JP3317783B2 - 旋削工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クーラント液の噴射穴
の備わる旋削工具に関し、クーラント液の流量調整およ
び断水の可能な機構を有する旋削工具を提供するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】切削工具の切れ刃に対するクーラント液
の供給は、切れ刃の熱的損傷の抑制、加工物や工作機械
の冷却、切りくず処理の改善などを目的として行なわ
れ、一般には、工作機械に備わる給油ノズルより、切削
工具の外部より供給している。

【０００３】しかしながら、切削点の近くで供給する方
が供給効果が高まるために、工具本体内部に設けた流路
を通し、切削点近傍で開口させてクーラント液を噴射供
給する技術が開発されている。最近では、供給効果をよ
り効果的にするために流路を工具本体内部で分岐させ、
複数の開口をもたせたものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】切削加工においては、
被加工材料、切削速度、送り量、切削方向、切れ刃チッ
プのブレーカ形状など種々の切削条件の組合わせによ
り、切れ刃の損傷形態や切りくず形状などが異なってく
る。このような切削性能の状況に応じて細かく対応しよ
うとする場合、上記の如き従来の旋削工具は調整不可能
なため、十分に対応しきれない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き課
題に鑑みなされたもので、クーラント液供給用の流路を
内蔵する旋削工具において、流路の間に調整駒を介在さ
せ、この調整駒に形成された穴または溝の位置を旋回に
て移動することにより、クーラント液の流量調整および
断水ができるようにしたものである。

【０００６】

【作用】たとえば、切れ刃チップのすくい面と逃げ面の
両方にクーラント液を噴射供給するようにした旋削工具
において、すくい面のクレータ摩耗や切りくず溶着ある
いは切りくず形状などを改善したいときには、すくい面
に比較的多量かつ高圧のクーラント液が噴射供給がなさ
れるようにする。逃げ面のフランク摩耗やコーナ摩耗な
どを改善したいときには、逃げ面に比較的多量かつ高圧
のクーラント液が噴射供給がなされるようにすれば供給
効果は高まる。

【０００７】また、たとえば、切削方向により主切れ刃
が異なっても使用できるような刃形をもつ旋削工具にお
いて、それぞれの切れ刃に噴射供給するための２つの流
路を備えた旋削工具の場合、使用する主切れ刃にしたが
って、２つの開口より噴射供給するクーラント液の量を
調節できるようになる。

【０００８】

【実施例１】次に、本発明の一実施例について、図を参
照しながら説明する。

【０００９】図１〜図３において、旋削工具１の工具本
体２の先端に備わるチップ座に、切れ刃チップ３が敷金
４とともに装着されている。装着の方法はいづれでも構
わないが、本実施例では、スローアウェイ式バイトで最
も実用されている構造の一つであるレバーピンによる引
き込み機構を採用している。

【００１０】工具本体２の内部には後端よりクーラント
液の流路５が穿設され、途中で２つに分岐している。そ
の一つは上方に向かい、旋削工具１の上面かつ切れ刃チ
ップ３近傍で開口している。開口上には給油駒６があっ
て、給油駒６はボルト７により固定されている。そし
て、前記流路５は給油駒６内の流路に連通し、内部で方
向を変え、クーラント液が噴射口８よりすくい面９に向
けて噴射供給されるようになっている。

【００１１】流路５より分岐したもう一方の流路５は、
工具本体２の先端に向かい、先端に備わる突出部１０に
て開口し、クーラント液が噴射口１１より逃げ面１２に
向けて噴射供給されるようになっている。

【００１２】分岐した２本の流路５の途中には、それぞ
れ調整駒１３が挿入されている。この調整駒１３は円柱
状部材からなり、１端面に備わる６角穴１４により旋回
操作が可能となっている。挿入された調整駒１３は固定
リング１５によって抜け防止され、Ｏリング１６によっ
て液漏れ防止される。流路５と連通する部位には流路１
７が貫通している。図３の状態は流路が分断されてい
て、クーラント液が断水された状態であるが、調整駒１
３を少しづつ旋回させていけば、クーラント液は次第に
流れるようになり、流路５と流路１７とが完全に一致し
たところで最大の流量となる。

【００１３】２つの調整駒１３を各々別個に調整するこ
とにより、切削状況に応じて、切れ刃チップ３のすくい
面９側と逃げ面１２側とでクーラント液の噴射供給量を
調整できるようになる。

【００１４】

【実施例２】図４〜図７において、本実施例は、調整駒
１３の構造以外は実施例１と同一である。調整駒１３の
抜け防止用の固定リング１５、液漏れ防止用のＯリング
１６、操作用の６角穴１４も同一である。

【００１５】本実施例では、調整駒１３は流路５の分岐
点に１つだけ挿入されている。そして、流路５と連通す
る部位には流路１８が貫通している。図６のように、流
路１８を含む面での横断面は、入口および出口にて扇状
に広がった形状をしていて、出口側形状は、詳しくは分
岐した２つの流路の外縁まで広がった扇形となってい
る。

【００１６】図７は、調整駒１３を右旋回させて、分岐
した下側の流路をおよそ半分まで絞った状態のものであ
る。さらに旋回すれば、下側の流路は完全に塞がれる。
また逆に、調整駒１３を左方向に旋回させれば、上側の
流路が絞られクーラント液の流量を調整したり断水した
りすることができる。

【００１７】

【実施例３】図８〜図９は、さらに別の実施例であっ
て、上面に備わる２つの噴射口８の切換えを可能とする
ものである。

【００１８】工具本体２の先端には切れ刃チップ３が、
上記と同様に、締付ねじ１９の操作によるレバーピン２
０の引き込み作用により装着されている。また、工具本
体２には、調整駒１３の抜け防止用の固定リング１５、
液漏れ防止用のＯリング１６とともに調整駒１３が挿入
され、６角穴１４の操作にて調整駒１３が旋回できるよ
うになっている。

【００１９】工具本体２の後端からは流路５が穿設され
てその先端が前記調整駒１３まで達し、一方、調整駒１
３上部からは、工具本体２の上面まで達する２本の流路
２１が穿設されている。２本の流路２１は、ボルト７に
より工具本体２に固定された給油駒６に連通し、切れ刃
チップ３のすくい面９に向けて開口する噴射口８に導か
れる。

【００２０】調整駒１３には、その外周にＬ字状の２本
の溝２２が相互に交わることなく形成されている。クー
ラント液は、流路５の先端が当接する側の溝２２に送り
込まれ、当該溝に連通する流路２１に送られる。調整駒
１３を旋回させて、当接する溝２２の位置を変えれば、
もう一方の流路２１に切換えることができる。

【００２１】たとえば、図８に示したような刃形の旋削
工具１では、切削方向によって主切れ刃が異なってくる
が、使用する主切れ刃にしたがって噴射口８を切換える
ことができる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本発明旋削工具によれ
ば、切れ刃チップのすくい面および逃げ面の損傷状況に
応じ、あるいは切りくず排出の状況に応じて、クーラン
ト液の噴射供給量を調整することができる。また、切削
方向の異なる加工に関しても、使用する主切れ刃に対し
てクーラント液を効果的に噴射供給できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明旋削工具の一実施例を示す正面図であ
る。

【図２】上記実施例の調整駒１３部分の縦断面図であ
る。

【図３】上記正面図の調整駒１３部分の拡大図である。

【図４】本発明旋削工具の他の一実施例を示す正面図で
ある。

【図５】上記実施例の調整駒１３部分の縦断面図であ
る。

【図６】上記実施例の調整駒１３部分の流路１８を含む
面での横断面図である。

【図７】図６における調整駒１３を旋回したときの図で
ある。

【図８】本発明旋削工具のさらに他の一実施例を示す正
面図である。

【図９】調整駒１３説明のための斜視図である。

【符号の説明】

１ 旋削工具 ２ 工具本体 ３ 切れ刃チップ ５ 流路 １３ 調整駒 １５ 固定リング １６ Ｏリング １７，１８，２１ すくい面

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具本体２の先端部に切れ刃チップ３が
   装着されるとともに、前記工具本体２内部にはクーラン
   ト液の流路５が形成されて途中より分岐し、少なくとも
   ２以上の開口から前記切れ刃チップ３に向けてクーラン
   ト液が噴射供給されるようにした旋削工具１において、 前記流路５の間に調整駒１３を介在させ、この調整駒１
   ３に形成された穴または溝の位置を旋回にて移動するこ
   とにより、クーラント液の流量調整および断水ができる
   ようにしたことを特徴とする旋削工具。