JP3214107U - 使い捨てタオル - Google Patents
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Abstract
【課題】吸水性が高く、肌触りが良好であり、簡易な工程によって製造される使い捨てタオルを提供する。【解決手段】使い捨てタオル10は、吸水性及び嵩高性を有し、かつ、セルロース成分を有する第1繊維シート11と、第1繊維シートより引張強度が強く、かつ、第1繊維シートに積層される基材シート12と、を具備する。【選択図】図1
Description
本考案は、使い捨てタオルに関する。
ホテル、病院、介護ホーム、老人ホーム、マッサージ店などにおいて、ハンドタオル、バスタオル、バスマット等のタオルは日常的に大量に使われ、使用済みのものはその都度洗濯して繰り返し使用されている。このように、タオルは、衛生的に保つため清潔な状態で再使用に供する必要がある。そのため、洗濯仕上がりの品質が管理上重要であり、管理面での手間がかかる上、洗濯コストも増大するという問題があった。そこで、使用済みのタオルを使い捨て可能とする技術が特許文献1等に開示されている。
特許文献1には、少なくとも1つの優先方向にテクスチャード・ヤーンが織り込まれた嵩高の不織布が用いられ、密着性及び吸収性のある使い捨てタオルが開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1に開示の使い捨てタオルは、テクスチャード・ヤーンをベースとなる不織布に織り込む工程が必要となり、製造工程が複雑となり、生産効率の低下、コストの増大を招いてしまう。
本考案の目的は、吸水性が高く、肌触りが良好であり、簡易な工程によって製造される使い捨てタオルを提供することである。
本考案の一態様に係る使い捨てタオルは、吸水性及び嵩高性を有し、かつ、セルロース成分を有する第1繊維シートと、前記第1繊維シートより引張強度が強く、かつ、前記第1繊維シートに積層される基材シートと、を具備する構成を採る。
本考案によれば、吸水性が高く、肌触りが良好な使い捨てタオルを簡易な工程によって製造することができる。
以下、本考案の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
(一実施形態)
図1は、本考案の一実施形態に係る使い捨てタオル10の断面図である。使い捨てタオル10は、第1繊維シート11及び基材シート12が接合して積層された積層シートである。使い捨てタオル10は、例えば、足拭き用のバスマットとして使用するものであり、基材シート12が床面に接する面となり、第1繊維シート11が足を拭く面となる。
図1は、本考案の一実施形態に係る使い捨てタオル10の断面図である。使い捨てタオル10は、第1繊維シート11及び基材シート12が接合して積層された積層シートである。使い捨てタオル10は、例えば、足拭き用のバスマットとして使用するものであり、基材シート12が床面に接する面となり、第1繊維シート11が足を拭く面となる。
第1繊維シート11は、セルロース成分を含有し、吸水性及び嵩高性に優れるシートである。第1繊維シート11としては、例えば、エアレイド不織布が挙げられる。
基材シート12は、第1繊維シート11に積層され、第1繊維シート11の強度を補強する。基材シート12は、第1繊維シート11より引張強度が強い。基材シート12としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布などが挙げられ、これらのうちの少なくとも1つが用いられればよい。また、基材シート12は、これらの不織布のうち単一の不織布を複数枚積層してもよいし、2種以上の不織布を積層してもよい。
第1繊維シート11と基材シート12との接合方法は、接着、熱融着、超音波接合、縫着等が挙げられるが、作業上の容易さの観点から接着が好ましい。以下、接合方法としてホットメルト接着剤を用いた接着を行う場合について説明する。
ホットメルト接着剤としては、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系、PO(ポリオレフィン)系、PA(ポリアミド)系、SR(シリコーン合成ゴム)系、ACR(アクリル)系、PUR(ポリウレタン・湿気硬化型)系等の接着剤が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、第1繊維シート11と基材シート12との接合に用いられる接着剤としては、ホットメルト接着剤以外に、有機溶剤系接着剤、水溶性接着剤等を用いることもできる。
第1繊維シート11にホットメルト接着剤をスプレー噴霧等により霧状に塗布すると、第1繊維シート11と基材シート12とを部分的に接合することができる。これにより、両者を積層して接合することができる。なお、第1繊維シート11にホットメルト接着剤を霧状に塗布する以外に、線状、点状、ストライプ状、スパイラル状、ブロック状、パターン状等で塗布してもよい。また、これらのうち、いずれか1つの方法を用いてもよいし、複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
このように、第1繊維シート11としてエアレイド不織布を用いることにより、吸水性を高めることができ、基材シート12としてスパンボンド不織布等を用いることにより、引張強度を向上させることができ、吸水性と強度を有する使い捨てタオルを実現できる。また、エアレイド不織布の目付を多くしたり、エアレイド不織布にエンボス加工を施したりすることにより、嵩高性を高めることができ、これにより、さらなる吸水性の向上や、肌触り感の向上を図ることができる。さらに、第1繊維シート11と基材シート12とを積層するという簡易な工程により使い捨てタオル10を形成することができるので、生産効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
なお、上述した使い捨てタオル10は、第1繊維シート11と基材シート12とを積層した2層構成であるが、図2に示すように、使い捨てタオル20を3層構成にしてもよい。この場合、第2繊維シート13は、第1繊維シート11と同様の構成を有し、第1繊維シートが積層された面とは反対側の基材シート12の面に積層される。これにより、使い捨てタオル20の両面で吸水することができる。
図3は、上述した第1繊維シート11の一例であるエアレイド不織布を製造するエアレイド不織布製造装置100を示す模式図である。以下、図3を用いてエアレイド不織布製造装置100について説明する。図3では、紙面右側のMD方向をX方向、紙面奥側のCD方向をY方向、紙面上側をZ方向と定義する。
パルプ材料103は、パルプ及び粉砕パルプ等の天然繊維、レーヨンやビスコース・レーヨン等の再生繊維、あるいは天然繊維と再生繊維の混合物等により形成される。
パルプ以外の天然繊維としては、例えば、ケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。粉砕パルプを積繊して得られるパルプ積繊シート101は、厚さ方向における繊維の密集する度合いが異なるように構成されていることが好ましい。ここで、粉砕パルプとは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕して綿状にしたものをいう。粉砕パルプの原料としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができ、トイレットペーパー材料を用いることもできる。
木材パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合したものを用いることができるが、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが製造上の観点から好ましい。針葉樹晒クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプを用いてパルプ積繊シート101を構成すると、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。また、繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため柔軟性も向上する。
原料繊維が粉砕パルプを主原料とする材料の場合、粉砕パルプの配合割合が30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。さらには、粉砕パルプの配合割合が80%以上であるのが好ましく、100%が粉砕パルプで形成されているのがより好ましい。粉砕パルプは、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、繊維が圧縮された状態にある抄紙された紙に比べ、繊維間に無数の空間が形成されている。繊維間に無数の空間が形成されていると、パルプ積繊シート101を構成する各繊維が動く自由度を大きくすることができる。このため、粉砕パルプの配合を上記割合にすることにより、より少ない目付量でもパルプ積繊シート101の嵩高形成機能を大きくすることができる。この結果、全体としての柔軟性を向上させたり、製造時の生産効率を向上させたりすることができる。
なお、パルプ積繊シート101の目付量は、80g/m2以下であるのが好ましく、また60g/m2以下であるのがより好ましい。パルプ積繊シート101の目付量を上記の範囲にすることで、吸水性に優れ、且つ、肌触り感の好適な嵩高性を有するエアレイド不織布が得られる。また、目付量を上記の範囲とすることで、繊維密度が大きくなりすぎることがなくなる。その結果、繊維間を接合するためのバインダーの量を少なくすることができる。このため、製造されるエアレイド不織布の表面に多量のバインダーが付着し、付着したバインダーのフィルム化による、エアレイド不織布の液透過性の低下も抑制される。これにより、製造されるエアレイド不織布では、全体的に良好な吸水性が確保される。
エアレイド不織布製造装置100は、大きく分けて、粉砕前処理装置と、粉砕装置106と、積繊装置107と、押圧装置と、バインダー溶液塗布装置と、乾燥装置と、を有する。
粉砕前処理装置は、液体供給装置104と、パルプ検出装置105とを有する。液体供給装置104は、パルプ材料103に対して液体を供給する。パルプ検出装置105は、パルプ材料103がエアレイド不織布製造装置100に供給されているかどうかを検出する。なお、パルプ材料103の幅(Y方向の長さ)は、900mm〜1800mm程度であり、その幅に合わせてエアレイド不織布製造装置100が設計及び製造される。
液体供給装置104は、搬送されてきたパルプ材料103の幅方向中央領域に液体を供給する。パルプ材料103は、メッシュに積繊されて搬送されるため、静電気が帯電するおそれがある。また、このエアレイド不織布製造装置100により製造されるエアレイド不織布は、排泄物を吸収する吸収体として使用される場合がある。このため、液体供給装置104より、静電気の帯電防止用として、エタノール、メタノール、2−プロパノール(IPA)などの溶液、または水を供給してもよい。
更に、液体供給装置104から、排泄物の消臭用として、活性炭、ゼオライト、シリカ、セラミック、大谷石、木炭高分子、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、クエン酸及びコハク酸等の有機酸、ミョウバン(カリウムミョウバン)等の消臭剤等を供給してもよい。
また、液体供給装置104は、静電気の発生による帯電を防止すべく、液体の供給量を適宜調整してもよい。具体的に、液体供給装置104は、エアレイド不織布製造装置100が設置されている室内が乾燥している場合(例えば、湿度50%以下の場合)には、エアレイド不織布製造装置100が設置されている室内が乾燥していない場合(例えば、湿度65%以上の場合)に比べて、帯電防止用の液体の供給量を増やせばよい。すなわち、液体供給装置104は、湿度が低下するに従って、帯電防止用の液体の供給量を増やし、湿度が上昇するに従って、帯電防止用の液体の供給量を減らしてもよい。
エアレイド不織布製造装置100では、粉砕前処理装置に引き続き、粉砕装置106がパルプ材料103を粉砕する。粉砕装置106は、一次粉砕部と、二次粉砕部とを有し、一次粉砕部がパルプ材料103をチップ状に粉砕し、二次粉砕部がチップ状に粉砕されたパルプ材料103を綿状のパルプ繊維に粉砕する。なお、粉砕装置106は、粉砕されたパルプ繊維の散乱を避けるため、一次粉砕部と二次粉砕部とをケースなどに収納する。また、本実施形態においては、粉砕パルプを100%とすることが好ましいが、複合繊維(ES繊維)を混ぜ合わせてもよい。
積繊装置107は、粉砕装置106によって粉砕された綿状のパルプ繊維を積繊する。具体的には、次の通りである。綿状のパルプ繊維は、高圧エアなどにより配管108を通過して、3つのタンク107a、107b、107cに蓄えられる。ただし、タンクの数は3つに限定されるものではない。なお、積繊装置107も綿状のパルプ繊維の散乱(拡散)を防止するため、散乱防止用カバーが設けられている。これにより、エアレイド不織布製造装置100の作業者が綿状のパルプ繊維を吸い込むことを低減できる。また、本実施形態において、粉砕されたパルプ繊維の平均繊維長は、一例として1mm〜3mm程度であるものとする。
3つのタンク107a、107b、107cに蓄えられた綿状のパルプ繊維は、下側搬送用メッシュ109上に積繊される。下側搬送用メッシュ109は、網目形状であり、その材料として高分子化合物を用いることができ、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂(熱可塑性樹脂)、ナイロン、PETなどの合成繊維を用いることができる。下側搬送用メッシュ109としては、1インチ×1インチにメッシュが30〜50ある30番手〜50番手を用いることができ、本実施形態では、40番手(例えば、0.5mm×0.5mm)のメッシュとする。
下側搬送用メッシュ109は、不図示の駆動源からの駆動力により、積繊した綿状のパルプ繊維を図中のX方向に搬送する。なお、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、下側搬送用メッシュ109は所定の範囲で綿状のパルプ繊維を連続して搬送する。
輪状の下側搬送用メッシュ109の内側には、吸引装置111が配置されている。吸引装置111は、上面に位置する網目形状の下側搬送用メッシュ109を介して綿状のパルプ繊維を吸引する。
下側搬送用メッシュ109の上面では、吸引装置111に近いため、強い吸引力が作用し、綿状のパルプ繊維が密に積繊される。一方、下側搬送用メッシュ109から離れるに従って(Z方向に離れるに従って)、吸引装置111による吸引力が弱くなり、綿状のパルプ繊維の密度が疎となる。エアレイド不織布製造装置100で製造されたパルプ積繊シート101を使い捨てタオルに用いる際、綿状のパルプ繊維が疎の面を主に用いるようにすることにより、肌触りのよい肌用製品を提供することができる。
エアレイド不織布製造装置100では、複数の押圧装置が積繊された綿状のパルプ繊維を押圧する。平ロール112は、一対のロール部材を有し、積繊された綿状のパルプ繊維を押圧してその嵩高を調整する。これにより、パルプ積繊シート101が形成される。本実施形態において、平ロール112には、ロール間に4Kgf/cm2の圧力がかけられる。これにより、パルプ積繊シート101の下面(下側搬送用メッシュ109と接する面)には、下側搬送用メッシュ109のメッシュ形状の凹凸が形成される。平ロール112の圧力は、例えば、2Kgf/cm2〜8Kgf/cm2に設定すればよい。
なお、平ロール112は、下側搬送用メッシュ109を含めて押圧するものに限らず、メッシュではないベルトを含めて押圧してもよい。
また、下側搬送用メッシュ109の耐圧性が優れていれば、8kgf/cm2以上の圧力をかけることにより、パルプ積繊シート101にメッシュ形状を形成してもよい。なお、この平ロール112の前後に液体供給装置104を設けて、静電気の帯電防止用と消臭用の少なくとも一方の液体を供給してもよい。
下側搬送用メッシュ109は、上側搬送用メッシュ113との境界までパルプ積繊シート101を搬送する。下側搬送用メッシュ109と上側搬送用メッシュ113との境界から平ロール116までは、上側搬送用メッシュ113及び吸引装置115を利用してパルプ積繊シート101が搬送される。具体的には、輪状の上側搬送用メッシュ113の内側に設けられた吸引装置115が、上側搬送用メッシュ113の下面と接触するパルプ積繊シート101の上面を吸引する。この状態で、不図示の駆動源からの駆動力によりパルプ積繊シート101を図中のX方向に搬送する。なお、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、上側搬送用メッシュ113は所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。
平ロール116は、一対のロール部材を有し、平ロール112を通過したパルプ積繊シート101を押圧して、その嵩高を調整したり、上側搬送用メッシュ113のメッシュ形状をパルプ積繊シート101の上面(上側搬送用メッシュ113と接する面)に形成したりする。上側搬送用メッシュ113も下側搬送用メッシュ109と同じ40番手のメッシュとする。なお、平ロール116の圧力も2Kgf/cm2〜8Kgf/cm2の間で設定される。
エンボス117は、ロール周面に波目形状が形成されており、図示せぬ搬送用メッシュと協働して、平ロール116を通過したパルプ積繊シート101にエンボス加工を施す。ここでは、シート状のパルプ積繊シート101の片面のみにエンボス形状が形成されるが、パルプ積繊シート101の表裏両面にエンボス形状が形成されてもよい。パルプ積繊シート101の表裏両面にエンボスを施す場合には、ロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなる上下一対の金属製ロールからなるエンボスロールが用いられる。ここでは、波目形状をエンボス形状としているが、エンボス形状はどのような形でもよい。また、エンボス117を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、本実施形態では、エンボス117の圧力は、平ロール112、116で設定された圧力よりも高い圧力が設定されており、例えば、4Kgf/cm2〜10Kgf/cm2の間で設定される。
エンボス加工の際、エンボス117を加熱しなくてもよいが、エンボス117を所定温度に加熱してエンボス加工を行ってもよい。後者の場合、エンボス117の加熱温度は、60℃〜150℃が好ましい。
また、上述した平ロール112、116を加熱してもよい。例えば、平ロール112、116、エンボス117を60℃から150℃程度の範囲で加熱し、パルプ積繊シート101の温度を40℃から70℃程度にしてもよい。これにより、後述のバインダー溶液塗布装置において、バインダー溶液がパルプ積繊シート101に浸透しやすくなり、バインダー溶液の塗布量を全体的に低減可能となり、製造コストを安くすることができる。なお、パルプ積繊シート101の温度がバインダーの溶解温度(例えば、40℃〜60℃)と同じ温度になるように、平ロール112、116、エンボス117を加熱してもよい。
本実施形態のエアレイド不織布製造装置100においては、パルプ積繊シート101に第一バインダー溶液を塗布する第一バインダー溶液塗布装置121が配置されている。
第一バインダー溶液塗布装置121は、パルプ積繊シート101の上方(+Z方向)においてパルプ積繊シート101に対向する複数のノズルを有し、パルプ積繊シート101の上面に、所定濃度の第一バインダー溶液を塗布する。
第一バインダー溶液の塗布は、典型的には、噴霧装置のノズルからバインダー溶液を噴霧することにより行われる。噴霧に用いるノズルは、従来公知のものを任意に選択して用いることができる。なお、バインダー溶液の塗布は、噴霧に何ら限定されるものではなく、グラビア印刷機を用いるなど、他の公知の方法を用いることとしてもよい。
第一バインダー溶液塗布装置121では、パルプ積繊シート101が網目形状の下側搬送用メッシュ118上に載置され、かつ、輪状の下側搬送用メッシュ118の内側に設けられた吸引装置120により−Z方向に吸引された状態で、X方向に搬送される。下側搬送用メッシュ118のメッシュは、下側搬送用メッシュ109、上側搬送用メッシュ113よりも粗いメッシュでよく、10番手〜30番手を用いることができ、本実施形態では、16番手(例えば1.0mm×1.0mm)のメッシュとする。
なお、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、下側搬送用メッシュ118は所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。
このように、第一バインダー溶液塗布装置121は、パルプ積繊シート101の上面に対して、上方(+Z方向)から下方(−Z方向)に向けてバインダーを塗布し、かつ、吸引装置120によりパルプ積繊シート101の下面に対して下方(−Z方向)に吸引する。
パルプ積繊シート101の一方面(上面)に塗布(噴霧)されるバインダー溶液としては、種々の水溶性のバインダー溶液が挙げられる。例えば、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などの水溶性のバインダーが挙げられる。これらのバインダーは、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
上記天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、上記合成高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロースが好ましい。
また、2種以上のバインダーを併用する観点からは、特に水解性に優れる点で、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールとを併用するのが好ましい。
第一乾燥装置124は、網目形状の下側搬送用メッシュ122上に載置されたパルプ積繊シート101に対して、電磁波乾燥を行う。なお、第一乾燥装置124は、電磁波乾燥に代えて、熱風乾燥及び又は赤外線乾燥を行ってもよい。
電磁波乾燥は、電磁波を利用して乾燥を行うもので、これに用いる電磁波乾燥機としては電子レンジと同様の機構、構造を備えた装置を用いることができる。電磁波乾燥は、マイクロ波加熱により乾燥を行うもので、マイクロ波を照射すると、極性を持つ水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動、回転し、温度が上がり、この温度上昇により水を蒸発して乾燥を行うという原理に基づくものである。
電磁波乾燥は、短時間で乾燥を行える利点があり、また、電磁波の透過能力は高く、パルプ積繊シート101の内部にまで透過して加熱することにより、均一に加熱・乾燥することが可能である。また、電磁波乾燥においては、電磁波エネルギーが直接負荷され、エネルギーの二次消耗はないので、赤外線加熱に比べてエネルギーを少なくとも30%節約することができ、エネルギー消費量を減少でき、製造コストの低減に寄与できる。本実施形態における電磁波乾燥機として、例えば、電力1kW当り、1kgの水を1時間で乾燥できる能力を持つものが好ましい。また、連続製造設備に設置する電磁波乾燥機としては、乾燥機内部に連続してパルプ積繊シート101を通すことができるトンネル式電磁波乾燥機を用いることが、連続生産に適していて好ましい。
電磁波乾燥は、熱風乾燥と異なり、エンボスによる凹凸形態が風の圧力で潰れるおそれがなく、また、熱ロール乾燥と異なり、機械的圧力により凹凸形態が潰れるおそれがない。
さらに、電磁波乾燥によれば、熱風乾燥、赤外線乾燥、熱ロール乾燥に比べて、乾燥効率に優れ、短時間で乾燥できるため、エンボスの高低差が減少するエンボス戻りのおそれがないという利点がある。すなわち、本実施形態では、エンボス後に、パルプ積繊シート101にバインダー溶液を塗布するため、バインダー溶液の含浸等により、エンボスによる歪がとれて、凹凸形態が崩れることがある(エンボス戻り)。エンボス戻りを防ぐには、乾燥手段として電磁波乾燥を採用することにより、他の乾燥手段に比べて乾燥時間が短縮され、エンボス戻りの原因となる水分が速やかに除去される。
バインダーが含浸されたパルプ積繊シート101を乾燥する手段として、赤外線乾燥も好適である。赤外線は、波長帯が0.75μm〜1000μmであり、マイクロ波より短い波長の電磁波である。赤外線は波長によって、近赤外線(波長0.7μm〜2.5μm)と遠赤外線(波長4μm〜1000μm)とに分けられる。近赤外線は物体に吸収されにくく加熱効率が低いことから、本実施形態においては、物体に吸収されやすく加熱効率が高い遠赤外線を用いてもよい。本実施形態において、遠赤外線の波長帯4μm〜1000μmのうち、波長4μm〜50μmの遠赤外線を用いてもよい。
波長4μm〜50μmの遠赤外線は、水に対する吸光度が高く、水分を多く含んだ物体の場合、その表面から内部への深さが比較的浅い部分で遠赤外線の多くが吸収される。そのため、遠赤外線乾燥を適用した場合、エンボスの型崩れを防止できるという作用効果を生じる。また、乾燥のためのエネルギー効率も向上し、乾燥工程コストを低減できる。
下側搬送用メッシュ122は、輪状の下側搬送用メッシュ122の内側に配置された吸引装置125によりパルプ積繊シート101を吸着した状態で、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。下側搬送用メッシュ122は、10番手〜30番手を用いることができ、本実施形態では、22番手(例えば0.7mm×0.7mm)のメッシュとする。
エンボス126は、一対のロール部材を有し、エンボス117と同様、ロール周面に波目形状のエンボス形状が形成されている。なお、エンボス形状は、これに限るものではない。エンボス126は、第一乾燥装置124を通過したパルプ積繊シート101にエンボス加工を施す。エンボス加工では、シート状のパルプ積繊シート101の片面のみ、または両面にエンボス形状が形成される。また、エンボス126を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、エンボス126の圧力もエンボス117と同様に設定することができる。また、図1から明らかなように、エンボス126においても、エンボス加工時にパルプ積繊シート101は搬送用メッシュ及び搬送用ベルトを介在させていない。なお、エンボス126は、エアレイド不織布製造装置100に設けなくてもよいし、一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート101のZ方向の厚さより大きくしてもよい。
エンボス126の一対のロール部材は、加熱しておくことが好ましい。なお、エンボス126によるエンボス加工は、後述の第二バインダー溶液塗布装置130及び第二乾燥装置133の処理に先立って行われるので、パルプ積繊シート101に形成されたエンボス形状が保たれやすくなる。
本実施形態においては、パルプ積繊シート101の両面において、バインダー溶液が塗布されてもよい。第二バインダー溶液塗布装置130は、パルプ積繊シート101の下方において、パルプ積繊シート101に対向する複数のノズルを有し、パルプ積繊シート101の下面にバインダー溶液を塗布する。
パルプ積繊シート101は、網目形状の上側搬送用メッシュ127を介して吸引装置129により+Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、上側搬送用メッシュ127は所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。上側搬送用メッシュ127の番手は、下側搬送用メッシュ118と同じ番手にすればよい。
このように、第二バインダー溶液塗布装置130は、パルプ積繊シート101の下面に対して、下方(−Z方向)から上方(+Z方向)に向けてバインダーを塗布し、かつ、吸引装置129によりパルプ積繊シート101の上面に対して上側(+Z方向)に吸引される。
第一バインダー溶液塗布装置121及び第二バインダー溶液塗布装置130により、本実施形態では、パルプ積繊シート101の両面から、バインダー溶液をバランス良く合理的に塗布することができる。
第二バインダー溶液塗布装置130及び第二乾燥装置133によるバインダー溶液の塗布、及び乾燥に関しては、上述の第一バインダー溶液塗布装置121及び第一乾燥装置124と同様の工程、バインダーが好適に適用される。更に、第二バインダー溶液塗布装置130は、パルプ積繊シート101の下面に対し、パルプ積繊シート101の下方に位置する複数のノズルからバインダー溶液を塗布するため、パルプ積繊シート101に浸透しなかったバインダー溶液は、パルプ積繊シート101に残留せずに落ちていく。このため、よりバインダー溶液の塗布ムラが抑制され得る。
第二乾燥装置133は、輪状の上側搬送用メッシュ131の内側に配置された吸引装置132により、下面に位置する網目形状の上側搬送用メッシュ131を介して、パルプ積繊シート101を+Z方向に吸引した状態でX方向に搬送する。第二乾燥装置133は、パルプ積繊シート101に対し電磁波乾燥を行う。なお、第二乾燥装置133は、電磁波乾燥に代えて、熱風乾燥及び又は赤外線乾燥を行ってもよい。
なお、上側搬送用メッシュ131は、上述したように吸引装置132によりパルプ積繊シート101を吸引した状態で、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。上側搬送用メッシュ131の番手は、下側搬送用メッシュ122の番手と同じ番手にすればよい。
エンボス135は、一対のロール部材を有し、エンボス126と同様、ロール周面に波目形状のエンボス形状が形成されている。なお、エンボス形状は、これに限るものではなく、どのような形でもよい。エンボス135は、第二乾燥装置133を通過したパルプ積繊シート101にエンボス加工を施す。エンボス加工では、シート状のパルプ積繊シート101の片面のみ、または両面にエンボス形状が形成される。また、エンボス135を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、エンボス135の圧力もエンボス126と同様に設定することができる。なお、エンボス135は、エアレイド不織布製造装置100に設けなくてもよいし、一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート101のZ方向の厚さより大きくしてもよい。エンボス135の一対のエンボスは、加熱しておくことが好ましい。
第三バインダー溶液塗布装置136は、任意に設けられるものであり、パルプ積繊シート101の上方及び又は下方においてパルプ積繊シート101に対向する複数のノズルを有し、パルプ積繊シート101の、バインダー溶液が既に塗布された面に、更にバインダー溶液を塗布する。第三バインダー溶液塗布装置136が塗布するバインダーは、第一バインダー溶液塗布装置121が塗布するバインダーと同じでよい。第三バインダー溶液塗布装置136は、パルプ積繊シート101に塗布されるバインダー溶液の最終的な全量のうち、第一バインダー溶液塗布装置121及び第二バインダー溶液塗布装置130において塗布したバインダー量を除いた量を塗布する。
第三乾燥装置137は、任意に設けられるものであり、網目形状の下側搬送用メッシュ138上に載置されたパルプ積繊シート101に対して、電磁波乾燥を行う。なお、第三乾燥装置137として、熱風乾燥及び又は赤外線乾燥を行ってもよい。
また、少なくとも1つの駆動ローラが駆動することにより、下側搬送用メッシュ138は所定の範囲でパルプ積繊シート101を連続して搬送する。
架橋剤溶液塗布装置140は、第三乾燥装置137によって乾燥されたパルプ積繊シート101に架橋剤を塗布して含浸させる。これにより、パルプ積繊シート101の物理強度を向上させることができる。架橋剤が含浸されたパルプ積繊シート101は、図示せぬ乾燥装置によって弱い乾燥が行われる。
架橋剤は、バインダーと架橋反応を起こしてバインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。架橋剤は、第三乾燥装置137の直後に供給される以外に、バインダー溶液と同時に供給されてもよいし、エアレイド不織布製造装置100中の他の箇所で供給されてもよい。
上記架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダーを用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、亜鉛、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは十分な湿潤強度を付与する点において好ましい。上記架橋剤としての多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。
架橋剤が塗布されたパルプ積繊シート101は、ワインダー141によって巻き取られ、エアレイド不織布の原反が得られる。
10 使い捨てタオル
11 第1繊維シート
12 基材シート
13 第2繊維シート
11 第1繊維シート
12 基材シート
13 第2繊維シート
Claims (4)
- 吸水性及び嵩高性を有し、かつ、セルロース成分を有する第1繊維シートと、
前記第1繊維シートより引張強度が強く、かつ、前記第1繊維シートに積層される基材シートと、
を具備する使い捨てタオル。 - 吸水性及び嵩高性を有し、かつ、セルロース成分を有し、前記基材シートの前記第1繊維シートが積層された面とは反対側の面に積層される第2繊維シートを具備する、
請求項1に記載の使い捨てタオル。 - 前記第1繊維シートは、エアレイド不織布である、
請求項1又は請求項2に記載の使い捨てタオル。 - 前記基材シートは、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布の少なくともいずれか一つが用いられる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の使い捨てタオル。
Priority Applications (1)
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JP2017004603U JP3214107U (ja) | 2017-10-06 | 2017-10-06 | 使い捨てタオル |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3214107U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020074977A (ja) * | 2018-11-08 | 2020-05-21 | 大王製紙株式会社 | 衛生薄葉紙 |
-
2017
- 2017-10-06 JP JP2017004603U patent/JP3214107U/ja active Active
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