JP2016169442A - パルプ積繊シートの製造方法、及びそれにより製造されるパルプ積繊シート - Google Patents
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Abstract
【課題】抄紙工程を経ることなく製造でき、積層体を形成せずとも形状が維持され、かつ、優れた強度を有するパルプ積繊シートを、安定して効率的に製造可能な製造方法の提供。
【解決手段】粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる非湿潤状態の原料繊維シート2に対し、水溶性バインダー液を供給するバインダー供給工程と、前記バインダー供給工程の後、原料繊維シート2を乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程が、前記水溶性バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移温度以上融点以下の温度で熱処理することにより行われる。
【選択図】図1
【解決手段】粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる非湿潤状態の原料繊維シート2に対し、水溶性バインダー液を供給するバインダー供給工程と、前記バインダー供給工程の後、原料繊維シート2を乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程が、前記水溶性バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移温度以上融点以下の温度で熱処理することにより行われる。
【選択図】図1
Description
この発明は、清浄用物品等として利用可能なパルプ積繊シート、及びその製造方法に関する。
従来、清浄用物品としては、例えば、ウェットティッシュやドライのティッシュなどが知られている。ウェットティッシュとしては、例えば、セルロール繊維を含むティッシュウェブからなる第一層と、エアレイド不織布ウェブからなる第二層から構成されるものがある(特許文献1参照)。
この特許文献1のものにあっては、第一層(抄紙により得られる)と、これと製法の異なる第二層(エアレイド法により得られる)と、両者を一体化させるバインダーを必要とする。また前記第一層は、ウェットティッシュに強度をもたらすがその柔軟性は低下させるものであった。
この発明が解決しようとする主たる課題は、抄紙工程を経ることなく製造でき、積層体を形成せずとも形状が維持され、かつ、優れた強度を有するパルプ積繊シートを、安定して効率的に製造可能な製造方法、及びそれにより製造され、優れた強度を有するパルプ積繊シートを提供することにある。
前記課題を達成するために、この発明にあっては、パルプ積繊シートの製造方法を、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる非湿潤状態の原料繊維シートに対し、水溶性バインダー液を供給するバインダー供給工程と、前記バインダー供給工程の後、前記原料繊維シートを乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程が、前記水溶性バインダー液に含有されるバインダーのガラス転移温度以上融点以下の温度で熱処理することにより行われることを特徴とするることにより行われることを特徴とする、ものとした。
前記バインダー供給工程の前に、圧縮・押圧工程を有するものとすることが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記バインダー供給工程が、水溶性バインダー液のスプレー噴霧により行われるようにしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記水溶性バインダー液は、カルボキシメチルセルロースを含み、前記乾燥温度が、120℃〜250℃のものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記水溶性バインダー液は、ポリビニルアルコールを含み、前記乾燥温度が、140℃〜250℃のものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記水溶性バインダー液は、カルボキシセルロール及びポリビニルアルコールを含む混合バインダーであり、前記乾燥温度が、120℃〜250℃のものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記圧縮・押圧工程が、一対の、エンボスロールと平面ロールとを有する圧縮・押圧部により行われるようにしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記乾燥工程の後、更なる圧縮・押圧工程を有するようにしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、パルプ積繊シートを、前記のパルプ積繊シートの製造方法により製造され、バインダーを積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含有するものとした。前記バインダーは、架橋された状態で含有されているものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記パルプ積繊シートは、更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態であるものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記清浄用液体は、有機溶剤を10〜40重量%、及び、2価の金属塩を2.0重量%〜4.5重量%含有するものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記清浄用液体は、感触改良剤を含有するものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記感触改良剤は、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種としておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。また、前記パルプ積繊シートは、更に、表面シート層を有するものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つである。
本発明によれば、抄紙工程を経ることなく製造でき、積層体を形成せずとも形状が維持され、かつ、適正な強度を有するパルプ積繊シートを、安定して効率的に製造できる製造方法、及びそれにより製造され、適正な強度を有するパルプ積繊シートを提供することができる。
−パルプ積繊シートの製造方法−
図1は、本発明の一実施形態(第一例)にかかる、パルプ積繊シートの製造方法を説明するための工程図である。但しここで記載した実施形態は、あくまでも本発明を実施化する際の一例にすぎず、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されることはない。
図1は、本発明の一実施形態(第一例)にかかる、パルプ積繊シートの製造方法を説明するための工程図である。但しここで記載した実施形態は、あくまでも本発明を実施化する際の一例にすぎず、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されることはない。
(原料繊維シートの作製)
図1において、原料シート供給部10は、原料シート1を巻回した送りロールである。原料シート1は、原料シート供給部10より矢印X方向に送り出されて粉砕部20の中に送り込まれる。
図1において、原料シート供給部10は、原料シート1を巻回した送りロールである。原料シート1は、原料シート供給部10より矢印X方向に送り出されて粉砕部20の中に送り込まれる。
原料シート1は、トイレットペーパ等の薄葉紙1枚からなる単層構造のものを用いてもよいし、又は薄葉紙を複数枚重ねた多層構造のものを用いてもよい。
原料シート1は、例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等の原料パルプを含む。原料パルプとして、トイレットペーパ材料を用いることができる。
トイレットペーパ材料としては、例えば赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルースなどの針葉樹から得られる針葉樹晒クラフトパルプとブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダーなどの広葉樹から得られる広葉樹晒クラフトパルプを所定の割合で配合してなる原料パルプを用いることができる。
原料シート1は、例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等の原料パルプを含む。原料パルプとして、トイレットペーパ材料を用いることができる。
トイレットペーパ材料としては、例えば赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルースなどの針葉樹から得られる針葉樹晒クラフトパルプとブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダーなどの広葉樹から得られる広葉樹晒クラフトパルプを所定の割合で配合してなる原料パルプを用いることができる。
また原料シート1には、パルプなどの天然繊維に限られず、レーヨン等の再生繊維等も用いることができ、天然繊維と再生繊維とを混合して用いることもできるが、天然繊維を用いることが好ましい。原料シート1は、パルプ以外の天然繊維として、例えばケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を含んでよい。
なお、原料シート1に用いられる紙材料としては水解性を有するものであっても、水解性を有しないものであってもよい。
なお、原料シート1に用いられる紙材料としては水解性を有するものであっても、水解性を有しないものであってもよい。
原料シート1は、多数の繊維の集合体により構成されており、吸水性を有している。
針葉樹晒クラフトパルプは、粉砕後においても広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプを用いた繊維シート3は、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。
また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
針葉樹晒クラフトパルプは、粉砕後においても広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプを用いた繊維シート3は、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。
また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
粉砕部20は、ハウジング21と、そのハウジング21の内部に配置された粉砕機22と、ハウジング21の内部の空気を吸引して空気流を形成する気流形成部23とを備える。原料シート供給部10より供給された原料シート1は、ハウジング21内に送られ、粉砕機22で粉砕され、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維1aが得られる。
搬送ベルト6には気流が通過可能な複数の開口が設けられており、気流形成部23は搬送ベルト6の下に配置され、開口を通して空気を吸引する。
粉砕されて得られた原料繊維1a(粉砕パルプなど)は、ハウジング21内において、繊維同士の交絡が解除され、また該交絡が弱められながら、搬送ベルト6の表面方向(図中のY方向)に向けて移動し、搬送ベルト6の上に吸引されて順次圧縮されながら積繊される。
粉砕されて得られた原料繊維1a(粉砕パルプなど)は、ハウジング21内において、繊維同士の交絡が解除され、また該交絡が弱められながら、搬送ベルト6の表面方向(図中のY方向)に向けて移動し、搬送ベルト6の上に吸引されて順次圧縮されながら積繊される。
このようにして、粉砕部20のハウジング21内において原料繊維1aは搬送ベルト6上に積繊され、原料繊維シート2として、X方向に移動しながら粉砕部20の外部に送り出される。
なお、本実施形態では、ハウジング21内において、気流形成部23で吸引して空気流を形成し、搬送ベルト6の上に原料繊維1aが圧縮された状態で積繊するようにしたが、搬送ベルト6上に原料繊維1aを積繊する方法はこれに限定されるものではない。
また、本実施形態では、原料繊維1aを搬送ベルト6上に直接積繊したが、例えば後述するように、更に、表面シート層を設ける態様のパルプ積繊シートを形成する場合、製造工程においては、例えば、搬送ベルト6上に表面シート層を設け、その上に原料繊維1aを積繊させてパルプ積繊層を形成してもよい。
(圧縮・押圧工程)
図1において、圧縮・押圧部30では、原料繊維シート2をロール31により圧縮・押圧する。ロール31は、上ロールとしてエンボスロール31a,下ロールとして平面ロール31bを有する。エンボスロール31aは、原料繊維シート2に対し、搬送方向Xと垂直な方向に、凹形状、凸形状、又は凹凸形状(以下、これらを纏めて「凹凸(エンボス)」形状という。)のパターンを形成可能である。つまり、「凹凸(エンボス)」とは、凹部と凸部とが略同様な間隔で形成されているもののみならず、平坦な部分に凸部が形成されている場合や、平坦な部分に凹部が形成されている場合も含む。さらに、平坦な部分に凸部と凹部が形成されている場合も含む。
図1において、圧縮・押圧部30では、原料繊維シート2をロール31により圧縮・押圧する。ロール31は、上ロールとしてエンボスロール31a,下ロールとして平面ロール31bを有する。エンボスロール31aは、原料繊維シート2に対し、搬送方向Xと垂直な方向に、凹形状、凸形状、又は凹凸形状(以下、これらを纏めて「凹凸(エンボス)」形状という。)のパターンを形成可能である。つまり、「凹凸(エンボス)」とは、凹部と凸部とが略同様な間隔で形成されているもののみならず、平坦な部分に凸部が形成されている場合や、平坦な部分に凹部が形成されている場合も含む。さらに、平坦な部分に凸部と凹部が形成されている場合も含む。
また、「凹凸(エンボス)」の各パターンの形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、菱形等であってもよいし、また、これら以外の形状、例えば模様図柄や、線状の凸部と凹部とを繰り返し形成した波形形状であってもよい。また、凸凹は、原料繊維シート2の全面に亘って形成してもよいし、一部にのみ形成してもよい。さらに、エンボス加工による凹凸形成は、例えば、原料繊維シート2のいずれか一方から片面に対してのみに行ってもよいし、原料繊維シート2の表裏両面に対して行ってもよい。
尚、本実施形態において、圧縮・押圧工程においては、ロール31は上ロールとしてエンボスロール、下ロールとして平面ロールを有していたが、本発明においては、これらには何ら限定されず、原料繊維シート2に対して適切な圧縮・押圧処理を行うことができる限り特に制限はなく、いかなる公知の形状のロール対をも用いることもできる。
例えば、上下ともエンボスロールであって、原料繊維シート2に対して搬送方向Xと垂直な方向に凹凸(エンボス)を形成するエンボスロールによる圧縮・押圧処理がなされてもよい。また上下とも平面ロールであってもよい。その他、点止めのための一対のロール等が用いられても良い。
前記平面ロールは、実質的に表面が平面であるものであり、表面が平滑なものに限定されない。具体的には、前記平面ロールには、その表面に、格子状、砂目状、梨地状などの小さな凹や凸の形状が付与されているものも含まれる。
例えば、上下ともエンボスロールであって、原料繊維シート2に対して搬送方向Xと垂直な方向に凹凸(エンボス)を形成するエンボスロールによる圧縮・押圧処理がなされてもよい。また上下とも平面ロールであってもよい。その他、点止めのための一対のロール等が用いられても良い。
前記平面ロールは、実質的に表面が平面であるものであり、表面が平滑なものに限定されない。具体的には、前記平面ロールには、その表面に、格子状、砂目状、梨地状などの小さな凹や凸の形状が付与されているものも含まれる。
圧縮・押圧部30において一対のロール間を、原料繊維シート2が通過すると、原料繊維シート2には、表面に対する法線方向成分を有する押圧力が加わり、ロール31a,ロール31bにより適切に圧縮・押圧処理された、原料繊維シート2が形成される。
本実施形態において、圧縮・押圧工程の際、原料繊維シート2は非湿潤状態であり、圧縮・押圧工程は、非湿潤状態にある原料繊維シート2に対して施される。ここで、 「非湿潤状態」とは、原料繊維シート2に水を吹き付ける等して原料繊維シート2に水分を供給した態様を含まないという意味である。通常、紙材料は、気温、湿度条件に相応した湿気(水分)を含んでいるが、この湿気(水分)は外部から積極的に供給した水分ではないから、このような湿気(水分)を含んでいても本実施形態にいう非湿潤状態に相当する。
したがって、気温、湿度条件によって原料繊維シート2に含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、本発明にいう非湿潤状態に相当する。大気下において通常の乾燥した非湿潤状態で原料繊維シート2に圧縮・押圧加工を施すことにより、バインダー液4が含浸されている湿潤状態で圧縮・押圧加工を施す場合のように、原料繊維シート2がロールに付着するおそれはない。
そのためロール等に剥離剤を塗布したり、原料繊維シート2に剥離剤を塗布したりする必要がない。
そのためロール等に剥離剤を塗布したり、原料繊維シート2に剥離剤を塗布したりする必要がない。
(バインダー供給工程)
前記バインダー供給工程においては、圧縮・押圧工程の後の原料繊維シート2に水溶性バインダー液4を供給する。図1において、バインダー供給部40はスプレー式のバインダー液噴霧装置41を備える。バインダー液噴霧装置41は、ノズルからバインダー液4の溶液を原料繊維シート2の表面に噴霧するものである。本実施形態では、バインダー液4を表面に噴霧するが、これに限定されず、裏面から噴霧してもよく、後述するように、両面から噴霧するのも、均一塗布の観点から、好ましい。
前記バインダー供給工程においては、圧縮・押圧工程の後の原料繊維シート2に水溶性バインダー液4を供給する。図1において、バインダー供給部40はスプレー式のバインダー液噴霧装置41を備える。バインダー液噴霧装置41は、ノズルからバインダー液4の溶液を原料繊維シート2の表面に噴霧するものである。本実施形態では、バインダー液4を表面に噴霧するが、これに限定されず、裏面から噴霧してもよく、後述するように、両面から噴霧するのも、均一塗布の観点から、好ましい。
バインダー液4は、原料繊維シート2に所定の強度を付与できるものであればよく、種々のものを用いることができる。 本実施形態で用いることができるバインダー液4としては、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などが挙げられる。多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。
上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。特に、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを共に適切量調整し、混合した混合バインダーを用いることにより、特に、両バインダーの性質の良さが引き出されたバインダーとなり好適に使用が可能となる。
天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。
上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。特に、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを共に適切量調整し、混合した混合バインダーを用いることにより、特に、両バインダーの性質の良さが引き出されたバインダーとなり好適に使用が可能となる。
また、パルプ積繊シートにおいて、架橋されたバインダーが含有されていると、物理強度がより向上されるため好ましい。バインダー液4を架橋する架橋剤は、バインダー液4と架橋反応を起こしてバインダー液4を架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。
架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダー液4を用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、例えば、2価金属イオンである、亜鉛、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは充分な湿潤強度を付与する点において好ましい。
架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダー液4を用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、例えば、2価金属イオンである、亜鉛、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは充分な湿潤強度を付与する点において好ましい。
上記した架橋剤としての多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。
また、バインダー液4としてポリビニルアルコールを用いる場合、架橋剤としてはチタン化合物、ホウ素化合物、ジルコニウム化合物、ケイ素を含む化合物等を用いることができ、これらの化合物のうち、1種又は複数を混合して架橋剤として用いることもできる。
チタン化合物としては、例えば乳酸チタン、チタントリエタノールアミネート等が挙げられ、ホウ素化合物としては、例えばホウ砂、ホウ酸等が挙げられる。またジルコニウム化合物としては、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム等が挙げられ、ケイ素を含む化合物としては、例えばケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
また、バインダー液4としてポリビニルアルコールを用いる場合、架橋剤としてはチタン化合物、ホウ素化合物、ジルコニウム化合物、ケイ素を含む化合物等を用いることができ、これらの化合物のうち、1種又は複数を混合して架橋剤として用いることもできる。
チタン化合物としては、例えば乳酸チタン、チタントリエタノールアミネート等が挙げられ、ホウ素化合物としては、例えばホウ砂、ホウ酸等が挙げられる。またジルコニウム化合物としては、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム等が挙げられ、ケイ素を含む化合物としては、例えばケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
なお、本実施形態では、原料繊維シート2へのバインダー液4の溶液を供給する手段として噴霧を用いて説明したが、バインダー液4の溶液を供給する手段としては、バインダー液4を供給できる限り特に制限はなく、公知の適切な塗布手段を適宜用いることができる。ただしここで、原料繊維シート2は、前述のように、例えば粉砕パルプが、吸引条件下で搬送ベルト6上に順次積繊され、押圧成型されて形成された積繊体である。かかる観点からは、この時点において、このバインダー液4の原料繊維シート2への供給手段としては、原料繊維シート2への力学的負担(テンション等)ができる限りかからないような供給手段であるのが好ましい。この観点からは、本実施形態におけるように、スプレー噴霧等によって、非接触的にバインダー液4を原料繊維シート2に塗布するのが好ましい。
バインダー供給工程5においては、原料繊維シート2に対して、少なくとも2体のスプレー噴霧機を用い、原料繊維シート2の両面からバインダーを塗布するのも好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、原料繊維シート2は、例えば一般的な抄紙工程を経た紙シート等と比較すると、特に厚み方向における繊維間の密着性が低く空隙が多い。このため、積繊体に1体の噴霧機によって片面からバインダー液4をスプレー噴霧によって供給しても、バインダー液4を原料繊維シート2の厚み方向全体に亘って浸透させるには多量のバインダー液4を必要とし、効率的でない。この点、このように原料繊維シート2の両面からスプレー塗布によってバインダーを塗布することにより、より効率的に、バインダー液4を原料繊維シート2の厚み方向全体に亘って浸透させ得る。
一方、別の方法として、後述するように、乾燥工程の後、更に、例えばグラビア印刷機によるバインダー供給工程を設ける場合には、この時点で、厚み方向の全体に亘って充分に含浸する程度の量のバインダーをスプレー噴霧により噴霧・供給する必要はない。
一方、別の方法として、後述するように、乾燥工程の後、更に、例えばグラビア印刷機によるバインダー供給工程を設ける場合には、この時点で、厚み方向の全体に亘って充分に含浸する程度の量のバインダーをスプレー噴霧により噴霧・供給する必要はない。
必要によりバインダー液4の架橋剤を添加する場合、架橋剤はバインダー液4と同時に供給することができるが、架橋剤はバインダー液4とともに供給する場合に限らず、製造工程中の任意の箇所で供給、添加することができる。
(乾燥工程(熱処理工程))
乾燥工程においては、前述のバインダー供給工程の後、原料繊維シート2を乾燥させる。ここでは、バインダー供給工程の後、原料繊維シート2に対し、バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移点温度以上融点以下の温度で、熱処理が行われる。具体的に、バインダー液4が、カルボキシメチルセルロースを含む場合には、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。また例えば、バインダー液4がポリビニルアルコールを含む場合には、140〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。更に、バインダー液4が、例えば、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールの混合バインダーの場合には、その熱処理温度や熱処理条件などは、混合バインダーにおけるバインダーのガラス転移温度や融点等によって、適宜調整するのが好ましいが、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。
なお本発明において「乾燥の温度」は、前記バインダー供給工程後の原料繊維シート2の表面温度を指す。具体的には、熱電対等の公知の測定装置によって測定される。
乾燥工程においては、前述のバインダー供給工程の後、原料繊維シート2を乾燥させる。ここでは、バインダー供給工程の後、原料繊維シート2に対し、バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移点温度以上融点以下の温度で、熱処理が行われる。具体的に、バインダー液4が、カルボキシメチルセルロースを含む場合には、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。また例えば、バインダー液4がポリビニルアルコールを含む場合には、140〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。更に、バインダー液4が、例えば、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールの混合バインダーの場合には、その熱処理温度や熱処理条件などは、混合バインダーにおけるバインダーのガラス転移温度や融点等によって、適宜調整するのが好ましいが、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。
なお本発明において「乾燥の温度」は、前記バインダー供給工程後の原料繊維シート2の表面温度を指す。具体的には、熱電対等の公知の測定装置によって測定される。
本発明においては、このように、乾燥工程でバインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移温度以上融点以下の温度にて、バインダー液4が塗布された原料繊維シート2に熱処理を行うことによって、優れた強度を有するパルプ積繊シートを安定してかつ効率的に製造可能である。この理由としては明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、原料繊維シート2に供給されたバインダー液4に含有されるバインダーが、ガラス転移温度以上融点以下で所定時間乾燥(熱処理)されることにより、バインダーの結晶配列がより良好となり、結晶化度も高くなる。このため、本発明により、強度に優れたパルプ積繊シートを効率的に安定して得ることができると考えられる。なお、結晶配列の度合いや結晶化度は、従来公知の手法、例えば、X線回折による測定等によって、測定し評価することができる。
図1において、乾燥部50は、近赤外線、遠赤外線等の赤外線乾燥機、熱風乾燥機、電磁波乾燥機、のほか、ガス乾燥機、ドラム乾燥機、熱ロール乾燥機など、従来から公知の乾燥機51を備える。より高温で効率的に、上記のような熱処理を行うことができる観点からは、近赤外線や遠赤外線の乾燥機等による乾燥が好ましい。バインダー液4が供給された原料繊維シート2は、乾燥機51に送られ、乾燥される。なお、バインダー液4が含浸された原料繊維シート2を乾燥機51で乾燥するに当たり、本発明は1つの乾燥機51により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機を設置して、順次、各乾燥機51に原料繊維シート2を送りながら乾燥するようにしてもよい。また塗布したバインダー液の種類や塗布量、その他の目的に応じた熱処理を行うために、複数種類の乾燥機を併用してもよい。例えば、電磁波乾燥と赤外線乾燥との併用、などでよい。また乾燥(熱処理)の時間としては、例えば、パルプ積繊シートが熱等によってダメージを受けない程度の時間とするように適宜調整するのが好ましく、特に制限はないが、具体的に1秒〜10秒程度が好ましい。
(更なるバインダー供給工程(グラビア印刷など))
本実施形態においては、必要に応じて、更なるバインダー供給工程を設けても良い。
均一かつ充分にバインダーを原料繊維シート2に浸透させるという観点からは、グラビア印刷等による供給が好ましい。適用されるグラビア印刷用ロールとしては、例えば、グラビア版シリンダ、圧着ローラ、バインダー溶液溜め、及びドクターブレードなどから構成されていてよい。このように更なるバインダー供給工程を設けることにより、効率的に塗布が可能であり、また厚みの点からも均等なバインダー塗布が可能となる。これにより、強度及び肌触り感にも優れる、パルプ積繊シートを安定して効率的に製造することができる。
本実施形態においては、必要に応じて、更なるバインダー供給工程を設けても良い。
均一かつ充分にバインダーを原料繊維シート2に浸透させるという観点からは、グラビア印刷等による供給が好ましい。適用されるグラビア印刷用ロールとしては、例えば、グラビア版シリンダ、圧着ローラ、バインダー溶液溜め、及びドクターブレードなどから構成されていてよい。このように更なるバインダー供給工程を設けることにより、効率的に塗布が可能であり、また厚みの点からも均等なバインダー塗布が可能となる。これにより、強度及び肌触り感にも優れる、パルプ積繊シートを安定して効率的に製造することができる。
前記グラビア印刷において、前記グラビア版シリンダとしては特に制限はないが、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、シリンダ表面が平滑面・鏡面等であっても本発明において好適に使用可能であるが、前述のように、シリンダにセルが形成されている場合には、そのセルにバインダー液が適切に付着し、塗布対象の原料繊維シート2等へのより効果的な転写が可能である。
前記グラビア印刷において、前記圧着ローラとしては特に制限はなく、通常公知の樹脂ロール等が好適に用いられる。当該圧着ローラとしては、前記シリンダ同様、その表面に、格子状、砂目状、梨地等の小さな凹型のくぼみ(いわゆる「セル」)のパターンが形成されているのが好ましい。もっとも、圧着ローラ表面が平滑面・鏡面等であっても、本発明において使用可能であるが、前述のように、圧着ローラにセル等のパターンが形成されている場合には、塗布対象の原料繊維シート2への効果的な転写が可能である。
なお、更なるバインダー供給工程においては、原料繊維シート2の両面へ各々、バインダー液4の塗布処理が行われてもよい。例えば、行程中に、グラビア印刷を2回施すことにより、シートに片面ずつバインダー液4を充分に供給・塗布してもよい。この場合、例えば、シート片面に塗布処理を施した後、塗布面を反転させて再度塗布処理を行ってもよい。
以上の、更なるバインダー供給工程により、バインダー液4を、より均一にかつ充分に、シートに塗布させ浸透させることができる。従って、より少量のバインダー溶液の使用であっても、実用上充分な強度を有するパルプ積繊シートが提供される。
(更なる乾燥工程(更なる熱処理工程))
本実施形態においては、必要に応じて、前述の更なるバインダー塗布工程の後、さらに乾燥工程を有してもよい。さらなる乾燥工程においては、前述の乾燥工程と同様に、バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移点温度以上融点以下の温度で、熱処理が行われるのが好ましい。バインダー液4が、カルボキシメチルセルロースを含む場合には、120〜250℃の温度範囲にて熱処理が行われるのが好ましい。また例えば、バインダー液4がポリビニルアルコールを含む場合には、140〜250℃の温度範囲にて熱処理が行われるのが好ましい。更に、バインダー液4が、例えば、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールの混合バインダーのような場合には、その熱処理温度や熱処理条件などは、混合バインダーにおけるバインダーのガラス転移温度や融点等によって、適宜調整するのが好ましいが、一例として、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。
本実施形態においては、必要に応じて、前述の更なるバインダー塗布工程の後、さらに乾燥工程を有してもよい。さらなる乾燥工程においては、前述の乾燥工程と同様に、バインダー液4に含有されるバインダーのガラス転移点温度以上融点以下の温度で、熱処理が行われるのが好ましい。バインダー液4が、カルボキシメチルセルロースを含む場合には、120〜250℃の温度範囲にて熱処理が行われるのが好ましい。また例えば、バインダー液4がポリビニルアルコールを含む場合には、140〜250℃の温度範囲にて熱処理が行われるのが好ましい。更に、バインダー液4が、例えば、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールの混合バインダーのような場合には、その熱処理温度や熱処理条件などは、混合バインダーにおけるバインダーのガラス転移温度や融点等によって、適宜調整するのが好ましいが、一例として、120〜250℃の温度範囲にて乾燥(熱処理)が行われるのが好ましい。
更なる乾燥工程においても、上記同様、近赤外線、遠赤外線等の赤外線乾燥機、熱風乾燥機、電磁波乾燥機、のほか、ガス乾燥機、ドラム乾燥機、熱ロール乾燥機など、従来から公知の乾燥機が好適に用いられる。特に、前述のようなグラビア印刷によるバインダー塗布を行った後は、バインダーがシートに充分に含侵されているため、第2の乾燥工程では、より高温で効率的に熱処理を行うのが好ましい。この観点からは、近赤外線、遠赤外線乾燥機等、による乾燥が好ましい。また1つの乾燥機により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機を設置し、順次各乾燥機に原料繊維シート2を送りながら乾燥してもよい。更に、塗布したバインダー液の種類や塗布量、その他の目的に応じた熱処理を行うために、複数種類の乾燥機を併用してもよい。例えば、電磁波乾燥と赤外線乾燥との併用、などでよい。また乾燥(熱処理)の時間としては、例えば、パルプ積繊シートが熱等にダメージを与えない程度の時間となるよう適宜調整するのが好ましく、特に制限はないが、具体的に1秒〜10秒程度が好ましい。
(更なる圧縮・押圧工程)
本実施形態においては、適宜、更なる圧縮・押圧工程を有してもよい。更なる圧縮・押圧部(不図示)としては、特に制限はないが、例えば、一対の縦ロール、一対の横ロール、等が設けられているのも好ましい。
本実施形態においては、適宜、更なる圧縮・押圧工程を有してもよい。更なる圧縮・押圧部(不図示)としては、特に制限はないが、例えば、一対の縦ロール、一対の横ロール、等が設けられているのも好ましい。
以上のような工程を経た原料繊維シート2が、最終的にウェットな状態で使用されるウェットワイプとして提供される場合、これに清浄用液体を塗布する塗布工程、更に、折り畳み工程、切断工程、等に順次送られてよい。
前記清浄用液体の塗布工程においては、用途に応じた清浄用液体が塗布・含浸される。これにより、清浄用液体が塗布・含浸された、湿潤状態のウェットタイプのパルプ積繊シートが製造される。また清浄用液体を塗布せずにドライタイプのパルプ積繊シートを製造するのも好ましい。
また、清浄用液体を塗布・含浸させる前に一旦、パルプ積繊シートを巻き取る巻き取り工程を設け、保管・移送可能とし、別途、パルプ積繊シートに清浄用液体を塗布・含浸などさせてウェットタイプのワイプなどを提供できるようにしてもよい。
前記清浄用液体の塗布工程においては、用途に応じた清浄用液体が塗布・含浸される。これにより、清浄用液体が塗布・含浸された、湿潤状態のウェットタイプのパルプ積繊シートが製造される。また清浄用液体を塗布せずにドライタイプのパルプ積繊シートを製造するのも好ましい。
また、清浄用液体を塗布・含浸させる前に一旦、パルプ積繊シートを巻き取る巻き取り工程を設け、保管・移送可能とし、別途、パルプ積繊シートに清浄用液体を塗布・含浸などさせてウェットタイプのワイプなどを提供できるようにしてもよい。
前記折り畳み工程では、繊維シートは折り機に案内され、所定の折回数で折り畳まれる。折り畳み工程後、繊維シートは所定寸法に切断されて、積層された折り畳み体(吸水性物品)が得られる。
前記パルプ積繊シートがウェットタイプのワイプ等として提供される場合、前記清浄用液体としては、水と、水溶性有機溶剤と、水溶性バインダーを架橋させるための多価の金属塩よりなる架橋剤、を必須成分として含み、必要に応じて、界面活性剤、感触改良剤、殺菌剤、防腐剤、消臭剤、漂白剤、キレート剤、香料等の任意成分を含有する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、などの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールとのモノエーテル又はジエーテル、前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記清浄用液体における、水溶性有機溶剤の含有量としては、10〜40重量%が好ましい。また別の態様においては、前記含有量としては、17〜28重量%が好ましい。
前記多価の金属塩(架橋剤)としては、特に制限はないが、例えば、塩化カルシウム、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛等の2価の金属塩を用いることができ、これらが用途等に応じて適宜選択される。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記清浄用液体における、前記架橋剤の含有量としては、2.0〜4.5重量%が好ましい。また別の態様として、前記架橋剤の含有量としては、2.5〜4.3重量%が好ましい。更に別の態様として、前記架橋剤の含有量としては、3.0重量%〜4.2重量%が好ましい。
前記界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤は単独で使用しても、二種以上を併用しても良いが、特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤の1種又は2種以上を用いるのが好ましい。界面活性剤等の任意成分は、必要に応じて適宜含有量を選択可能である。
前記感触改良剤としては、触った際の肌感触を改良できるものであれば特に制限はないが、例えば、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種、などが挙げられる。これらの感触改良剤としては、1種単独で使用してもよく、2以上を併用してもよい。
−パルプ積繊シート−
本発明のパルプ積繊シートは、上記本発明のパルプ積繊シートの製造方法により製造され、バインダーを、パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15.0重量%以下含有する。前記バインダー、及び積繊シートについては、上述のものがすべて好適に適用可能である。前記バインダーの含有量としては、積繊シートに対して2.1重量%以上14.0重量%以下であるのも好ましい。前記バインダーは、物理強度がより向上されるため、架橋された状態でパルプ積繊シートに含有されているのが好ましい。また本発明のパルプ積繊シートが、ウェットワイプ用途に用いられる場合に、好適に適用可能な清浄用液体等についても、上述した通りである。
本発明のパルプ積繊シートは、上記本発明のパルプ積繊シートの製造方法により製造され、バインダーを、パルプ積繊シートに対して2.0重量%以上15.0重量%以下含有する。前記バインダー、及び積繊シートについては、上述のものがすべて好適に適用可能である。前記バインダーの含有量としては、積繊シートに対して2.1重量%以上14.0重量%以下であるのも好ましい。前記バインダーは、物理強度がより向上されるため、架橋された状態でパルプ積繊シートに含有されているのが好ましい。また本発明のパルプ積繊シートが、ウェットワイプ用途に用いられる場合に、好適に適用可能な清浄用液体等についても、上述した通りである。
本発明のパルプ積繊シートにおいては、上述のように、適宜、表面シート層を設けるのも好ましい。表面シート層の材質としては、液透過性を有しているのが好ましく、例えば、パルプ紙又はパルプを主原料とする材料から形成された紙を用いるのが好ましい。この場合、パルプの配合が30%以上であるのが好ましい。また別の態様として、50%以上であるのも好ましい。更に別の態様として、80%以上であるのもの好ましい。パルプの配合量をかかる割合とすれば、柔軟性の高いパルプ積繊シートとすることができる。
完成したパルプ積繊シートの目付量は、80g/m2以下であることが好ましく、また60g/m2以下であることがより好ましい。パルプ積繊シートの目付量を上記した範囲にすることで、パルプ繊維シートを用いた製品の製造及び梱包をしやすくすることができる。これにより、使用者が使用しやすく且つ梱包しやすい嵩高を有するように構成することができる。また、繊維シートの目付量を上記の範囲とすることで、繊維密度が大きくなりすぎることがなくなる。その結果、繊維間を接合するためのバインダー液量を少なくすることができる。
さらに、本発明の柔軟なパルプ積繊シートは、おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品及び使い捨て衣料、おむつ、使い捨て生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品にも用いることができる。
(水解性パルプ積繊シートを製造する方法の他の一例)
図2は、本発明の一実施形態(第二例)にかかる水解性パルプ積繊シートを好適に製造する方法を説明するための工程図である。
この第二例では、粉砕部20とバインダー液供給部40との間においては前記第一例のように原料繊維シート2に対する圧縮・押圧部30による圧縮押圧を施していない。図2中、符号7は、粉砕部20とバインダー液供給部40との間において搬送ベルト6上に配される押さえベルトコンベヤである。この第二例では、必要に応じて、乾燥部50における処理後、原料繊維シート2に対する圧縮押圧処理がなされる。また、図2中、符号43はバインダー供給部40において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部であり、符号53は乾燥部50において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部である。
この第二例におけるその余の点は、前記第一例と実質的に同一であるので、このその余の点については図2に図1で用いた符号と同一の符号を付してその説明は省略する。
図2は、本発明の一実施形態(第二例)にかかる水解性パルプ積繊シートを好適に製造する方法を説明するための工程図である。
この第二例では、粉砕部20とバインダー液供給部40との間においては前記第一例のように原料繊維シート2に対する圧縮・押圧部30による圧縮押圧を施していない。図2中、符号7は、粉砕部20とバインダー液供給部40との間において搬送ベルト6上に配される押さえベルトコンベヤである。この第二例では、必要に応じて、乾燥部50における処理後、原料繊維シート2に対する圧縮押圧処理がなされる。また、図2中、符号43はバインダー供給部40において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部であり、符号53は乾燥部50において搬送ベルト6の下に配置されて搬送ベルト6の開口を通して空気を吸引する気流形成部である。
この第二例におけるその余の点は、前記第一例と実質的に同一であるので、このその余の点については図2に図1で用いた符号と同一の符号を付してその説明は省略する。
以上、説明した実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
1 原料シート
1a 粉砕原料
2 原料繊維シート
4 バインダー液
6 搬送ベルト
10 原料シート供給部
20 粉砕部
21 ハウジング
22 粉砕機
23 気流形成部
30 圧縮・押圧部
31 ロール
40 バインダー液供給部
41 バインダー液噴霧装置
50 乾燥部
51 乾燥機
1a 粉砕原料
2 原料繊維シート
4 バインダー液
6 搬送ベルト
10 原料シート供給部
20 粉砕部
21 ハウジング
22 粉砕機
23 気流形成部
30 圧縮・押圧部
31 ロール
40 バインダー液供給部
41 バインダー液噴霧装置
50 乾燥部
51 乾燥機
Claims (15)
- 粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる非湿潤状態の原料繊維シートに対し、水溶性バインダー液を供給するバインダー供給工程と、前記バインダー供給工程の後、前記原料繊維シートを乾燥させる乾燥工程と、を有し、
前記乾燥工程が、前記水溶性バインダー液に含有されるバインダーのガラス転移温度以上融点以下の温度で熱処理することにより行われることを特徴とする、パルプ積繊シートの製造方法。 - 前記バインダー供給工程の前に、圧縮・押圧工程を有する、請求項1に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記バインダー供給工程が、水溶性バインダー液のスプレー噴霧により行われる、請求項1又は請求項2に記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記水溶性バインダー液が、カルボキシメチルセルロースを含み、前記乾燥温度が、120℃〜250℃である、請求項1乃至3のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記水溶性バインダー液が、ポリビニルアルコールを含み、前記乾燥温度が、140℃〜250℃である、請求項1乃至3のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記水溶性バインダー液が、カルボキシセルロール及びポリビニルアルコールを含む混合バインダーであり、前記乾燥温度が、120℃〜250℃である、請求項1乃至3のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記圧縮・押圧工程が、一対の、エンボスロールと平面ロールとを有する圧縮・押圧部により行われる、請求項1乃至6のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 前記乾燥工程の後、更なる圧縮・押圧工程を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載のパルプ積繊シートの製造方法により製造され、バインダーを積繊シートに対して2.0重量%以上15重量%以下含有する、パルプ積繊シート。
- 前記バインダーが、架橋された状態で含有されている、請求項9に記載のパルプ積繊シート。
- 更に、清浄用液体が含浸され、湿潤状態である、請求項9又は10に記載のパルプ積繊シート。
- 前記清浄用液体が、有機溶剤を10〜40重量%、及び、2価の金属塩を2.0重量%〜4.5重量%含有する、請求項11に記載のパルプ積繊シート。
- 前記清浄用液体が、感触改良剤を含有する、請求項11又は12に記載のパルプ積繊シート。
- 前記感触改良剤が、タルク、窒化ホウ素、ポリエチレン、(ジメチコン/ジビニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、及びマイカから選択される紛体の少なくとも1種である、請求項13に記載のパルプ積繊シート。
- 更に、表面シート層を有する、請求項9乃至14のいずれかに記載のパルプ積繊シート。
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JP2015048272A JP2016169442A (ja) | 2015-03-11 | 2015-03-11 | パルプ積繊シートの製造方法、及びそれにより製造されるパルプ積繊シート |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017066543A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 大王製紙株式会社 | 水解性ウェットシートの製造方法 |
JP2018076621A (ja) * | 2016-11-10 | 2018-05-17 | セイコーエプソン株式会社 | シート製造装置 |
JP2019092656A (ja) * | 2017-11-20 | 2019-06-20 | 山田 菊夫 | 清掃用パッド |
CN110587743A (zh) * | 2019-09-18 | 2019-12-20 | 张羽 | 一种刨花板板材制造调湿加工处理方法 |
CN111607907A (zh) * | 2019-02-25 | 2020-09-01 | 山田菊夫 | 具有非水解性的纤维片材及其制造方法 |
-
2015
- 2015-03-11 JP JP2015048272A patent/JP2016169442A/ja active Pending
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