WO2016051994A1

WO2016051994A1 - 繰出装置

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Publication number: WO2016051994A1
Application number: PCT/JP2015/073573
Authority: WO
Inventors: 康治福光; 映明有吉
Original assignee: アグリテクノ矢崎株式会社
Priority date: 2014-09-29
Filing date: 2015-08-21
Publication date: 2016-04-07
Also published as: KR20170054456A; CN106793753B; KR101971637B1; CN106793753A

Abstract

　種子を一定の粒数ずつ正確に、圃場面に点播することができる繰出装置を提供するために、種子ホッパーＨの下部に繰出ロールＡを配置し、該繰出ロールＡの外周面に開口した繰出凹部１内に、該種子ホッパーＨの種子落入口１９からの繰出物を落入させて、該繰出ロールＡを回転させながら、該繰出凹部１の表面に接当させる掻落しブラシ３によりすり切り掻き落とし、種子落下口２０より落下させる繰出装置において、前記繰出凹部１内へ繰出物が落下する種子落入口１９の入口上部に、垂直方向に立設した遮蔽板２を設け、該遮蔽板２の回転方向の後側で、繰出ロールＡが上方へ回転した最上部に、前記掻落しブラシ３を垂直に立設して、繰出ロールＡに接当させた。

Description

繰出装置

　本発明は、一定量の肥料を圃場に散布する施肥機や、苗を育てる播種床に一定量の種子を播く播種機、または、圃場に直接に一定量の種子を播く直播装置において用いる繰出装置に関するものである。

　従来から、施肥機又は播種機の繰出装置において、繰出ロールの外周に繰出凹部を開口し、この繰出凹部に肥料や種子などの繰出物を落入させて、一定以上の繰出物を、掻落しブラシにより掻き落とすという技術は、種々の文献により公知とされているのである。
　例えば、同一出願人による下記の３件の特許文献により開示されている技術の如くである。

特開２００７－０３７４９５号公報特開２０１２－１２０４８３号公報特開２０１４－０３６６０９号公報

　施肥機や播種機は、繰出物を一定の粒数ずつ圃場面に、撒布することを目的としており、該一定の位置における肥料や種子などの繰出物の粒数は、正確に略同数であることが要求されるのである。種子の場合などは粒数に多寡があることが問題となるのである。
　また、繰出物は、そのままの肥料や種子を播く場合もあるが、肥料や種子の外周にコーティング剤をコーティングした繰出物が施肥機又は播種機の繰出装置に供給される場合もあるのである。

　このような場合には、施肥機又は播種機の繰出装置の繰出ロールと掻落しブラシとの間で、強い圧迫力が働いて、コーティングされた繰出物のコーティング剤が破壊されたり剥ぎ取られたりするという不具合もあったのである。
　本発明は、施肥機又は播種機の繰出装置において撒布する際において、１カ所における繰出物の粒数や量が、正確に一定となるようにすることを目的とするものである。
　また、繰出凹部と掻落しブラシとの間で、コーティング部材を破壊したり、剥いだりするのを阻止することを目的とするものである。

　本発明は、種子ホッパー（Ｈ）の下部に繰出ロール（Ａ）を配置し、該繰出ロール（Ａ）の外周面に開口した繰出凹部（１）内に、該種子ホッパー（Ｈ）の繰出物落入口（１９）からの繰出物（Ｓ）を落入させて、該繰出ロール（Ａ）を回転させながら、該繰出凹部（１）の表面に接当させる掻落しブラシ（３）によりすり切り、種子落下口（２０）より落下させる繰出装置において、前記繰出凹部（１）内へ繰出物（Ｓ）が落下する繰出物落入口（１９）の入口上部に、垂直方向に立設した遮蔽板（２）を設け、該遮蔽板（２）の回転方向の後側で、繰出ロール（Ａ）が上方へ回転した最上部に、前記掻落しブラシ（３）を垂直方向に配置したものである。

　本発明は、前記遮蔽板（２）と前記掻落しブラシ（３）との間であって、繰出ロール（Ａ）の外周上方に、繰出ロール（Ａ）の回転により掻落しブラシ（３）の方向へ一定量以上の繰出物（Ｓ）の移動が抑制されるとともに、前記繰出物（Ｓ）の重量が掛からない繰出物自由空間（３１）を構成したものである。

　本発明は、前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）が繰出物落入口（１９）に位置したときの回転方向（Ｇ）の繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）は、前記繰出物落入口（１９）の底板（４）の位置において、該底板（４）に設けられた傾斜角と同一方向とし、該繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）は、前記遮蔽板（２）の下方において、略垂直となる角度としたものである。

　本発明は、前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線上に、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）が位置するものである。

　本発明は、前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線と、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）との成す角度（α）は約２５度としたものである。

　本発明は、前記遮蔽板（２）は、上下方向に位置を調節可能としたものである。

　本発明は、前記掻落しブラシ（３）は、自重により、繰出ロール（Ａ）に向けて押圧させるものである。

　本発明は、前記繰出物落入口（１９）の左右幅を、前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）の左右幅よりも狭い幅として開口したものである。

　本発明は、前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）には、前記繰出凹部（１）の幅より狭くする制限壁部（Ｋ）を繰出ロール（Ａ）の外周に沿って設けたものである。

　本発明は、前記繰出ロール（Ａ）の外周に沿って繰出凹部（１）と同等深さの円周溝（７）を穿設し、該円周溝（７）内に嵌入可能な繰出物移動規制板（６）を、前記制限壁部（Ｋ）の下部に固定し、前記繰出物落入口（１９）の狭くなった幅から落入した繰出物（Ｓ）が、繰出物落入口（１９）の幅以上に、繰出凹部（１）の内部で移動するのを阻止する構造としたものである。

　本発明は、前記繰出物移動規制板（６）は、前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）に設けられるものである。

　本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するものである。
　繰出物落入口（１９）の入口上部に、垂直方向に立設した遮蔽板（２）を設け、該遮蔽板（２）の回転方向の後側で、繰出ロール（Ａ）が上方へ回転した最上部に、前記掻落しブラシ（３）を垂直方向に配置したので、繰出物（Ｓ）が繰出物落入口（１９）から繰出凹部（１）へ落入した後、繰出ロール（Ａ）の回転により余分な繰出物（Ｓ）が上方へ移動することが遮蔽板（２）により制限され、掻落しブラシ（３）の手前において繰出物（Ｓ）が量的に少なくなり、繰出物（Ｓ）が繰出凹部（１）内に入った状態で、掻落しブラシ（３）で余分な繰出物（Ｓ）をすり切る場合に、種子や肥料等の繰出物を押圧することがなく、正確な粒や量を繰り出すことができ、また種子や肥料のコーティング材を破壊したり、削り取ったりすることがなくなったのである。

　前記遮蔽板（２）と前記掻落しブラシ（３）との間であって、繰出ロール（Ａ）の外周上方に、繰出ロール（Ａ）の回転により掻落しブラシ（３）の方向へ一定量以上の繰出物（Ｓ）の移動が抑制されるとともに、前記繰出物（Ｓ）の重量が掛からない繰出物自由空間（３１）を構成したので、該遮蔽板（２）と掻落しブラシ（３）の間の、繰出ロール（Ａ）の外周上においては、種子ホッパー（Ｈ）からの種子や肥料の自重が直接掛からなくなり、繰出物自由空間（３１）では、繰出凹部（１）に嵌入した種子や肥料等の繰出物を押圧することがなく、正確な粒や量を繰り出すことができ、また種子や肥料のコーティング材を破壊したり、削り取ったりすることがなくなったのである。

　繰出凹部（１）が繰出物落入口（１９）に位置したときの回転方向（Ｇ）の後側の側面（１ａ）は、前記繰出物落入口（１９）の底板（４）の位置において、該底板（４）に設けられた傾斜角と同一方向とし、該繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）は、前記遮蔽板（２）の下方において、略垂直となる角度としたので、底板（４）の上の繰出物が、繰出凹部（１）の落入空間（１ｄ）の方向に向かって、底板（４）からの大きな抵抗を受けることなく、スムーズに落入するのである。
　また、該繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）は、前記遮蔽板（２）の下方において、略垂直となる角度としたので、該遮蔽板（２）により遮蔽されている繰出物（Ｓ）が、真っ直ぐに、繰出凹部（１）内にスムーズに落下することが出来るのである。

　前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線上に、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）が位置するので、種子ホッパー（Ｈ）の種子整流部（２７）から繰出物落入口（１９）を通過して繰出凹部（１）内に入る繰出物（Ｓ）の方向を、最も流れ易く、ブリッジの出来ない角度とすることが出来るのである。

　底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線と、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）との成す角度（α）は約２５度としたので、繰出物（Ｓ）が繰出凹部（１）に入りやすくなり、かつ遮蔽板（２）と掻落しブラシ（３）により構成される繰出物自由空間（３１）の大きさを最適とすることが出来るのである。

　前記遮蔽板（２）は、上下方向に位置を調節可能としたので、種子と肥料のように相違する場合や、コーティングしていたり、しなかったりと相違する場合において、遮蔽板（２）の位置を調節することにより、適当な繰出物自由空間（３１）の自由度を調整することが出来るのである。

　前記掻落しブラシ（３）は、自重により、繰出ロール（Ａ）に向けて押圧させるので、従来のように掻落しブラシ（３）により強制的に種子や肥料を掻きとることが無くなったので、種子や肥料のコーティングを剥いだり、種子の発芽率を悪化させることが無くなったのである。

　前記繰出物落入口（１９）の左右幅を、前記繰出凹部（１）の左右幅よりも狭く構成したので、繰出物落入口（１９）から繰出凹部（１）へ落入する場合に、狭い間隙から入り、量的に少なくなり、繰出凹部（１）内に入った状態で、掻落しブラシ（３）ですり切る場合に、種子や肥料等の繰出物を押圧することがなく、正確な粒や量を繰り出すことができ、またコーティング材を破壊したり、削り取ったりすることがなくなったのである。

　前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）には、前記繰出凹部（１）の幅より狭くする制限壁部（Ｋ）を繰出ロール（Ａ）の外周に沿って設けたので、繰出物落入口（１９）の部分を繰出凹部（１）の幅よりも狭く構成することが出来、繰出凹部（１）内に入る繰出物（Ｓ）の量を減少でき、掻落しブラシ（３）ですり切るときの余分な繰出物（Ｓ）も減少できて正確な繰出し量とすることができる。

　前記繰出ロール（Ａ）の外周に沿って繰出凹部（１）と同等深さの円周溝（７）を穿設し、該円周溝（７）内に嵌入可能な繰出物移動規制板（６）を、前記制限壁部（Ｋ）の下部に固定し、前記繰出物落入口（１９）の狭くなった幅から落入した繰出物（Ｓ）が、繰出物落入口（１９）の幅以上に、繰出凹部（１）の内部で移動するのを阻止する構造としたので、突出した繰出物移動規制板（６）が、繰出凹部（１）の内部を落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）に仕切ることが可能となり、繰出物落入口（１９）からの種子や肥料を、落入空間（１ｄ）に止めおいて、掻落しブラシ（３）の下に至ったときに初めて、掻落しブラシ（３）により押圧された繰出物が、余裕空間（１ｃ）の部分に移動し、繰出物の量を正確にし、コーティング材を痛めることが無くなったのである。

　前記繰出物移動規制板（６）は、前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）に設けられるので、繰出凹部（１）が底板（４）の下端の繰出物落入口（１９）の部分に至った場合には、既に、繰出物移動規制板（６）により繰出凹部（１）の内部が、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）に区画され、繰出物（Ｓ）が落入空間（１ｄ）から余裕空間（１ｃ）へと移動することが不可能となり、上記したような効果を発揮することが出来るのである。

歩行型播種機の全体側面図である。繰出装置の繰出ロール（Ａ）を示す側面断面図である。同じく繰出ロール（Ａ）を示す側面断面図である。掻落しブラシ（３）を付勢バネ（３２）により付勢した状態を示す側面断面図である。種子落入口（１９）の幅と繰出凹部（１）の幅の関係を示す図である。図２におけるＤ－Ｄ断面図である。掻落しブラシ（３）と繰出ロール（Ａ）の作用状態を示す側面図である。掻落しブラシ（３）の側面図である。図２におけるＥ矢視図である。掻落しブラシ（３）を自重により配置した状態を示す側面断面図である。従来の播種状態と本発明の繰出装置による播種状態を示す図である。種子移動規制板（６）を表した繰出装置の側面断面図である。繰出装置の全体斜視図である。図１２におけるＪ矢視図である。

　播種機又は施肥機における本発明の繰出装置の実施例の一例として、図１において、歩行型で人力駆動の播種機の繰出装置について説明する。以下、繰出物は種子（Ｓ）とし、繰出物落入口は種子落入口（１９）として説明する。
　本実施例においては、歩行型人力駆動の播種機について技術内容を説明しているが、歩行型以外にトラクタに装着するアタッチメント型や、人力以外にモータ駆動や、エンジン駆動の播種専用機における繰出装置としても使用することが可能である。また、施肥機の繰出装置についても同様の構成とすることが出来るのである。

　歩行型人力駆動の播種機においては、走行押動ハンドル（１２）と基台フレーム（２６）と種子ホッパー（Ｈ）と繰出装置（Ｍ）と、駆動力取出ローラ（２２）と、鎮圧ローラ（２３）と、作溝爪（２４）と、鎮圧板（２５）と、駆動力伝達チエーンケース（２１）等により基本的に構成されている。

　基台フレーム（２６）を機体の前後方向に配置し、該基台フレーム（２６）より斜め上後方へ走行押動ハンドル（１２）を突出している。該走行押動ハンドル（１２）を作業者が押し操作することにより、播種機を前方に移動させると同時に、駆動力取出ローラ（２２）が土壌との摩擦力で回転され、播種機の駆動力を取り出すように構成している。
　該駆動力取出ローラ（２２）が土壌と摩擦することにより取り出される駆動力は、基台フレーム（２６）の前後方向に沿って設置された駆動力伝達チエーンケース（２１）内のチエーンを介して図２に示す繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の回転力として取り出される。

　前記繰出ロール（Ａ）の周囲を、繰出ケース（１４）により被覆して、繰出室を構成し、該繰出室上に、種子を落入させる為の種子ホッパー（Ｈ）が配置される。該種子ホッパー（Ｈ）は、種子貯留部（１６）と種子整流部（２７）と種子落入口（１９）により構成されている。
　該種子貯留部（１６）は、種子（Ｓ）を一定量貯留する部分であり、種子整流部（２７）は、該種子貯留部（１６）から繰出ロール（Ａ）に向う種子（Ｓ）を、一定の方向に向けて整流する部分である。種子落入口（１９）は種子整流部（２７）の下部に繰出ロール（Ａ）に臨むように開口されて、繰出ロール（Ａ）の外周に形成された繰出凹部（１）に種子（Ｓ）が落入する部分である。

　走行押動ハンドル（１２）の側から押す方向が矢印（Ｆ）の進行方向であり、繰出ロール（Ａ）の回転方向（Ｇ）も、上面が矢印（Ｆ）の方向に、図１の側面図において、時計方向回転となっている。
　図２の側面図においては、反対側の側面を図示しており、繰出ロール（Ａ）の回転方向Ｇは反時計方向回転となっている。

　作業者が走行押動ハンドル（１２）を押すことにより、前進し、駆動力取出ローラ（２２）により繰出ロール（Ａ）の駆動力を取り出して、繰出装置（Ｍ）を駆動し、圃場の土壌面に作溝爪（２４）により、播種溝を形成し、該播種溝に一定数の種子（Ｓ）を点状に播種し、その後を、鎮圧板（２５）により押しつけて覆土を行い、覆土された種子（Ｓ）と土壌を、更にその後の鎮圧ローラ（２３）により鎮圧する。

　基台フレーム（２６）から上方へ突出されたＵ字状の保守管理用の把手（２８）を設け、作業車が走行押動ハンドル（１２）と保守管理用の把手（２８）を把持して持ち上げ移動することを可能としている。

　図２から図６において、播種機の繰出装置（Ｍ）の実施例について説明する。
　図２において、種子ホッパー（Ｈ）と種子貯留部（１６）と種子整流部（２７）と繰出物自由空間（３１）について説明する。
　種子ホッパー（Ｈ）は、上部において大量の種子を投入して貯留する種子貯留部（１６）を構成している。該種子貯留部（１６）の下方には、徐々に種子の量を少なくして調整し、種子落入口（１９）に向って落下させる為の種子整流部（２７）を設けている。種子整流部（２７）は、ホッパー前板（８）と遮蔽板（２）と底板（４）と後板とロール室右側板（１７）とロール室左側板（１８）との間で構成している。前記ホッパー前板（８）より下方に遮蔽板（２）を垂下支持して、上下位置調節可能としている。
　また、繰出ロール（Ａ）は繰出ケース（１４）を構成するロール室左側板（１８）とロール室右側板（１７）の間に配置されて、ローラ駆動軸（２９）により軸受支持されている。

　前記遮蔽板（２）の下部は、種子落入口（１９）の前端を構成するものであり、繰出ロール（Ａ）の前後中央（後述する掻落しブラシ（３））と、繰出ロール（Ａ）による搬送上流側端（底板（４）の前端）との間に上下方向に配置され、該遮蔽板（２）の下端は、繰出ロール（Ａ）の上端と上下中央（底板（４）の前端）との間に位置し、遮蔽板（２）の下端と繰出ロール（Ａ）外周面との間には所定の隙間が設けられ、この隙間は遮蔽板（２）を上下調節することで調節可能としている。

　前記種子整流部（２７）においては、上部が種子貯留部（１６）と連通しており、前下部に種子落入口（１９）を設けており、種子貯留部（１６）（種子整流部（２７））内の種子（Ｓ）の重量は、繰出ロール（Ａ）の上面の一部にしかかからないようにしている。
　そして、該種子整流部（２７）の下部には、繰出ロール（Ａ）の軸心（Ｏ）側に下がるように傾斜した底板（４）が配置されている。また、該底板（４）には、残留種子取出蓋（３０）が設けられている。

　該底板（４）は、図２に示すように、繰出ロール（Ａ）（ローラ駆動軸（２９））の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）に対して、上方に角度（α）だけ傾斜している。該角度（α）は、種子（Ｓ）が自然落下する程度の傾斜としており、本実施形態では、角度（α）は、約２５度としている。なお、前記底板（４）の下端と前記遮蔽板（２）の下端との間を種子落入口（１９）としている。

　また、前記底板（４）の下端（前端）から下方には、ロール室下側板（１３）が連続して設けられ、該ロール室下側板（１３）の上下中途部から下方には、繰出ロール（Ａ）の外周との間にロール室下側板空隙（１３ａ）が構成されている。このロール室下側板空隙（１３ａ）は、繰出ロール（Ａ）とロール室下側板（１３）との無用な摩擦を解消するものである。

　図２、図３に示すように、円筒状に構成された繰出ロール（Ａ）の外周囲に一定間隔をおいて繰出凹部（１）が開口されている。該繰出凹部（１）が種子落入口（１９）に位置した状態において、繰出凹部（１）の回転方向（Ｇ）の後側の側面（１ａ）は側面視において前記底板（４）の延長と一致する面としている。つまり、繰出凹部（１）の回転方向の後側の側面（１ａ）の角度は底板（４）の角度と同じとして、種子（Ｓ）が容易に繰出凹部（１）内に落入できるようにしている。

　こうして、前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線上に、繰出ロールのローラ駆動軸の軸心（Ｏ）が位置するので、種子ホッパー（Ｈ）の種子整流部（２７）から種子落入口（１９）を通過して繰出凹部（１）内に入る繰出物（Ｓ）は、最も流れ易い方向となり、ブリッジの出来ない角度とすることが出来るのである。

　前記繰出凹部（１）の回転方向前側の側面（１ｂ）は、繰出凹部（１）に対して、徐々に種子落入口（１９）が大きく開口するように、後側の側面（１ａ）よりも大きな傾斜面を具備させている。
　該前側の側面（１ｂ）の角度は、図３において図示する如く、繰出凹部（１）が種子落入口（１９）に位置した状態において、略垂直となるような角度とし、上方から垂下される遮蔽板（２）の下方に位置するようにしている。このような構成とすることにより、より種子（Ｓ）がスムーズに繰出凹部（１）に落入するのである。

　こうして、前記底板（４）に沿って、種子整流部（２７）内の種子は、繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）に落入してゆくのである。そして、該繰出凹部（１）内に種子（Ｓ）を嵌入した状態で種子繰出ロール（Ａ）が回転するときに、強く押圧されたり、必要以上の密度で押し込まれることのないように、本発明の要部である繰出物自由空間（３１）が種子整流部（２７）の回転方向下手側に構成されている。

　また、該繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）が設けられていることにより、後述するロール面ガイド板（５）の最終端まで回動したときにおいて、種子（Ｓ）が、該前側の側面（１ｂ）の方へ移動して溜まり、その後一気に落下するので、図１１に示すように、種子（Ｓ）が圃場に落下して株となったときの進行方向に対しての長さを短く構成することが出来て、従来と比較して、株の大きさが前後に大きく間延びすることが無くなったのである。
　逆に従来は、前側の側面（１ｂ）の角度が設けられておらず、繰出物（Ｓ）が繰出凹部（１）に押しこめられた状態から落下するので、図１１の従来の図面のように株が前後方向の長さが長く点播されることとなるのである。

　このように、前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）の回転方向（Ｇ）の後側の側面（１ａ）は、前記繰出物落入口の底板（４）に設けられた傾斜角と同一方向としたので、底板（４）の上の繰出物が、繰出凹部（１）の落入空間（１ｄ）の方向に向かって、底板（４）からの大きな抵抗を受けることなく、スムーズに落入するのである。
　そして、前記繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）は、前記遮蔽板（２）の下方において、略垂直となる角度としたので、該遮蔽板（２）により遮蔽されている繰出物（Ｓ）が、真っ直ぐに、繰出凹部（１）内にスムーズに落下することが出来るのである。

　そして更に、前記繰出凹部（１）の内部に投入される種子（Ｓ）の粒数を精度良く一定粒数とし、かつ、該種子（Ｓ）がコーティング種子の場合に、掻落しブラシ（３）との押圧で、コーティング部が破壊されることのないように、ゆったりとした一定の密度で落入されるように構成している。

　その為に、図２の反時計方向への繰出ロール（Ａ）の回転に伴って、繰出凹部（１）に投入される前の種子が、繰出凹部（１）内に無理に押し込められることの無いように、図５、図６、図１３に図示する如く、繰出ロール（Ａ）の外周から種子落入口（１９）側及び繰出物自由空間（３１）側に制限壁部（Ｋ）が繰出ロール（Ａ）の左右幅中央に立設され、制限壁部（Ｋ）を設けることにより、種子落入口（１９）において落入空間（１ｄ）の左右幅（ｂ）は、繰出凹部（１）の左右幅（ａ）よりも小さく構成される。言い換えれば、繰出凹部（１）のローラ駆動軸（２９）の軸心方向の幅である左右幅（ａ）を、種子落入口（１９）のローラ駆動軸（２９）の軸心方向の幅である左右幅（ｂ）よりも広く構成しているのである。

　逆に言えば、繰出凹部（１）の左右幅（ａ）は、繰出ロール（Ａ）の幅のいっぱいに通常の幅としているが、種子落入口（１９）の側の左右幅（ｂ）が、従来技術においては、繰出凹部（１）の左右幅（ａ）と同じかやや大きい幅であるところを、本実施形態では、繰出凹部（１）の左右幅（ａ）よりも、狭い種子落入口（１９）の左右幅（ｂ）としているのである。
　このように構成することにより、図５に図示するように、種子落入口（１９）から繰出凹部（１）の落入空間（１ｄ）に落入する際、種子（Ｓ）は、種子落入口（１９）から落入した後で、種子落入口（１９）の左右幅（ｂ）の幅である落入空間（１ｄ）から、前記掻落しブラシ（３）の下方において、繰出凹部（１）内の左右幅（ａ）の幅の部分である余裕空間（１ｃ）に向けて、左右方向に流れ落ち、種子（Ｓ）は、種子落入口（１９）の側からの押圧力が掛からず、凹部（１）内に広がるようになる。

　以上のように、種子ホッパー（Ｈ）の種子落入口（１９）より、繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）に種子（Ｓ）を落入させた後に、該繰出ロール（Ａ）は上方へ回動し、掻落しブラシ（３）により繰出凹部（１）を溢れた種子（Ｓ）をすり切る構成において、該種子落入口（１９）と掻落しブラシ（３）との間に、該繰出凹部（１）の幅より狭い種子落入口（１９）の幅と同じ幅となるように制限する制限壁部（Ｋ）を繰出ロール（Ａ）の外周に沿って設けて、種子落入口（１９）の左右幅を、前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）の左右幅よりも狭い幅として開口したので、種子落入口（１９）から繰出凹部（１）へ落入する場合には、狭い間隙から広い空間に入るので、繰出凹部（１）内の体積に対して量的に少なくなり、繰出凹部（１）内に入った状態で、掻落しブラシ（３）ですり切る場合に、種子や肥料等の繰出物を押圧することがなく、正確な粒や量を繰り出すことができ、またコーティング材を破壊したり、削り取ったりすることがなくなったのである。

　更に、前記落入空間（１ｄ）にゆったりと落入した種子（Ｓ）に、それ以上の種子（Ｓ）が押圧して落入することの無いように、種子落入口（１９）の回転方向後側の繰出ロール（Ａ）の上方に、前記遮蔽板（２）が設けられる。前記繰出ロール（Ａ）の前後中央の最高位置の上方には掻落しブラシ（３）が設けられており、該掻落しブラシ（３）と遮蔽板（２）との間の繰出ロール（Ａ）の外周上方に、繰出ロール（Ａ）の回転により掻落しブラシ（３）の方向へ一定量以上の種子（Ｓ）が移動することが抑制されるとともに、前記繰出物落入口（１９）に溜まる種子（Ｓ）の重量が掛からないようにする繰出物自由空間（３１）が構成される。

　前記遮蔽板（２）を設けたことにより、種子整流部（２７）の種子落入口（１９）の部分からの押圧力を受けることがなくなり、遮蔽板（２）と掻落しブラシ（３）の間の、繰出ロール（Ａ）の外周に形成された繰出物自由空間（３１）においては、種子ホッパー（Ｈ）からの種子や肥料の自重が直接掛からなくなり、種子や肥料等の繰出物を押圧することがなく、正確な粒や量を繰り出すことができ、また種子や肥料のコーティング材を破壊したり、削り取ったりすることがなくなったのである。
　また、前記遮蔽板（２）の左右中央には上下方向に長孔が設けられて遮蔽板調節螺子（９）で固定され、ホッパー前板（８）に固定するための遮蔽板調節螺子（９）を緩めることにより、上下に微調整が可能としており、種子（Ｓ）の種類や、含水率や、コーティング種子の種類に合わせて、繰出物自由空間（３１）に移動出来る種子（Ｓ）の量を調整可能としている。

　このように、該遮蔽板（２）は上下に位置を調節可能としたので、繰出物整流部（２７）内の繰出物が種子落入口（１９）から繰出凹部（１）と繰出物自由空間（３１）に移動する量を調整して制限することが可能となったので、繰出物の種類や品種により、遮蔽板（２）の位置を調整して、前述の効果を確実に発揮させることが出来るのである。

　前記遮蔽板（２）を設けたことにより、該掻落しブラシ（３）と制限壁部（Ｋ）との間に、繰出物自由空間（３１）を構成することができ、繰出凹部（１）内に落入した種子（Ｓ）に対して、それ以上の種子（Ｓ）が押し込まれることのないようにして、種子（Ｓ）への圧力を解除した自由の空間としているのである。
　そして、次の段階で、掻落しブラシ（３）により、繰出凹部（１）の表面を擦るときに、種子（Ｓ）が落入空間（１ｄ）から余裕空間（１ｃ）に自由に移動可能としているのである。

　前記掻落しブラシ（３）は、従来、繰出凹部（１）内に山盛りとなった種子（Ｓ）の、余剰の部分の種子（Ｓ）を、無理矢理に、削り取って、粒数の調整や、種子（Ｓ）の量の調整を行っていたのである。
　しかし、本発明において、繰出凹部（１）内の種子（Ｓ）に圧力を掛けずに、粒数を正確に一定にし、コーティング種子の皮膜を削りとることの無いように、掻落しブラシ（３）の押圧力が種子（Ｓ）に直接に強く掛からないように、落入空間（１ｄ）から余裕空間（１ｃ）に逃げることが出来るように構成しているのである。

　また、前記繰出物自由空間（３１）が構成され、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）が構成されることにより、種子（Ｓ）に対する掻落しブラシ（３）の押圧力が制限されて、種子の粒数を正確に一定数とし、またコーティング種子を傷めないという本発明の効果が発揮されるのである。

　次に、制限壁部（Ｋ）に続いて、種子移動規制板（６）と円周溝（７）を付設した構成について、図１２、図１３、図１４より説明する。
　本実施例においては、繰出凹部（１）内の落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）との間の、種子（Ｓ）の自由状態をより確実に得ることが出来るように、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）を別室に隔離することが出来るように、種子移動規制板（６）を設けているのである。

　該種子移動規制板（６）は、繰出ロール（Ａ）の外周の全周にわたり穿設した円周溝（７）内に嵌入した状態で、該繰出ロール（Ａ）が回転できるような厚さとしている。
　該円周溝（７）は、繰出ロール（Ａ）の左右幅中央で全周に穿設された溝である。円周溝（７）の深さは繰出凹部（１）の深さと同程度に構成している。

　種子移動規制板（６）は、種子ホッパー（Ｈ）の種子落入口（１９）から繰出物自由空間（３１）まで配置され、前記制限壁部（Ｋ）の下部に固定される円弧状の長板で構成される。該種子移動規制板（６）がこの間において、繰出凹部（１）を、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）の間で完全に隔壁された空間として作用しているのである。

　該種子移動規制板（６）が、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）を隔離している状態が図１４に図示されており、この種子移動規制板（６）の存在する通過軌跡の間においては、種子（Ｓ）は落入空間（１ｄ）から余裕空間（１ｃ）に移動が不可能とされているのである。

　そして、該種子移動規制板（６）の無くなる位置である、掻落しブラシ（３）の直前において、図９に示す如く、落入空間（１ｄ）と余裕空間（１ｃ）が連通することにより、落入空間（１ｄ）内の種子（Ｓ）が、余裕空間（１ｃ）に移動可能となり、該繰出凹部（１）の空間の容積が増加することにより、掻落しブラシ（３）からの圧力が、種子（Ｓ）の表面に強く作用することが無くなるのである。

　また、掻落しブラシ（３）は、図２と図７から図１０に図示されているように構成されている。
　即ち、図７から図９においては、掻落しブラシ（３）と繰出ロール（Ａ）の外周との関係が開示されている。掻落しブラシ（３）は上部が掻落しブラシ基部（３ａ）に固定され、図７、図８に示すように、側面視において、掻落しブラシ（３）の下端は繰出ロール（Ａ）の外周に正確に沿うように、繰出ロール（Ａ）の外周に沿った円弧状に形成され、図９に図示するように、繰出ロール（Ａ）の回転方向Ｇから見た場合には、繰出ロール（Ａ）の外周面に沿うように直線状に構成されている。

　掻落しブラシ（３）の回転方向の幅は、図７に示すように、繰出ロール（Ａ）の外周に形成された繰出凹部（１）の回転方向の幅よりも十分に大きく構成し、掻落しブラシ（３）の左右幅は、図９に示すように、繰出凹部（１）の左右幅よりも大きく構成している。これにより、該掻落しブラシ（３）は繰出凹部（１）の上面を確実に閉塞可能な構成とし、繰出ロール（Ａ）の回転時に掻落しブラシ（３）で種子（Ｓ）を掻き出したり、余分な種子（Ｓ）が入り込まないようにしている。

　繰出しケース（１４）の上部中央にはブラシ調節孔（１１）が上下方向に開口され、該掻落しブラシ調節孔（１１）内に掻落しブラシ（３）が挿入されて、蓋体（３３）で閉じられる。該掻落しブラシ（３）上部の掻落しブラシ基部（３ａ）の上面には、ネジ孔が下方に向かって形成されて掻落しブラシ調節螺子（１０）が螺装されて蓋体（３３）に支持される。該掻落しブラシ調節螺子（１０）を回転し調整することにより、掻落しブラシ（３）の先端位置を上下方向に微調整することを可能としている。

　また、図４に図示する如く、掻落しブラシ調節孔（１１）の内部に付勢バネ（３２）を収納し、蓋体（３３）と掻落しブラシ基部（３ａ）との間に付勢バネ（３２）を介装し、該付勢バネ（３２）により掻落しブラシ（３）を繰出ロール（Ａ）に向けて付勢することにより、種子（Ｓ）からの押圧力がある場合には、掻落しブラシ（３）が逃げることが可能となるように構成することもできる。

　また、図３に示すように、掻落しブラシ（３）に種子（Ｓ）に向けて大きな押圧力が掛からないように、掻落しブラシ（３）の自重で、繰出ロール（Ａ）に接当する構成とすることもできる。また、図１０に示すように、掻落しブラシ基部（３ａ）の上面に掻落しブラシ調節螺子（１０）の下端が当接するように構成し、種子（Ｓ）に対する押圧力は、掻落しブラシ（３）の自重により決定されるようにし、掻落しブラシ基部（３ａ）の上端の位置を決定するだけとし、掻落しブラシ（３）の浮き上がりを防止することもできる。また、掻落しブラシ調節螺子（１０）を少し締め付けて、掻落しブラシ（３）を繰出ロール（Ａ）に少し押し付けてすり切りを確実に行うように構成することもできる。
　このように、掻落しブラシ（３）の繰出ロール（Ａ）への押圧力を弱めたり強めたりできるように構成とすることにより、種子（Ｓ）の種類やコーティングの種類に合わせて傷めることのないようにする効果を得ることが出来るのである。

　図１３においては、本発明の繰出装置（Ｍ）の全体的な斜視図を図示しており、遮蔽板（２）や掻落しブラシ（３）や底板（４）等の組立を容易にし、かつコンパクトな構成とすることが可能となっているのである。

　本発明は、種子ホッパー（Ｈ）の下部に繰出ロール（Ａ）を配置し、該繰出ロール（Ａ）の外周面に開口した繰出凹部（１）内に、該種子ホッパー（Ｈ）の種子落入口（１９）からの繰出物となる種子（Ｓ）を落入させて、該繰出ロール（Ａ）を回転させながら、該繰出凹部（１）の表面に接当させる掻落しブラシ（３）によりすり切り、種子落下口（２０）より落下させる繰出装置（Ｍ）において、前記繰出凹部（１）内へ繰出物が落下する種子落入口（１９）の入口上部に、垂直方向に立設した遮蔽板（２）を設け、該遮蔽板（２）の回転方向の後側で、繰出ロール（Ａ）が上方へ回転した最上部に、前記掻落しブラシ（３）を垂直に立設したので、該繰出凹部（１）の内部において、種子（Ｓ）がフリーな状態で、後からの種子（Ｓ）の自重により押圧されることが無くなり、また掻落しブラシ（３）と繰出ロール（Ａ）の間の摩擦力により、種子（Ｓ）が押圧力を受けることが無くなるのである。

　これにより、繰出装置の種子（Ｓ）の繰出種子数を一定に正確に維持することが可能となったのである。
　また、種子（Ｓ）がコーティング種子の場合において、掻落しブラシ（３）により種子（Ｓ）のコーティング面に押圧摩擦力を掛けて、コーティング種子を破壊したり、傷付けたりすることが無くなったのである。

　また、図２に示すように、前記掻落しブラシ（３）から繰出ロール（Ａ）の回転方向Ｇの後側には、繰出ロール（Ａ）の円弧に沿うように、ロール面ガイド板（５）が付設されている。このロール面ガイド板（５）を繰出ロール（Ａ）の外周面に沿わせて配置することにより、繰出ロール（Ａ）の回転時に繰出凹部（１）内の種子（Ｓ）が保持され、早めに種子落下口（２０）に落下するのを阻止している。

　ロール面ガイド板（５）は繰出ロール（Ａ）の外周と同心円の円弧状に構成され、図４に示すように、前記掻落しブラシ（３）の直後におけるロール面ガイド板（５）の始端部には、上方に開くガイド面（５ａ）が構成され、繰出ロール（Ａ）回転時に、繰出凹部（１）内の種子（Ｓ）が掻落しブラシ（３）からロール面ガイド板（５）へスムーズに移動できるようにしている。
　該ガイド面（５ａ）は、円弧状に構成することも出来るし、徐々に狭くなる傾斜状に構成しても良いのである。

　また、ロール面ガイド板（５）の上部は枢支部（５ｂ）により繰出しケース（１４）に枢支して、ロール面ガイド板（５）と繰出ロール（Ａ）により保持されている種子（Ｓ）に無理な押圧力が掛からないようにし、種子（Ｓ）への押圧力が強力な場合には、逃げ回動を可能としている。また、ロール面ガイド板（５）はスポンジ等の弾性体により構成して軽量化を図り、このスポンジによっても、種子（Ｓ）の押圧力を逃がすことを可能とし、ロール面ガイド板（５）の内面側（繰出ロール（Ａ）側）は摩擦抵抗が小さい部材で構成し、コーティングが剥がれないようにしている。

　前記繰出ロール（Ａ）の軸心部にはローラ駆動軸（２９）を具備し、図１において、駆動力取出ローラ（２２）の回転が駆動力伝達チエーンケース（２１）を介してローラ駆動軸（２９）に伝えられて駆動される。ローラ駆動軸（２９）の中心が軸心（Ｏ）である。
　図２において、前記ロール面ガイド板（５）は、掻落しブラシ（３）の後面から下方の種子落下口（２０）まで延設されており、ロール面ガイド板（５）の下端は、ローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）に対して、角度（β）だけ下方に回転した位置としている。該角度（β）は、本実施形態では約３０度に構成している。該ローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）から一定角度（β）だけ下方に回転して繰出凹部（１）が位置すると、繰出凹部（１）内の種子（Ｓ）は自由に落下することが許容され、繰出ロール（Ａ）の回転による遠心力も加わり、種子（Ｓ）は種子落下口（２０）の中央方向に落下する。

　図１１においては、本発明の繰出装置による種子や肥料を落下した場合の状態と、従来の繰出装置による落下した状態の相違点を示している。
　本発明においては、繰出ロール（Ａ）に設けた繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）が、広がる方向に傾斜して構成されているので、繰出ロール（Ａ）が回転して、最終的にロール面ガイド板（５）から外れて、繰出凹部（１）内の種子（Ｓ）が落下する場合に、繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）部分に種子（Ｓ）が集まって、一気に落下するので、図１１の「本機構」に示すように、進行方向に対して、短い方向に並んで落下するのである。

　従来の繰出装置の場合には、進行方向に長く「株長」が出来上がるので、株と株の間を明確に開けることが出来ないこととなり、風や空気が株間を通過し難くなって、水稲の分けつを阻害することとなるのである。
　本発明の場合には、株間を確実に得ることが出来るので、水稲の分けつが良くなるのである。
　また、田植後における草取りの車両を通過させるのに十分な株間を構成することが出来るので、これによっても稲作の草取りも有利に進めることが可能となるのである。
　なお、本実施例においては、播種機の種子について説明したが、施肥機の肥料についても同様の効果を奏するものである。

　本発明は、種子ホッパーから一定量の肥料を繰出し圃場に散布する施肥機や、苗を育てる播種床に種子ホッパーから一定量の種子を繰出して播く播種機や、種子ホッパーから一定量の種子を繰出して圃場に直接播く直播装置に用いる繰出装置に利用可能である。

Ａ　繰出ロール
Ｈ　種子ホッパー
１　繰出凹部
１ａ　後側の側面
１ｂ　前側の側面
１ｃ　余裕空間
１ｄ　落入空間
２　遮蔽板
３　掻落しブラシ
３ａ　掻落しブラシ基部
４　底板
５　ロール面ガイド板
９　　遮蔽板調節螺子
１０　掻落しブラシ調節螺子
１１　掻落しブラシ調節孔
１２　走行押動ハンドル
１３　ロール室下側板
１３ａ　ロール室下側板空隙
１４　繰出ケース
１６　種子貯留部
１７　ロール室右側板
１８　ロール室左側板
１９　種子落入口
２０　種子落下口
２１　駆動力伝達チエーンケース
２２　駆動力取出ローラ
２３　鎮圧ローラ
２４　作溝爪
２５　鎮圧板
２６　基台フレーム
２７　種子整流部
２８　保守管理用の把手
２９　ローラ駆動軸
３０　残留種子取出蓋
３１　繰出物自由空間
α　角度
　

Claims

　種子ホッパー（Ｈ）の下部に繰出ロール（Ａ）を配置し、該繰出ロール（Ａ）の外周面に開口した繰出凹部（１）内に、該種子ホッパー（Ｈ）の繰出物落入口（１９）からの繰出物（Ｓ）を落入させて、該繰出ロール（Ａ）を回転させながら、該繰出凹部（１）の表面に接当させる掻落しブラシ（３）によりすり切り、種子落下口（２０）より落下させる繰出装置において、
　前記繰出凹部（１）内へ繰出物（Ｓ）が落下する繰出物落入口（１９）の入口上部に、垂直方向に立設した遮蔽板（２）を設け、該遮蔽板（２）の回転方向の後側で、繰出ロール（Ａ）が上方へ回転した最上部に、前記掻落しブラシ（３）を垂直方向に配置したことを特徴とする繰出装置。
　請求項１記載の繰出装置において、
　前記遮蔽板（２）と前記掻落しブラシ（３）との間であって、繰出ロール（Ａ）の外周上方に、繰出ロール（Ａ）の回転により掻落しブラシ（３）の方向へ一定量以上の繰出物（Ｓ）の移動が抑制されるとともに、前記繰出物（Ｓ）の重量が掛からない繰出物自由空間（３１）を構成したことを特徴とする繰出装置。
　請求項１記載の繰出装置において、
　前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）が繰出物落入口（１９）に位置したときの回転方向（Ｇ）の繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）は、前記繰出物落入口（１９）の底板（４）の位置において、該底板（４）に設けられた傾斜角と同一方向とし、該繰出凹部（１）の前側の側面（１ｂ）は、前記遮蔽板（２）の下方において、略垂直となる角度としたことを特徴とする繰出装置。
　請求項３記載の繰出装置において、
　前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線上に、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）が位置することを特徴とする繰出装置。
　請求項４記載の繰出装置において、
　前記底板（４）と、繰出凹部（１）の後側の側面（１ａ）の延長線と、前記繰出ロール（Ａ）のローラ駆動軸（２９）の軸心（Ｏ）を通過する水平線（Ｌ）との成す角度（α）は約２５度としたことを特徴とする繰出装置。
　請求項１記載の繰出装置において、
　前記遮蔽板（２）は、上下方向に位置を調節可能としたことを特徴とする繰出装置。
　請求項１記載の繰出装置において、
　前記掻落しブラシ（３）は、自重により、繰出ロール（Ａ）に向けて押圧させることを特徴とする繰出装置。
　請求項１記載の繰出装置において、
　前記繰出物落入口（１９）の左右幅を、前記繰出ロール（Ａ）の繰出凹部（１）の左右幅よりも狭い幅として開口したことを特徴とする繰出装置。
　請求項２記載の繰出装置において、
　前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）には、前記繰出凹部（１）の幅より狭くする制限壁部（Ｋ）を繰出ロール（Ａ）の外周に沿って設けたことを特徴とする繰出装置。
　請求項８または請求項９記載の繰出装置において、
　前記繰出ロール（Ａ）の外周に沿って繰出凹部（１）と同等深さの円周溝（７）を穿設し、該円周溝（７）内に嵌入可能な繰出物移動規制板（６）を、前記制限壁部（Ｋ）の下部に固定し、前記繰出物落入口（１９）の狭くなった幅から落入した繰出物（Ｓ）が、繰出物落入口（１９）の幅以上に、繰出凹部（１）の内部で移動するのを阻止する構造としたことを特徴とする繰出装置。
　請求項１０記載の繰出装置において、
　前記繰出物移動規制板（６）は、前記繰出物落入口（１９）と前記繰出物自由空間（３１）に設けられることを特徴とする繰出装置。