WO2016108290A1 - 清浄用物品及び清浄用物品の製造方法 - Google Patents

清浄用物品及び清浄用物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

 環境面にも配慮され、柔軟性にも優れ、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を、効率的かつ経済的に有利に製造可能な清浄用物品の製造方法及びそれにより得られる清浄用物品を提供する。 清浄用物品の製造方法は、非湿潤状態にある複数の原紙シートを含む積層体に対し、圧着部材により圧着処理を行う圧着工程、前記圧着工程の後に、連続回転式印刷機により前記積層体の外側からバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程、前記バインダー塗布工程の後に、前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、を備える。

Description

清浄用物品及び清浄用物品の製造方法
 本発明は、人又は物の清浄に用いる清浄用物品に関し、より詳しくは、床又はトイレ等の清浄において好適に用いられる清浄用物品及び清浄用物品の製造方法に関する。
 従来、人間の肌を拭く清浄作業、床又はトイレ周辺の清掃用途等に、広く清浄用物品が用いられている。この清浄用物品は、一般に、不織布で形成されたシートに薬液等の洗浄剤を含浸させて構成されている。例えば、特許文献1には、親水性繊維、又は親水性繊維と非親水性繊維とから抄紙された不織布に薬液を吸収させて構成したウェットティッシュが開示されている。
 しかしながら、一般的に、不織布は、合成繊維と呼ばれる人工的に形成された繊維を用いて形成されているため、容易に廃棄することができない。よって、特許文献1に記載のウェットティッシュ及び清掃用シートのように、シートとして不織布を用いた場合、使用者は、清掃後に簡単に廃棄することができず、煩わしさを感じることがあった。特に、ウェットティッシュ等は、屋外で使用されることも多く、屋外での使用後にそのまま屋外で廃棄されると、土中で分解されずに残存してしまうことがあるため、環境への配慮という観点からは問題があった。
 一方、紙等の天然繊維でシートを形成した清浄用物品も従来公知である。このような天然繊維で形成された清浄用物品は、土中において分解され易いため環境面でも大きな利点を有する。このような観点から、従来、紙等の天然繊維シートを用い、これを複数枚重ねてバインダーを塗布し、その後エンボス加工等を施し、更に薬剤を含浸させることによりトイレクリーナー等の清掃用物品を製造する方法も採られてきた。この場合、紙等の天然繊維シートへのバインダーの塗布方法としては、ノズルを用いたスプレー塗布による吹き付けが主流であった。
 スプレー塗布によって、バインダー塗布液を紙等の塗布対象に塗布する場合、バインダー塗布液は、ノズルから圧力等によって塗布対象の面に向けて吐出又は噴霧され、その際に微細な粒状の液滴となって塗布対象面に吹き付けられることにより塗布される。この場合、ノズルからの吐出又は噴霧により吹き付けられるバインダー液滴は、粒の大きさの制御が困難であり、大きさのバラバラな粒状の液滴が塗布面に塗布されてしまうという問題があった。また、バインダー塗布液のノズルからの圧力等による吐出又は噴霧では、塗布面にバインダー液滴を均一に吹き付けるように制御することも困難であり、問題があった。このため、従来、バインダー塗布後の塗布面には、塗布ムラという問題が生じていた。このようなバインダー塗布液の塗布ムラの発生により、得られる清浄用物品の強度が結果的に低くなるという問題があった。
特開2003-079530号公報
 本発明は、前記背景技術における従来の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、紙等の天然繊維シート等に、バインダー塗布液を、より均一に、より効率的に塗布可能とすることにより、環境面にも配慮し、更に柔軟性、肌触り感にも優れ、かつ、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を、効率的にかつ経済的に有利に製造可能な、清浄用物品の製造方法を提供することを目的とする。
 また本発明は、紙等の天然繊維シート等を用いて製造する、前記本発明の清浄用物品の製造方法により、バインダー塗布液が、より均一に、効率的に塗布され、環境面にも配慮し、更に柔軟性、肌触り感にも優れ、かつ、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を提供することを目的とする。
 前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> シートの表面の平滑化処理を行う第1平滑化工程と、前記平滑化処理がなされた前記シートに対し、連続回転式印刷機によりバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、前記バインダー塗布処理がなされた前記シートを乾燥させる乾燥工程と、を備える清浄用物品の製造方法である。
<2> 前記1平滑化工程は、粉砕パルプを複数回積繊して前記シートを形成する積繊工程、及び、前記シートを押圧する押圧工程の少なくともいずれか一方を含む、前記<1>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<3> 前記押圧工程では、前記シートを加熱して押圧する、前記<2>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<4> 前記バインダー塗布工程では、前記シートの一方の面に前記バインダー塗布処理を行った後、前記シートの他方の面に前記バインダー塗布処理を行い、前記乾燥工程では、前記シートの面に前記バインダー塗布処理を行う度に前記シートを乾燥させる、前記<1>に記載の清浄用物品の製造方法。
<5> 前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、前記<1>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<6> 前記バインダー塗布工程の後に第2平滑化工程を備える、前記<1>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<7> 前記<1>に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品。
<8> 非湿潤状態にある複数の原紙シートを含む積層体に対し、圧着部材により圧着処理を行う圧着工程と、前記圧着工程の後に、連続回転式印刷機により前記積層体の外側からバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、前記バインダー塗布工程の後に、前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、を備える清浄用物品の製造方法である。
<9> 前記圧着部材がエンボスロールであって、圧着処理により、前記積層体に多数の凸凹体を含む嵩高のエンボス形状が形成される、前記<8>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<10> 前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、前記<8>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<11> 前記バインダー塗布処理により積層体の外表面へ塗布されたバインダー塗布面の面積が、前記バインダー塗布処理の際に前記積層体の外表面へ塗布がなされなかったバインダー非塗布面の面積より大きい、前記<8>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<12> 前記バインダー塗布工程の後に、平滑化工程を備える、前記<8>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<13> 前記<8>に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品である。
<14> 非湿潤状態にある原紙シートに対し、連続回転式印刷機によりバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、前記バインダー塗布処理がなされた原紙シートを複数積層させた積層体に対し、圧着部材により圧着処理を行う圧着工程と、前記圧着工程の後に、前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、を備える清浄用物品の製造方法である。
<15> 前記圧着部材がエンボスロールであって、圧着処理により、前記積層体に多数の凸凹体を含む嵩高のエンボス形状が形成される、前記<14>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<16> 前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、前記<14>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<17> 前記バインダー塗布処理により積層体の外表面へ塗布されたバインダー塗布面の面積が、前記バインダー塗布処理の際に前記積層体の外表面へ塗布がなされなかったバインダー非塗布面の面積より大きい、前記<14>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<18> 前記バインダー塗布工程の後に、平滑化工程を備える、前記<14>に記載の清浄用物品の製造方法である。
<19> 前記<14>に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品である。
 本発明によれば、紙等の天然繊維シート等に、バインダー塗布液を、より均一により効率的に塗布可能とすることにより、環境面にも配慮し、更に、柔軟性及び肌触り感にも優れ、かつ、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を、効率的にかつ経済的に有利に製造可能な、清浄用物品の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、紙等の天然繊維シート等を用いて製造する、前記本発明の清浄用物品の製造方法により、バインダー塗布液が、より均一により効率的に塗布され、環境面にも配慮し、更に、柔軟性及び肌触り感にも優れ、かつ、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を提供することができる。
本発明において好適に用いられるグラビア印刷機の概略図である。 本発明の第1の実施形態の清浄用物品を製造する一例を示す工程図である。 本発明の第2の実施形態の清浄用物品を製造する一例を示す工程図である。 本発明の第3の実施形態の清浄用物品を製造する一例を示す工程図である。 液体供給工程と、パルプ検出工程との概要図である。 積繊される綿状のパルプ繊維を示す概要図である。
 以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態:清浄用物品の製造方法]
 本発明の第1の実施形態における清浄用物品の製造方法は、圧着工程と、バインダー塗布工程と、乾燥工程と、を備え、必要に応じてその他の工程を備える。
 圧着工程においては、非湿潤状態にある複数の原紙シートを含む積層体に対し、圧着部材により圧着処理が行われる。
 ここで、本明細書において「非湿潤状態」とは、原紙シートに水を吹き付ける等して原紙シートに、外部から積極的に水分を供給したような態様は含まないとの意味である。通常、紙材料は気温や湿度の条件に相応した湿気(水分)を含むが、この湿気(水分)は、外部から積極的に供給した水分ではないため、このような湿気(水分)を含んでいる態様も、本明細書における「非湿潤状態」に含まれる。従って、気温、湿度条件によって原紙シートに含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、本明細書における「非湿潤状態」に相当するものといえる。
 原紙シートの材料としては、種々の原料パルプが好適に挙げられる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等が挙げられる。また、パルプ等の天然繊維に限らず、レーヨン等の半合成繊維等も好適に挙げられる。更に、本発明は原料パルプとして、トイレットペーパー材料を用いることができ、この場合、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプとを配合したものを用いるのが好ましい。また、原紙シートの材料として、ケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸等を用いることもできる。原紙シートの材料としては、これらのうちの1種が単独で配合されたものでもよく、2種以上が併用されて配合されたものであってもよい。また、原紙シートの材料としては、水解性を有するものであってもよく、水解性を有しないものであってもよい。
 複数の原紙シートを含む積層体は、複数の原紙シートのほか、必要に応じてその他の層を含んでもよい。
 その他の層としては、例えば、複数の原紙シートの間に設けられる、柔軟性付与層が好適に挙げられる。柔軟性付与層は、一例として、粉砕パルプ又は粉砕パルプを主原料とする材料から形成される。ここで、粉砕パルプとは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕し、綿状にしたものをいう。柔軟性付与層は、原料となるパルプシートを粉砕機によって粉砕等して製造されるものである。粉砕パルプの材料としては、種々のパルプ材を用いることができる。パルプ材としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができる。また、パルプ等の天然繊維に限らず、レーヨン等の再生繊維等も用いることができる。更に、原料パルプとして、トイレットペーパー材料を用いることもできる。この場合には、例えば、赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルース等の針葉樹から得られる針葉樹晒クラフトパルプと、ブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダー等の広葉樹から得られる広葉樹晒クラフトパルプとを配合したものを用いることもできる。ただし、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが、製造上の観点からは好ましい。なお、この柔軟性付与層を形成する際に用いられるパルプ材の材料は、原紙シートを形成する前述の材料と同じ材料であってもよいし、異なってもよい。
 柔軟性付与層に用いる材料が、粉砕パルプを主原料とする材料から形成される場合、粉砕パルプの配合が30%以上であることが好ましく、また、粉砕パルプの配合が50%以上であることがより好ましい。更に、粉砕パルプの配合は80%以上であることが好ましい。粉砕パルプは、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、粉砕パルプの配合を上記の割合にすることにより、粉砕パルプを形成する各繊維同士の間に空間をより形成しやすくなる。この空間は、繊維と繊維との間に無数に形成されるものであるから、この空間が形成される分だけ、より少ない目付量で柔軟性付与層の嵩高をより大きくすることができ、柔軟性付与層に嵩高形成機能を大きくすることができる。また、このように、粉砕パルプを主原料とする材料から柔軟性付与層を形成することにより、繊維同士の間に空間を形成して各繊維が動く自由度を大きくすることができ、かつ、柔軟性付与層の嵩高をより大きくすることができる。また、清浄用物品全体としての柔軟性を向上させ、製造時の生産効率を向上させることができる。ここで、嵩高形成機能とは、原紙シート及び柔軟性付与層を含む積層体の嵩高をより大きくする機能であり、嵩高形成機能が高い場合には、積層体の嵩高がより大きい状態を意味し、嵩高形成機能が低い場合には、積層体の嵩高が小さい状態を意味するものとする。
 柔軟性付与層が、本実施形態の清浄用物品に設けられることにより、以下の利点がある。特に、柔軟性付与層が、前述のような粉砕パルプを主原料とする材料から形成され、この柔軟性付与層が、複数の原紙シートの間の層として形成される場合には、柔軟性付与層における繊維が原紙シートに適切に絡む。これにより、これらの層間の剪断強度が高くなる。よって、柔軟性付与層が設けられた清浄用物品を、対象物のふき取り作業等に用いる場合には、特に、ふき取り動作において発生する横方向の力に強く、切れが発生し難い等により有利である。
 柔軟性付与層における粉砕パルプの目付量は、80g/m2以下であることが好ましく、また、60g/m2以下であることがより好ましい。粉砕パルプの目付量を上記の範囲にすることにより、清浄用物品の製造及び梱包をしやすくすることができ、使用者が使用しやすくかつ梱包しやすい嵩高を有するように構成することができる。
 圧着工程において、圧着部材としては、複数の原紙シートを含む積層体を圧着処理可能な部材である限り特に制限はない。圧着部材として、例えば、一対の圧着ロールを用い、複数の原紙シートを含む積層体を、圧着ロールにより圧着処理することにより、積層体に複数の凸凹体による嵩高部を形成する態様も好ましい。また、例えば、圧着部材としてエンボスロールを用い、複数の原紙シートを含む積層体を圧着処理することにより、複数の原紙シートを含む積層体に、多数の凸凹体を有する嵩高のエンボス形状を形成する態様も好ましい。
 このように、複数の原紙シートの積層体に多数の凹凸を賦形した嵩高構造を形成することにより、得られる清浄用物品の強度がより高まり、また、多数の凹凸体の嵩高エンボス形状によって、清掃対象物に対する清浄機能(特に拭き取り機能)のより高い清浄用物品を提供することができる。エンボスロールによる圧着によれば、原紙シートに多数の凹凸を賦形して嵩高構造が形成されることにより、清浄用物品の強度が高まり、かつ、清掃機能(特に拭き取り機能)をも高めることができる点で、好ましい。
 バインダー塗布工程においては、圧着工程の後に、連続回転式印刷機による積層体の外側からのバインダー塗布処理が行われる。
 バインダーとしては、所定の接着力を有し、かつ積層体に所定の強度を付与できるものであれば特に制限はなく、種々のバインダーが好適に用いられる。バインダーとしては、例えば、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子等が挙げられる。
 多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。これらのうち、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリビニルアルコールが好ましい。これらのバインダーは、1種単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
 本実施形態において、バインダー塗布処理に用いられる連続回転式印刷機としては、圧着工程後の積層体の外側から、バインダー溶液を、連続的に回転しながら均一に塗布することができれば特に制限はない。中でも、グラビア印刷による塗布対象への塗布が特に好適である。
 従来、バインダーを紙等による塗布対象へ塗布する場合、噴霧装置のノズルからバインダー溶液を、塗布対象である紙等の積層体の表面及び裏面にスプレー噴霧する態様が採られていた。
 しかし、従来のように、スプレー噴霧によってバインダー溶液を紙等の塗布対象に塗布する場合、バインダー溶液は、相当の勢いで噴霧装置のノズルから塗布対象面に向けて吐出又は噴霧される。相当な勢いでノズルから吐出又は噴霧されたバインダー溶液は、空気中で微細な粒状又は霧状の液滴となって拡散しつつ、塗布対象面に付着し塗布されるものである。したがって、スプレー噴霧によると、バインダー溶液の液滴の粒の大きさを一様に制御することは非常に困難であり、結果的に大きさのバラバラな粒状液滴のバインダー溶液が、紙等の塗布対象面に付着してしまうという問題があった。また、スプレー噴霧によるノズルからの吐出又は噴霧では、塗布対象面の塗布対象領域に精確にバインダー溶液を塗布することも困難であり、結果的に塗布液の無駄も多くなり、塗布効率も悪いものであった。更に、塗布対象面における塗布状態を均一にすることも困難であった。これらの諸問題から、従来、バインダー溶液塗布後の塗布対象面においては、塗布状態が均一ではなく塗布ムラが生じていた。結果的に、得られる清浄用物品の強度が低く、また、より多量のバインダー溶液を紙等の塗布対象に塗布する必要があったため、後の乾燥工程においても乾燥に時間がかかる等の問題があった。
 一方、本実施形態においては、バインダー溶液は、特に、グラビア印刷により、紙等の塗布対象面に好適に塗布される。本発明において、特に好適に用いられるグラビア印刷法としては、特に制限はなく、公知のグラビア印刷方式をいずれも好適に適用可能である。
 図1に示すように、本実施形態の塗布工程において好適に用いられるグラビア印刷機200は、グラビア版のシリンダ201a、圧着ローラ201b、バインダー溶液溜め202、及びドクターブレード203を備える。本実施形態においてグラビア印刷によりバインダー溶液を塗布する場合、シリンダ201aの回転によりシリンダ201aの一部が、バインダー溶液が収容されているバインダー溶液溜め202に浸され、シリンダ201aにおけるセル(版面のくぼみ)がバインダー溶液で満たされる。そして、ドクターブレード203を版面に圧着させることにより、セルに詰まったバインダー溶液以外のシリンダ201a表面の塗布されない部分から、バインダー溶液がそぎ落とされる。圧着工程後の紙204等が、印刷機における圧着ローラ201bとシリンダ201aとに挟みこまれ、バインダー溶液が塗布対象の紙204へ均一に移るように圧着ローラ201bがシリンダ201a上で紙204を適度に押す。これにより、バインダー溶液がシリンダ201a(セル)から塗布対象である紙204に効果的に転移される。更には、圧着ローラ201bによる押圧によって、紙204等の塗布対象に転移されたバインダー溶液は、塗布対象面において充分に塗り込まれ、均等な塗布状態を保ちつつ、塗布対象である紙204の内部にも適切に浸透することにより、塗布領域の厚みも均等となる。これにより、表面の厚みの点からも均等な塗布が可能となるため、優れた肌触り感を有する清浄用物品が効率的に得られる。
 グラビア印刷において、シリンダ201aとしては特に制限はないが、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、シリンダ201a表面が平滑面又は鏡面等であっても本発明において使用可能であるが、前述のように、シリンダ201aにセルが形成されている場合には、そのセルにバインダー溶液が適切に付着し、塗布対象の紙204等へのより効果的な転写が可能である。
 グラビア印刷において、圧着ローラ201bとしては、前述の機能を適切に発揮し得、シリンダ201aとの挟み込みによってバインダー溶液を均等に塗布対象面に転写しつつ、更にこれを充分に紙204等の塗布対象面に塗り込むことが可能であれば特に制限はなく、通常公知の樹脂ロール等が好適に用いられる。圧着ローラ201bとしては、シリンダ201a同様、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、圧着ローラ201bの表面が平滑面又は鏡面等であっても、本発明において使用可能であるが、前述のように、圧着ローラ201bにセル等のパターンが形成されている場合には、塗布対象の紙204等への効果的な転写が可能である。また、グラビア印刷による場合には、従来のスプレー塗布とは異なり、ノズルを経由しての吐出等によるような制約がないことから、塗布するバインダー溶液の粘性や粒度等に関係なく、様々な物性のバインダー溶液を自在に好適に塗布可能である。
 シリンダ201a及び圧着ローラ201bの表面に形成される格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンは、従来公知の、エッチング又は彫刻等によって形成してもよい。
 くぼみのパターンの深さとしては、塗布溶液の種類や塗布領域、塗布対象物の用途等によって、適宜変更又は調整するのが好ましい。例えば、シリンダ201a及び圧着ローラ201bにおけるロール表面の両端付近のセル等のパターンの深さを、ローラ表面における他の領域のセル等の深さより予め深く形成したものを用いてバインダー塗布を行うことにより、得られる清浄用物品の両端域に塗布及び浸透させるバインダー溶液の量を、他の領域に塗布及び浸透させるバインダー溶液の量に比べ多くすることができる。これにより、両端部分の強度が、他の領域と比べて高い清浄用物品を製造可能である。特に、このような清浄用物品は、ふき取り作業やその他の作業に用いられるため、先ず、その端の部分において、切れや破れ等の破損が生じることが多い。したがって、両端部分の強度を他の領域の強度より予め高く調整することにより、端部からの切れ又は破れ等の発生し難い、より使い勝手の良い清浄用物品を提供することができる。また例えば、ローラ表面に形成されたセルパターンにおいて、部分的に、格子状に深いセルを形成することにより、格子状に、塗布されるバインダー溶液量を多くすることもできる。これにより、格子状に補強された清浄用物品が提供される。
 なお、バインダー塗布処理においては、塗布対象である積層体の外表面、つまり積層体の両面へ各々バインダー塗布処理が行われる。よって、例えば、行程中、グラビア印刷が施される塗布処理の工程を2回設け、積層体に片面ずつバインダーを塗布することにより、両面への塗布処理を行ってもよい。この場合、例えば、積層体の片面に塗布処理を施した後、塗布面を反転させて再度塗布処理を行ってもよい。
 バインダー塗布処理においては、更に、グラビア印刷の前段階において、例えば、スプレー噴霧によるバインダーの塗布処理工程を複数設けてもよい。このように、グラビア印刷以外の異なる塗布処理を組み合わせてバインダー溶液の塗布を行うことにより、各塗布処理の特性及び長所を活かした塗布が可能となる。
 以上のように、本発明におけるバインダー塗布工程によれば、バインダー溶液を、より均一にかつ充分に、塗布対象の紙等に塗布することができる。したがって、より少量のバインダー溶液の使用であっても、実用上充分な強度を有する清浄用物品を提供することができる。また、塗布する液体量を絶対的に減少させることができるため、次の乾燥工程における乾燥時間の短縮、乾燥に費やす消費電力のロスをも効果的に減少させることができる。
 なお、図1では、グラビア印刷機200において、バインダー溶液溜め202は、紙204の下面側に位置するものとして示しているが、これに限らない。例えば、バインダー溶液溜め202は、紙204の紙面が鉛直方向に移動するとき、紙面の側方に位置してもよい。この場合、バインダー溶液溜め202からバインダー溶液が漏れ出さず、かつ、シリンダ201aが回転可能となるように、蓋等が設けられる。
 バインダー塗布工程においては、塗布処理により、紙等の積層体の外表面へ塗布されたバインダー塗布面の全面積が、塗布処理の際に積層体の外表面へバインダー塗布がなされなかった非塗布面の全面積より大きくなるように、バインダー溶液が塗布されるのが好ましい。即ち、本発明において、バインダー塗布処理の際の「バインダー塗布面積比」を、塗布処理において、「積層体の外表面に塗布されたバインダー塗布面の全面積/積層体の外表面へバインダー塗布がなされなかったバインダー非塗布面の全面積」とした場合、バインダー塗布面積比としては、1より大きいのが好ましい。また、バインダー塗布面積比は、2より大きいのがより好ましい。バインダー塗布面積比を1より大きくすることにより、実用上充分な強度を有する清浄用物品が製造される。
 乾燥工程は、バインダー塗布工程の後にくる工程であり、特に制限はないが、乾燥手段として、例えば、電磁波乾燥、通気乾燥(熱風乾燥)、赤外線乾燥、熱ロール乾燥等が挙げられる。これらの中でも特に、電磁波乾燥が好ましい。電磁波乾燥は、電磁波を利用して乾燥を行うもので、これに用いる電磁波乾燥機としては電子レンジと同様の機構、構造を備えた装置を用いることができる。本実施形態における電磁波乾燥は、マイクロ波加熱により乾燥を行うもので、マイクロ波を照射すると、極性を持つ水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動、回転し、温度が上がり、この温度上昇により水を蒸発して乾燥を行うという原理に基づくものである。
 電磁波乾燥は、短時間で乾燥を行える利点があり、また、電磁波の透過能力は高く、原紙シートの内部にまで透過して加熱することにより、均一に加熱できる。従って、均一に乾燥を行うことができる。更に、電磁波乾燥においては、電磁波エネルギーが直接負荷され、エネルギーの二次消耗はないので、赤外線加熱に比べてエネルギーを少なくとも30%節約することができ、エネルギー消費量を減少できるので、製造コストの低減に寄与できる。本実施形態に用いる電磁波乾燥機として、例えば、電力1kW当り、1kgの水を1時間で乾燥できる能力を持つものが好ましい。また、連続製造設備に設置する電磁波乾燥機としては、乾燥機内部に連続して原紙シートを通すことができるトンネル式電磁波乾燥機を用いることが、連続生産に適していて好ましい。
 電磁波乾燥は、通気乾燥(熱風乾燥)と異なり、積層体にエンボスにより賦形された凹凸体の凹凸形態が形成されている場合には、風の圧力で潰れるおそれがなく、また、熱ロール乾燥と異なり、機械的圧力により凹凸形態が潰れるおそれがない。
 更に、電磁波乾燥は、通気乾燥、赤外線乾燥、熱ロール乾燥に比べて乾燥効率が優れ、短時間で乾燥できるため、エンボスの高低差が減少するエンボス戻りのおそれがないという利点がある。電磁波乾燥においては、電磁波が原紙シートの内部にまで透過して加熱するので、原紙シートは表面のみならず、内部まで均一にかつ短時間で加熱乾燥される。
 また、本実施形態の清浄用物品の製造方法においては、前述のように、バインダーを均一塗布可能で、強度の高い清浄用物品を、より少ないバインダー溶液の使用量にて得られるため、塗布しなければならないバインダー溶液の量が大幅に削減される。このため、本実施形態の清浄用物品の製造方法によれば、清浄用物品を、より効率的に短時間で乾燥可能である。
 本実施形態では、バインダー塗布工程の後に、更に、平滑化工程を加えるのも好ましい。平滑化工程は、バインダー塗布工程の後に設けられるのが好ましく、乾燥工程とは前後していてもよいが、塗布後の積層体の平滑化という観点からは、乾燥工程の前に設けられるのが好ましい。平滑化工程は、例えば、平滑ロール等を用いて行われる。平滑化工程によって、前述の塗布処理後の積層体の外表面がより平滑に、均一にならされる。
 乾燥工程の後、適宜に、積層体の折り畳み工程、切断工程、清浄液塗布工程等を実施してもよい。
 清浄液塗布工程において、塗布される清浄用液体は、得られる清浄用物品に含まれる原紙シートに清浄機能を付与する液体が含まれているほか、他の目的のために配合される液体を含んでいる。
 清浄用液体としては、水、架橋剤、有機溶剤を配合してなる水系組成のものが用いられ、必要に応じて界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、消臭剤、漂白剤、キレート剤、香料等を配合することができる。なお、清浄用液体としては、例えば、水性薬剤等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
 架橋剤は、バインダーと架橋反応を起こしてバインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。清浄用液体において用いられる架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のカルボキシル基を有するバインダーを用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましい。この多価金属イオンとしては、亜鉛、アルカリ土類金属、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属イオンが挙げられる。具体的には、亜鉛、カルシウム、バリウム、コバルト、ニッケルのイオンが好適に用いられる。これらは十分な湿潤強度を付与する点において好ましい。上記の多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。
 有機溶剤としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールとのモノエーテル又はジエーテル、グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール等の多価アルコールを用いることができる。
 界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
 次に、本発明の第1の実施形態における清浄用物品の製造方法を、図2に基づいて説明する。なお、清浄用物品の製造方法において、「上流側」とは、製造過程の所定の地点において、後述する原紙シート等が供給される側を意味する。清浄用物品の製造方法において、「下流側」とは、製造過程の所定の地点において、供給された原紙シート等が送り出される側を意味する。
 図2において、符号1は第1原紙シート4を巻回した第1送りロール、符号2は第2原紙シート5を巻回した第2送りロール、符号3はパルプシート6aを巻回した第3送りロールである。ここで、パルプシート6aは、粉砕パルプ6bからなる柔軟性付与層を形成するためのものである。また、これら第1原紙シート4、第2原紙シート5及びパルプシート6aは、各々が、トイレットペーパー等の薄葉紙1枚からなる単層構造でもよいし、薄葉紙を複数枚重ねた多層構造でもよい。
 第1原紙シート4は、ピンチロール(不図示)によって矢印X方向に送り出されて粉砕機13の中に送り込まれる。また、パルプシート6aは、別のピンチロール(不図示)によって矢印Y方向に送り出されて粉砕機13の中に送り込まれる。
 粉砕機13は、ハウジングの内部に、粉砕部及び空気流を形成する空気流形成機構Faを備える。パルプシート6aは、粉砕機13に送られると、内部の粉砕部で粉砕される。粉砕されたパルプ(粉砕パルプ6b)は、ハウジング内において、空気流形成機構Faにより形成された空気流によって、繊維同士の交絡を解除したり、交絡を弱くしたりしながら図中のB方向に向けて移動し、第1原紙シート4の上に順次圧縮されながら積層される。即ち、第1原紙シート4の表面に積層された粉砕パルプ6bの繊維は、パルプシート6aが粉砕部で粉砕された後、空気流形成機構Faによって形成された空気流の流れに沿って第1原紙シート4の表面に向けて移動し、第1原紙シート4の表面に順次積層され、圧縮されたものである。そのため、第1原紙シート4の表面と粉砕パルプ6bの繊維とが積層されることで形成された層との境界面の領域における粉砕パルプ6bの繊維は、圧縮された状態で密に存在している。
 このようにして、粉砕機13のハウジング内部において粉砕パルプ6bが積層された第1原紙シート4は、順次X方向に移動しながら粉砕機13の外部に送り出される。
 送り出された第1原紙シート4は、更にX方向へ移送され、粉砕機13の下流側で第1原紙シート4の粉砕パルプ6bが積層された面上に第2原紙シート5が積層される。第2原紙シート5は、不図示のピンチロールによってZ方向に送り出されており、第1原紙シート4の上に積層される。この時点で、第1原紙シート4、粉砕パルプ6b及び第2原紙シート5が順次積層された構成となる。以下において、これら第1原紙シート4、粉砕パルプ6b及び第2原紙シート5が積層された構成のものを積層体35aと言う。
 積層体35aは、上下一対のエンボスロール(圧着部材)14に通され、エンボスロール14にてエンボス加工が施される。エンボスロール14は、ロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなるもので、従来公知のエンボスロール14を用いることができる。エンボス加工(圧着処理)による凹凸賦形は、例えば、積層体35aの第1原紙シート4又は第2原紙シート5のいずれか一方から片面に対してのみに行ってもよいし、積層体35aの第1原紙シート4及び第2原紙シート5の表裏両面に対して行ってもよい。
 この時の積層体35aは非湿潤状態である。エンボス加工(圧着処理)を行うことにより、多数の凸部と凹部とからなる凹凸体が積層体35aに形成され、これら多数の凹凸体により嵩高部が形成されている。この時、第1原紙シート4と第2原紙シート5との間に粉砕パルプ6bが存在しているので、より嵩高感を有する。これは、粉砕パルプ6bが存在することにより、第1原紙シート4と第2原紙シート5との間に形成される厚みを持たせることができる。
 エンボス加工(圧着処理)の後、積層体35aには、次のバインダー塗布工程においてグラビア印刷用ロール15によりバインダーが塗布される。グラビア印刷用ロール15は、図1のグラビア印刷機200の機能の一部を図示したものであり、他の部分は不図示とする。バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。これにより、従来のスプレー噴霧による塗布等とは異なり、積層体35aには、グラビア印刷用ロール15によりバインダーが均一にかつ充分に塗布される。これにより、より少量のバインダー溶液の使用であっても、得られる清浄用物品は、実用上充分な強度を有するものとなる。
 積層体35aの外面側からバインダーの溶液がグラビア印刷用ロール15により供給されると、積層体35aの表面にもバインダーが含浸される。したがって、最終的に製造される清浄用物品の表面にはバインダーが均一に含浸されている状態となる。バインダーは、積層体35aの一方の面から厚み方向反対面に亘り、厚み方向全層に亘って含浸される場合と、反対面にまで至らずに途中まで含浸される場合がある。即ち、第1原紙シート4と粉砕パルプ6bの繊維が積層されることで形成された層との境界面、第2原紙シート5と粉砕パルプ6bの繊維が積層されることで形成された層との境界面の少なくともいずれかにはバインダーが含浸するものの、粉砕パルプ6bの繊維が積層されることで形成された層の厚み方向の全体に含浸せず、層の厚み方向の一部にのみ含浸される場合がある。これは、積層体35aの一方側の面からバインダーの溶液を供給した場合、及び積層体35aの両方の面からバインダーの溶液を供給した場合のいずれにおいても同様である。
 バインダーが塗布及び含浸された積層体35aは、乾燥機8に送られ、ここで乾燥が行われる。乾燥手段としては、熱風乾燥又は赤外線乾燥等、従来公知の方法を任意に用いることができる。バインダーが塗布及び含浸された積層体35aを乾燥機8で乾燥するにあたっては、1つの乾燥機8により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機8を設置して、順次、各乾燥機8に積層体35aを送りながら乾燥させてもよい。
 乾燥機8によって乾燥された積層体35aは、折り畳み工程、切断工程、清浄用液体含浸工程に順次送られる。折り畳み工程では、積層体35aは折り機9に案内され、所定の折回数で折り畳まれる。折り畳み工程後、積層体35aは所定寸法に切断されて、積層体35aの折り畳み体40aが得られる。この折り畳み体40aに清浄用液体11を噴霧することにより、折り畳み体40aに清浄用液体11が含浸される。このようにして、本発明の第1の実施形態における製造方法による本発明の清浄用物品12が得られる。
[第2の実施形態:清浄用物品の製造方法]
 本発明の第2の実施形態における清浄用物品の製造方法は、バインダー塗布工程と、圧着工程と、乾燥工程と、を備え、必要に応じてその他の工程を備える。
 バインダー塗布工程においては、非湿潤状態にある原紙シートに対し、連続回転印刷機によりバインダー塗布処理が行われる。「非湿潤状態にある原紙シート」、「連続回転印刷機」、「バインダー」、「バインダー塗布処理」等については、全て前述の本発明の第1の実施形態において述べたものが好適に適用される。
 圧着工程においては、バインダー塗布処理がなされた原紙シートを複数積層させた積層体に対し、圧着部材により圧着処理が行われる。「圧着部材」、「圧着処理」等については、前述の本発明の第1の実施形態において、清浄用物品の製造方法で用いるものが全て好適に適用される。
 図3において、符号101は第1原紙シート104を巻回した第1送りロール、符号102は第2原紙シート105を巻回した第2送りロール、符号103はパルプシート106aを巻回した第3送りロールである。ここで、パルプシート106aは、粉砕パルプ106bからなる柔軟性付与層を形成するためのものである。また、これら第1原紙シート104、第2原紙シート105及びパルプシート106aは、各々が、トイレットペーパー等の薄葉紙1枚からなる単層構造でもよいし、薄葉紙を複数枚重ねた多層構造でもよい。
 第1原紙シート104は、非湿潤状態にあり、先ず、バインダー塗布工程において、グラビア印刷用ロール115によりバインダー塗布がなされる。バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。従来のスプレー噴霧によるバインダー塗布等とは異なり、第1原紙シート104には、グラビア印刷用ロール115によってバインダーが均一かつ充分に塗布され、含浸される。これにより、より少量のバインダー溶液の使用であっても、得られる清浄用物品は、実用上充分な強度を有するものとなる。なお、グラビア印刷用ロール115は、図1のグラビア印刷機200の機能の一部を図示したものであり、他の部分は不図示とする。
 第1原紙シート104は、バインダー塗布工程の後、更に矢印X方向に送り出さて粉砕機113の中に送り込まれる。また、パルプシート106aは、矢印Y方向に送り出されて粉砕機113の中に送り込まれる。
 この粉砕機113は、ハウジングの内部に、粉砕部及び空気流を形成する空気流形成機構Fbを備えている。パルプシート106aは、粉砕機113に送られると、粉砕部で粉砕される。そして、粉砕されたパルプ(粉砕パルプ106b)は、ハウジング内において、空気流形成機構Fbにより形成された空気流によって、繊維同士の交絡を解除したり、交絡を弱くしたりしながら、図中のB方向に向けて移動し、第1原紙シート104の上に順次圧縮されながら積層される。即ち、第1原紙シート104の表面に積層された粉砕パルプ106bの繊維は、パルプシート106aが粉砕部で粉砕された後、空気流形成機構Fbによって形成された空気流の流れに沿って第1原紙シート104の表面に向けて移動し、第1原紙シート104の表面に順次積層され圧縮されたものである。そのため、第1原紙シート104の表面と粉砕パルプ106bの繊維とが積層されることで形成された層との境界面の領域における粉砕パルプ106bの繊維は、圧縮された状態で密に存在している。
 このようにして、粉砕機113のハウジング内部において粉砕パルプ106bが積層された第1原紙シート104は、順次X方向に移動しながら粉砕機113の外部に送り出される。
 送り出された第1原紙シート104は、更にX方向へ移送され、粉砕機113の下流側で第1原紙シート104の粉砕パルプ106bが積層された面上に第2原紙シート105が積層される。第2原紙シート105は、バインダー塗布工程において、グラビア印刷用ロール115によりバインダー塗布がなされる。バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。同様に、従来のスプレー噴霧によるバインダー塗布等とは異なり、第2原紙シート105には、グラビア印刷用ロール115によってバインダーが均一に塗布され、含浸されている。第2原紙シート105は、バインダー塗布の後、更にZ方向に送り出され、第1原紙シート104の上に積層される。この時点で、第1原紙シート104、粉砕パルプ106b及び第2原紙シート105が順次積層された構成となる。以下において、これら第1原紙シート104、粉砕パルプ106b及び第2原紙シート105が積層された構成のものを積層体35bと言う。
 この時、第1原紙シート104と第2原紙シート105との間に粉砕パルプ106bが存在しているので、より嵩高感を有する。これは、粉砕パルプ106bが存在することで第1原紙シート104と第2原紙シート105との間に形成される厚みを持たせることができる。
 バインダー塗布の後、積層体35bには、圧着工程により、上下一対のエンボスロール(圧着部材)114に通され、エンボスロール114にてエンボス加工が施される。エンボスロール114は、上述のように、ロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなるもので、従来公知のエンボスロール114が用いられる。エンボス加工(圧着処理)による凹凸賦形は、例えば、積層体35bのいずれか一方から片面に対してのみに行ってもよいし、両面に対して行ってもよい。
 バインダーが塗布及び含浸され、圧着処理がなされた積層体35bは、乾燥機108に送られ、乾燥機108にて乾燥が行われる。乾燥手段としては、熱風乾燥又は赤外線乾燥等、従来公知の方法を任意に用いることができる。バインダーが塗布及び含浸された積層体35bを乾燥機108で乾燥するにあたっては、1つの乾燥機108により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機108を設置して、順次、各乾燥機108に積層体35bを送りながら乾燥するようにしてもよい。
 乾燥機108によって乾燥された積層体35bは、折り畳み工程、切断工程、清浄用液体含浸工程に順次送られる。折り畳み工程では、積層体35bは、折り機109に案内され、所定の折回数で折り畳まれる。折り畳み工程後、積層体35bは、所定寸法に切断されて、積層体35bの折り畳み体40bが得られる。この折り畳み体40bに清浄用液体111を噴霧し、折り畳み体40bに清浄用液体111が含浸される。このようにして、本発明の第2の実施形態における製造方法による本発明の清浄用物品112が得られる。
 以上説明した本実施形態の清浄用物品は、トイレにおける便器及びトイレ周りの清掃を行うための清掃用品、おしり拭き用品、身体等を拭く身体拭き、顔を拭くフェイシャルシート又はメイク落とし、パック、ウェットティッシュ、おしぼり、紙雑巾、ウェットフローリングシート等に用いることができる。
 本実施形態の清浄用物品の製造方法は、紙等の天然繊維シート等に、バインダー塗布液を、より均一により効率的に塗布可能であるため、環境面にも配慮し、更に柔軟性及び肌触り感にも優れると共に、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を、効率的にかつ経済的に有利に製造できる。また、本実施形態の清浄用物品の製造方法は、バインダー塗布液が、より均一により効率的に塗布され、環境面にも配慮し、更に柔軟性及び肌触り感にも優れると共に、実用上の使用において充分な強度を有する清浄用物品を提供することができる。特に、前述したように、粉砕パルプ等を含む柔軟性付与層を設けた場合には、柔軟性付与層を構成する繊維が圧縮された状態で密に存在するので、その密に存在する繊維と上下の原紙シートの繊維とが、バインダーによって密に接合する等により、得られる清浄用物品の強度を、更に向上させることができる。
[第3の実施形態:清浄用物品の製造方法]
 本発明の第3の実施形態について、図4~図6を用いて説明する。第3の実施形態では、エアレイド方式によるパルプ積繊シート301の製造方法について説明する。なお、図4では、図面の複雑化を避けるために、パルプ積繊シート301は製造ライン300の最終部分においてのみ符号を付し、それ以外では図示を省略している。同様に、パルプ繊維303の図示も省略する。第3の実施形態に係るパルプ積繊シート301は、第1の実施形態における柔軟性付与層に相当する。このため、第3の実施形態では、第1の実施形態の図2に示した第1原紙シート4、第1原紙シート4を巻回した第1送りロール1、第2原紙シート5及び第2原紙シートを巻き付けた第2送りロール2を省略することができ、第1の実施形態に比べて製造コストを抑制することができる。
 図4は、第3の実施形態のパルプ積繊シート301の製造ライン300の概要を示す図である。この製造ライン300の製造工程は、大きく分けて、粉砕前工程、粉砕工程、積繊工程、押圧工程、バインダー塗布工程、乾燥工程を備える。
 粉砕前工程は、液体供給工程と、パルプ検出工程とを備えている。液体供給工程は、パルプ繊維303に対して液体供給装置304により液体を供給する工程である。また、パルプ検出工程は、パルプ検出装置305によりパルプ繊維303が製造ライン300に供給されているかどうかを検出する工程である。なお、パルプ繊維303の幅(Y方向の長さ)は、900mm~1800mm程度であり、その幅に合わせて製造ライン300が設計及び製造される。
 図5は、液体供給工程と、パルプ検出工程との概要図である。図5に示すように、液体供給装置304(図4参照)は、液体供給工程において、搬送されてきたパルプ繊維303の中央領域304aに液体を供給する。後述するように、パルプ繊維303は、メッシュに積繊されて搬送されるため、静電気が帯電するおそれがある。また、この製造ライン300により製造されたパルプ積繊シート301は、排泄物を吸収する吸収体として使用される場合がある。このため、液体供給装置304が供給する液体としては、静電気の帯電防止用として、エタノール、メタノール、2-プロパノール(IPA)等の溶液や、水を用いてもよい。
 また、液体供給装置304が供給する液体としては、排泄物の消臭用として、活性炭;ゼオライト;シリカ;セラミック;大谷石;木炭高分子;カーボンナノチューブ;カーボンナノホーン;クエン酸、コハク酸等の有機酸、ミョウバン(カリウムミョウバン)を用いることができる。
 なお、図4では、液体供給装置304を1つのユニットとして図示しているが、静電気の帯電防止用や、消臭用等のように用途に合わせて複数設けるようにしてもよい。また、中央領域304aではなく、図4のY方向にずらした領域を液体供給領域としてもよい。本実施形態においては、パルプ繊維303のY方向全体ではなく、中央領域304aといった部分領域を液体供給領域としている。これは、パルプ繊維303は、後述の粉砕工程において綿状に粉砕されるため、粉砕されたパルプ繊維303のほぼ全体に上述した液体が供給されるからである。これにより、液体供給装置304による過度な液体供給を防ぐことができ、パルプ積繊シート301の製造コストを抑制することができる。一例として、中央領域304aのY方向の長さはパルプ繊維303の幅の10%から50%程度とし、X方向の長さはY方向の長さと同じでもよく、Y方向の長さより短くてもよい(25%~75%程度)。なお、図5では中央領域304aは矩形状としているが円形でもよく、楕円形でもよい。
 また、液体供給装置304は、製造ライン300の湿度に応じて静電気の帯電防止用の液体の供給量を調整してもよい。具体的には、液体供給装置304は、製造ライン300が設置されている室内が乾燥している場合(例えば、湿度50%以下の場合)には、製造ライン300が設置されている室内が乾燥していない場合(例えば、湿度65%以上の場合)に比べて、帯電防止用の液体の供給量を増やしてもよい。即ち、液体供給装置304は、室内の湿度の低下に応じて、帯電防止用の液体の供給量を増やしてもよい。
 同様に、液体供給装置304は、パルプ積繊シート301の用途に応じて、消臭用液体の供給量を変えてもよい。具体的には、液体供給装置304は、前述の吸収体に対しては消臭用液体の供給量を多くし、外装体に対しては消臭用液体の供給量を少なくしてもよい。なお、消臭用液体は、金属を溶解した液体を用いることがある。このため、液体供給装置304は、パルプ積繊シート301が肌面となる場合(肌に接触する場合)、消臭用液体の供給を停止するようにする。
 粉砕前工程のもう1つは、パルプ繊維303が搬送されているかどうかを検出するパルプ検出工程である。これは、ロール状のパルプ繊維303がすべて搬送されてしまい、パルプ繊維303が搬送されていない状態を検出するものである。パルプ検出装置305は、図5に示すように、検出光305aを下方に照射し、パルプ繊維303からの反射光を不図示の検出部で検出した場合にパルプ繊維が搬送されていると検出する。パルプ検出装置305は、前述の反射光が不図示の検出部で検出できない場合にはパルプ繊維が検出されていないと判定して、音声及び又は発光等により警告を行う。
 製造ライン300では、粉砕前工程に引き続き粉砕工程にて、粉砕装置306を用いて、パルプ繊維303の粉砕が行われる。粉砕装置306は、一次粉砕部と、二次粉砕部とを備え、一次粉砕部によりパルプ繊維303をチップ状に粉砕し、チップ状に粉砕されたパルプ繊維303を二次粉砕部により綿状に粉砕する。なお、粉砕工程では、粉砕されたパルプ繊維303の散乱を避けるため、一次粉砕部と二次粉砕部ともケース等により収納されている。また、第3の実施形態においては、粉砕パルプを100%とすることが望ましいが、複合繊維(ES繊維)を混ぜ合わせてもよい。
 製造ライン300では、粉砕工程に引き続き積繊工程にて、積繊装置307を用いて、綿状のパルプ繊維303が積繊される。綿状のパルプ繊維303は、高圧エア等により配管308を通過して3つのタンク307a、307b、307cに蓄えられる。なお、タンクの数は3つに限定されない。積繊工程においても、綿状のパルプ繊維303の散乱(拡散)を防止するため、散乱防止用カバーが設けられている。これにより、製造ライン300の作業者がパルプ繊維303を吸い込むことを低減できる。また、第3の実施形態において、粉砕されたパルプ繊維303の平均繊維長は、一例として1mm~3mm程度である。
 3つのタンク307a、307b、307cに蓄えられた綿状のパルプ繊維303は、下側搬送用メッシュ309上に積繊される。下側搬送用メッシュ309は、網目形状であり、その材料として高分子化合物を用いることができ、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂(熱可塑性樹脂)、ナイロン、PET等の合成繊維を用いることができる。下側搬送用メッシュ309としては、1インチ×1インチにメッシュが30~50ある30番手~50番手を用いることができる。第3の実施形態において、下側搬送用メッシュ309は、40番(例えば0.5mm×0.5mm)のメッシュである。
 下側搬送用メッシュ309は、不図示の駆動源からの駆動力により、積繊した綿状のパルプ繊維303を図中のX方向に搬送する。なお、下側搬送用メッシュ309は、4つのロール310により所定の駆動範囲(積繊工程から平ロール312による押圧工程)でパルプ繊維303を繰り返し搬送する。
 上側に位置する下側搬送用メッシュ309の下方には、真空装置311が配置されている。真空装置311は、網目形状の下側搬送用メッシュ309を介して綿状のパルプ繊維303を吸着する。
 図6は、積繊される綿状のパルプ繊維303を示す概要図である。図6(a)に示すように、タンク307aから下側搬送用メッシュ309に積繊される綿状のパルプ繊維303は、積繊時間の長い右側で多くなり(高くなり)、左側に行くに従って、積繊時間が短くなるため、少なくなる(低くなる)。
 しかしながら、積繊量が多くなるに従って、真空装置311による吸着力が弱くなる(図中Vac小)。逆に言えば、積繊量が少ない部分では、真空装置311による吸着力が弱くなりにくい(図中Vac大)。
 このため、図6(b)に示すように、タンク307bから下側搬送用メッシュ309に積繊される綿状のパルプ繊維303の積繊量は、下側搬送用メッシュ309の位置によらず、その差が少なくなる。そして、図6(c)に示すように、タンク307cから下側搬送用メッシュ309に積繊される綿状のパルプ繊維303の積繊量は、下側搬送用メッシュ309の位置によらずほぼ均等になる。このように、パルプ繊維303の積繊量に応じて変化する真空装置311の吸着力を利用することにより、下側搬送用メッシュ309に積繊される綿状のパルプ繊維303の積繊量をほぼ均一にできる。この結果、後述するグラビア印刷によるバインダー塗布を効率的に行うことができる。なお、綿状のパルプ繊維303の積繊量に場所によるムラが生じる場合には、不図示の真空吸着ポートの位置をずらしたり、この真空吸着ポートの数を変えたりして調整すればよい。
 また、下側搬送用メッシュ309は、真空装置311に近い位置では強い吸着力が作用するため、綿状のパルプ繊維303が密に積繊される。一方、下側搬送用メッシュ309は、真空装置311から離れるに従って(Z方向に離れるに従って)、真空装置311による吸着力が弱くなるため、綿状のパルプ繊維303の密度が疎となる。製造ライン300で製造されたパルプ積繊シート301を製品にする際に、フローリングシート、トイレクリーナー等の清掃製品であれば、綿状のパルプ繊維303が密の面を主に用いるようにすることにより、汚れをしっかりと落とすことができる。一方、ボディシート、フェイスシート等の肌に使用する製品であれば、綿状のパルプ繊維303が疎の面を主に用いるようにすることにより、肌触りのよい肌用製品を提供することができる。
 製造ライン300では、積繊工程に引き続き押圧工程にて、複数の押圧装置を用いて、積繊された綿状のパルプ繊維303が押圧される。第3の実施形態において、押圧工程は、後述の第1バインダー塗布工程までに押圧を行う第1押圧工程と、後述の第1乾燥後と後述の第2バインダー塗布工程までに押圧を行う第2押圧工程とを備える。
 平ロール312は、一対のロール部材を備え、積繊された綿状のパルプ繊維303を押圧して、その嵩高を調整するものである。第3の実施形態において、平ロール312には4Kgf/cm2の圧力がかけられている。これにより、パルプ繊維303の下面(下側搬送用メッシュ309と接する面)には、下側搬送用メッシュ309のメッシュ形状の凹凸が形成される。平ロール312の圧力は、2Kgf/cm2~8Kgf/cm2の間で設定すればよく、パルプ積繊シート301を用いた製品の用途、又は水解性の製品か非水解性の製品かに応じて圧力を設定すればよい。
 前述したように、下側搬送用メッシュ309のメッシュは、40番(例えば0.5mm×0.5mm)である。パルプ繊維303の下面におけるメッシュ形状の凹凸は、0.5mm間隔で形成される。これに対して、粉砕されたパルプ繊維303の平均繊維長は、1mm~3mm程度である。そのため、粉砕されたパルプ繊維303は、メッシュ形状の凹凸を跨ぐこととなる。
 パルプ繊維303にメッシュ形状を形成させない場合は、平ロール312の圧力を2Kgf/cm2未満に設定すればよく、下側搬送用メッシュ309の耐圧性があれば8Kgf/cm2以上の圧力をかけてパルプ繊維303にメッシュ形状を形成してもよい。なお、平ロール312の前後に液体供給装置304を設けて、静電気の帯電防止用と消臭用との少なくとも一方の液体を供給してもよい。
 下側搬送用メッシュ309は、上側搬送用メッシュ313との境界までパルプ繊維303を搬送する。下側搬送用メッシュ309と上側搬送用メッシュ313との境界から平ロール316の押圧工程までは、上側搬送用メッシュ313及び真空装置315を利用してパルプ繊維303が搬送される。具体的には、下側に位置する上側搬送用メッシュ313の搬送面の上側に設けられた真空装置315がパルプ繊維303の上面と接触するパルプ繊維303の上面を真空吸着する。この状態で、上側搬送用メッシュ313は、不図示の駆動源からの駆動力によりパルプ繊維303を図中のX方向に搬送する。なお、上側搬送用メッシュ313は、4つのロール314により所定の駆動範囲(平ロール316の押圧工程)で繰り返しパルプ繊維303を繰り返し搬送する。
 平ロール316は、一対のロール部材を備え、平ロール312を通過したパルプ繊維303を押圧して、その嵩高を調整したり、上側搬送用メッシュ313のメッシュ形状をパルプ繊維303の上面(上側搬送用メッシュ313と接する面)に形成したりする。上側搬送用メッシュ313も下側搬送用メッシュ309と同じ40番のメッシュとする。なお、平ロール316の圧力も2Kgf/cm2~8Kgf/cm2の間で設定される。
 エンボス317は、平ロール316の下側のロールと協働して、平ロール316を通過したパルプ繊維303にエンボス加工を施す。第3の実施形態のエンボス317は、波目形状のエンボスであるが、その形状はどのような形でもよい。また、エンボス317を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、第3の実施形態では、エンボス317の圧力は、平ロール312、316で設定された圧力よりも高い圧力で設定されており、例えば、4Kgf/cm2~10Kgf/cm2の間で設定されている。なお、パルプ積繊シート301を用いた製品の用途や、水解性の製品か非水解性の製品かに応じて、エンボス加工を行う回数を設定してもよく、また、エンボス加工を行わなくてもよい。エンボス加工を行わない場合には、一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート301のZ方向の厚さよりも大きくしておけばよい。なお、図4から明らかなように、エンボス加工時にパルプ繊維303は、搬送メッシュを介在させていない。これは、エンボス加工により搬送メッシュが破損されるのを避けるためである。
 なお、第3の実施形態においては、液体供給装置304によりパルプ繊維303に液体を供給しているが、押圧工程までにパルプ繊維303が非湿潤であればよい。例えば、押圧工程時にパルプ繊維303の水分含有量が15%未満程度であればよく、メッシュによる搬送にて静電気の影響を受けない程度であればよい。このため、第3の実施形態においては、押圧工程時にパルプ繊維303の水分含有量15%未満程度であれば、非湿潤状態に相当するものといえる。
 また、第1押圧工程において、平ロール312、316及びエンボス317をそれぞれ60℃から150℃程度の範囲で加熱し、パルプ繊維303の温度を40℃から70℃程度にする。これにより、後述のバインダー塗布工程において、バインダーがパルプ繊維303に浸透しやすくなるので、バインダーの塗布量を低減し、製造コストを安くすることができる。なお、パルプ繊維303の温度がバインダーの溶解温度(例えば40℃~60℃)と同じ温度になるように、平ロール312、316及びエンボス317を加熱してもよい。また、第1押圧工程において、パルプ積繊シート301を押圧することにより、パルプ積繊シート301の表面を平滑化し、かつ、パルプ積繊シート301を柔軟にすることができる。
 なお、積繊工程と第1押圧工程との少なくとも一方を含む工程を第1平滑化工程としてもよい。即ち、第1平滑化工程は、積繊工程のみ、第1押圧工程のみ、及び、積繊工程と第1押圧工程とのいずれも含む場合がある。
 製造ライン300では、押圧工程に引き続きバインダー塗布工程において、パルプ繊維303にバインダーが塗布される。第3の実施形態において、バインダー塗布工程は、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程とを備え、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程との間に後述の第1乾燥工程が入る。ここでは、第1バインダー塗布工程について説明する。
 第1バインダー塗布工程において、パルプ積繊シート301の一方の面、例えば、上側の面には、グラビア印刷用ロール320によりバインダーが塗布される。グラビア印刷用ロール320は、図1のグラビア印刷機200の機能の一部を図示したものであり、他の部分は不図示とする。バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。これにより、従来のスプレー噴霧による塗布等とは異なり、パルプ積繊シート301には、バインダーが均一にかつ充分に塗布される。また、パルプ積繊シート301は、積繊装置307による複数回の積繊によってパルプ繊維303が均一に積繊されており、グラビア印刷によるバインダー塗布により適した形態となる。更に、第1バインダー塗布工程の前に、平ロール312、316及びエンボス317によってパルプ積繊シート301を押圧して平滑化することにより、グラビア印刷によるバインダー塗布により適した形態となる。即ち、より少量のバインダー溶液の使用であっても、得られる清浄用物品は、実用上充分な強度を有するものとなる。
 パルプ積繊シート301の外面側からバインダーの溶液がグラビア印刷用ロール320により供給されると、パルプ積繊シート301の表面にもバインダーが含浸される。ただし、バインダーは、パルプ積繊シート301の一方の面から厚み方向反対面に亘り、厚み方向全層に亘って含浸される場合と、反対面にまで至らずに途中まではバインダーが含浸するものの、厚み方向の一部にのみ含浸される場合がある。ここでは、パルプ積繊シート301の厚み方向の一部にのみ含浸されるものとする。
 なお、前述したように、パルプ繊維303の上面側は、パルプ繊維303の下面側に比べて綿状のパルプ繊維303が疎であるため、バインダーが浸透しやすい。このため、パルプ繊維303の上面に塗布されるバインダーがパルプ繊維303の上面に残留するおそれを低減することができる。
 製造ライン300では、第1バインダー塗布工程に引き続いて、乾燥工程の1つである第1乾燥工程が行われる。第1乾燥工程では、網目形状の下側搬送用メッシュ322上に載せられたパルプ繊維303に対して、第1乾燥装置324により、破線矢印で示すようにパルプ繊維303の上面側から電磁波乾燥が行われる。なお、第1乾燥装置324として、熱風乾燥や、赤外線乾燥を用いてもよい。また、下側搬送用メッシュ322は、下側搬送用メッシュ322の搬送面の下方に位置する真空装置325によりパルプ繊維303を吸着した状態で4つのロール323(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第1乾燥工程)でパルプ繊維303を繰り返し搬送している。下側搬送用メッシュ322は、10番手~30番手を用いることができる。第3の実施形態において、下側搬送用メッシュ322は、22番(例えば0.7mm×0.7mm)のメッシュである。
 エンボス317によるエンボス加工に引き続き、第1バインダー塗布工程及び第1乾燥工程を行うことにより、パルプ繊維303に形成されたエンボス形状が保たれやすくなる。
 製造ライン300では、第1乾燥工程に引き続き、第2押圧工程が行われる。第2押圧工程は、エンボス326により行われる。エンボス326は、一対のロール部材を備え、エンボス317と同様に波目形状のエンボスとしているが、その形状はどのような形でもよい。また、エンボス326を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、エンボス326の圧力もエンボス317と同様に設定することができる。また、図4から明らかなように、エンボス326においても、エンボス加工時にパルプ繊維303は搬送メッシュを介在させていない。なお、エンボス326は、製造ライン300に設けなくてもよい。
 エンボス326の一対のエンボスは、前述したように加熱しておくことが望ましい。なお、第2押圧加工も、後述の第2バインダー塗布工程及び第2乾燥工程に先立って行われるので、パルプ繊維303に形成されたエンボス形状が保たれやすくなる。なお、第2押圧加工を省略してもよく、エンボス326自体を省略してもよい。その場合、前述のように、一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート301のZ方向の厚さよりも大きくしておけばよい。
 製造ライン300では、第2押圧工程に引き続き、第2バインダー塗布工程が行われる。第2バインダー塗布工程では、グラビア印刷用ロール330によりパルプ積繊シート301にバインダーが塗布される。グラビア印刷用ロール330は、図1のグラビア印刷機200の機能の一部を図示したものであり、他の部分は不図示とする。ここでは、第1バインダー塗布工程でバインダーが塗布された面とは反対の面にバインダーを塗布する。例えば、図示していないが、パルプ積繊シート301を反転させたり、パルプ積繊シート301の紙面を鉛直方向に移動させたりすることにより、バインダーが塗布された面とは反対の面にバインダーを塗布する。これにより、パルプ積繊シート301の両面に均一にバインダーが塗布される。このため、後述の第2乾燥工程を経た後のパルプ積繊シート301の強度ムラや乾燥ムラを低減することができる。
 なお、第2バインダー塗布工程で塗布されるバインダーは、第1バインダー塗布工程で塗布されるバインダーと同じである。また、第1及び第2バインダー塗布工程では、パルプ繊維303を反転することなく、パルプ繊維303の上面及び下面にバインダーを塗布している。このため、製造ライン300の複雑化を避けることができ、かつ、パルプ繊維303の搬送を高速化することができる。また、第1バインダー塗布工程によってパルプ積繊シート301にバインダーを十分含浸させることができる場合には、第2バインダー塗布工程を省略してもよい。
 製造ライン300では、第2バインダー塗布工程に引き続き、もう1つの乾燥工程である第2乾燥工程が行われる。第2乾燥工程において、パルプ繊維303は、パルプ繊維303の上面に接触する網目形状の上側搬送用メッシュ331を介して、上側搬送用メッシュ331の搬送面の上方に配置された真空装置332によりZ方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。第2乾燥工程において、第2乾燥装置333は、破線矢印で示すように、パルプ繊維303の下面側から電磁波乾燥が行われる。なお、第2乾燥装置333で行われる乾燥は、熱風乾燥又は赤外線乾燥でもよい。
 なお、上側搬送用メッシュ331は、前述したように真空装置332によりパルプ繊維303を吸着した状態で4つのロール334(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第2乾燥工程)でパルプ繊維303を繰り返し搬送している。上側搬送用メッシュ331の番手は、下側搬送用メッシュ322番手と同じ番手にすればよい。また、第2乾燥工程後にエンボス加工を行うようにしてもよい。
 製造ライン300において、第2乾燥工程を経たパルプ積繊シート301は、搬送ロール335により搬送され、2つの巻取りロール336、337により巻き取られる。
 本実施形態において、第1、第2バインダー塗布工程の後に、それぞれ平滑化工程(第2平滑化工程)を加えるのも好ましい。平滑化工程は、第1、第2バインダー塗布工程の後にそれぞれ設けられるのが好ましく、乾燥工程とは前後していてもよいが、塗布後の積層体の平滑化という観点からは、乾燥工程の前に設けられるのが好ましい。平滑化工程は、例えば、平滑ロール等を用いて行われる。平滑化工程によって、前述の塗布処理後の積層体の外表面は、より平滑に、均一にならされる。また、平滑化工程によって、パルプ積繊シート301を平滑化することにより、第1押圧工程で柔軟にしたパルプ積繊シート301を更に柔軟にすることができる。なお、平滑化工程は、第1、第2バインダー塗布工程の少なくとも一方の後に設けられていればよい。
 なお、第1押圧工程、第2押圧工程及び第2平滑化工程におけるロール(エンボスを含む)は、平ロール、凹凸ロール及びこれらの組み合わせであってもよい。
 なお、下側搬送用メッシュ309及び上側搬送用メッシュ313の番手に基づいて、メッシュを跨ぐような平均繊維長になるように粉砕工程を設定するようにしてもよい。
 なお、上述した第1の実施形態~第3の実施形態は、適宜組み合わせてもよい。
 次に、本発明の実施例及び比較例を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
 大きさが100mm×100mmの紙材料から形成された第1原紙シートと、第1原紙シートと同じ紙材料から形成され、大きさが100mm×100mmの第2原紙シートとを用いた。また、パルプ材料から形成されたパルプシートを用いた。パルプシートの目付量は30g/m2であった。
 次に、パルプシートを粉砕し、その後に形成された粉砕パルプを第1原紙シートの上に積層させた。次に、粉砕パルプを上に積層した第1原紙シートを粉砕機の外部に送出し、その粉砕パルプの上に第2原紙シートを積層することにより、積層体を作製した。その後、この積層体に対してエンボスロール(深さ3mm)によりエンボス加工を行い、凹凸体を形成して嵩高部を形成した。次いで、エンボス加工を施した積層体に、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC)溶液(4重量%濃度)を、原紙シートの外面側からグラビア印刷によって、塗布及び含浸させた。グラビア印刷の際の、CMC塗布量は、CMC含有量が原紙シートの重量に対して3.5重量%となるように調整した。その後、乾燥機によって積層体を乾燥させた。
 次に、乾燥した積層体に対し、架橋剤溶液としての硫酸亜鉛水溶液を噴霧して、乾燥した乾燥体に含浸させた。その後、積層体を折り機により所定の折り回数で折り畳んで折り畳み体を形成し、清浄用液体を塗布又は噴霧して、清浄用液体が含浸された清浄用物品を得た。清浄用液体は、エタノールと水との比率(重量比)が50:50のエタノール、水混合溶液に、1.0%濃度となる塩化カルシウム、及び0.3%濃度となるポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)をそれぞれ溶解したものを用いた。以上により、実施例1における清浄用物品を作製した
(比較例1)
 実施例1において、バインダーの塗布方法を、グラビア印刷による塗布からスプレー噴霧機による塗布に変え、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC)溶液(4重量%濃度)の塗布量を、CMC含有量が原紙シートの重量に対して8.0重量%となるように調整したほかは、実施例1と同様にして比較例1における清浄用物品を作成した。
(強度測定及び評価)
 得られた実施例1及び比較例1における各々の清浄用物品について、強度測定を行ったところ、いずれも実用上の使用には充分とされる、ほぼ同等の強度を備えることが確認された。このことから、実施例1においては、より少量のバインダー塗布量でも、実用上充分な強度を有する清浄用物品が提供されたことが明らかとなった。
1  第1送りロール
2  第2送りロール
3  第3送りロール
4  第1原紙シート
5  第2原紙シート
6a  パルプシート
6b  粉砕パルプ
8  乾燥機
9  折り機
11  洗浄用液体
12  清浄用物品
13  粉砕機
14  エンボスロール(圧着部材)
15  グラビア印刷用ロール
40a、40b  積層体の折り畳み体
101  第1送りロール
102  第2送りロール
103  第3送りロール
104  第1原紙シート
105  第2原紙シート
106a  パルプシート
106b  粉砕パルプ
108  乾燥機
109  折り機
111  洗浄用液体
112  清浄用物品
113  粉砕機
114  エンボスロール(圧着部材)
115  グラビア印刷用ロール
200  グラビア印刷機
201a  グラビア版シリンダ
201b  圧着ローラ
202  バインダー溶液溜め
203  ドクターブレード
204  紙
300  製造ライン
301  パルプ積繊シート
303  パルプ繊維
304  液体供給装置
305  パルプ検出装置
306  粉砕装置
307  積繊装置
307a、307b、307c  タンク
308  配管
309、322  下側搬送用メッシュ
310、314、323、334、336、337  ロール
311、315、325、332  真空装置
312、316  平ロール
313、331  上側搬送用メッシュ
317、326  エンボス
320、330  グラビア印刷用ロール
324  第1乾燥装置
333  第2乾燥装置
335  搬送ロール
 

Claims (19)

  1.  シートの表面の平滑化処理を行う第1平滑化工程と、
     前記平滑化処理がなされた前記シートに対し、連続回転式印刷機によりバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、
     前記バインダー塗布処理がなされた前記シートを乾燥させる乾燥工程と、
    を備える清浄用物品の製造方法。
  2.  前記1平滑化工程は、
     粉砕パルプを複数回積繊して前記シートを形成する積繊工程、及び、前記シートを押圧する押圧工程の少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載の清浄用物品の製造方法。
  3.  前記押圧工程では、前記シートを加熱して押圧する、請求項2に記載の清浄用物品の製造方法。
  4.  前記バインダー塗布工程では、前記シートの一方の面に前記バインダー塗布処理を行った後、前記シートの他方の面に前記バインダー塗布処理を行い、
     前記乾燥工程では、前記シートの面に前記バインダー塗布処理を行う度に前記シートを乾燥させる、
    請求項1に記載の清浄用物品の製造方法。
  5.  前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、請求項1に記載の清浄用物品の製造方法。
  6.  前記バインダー塗布工程の後に第2平滑化工程を備える、請求項1に記載の清浄用物品の製造方法。
  7.  請求項1に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品。
  8.  非湿潤状態にある複数の原紙シートを含む積層体に対し、圧着部材により圧着処理を行う圧着工程と、
     前記圧着工程の後に、連続回転式印刷機により前記積層体の外側からバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、
     前記バインダー塗布工程の後に、前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
    を備える清浄用物品の製造方法。
  9.  前記圧着部材がエンボスロールであって、圧着処理により、前記積層体に多数の凸凹体を含む嵩高のエンボス形状が形成される、請求項8に記載の清浄用物品の製造方法。
  10.  前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、請求項8に記載の清浄用物品の製造方法。
  11.  前記バインダー塗布処理により積層体の外表面へ塗布されたバインダー塗布面の面積が、前記バインダー塗布処理の際に前記積層体の外表面へ塗布がなされなかったバインダー非塗布面の面積より大きい、請求項8に記載の清浄用物品の製造方法。
  12.  前記バインダー塗布工程の後に、平滑化工程を備える、請求項8に記載の清浄用物品の製造方法。
  13.  請求項8に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品。
  14.  非湿潤状態にある原紙シートに対し、連続回転式印刷機によりバインダー塗布処理を行うバインダー塗布工程と、
     前記バインダー塗布処理がなされた原紙シートを複数積層させた積層体に対し、圧着部材により圧着処理を行う圧着工程と、
     前記圧着工程の後に、前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
    を備える清浄用物品の製造方法。
  15.  前記圧着部材がエンボスロールであって、圧着処理により、前記積層体に多数の凸凹体を含む嵩高のエンボス形状が形成される、請求項14に記載の清浄用物品の製造方法。
  16.  前記バインダー塗布工程におけるバインダー塗布処理が、グラビア印刷によって行われる、請求項14に記載の清浄用物品の製造方法。
  17.  前記バインダー塗布処理により積層体の外表面へ塗布されたバインダー塗布面の面積が、前記バインダー塗布処理の際に前記積層体の外表面へ塗布がなされなかったバインダー非塗布面の面積より大きい、請求項14に記載の清浄用物品の製造方法。
  18.  前記バインダー塗布工程の後に、平滑化工程を備える、請求項14に記載の清浄用物品の製造方法。
  19.  請求項14に記載の清浄用物品の製造方法によって製造された清浄用物品。
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