JP6687200B2 - 切削工具用敷板および切削工具 - Google Patents

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本発明は、切削工具用敷板および切削工具に関する。
特開2015−217512号公報(特許文献1)および特開2015−217514号公報(特許文献2)には、切削インサートとホルダとの間に敷板が配置された切削工具が開示されている。当該敷板には、切削インサートの切れ刃に対してクーラントを供給するための噴出口が設けられている。
切削工具用の敷板にクーラントの噴出口を設ける場合には、その敷板を交換することによりクーラントの噴出方向を調整することができる。そのため、切れ刃の形状の異なる複数の切削インサートに対して、各切削インサートに対応した敷板を用いることにより、共通のホルダを使用することができる。また敷板にクーラントの噴出口を設ける場合には、噴出口を切れ刃に近づけることができる。そのため、クーラントを切れ刃に対して精度良く供給することができる。
特開2015−217512号公報 特開2015−217514号公報
敷板に噴出口を設けることにより噴出口を切れ刃に近づけると、クーラントを切れ刃に対して精度良く供給できる反面、クーラントは拡散しづらくなる。そのため、クーラントは切れ刃に対して局所的に噴出される。言い換えれば、切れ刃においてクーラントが十分に供給されない部分が生じる。クーラントが十分に供給されない切れ刃の部分においては、摩耗が局所的に進行する。特に、切れ刃の円弧状部と円弧状部に連なる直線部との境界付近においては境界摩耗と呼ばれる逃げ面摩耗が発生する。特開2015−217512号公報および特開2015−217514号公報に開示されている切削工具においては、境界付近に対して十分なクーラントを供給することができないため、境界摩耗を抑制することが困難であった。
本発明の一態様は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、境界摩耗を抑制可能な切削工具用敷板および切削工具を提供することである。
本発明の一態様に係る切削工具用敷板は、切削インサートとホルダとの間に配置されて、かつホルダに固定される切削工具用敷板である。切削インサートは、逃げ面と、逃げ面と連なるすくい面とを含む。逃げ面とすくい面との稜線は、切れ刃を構成する。切れ刃は、円弧状部を含む。切削工具用敷板には、ホルダから供給されたクーラントを円弧状部に噴射するためのクーラント供給路が設けられている。クーラント供給路は、ホルダからクーラント供給路にクーラントを導入するための導入口と、クーラントを円弧状部に噴射するための円弧状部用噴射口とを有する。円弧状部用噴射口は、円弧状部に沿って湾曲した形状を有している。円弧状部用噴射口と円弧状部との距離は、2.2mm以上8.1mm以下である。
本発明の一態様によれば、境界摩耗を抑制可能な切削工具用敷板および切削工具を提供することができる。
第1の実施形態に係る切削工具用敷板を備えた切削工具の構成を示す斜視模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板を備えた切削工具の構成を示す分解斜視模式図である。 図1の領域IIIにおける拡大斜視模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板の構成を示す斜視模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板の構成を示す平面模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板の構成を示す底面模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板のクーラント供給路の構成を示す斜視模式図である。 図5のVIII−VIII線に沿った矢視断面模式図である。 図5のIX−IX線に沿った矢視断面模式図である。 図5のX−X線に沿った矢視断面模式図である。 第1の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の構成を示す平面模式図である。 第2の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の構成を示す平面模式図である。 第2の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の変形例の構成を示す平面模式図である。 第3の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の構成を示す平面模式図である。 第3の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の変形例の構成を示す平面模式図である。 第4の実施形態に係る切削工具用敷板に設けられた円弧状部用噴射口の構成を示す平面模式図である。
[本発明の実施形態の概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
(1)本発明の一態様に係る切削工具用敷板10は、切削インサート20とホルダ30との間に配置されて、かつホルダ30に固定される切削工具用敷板10である。切削インサート20は、逃げ面21と、逃げ面21と連なるすくい面22とを含む。逃げ面21とすくい面22との稜線は、切れ刃2を構成する。切れ刃2は、円弧状部2aを含む。切削工具用敷板10には、ホルダ30から供給されたクーラントを円弧状部2aに噴射するためのクーラント供給路1が設けられている。クーラント供給路1は、ホルダ30からクーラント供給路1にクーラントを導入するための導入口9と、クーラントを円弧状部2aに噴射するための円弧状部用噴射口3とを有する。円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aに沿って湾曲した形状を有している。円弧状部用噴射口3と円弧状部2aとの距離は、2.2mm以上8.1mm以下である。
上記(1)に係る切削工具用敷板10は、クーラントを切れ刃2の円弧状部2aに噴射するための円弧状部用噴射口3を有しており、円弧状部用噴射口3は円弧状部2aに沿って湾曲した形状を有している。これにより、円弧状部2aに対してクーラントを層状(カーテン状)に噴射することができる。そのため、円弧状部2aの広い領域に亘ってクーラントを供給することができる。結果として、切れ刃の局所的な摩耗の発生を抑制することができる。特に、円弧状部2aと円弧状部2aに連なる直線部2bとの境界付近に対してクーラントが効果的に供給される。そのため、当該境界付近の逃げ面における境界摩耗を抑制することができる。
(2)上記(1)に係る切削工具用敷板10において、円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aに沿って設けられた外周側円弧3aと、外周側円弧3aと離間しかつ円弧状部2aに沿って設けられた内周側円弧3bとを有していてもよい。これにより、円弧状部2aの広い領域に亘ってクーラントを供給することができる。
(3)上記(1)に係る切削工具用敷板10において、円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aと同じ形状および円弧状部2aの相似形状のいずれかに沿って設けられた複数のスリット3dにより構成されていてもよい。これにより、円弧状部2aの広い領域に亘ってクーラントを供給することができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切削工具用敷板10は、切削インサート20が搭載される頂面11を含んでいてもよい。頂面11は、切削インサート20に接する接触部11aと、接触部11aと連なりかつ切削インサート20から離間した張り出し部11bとを有していてもよい。円弧状部用噴射口3は、張り出し部11bに開口していてもよい。これにより、円弧状部2aに対してクーラントを効果的に供給することができる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切れ刃2は、円弧状部2aと連なる直線部2bをさらに含んでいてもよい。クーラント供給路1は、クーラントを直線部2bに噴射するための直線部用噴射口4bをさらに有していてもよい。これにより、直線部2bにクーラントを供給しつつ、円弧状部2aと直線部2bとの境界付近に対してもクーラントを供給することができる。そのため、直線部2bの摩耗を抑制しつつ、境界摩耗をさらに抑制することができる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切削工具用敷板10の密度は、99.0%以上99.9%以下であってもよい。切削工具用敷板10に設けられた空孔により、切削時の振動を抑制することができる。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切削工具用敷板10を構成する材料のロックウェル硬度は、20以上60以下であってもよい。ロックウェル硬度を20以上とすることにより、耐久性が低下することを抑制することができる。ロックウェル硬度を60以下とすることにより、振動減衰特性が劣化することを抑制することができる。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切削工具用敷板10を構成する材料は、鉄系合金およびコバルトクロム合金のいずれかであってもよい。これらの材料は、金属3Dプリンターの材料として使用可能である。金属3Dプリンターを使用することにより、複雑な形状のクーラント供給路1を精度良く作製することができる。
(9)上記(1)〜(7)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、切削工具用敷板10を構成する材料は、多結晶体であってもよい。
(10)上記(9)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、多結晶体の粒径は、4μm以上10μm以下であってもよい。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに係る切削工具用敷板10において、円弧状部用噴射口と円弧状部との距離は、3.0mm以上6.5mm以下であってもよい。
(12)上記(11)に係る切削工具用敷板10において、円弧状部用噴射口と前記円弧状部との距離は、3.8mm以上4.9mm以下であってもよい。
(13)本発明の一態様に係る切削工具100は、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の切削工具用敷板10と、切削インサート20と、ホルダ30とを備えている。これにより、境界摩耗を抑制することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る切削工具用敷板を備えた切削工具の構成について説明する。
図1および図2に示されるように、切削工具100は、切削工具用敷板10(以降、敷板とも称する)と、切削インサート20と、ホルダ30と、固定部40と、第1締結部50と、第2締結部60とを主に有している。ホルダ30は、座面34と、側面35と、上面36とを有している。座面34には、第1締結孔31と、クーラント供給孔32とが設けられている。上面36には、第2締結孔33が設けられている。側面35は、座面34および上面36の双方と交差する方向に延在し、側面35は、座面34および上面36の双方と連なる。
敷板10は、切削インサート20とホルダ30との間に配置されている。敷板10には、第1貫通孔14が設けられている。第1貫通孔14には、第1締結部50が挿入される。第1締結部50は、第1締結孔31と螺合する。これにより、敷板10が、ホルダ30に固定される。固定部40は、ホルダ30の上面36上に配置されている。固定部40の先端部は、切削インサート20に設けられた第2貫通孔24の内部に配置されている。固定部40は、切削インサート20の上面を部分的に覆っている。固定部40には、第3貫通孔44が設けられている。第2締結部60は、第3貫通孔44内に配置され、上面36に設けられた第2締結孔33と螺合する。これにより、固定部40は、ホルダ30に固定される。固定部40は、切削インサート20を固定する。
図3に示されるように、切削インサート20は、逃げ面21と、逃げ面21と連なるすくい面22とを含む。逃げ面21とすくい面22との稜線は、切れ刃2を構成する。逃げ面21は、切れ刃2から敷板10に向かって延在する。すくい面22は、切削インサート20において敷板10に接する面とは反対側の面である。切れ刃2は、円弧状部2aと、第1直線部2bと、第2直線部2cとを含む。第1直線部2bおよび第2直線部2cの各々は、円弧状部2aと連なる。円弧状部2aは、第1直線部2bと第2直線部2cとの間を繋いでいる。なお、主に円弧状部が、主切れ刃(切削作用において切り屑生成に主な役割を果たす切れ刃)に対応する。主に円弧状部と直線部の境界付近の内、工具送り方向側が、前切れ刃(一般に切削仕上げ面から遠ざかる側の切れ刃)に対応する。主に円弧状部と直線部の境界付近の内、工具送り方向とは逆側が横切れ刃(一般に切削仕上げ面を生成する側の切れ刃)に対応する。
逃げ面21は、第1曲面部21aと、第1平面部21bと、第2平面部21cとを有する。第1平面部21bおよび第2平面部21cの各々は、第1曲面部21aに連なる。第1曲面部21aは、第1平面部21bと、第2平面部21cとの間を繋いでいる。円弧状部2aは、第1曲面部21aとすくい面22との稜線である。第1直線部2bは、第1平面部21bとすくい面22との稜線である。第2直線部2cは、第2平面部21cとすくい面22との稜線である。第1直線部2bに沿った直線と、第2直線部2cに沿った直線とがなす角度は、90°よりも小さくてもよい。第1平面部21bとすくい面22とがなす角度は、90°よりも小さくてもよい。同様に、第2平面部21cとすくい面22とがなす角度は、90°よりも小さくてもよい。
図4、図5および図6を参照して、敷板10は、頂面11と、底面12と、側面13とを有している。底面12は、頂面11の反対側にある。側面13は、頂面11および底面12の双方に連なっている。側面13は、頂面11および底面12の間を繋ぐ。側面13は、第2曲面部13aと、第3平面部13bと、第4平面部13cとを有する。頂面11には、切削インサート20が搭載される。言い換えれば、頂面11は、切削インサート20の底面に接する。図5に示されるように、頂面11は、切削インサート20に接する接触部11aと、接触部11aと連なりかつ切削インサート20から離間した張り出し部11bとを有している。第1貫通孔14は、頂面11および底面12の双方に開口する。
敷板10を構成する材料は、たとえば鉄系合金およびコバルトクロム合金である。鉄系合金とは、たとえばマルエージ鋼またはステンレス(SUS316)などである。敷板10を構成する材料は、たとえば粉末冶金、3Dプリンターまたは金属体からの切り出しなどにより得られる成形体である。敷板10を構成する材料は、単結晶体または多結晶体であってもよい。多結晶体は、たとえば粉末冶金による金属成形体である。多結晶体の粒径は、たとえば4μm以上10μm以下である。粒径の上限は、9μmであってもよいし、8μmであってもよい。粒径の下限は5μmであってもよいし、6μmであってもよい。なお敷板10を構成する材料は、敷板としての機能を有していれば、金属に限られない。加工性および耐久性を考慮すると、敷板10を構成する材料は鉄系合金およびコバルトクロム合金であることが望ましい。
次に、粒径の測定方法について説明する。まず、クロスセクションポリッシャを用いたイオンミリングによって、敷板のCP(Cross section Polisher)加工面が形成される。次に、当該CP加工面を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影することにより、敷板の組織が観察される。解析手法は、EBSD(Electron Back−Scatter Diffraction)分析である。加速電圧は15kVである。撮影倍率が500倍の視野が写真撮影される。多結晶体中の各結晶の結晶方位の違いにより粒界を観察し、粒径が測定される。
敷板10は、たとえば金属3Dプリンターを用いて作製することができる。具体的には、金属粉末をレーザーで加熱して敷板10が作製される。これにより、敷板10に空隙を形成することができる。敷板10の密度は100%未満である。具体的には、敷板10の密度は、たとえば99.00%以上99.99%以下である。密度の上限は、99.95%であってもよいし、99.90%であってもよい。密度の下限は、99.10%であってもよいし、99.20%であってもよい。敷板10の密度が100%よりも小さい(つまり敷板の内部に空隙が存在する)ことで、振動の減衰特性が向上する。
次に、敷板の密度の測定方法について説明する。まず、クロスセクションポリッシャを用いたイオンミリングによって、敷板のCP加工面が形成される。次に、当該CP加工面を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影することにより、撮影倍率が100倍の視野の敷板の2次元組織写真が得られる。三谷商事株式会社製の画像処理ソフト(WinROOF
Ver.7.4.1)を使用して、組織中に存在する空隙が特定される。具体的には、組織写真に対して2値化処理が行われることにより、空隙の領域と、空隙以外の領域とが判別される。敷板の密度は、(測定視野の全面積−空隙の面積)/測定視野の全面積として求められる。敷板の内部に空隙が全く存在しない場合、敷板の密度は100%である。
敷板10を構成する材料のロックウェル硬度は、たとえば20以上60以下であってもよい。ロックウェル硬度の上限は、58であってもよいし、56であってもよい。ロックウェル硬度の下限は、22であってもよし、24であってもよい。ロックウェル硬度は、たとえば日本工業規格(JIS Z 2245)に規定されている方法に従って、ロックウェル硬度Cスケール(HRC)を測定することにより求められる。具体的には、円錐形ダイヤモンド圧子を試料に押し込み、永久くぼみ深さh(mm)が測定される。試験力は、10kgfである。追加試験力は、140kgfである。全試験力は、150kgfである。HRCは、以下の数式1に従って算出される。なお日本工業規格(JIS Z 2245)と同等の国際規格はISO 6508−1である。
HRC=100−h/0.002 ・・・(数式1)
図7に示されるように、敷板10には、クーラント供給路1が設けられている。クーラント供給路1は、ホルダ30から供給されたクーラントを切れ刃2に噴射するためのものである。クーラント供給路1は、導入口9と、円弧状部用噴射口3と、第1直線部用噴射口4bと、第2直線部用噴射口4cとを有する。導入口9は、ホルダ30からクーラント供給路1にクーラントを導入するためのものである。導入口9は、ホルダ30の座面34に設けられたクーラント供給孔32と連通している。円弧状部用噴射口3は、クーラントを円弧状部2aに噴射するためのものである。円弧状部用噴射口3と円弧状部2aとの距離は、たとえば2.2mm以上8.1mm以下程度である。円弧状部用噴射口3と円弧状部2aとの距離とは、頂面11に対して垂直な方向における、円弧状部用噴射口3と円弧状部2aとの間の距離のことである。円弧状部用噴射口3と円弧状部2aとの距離は、3.0mm以上6.5mm以下であってもよいし、3.8mm以上4.9mm以下であってもよい。第1直線部用噴射口4bは、クーラントを第1直線部2bに噴射するためのものである。同様に、第2直線部用噴射口4cは、クーラントを第2直線部2cに噴射するためのものである。
図5に示されるように、円弧状部用噴射口3と、第1直線部用噴射口4bと、第2直線部用噴射口4cとは、頂面11の張り出し部11bに開口している。第1貫通孔14は、接触部11aに開口している。図6に示されるように、導入口9は、たとえば底面12に開口しているが、底面12以外の面に開口していてもよい。導入口9は、たとえば側面13に開口していてもよい。
図7、図8、図9および図10に示されるように、クーラント供給路1は、縦通路5と、第1横通路6bと、第2横通路6cと、第1傾斜通路7bと、第2傾斜通路7cと、中央通路8とをさらに有している。図8に示されるように、縦通路5は、円弧状部用噴射口3と連なる。図7に示されるように、縦通路5は、第1横通路6bと、第2横通路6cと連なる。図8に示されるように、第1傾斜通路7bは、第1直線部用噴射口4bと、中央通路8と連なる。同様に、第2傾斜通路7cは、第2直線部用噴射口4cと、中央通路8と連なる。図8および図9に示されるように、縦通路5は、頂面11に垂直な方向に延在する。第1横通路6bおよび第2横通路6cの各々は、頂面11に平行な方向に延在する。図7および図8に示されるように、第1傾斜通路7bおよび第2傾斜通路7cの各々は、頂面11に対して傾斜する方向に延在する。図10に示されるように、中央通路8は、第1傾斜通路7bおよび第2傾斜通路7cの双方と連なる。
図7〜図10における矢印は、クーラントの流れを示している。ホルダ30から供給されたクーラントは、導入口9を通って中央通路8に導入される。クーラントの一部は、中央通路8から第1横通路6bおよび第2横通路6cに分岐し、縦通路5で合流する。クーラントの一部は、縦通路5を通って、円弧状部用噴射口3から円弧状部2aに向かってカーテン状(層状)に噴射される。残りのクーラントは、中央通路8から第1傾斜通路7bおよび第2傾斜通路7cに分岐する。第1傾斜通路7bを通ったクーラントは、第1直線部用噴射口4bから第1直線部2bに向かってカーテン状(層状)に噴射される。同様に、第2傾斜通路7cを通ったクーラントは、第2直線部用噴射口4cから第2直線部2cに向かってカーテン状(層状)に噴射される。
次に、円弧状部用噴射口の形状の詳細について説明する。
図11に示されるように、円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aに沿って湾曲した形状を有している。破線2dは、切削インサート20の切れ刃2の円弧状部2aの形状と同じ形状を示している。円弧状部2aに沿って湾曲した形状は、破線2aに沿いながら湾曲した開口形状を含む。具体的には、図11に示されるように、頂面11に対して垂直な方向から見て、円弧状部用噴射口3に囲まれた領域は、破線2dと重なっている。円弧状部用噴射口3は、破線2dを取り囲んでいてもよい。円弧状部2aは、異なる曲率の円弧が連なるように湾曲した形状であってもよい。
円弧状部用噴射口3は、外周側円弧3aと、内周側円弧3bと、接続部3cとを有している単一の穴であってもよい。外周側円弧3aは、円弧状部2aに沿って設けられている。内周側円弧3bは、外周側円弧3aと離間しかつ円弧状部2aに沿って設けられている。接続部3cは、外周側円弧3aと、内周側円弧3bとを繋いでいる。内周側円弧3bの曲率半径は、外周側円弧3aの曲率半径よりも小さくてもよい。外周側円弧3aは、内周側円弧3bと第2曲面部13aとの間に位置する。円弧状部用噴射口3の面積は、導入口9の面積よりも小さいことが好ましい。これにより、円弧状部用噴射口3からクーラントを高い圧力で噴出させることができる。
次に、第1直線部用噴射口および第2直線部用噴射口の形状の詳細について説明する。
第1直線部用噴射口4bは、たとえば第1直線部2bに平行な直線に沿って延在するように設けられている。第1直線部用噴射口4bは、単一の穴であってもよいし、複数のスリットが直線に沿って互いに間隔を隔てて配置されることにより構成されていてもよい。同様に、第2直線部用噴射口4cは、たとえば第2直線部2cに平行な直線に沿って延在するように設けられている。第2直線部用噴射口4cは、単一の穴であってもよいし、複数のスリットが直線に沿って互いに間隔を隔てて配置されることにより構成されていてもよい。
次に、第1の実施形態に係る切削工具用敷板および切削工具の作用効果について説明する。
第1の実施形態に係る切削工具の切削工具用敷板10は、クーラントを切れ刃2の円弧状部2aに噴射するための円弧状部用噴射口3を有しており、円弧状部用噴射口3は円弧状部2aに沿って湾曲した形状を有している。これにより、円弧状部2aに対してクーラントを層状(カーテン状)に噴射することができる。そのため、円弧状部2aの広い領域に亘ってクーラントを供給することができる。結果として、切れ刃の局所的な摩耗の発生を抑制することができる。特に、円弧状部2aと円弧状部2aに連なる直線部2bとの境界付近に対してクーラントが供給される。そのため、当該境界付近の逃げ面における境界摩耗を抑制することができる。またホルダに噴射口を設けられる場合と比較して、敷板に噴射口を設けることにより、噴射口を切削工具の刃先に近づけることができる。そのため、円弧状部用噴射口3と切れ刃2の円弧状部2aとの距離を短くすることができる。結果として、クーラントを精度良く円弧状部2aに噴出することができる。さらにホルダ本体ではなく、敷板からクーラントを噴射する機構とすることで交換が容易になる。
また第1の実施形態に係る敷板10は、円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aに沿って設けられた外周側円弧3aと、外周側円弧3aと離間しかつ円弧状部2aに沿って設けられた内周側円弧3bとを有している。これにより、円弧状部2aの広い領域に亘ってクーラントを供給することができる。
さらに第1の実施形態に係る敷板10は、切削インサート20が搭載される頂面11を含んでいる。頂面11は、切削インサート20に接する接触部11aと、接触部11aと連なりかつ切削インサート20から離間した張り出し部11bとを有している。円弧状部用噴射口3は、張り出し部11bに開口している。これにより、円弧状部2aに対してクーラントを効果的に供給することができる。
さらに第1の実施形態に係る敷板10によれば、切れ刃2は、円弧状部2aと連なる直線部2bをさらに含んでいる。クーラント供給路1は、クーラントを直線部2bに噴射するための直線部用噴射口4bをさらに有している。これにより、直線部2bにクーラントを供給しつつ、円弧状部2aと直線部2bとの境界付近に対してもクーラントを供給することができる。そのため、直線部2bの摩耗を抑制しつつ、境界摩耗をさらに抑制することができる。
さらに第1の実施形態に係る敷板10によれば、敷板10の密度は、99.0%以上99.9%以下である。敷板10に設けられた空孔により、切削時の振動を抑制することができる。
さらに第1の実施形態に係る敷板10によれば、敷板10を構成する材料は、鉄系合金およびコバルトクロム合金のいずれかである。これらの材料は、金属3Dプリンターの材料として使用可能である。金属3Dプリンターを使用することにより、複雑な形状のクーラント供給路1を精度良く作製することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る切削工具およびその敷板の構成について説明する。なお、以下においては、第1の実施形態に係る切削工具およびその敷板と異なる点について主に説明し、同様の説明は繰り返さない。
円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aに沿って湾曲した形状を有している。この円弧状部2aに沿って湾曲した形状は、図12に示されるように、円弧状部2aと同じ形状である破線2dに沿って設けられた複数のスリット3dにより構成される開口形状を含む。この構成においては、複数のスリット3dにより円弧状部用噴射口3が構成されている。複数のスリット3dの各々は、互いに離間している。複数のスリット3dの各々の形状は、たとえば円である。図13に示されるように、複数のスリット3dの各々の形状は、長方形であってもよい。なお、スリット3dの形状は、特に限定されない。スリット3dの形状は、たとえば楕円であってもよいし、正方形であってもよいし、多角形などであってもよい。円弧状部用噴射口3を構成するスリット3dの全面積は、導入口9の面積よりも小さいことが好ましい。導入口9が、複数の噴出スリットに対応する複数の導入スリットを有する場合には、複数の噴出スリットの各々の面積は、対応する複数の導入スリットの各々の面積よりも小さいことが望ましい。これにより、各スリット3dからクーラントを高い圧力で噴出させることができる。第2の実施形態に係る切削工具においても、第1の実施形態に係る切削工具と同等の効果が得られる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る切削工具およびその敷板の構成について説明する。なお、以下においては、第1の実施形態に係る切削工具およびその敷板と異なる点について主に説明し、同様の説明は繰り返さない。
図14および図15に示されるように、円弧状部用噴射口3は、円弧状部2aの相似形状に沿って設けられた複数のスリット3dにより構成されていてもよい。円弧状部2aの相似形状とは、円弧状部2aと同じ形状の幾何学的な相似形状を意味する。図14において、破線2fは、円弧状部2aと同じ形状を縮小した形状を示している。破線2fに沿った円の中心は、破線2dに沿った円の中心と同じである。図14に示されるように、複数のスリット3dの各々は、破線2fに沿って設けられていてもよい。図15において、破線2eは、円弧状部2aと同じ形状を拡大した形状を示している。破線2eに沿った円の中心は、破線2dに沿った円の中心と同じである。図15に示されるように、複数のスリット3dの各々は、破線2eに沿って設けられていてもよい。代替的に、単一の円弧状部用噴射口3が、破線2fまたは破線2eに沿って湾曲するように設けられていてもよい。第3の実施形態に係る切削工具においても、第1の実施形態に係る切削工具と同等の効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る切削工具およびその敷板の構成について説明する。なお、以下においては、第1の実施形態に係る切削工具およびその敷板と異なる点について主に説明し、同様の説明は繰り返さない。
図16に示されるように、敷板10は、台部15を有していてもよい。台部15は、第2曲面部13aの一部を構成し、かつ頂面11に対して垂直な方向に突出している。台部15の上面11cは頂面11の一部である。上面11cは、張り出し部11bに対して切削インサート20のすくい面22側にある。円弧状部用噴射口3は、台部15の上面11cに設けられていてもよい。これにより、円弧状部用噴射口3を、切削インサート20の円弧状部2aにより近づけることができる。第4の実施形態に係る切削工具においても、第1の実施形態に係る切削工具と同等の効果が得られる。
(サンプル準備)
まず、サンプル1−1〜サンプル1−9に係る敷板を準備した。サンプル1−1からサンプル1−6に係る敷板は、実施例である。サンプル1−7からサンプル1−9に係る敷板は、比較例である。サンプル1−1、サンプル1−2およびサンプル1−8に係る敷板の材料をマルエージング鋼とした。サンプル1−3およびサンプル1−4に係る敷板の材料をSUS316とした。サンプル1−5およびサンプル1−6に係る敷板の材料をCo−Cr合金とした。サンプル1−7に係る敷板の材料を超硬合金とした。サンプル1−9に係る敷板の材料をSUS304とした。サンプル1−1からサンプル1−6に係る敷板の密度を99.25%以上99.99%未満とした。サンプル1−7からサンプル1−9に係る敷板の密度を99.99%以上100%以下とした。
(評価方法)
切削ホルダの底面に加速度センサーが取り付けられた切削ホルダを工作機械のターレットに固定した。切削ホルダに敷板および切削インサートを取り付けた。切削インサートの刃先を、インパルスハンマーを用いて200Nの力で加振した。その際の振動加速度(mm/s)の時間変化を加速度センサーで測定した。振動加速度の振幅が最大となる時点(t)から、振動加速度の振幅が最初に最大振幅の0.01倍以下となる時点(t)までの時間(t−t)を振動の減衰時間として算出した。
(評価結果)
Figure 0006687200
表1に示されるように、サンプル1−1からサンプル1−6に係る敷板を用いた場合の振動の減衰時間は5.1μs以上5.8μs以下であるのに対して、サンプル1−7からサンプル1−9に係る敷板を用いた場合の振動の減衰時間は8.2μs以上9.5μs以下であった。サンプル1−1からサンプル1−6に係る敷板を用いた場合は、サンプル1−7からサンプル1−9に係る敷板を用いた場合よりも振動の減衰時間が短い。これにより、敷板の材料によらず、敷板の密度を99.99%未満とすることにより、振動の減衰特性が顕著に向上することが確かめられた。また同じ材料で比較した場合、敷板の密度が低い程、振動の減衰時間が短くなることが確かめられた。
(サンプル準備)
まず、サンプル2−1〜サンプル2−5に係る切削工具を準備した。サンプル2−1からサンプル2−3に係る切削工具は、実施例である。サンプル2−4およびサンプル2−5に係る切削工具は、比較例である。サンプル2−1からサンプル2−3に係る切削工具においては、ホルダーの内部を経由して敷板から切削油を噴射した。サンプル2−4に係る切削工具においては、ホルダーの内部を経由してホルダーの底面から切削油を噴射した。サンプル2−5に係る切削工具においては、外部から切削油を噴射した。
サンプル2−1およびサンプル2−2に係る切削工具においては、噴射口の形状を円弧形状とした。サンプル2−3に係る切削工具においては、噴射口の形状を円弧状に丸穴を複数配置した形状とした。サンプル2−4およびサンプル2−5に係る切削工具においては、噴射口を単一の丸穴形状とした。サンプル2−1に係る切削工具においては、給油圧力を1.5MPaとした。サンプル2−2からサンプル2−4に係る切削工具においては、給油圧力を7MPaとした。サンプル2−5に係る切削工具においては、給油圧力を0.15MPaとした。
(評価方法1)
サンプル2−1〜サンプル2−5に係る切削工具を用いてインコネル718製の被削材を1km切削した後、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量を測定した。切込速度(Vc)を200m/分とした。送り量(f)を0.2mm/回転とした。切込量(ap)を0.2mmとした。切削インサートを住友電工ハードメタル製BN7000のCBN焼結体とした。CBN焼結体におけるCBNの含有量は90体積%であり、WC−Co結合材が用いられた。
(評価結果1)
Figure 0006687200
表2に示されるように、サンプル2−1からサンプル2−3に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量はそれぞれ0.041mm以上0.056mm以下および0.051mm以上0.068mm以下であるのに対して、サンプル2−4およびサンプル2−5に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量は0.115mm以上0.188mm以下および0.133mm以上0.243mm以下であった。以上の結果から、敷板から切削液を噴出することにより、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量を顕著に低減できることが確かめられた。
またサンプル2−2に係る切削工具を用いた場合は、サンプル2−1に係る切削工具を用いた場合よりも、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量が少なかった。以上の結果から、給油圧力を高くすることにより、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量を低減できることが確かめられた。さらにサンプル2−2に係る切削工具を用いた場合における切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量は、サンプル2−3に係る切削工具を用いた場合における切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量とほぼ同じであった。以上の結果から、円弧状に丸穴が複数配置されている噴射口においても、円弧形状の噴射口と同様の効果があることが確かめられた。
(評価方法2)
サンプル2−1〜サンプル2−5に係る切削工具を用いてチタン合金(Ti−6Al−4V)製の被削材を1km切削した後、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量を測定した。切込速度(Vc)を100m/分とした。送り量(f)を0.1mm/回転とした。切込量(ap)を0.2mmとした。切削インサートを住友電工ハードメタル製BN7000のCBN焼結体とした。CBN焼結体におけるCBNの含有量は90体積%であり、WC−Co結合材が用いられた。
(評価結果2)
Figure 0006687200
表3に示されるように、サンプル2−1からサンプル2−3に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの逃げ面摩耗量は0.038mm以上0.044mm以下であるのに対して、サンプル2−4およびサンプル2−5に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの逃げ面摩耗量は0.061mm以上0.119mm以下であった。またサンプル2−1からサンプル2−3に係る切削工具を用いた場合には、切削インサートに境界摩耗が発生しなかったのに対して、サンプル2−4およびサンプル2−5に係る切削工具を用いた場合には、切削インサートに0.089mm以上0.158mm以下の境界摩耗が発生した。以上の結果から、敷板から切削液を噴出することにより、切削インサートの逃げ面摩耗量を顕著に低減し、かつ境界摩耗の発生を抑制できることが確かめられた。
またサンプル2−2に係る切削工具を用いた場合は、サンプル2−1に係る切削工具を用いた場合よりも、切削インサートの逃げ面摩耗量が少なかった。以上の結果から、給油圧力を高くすることにより、切削インサートの逃げ面摩耗量を低減できることが確かめられた。さらにサンプル2−2に係る切削工具を用いた場合における切削インサートの逃げ面摩耗量は、サンプル2−3に係る切削工具を用いた場合における切削インサートの逃げ面摩耗量とほぼ同じであった。以上の結果から、円弧状に丸穴が複数配置されている噴射口においても、円弧形状の噴射口と同様の効果があることが確かめられた。
(サンプル準備)
まず、サンプル3−1〜サンプル3−8に係る切削工具を準備した。サンプル3−1からサンプル3−5に係る切削工具は、実施例である。サンプル3−6〜サンプル3−8に係る切削工具は、比較例である。サンプル3−1からサンプル3−6に係る切削工具においては、ホルダーの内部を経由して敷板から切削油を噴射した。サンプル3−7およびサンプル3−8に係る切削工具においては、ホルダーの内部を経由してホルダーの底面から切削油を噴射した。サンプル3−1からサンプル3−8に係る切削工具の噴射口と刃先の距離を、それぞれ2.2mm、3.0mm、3.8mm、4.9mm、8.1mm、1.0mm、10mmおよび20mmとした。全てのサンプルに係る切削工具において、給油圧力を7MPaとした。
(評価方法)
サンプル3−1〜サンプル3−8に係る切削工具を用いてインコネル718製の被削材を1km切削した後、切削インサートの逃げ面摩耗量および境界摩耗量を測定した。切込速度(Vc)を200m/分とした。送り量(f)を0.2mm/回転とした。切込量(ap)を0.2mmとした。切削インサートを住友電工ハードメタル製BN7000のCBN焼結体とした。
(評価結果)
Figure 0006687200
表4に示されるように、サンプル3−1からサンプル3−5に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの境界摩耗量は0.048mm以上0.062mm以下であるのに対して、サンプル3−6からサンプル3−8に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの境界摩耗量は0.086mm以上0.091mm以下であった。以上の結果から、噴射口と刃先との距離を2.2mm以上8.1mm以下とすることにより、切削インサートの境界摩耗量を顕著に低減できることが確かめられた。また噴射口と刃先との距離を3.0mm以上4.9mm以下とすることにより、切削インサートの境界摩耗量をさらに低減できることが確かめられた。
サンプル3−1からサンプル3−6に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの逃げ面摩耗量は0.041mm以上0.053mm以下であるのに対して、サンプル3−7およびサンプル3−8に係る切削工具を用いた場合の切削インサートの境界摩耗量は0.078mm以上0.106mm以下であった。以上の結果から、ホルダーの底面から切削油を噴射する場合と比較して、敷板から切削油を噴射する方が、切削インサートの逃げ面摩耗量を顕著に低減できることが確かめられた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 クーラント供給路
2 切れ刃
2a 円弧状部
2b 第1直線部(直線部)
2c 第2直線部
2d,2e,2f 破線
3 円弧状部用噴射口
3D 金属
3a 外周側円弧
3b 内周側円弧
3c 接続部
3d スリット
4b 第1直線部用噴射口(直線部用噴射口)
4c 第2直線部用噴射口
5 縦通路
6b 第1横通路
6c 第2横通路
7b 第1傾斜通路
7c 第2傾斜通路
8 中央通路
9 導入口
10 切削工具用敷板(敷板)
11 頂面
11a 接触部
11b 張り出し部
11c,36 上面
12 底面
13,35 側面
13a 第2曲面部
13b 第3平面部
13c 第4平面部
14 第1貫通孔
15 台部
20 切削インサート
21 逃げ面
21a 第1曲面部21b 第1平面部
21c 第2平面部
22 すくい面
24 第2貫通孔
30 ホルダ
31 第1締結孔
32 クーラント供給孔
33 第2締結孔
34 座面
40 固定部
44 第3貫通孔
50 第1締結部
60 第2締結部
100 切削工具

Claims (7)

  1. 切削インサートとホルダとの間に配置されて、かつ前記ホルダに固定される切削工具用敷板であって、
    前記切削インサートは、逃げ面と、前記逃げ面と連なるすくい面とを含み、
    前記逃げ面と前記すくい面との稜線は、切れ刃を構成し、
    前記切れ刃は、円弧状部を含み、
    前記切削工具用敷板には、前記ホルダから供給されたクーラントを前記円弧状部に噴射するためのクーラント供給路が設けられており、
    前記クーラント供給路は、前記ホルダから前記クーラント供給路に前記クーラントを導入するための導入口と、前記クーラントを前記円弧状部に噴射するための円弧状部用噴射口とを有し、
    前記円弧状部用噴射口は、前記円弧状部に沿って湾曲した形状を有しており、
    前記円弧状部用噴射口と前記円弧状部との距離は、2.2mm以上8.1mm以下であり、
    前記切削工具用敷板の密度は、99.0%以上99.99%未満であり、
    前記切削工具用敷板を構成する材料は、多結晶体であり、
    前記多結晶体の粒径は、4μm以上10μm以下であり、
    前記多結晶体は、粉末冶金による金属成形体であり、
    前記切削工具用敷板は、前記切削インサートが搭載される頂面を含み、
    前記頂面は、前記切削インサートに接する接触部と、前記接触部と連なりかつ前記切削インサートから離間した張り出し部とを有し、
    前記円弧状部用噴射口は、前記張り出し部に開口しており、
    前記切れ刃は、前記円弧状部と連なる直線部をさらに含み、
    前記クーラント供給路は、前記クーラントを前記直線部に噴射するための直線部用噴射口をさらに有し、
    前記円弧状部用噴射口は、前記直線部用噴射口から離間している、切削工具用敷板。
  2. 前記円弧状部用噴射口は、前記円弧状部に沿って設けられた外周側円弧と、前記外周側円弧と離間しかつ前記円弧状部に沿って設けられた内周側円弧とを有している、請求項1に記載の切削工具用敷板。
  3. 前記円弧状部用噴射口は、前記円弧状部と同じ形状および前記円弧状部の相似形状のいずれかに沿って設けられた複数のスリットにより構成される、請求項1に記載の切削工具用敷板。
  4. 前記切削工具用敷板を構成する材料のロックウェル硬度は、20以上60以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の切削工具用敷板。
  5. 前記円弧状部用噴射口と前記円弧状部との距離は、3.0mm以上6.5mm以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の切削工具用敷板。
  6. 前記円弧状部用噴射口と前記円弧状部との距離は、3.8mm以上4.9mm以下である、請求項5に記載の切削工具用敷板。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の切削工具用敷板と、
    前記切削インサートと、
    前記ホルダとを備えた、切削工具。
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