JP6481176B2 - 繰出装置 - Google Patents

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本発明は、一定量の肥料を圃場に散布する施肥機や、苗を育てる播種床に一定量の種子を播いたり、または圃場に直接に一定量の種子を播く直播き行う直播装置において用いる繰出装置に関するものである。
従来、施肥機又は播種機の繰出装置において、種子繰出ロールの外周に繰出凹部を開口し、該繰出凹部に肥料や種子などの繰出物を落入させて、一定以上の繰出物を、掻落しブラシにより掻き落とすという技術は、種々の文献により公知とされている。例えば、同一出願人による下記の3件の特許文献により開示されている技術の如くである。
特開2007−037495号公報 特開2012−120483号公報 特開2014−036609号公報
施肥機や播種機は、繰出物を一定の粒数ずつ圃場面に、撒布することを目的としており、該一定の位置における肥料や種子などの繰出物の粒数は、精密に略同数であることが要求される。種子の場合などは粒数に多寡があることが問題となる。また、繰出物は、そのままの肥料や種子を播く場合もあるが、肥料や種子の外周に鉄系等のコーティング剤をコーティングした繰出物が施肥機又は播種機の繰出装置に供給される場合もある。
このような場合には、施肥機又は播種機の繰出装置の繰出ロールと掻落しブラシとの間で、強い圧迫力が働いて、コーティングされた繰出物のコーティング剤が破壊されたり剥ぎ取られたりするという不具合もある。本発明は、施肥機又は播種機の繰出装置において撒布する際において、1カ所における繰出物の粒数や量が、精密に一定となるようにすることを目的とする。また、繰出凹部と掻落しブラシとの間で、コーティング部材を破壊したり、剥いだりするのを阻止することを目的とする。
請求項1においては、ホッパー(H)の下部に、繰出ロール(A)を配置し、前記繰出ロール(A)の外周面に開口した繰出凹部(1)内に、前記ホッパー(H)の種子落入口(19)からの繰出物(S)を落入させて、前記繰出ロール(A)を回転させながら、前記繰出凹部(1)の表面に接当させる掻落しブラシ(3)により掻き落とし、種子落下口(20)より落下させる繰出装置において、前記種子落入口(19)の左右幅を、前記繰出凹部(1)の左右幅よりも狭く構成し、前記繰出凹部(1)内を貫通して通過する円周溝(7)を穿設し、前記円周溝(7)内に嵌入可能な繰出物移動規制板(6)を、前記ホッパー(H)の側から突設して固定し、前記種子落入口(19)の狭くなった幅から落入した繰出物(S)が、種子落入口(19)の幅以上に、繰出凹部(1)の内部で移動するのを阻止する構造としたものである。
請求項2においては、請求項1記載の繰出装置において、前記ホッパー(H)の種子落入口(19)より、繰出ロールの繰出凹部に繰出物を落入させた後に、前記繰出ロールは、上方へ回動し、前記種子落入口(19)と掻落しブラシ(3)との間に、前記繰出凹部(1)の幅より狭い繰出物落入口となるように制限する制限壁部(K)を設け、前記制限壁部(K)を繰出ロール(A)の外周において、繰出凹部(1)の左右方向の途中部まで突設したものである。
請求項3においては、請求項記載の繰出装置において、前記繰出物移動規制板(6)は、前記ホッパーの底板の延長線よりも一定角度(γ)だけ下方の位置から、前記掻落しブラシ(3)の始端部まで至る角度間において、前記制限壁部(K)に沿って付設されるものである。
請求項4においては、請求項2または請求項3記載の繰出装置において、前記種子落入口(19)の繰出物(S)が、前記種子落入口(19)から掻落しブラシ(3)の方向へ一定以上の量が移動するのを阻止する遮蔽板(2)を設け、前記遮蔽板(2)と掻落しブラシ(3)と前記制限壁部(K)との間に、繰出物自由空間(31)を構成したものである。
請求項5においては、請求項4記載の繰出装置において、前記遮蔽板(2)は上下に位置を調節可能としたものである。
請求項6においては、請求項1記載の繰出装置において、前記掻落しブラシ(3)より後方の、回転する繰出ロール(A)の後面に、前記繰出凹部(1)からの繰出物の落下を阻止するロール面ガイド板(5)を設けたものである。
請求項7においては、請求項1記載の繰出装置において、前記掻落しブラシ(3)は、自重により、又は付勢バネ(32)の付勢力により、繰出ロール(A)の外周に押圧され、繰出部外周板(14)の外側から押圧力を調節可能としたものである。
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するものである。
請求項1においては、ホッパー(H)の下部に、繰出ロール(A)を配置し、前記繰出ロール(A)の外周面に開口した繰出凹部(1)内に、ホッパー(H)の種子落入口(19)からの繰出物(S)を落入させて、前記繰出ロール(A)を回転させながら、前記繰出凹部(1)の表面に接当させる掻落しブラシ(3)により掻き落とし、種子落下口(20)より落下させる繰出装置において、前記種子落入口(19)の左右幅を、前記繰出凹部(1)の左右幅よりも狭く構成し、前記繰出凹部(1)内を貫通して通過する円周溝(7)を穿設し、前記円周溝(7)内に嵌入可能な繰出物移動規制板(6)を、前記ホッパー(H)の側から突設して固定し、種子落入口(19)の狭くなった幅から落入した繰出物(S)が、種子落入口(19)の幅以上に、繰出凹部(1)の内部で移動するのを阻止する構造としたので、前記突出した繰出物移動規制板(6)が、繰出凹部(1)の内部を落入空間(1d)と余裕空間(1c)に仕切ることが可能となり、種子落入口(19)からの種子や肥料を、落入空間(1d)に止めおいて、掻落しブラシ(3)の下に至ったときに初めて、掻落しブラシ(3)により押圧された繰出物が、余裕空間(1c)の部分に移動するので、繰出物の量を正確にし、コーティング材を痛めることがなくなった。
請求項1においては、請求項1記載の繰出装置において、前記ホッパー(H)の種子落入口(19)より、繰出ロールの繰出凹部に繰出物を落入させた後に、前記繰出ロールは、上方へ回動し、前記種子落入口(19)と掻落しブラシ(3)との間に、前記繰出凹部(1)の幅より狭い繰出物落入口となるように制限する制限壁部(K)を設け、前記制限壁部(K)を繰出ロール(A)の外周において、繰出凹部(1)の左右方向の途中部まで突設したので、請求項1の効果を確実に発揮することができる。
請求項3においては、請求項記載の繰出装置において、前記繰出物移動規制板(6)は、前記ホッパー(H)の底板(4)の延長線よりも一定角度(γ)だけ下方の位置から、前記掻落しブラシ(3)の始端部まで至る角度間に配置されるので、繰出凹部(1)が底板(4)の下端の種子落入口(19)の部分に至った場合には、既に、繰出物移動規制板(6)により繰出凹部(1)の内部が、落入空間(1d)と余裕空間(1c)に区画されているので、繰出物(S)が落入空間(1d)から余裕空間(1c)へと移動することが不可能となり、上記したような効果を発揮することができる。
請求項4においては、請求項2または請求項3記載の繰出装置において、前記種子落入口(19)の繰出物(S)が、前記種子落入口(19)から掻落しブラシ(3)の方向へ一定以上の量が移動するのを阻止する遮蔽板(2)を設け、前記遮蔽板(2)と掻落しブラシ(3)と前記制限壁部(K)との間に、繰出物自由空間(31)を構成したので、遮蔽板(2)より、繰出物が繰出物自由空間(31)へ入るのを阻止することができ、前記繰出物自由空間(31)の内部においては、繰出物が、種子ホッパー(H)からの繰出物の重みで押圧することがなく、フリーな繰出物の状態を維持できる。これにより、前記した効果を確実に発揮することができる。
請求項5においては、請求項4記載の繰出装置において、前記遮蔽板(2)は上下に位置を調節可能としたので、繰出物整流部(27)内の繰出物が種子落入口(19)から繰出凹部(1)と繰出物自由空間(31)に移動する量を調整して制限することが可能となったので、繰出物の種類や品種により、遮蔽板(2)の位置を調整して、前述の効果を確実に発揮させることができる。
請求項6においては、請求項1記載の繰出装置において、前記掻落しブラシ(3)より後方の、回転する繰出ロール(A)の後面に、前記繰出凹部(1)からの繰出物の落下を阻止するロール面ガイド板(5)を設けたので、掻落しブラシ(3)により掻き落とされた後の、繰出凹部(1)内の繰出物を、ロール面ガイド板(5)により確実に保持して、種子落下口(20)まで搬送することが可能となった。
請求項7においては、請求項1記載の繰出装置において、前記掻落しブラシ(3)は、自重により、又は付勢バネ(32)の付勢力により、繰出ロール(A)の外周に押圧され、繰出部外周板(14)の外側から押圧力を調節可能としたので、繰出凹部(1)内の繰出物に対する掻落しブラシ(3)の押圧力を外部から調節して、前述の効果をより確実に発揮させることができる。
また、自重により、押圧力を小さくしたり、付勢バネ(32)により、繰出物(S)からの反力に応じた押圧力とすることが可能となった。
本発明の繰出装置を、歩行型播種機に組み込んだ状態の全体側面図である。 本発明の播種機の繰出装置の種子繰出ロール(A)に円周溝(7)を設け、種子ホッパー(H)の側に種子移動規制板(6)が設けられた繰出装置の側面断面図である。 図2における種子繰出ロール(A)と繰出凹部(1)と制限壁部(K)と繰出物移動規制板(6)の部分を示す平面断面図である。 図2と図6におけるC−C線の部分の種子繰出ロール(A)の繰出凹部(1)のと繰出物移動規制板(6)と円周溝(7)の部分の断面図である。 図2におけるD−D線の部分の種子繰出ロール(A)の繰出凹部(1)と繰出物移動規制板(6)と円周溝(7)の部分の断面図である。 繰出物移動規制板(6)の先端と、底板(4)の先端との位置関係を示す側面断面図である。 本発明の繰出物移動規制板(6)と制限壁部(K)と遮蔽板(2)が設けられた繰出装置の全体斜視図で、繰出凹部(1)に繰出物(S)が入っていない状態の斜視図である。 図7における種子繰出ロール(A)と繰出凹部(1)と制限壁部(K)と繰出物移動規制板(6)において、繰出凹部(1)に繰出物(S)が入っている状態の斜視図である。 繰出凹部(1)内において、繰出物(S)が落入空間(1d)のみに入った状態に規制された状態の断面図で、図2におけるC−C線の部分の種子繰出ロール(A)の繰出凹部(1)の部分の断面図である。 図2におけるD−D線の部分の種子繰出ロール(A)の繰出凹部(1)の部分ンの断面図であり、落入空間(1d)と余裕空間(1c)の両方に繰出物(S)が散在している状態を示す断面図である。 掻落しブラシ(3)と種子繰出ロール(A)の作用状態の側面図である。 掻落しブラシ(3)の側面図である。 掻落しブラシ(3)の正面図である。 本発明による点播状態と従来の繰出装置により点播状態を比較した図面である。
図1において、本発明の播種機又は施肥機の繰出装置の実施例の一例として図示した、歩行型で人力駆動の播種機について説明する。本実施例は播種機の場合であるので繰出物として種子(S)について説明する。故に、播種機における実施例であるから、繰出物落入口(19)が種子落入部(19)となる。本実施例においては、歩行型人力駆動の播種機について技術内容を説明しているが、歩行型以外にトラクタに装着するアタッチメント型や、人力以外にモータ駆動や、エンジン駆動の播種専用機における繰出装置としても使用することが可能である。また、施肥機の繰出装置についても同様に使用することができるのである。
歩行型人力駆動の播種機においては、走行押動ハンドル(12)と基台フレーム(26)と種子貯留部(16)と繰出装置と、駆動力取出ローラ(22)と鎮圧ローラ(23)と作溝爪(24)と鎮圧板(25)と駆動力伝達チエーンケース(21)等により基本的に構成されている。
基台フレーム(26)を機体の前後方向に配置し、該基台フレーム(26)より後方へ走行押動ハンドル(12)を突出している。該走行押動ハンドル(12)を作業者が押し操作することにより、播種機を前方に移動させると同時に、土壌との摩擦力で駆動力取出ローラ(22)により、播種機の駆動力を取り出すように構成している。該駆動力取出ローラ(22)が土壌と摩擦することにより取りだした駆動力は、基台フレーム(26)の前後方向に沿って設置された駆動力伝達チエーンケース(21)を介して、チエーンにより種子繰出ロール(A)のローラ駆動軸(29)の回転力として取り出される。
前記種子繰出ロール(A)の周囲を、ロール室を構成する側板などにより繰出室を構成し、該繰出室に、種子を落入させる為の種子ホッパー(H)が上部に配置されている。該種子ホッパー(H)は、種子貯留部(16)と種子整流部(27)と種子落入口(19)により空間が構成されている。該種子貯留部(16)は、種子を一定量貯留する部分であり、種子整流部(27)は、該種子貯留部(16)から種子繰出ロール(A)に向う種子を、一定の方向に向けて整流する部分である。
走行押動ハンドル(12)の側から押す方向が矢印(F)の進行方向であり、種子繰出ロール(A)の回転方向Gも、上面が矢印(F)の方向に、図1の側面図において、時計方向回転となっている。図2の側面図においては、反対側の側面を図示しており、種子繰出ロール(A)の回転方向Gは反時計方向回転となっている。作業者が走行押動ハンドル(12)を押すことにより、前進し、駆動力取出ローラ(22)により種子繰出ロール(A)の駆動力を取り出して、繰出装置を駆動し、圃場の土壌面に作溝爪(24)により、播種溝を形成し、該播種溝に一定数の種子を点状に播種し、その後を、鎮圧板(25)により押しつけて覆土を行い、覆土された種子と土壌を、更にその後の鎮圧ローラ(23)により鎮圧する。
基台フレーム(26)から上方へ突出されたU字状の保守管理用の把手(28)を設け、作業車が走行押動ハンドル(12)と保守管理用の把手(28)を把持して持ち上げ移動することが可能としている。
図2から図6の第一実施例において、制限壁部(K)と種子移動規制板(6)と円周溝(7)が設置されている「播種機の繰出装置」の実施例について説明する。図1において、種子ホッパー(H)と種子貯留部(16)と種子整流部(27)と種子自由空間(31)について説明する。種子ホッパー(H)は、上部において大量の種子を投入して貯留する種子貯留部(16)を構成している。該種子貯留部(16)の下方には、徐々に種子の量を少なくして調整し、種子落入口(19)に向って落下させる為の、種子整流部(27)を構成している。
前記種子整流部(27)においては、種子貯留部(16)と連通しており、種子貯留部(16)の内の種子の重量が、種子整流部(27)内の種子にある程度は掛かっている。そして、該種子整流部(27)の下部は傾斜した底板(4)が配置されており、該底板(4)には、残留種子取出蓋(30)が設けられている。
前記底板(4)は、図2におけるように水平線(L)に対して、上方に一定角度だけ傾斜している。該一定角度は、種子繰出ロール(A)の周囲に一定間隔をおいて開口された繰出凹部(1)の後側の側面(1a)の角度と同じ角度としている。
前記底板(4)に沿って、種子整流部(27)内の種子は、種子繰出ロール(A)の繰出凹部(1)に落入してゆくのであるが、該繰出凹部(1)内において、強く押圧されたり必要以上の密度で押し込まれたりすることのないように、本発明の要部が構成されている。該繰出凹部(1)の前側の側面(1b)は、繰出凹部(1)に対して、徐々に種子落入口(19)が開口するように、後側の側面(1a)よりも大きな傾斜面を具備させている。この前側の側面(1b)の角度により、図14に示すように、繰出凹部(1)から繰出物(S)が出る場合において、前側の側面(1b)の側に繰出物(S)が移動して集まってから一気に落下することができるので、従来の繰出装置の場合よりも、前後に短い株を構成することができる。逆に従来は、前側の側面(1b)の角度が設けられておらず、繰出物(S)が繰出凹部(1)に押しこめられた状態から落下するので、図14の従来の図面のように株が前後方向の長さが長く点播されることとなる。
本発明の要部は、繰出凹部(1)の内部に投入される種子の粒数を精度良く一定粒数とし、かつ該種子がコーティング種子の場合には、掻落しブラシ(3)との押圧で、コーティング部が破壊されることのないように、ゆったりとした一定の密度で落入されるように構成するものである。該掻落しブラシ(3)は、円形の繰出ロール(A)の最上部に、垂直に接当するように位置させている。
その為に、図2の反時計方向への種子繰出ロール(A)の回転に伴って、繰出凹部(1)に投入される前の種子が、繰出凹部(1)内に無理に押し込められることのないように、図4に図示する如く、繰出凹部(1)のローラ駆動軸(29)の軸心方向の幅である左右幅(a)を、種子落入口(19)のローラ駆動軸(29)の軸心方向の幅である左右幅(b)よりも広く構成しているのである。図4と図5と図6に図示するように、繰出ロール(A)は、繰出ケースを構成するロール室右側板(17)とロール室左側板(18)により、ローラ駆動軸(29)が軸受支持されて、配置されている。
逆に言えば、繰出凹部(1)の左右幅(a)は、種子繰出ロール(A)の幅のいっぱいに通常の幅としているが、種子落入口(19)の側の左右幅(b)が、従来技術においては、繰出凹部(1)の左右幅(a)と同じかやや大きい幅であるところを、繰出凹部(1)の左右幅(a)よりも、狭い種子落入口(19)の左右幅(b)としている。
このように構成することにより、図7に図示するように、種子落入口(19)から繰出凹部(1)に、落入空間(1d)から落入する際の種子(S)に種子落入口(19)の側からの押圧力が掛からないようにし、種子落入口(19)から落入した後で、掻落しブラシ(3)の下方において、掻落しブラシ(3)により押圧した時に初めて、種子落入口(19)の左右幅(b)の幅から、繰出凹部(1)内の左右幅(a)の幅の部分である、余裕空間(1c)に向けて、落入空間(1d)から左右方向に種子(S)が移動可能としているのである。該種子落入口(19)の落入空間(1d)の左右幅(b)を、繰出凹部(1)の左右幅(a)よりも小さく構成する為に、種子落入口(19)の側に制限壁部(K)を立設されている。
更に、前記落入空間(1d)と余裕空間(1c)にゆったりと落入した種子(S)に、それ以上の種子(S)が押圧して落入することのないように、種子落入口(19)の種子繰出ロール(A)の上方に、ホッパー(H)のホッパー前板(8)から垂直方向に垂下した遮蔽板(2)が設けられている。該遮蔽板(2)を設けることにより、種子整流部(27)の種子落入口(19)の部分からの押圧力を受けない、種子自由空間(31)を、遮蔽板(2)と制限壁部(K)と掻落しブラシ(3)との間に構成している。該遮蔽板(2)の下端は、遮蔽板調節螺子(9)を緩めることにより、上下に微調整が可能としており、種子(S)の種類や、含水率や、コーティングの有無により、種子自由空間(31)の空間に移動できる種子(S)の量を調整可能としている。
前記遮蔽板(2)を設けたことにより掻落しブラシ(3)と制限壁部(K)との間に、種子自由空間(31)を構成することにより、繰出凹部(1)内に落入した種子(S)に対して、それ以上の種子(S)が押し込まれることのないように、種子(S)への圧力を解除した自由の空間としている。そして、次の段階で、掻落しブラシ(3)により、繰出凹部(1)の表面を削った場合にも、種子(S)が落入空間(1d)から余裕空間(1c)に自由に移動可能としている。
前記掻落しブラシ(3)は、従来は、繰出凹部(1)内に山盛りとなった種子(S)の、余剰の部分の種子(S)を、無理矢理に、削り取って、粒数の調整や、種子(S)の量の調整を行っていたのであるが、本発明において、繰出凹部(1)内の種子(S)に圧力をかけずに、粒数を精密に一定にし、コーティング種子の皮膜を削りとることのないように、掻落しブラシ(3)の押圧力が種子(S)に直接に強く掛からないように、落入空間(1d)から余裕空間(1c)に逃げることができるように構成したものである。
前記種子自由空間(31)が構成されていることにより、また落入空間(1d)と余裕空間(1c)を構成することができて、種子(S)に対する掻落しブラシ(3)の押圧力が制限されて、種子の粒数を精密に一定数とし、またコーティング種子を傷めないという本発明の効果が発揮される。
また、掻落しブラシ(3)は図11から図13に図示されているように、掻落しブラシ基部(3a)と掻落しブラシ(3)の本体の部分を具備しており、種子ホッパー(H)の側に構成された掻落しブラシ調節孔(11)内に、該掻落しブラシ基部(3a)の部分が挿入されて、上部に設けた掻落しブラシ調節螺子(10)を回転し調整することにより、掻落しブラシ(3)の先端位置を微調整することを可能としている。また、該掻落しブラシ(3)の繰出ロール(A)の外周における接当部の幅は、繰出凹部(1)の円周方向の幅より十分に大きく構成している。これにより、確実に掻落しブラシ(3)が繰出凹部(1)を閉塞するように構成している。
また、図6に図示する如く、掻落しブラシ調節孔(11)の内部に付勢バネ(32)を介装し、該付勢バネ(32)により掻落しブラシ(3)を繰出ロール(A)に向けて付勢することにより、種子(S)からの押圧力がある場合には、掻落しブラシ(3)が逃げることが可能となるように構成している。また、掻落しブラシ(3)は、自重で繰出ロール(A)に接当するように構成することも可能である。その際、掻落しブラシ調節螺子(10)は、掻落しブラシ(3)の最上位の位置を制限するのみの構成となる。このように、掻落しブラシ(3)の繰出ロール(A)への押圧力を弱めた構成とすることにより、種子(S)を傷めることのないようにする効果を得ることができる。
また、前記掻落しブラシ(3)から、種子繰出ロール(A)の回転方向Gの後側の繰出部外周板(14)内には、種子繰出ロール(A)の円弧に沿うように、ロール面ガイド板(5)が付設されている。このロール面ガイド板(5)と種子繰出ロール(A)とにより、繰出凹部(1)内の種子(S)が、早めに種子落下口(20)に落下するのを阻止している。
前記ロール面ガイド板(5)は、掻落しブラシ(3)の後面から、繰出ロール(A)の軸心(O)を通過する水平線(L)に対して一定角度だけ下方の位置まで延設されている。該水平線から一定角度だけ下方において、繰出凹部(1)内の種子(S)は自由に落下が許容されるのである。図2において、種子繰出ロール(A)は、駆動力取出ローラ(22)の回転を伝える駆動力伝達チエーンケース(21)からの動力により駆動されるローラ駆動軸(29)を具備している。ローラ駆動軸(29)の中心が軸心(O)である。
また、底板(4)に繋がるロール室下側板(13)を設け、該ロール室下側板(13)と種子繰出ロール(A)との間には、ロール室下側板空隙(13a)が構成されている。このロール室下側板空隙(13a)は、種子繰出ロール(A)とロール室下側板(13)との無用な摩擦を解消するものである。
次に、制限壁部(K)に続いて、種子移動規制板(6)と円周溝(7)を付設した構成について説明する。該実施例においては、繰出凹部(1)内の落入空間(1d)と余裕空間(1c)との間の、種子(S)の自由状態をより確実に得ることができるように、落入空間(1d)と余裕空間(1c)を別室に隔離することができるように、種子移動規制板(6)を設けている。
該種子移動規制板(6)は、種子繰出ロール(A)の外周の全周にわたり穿設した円周溝(7)内に嵌入した状態で、該繰出ロール(A)が回転できるような厚さとしている。該円周溝(7)は、種子繰出ロール(A)の全周に穿設された溝であるが、種子移動規制板(6)は、種子ホッパー(H)の種子落入口(19)の部分のみに固定された円弧状の長板である。
前記種子移動規制板(6)の長さは、図7において図示されている如く、該繰出凹部(1)の後側の側面(1a)の部分が、種子落入口(19)に開口する前の角度(γ)の位置から、掻落しブラシ(3)の直前までの間の角度に固設されている。該種子移動規制板(6)がこの間の通過角度において、繰出凹部(1)を、落入空間(1d)と余裕空間(1c)の間が、繰出物移動規制板(6)により完全に隔壁された空間として作用している。
前記種子移動規制板(6)が、落入空間(1d)と余裕空間(1c)を隔離している状態が図9に図示されており、この種子移動規制板(6)の存在する通過軌跡の間においては、種子(S)は落入空間(1d)から余裕空間(1c)に移動が不可能とされている。そして、該種子移動規制板(6)のなくなる位置である、掻落しブラシ(3)の直前において、図10に示す如く、落入空間(1d)と余裕空間(1c)が連通することにより、落入空間(1d)内の種子(S)が、余裕空間(1c)に移動可能となり、該繰出凹部(1)の空間の容積が増加することにより、掻落しブラシ(3)からの圧力が、種子(S)の表面に強く作用することがなくなる。
図11から図13においては、掻落しブラシ(3)と種子繰出ロール(A)の外周との関係構成が開示されている。該掻落しブラシ(3)は、種子繰出ロール(A)の外周に正確に沿うように、図11の如く側面視で種子繰出ロール(A)に沿った円弧状に構成し、図12に図示するように、種子繰出ロール(A)の回転方向Gから見た場合には、種子繰出ロール(A)の外周面に沿うように直線状に構成されている。
本発明は、ホッパー(H)の下部に、繰出ロール(A)を配置し、該繰出ロール(A)の円周面に開口した繰出凹部(1)内に、ホッパー(H)の種子落入口(19)からの繰出物(S)を落入させて、該繰出ロール(A)を回転させながら、前記繰出凹部(1)の表面に接当させる掻落しブラシ(3)により掻き落とし、種子落下口(20)より落下させる繰出装置において、前記種子落入口(19)の左右幅を、前記繰出凹部(1)の左右幅よりも狭く構成し、前記繰出凹部(1)内を貫通して通過する円周溝(7)を穿設し、該円周溝(7)内に嵌入可能な繰出物移動規制板(6)を、該ホッパー(H)の側から突設して固定し、該種子落入口(19)の狭くなった幅から落入した繰出物(S)が、種子落入口(19)の幅以上に、繰出凹部(1)の内部で移動するのを阻止する構造としたので、該繰出凹部(1)の内部において、種子(S)がフリーな状態で、後からの種子(S)の自重により押圧されることがなくなり、また掻落しブラシ(3)と種子繰出ロール(A)の間の摩擦力により、種子(S)が押圧力を受けることがなくなる。
これにより、繰出装置の種子(S)の繰出種子数を一定に正確に維持することが可能となったのである。また、種子(S)がコーティング種子の場合において、掻落しブラシ(3)により種子(S)のコーティング面に押圧摩擦力を掛けて、コーティング種子を破壊したり、傷付けたりすることがなくなった。本実施例においては、播種機の種子について説明したが、施肥機の肥料についても同様の効果を奏する。
A 種子繰出ロール
K 制限壁部
H 種子ホッパー
1 繰出凹部
1a 繰出凹部の後側の側面
1b 繰出凹部の前側の側面
1c 余裕空間
1d 落入空間
2 遮蔽板
3 掻落しブラシ
3a 掻落しブラシ基部
4 底板
5 ロール面ガイド板
6 繰出物移動規制板
7 円周溝
8 ホッパー前板
9 遮蔽板調節螺子
10 掻落しブラシ調節螺子
11 掻落しブラシ調節孔
12 走行押動ハンドル
13 ロール室下側板
13a ロール室下側板空隙
14 繰出部外周板
16 種子貯留部
17 ロール室右側板
18 ロール室左側板
19 種子落入口
20 種子落下口
21 駆動力伝達チエーンケース
22 駆動力取出ローラ
23 鎮圧ローラ
24 作溝爪
25 鎮圧板
26 基台フレーム
27 種子整流部
28 保守管理用の把手
29 ローラ駆動軸
30 残留種子取出蓋
γ 角度

Claims (7)

  1. ホッパー(H)の下部に、繰出ロール(A)を配置し、前記繰出ロール(A)の外周面に開口した繰出凹部(1)内に、前記ホッパー(H)の種子落入口(19)からの繰出物(S)を落入させて、前記繰出ロール(A)を回転させながら、前記繰出凹部(1)の表面に接当させる掻落しブラシ(3)により掻き落とし、種子落下口(20)より落下させる繰出装置において、
    前記種子落入口(19)の左右幅を、前記繰出凹部(1)の左右幅よりも狭く構成し、
    前記繰出凹部(1)内を貫通して通過する円周溝(7)を穿設し、前記円周溝(7)内に嵌入可能な繰出物移動規制板(6)を、前記ホッパー(H)の側から突設して固定し、
    前記種子落入口(19)の狭くなった幅から落入した繰出物(S)が、種子落入口(19)の幅以上に、繰出凹部(1)の内部で移動するのを阻止する構造とした
    ことを特徴とする繰出装置。
  2. 請求項1記載の繰出装置において、
    前記ホッパー(H)の種子落入口(19)より、前記繰出ロール(A)の繰出凹部(1)に繰出物(S)を落入させた後に、前記繰出ロールは上方へ回動し、前記種子落入口(19)と掻落しブラシ(3)との間に、前記繰出凹部(1)の幅より狭い繰出物落入口となるように制限する制限壁部(K)を設け、前記制限壁部(K)を繰出ロール(A)の外周において、繰出凹部(1)の左右方向の途中部まで突設した
    ことを特徴とする繰出装置。
  3. 請求項記載の繰出装置において、
    前記繰出物移動規制板(6)は、前記ホッパーの底板(4)の延長線よりも一定角度(γ)だけ下方の位置から、前記掻落しブラシ(3)の始端部まで至る角度間において、前記制限壁部(K)に沿って付設される
    ことを特徴とする繰出装置。
  4. 請求項2または請求項3記載の繰出装置において、
    前記種子落入口(19)の繰出物(S)が、前記種子落入口(19)から掻落しブラシ(3)の方向へ一定以上の量が移動するのを阻止する遮蔽板(2)を設け、前記遮蔽板(2)と掻落しブラシ(3)と前記制限壁部(K)との間に、繰出物自由空間(31)を構成した
    ことを特徴とする繰出装置。
  5. 請求項4記載の繰出装置において、
    前記遮蔽板(2)の下端は、上下に位置を調節可能とした
    ことを特徴とする繰出装置。
  6. 請求項1記載の繰出装置において、
    前記掻落しブラシ(3)より後方の、回転する繰出ロール(A)の後面に、前記繰出凹部(1)からの繰出物の落下を阻止するロール面ガイド板(5)を設けた
    ことを特徴とする繰出装置。
  7. 請求項1記載の繰出装置において、
    前記掻落しブラシ(3)は、自重により、又は付勢バネ(32)の付勢力により、繰出ロール(A)の外周に押圧され、繰出部外周板(14)の外側から押圧力を調節可能とした
    ことを特徴とする繰出装置。
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