃5形状や切削加工の種類(以下、切れ刃5形状等と省略)に対応して、互いに異なる噴出孔46の形状・配置・大きさ等とされた複数種類のクーラント噴出部材37を用意しておくことが可能である。そして、これらクーラント噴出部材37の中から、所定の切れ刃5形状に適した所定のクーラント噴出部材37を選択して、工具本体31に装着することができる。
図14及び図15に示される変形例では、インサート軸線C方向から見た上面視で、切削インサート1の切れ刃5が円弧状をなしている。具体的にこの変形例では、前述の実施形態で説明した切れ刃5に比べて、すくい面7のコーナ部のノーズR(つまりコーナ刃9の曲率半径)が大きくなっている。
そして、仮想線Vは、コーナ刃9の中央部付近では、切れ刃5よりもインサート径方向の外側に配置されており、コーナ刃9の中央部以外の部位では、切れ刃5よりもインサート径方向の内側に配置されている。
従って、インサート軸線C方向からすくい面7を正面に見た上面視で、噴出孔46の幅中心を通る仮想線Vは、切れ刃5のコーナ刃9及び直線刃10、11に沿って延びていることが好ましい。
なお、この変形例では図19に示される上面視において、仮想線Vが、コーナ刃9の刃長方向の端部(直線刃11側の端部)と中央部との間に位置する部分で、切れ刃5に対して交差している。
なお、この変形例では図21に示される上面視において、仮想線Vが、コーナ刃9の刃長方向の端部(直線刃10側の端部)と中央部との間に位置する部分で、切れ刃5に対して交差している。
従って、切れ刃5形状等に係わらず、逃げ面8及び切れ刃5に向けてクーラントを精度よく安定して供給することができる。これにより、切れ刃5近傍の冷却効率を高めることができる。よって、切削精度の向上、切削加工の高効率化、工具寿命の延長(長寿命化)等の効果を期待することができる。
これにより、上述したクーラントを逃げ面8及び切れ刃5に向けて精度よく供給することができる、という効果が、より顕著なものとなる。
すなわち上記構成によれば、筒部43は傾斜して延びており、筒部43とクーラント供給路36、及び、筒部43と噴出孔46が、それぞれ鈍角に交差するように緩やかな角度で連結されて、これらの内部を流れるクーラントの圧力損失を低減することができる。これにより、刃先交換式バイト30の内部でクーラント供給圧が減圧してしまうことを防止でき、逃げ面8及び切れ刃5へのクーラントの供給効率をさらに高めることができる。
すなわち上記構成によれば、クーラント噴出部材37が、収容凹部38に収容されて、工具本体31の先端部から大きく出っ張る(突出する)ことが抑制される。
従って、クーラント噴出部材37により上述した顕著な作用効果が得られつつも、刃先交換式バイト30をコンパクトに構成でき、かつ、クーラント噴出部材37を装着したことによって旋削加工の条件が制限されてしまうような事態も防止できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る刃先交換式バイト60について、図22~図25を参照して説明する。
なお、前述の実施形態(第1実施形態)と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
本実施形態の刃先交換式バイト60は、取付ねじ45を用いることなく、収容凹部38からクーラント噴出部材61が離脱することを防止することが可能な、離脱規制構造(抜け出し防止構造)を備えている。
離脱規制構造について、説明する。
図23及び図24に示されるように、この刃先交換式バイト60は、クーラント噴出部材61の噴出部44の上面におけるインサート径方向の内端が、シート部材35の外周面のうちインサート径方向の外側を向く面からインサート径方向の内側へ向けて後退する後退量(オーバーハング量)X、並びに、噴出部44の上面と、シート部材35の下面とのインサート軸線C方向の隙間Yを、所定範囲にそれぞれ設定することにより、クーラント噴出部材61が収容凹部38から離脱することを規制可能に構成されている。
まず、旋削加工前において、切削インサート1及びシート部材35をインサート取付座32から取り外した状態として、クーラント噴出部材61の筒部43を、収容凹部38の孔部41に挿入しつつ、クーラント噴出部材61を収容凹部38に装着する。
クーラント噴出部材61を収容凹部38に装着したら、切削インサート1及びシート部材35を、インサート取付座32に取り付ける。
本実施形態の刃先交換式バイト60によれば、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、取付ねじ45が不要であるので、部品点数を削減することができる。また、クーラント噴出部材61の形状を簡素化することができる。
この場合、噴出孔46から、逃げ面8及び切れ刃5までの距離をさらに小さく抑えることができ、上述した作用効果がより顕著なものとなる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
7 すくい面
8 逃げ面
30、60 刃先交換式バイト
31 工具本体
36 クーラント供給路
37、61 クーラント噴出部材
38 収容凹部
43 筒部
46 噴出孔
47 シール部材
Claims (5)
- 軸状をなす工具本体の先端部に、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面の交差稜線をなす切れ刃と、が配置されたバイトであって、
前記工具本体の内部には、クーラント供給路が形成され、
前記工具本体の先端部には、クーラント噴出部材が着脱可能に設けられ、
前記クーラント噴出部材は、
筒部と、
前記筒部の内部を通して前記クーラント供給路に連通し、前記逃げ面及び前記切れ刃に向けて開口する噴出孔と、を備えることを特徴とするバイト。 - 請求項1に記載のバイトであって、
前記クーラント噴出部材の前記噴出孔と前記切れ刃との間に、前記逃げ面が位置しており、
前記噴出孔は、前記逃げ面に隣り合うように配設されることを特徴とするバイト。 - 請求項2に記載のバイトであって、
前記筒部は、前記クーラント供給路との連結部分から前記工具本体の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、漸次前記噴出孔から前記切れ刃側へ向かって傾斜して延びていることを特徴とするバイト。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載のバイトであって、
前記筒部の外周に、環状のシール部材が嵌合することを特徴とするバイト。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載のバイトであって、
前記工具本体の先端部には、前記クーラント供給路に連通する収容凹部が形成されており、
前記クーラント噴出部材は、前記収容凹部に収容されることを特徴とするバイト。
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