JP2016169443A - 水解性パルプ積繊シート - Google Patents

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Abstract

【課題】抄紙工程を経ることなく製造できるとともに、抄紙された水解紙との積層体を形成せずとも形状が良好に維持され、かつ、適正な強度、及び優れた水解性を有するパルプ積繊シートの提供。
【解決手段】水解性パルプ積繊シートであり、少なくとも、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり非湿潤状態の原料繊維シートに、バインダーを塗布し乾燥して形成されたパルプ積繊シートにおいて、前記バインダーが、前記パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含まれ、JISP4501に準じて測定されるほぐれやすさが300秒以内である。
【選択図】なし

Description

この発明は、ウェットワイプなどの清浄用物品等として利用可能な水解性パルプ積繊シートに関する。
従来、清浄用物品としては、例えば、ウェットやドライのティッシュなどが知られている。ウェットティッシュとしては、例えば、セルロール繊維を含むティッシュウェブからなる第一層と、エアレイド不織布ウェブからなる第二層から構成されるものがある(特許文献1参照)。
この特許文献1のものにあっては、第一層(抄紙により得られる)と、これと製法の異なる第二層(エアレイド法により得られる)と、両者を一体化させるバインダーを必要とする。また前記第一層は、ウェットティッシュに強度をもたらすがその柔軟性は低下させるものであった。
米国特許第8257553号明細書
この発明が解決しようとする主たる課題は、抄紙工程を経ることなく製造できるとともに、抄紙された水解紙との積層体を形成せずとも形状が良好に維持され、かつ、適正な強度、及び優れた水解性を有するパルプ積繊シートの提供にある。
前記課題を解決するために、この発明にあっては、水解性パルプ積繊シートを、少なくとも、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり非湿潤状態の原料繊維シートに、バインダーを塗布し乾燥して形成されたパルプ積繊シートにおいて、前記バインダーが、前記パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含まれ、JISP4501に準じて測定されるほぐれやすさが300秒以内であることを特徴とする、ものとした。
前記水解性パルプ積繊シートは、少なくとも、前記バインダー塗布の前に、圧縮・押圧が施されたものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。前記水解性パルプ積繊シートが、更に、液透過性の表面シート層を有するものとしておくおことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。また、前記バインダーを、カルボキシメチルセルロースとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。前記水解性パルプ積繊シートを、更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態のものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。また、前記清浄用液体が、有機溶剤を10〜40重量%、及び、2価の金属塩を2.0重量%〜4.5重量%含有するものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。また、前記清浄用液体が、感触改良剤を含有するものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。また、前記感触改良剤を、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種としておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
本発明によれば、抄紙工程を経ることなく製造でき、積層体を形成せずとも形状が維持され、かつ、適正な強度、及び優れた水解性を有するパルプ積繊シートが提供される。
本発明の一実施形態(第一例)にかかる水解性パルプ積繊シートを製造する方法を説明するための工程図である。 本発明の一実施形態(第二例)にかかる水解性パルプ積繊シートを製造する方法を説明するための工程図である。
以下、図1及び図2に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる水解性パルプ積繊シートは、原料繊維シートを含み、典型的には、ウェットワイプなどの清浄用シートとなる水解性パルプ積繊シートとして用いるのに適したものである。
(水解性パルプ積繊シートの構成)
水解性パルプ積繊シートは、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり非湿潤状態の原料繊維シートを圧縮・押圧して形成したパルプ積繊シートにおいて、バインダーを、当該パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含有してなる。
本発明においては、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維シートを、非湿潤状態において圧縮・押圧し、水解性パルプ積繊シートが得られる。当該原料繊維シートは、圧縮・押圧の際、非湿潤状態である。原料繊維シートは、多数の繊維の集合体により構成されており、吸水性を有している。原料繊維シートは、パルプ等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、あるいは天然繊維と再生繊維の混合物等により形成することができる。パルプ以外の天然繊維としては、例えばケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。原料繊維シートは、厚さ方向における繊維の密集する度合いが異なるように構成されていることが好ましい。
ここで粉砕パルプとは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕して綿状にしたものをいう。粉砕パルプの原料としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができ、トイレットペーパー材料を用いることもできる。トイレットペーパー材料としては、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合したものを用いることができるが、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが製造上の観点から好ましい。針葉樹晒クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプを用いて水解性パルプ積繊シートを構成すると、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
前記原料繊維シートにおいては、粉砕パルプの配合割合が30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。さらには、粉砕パルプの配合割合が80%以上であるのが好ましく、100%が粉砕パルプで形成されているのがより好ましい。粉砕パルプは、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、繊維が圧縮された状態にある抄紙された紙に比べ、繊維間に無数の空間が形成されている。繊維間に無数の空間が形成されていると、水解性パルプ積繊シートを構成している各繊維が動く自由度を大きくすることができる。このため粉砕パルプの配合を上記した割合にすることにより、より少ない目付量でも水解性パルプ積繊シートの嵩高形成機能を大きくすることができる。この結果、全体としての柔軟性を向上させ、また製造時の生産効率を向上させることができる。
尚、本発明において「非湿潤状態」とは、原料繊維シートに水を吹き付ける等して原料繊維シートに水分を供給した態様を含まないという意味である。通常、紙材料は、気温、湿度条件に相応した湿気(水分)を含んでいるが、この湿気(水分)は外部から積極的に供給した水分ではないから、このような湿気(水分)を含んでいても本実施形態にいう非湿潤状態に相当する。
したがって、気温、湿度条件によって原料繊維シートに含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、本発明にいう非湿潤状態に相当する。大気下において通常の乾燥した非湿潤状態で原料繊維シートに圧縮・押圧加工を施すことにより、バインダー液が含浸されている湿潤状態で圧縮・押圧加工を施す場合のように、原料繊維シートがロールに付着するおそれはない。そのため、製造過程において、ロール等に剥離剤を塗布したり、原料繊維シートに剥離剤を塗布したりする必要がない。
水解性パルプ積繊シートの目付量は、80g/m2以下であることが好ましく、また60g/m2以下であることがより好ましい。水解性パルプ積繊シートの目付量を上記した範囲にすることで、水解性パルプ積繊シートの製造及び梱包をしやすくすることができ、使用者が使用しやすく且つ梱包しやすい嵩高を有するように構成することができる。また、前記目付量を上記の範囲とすることで、繊維密度が大きくなりすぎることがなくなる。その結果、繊維間を接合するための水溶性バインダーの量を少なくすることができる。このため、水解性パルプ積繊シートの表面に多量のバインダーが付着して、この付着したバインダーがフィルム化して水解性パルプ積繊シートの液透過性が低下することも防止でき、水解性パルプ積繊シートの全体的な吸水性を確保することができる。
本発明で用いることができるバインダーとしては、例えば、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などの水溶性バインダーが挙げられる。これらのバインダーは、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
前記多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
前記天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、前記合成高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロースが好ましい。また2種以上のバインダーを併用する観点からは、特に水解性に優れる点で、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールとを、併用するのが好ましい。
上記水溶性バインダーが架橋されたものであると、水解性パルプ積繊シートの物理強度が向上されるため好ましい。水溶性バインダーを架橋する架橋剤は、水溶性バインダーと架橋反応を起こして水溶性バインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダーを用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、亜鉛、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは充分な湿潤強度を付与する点において好ましい。上記した架橋剤としての多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。これらの化合物のうち、1種又は複数を混合して架橋剤として用いることもできる。
かかる水解性パルプ積繊シートにおいて、前記バインダーの前記水解性パルプ積繊シートに対する含有量としては、2.0〜15.0重量%が好ましい。また別の態様においては、前記含有量としては、2.5〜14.5重量%が好ましい。前記含有量が2.0重量%以上であれば、水解性パルプ積繊シートに充分かつ適正な強度を付与できる。また前記含有量が15.0重量%以下であれば、充分な柔軟性を有する水解性パルプ積繊シートが得られる。
水解性パルプ積繊シートは、更に、液透過性の表面シート層を有してもよい。表面シート層の材質としては、例えば、パルプ紙又はパルプを主原料とする材料から形成された紙を用いるのが好ましい。この場合、パルプの配合が30%以上であるのが好ましい。また別の態様として、50%以上であるのも好ましい。更に別の態様として、80%以上であるのもの好ましい。パルプの配合量をかかる割合とすれば、柔軟性の高い水解性パルプ積繊シートとすることができる。
またかかる水解性パルプ積繊シートに、清浄用液体を含浸させ、湿潤状態とすることにより、水解性パルプ積繊シートは、ウェットワイプとして好適に利用可能なものとなる。
水解性パルプ積繊シートがウェットワイプタイプとして提供される場合、前記清浄用液体としては、水と、水溶性有機溶剤と、水溶性バインダーを架橋させるための多価の金属塩よりなる架橋剤、を必須成分として含み、必要に応じて、界面活性剤、感触改良剤、殺菌剤、防腐剤、消臭剤、漂白剤、キレート剤、香料等の任意成分を含有する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、などの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールとのモノエーテル又はジエーテル、前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記清浄用液体における、水溶性有機溶剤の含有量としては、10〜40重量%が好ましい。また別の態様においては、前記含有量としては、17〜28重量%が好ましい。
前記多価の金属塩(架橋剤)としては、特に制限はないが、例えば、塩化カルシウム、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛等の2価の金属塩を用いることができ、これらを用途等に応じて適宜選択する。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記清浄用液体における、前記架橋剤の含有量としては、2.0〜4.5重量%が好ましい。また別の態様として、前記架橋剤の含有量としては、2.5〜4.3重量%が好ましい。更に別の態様として、前記架橋剤の含有量としては、3.0重量%〜4.2重量%が好ましい。
前記界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤は単独で使用しても、二種以上を併用しても良いが、特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤の1種又は2種以上を用いるのが好ましい。界面活性剤等の任意成分は、必要に応じて適宜含有量を選択可能である。
前記感触改良剤としては、触った際の肌感触を改良できるものであれば特に制限はないが、例えば、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種、などが挙げられる。これらの感触改良剤としては、1種単独で使用してもよく、2以上を併用してもよい。
(水解性パルプ積繊シートのほぐれやすさ)
かかる水解性パルプ積繊シート10においては、JISP4501に準じて測定されるほぐれやすさが300秒以内である。かかる水中でのほぐれやすさの評価により、水解性パルプ積繊シート1は、適正な強度を有するとともに、優れた水解性をも併せ持つと評価される。
なお、JISP4501は、以下のように測定することにより、試験片のほぐれやすさを評価するものである。すなわち、毎分600回転で拡販している水中に114mm角の試験片を投入し、試験片の抵抗により回転数が一時的に約500回転に下降する。試験片がほぐれるとともに回転数が上昇し、試験片の投入から540回転までに回復する時間を計測する。
水解性パルプ積繊シート10は、ほぐれやすさに優れており、300秒以内で前記回復がなされる。水解性パルプ積繊シート1は、抄紙工程を経ることなく効率的に得られ、抄紙された水解紙との積層体としなくても形状が良好に維持され、且つ適正な強度を持つとともに、適度な柔軟性、更には、上述のように優れた水解性を備えている。好ましくは、前記回復は、250秒以内、より好ましくは200秒以内でなされるようになっていることが好適である。
(水解性パルプ積繊シートを製造する方法の一例)
図1は、本発明の一実施形態(第一例)にかかる水解性パルプ積繊シートを好適に製造する方法を説明するための工程図である。
(原料繊維シートの作製)
図1において、原料シート供給部10は、原料シート1を巻回した送りロールである。原料シート1は、原料シート供給部10より矢印X方向に送り出されて粉砕部20の中に送り込まれる。
粉砕部20は、ハウジング21と、そのハウジング21の内部に配置された粉砕機22と、ハウジング21の内部の空気を吸引して空気流を形成する気流形成部23とを備える。原料シート供給部10より供給された原料シート1は、ハウジング21内に送られ、粉砕機22で粉砕され、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維1aが得られる。
搬送ベルト6には気流が通過可能な複数の開口(メッシュ体)が設けられており、気流形成部23は搬送ベルト6の下に配置され、開口を通して空気を吸引する。
粉砕されて得られた原料繊維1a(粉砕パルプなど)は、ハウジング21内において、繊維同士の交絡が解除され、また該交絡が弱められながら、搬送ベルト6の表面方向(図中のY方向)に向けて移動し、搬送ベルト6の上に吸引されて順次圧縮されながら積繊される。
このようにして、粉砕部20のハウジング21内において原料繊維1aは搬送ベルト(メッシュ体)6上に積繊され、原料繊維シート2として、X方向に移動しながら粉砕部20の外部に送り出される。
なお、本実施形態では、ハウジング21内において、気流形成部23で吸引して空気流を形成し、搬送ベルト6の上に原料繊維1aが圧縮された状態で積繊するようにしたが、搬送ベルト6上に原料繊維1aを積繊する方法はこれに限定されるものではない。
また、本実施形態では、原料繊維1aを搬送ベルト(メッシュ体)6上に直接積繊したが、例えば、更に表面シート層を設ける態様のパルプ積繊シートを形成する場合、製造工程においては、例えば、搬送ベルト6上に表面シート層を設け、その上に原料繊維1aを積繊させてパルプ積繊層を形成してもよい。
(圧縮・押圧工程)
図1において、圧縮・押圧部30では、原料繊維シート2をロール31により圧縮・押圧する。ロール31は、上ロールとしてエンボスロール31a,下ロールとして平面ロール31bを有する。エンボスロール31aは、原料繊維シート2に対し、搬送方向Xと垂直な方向に、凹形状、凸形状、又は凹凸形状(以下、これらを纏めて「凹凸(エンボス)」形状という。)のパターンを形成可能である。つまり、「凹凸(エンボス)」とは、凹部と凸部とが略同様な間隔で形成されているもののみならず、平坦な部分に凸部が形成されている場合や、平坦な部分に凹部が形成されている場合も含む。さらに、平坦な部分に凸部と凹部が形成されている場合も含む。
また、「凹凸(エンボス)」の各パターンの形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、菱形等であってもよいし、また、これら以外の形状、例えば模様図柄や、線状の凸部と凹部とを繰り返し形成した波形形状であってもよい。また、凸凹は、原料繊維シート2の全面に亘って形成してもよいし、一部にのみ形成してもよい。さらに、エンボス加工による凹凸形成は、例えば、原料繊維シート2のいずれか一方から片面に対してのみに行ってもよいし、原料繊維シート2の表裏両面に対して行ってもよい。
尚、本実施形態において、圧縮・押圧工程においては、ロール31は上ロールとしてエンボスロール、下ロールとして平面ロールを有していたが、本発明においては、これらには何ら限定されず、原料繊維2に対して適切な圧縮・押圧処理を行うことができる限り特に制限はなく、いかなる公知の形状のロール対をも用いることもできる。
例えば、上下ともエンボスロールであって、原料繊維シート2に対して搬送方向Xと垂直な方向に凹凸(エンボス)を形成するエンボスロールによる圧縮・押圧処理がなされてもよい。また上下とも平面ロールであってもよい。その他、点止めのための一対のロール等が用いられても良い。
前記平面ロールは、実質的に表面が平面であるものであり、表面が平滑なものに限定されない。具体的には、前記平面ロールには、その表面に、格子状、砂目状、梨地状などの小さな凹や凸の形状が付与されているものも含まれる。
圧縮・押圧部30において一対のロール間を、原料繊維シート2が通過すると、原料繊維シート2には、表面に対する法線方向成分を有する押圧力が加わり、ロール31a,ロール31bにより適切に圧縮・押圧処理された、原料繊維シート2が得られる。
(バインダー塗布工程)
前記バインダー塗布工程においては、原料繊維シート2の少なくとも一方の面に、バインダー液4を塗布する。図1において、バインダー供給部40はスプレー式のバインダー液噴霧装置41を備える。バインダー液噴霧装置41は、ノズルからバインダー液4を原料繊維シート2の表面に噴霧するものである。本実施形態では、バインダー液4を表面に噴霧するが、これに限定されず、裏面から噴霧してもよく、後述するように、両面から噴霧するのも、均一塗布の観点から、好ましい。
バインダー液4は、原料繊維シート2に所定の強度を付与できるものであればよく、前述した全てのバインダーを、1種単独で又は2種以上併用して、好適に用いることができる。更にバインダーをシート表面に噴霧するには、原料繊維シート2の裏面から噴霧してもよく、両面から噴霧してもよい。
なお、ここでは、原料繊維シート2へのバインダー液4の溶液を供給する手段としてスプレー噴霧を用いて説明したが、バインダー液4の溶液を供給する手段としては、バインダー液4を供給できる限り特に制限はなく、公知の適切な塗布手段を適宜用いることができる。ただしここで、原料繊維シート2は、前述のように、例えば粉砕パルプが、吸引条件下で搬送ベルト6上に順次積繊され、押圧成型されて形成された積繊体である。かかる観点からは、この時点において、このバインダー液4の原料繊維シート2への供給手段としては、原料繊維シート2への力学的負担(テンション等)ができる限りかからないような供給手段であるのが好ましい。この観点からは、本実施形態におけるように、スプレー噴霧等によって、非接触的にバインダー液4を原料繊維シート2に塗布するのが好ましい。
前記バインダー供給工程においては、原料繊維シート2に対して、少なくとも2体のスプレー噴霧機を用い、原料繊維シート2の両面からバインダーを塗布する態様も好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、原料繊維シート2は、例えば一般的な抄紙工程を経た紙シート等と比較すると、特に厚み方向における繊維間の密着性が低く空隙が多い。このため、積繊体に1体の噴霧機によって片面からバインダー液4をスプレー噴霧によって供給しても、バインダー液4を原料繊維シート2の厚み方向全体に亘って浸透させるには多量のバインダー液4を必要とし、効率的でない。この点、このように原料繊維シート2の両面からスプレー塗布によってバインダーを塗布することにより、より効率的に、バインダー液4を原料繊維シート2の厚み方向全体に亘って浸透させ得る。
一方、別の高率的なバインダー供給方法としては、後述するように、乾燥工程の後、更に、例えばグラビア印刷機によるバインダー供給工程を設けることができる。この場合、この時点で、厚み方向の全体に亘って充分に含浸する程度の量のバインダーをスプレー噴霧により噴霧・供給する必要はない。
必要によりバインダー液4の架橋剤を添加する場合、架橋剤はバインダー液4と同時に供給することができるが、架橋剤はバインダー液4とともに供給する場合に限らず、製造工程中の任意の箇所で供給、添加することができる。
(乾燥工程)
前記乾燥工程においては、前述のバインダー供給工程の後、原料繊維シート2を乾燥させる。図1において、乾燥部50は、近赤外線、遠赤外線等の赤外線乾燥機、熱風乾燥機、電磁波乾燥機、のほか、ガス乾燥機、ドラム乾燥機、熱ロール乾燥機など、従来から公知の乾燥機51を備える。より効率的に、乾燥可能な観点からは、電磁波乾燥や近赤外線や遠赤外線による乾燥等が好ましい。バインダー液4が供給された原料繊維シート2は、乾燥機51に送られ、乾燥される。なお、バインダー液4が含浸された原料繊維シート2を乾燥機51で乾燥するに当たり、1つの乾燥機51により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機を設置して、順次、各乾燥機51に原料繊維シート2を送りながら乾燥するようにしてもよい。また塗布したバインダー液の種類や塗布量、その他の目的に応じた熱処理を行うために、複数種類の乾燥機を併用してもよい。例えば、電磁波乾燥と赤外線乾燥との併用、などでよい。
(更なるバインダー供給工程(グラビア印刷など))
必要に応じて、本実施形態では、更なるバインダー供給工程を設けても良い。塗布手段は特に制限はないものの、均一かつ充分にバインダー液を原料繊維シート2に浸透させるという観点からは、グラビア印刷等による供給が好ましい。適用されるグラビア印刷用ロールとしては、例えば、グラビア版シリンダ、圧着ローラ、バインダー溶液溜め、及びドクターブレードなどから構成されていてよい。このように更なるバインダー供給工程を設けることにより、効率的に塗布が可能であり、また厚みの点からも均等なバインダー塗布が可能となる。これにより、強度及び肌触り感にも優れる、パルプ積繊シートを安定して効率的に製造することができる。
前記グラビア印刷において、前記グラビア版シリンダとしては特に制限はないが、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、シリンダ表面が平滑面・鏡面等であっても本発明において好適に使用可能であるが、前述のように、シリンダにセルが形成されている場合には、そのセルにバインダー液が適切に付着し、塗布対象の原料繊維シート2等へのより効果的な転写が可能である。
前記グラビア印刷において、前記圧着ローラとしては特に制限はなく、通常公知の樹脂ロール等が好適に用いられる。当該圧着ローラとしては、前記シリンダ同様、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、圧着ローラ表面が平滑面・鏡面等であっても、本発明において使用可能であるが、前述のように、圧着ローラにセル等のパターンが形成されている場合には、塗布対象の原料繊維シート2への効果的な転写が可能である。
なお、更なるバインダー供給工程においても、原料繊維シート2の両面へ各々、バインダー液4の塗布処理が行われてもよい。例えば、行程中に、グラビア印刷を2回施すことにより、シートに片面ずつバインダー液4を充分に供給・塗布してもよい。この場合、例えば、シート片面に塗布処理を施した後、塗布面を反転させて再度塗布処理を行ってもよい。
以上の、更なるバインダー供給工程により、バインダー液4を、より均一にかつ充分に、シートに塗布させ浸透させることができる。従って、より少量のバインダー溶液の使用であっても、実用上充分な強度を有するパルプ積繊シートが提供される。
(更なる乾燥工程)
必要に応じて、前述の更なるバインダー塗布工程の後、さらに乾燥工程を有してもよい。更なる乾燥工程においても、上記同様、近赤外線、遠赤外線等の赤外線乾燥機、熱風乾燥機、電磁波乾燥機、のほか、ガス乾燥機、ドラム乾燥機、熱ロール乾燥機など、従来から公知の乾燥機が好適に用いられる。特に、前述のようなグラビア印刷によるバインダー塗布を行った後は、バインダーが繊維シートに充分に含侵されているため、この乾燥工程では、より高温で効率的に熱処理を行うのも好ましい。この観点からは、近赤外線、遠赤外線乾燥機等、による乾燥が好ましい。また1つの乾燥機により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機を設置し、順次各乾燥機に原料繊維シート2を送りながら乾燥してもよい。更に、塗布したバインダー液の種類や塗布量、その他の目的に応じた熱処理を行うために、複数種類の乾燥機を併用してもよい。
(更なる圧縮・押圧工程)
必要に応じて、本実施形態においては、上述の乾燥工程の後、適宜、更に圧縮・押圧工程を有してもよい。更なる圧縮・押圧部(不図示)としては、特に制限はないが、例えば、一対の縦ロール、一対の横ロール、等が設けられているのも好ましい。
以上のような工程を経た原料繊維シート2が、最終的にウェットな状態で使用される水解性パルプ積繊シートとして提供される場合、これに清浄用液体を塗布する塗布工程、更に、折り畳み工程、切断工程、等に順次送られてよい。
前記清浄用液体の塗布工程においては、用途に応じた清浄用液体が塗布・含浸される。これにより、清浄用液体が塗布・含浸された、ウェットタイプの水解性パルプ積繊シートが提供される。また清浄用液体を塗布せずにドライタイプの水解性パルプ積繊シートも提供される。
また、清浄用液体を塗布・含浸させる前に一旦、パルプ積繊シートを巻き取る巻き取り工程を設け、保管・移送可能とし、別途、パルプ積繊シートに清浄用液体を塗布・含浸などさせてウェットタイプのワイプなどを提供できるようにしてもよい。
(水解性パルプ積繊シートを製造する方法の他の一例)
図2は、本発明の一実施形態(第二例)にかかる水解性パルプ積繊シートを好適に製造する方法を説明するための工程図である。
この第二例では、粉砕部20とバインダー液供給部40との間においては前記第一例のように原料繊維シート2に対する圧縮・押圧部30による圧縮押圧を施していない。図2中、符号7は、粉砕部20とバインダー液供給部40との間において搬送ベルト6上に配される押さえベルトコンベヤである。この第二例では、必要に応じて、乾燥部50における処理後、原料繊維シート2に対する圧縮押圧処理がなされる。また、図2中、符号43はバインダー供給部40において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部であり、符号53は乾燥部50において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部である。
この第二例におけるその余の点は、前記第一例と実質的に同一であるので、このその余の点については図2に図1で用いた符号と同一の符号を付してその説明は省略する。
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
1 原料シート
1a 粉砕原料
2 原料繊維シート
4 バインダー液
6 搬送ベルト
10 原料シート供給部
20 粉砕部
21 ハウジング
22 粉砕機
23 気流形成部
30 圧縮・押圧部
31a エンボスロール
31b 平面ロール
40 バインダー液供給部
41 バインダー液噴霧装置
50 乾燥部
51 乾燥機

Claims (8)

  1. 少なくとも、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり非湿潤状態の原料繊維シートに、バインダーを塗布し乾燥して形成されたパルプ積繊シートにおいて、前記バインダーが、前記パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含まれ、JISP4501に準じて測定されるほぐれやすさが300秒以内であることを特徴とする、水解性パルプ積繊シート。
  2. 少なくとも、前記バインダー塗布の前に、圧縮・押圧が施されたものである、請求項1に記載の水解性パルプ積繊シート。
  3. 更に、液透過性の表面シート層を有する、請求項1又は2に記載の水解性パルプ積繊シート。
  4. 前記バインダーが、カルボキシメチルセルロースである、請求項1乃至3に記載の水解性パルプ積繊シート。
  5. 更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態である、請求項1乃至4のいずれかに記載の水解性パルプ積繊シート。
  6. 前記清浄用液体が、有機溶剤を10〜40重量%、及び、2価の金属塩を2.0重量%〜4.5重量%含有する、請求項5に記載の水解性パルプ積繊シート。
  7. 前記清浄用液体が、感触改良剤を含有する、請求項5又は6に記載の水解性パルプ積繊シート。
  8. 前記感触改良剤が、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種である、請求項7に記載の水解性パルプ積繊シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113062147A (zh) * 2021-04-14 2021-07-02 绿赛可新材料(云南)有限公司 一种干法纸浆模塑生产方法

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