JP3236238U - パルプ積繊シート - Google Patents

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Abstract

Figure 0003236238000001
【課題】形状を維持することや、強度を適正にすることができるパルプ積繊シート、及びそのパルプ積繊シートを提供する。
【解決手段】粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層20を有し、該液透過性パルプ積繊層には、略平坦面が形成されていることを特徴とする、パルプ積繊シート10であって、略平坦面は、液透過性パルプ積繊層の主面の一部又は全部に形成されている。
【選択図】図1

Description

本考案は、清浄用シートとして利用可能なパルプ積繊シートに関する。
ウェットティッシュについて、セルロール繊維を含むティッシュウェブからなる第一層と、エアレイド不織布ウェブからなる第二層とから構成されるものがある(特許文献1、特許請求の範囲、請求項11参照)。
この特許文献1のものにあっては、第一層(抄紙により得られる)と、これと製法の異なる第二層(エアレイド法により得られる)と、両者を一体化させるバインダーを必要とする。また、前記第一層はウェットティッシュに強度をもたらすがその柔軟性は低下させるものであった。
米国特許第8257553号明細書
本考案が解決しようとする主たる問題点は、抄紙工程を経ることなく製造できると共に、抄紙されたシートとの積層体としなくても形状を維持することや、適正な強度を有するパルプ積繊シートの提供にある。
そこで、本考案は、このような状況に鑑みてなされたものであり、形状を維持することや、強度を適正にすることができるパルプ積繊シートを提供することを主目的とする。
本考案者は、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、形状を維持することや、強度を適正にすることができるパルプ積繊シートを製造することができることに成功し、本考案を完成するに至った。
すなわち、本考案は、第1の側面として、
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層を有し、
該液透過性パルプ積繊層には、略平坦面が形成されていることを特徴とする、パルプ積繊シートを提供する。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートは、
圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部を備えていなくてもよい。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートにおいて、
前記バインダーの、前記液透過性パルプ積繊層に対する含有量が、1~20重量%であってもよい。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートにおいて、
前記バインダーが、カルボキシルメチルセルロースであってもよい。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートにおいて、
前記バインダーが、ポリビニルアルコールであってもよい。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートにおいて、
更に、清浄用液体が含浸されてもよく、湿潤状態であってもよい。
本考案に係る第1の側面のパルプ積繊シートにおいて、
前記バインダーが、架橋された状態で含有されていてもよい。
また、本考案は、第2の側面として、
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維を、吸引によりメッシュ体上に積繊させて積繊体を形成する積繊工程と、
得られた該積繊体の、少なくとも一方の面にバインダーを塗布する、バインダー塗布工程と、
前記バインダー塗布工程の後に前記積繊体を乾燥させて液透過性パルプ積繊層とする乾燥工程と、を有することを特徴とする、パルプ積繊シートの製造方法を提供する。
本考案に係る第2の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記バインダー塗布工程が、積繊体の両面にバインダーを塗布してもよい。
本考案に係る第2の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記バインダー塗布工程の前に、平面ロールによる押圧が行われてもよい。
本考案に係る第2の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記乾燥工程が、電磁波乾燥により行われてもよい。
本考案に係る第2の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
バインダーがカルボキシルメチルセルロースであってもよい。
本考案に係る第2の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
バインダーがポリビニルアルコールであってもよい。
さらに、本考案は、第3の側面として、
粉砕した原料繊維を用いて積繊シートを製造する製造方法において、
前記原料繊維に第1方向からバインダーを塗布し、前記第1方向に沿って前記原料繊維を吸着する工程と、
前記原料繊維に前記第1方向と異なる第2方向からバインダーを塗布し、前記第2方向に沿って
前記原料繊維を吸着する工程とを含み、
前記第2方向からの前記バインダーの塗布は、前記原料繊維の下面に対する前記バインダーの塗布であり、
前記第2方向に沿って前記原料繊維を吸着する工程は、前記原料繊維の上面の吸着である、パルプ積繊シートの製造方法を提供する。
本考案に係る第3の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記原料繊維を搬送する搬送工程を含んでもよく、
前記搬送工程は、前記原料繊維の上面と接触する接触部材を介して、前記原料繊維の上面を吸着して搬送してもよい。
本考案に係る第3の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記第2方向からのバインダーの塗布に先立って、前記第1方向に沿って気体を供給する工程を含んでもよい。
本考案に係る第3の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記第2方向からのバインダーの塗布の後に、前記第2方向に沿って気体を供給する工程を含んでもよい。
本考案に係る第3の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記第1方向からのバインダーの塗布に先立って、前記原料繊維を押圧する押圧工程を含んでもよい。
本考案に係る第3の側面のパルプ積繊シートの製造方法において、
前記原料繊維の静電気を除去する静電気除去工程を含んでもよい。
本考案に係るパルプ積繊シートは、抄紙工程を経ることなく製造できると共に、抄紙されたシートとの積層体としなくても形状が維持されたり、適正な強度を有する。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
図1は、本考案の一実施の形態に係るパルプ積繊シートの斜視構成図である。 図2は、パルプ積繊シートの製造過程の一例を示した模式的に表した構成図である。 図3は、第2実施形態のパルプ積繊シート1010の製造ライン1000の概要図を示す図である。 図4は、液体供給工程と、パルプ検出工程との概要図である。 図5は、積繊される綿状のパルプ繊維1030を示す概要図である。
以下、本考案を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本考案の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本考案の範囲が狭く解釈されることはない。なお、特に断りがない限り、図面において、「上」とは図中の上方向又は上側を意味し、「下」とは、図中の下方向又は下側を意味し、「左」とは図中の左方向又は左側を意味し、「右」とは図中の右方向又は右側を意味する。また、図面を用いた説明においては、同一又は同等の要素又は部材には同一の符号を付し、重複する説明は、特別な事情がない限り、省略する。
<本考案の概要>
まず、本考案の概要について説明をする。本考案は、パルプ積繊シート及びパルプ積繊シートの製造方法に関するものである。
本考案に係るパルプ積繊シートは、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層を有し、液透過性パルプ積繊層には、略平坦面が形成されている、パルプ積繊シートである。略平坦面(略フラット面と称する場合がある。)は、液透過性パルプ積繊層の主面の少なくとも一部、すなわち、液透過性パルプ積繊層の主面の一部又は全部に形成されている。本考案に係るパルプ積繊シートは、好適には、圧縮・押圧により(例えば、エンボス加工により)形成された複数の繊維圧着部を備えていない。本考案によれば、略平坦面が形成されているので、密着性、例えば、便器等との汚れをふき取る時の、パルプ積繊シートと便器との密着性に優れており、パッケージサイズを縮小することが可能であり、積載効率アップを図ることができる。また、本考案に係るパルプ積繊シートの製造方法においては、エンボスロールが不要であるため、生産スピードアップにより生産コストの軽減を図ることができる。
以上の説明が、本考案の概要であり、以下、本考案を実施するための好適な形態について図1~図5を参照しながら、具体的、かつ、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本考案の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本考案の範囲が狭く解釈されることはない。
この実施の形態にかかるパルプ積繊シート10は、一層又は二層以上の液透過性パルプ積繊維層20からなり、典型的には、清掃用の非水解性の清浄用シートや身体清浄用の水解性の清浄用シート、トイレクリーナーなどの水解性の清浄用シートとして用いるのに適したものである。また、この実施の形態にかかる製造方法は、前記パルプ積繊シート10を合理的且つ適切に製造し得るものである。
かかるパルプ積繊シート10は、粉砕パルプ50又は主として粉砕パルプ50からなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊維層20を有する。パルプ積繊シート10を構成する液透過性パルプ積繊層20は、圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部(例えば、凹凸部)を備えていない。図1に示されるように、液透過性パルプ積繊層の主面には、略平坦部が形成されている。
前記液透過性パルプ積繊維層20は、多数の繊維の集合体により構成されており、吸水性を有している。液透過性パルプ積繊維層20は、パルプ等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、あるいは天然繊維と再生繊維の混合物等により形成することができる。パルプ以外の天然繊維としては、例えばケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。液透過性パルプ積繊維層20は、厚さ方向における繊維の密集する度合いが異なるように構成されていることが好ましい。ここで粉砕パルプ50とは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕して綿状にしたものをいう。粉砕パルプ50の原料としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができ、トイレットペーパー材料を用いることもできる。トイレットペーパー材料としては、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合したものを用いることができるが、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが製造上の観点から好ましい。針葉樹晒クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプ50を用いて液透過性パルプ積繊維層20を構成すると、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
前記原料繊維が、粉砕パルプ50を主原料とする材料の場合には、粉砕パルプ50の配合割合が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。さらに、望ましくは、粉砕パルプ50の配合割合が80%以上であることが好ましく、100%が粉砕パルプ50で形成されていることがより好ましい。粉砕パルプ50は、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、繊維が圧縮された状態にある抄紙された紙に比べ、繊維間に無数の空間が形成されている。繊維間に無数の空間が形成されていると、液透過性パルプ積繊維層20を構成している各繊維が動く自由度を大きくすることができる。このため粉砕パルプ50の配合を上記した割合にすることにより、より少ない目付量でも液透過性パルプ積繊維層20の嵩高形成機能を大きくすることができる。この結果、全体としての柔軟性を向上させたり、製造時の生産効率を向上させることができる。
なお、液透過性パルプ積繊維層20の目付量は、80g/m2以下であることが好ましく、また60g/m2以下であることがより好ましい。液透過性パルプ積繊維層20の目付量を上記した範囲にすることで、パルプ積繊シート10の製造及び梱包をしやすくすることができ、使用者が使用しやすく且つ梱包しやすい嵩高を有するように構成することができる。また、前記目付量を上記の範囲とすることで、繊維密度が大きくなりすぎることがなくなる。その結果、繊維間を接合するためのバインダーの量を少なくすることができる。このため、液透過性パルプ積繊維層20の表面に多量のバインダーが付着して、この付着したバインダーがフィルム化して液透過性パルプ積繊維層20の液透過性が低下することも防止でき、パルプ積繊シート10の全体的な吸水性を確保することができる。
前記バインダーとしては、種々のものを用いることができる。本考案で用いることができるバインダーとしては、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などが挙げられる。多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが、好ましい。
上記バインダーが架橋されたものであると、パルプ積繊シート10の物理強度が向上されるため好ましい。バインダーを架橋する架橋剤は、バインダーと架橋反応を起こしてバインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダーを用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、亜鉛、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは十分な湿潤強度を付与する点において好ましい。上記した架橋剤としての多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。また、水溶性インダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合、架橋剤としてはチタン化合物、ホウ素化合物、ジルコニウム化合物、ケイ素を含む化合物等を用いることができ、これらの化合物のうち、1種又は複数を混合して架橋剤として用いることもできる。チタン化合物としては、例えば乳酸チタン、チタントリエタノールアミネート等が挙げられ、ホウ素化合物としては、例えばホウ砂、ホウ酸等が挙げられる。またジルコニウム化合物としては、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム等が挙げられ、ケイ素を含む化合物としては、例えばケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
かかるパルプ積繊シート10における前記バインダーの前記液透過性パルプ積繊維層20に対する含有量は1~20重量%であることが好ましい。この含有量が1重量%未満であるとパルプ積繊シート10の強度が不足し、一方、20重量%超であるとパルプ積繊シート10の柔軟性が低下する。
かかるパルプ積繊シート10を構成する液透過性パルプ積繊維層20は、圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部を備えてないが、パルプ積繊シート10の形状は安定的に維持され、また、適正な強度を持ったものとなり、その一方で、適度な柔軟性を備える。前記バインダーをカルボキシメチルセルロースのような水溶性バインダーとすれば、かかるパルプ積繊シート10は良好な水解性を持った水解性パルプ積繊シートとなる。また、前記バインダーをポリビニルアルコールとした場合は、条件に応じて良好な水解性を持った水解性パルプ積繊シートとすることも、非水解パルプ積繊シートとすることもできる。尚、本考案において水解とは、紙を構成する繊維間の接着力が、ドライの状態ではその成形加工及び拭く等の機能に必要なだけの強度を最低限有するが、水中に投棄された場合のように、水に著しく浸された状態では、その接着力が極端に低下し、何らかの外力を与えると容易に分解ないし分散することをいう。さらに、本考案において非水解とは、紙を構成する繊維間の接着力が、ドライの状態ではその成形加工及び拭く等の機能に必要なだけの強度を最低限有し、水に著しく浸されたウエットの状態においても、何らかの外力を与えても容易には分散等をしないことをいう。
すなわち、かかるパルプ積繊シート10は、抄紙工程を経ることなく製造されると共に、抄紙されたシートとの積層体としなくても形状が維持され且つ適正な強度を持つ。
図1にかかるパルプ積繊シート10の概要構成を示す。パルプ積繊シート10は、圧縮・押圧により(例えば、エンボス加工により)形成された複数の繊維圧着部を備えていない液透過性パルプ積繊維層20を有する。
かかるパルプ積繊シート10、清浄用液体を含浸させ、湿潤状態としておけば、乳幼児の身体拭きや、トイレクリーナーや、その他の清浄用シートとして利用可能なものとなる。
次いで、前記製造方法は、粉砕パルプ50又は主として粉砕パルプ50からなる原料繊維を、吸引によりメッシュ体上に積繊させて積繊体を形成する積繊工程と、得られた前記積繊体の、少なくとも一方の面にバインダーを塗布する、バインダー塗布工程と、前記バインダー塗布工程の後に前記積繊体を乾燥させて液透過性パルプ積繊維層20とする乾燥工程と、を有するものである。
図2にかかる製造方法の概要構成を示す。図中の参照符号30は前記原料繊維となるパルプ材料の原反であり、図中の参照符号40は生成されたパルプ積繊シート10の巻き取り体である。
(1)前記パルプ材料は、先ず、粉砕装置60に送られ粉砕パルプ50となる。符号60aはかかる粉砕装置60を構成する固定刃であり、符号60bはかかる粉砕装置60を構成する回転刃である。
(2)前記粉砕パルプ50は、積繊装置70において、最終的には前記パルプ積繊シート10となる積繊体となる。積繊装置70は、粉砕パルプ50を受ける前記メッシュ体としてのメッシュ状をなすコンベヤベルト70aの上面にコンベヤベルト70aの内方を負圧にすることで粉砕パルプ50が吸着されるように構成されている。
(3)この実施の形態にあっては、前記積繊体に対して、平面ロール80による押圧を行っている。図示の例では、前記積繊装置70を構成するコンベヤベルト70aの荷下ろし端70bの上方にこの荷下ろし端70bとの間で前記積繊体を挟み込む平面ロール80が配されている。
積繊体は非湿潤状態であってよい。ここにおいて、非湿潤状態とは、積繊体に水を吹き付ける等して積繊体に水分を供給した態様を含まないという意味である。通常、紙材料は、気温、湿度条件に相応した湿気(水分)を含んでいるが、この湿気(水分)は外部から積極的に供給した水分ではないから、このような湿気(水分)を含んでいても非湿潤状態に相当する。したがって、気温、湿度条件によって積繊層に含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、非湿潤状態に相当するものといえる。
(4)前記積繊体に対して、図示の例では、この積繊体を上面に積繊(載置)して搬送するコンベヤ100上よりこの積繊体の一面にバインダーを供給した後、この積繊体を縦向きに搬送するコンベヤ110の側方よりこの積繊体の他面にバインダーを供給して、前記積繊体の両面にバインダーを塗布している。かかるバインダーは、前記積繊体の片面にのみ塗布する場合もある。バインダーの供給は、典型的には、噴霧装置のノズル120からバインダーの溶液を噴霧することにより行われる。噴霧に用いる噴霧ノズル120は、従来から公知のものを任意に選択して用いてよい。バインダーの前記供給は噴霧に限定されるものではなく、グラビア印刷機やフレキソ印刷機などのロール状の塗布装置などによる塗布などの他の公知の方法を用いてもよい。架橋剤はバインダーと同時に供給することができるが、架橋剤はバインダーとともに供給する場合に限らず、製造工程中の任意の箇所で供給、添加することができる。
(5)前記バインダーを塗布された前記積繊体は、乾燥装置130に送られ、乾燥される。かかる乾燥は、電磁波乾燥により行なうことが好ましい。なお、かかる乾燥は、熱風乾燥や赤外線乾燥等、従来から公知の方法を任意に選択して用いてもよい。また、かかる乾燥は、1つの乾燥装置により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥装置を設置して、順次、各乾燥装置に液透過性パルプ積繊維層20を送りながら乾燥するようにしてもよい。
上述したとおり、この実施の形態にあっては、前記積繊体に対し、バインダーの塗布後に乾燥する。
(6)また、この実施の形態にあっては、前記乾燥後、前記積繊体の搬送方向に沿った両縁部をそれぞれこの搬送方向に沿って直線状に切断して前記積繊体より生成されるパルプ積繊シート10の形状を整えている。図示の例では、上下一対のスリッターロール140、140間に前記積繊体を送り込むことで前記切断をしている。
(7)以上のように生成されるパルプ積繊シート10には、必要に応じて折り畳みが施される。また、以上のように生成されたパルプ積繊シート10に薬液を含浸させることで、これを乳幼児の身体拭きや、トイレクリーナーやその他の清浄用物品などとして利用可能なものとすることができる。
次に図3~図5を用いて第2実施形態のエアレイド方式によるパルプ積繊シート1001の製造方法について説明する。ここで、第2実施形態において、パルプ積繊シート1010の原料(材料)、目付量、適用可能なバインダーおよび架橋剤、乾燥方式などは、上述の実施形態を適宜適用することができるので、重複する説明は省略する。なお、図3では、図面の複雑化を避けるために、パルプ積繊シート1010は製造ライン1000の最終部分においてのみ符号を付し、それ以外では図示省略している。同様に、パルプ繊維1030の図示も省略する。
図3は、第2実施形態のパルプ積繊シート1010の製造ライン1000の概要図を示す図である。この製造ライン1000の製造工程は、大きく分けて、粉砕前工程、粉砕工程、積繊工程、バインダー塗布工程、及び乾燥工程を有している。
粉砕前工程は、液体供給工程と、パルプ検出工程とを有している。液体供給工程は、パルプ繊維1030に対して液体供給装置1040により液体を供給する工程である。また、パルプ検出工程は、パルプ検出装置1050によりパルプ繊維1030が製造ライン1000に供給されているかどうかを検出する工程である。なお、パルプ繊維1030の幅(y方向の長さ)は、900mm~1800mm程度であり、その幅に合わせて製造ライン1000が設計・製造される。
図4は、液体供給工程と、パルプ検出工程との概要図である。図4に示しているように、液体供給装置1040は、液体供給工程において、搬送されてきたパルプ繊維1030の中央領域1040aに液体を供給する。後述するようにパルプ繊維1030はメッシュに積繊されて搬送されるための静電気が帯電するおそれがある。また、この製造ライン1000により製造されたパルプ積繊シート1010は、排泄物を吸収する吸収体として使用される場合がある。このため、液体供給装置1040が供給する液体としては、静電気の帯電防止用として、エタノール、メタノール、2-プロパノール(IPA)などの溶液や、水を用いてもよい。また、液体供給装置1040が供給する液体としては、排泄物の消臭用として、活性炭;ゼオライト;シリカ;セラミック;大谷石;木炭高分子;カーボンナノチューブ;カーボンナノホーン;クエン酸、コハク酸等の有機酸、ミョウバン(カリウムミョウバン)を用いることができる。
なお、図3では、液体供給装置1040を1つユニットとして図示しているが、静電気の帯電防止用や、消臭用などのように用途に合わせて複数設けるようにしてもよい。また、中央領域1040aではなく、図3のY方向にずらした領域を液体供給領域としてもよい。本実施形態においては、パルプ繊維1030のY方向全体ではなく、中央領域1040aといった部分領域を液体供給領域としている。これは、パルプ繊維1030は、後述の粉砕工程において綿状に粉砕されるため、この粉砕により粉砕されたパルプ繊維1030のほぼ全体に上述した液体が供給されるからである。これにより、液体供給装置1040による過度な液体供給を防ぐことができ、パルプ積繊シート1010の製造コストを抑制することができる。一例として、中央領域1040aのY方向の長さはパルプ繊維1030の幅の10%から50%程度とし、X方向の長さはY方向の長さと同じでもよく、Y方向の長さより短くてもよい(25%~75%程度)。なお、図4では中央領域1040aは矩形状としているが円形でもよく、楕円形でもよい。
また、液体供給装置1040は、製造ライン1000の湿度に応じて静電気の帯電防止用の液体の供給量を調整してもよい。具体的には、液体供給装置1040は、製造ライン1000が設置されている室内が乾燥している場合(例えば湿度50%以下の場合)には、製造ライン1000が設置されている室内が乾燥していない場合(例えば湿度65%以上の場合)に比べて、帯電防止用の液体の供給量を増やせばよい。すなわち、液体供給装置1040は、湿度の低下に応じて、帯電防止用の液体の供給量を増やせばよい。
同様に、液体供給装置1040は、パルプ積繊シート1010の用途に応じて、消臭用液体の供給量を変えればよい。具体的には、液体供給装置1040は、前述の吸収体では消臭用液体の供給量を多くし、外装体に使用する場合には消臭用液体の供給量を少なくすればいい。なお、消臭用液体は、金属を溶解した液体を用いることがある。このため、液体供給装置1040は、パルプ積繊シート1010が肌面となる場合(肌に接触する場合)、消臭用液体の供給を停止するようにしている。
粉砕前工程のもう1つは、パルプ繊維1030が搬送されているかどうかを検出するパルプ検出工程である。これは、ロール状のパルプ繊維1030がすべて搬送されてしまい、パルプ繊維1030が搬送されていない状態を検出するものである。パルプ検出装置1050は、検出光1050aを下方に照射し、パルプ繊維1030からの反射光を不図示の検出部で検出した場合にパルプ繊維が搬送されていると検出する。パルプ検出装置1050は、前述の反射光が不図示の検出部で検出できない場合にパルプ繊維が検出されていないとし、音声や発光などにより警告を行うものとする。
製造ライン1000では、粉砕前工程に引き続き粉砕工程にて粉砕装置106を用いて、パルプ繊維103の粉砕が行われる。粉砕装置1060は、一次粉砕部と、二次粉砕部とを有し、一次粉砕部によりパルプ繊維1030をチップ状に粉砕し、二次粉砕部によりチップ状に粉砕されたパルプ繊維1030を綿状に粉砕する。なお、粉砕工程では、粉砕されたパルプ繊維1030の散乱を避けるため、一次粉砕部と二次粉砕部ともケースなどにより収納されている。また、本第2実施形態においては、粉砕パルプを100%とすることが望ましいが、複合繊維(ES繊維)を混ぜ合わせても構わない。また、一次粉砕部により綿状まで粉砕してもよく、この場合、二次粉砕部を省略してもよい。
製造ライン1000では、粉砕工程に引き続き積繊工程にて積繊装置1070を用いて綿状のパルプ繊維1030が積繊される。綿状のパルプ繊維1030は、高圧エアなどにより配管1080を通過して3つのタンク1070a、1070b、1070cに蓄えられる。なお、タンクの数は3つに限定されるものではない。なお、積繊工程においても綿状のパルプ繊維1030の散乱(拡散)を防止するため、散乱防止用カバーが設けられている。これにより、製造ライン1000の作業者がパルプ繊維1030を吸い込むことが低減される。また、本第2実施形態において、粉砕されたパルプ繊維1030の平均繊維長は、一例として1mm~3mm程度であるものとする。
3つのタンク1070a、1070b、1070cに蓄えられた綿状のパルプ繊維1030は、下側搬送用メッシュ1090上に積繊される。下側搬送用メッシュ1090は、網目形状であり、その材料として高分子化合物を用いることができ、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂(熱可塑性樹脂)や、ナイロン、PETなどの合成繊維を用いることができる。下側搬送用メッシュ1090としては、1インチ×1インチにメッシュが30~50ある30番手~50番手を用いることができ、本第2実施形態では、40番(例えば0.5mm×0.5mm)のメッシュとするとするが、これに限定されるものではない。
下側搬送用メッシュ1090は、不図示の駆動源からの駆動力により積繊した綿状のパルプ繊維1030を図中のX方向に搬送する。なお、下側搬送用メッシュ1090は、4つのロール1100により所定の駆動範囲(積繊工程から平ロール1120による押圧工程)で繰り返し綿状のパルプ繊維1030を搬送している。
下側搬送用メッシュ1090の下方には、真空装置1110が配置されている。真空装置1110は、網目形状の搬送用メッシュ1090を介して綿状のパルプ繊維1030を吸着するものである。
図5は、積繊される綿状のパルプ繊維1030を示す概要図である。図5(a)に示してあるように、タンク1070aから搬送用メッシュ1090に積繊される綿状のパルプ繊維1030は、積繊時間の長い右側で多くなり(高くなり)、左側に行くに連れて積繊時間が短くなるため、少なくなる(低くなる)。しかしながら、積繊量が多くなるに連れて真空装置1110による吸着力が弱くなる。逆に言えば、積載量が少ない部分では真空装置1110による吸着力が弱くなりにくい。
このため、図5(b)に示してあるように、タンク1070bから搬送用メッシュ1090に積繊される綿状のパルプ繊維1030の積繊量は、搬送用メッシュ1090の位置によらずその差が少なくなってくる。そして、図5(c)に示してあるように、タンク1070cから搬送用メッシュ1090に積繊される綿状のパルプ繊維1030の積繊量は、搬送用メッシュ1090の位置によらずほぼ均等になってくる。このように、真空装置1110の吸着力の変化を利用することにより、搬送用メッシュ1090に積繊される綿状のパルプ繊維1030の積載量をほぼ均一にすることができる。なお、綿状のパルプ繊維1030の積載量に場所によるムラがでる場合には、不図示の真空吸着ポートの位置をずらしたり、この真空吸着ポートの数を変えたりして調整すればよい。
また、搬送用メッシュ1090の真上では、真空装置1110に近く強い吸着力が作用するため、綿状のパルプ繊維1030が密に積繊される一方、搬送用メッシュ1090から離れるに連れ(+Z方向に離れるに連れ)真空装置1110による吸着力が弱くなり綿状のパルプ繊維1030が疎となる。製造ライン1000で製造されたパルプ積繊シート1010を製品にする際に、フローリングシートや、トイレクリーナーなどの清掃製品であれば、綿状のパルプ繊維1030が密の面に薬液を塗布することにより、汚れをしっかりと落とすことができる。一方、ボディシートやフェイスシートなどの肌に使用する製品であれば、綿状のパルプ繊維1030が疎の面に薬液を塗布することにより、肌触りのよい肌用製品を提供することができる。
製造ライン1000では、積繊工程に引き続き押圧工程にて複数の押圧装置を用いて積載された綿状のパルプ繊維1030が押圧される。本第2実施形態において、押圧工程は、後述の第1バインダー塗布工程までに押圧を行う第1押圧工程と、後述の第1乾燥後と後述の第2バインダー塗布工程までに押圧を行う第2押圧工程とかを有する。平ロール1120は、一対のロール部材を有し、積繊された綿状のパルプ繊維1030を押圧して、その嵩高を調整するものである。本第2実施形態において、平ロール1120には4kgf/cm2の圧力がかけられている。これにより、パルプ繊維1030の下面(下側搬送用メッシュ1090と接する面)には、下側搬送用メッシュ1090のメッシュ形状の凹凸が形成される。平ロール1120の圧力は2kgf/cm2~8kgf/cm2の間で設定すればよく、パルプ積繊シート1010を用いた製品の用途や、水解性の製品か非水解の製品かに応じて圧力を設定すればよい。
前述したように、下側搬送用メッシュ1090のメッシュは40番(例えば0.5mm×0.5mm)であり、メッシュ形状の凹凸は、0.5mm間隔で形成される。これに対して、粉砕されたパルプ繊維1030の平均繊維長は、1mm~3mm程度であるため、粉砕されたパルプ繊維103は、メッシュ形状の凹凸を跨ぐこととなる。
パルプ繊維103にメッシュ形状を残したくない場合は平ロール1120の圧力は2kgf/cm2未満に設定すればよく、下側搬送用メッシュ1090の耐圧性があれば8kgf/cm2以上の圧力をかけてパルプ繊維1030にメッシュ形状を形成しても構わない。なお、この平ロール1120の前後に液体供給装置1040を設けて、静電気の帯電防止用と消臭用との少なくとも一方の液体を供給するようにしてもよい。
本第2実施形態において、下側搬送用メッシュ1090は、平ロール1120の押圧工程までパルプ繊維1030を搬送する。平ロール1160の押圧工程までは、上側搬送用メッシュ1130、真空装置1150を利用してパルプ繊維1030を搬送する。具体的には、上側搬送用メッシュ1130の搬送面の上側に設けられた真空装置1150がパルプ繊維103の上面と接触する上側搬送用メッシュ1130を介して平ロール1120に押圧されたパルプ繊維1030の上面を真空吸着する。この状態で、不図示の駆動源からの駆動力によりパルプ繊維1030を図中のX方向に搬送する。なお、搬送用メッシュ1130は、4つのロール1140により所定の駆動範囲(平ロール1160の押圧工程)で繰り返しパルプ繊維1030を搬送している。
平ロール1160は、一対のロール部材を有し、平ロール1120を通過したパルプ繊維103を押圧して、その嵩高を調整したり、上側搬送用メッシュ1130のメッシュ形状をパルプ繊維1030の上面(上側搬送用メッシュ113と接する面)に形成したりする。上側搬送用メッシュ1130も下側搬送用メッシュ1090と同じ40番のメッシュとする。
なお、平ロール116の圧力も2kgf/cm2~8kgf/cm2の間で設定されている。平ロール1120、平ロール1160による複数回の押圧により、パルプ繊維1030を柔軟にすることができる。
なお、本第2実施形態においては、液体供給装置1040によりパルプ繊維1030に液体を供給しているが、本第2実施形態では押圧工程までにパルプ繊維1030が非湿潤でもよく、例えば、押圧工程時にパルプ繊維1030の水分含有量15%未満程度であればよく、メッシュによる搬送にて静電気の影響を受けない程度であればよい。このため、本第2実施形態においては、押圧工程時にパルプ繊維1030の水分含有量15%未満程度であれば非湿潤状態に相当するものといえる。
また、第1押圧工程において、平ロール1120、及び平ロール1160を60℃から150℃程度の範囲で加熱し、パルプ繊維1030の温度が40℃から70℃程度にして、後述のバインダー工程において、バインダーがパルプ繊維1030に浸透しやすいようにすれば、バインダーの塗布量を低減でき、製造コストを安くすることができる。なお、パルプ繊維1030の温度がバインダーの溶解温度(例えば40℃~60℃)と同じ温度になるように、平ロール1120、及び平ロール1160を加熱してもよい。
製造ライン1000では、押圧工程に引き続きバインダー塗布工程にてパルプ繊維1030にバインダーが塗布され、上述の実施形態で説明した液透過性パルプ積繊層が形成される。本第2実施形態においては、バインダー塗布工程は、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程とを有し、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程との間に後述の第1乾燥工程が入る。ここでは、第1バインダー塗布工程につき説明を行う。
第1バインダー塗布工程は、パルプ繊維1030の上面に対して、パルプ繊維1030の上方に配置され、パルプ繊維103に対向する複数のノズルを有する第1塗布装置1210によりバインダーを塗布するものである。パルプ繊維1030は、網目形状の下側搬送用メッシュ1180上に載せられるとともに、下側搬送用メッシュ1180の下方に設けられた真空装置1200により-Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。下側搬送用メッシュ1180のメッシュは、下側搬送用メッシュ1090、上側搬送用メッシュ1130よりも粗いメッシュでよく、10番手~30番手を用いることができ、本第2実施形態では、16番(例えば1.0mm×1.0mm)のメッシュとする。なお、下側搬送用メッシュ1180は、4つのロール1190により所定の駆動範囲(第1バインダー塗布工程)で繰り返しパルプ繊維1030を搬送している。
すなわち、第1バインダー塗布工程は、パルプ繊維1030に上面に対して第1塗布装置1210により上側(+Z方向)から下側(-Z方向)に向けてバインダーを塗布するとともに、真空装置1200によりパルプ繊維1030の下面に対して下側(-Z方向)に吸着している。
パルプ繊維1030の上面に塗布(噴霧)されるバインダーとしては、前述の実施形態で挙げたバインダーのいずれを用いてもよいが、本第2実施形態においては、水解性の製品に用いられるパルプ繊維1030の場合にはCMCを塗布し、非水解の製品に用いられるパルプ繊維1030の場合にはEVAを用いるものとする。なお、前述したように、パルプ繊維1030の上面側は、パルプ繊維1030の下面側に比べて綿状のパルプ繊維1030が疎であるため、バインダーが浸透しやすい。このため、パルプ繊維1030の上面に塗布(噴霧)されるバインダーがパルプ繊維1030の上面に残留するおそれを低減することができる。
製造ライン1000では、第1バインダー塗布工程に引き続き乾燥工程の一つである第1乾燥工程が行われる。第1乾燥工程は、網目形状の下側搬送用メッシュ1220上に載せられたパルプ繊維1030に対して、第1乾燥装置1240により、矢印で示してあるようにパルプ繊維1030の上面側から電磁波乾燥が行われる。なお、第1乾燥装置1240として、前述の実施形態で挙げた熱風乾燥や、赤外線乾燥を用いても構わない。また、下側搬送用メッシュ1220は、下側搬送用メッシュ1220の搬送面の下方に位置する真空装置1250によりパルプ繊維1030を吸着した状態で4つのロール1230(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第1乾燥工程)で繰り返しパルプ繊維1030を搬送している。下側搬送用メッシュ1220は、10番手~30番手を用いることができ、本第2実施形態では、22番(例えば0.7mm×0.7mm)のメッシュとする。
以上より、平ロール1120、及び平ロール1160による押圧工程に引き続き、第1バインダー塗布工程および第1乾燥工程を行うこととなる。
次に、製造ライン1000では、第2バインダー塗布工程が行われる。第2バインダー塗布工程は、パルプ繊維1030の下面に対して、パルプ繊維1030の下方に配置され、パルプ繊維1030に対向する複数のノズルを有する第2塗布装置1300によりバインダーを塗布するものである。パルプ繊維1030は、パルプ繊維1030と接触する網目形状の上側搬送用メッシュ1270を介して真空装置1290により+Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。なお、上側搬送用メッシュ1270は、4つのロール1280により所定の駆動範囲(第2バインダー塗布工程)で繰り返しパルプ繊維1030を搬送している。上側搬送用メッシュ1270の番手は、下側搬送用メッシュ1180の番手と同じ番手にすればよい。
すなわち、第2バインダー塗布工程は、パルプ繊維1030に下面に対して第2塗布装置1300により下側(-Z方向)から上側(+Z方向)に向けてバインダーを塗布するとともに、真空装置1290によりパルプ繊維1030の上面に対して上側(+Z方向)に吸着している。
第2バインダー塗布工程で塗布されるバインダーは第1バインダー塗布工程で塗布されるバインダーと同じである。第2バインダー塗布工程では、パルプ繊維1030の下面に対して、パルプ繊維1030の下方に位置する複数のノズルからバインダーを塗布するので、パルプ繊維1030に浸透しなかったバインダーはパルプ繊維1030に残留することなく落ちていくので、バインダー塗布ムラが生じることがない。このため、後述の第2乾燥工程を経た後のパルプ積繊シート1010の強度ムラや乾燥ムラを低減することができる。
また、第1、第2バインダー塗布工程では、パルプ繊維1030を反転することなく、パルプ繊維1030の上面および下面にバインダーを塗布している。このため、製造ライン1000の複雑化を避けることができるとともに、パルプ繊維1030の搬送を高速化することができる。
第1、第2バインダー塗布工程において、バインダーの拡散防止のために、カバーを取り付けて閉鎖空間を形成するとともに、パルプ繊維1030に塗布されなかったバインダーをポンプなどにより回収し、再度、第1塗布装置1210、第2塗布装置1300に供給すれば、バインダーの使用量を低減でき、パルプ積繊シート1010製造コストを低減することができる。
製造ライン1000では、第2バインダー塗布工程に引き続き乾燥工程のもう一つである第2乾燥工程が行われる。第2乾燥工程において、パルプ繊維1030は、パルプ繊維1030の上面に接触する網目形状の上側搬送用メッシュ1310を介して、上側搬送用メッシュ1310の搬送面の上方に配置された真空装置1320により+Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。第2乾燥工程において、第2乾燥装置1330は、矢印で示すように、パルプ繊維1030の下面側から電磁波乾燥が行われる。なお、前述の実施形態で挙げた熱風乾燥や、赤外線乾燥を用いても構わない。
なお、上側搬送用メッシュ1310は、前述したように真空装置1320によりパルプ繊維1030を吸着した状態で4つのロール1340(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第2乾燥工程)で繰り返しパルプ繊維1030を搬送している。上側搬送用メッシュ1310の番手は、下側搬送用メッシュ122番手と同じ番手にすればよい。また、第2乾燥工程後にエンボス加工を行うようにしてもよい。
製造ライン1000では、第2乾燥工程を経てパルプ積繊シート1010となり、このパルプ積繊シート1010は搬送ロール1350により搬送され、2つの巻取りロール1360、1370により巻き取られる。上述したように、第2実施形態においても、抄紙工程を経ることなくパルプ積繊シート1010が製造される。なお、下側搬送用メッシュ1090および上側搬送用メッシュ1130の番手に基づいて、メッシュを跨ぐような平均繊維長になるように粉砕工程を設定するようにしてもよい。
なお、本考案に係る実施形態は、上述した各実施形態及に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
また、本考案は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層を有し、
該液透過性パルプ積繊層には、略平坦面が形成されていることを特徴とする、パルプ積繊シート。
[2]
圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部を備えていない、[1]に記載のパルプ積繊シート。
[3]
前記バインダーの、前記液透過性パルプ積繊層に対する含有量が、1~20重量%である、[1]又は[2]に記載のパルプ積繊シート。
[4]
前記バインダーが、カルボキシルメチルセルロースである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シート。
[5]
前記バインダーが、ポリビニルアルコールである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シート。
[6]
更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シート。
[7]
前記バインダーが、架橋された状態で含有されている、[1]~[6]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シート。
[8]
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維を、吸引によりメッシュ体上に積繊させて積繊体を形成する積繊工程と、
得られた該積繊体の、少なくとも一方の面にバインダーを塗布する、バインダー塗布工程と、
前記バインダー塗布工程の後に前記積繊体を乾燥させて液透過性パルプ積繊層とする乾
燥工程と、を有することを特徴とする、パルプ積繊シートの製造方法。
[9]
前記バインダー塗布工程が、積繊体の両面にバインダーを塗布する、[8]に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[10]
前記バインダー塗布工程の前に、平面ロールによる押圧が行われる、[8]又は[9]に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[11]
前記乾燥工程が、電磁波乾燥により行われる、[8]~[10]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[12]
バインダーがカルボキシルメチルセルロースである、[8]~[11]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[13]
バインダーがポリビニルアルコールである、[8]~[11]のいずれか1つに記載のパル
プ積繊シートの製造方法。
[14]
粉砕した原料繊維を用いて積繊シートを製造する製造方法において、
前記原料繊維に第1方向からバインダーを塗布し、前記第1方向に沿って前記原料繊維を吸着する工程と、
前記原料繊維に前記第1方向と異なる第2方向からバインダーを塗布し、前記第2方向に沿って前記原料繊維を吸着する工程とを含み、
前記第2方向からの前記バインダーの塗布は、前記原料繊維の下面に対する前記バインダーの塗布であり、
前記第2方向に沿って前記原料繊維を吸着する工程は、前記原料繊維の上面の吸着である、パルプ積繊シートの製造方法。
[15]
前記原料繊維を搬送する搬送工程を含み、
前記搬送工程は、前記原料繊維の上面と接触する接触部材を介して、前記原料繊維の上面を吸着して搬送する、[14]に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[16]
前記第2方向からのバインダーの塗布に先立って、前記第1方向に沿って気体を供給する工程を含む、[14]又は[15]に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[17]
前記第2方向からのバインダーの塗布の後に、前記第2方向に沿って気体を供給する工程を含む、[14]~[16]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[18]
前記第1方向からのバインダーの塗布に先立って、前記原料繊維を押圧する押圧工程を含む、[14]~[17]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
[19]
前記原料繊維の静電気を除去する静電気除去工程を含む、[14]~[18]のいずれか1つに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
10、1010・・・パルプ積繊シート、
20・・・液透過性パルプ積繊層、
50・・・粉砕パルプ、
1060・・・粉砕装置、
1070・・・積繊装置、
1210・・・第1塗布装置、
1240・・・第1乾燥装置、
1300・・・第2塗布装置、
1330・・・第2乾燥装置。

Claims (7)

  1. 粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層を有し、
    該液透過性パルプ積繊層には、略平坦面が形成されていることを特徴とする、パルプ積繊シート。
  2. 圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部を備えていない、請求項1に記載のパルプ積繊シート。
  3. 前記バインダーの、前記液透過性パルプ積繊層に対する含有量が、1~20重量%である、請求項1又は2に記載のパルプ積繊シート。
  4. 前記バインダーが、カルボキシルメチルセルロースである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のパルプ積繊シート。
  5. 前記バインダーが、ポリビニルアルコールである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のパルプ積繊シート。
  6. 更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のパルプ積繊シート。
  7. 前記バインダーが、架橋された状態で含有されている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のパルプ積繊シート。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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