WO2016021654A1

WO2016021654A1 - コイル製造装置及びコイル製造方法

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Publication number: WO2016021654A1
Application number: PCT/JP2015/072270
Authority: WO
Inventors: 佐藤　孝幸; 孝之黒澤
Original assignee: 日特エンジニアリング株式会社
Priority date: 2014-08-08
Filing date: 2015-08-05
Publication date: 2016-02-11
Also published as: US20170229946A1; DE112015003677T5; US10797571B2; CN106663995B; CN106663995A; JP6315808B2; JP2016039719A

Abstract

　巻芯２１を回転させて巻芯２１に線材１３を巻回してコイル１０を製造するコイル製造装置２０は、巻芯２１に巻回された線材１３を浮遊させる凹部２５が巻芯１３に形成され、凹部２５において浮遊する線材１３を束ねる束線装置７０が設けられる。

Description

コイル製造装置及びコイル製造方法

　本発明は、三相交流発電機等の回転電機におけるステータに用いられるコイルの製造に適したコイル製造装置及びコイル製造方法に関する。

　従来、回転電機のステータは、放射状に並んで内径方向に突出する複数のティース（磁極）と、その間に開口する複数のスロットを有する円筒状のステータコアと、そのスロットにコイル辺部を納めることによりそのステータコアに組付けられたステータコイルと、を備える。

　このステータコイルの組付けに関しては、ステータコイルをステータコアと別に予め製造し、インサータ装置を用いて、このコイルをコアの各スロットに組付けるいわゆるインサータ方法が知られている（例えば、ＪＰ２００１－５１３３２０Ａ参照。）。

　一方、近年では、省エネのため効率の良い回転電機が市場から求められている。このため、一般にステータコアのスロット内に装着されるコイルの密度、すなわち占積率を向上させることで回転電機の効率の向上が図られている。

　このように占積率を向上させるために、予めスロット外でスロットの断面に応じた断面の束に整列巻きされたコイルを、その形状を保持した状態でスロットの幅と同じ幅の開口側から半径方向に挿入して装着することが提案されている（例えば、ＪＰ１０－２７１７３３Ａ参照。）。

　しかし、スロット外でスロットの断面に応じた断面の束に整列巻きされたコイルを得ても、スロットに挿入されるまでコイル辺部の形状を維持できなければ、コイル辺部をスロットに挿入することが困難になる不具合が生じる。

　コイル辺部の形状の維持のために、上記ＪＰ１０－２７１７３３Ａでは、このようなコイルを形成する線材として、その最外層に融着層が形成されたいわゆる自己融着性線材を用い、コイル辺部を形成する線材の束を相互に接着して、その形状を維持させている。

　けれども、自己融着性線材にあっては、巻線に際して、加熱によりその融着を解消させる必要がある。この加熱方法として、コイルの抵抗を利用した通電方法や、加熱炉内にコイルを通すことが行われる。このため、自己融着線を巻線する従来のコイル製造装置では、線材の融着を解消させるための通電設備や加熱設備が必要になり、コイル製造装置自体が大型化する不具合があった。

　また、コイルを構成する線材が比較的太くなると、その弾性が高まる。線材の弾性力が、自己融着による接着力を超えると、製造されたコイルのコイル辺部における線材の一部が他の線材から剥離して、コイル辺部の形状が維持されないおそれもある。

　本発明の目的は、装置を大型化させること無く、線材が比較的太くても得られたコイルの形状を確実に維持し得るコイル製造装置及びコイル製造方法を提供することにある。

　本発明のある態様によれば、巻芯を回転させて前記巻芯に線材を巻回してコイルを製造するコイル製造装置において、巻芯に巻回された線材を浮遊させる凹部が巻芯に形成され、凹部において浮遊する線材を束ねる束線装置が設けられる。

　本発明のある態様によれば、巻芯を回転させて巻芯に線材を巻回してコイルを製造するコイル製造方法において、巻芯に巻回された線材を浮遊させる凹部を巻芯に形成し、巻芯の周囲に線材を巻回した後に前記凹部において浮遊する前記線材を束ねる束線工程が行われる。

図１は、本実施形態のコイル製造装置を示す平面図である。図２は、図１のＡ－Ａ線矢視図である。図３は、巻芯を示す斜視図である。図４は、図１のＢ－Ｂ線矢視図である。図５は、図２のＣ－Ｃ線矢視図である。図６は、図２のＤ－Ｄ線矢視図である。図７は、巻初めの線材を折り曲げる状態を示す斜視図である。図８は、折り曲げられた巻初めの線材を巻芯に係止させる状態を示す斜視図である。図９は、巻芯を回転させて線材を巻回させた状態を示す斜視図である。図１０は、巻芯の凹部において浮遊する線材に粘着テープを貼り付ける状態を示す図９のＥ－Ｅ線矢視図である。図１１は、巻初めの線材を真っ直ぐにする状態を示す斜視図である。図１２は、巻芯から得られたコイルを取り外す状態を示す斜視図である。図１３は、得られたコイルの一対のコイル辺部を治具の保持溝に挿入する状態を示す斜視図である。図１４は、治具の各保持溝に押圧治具のプッシャを挿入する状態を示す斜視図である。図１５は、複数のコイルがスロットに挿入されて得られたステータの斜視図である。

　以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。

　図１２は、本実施形態により得られるコイル１０を示す。コイル１０は、三相交流発電機等の回転電機におけるステータに用いられるものである。コイル１０は、巻回された線材１３から成るコイル本体１１と、コイル本体１１の形状を維持するために貼り付けられた所定長さの粘着テープ１２と、を備える。コイル本体１１は、図示しないステータコアのスロットに挿入される一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂと、そのスロットに挿入されずにステータコアの端面から突出するコイルエンド部１１ｃ，１１ｄと、を有する。一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂは、装着予定のステータコアにおけるスロットの長さよりそれぞれ長く形成される。コイルエンド部１１ｃ，１１ｄは、一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂの端縁を連結するように形成される。

　この実施形態におけるコイルエンド部１１ｃ，１１ｄは、所定の角度で交差する山形に形成される。コイル本体１１は、比較的太い複数の線材１３を巻回することにより得られる。所定長さの粘着テープ１２は、得られたコイル本体１１の形状を維持するために、複数の箇所に貼り付けられる。

　コイル１０を製造する本実施形態のコイル製造装置２０を図１に示す。互いに直交するＸ、Ｙ、Ｚの３軸を設定し、Ｘ軸が略水平前後方向、Ｙ軸が略水平横方向、Ｚ軸が略垂直方向に延びるものとする。以下に、コイル製造装置２０の構成を説明する。

　本実施形態のコイル製造装置２０は、巻芯２１を回転させて、その巻芯２１の周囲に線材１３を巻回するものであり、回転可能に設けられた巻芯２１を備える。巻芯２１は、線材１３が巻回される巻胴部２２と、巻胴部２２の一方の端部に設けられた固定側フランジ部２３と、巻胴部２２の他方の端部に設けられた可動側フランジ部２４と、を備える。

　図３及び図１２に示すように、巻胴部２２は、外形がコイル本体１１の内周形状を成すように形成される。図１２に示すように、コイル本体１１のコイルエンド部１１ｃ，１１ｄは、山形に形成されるので、コイル本体１１の内周形状を成す巻胴部２２の外形は、六角形に形成される。

　可動側フランジ部２４の中央には、巻胴部２２の外形より僅かに大きな形状を有する孔２４ａが形成される。外形が六角形を成す巻胴部２２は、孔２４ａに挿入されるとともに、可動側フランジ部２４から出没可能に構成される。

　図１及び図２に示すように、可動側フランジ部２４は、可動側モータ２６の回転軸２６ａに同軸に取付けられる。可動側モータ２６は可動板２７に取付けられる。

　装置用架台２０ａの水平な上面には、支持板２８が水平横方向（Ｙ軸方向）に延びて立設される。支持板２８には、直線運動軸受け２９が、上下方向（Ｚ軸方向）に所定の間隔をあけて、その軸心が水平横方向になるように取り付けられる。直線運動軸受け２９には、ロッド３１が横方向に自由に往復移動可能に挿通される。ロッド３１の突出端には、可動板２７が取付けられる。

　一対のロッド３１の基端側には雌ねじ板３２が取付けられ、雌ねじ板３２には水平横方向に延びる雄ねじ３３が螺合するように設けられる。支持板２８には雄ねじ３３を回転させる移動用モータ３４が取付けられる。移動用モータ３４により雄ねじ３３が回転すると、雌ねじ板３２が水平横方向に移動する。雌ねじ板３２が移動するとロッド３１を介して可動板２７が移動し、可動板２７に設けられた可動側モータ２６が可動側フランジ部２４とともに水平横方向（Ｙ軸方向）に移動する。

　可動側モータ２６は、その回転軸２６ａの中心軸上に貫通孔２６ｂ（図１０）が形成される。可動側モータ２６が取付けられる可動板２７には、流体圧シリンダ３６が取付けられる（図２）。図２及び図１０に示すように、流体圧シリンダ３６の出没ロッド３６ａは、貫通孔２６ｂを貫通して先端が巻胴部２２に取付けられる。

　流体圧シリンダ３６は、出没ロッド３６ａを突出させることにより、図３に示すように、巻胴部２２を可動側フランジ部２４から突出させ、出没ロッド３６ａを没入させることにより、図１２に示すように、可動側フランジ部２４に巻胴部２２を没入させるように構成される。

　図１及び図２に戻って、固定側モータ３７は、可動側モータ２６が取付けられた可動板２７から水平横方向に離間し、かつ、その回転軸３７ａが可動側モータ２６の回転軸２６ａと同軸に装置用架台２０ａに取付けられる。固定側モータ３７は、装置用架台２０ａに取付部材３８を介して取り付けられる。固定側フランジ部２３は、固定側モータ３７の回転軸３７ａと同軸に設けられる。

　このような巻芯２１は、巻胴部２２を可動側フランジ部２４から突出させた状態で可動側フランジ部２４を移動させて、巻胴部２２の突出端である巻胴部２２の一方の端部を固定側フランジ部２３に当接させることができるように構成される。また、巻芯２１は、可動側モータ２６と固定側モータ３７とを同期回転させることにより、回転するように構成される。

　図１に示すように、本実施形態のコイル製造装置２０には、回転する巻芯２１に巻回させる線材１３を繰り出す線材繰出機５０が設けられる。線材繰出機５０は、線材１３が挿通されるノズル５１と、ノズル５１を３軸方向に移動させるノズル移動機構５２と、を備える。

　本実施形態では、５本の線材１３によってコイルを製造する(図７参照)。線材繰出機５０には、線材１３が挿通されるノズル５１が５本準備され、５本のノズル５１は互いに平行に直線上に並べられて円柱状のノズル台５３に取付けられる。ノズル台５３は枢支板５４に回転可能に設けられる。ノズル移動機構５２は、枢支板５４を装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動できるように構成される。

　ノズル移動機構５２は、Ｘ軸、Ｙ軸、及びＺ軸方向伸縮アクチュエータ５６～５８の組み合わせにより構成される。各伸縮アクチュエータ５６～５８は、細長い箱形のハウジング５６ｄ～５８ｄと、ハウジング５６ｄ～５８ｄ内部に長手方向に伸びて設けられサーボモータ５６ａ～５８ａによって回転駆動されるボールネジ５６ｂ～５８ｂと、ボールネジ５６ｂ～５８ｂに螺合して平行移動する従動子５６ｃ～５８ｃと、によって構成される。

　各伸縮アクチュエータ５６～５８は、サーボモータ５６ａ～５８ａが駆動してボールネジ５６ｂ～５８ｂが回転すると、ボールネジ５６ｂ～５８ｂに螺合する従動子５６ｃ～５８ｃがハウジング５６ｄ～５８ｄの長手方向に沿って移動するように構成される。

　この実施形態では、ノズル５１が設けられる枢支板５５を、Ｘ軸方向に移動可能にＸ軸方向伸縮アクチュエータ５６のハウジング５６ｄに取付け、Ｘ軸方向伸縮アクチュエータ５６とともにその枢支板５５をＺ軸方向に移動可能に、Ｘ軸方向伸縮アクチュエータ５６の従動子５６ｃがＺ軸方向伸縮アクチュエータ５７の従動子５７ｃに取付けられる。

　また、そのＸ軸及びＺ軸方向伸縮アクチュエータ５６，５７とともにその枢支板５５をＹ軸方向に移動可能に、Ｚ軸方向伸縮アクチュエータ５７のハウジング５７ｄがＹ軸方向伸縮アクチュエータ５８の従動子５８ｃに取付けられる。

　Ｙ軸方向伸縮アクチュエータ５８のハウジング５８ｄは、Ｙ軸方向に伸びて装置用架台２０ａに固定される。各伸縮アクチュエータ５６～５８における各サーボモータ５６ａ～５８ａは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。

　枢支板５４には、ノズル台５３を回転させるサーボモータ６１が取付けられる。ノズル台５３及びサーボモータ６１の回転軸６１ａには、それぞれプーリ６２ａ，６２ｂが設けられ、プーリ６２ａ，６２ｂにはベルト６２ｃが架設される。サーボモータ６１が駆動してその回転軸６１ａが回転すると、ベルト６２ｃを介してその回転がノズル台５３に伝達され、ノズル台５３を５本のノズル５１とともに回転させる。

　図３に詳しく示すように、巻芯２１には、巻回された線材１３をその一部において浮遊させる凹部２５が形成される。線材１３の浮遊とは、線材１３の一部が他の部材に接触していない状態を意味するものである。

　巻芯２１は、巻胴部２２と、固定側フランジ部２３と、可動側フランジ部２４と、を備える。線材１３を浮遊させる凹部２５は、巻胴部２２と固定側フランジ部２３と可動側フランジ部２４の外周の一部において軸方向に連続する様にそれぞれに形成された切り欠き２２ｂ，２３ｂ，２４ｂから成る。切り欠き２２ｂ，２３ｂ，２４ｂによって連続した単一の凹部２５が形成される。この実施形態では、凹部２５は、一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂのそれぞれにおいて３カ所浮遊されるように形成される。つまり、合計で６カ所の凹部２５が巻芯２１に形成される。

　固定側フランジ部２３には、巻初めの線材１３を係止させるための係止溝２３ｃが形成される(図３参照)。巻胴部２２の係止溝２３ｃに対応する位置には、係止溝２３ｃに係止された線材１３を巻胴部２２の周囲に導くための導入用切り欠き２２ｃが形成される。

　図３に示すように、固定側モータ３７の回転軸３７ａには、係止溝２３ｃに挿入された巻初めの線材１３を係止溝２３ｃに押さえておく押さえ機構４０が設けられる。図１に示すように、押さえ機構４０は、回転軸３７ａの半径方向に延びて回転軸３７ａに基端が枢支された揺動片４１と、回転軸３７ａの中心に軸方向に移動可能に設けられたロッド４２と、取付部材３８に取付けられてロッド４２を往復移動可能に構成された流体圧シリンダ４３と、ロッド４２の先端と揺動片４１を連結する連結片４４と、を有する。

　図３に示すように、揺動片４１の先端には、係止溝２３ｃに進入して係止溝２３ｃに挿入された巻初めの線材１３を押さえる押さえ部４１ａが形成される。連結片４４は、一端がロッド４２の先端に枢支され、他端が揺動片４１の中間に枢支される。このため、流体圧シリンダ４３によりロッド４２が往復移動すると、連結片４４を介してロッド４２が連結された揺動片４１は、基端を中心に揺動して、押さえ部４１ａが線材１３を押さえる図８の一点鎖線で示す押さえ位置と、押さえ部４１ａが係止溝２３ｃから離脱する図８の実線で示す離脱位置と、の間で揺動可能に構成される。

　図１に戻って、コイル製造装置２０には、巻芯２１における凹部２５において浮遊する線材１３を束ねる束線装置として、所定長さの粘着テープ１２を貼り付けるテーピング装置７０が設けられる。テーピング装置７０は、所定長さの粘着テープ１２を供給するテープ供給機構７１を備える。

　図４に示すように、粘着テープ１２は所定の幅ｗ（図９）の長尺のものが粘着面を内側にして心材１２ａに巻回された状態で準備される。テープ供給機構７１は、粘着テープ１２が巻回された心材１２ａが嵌入される支持軸７２と、そこから巻解かれた粘着テープ１２を引き回す複数の引き回しプーリ７３ａ～７３ｄと、巻解かれた粘着テープ１２が通過する挿通部材７４と、を備える。

　図１に示すように、支持軸７２と、引き回しプーリ７３ａ～７３ｄと、挿通部材７４とは、装置用架台２０ａにＹ軸方向に延びて立設された鉛直板７６の片面からＸ軸方向に向かって突出して設けられる。挿通部材７４を通過した粘着テープ１２は、粘着面を下面に向けてＹ軸方向に延びて繰り出される。

　鉛直板７６は支柱７０ａを介して装置用架台２０ａに取付けられる。鉛直板７６には、挿通部材７４の手前における粘着テープ１２の繰り出しを停止させる押さえ用流体圧シリンダ７７と、挿通部材７４を通過した粘着テープ１２を切断する切断用流体圧シリンダ７８と、が設けられる。押さえ用流体圧シリンダ７７には、流体の給排により出没するロッド７７ａが設けられる。ロッド７７ａの突出端には、粘着テープ１２を挿通部材７４に押しつけてその移動を禁止する押さえ部材７７ｂが設けられる。

　切断用流体圧シリンダ７８は、流体の給排によりＺ軸方向に移動する移動片７８ａが設けられる。移動片７８ａに粘着テープ１２を切断可能な切断刃７８ｂが取付けられる。移動片７８ａが切断刃７８ｂとともに下降すると、切断刃７８ｂの下端が挿通部材７４を通過した粘着テープ１２に接触して粘着テープ１２を切断する。移動片７８ａが切断刃７８ｂとともに上昇すると、切断刃７８ｂの下端は挿通部材７４を通過した粘着テープ１２から離間する。これにより、粘着テープ１２を引き出すことが可能に成る。

　テープ供給機構７１は、挿通部材７４を通過した粘着テープ１２の端部を挟持可能な挟持部材７９と、挟持部材７９を挿通部材７４から離間させて粘着テープ１２を引き出す引き出し用流体圧シリンダ８０と、をさらに備える。挟持部材７９は流体の給排により開閉する一対の挟持片７９ａ，７９ｂを有する。引き出し用流体圧シリンダ８０は、本体８０ａが鉛直板７６に設けられる。流体の給排によりＹ軸方向に出没するロッド８０ｂの突出端には、取付片８０ｃを介して挟持部材７９が取付けられる。

　一対の挟持片７９ａ，７９ｂを開いた状態で挟持部材７９を挿通部材７４に近づけ、挿通部材７４から突出する粘着テープ１２の突出端を一対の挟持片７９ａ，７９ｂの間に進入させる。この状態で一対の挟持片７９ａ，７９ｂを閉じて粘着テープ１２の端部をその一対の挟持片７９ａ，７９ｂにより挟持させる。その後、押さえ用流体圧シリンダ７７のロッド７７ａを没入させて押さえ部材７７ｂを粘着テープ１２から離間させる。

　そして、引き出し用流体圧シリンダ８０のロッド８０ｂを突出させて、粘着テープ１２の端部を挟持した挟持部材７９を挿通部材７４から引き離す。このようにして、粘着テープ１２を所定の長さ引き出すことができる。

　テーピング装置７０は、テープ供給機構７１が供給する所定長さの粘着テープ１２の両側における背面を吸着する一対の吸着片８１，８２と、一対の吸着片８１，８２を移動させて巻芯２１の凹部２５において浮遊する線材１３を一対の吸着片８１，８２の間に通過可能な吸着片移動機構８４（図１）と、一対の吸着片８１，８２を接近させる接近機構８３（図１）と、を更に備える。

　所定長さの粘着テープ１２の両側における背面を吸着する一対の吸着片８１，８２は、接近機構としての流体圧シリンダ８３により、互いの距離を接近又は離間可能に構成される。離間させた一対の吸着片８１，８２を移動させて、吸着片８１，８２の下面に所定の長さ引き出された粘着テープ１２を接触させて吸着し、その状態で押さえ用流体圧シリンダ７７のロッド７７ａを突出させて押さえ部材７７ｂにより挿通部材７４手前の粘着テープ１２の移動を禁止させる。

　そして、テーピング装置７０は、切断刃７８ｂを下降させて挿通部材７４を通過した粘着テープ１２を切断することにより、一対の吸着片８１，８２に吸着された所定の長さの粘着テープ１２を独立させる。

　図１に示すように、接近機構である流体圧シリンダ８３は、吸着片移動機構８４を介して装置用架台２０ａに取付けられる。吸着片移動機構８４は、Ｘ軸、Ｙ軸、及びＺ軸方向伸縮アクチュエータ８５～８７の組み合わせにより構成される。Ｘ軸方向伸縮アクチュエータ８７のハウジング８７ｄは、装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能に構成される。吸着片移動機構８４の詳細は、前述したノズル移動機構５２と同一構造であるので、繰り返しての説明は省略する。

　装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能なＸ軸方向伸縮アクチュエータ８７のハウジング８７ｄには取付板８８が取付けられる。取付板８８には、接近機構である流体圧シリンダ８３が可動片８３ａ，８３ｂを下方に向けて取付けられる。

　図４に示すように、接近機構である流体圧シリンダ８３は、流体の給排により一対の可動片８３ａ，８３ｂをＹ軸方向において接近又は離間させるように構成される。一対の吸着片８１，８２は、それぞれ可動片８３ａ，８３ｂに取付けられる。

　一対の吸着片８１，８２は、可動片８３ａ，８３ｂから下方に延びるように取付けられる。一対の吸着片８１，８２には、下端において互いに近づく延設部８１ａ，８２ａが形成される。一対の吸着片８１，８２の下面からは、所定の長さの粘着テープ１２を吸着させるための孔８１ｂ，８２ｂが上方に延びて形成される。孔８１ｂ，８２ｂの上端には、孔８１ｂ，８２ｂからエアを吸引するための可撓性のホース８１ｃ，８２ｃが接続される。可撓性のホース８１ｃ，８２ｃを介して一対の吸着片８１，８２の下端に開口する孔８１ｂ，８２ｂからエアを吸引することにより、一対の吸着片８１，８２の下端に粘着テープ１２を接触させると、粘着テープ１２はその下端に吸着されるように構成される。

　図９に示すように、粘着テープ１２は、その幅ｗが巻芯２１の凹部２５におけるＸ軸方向の幅Ｄよりも狭いものが用いられる。一対の吸着片８１，８２のＸ軸方向における幅Ｗは、粘着テープ１２の幅ｗと略同一に形成される。

　図１０に示すように、接近機構である流体圧シリンダ８３は、一対の可動片８３ａ，８３ｂを離間させることにより、可動片８３ａ，８３ｂに取付けられた一対の吸着片８１，８２の延設部８１ａ，８２ａ間における間隔ｈが、得ようとするコイル本体１１のコイル辺部１１ｂにおける軸方向の厚さＨよりも広くなるように形成される。吸着片移動機構８４（図１）は、一対の吸着片８１，８２を接近機構である流体圧シリンダ８３とともに移動させることにより、巻芯２１の凹部２５において浮遊する線材１３を一対の吸着片８１，８２の間に通過可能に構成される。

　また、コイル製造装置２０は、図２に示すように、複数の線材１３を把持する第１及び第２クランプ装置９０，９１と、それらを別々に移動させる第１及び第２移動機構９２，９３と、複数の線材１３を同時に切断し得るカッタ装置９４（ＪＰ２０１１-２１７８２４Ａ）と、をさらに備える。

　第１移動機構９２は取付部材３８の上部に設けられる。第２移動機構９３は支持板２８の上部に取付けられる。第１及び第２移動機構９２，９３は、Ｘ軸、Ｙ軸、及びＺ軸方向伸縮アクチュエータ９２ａ～９２ｃ，９３ａ～９３ｃの組み合わせによりそれぞれ構成され、Ｙ軸方向伸縮アクチュエータ９２ｃ，９３ｃのハウジングが、それぞれ装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能に構成される。第１及び第２移動機構９２，９３の詳細は、前述したノズル移動機構５２及び吸着片移動機構８４と同一構造であるので、繰り返しての説明は省略する。

　図２及び図５に示すように、装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能な第１移動機構９２におけるＹ軸方向伸縮アクチュエータ９２ｃのハウジングには、第１可動板９２ｄが取付けられる。第１可動板９２ｄには、第１クランプ装置９０と、カッタ装置９４と、が設けられる。第１クランプ装置９０は、その挟持片９０ａを下方に突出させた状態で、第１クランプ装置９０を水平面内（ＸＹ平面）で回転させる第１回転用モータ９５を介して第１可動板９２ｄに取付けられる。

　カッタ装置９４は、そのカッタ刃９４ａを下方に向けた状態で、カッタ装置９４を鉛直方向（Ｚ軸方向）に上下動させる第１流体圧シリンダ９６を介して第１可動板９２ｄに取付けられる。カッタ装置９４は、第１流体圧シリンダ９６によって下降した状態で、水平方向（Ｙ軸方向）に延びる線材１３にカッタ刃９４ａが達するように構成される。カッタ装置９４は、線材１３が間に挟まったカッタ刃９４ａを閉じることにより、線材１３を切断できる。

　図２及び図６に示すように、装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能な第２移動機構９３におけるＹ軸方向伸縮アクチュエータ９３ｃのハウジングには、第２可動板９３ｄが取付けられる。第２可動板９３ｄには、第２クランプ装置９１が設けられる。第２クランプ装置９１は、その挟持片９１ａを下方に突出させた状態で、第２クランプ装置９１を水平面内で回転させる第２回転用モータ９７と、第２回転用モータ９７を第２クランプ装置９１とともに鉛直方向に上下動させる第２流体圧シリンダ９８と、を介して、第２可動板９３ｄに取付けられる。

　第２可動板９３ｄには、線材１３を水平面（ＸＹ平面）内において折り曲げるときに使用される棒材９９が、鉛直方向（Ｚ軸方向）に延びて取付けられる。棒材９９は第２可動板９３ｄの下縁から下方に突出するようにその上端が第２可動板９３ｄに取付けられる。棒材９９は、上部９９ａにおける断面が方形に形成され、下部９９ｂは巻芯２１における固定側フランジ部２３と可動側フランジ部２４の間の隙間に挿入可能に細長く形成される（図８）。

　図１に戻って、装置用架台２０ａには、ノズル５１から巻芯２１に延びる線材１３を下方から支持する支持棒１０１が、昇降可能に設けられる。図９に示すように、支持棒１０１には、複数の線材１３を落とし込んで１つにまとめる凹部１０１ａが形成される。図１に示すように、支持棒１０１を水平状態で昇降させる流体圧シリンダ１０２が装置用架台２０ａに取付けられる。

　次に、コイル製造装置２０を用いたコイル製造方法について説明する。

　本実施形態のコイル製造方法は、巻芯２１を回転させて巻芯２１に線材１３を巻回してコイル１０を製造する方法である。

　その特徴点は、巻芯２１に巻回された線材１３を浮遊させる凹部２５を巻芯２１に形成し、巻芯２１に線材１３を巻回した後に凹部２５において浮遊する線材１３を束ねる束線工程として、粘着テープ１２を貼り付けるテーピング工程が行われるところにある。

　この実施形態では、５本の線材１３が同時に巻回される。図示しないが、５本の線材１３は、別々にドラムに巻回されて貯線され、図示しないテンション装置を介して別々に供給される。

　図７に示すように、５本の線材１３はノズル５１に別々に挿通されてＸ軸方向に平行に延びるように供給される。所定の長さの粘着テープ１２で５本の線材１３の端部が束ねられた状態から巻線が開始される。巻初めの線材１３は、束ねられた状態で略直角に折り曲げられる。

　この折り曲げは、第１クランプ装置９０が線材１３の端部を把持し、線材１３を棒材９９の上部９９ａに沿わせた状態で、棒材９９の周囲に旋回させて折り曲げる。このとき、複数の線材１３を同一の水平面内において折り曲げるために、複数のノズル５１は、水平方向に並べられる。棒材９９の移動は、第２移動機構９３によって行われる。第１クランプ装置９０の移動及び回転は、第１回転用モータ９５及び第１移動機構９２により行われる。

　図８に示すように、折り曲げられた巻初めの線材１３は、巻芯２１に係止される。このとき、巻芯２１は係止溝２３ｃが上方になるように回転され、折り曲げられた巻初めの線材１３が係止溝２３ｃの上方から下方に向かって挿入される。

　折り曲げられた巻初めの線材１３が、係止溝２３ｃに挿入された後には、係止溝２３ｃに揺動片４１の押さえ部４１ａが進入され、巻初めの線材１３は係止溝２３ｃに係止される。

　係止溝２３ｃへの押さえ部４１ａの進入は、流体圧シリンダ４３によりロッド４２を突出させて揺動片４１を揺動させ、押さえ部４１ａが線材１３を押さえる図８の一点鎖線で示す押さえ位置に押さえ部４１ａを移動させることにより行われる。押さえ部４１ａが線材１３を押さえるまでの線材１３の係止は、第２移動機構９３（図２）により棒材９９の下部９９ｂを係止溝２３ｃに進入させて、巻初めの線材１３を押さえることにより行われる。

　次に、巻線に際しては、可動側フランジ部２４を巻胴部２２とともに固定側フランジ部２３方向に移動させ、巻胴部２２の突出端を固定側フランジ部２３に当接させる。そして、固定側フランジ部２３と巻胴部２２と可動側フランジ部２４から成る巻芯２１を回転させることによって、ノズル５１から繰り出される５本の線材１３が同時に巻回される。

　巻芯２１が、可動側モータ２６と固定側モータ３７を同期して駆動させることにより回転されて、線材１３が巻胴部２２に巻回される。線材１３の巻幅は、固定側フランジ部２３と可動側フランジ部２４により制限される。

　複数のノズル５１は、複数のノズル５１から繰り出される複数の線材１３を固定側フランジ部２３と可動側フランジ部２４との間に存在する巻胴部２２に導くために、鉛直方向に並べられる。複数のノズル５１の並び方向は、ノズル台５３をサーボモータ６１が回転させることにより、変更される。

　巻芯２１に線材１３が巻回された後、テーピング工程が行われる。テーピング工程では、巻芯２１の凹部２５において浮遊する線材１３に、所定長さの粘着テープ１２が貼り付けられる。巻芯２１に巻回された線材１３は、コイル本体１１（図１２）を構成し、巻初めの線材１３と巻終わりの線材１３はコイル辺部１１ａ，１１ｂから繰り出される。所定長さの粘着テープ１２は、コイル辺部１１ａ，１１ｂ毎に貼り付けられ、最初に、巻終わりの線材１３が連続するコイル辺部１１ｂにおいて、粘着テープ１２が貼り付けられる。

　上記コイル製造装置２０を用いるテーピング工程では、所定長さの粘着テープ１２の両側における背面を吸着する一対の吸着片８１，８２を図９の実線矢印で示すように、凹部２５の内部に進入させるように移動させる。そして、図１０（ａ）に示すように、巻芯２１の凹部２５において浮遊する線材１３を一対の吸着片８１，８２の間に通過させる。その後、図１０（ｂ）に示すように、一対の吸着片８１，８２どうしを接近させる。そして、図１０（ｃ）に示すように、その状態で一対の吸着片８１，８２の間に線材１３を通過させることにより、凹部２５において浮遊する線材１３の周囲に所定長さの粘着テープ１２が貼り付けられる。

　巻終わりの線材１３が連続するコイル辺部１１ｂでは、３カ所の凹部２５においてそれぞれ所定の長さの粘着テープ１２が貼り付けられる。

　図９に示すように、粘着テープ１２は、巻芯２１からノズル５１まで延びる複数の線材１３に対しても貼り付けられる。ノズル５１から巻芯２１に延びる線材１３は束ねられていないので、支持棒１０１を上昇させて、５本のノズル５１からそれぞれ繰り出される５本の線材１３をそのノズル５１の近傍において束ねる。そして、この束ねられた線材１３に粘着テープ１２が貼り付けられる。

　支持棒１０１と巻芯２１の間の線材１３には、２カ所において粘着テープ１２が貼り付けられ、その中間が、破線矢印で示すように下降したカッタ装置９４により切断される。これにより、ノズル５１側に残存する複数の線材１３を束ねた状態で貼り付けられた粘着テープ１２は、複数の線材１３を束ねた状態で維持して、次の巻線における巻初めの線材１３を束ねる粘着テープ１２と成る。

　カッタ装置９４により切断された線材１３の巻芯２１側に残存する線材１３は、コイル本体１１の巻終わりの線材１３を構成し、巻終わりの線材１３に貼り付けられた粘着テープ１２は、巻終わりの線材１３を束ねた状態に維持する。

　巻終わりの線材１３が連続するコイル辺部１１ｂにおける粘着テープ１２の貼り付けが終了した後、可動側モータ２６及び固定側モータ３７により巻芯２１を１８０度回転させ、図１１に示すように、巻初めの線材１３が連続するコイル辺部１１ａを鉛直方向上方において水平に位置させる。

　そして、巻初めの線材１３が連続するコイル辺部１１ａにおける巻芯２１の凹部２５において浮遊する線材１３に粘着テープ１２が貼り付けられる。凹部２５における粘着テープ１２の貼り付けは、上述した巻終わりの線材１３が連続するコイル辺部１１ｂにおけるものと同一であるので、繰り返しての説明を省略する。

　このように、巻初めと巻終わりの線材１３が連続する双方のコイル辺部１１ａ，１１ｂにおいて、粘着テープ１２の貼り付けが行われると、巻芯２１に巻回された線材１３から成るコイル本体１１の形状は維持される。その後、巻初めの線材１３は、コイル辺部１１ａに連続するように真っ直ぐに延ばされる。

　巻初めの線材１３を延ばすには、図１１に示すように、第２クランプ装置９１により折り曲げられた巻初めの線材１３の端部を把持し、第２クランプ装置９１を回転させつつ移動させることにより、巻初めの線材１３がコイル辺部１１ａの延長線上に移動される。第２クランプ装置９１は第２回転用モータ９７及び第２移動機構９３により移動及び回転される（図２）。

　図１２に示すように、可動側フランジ部２４を巻胴部２２とともに固定側フランジ部２３から遠ざけ、巻胴部２２を可動側フランジ部２４に没入させることにより、粘着テープ１２と、粘着テープ１２が貼り付けられて形状が維持されたコイル本体１１から成るコイル１０を得る。

　このように、本実施形態のコイル製造装置２０及びコイル製造方法では、巻芯２１に線材１３が巻回され、巻芯２１に形成された凹部２５において浮遊する線材１３に粘着テープ１２が貼り付けられるので、粘着テープ１２が線材１３の独立した移動を禁止して、線材１３の束をその状態に維持する。このため、線材１３が例え比較的太いものであったとしても、巻芯２１に巻回された線材１３から成るコイル本体１１の形状は粘着テープ１２により維持され、それらから成るコイル１０の形状は維持される。

　また、テーピング装置７０は、所定長さの粘着テープ１２の両側における背面を吸着する一対の吸着片８１，８２と、一対の吸着片８１，８２を移動させる吸着片移動機構８４と、一対の吸着片８１，８２を接近させる接近機構８３と、を備えるが、これらから成るテーピング装置７０は、従来必要とされた通電設備や加熱設備に比較して大型のものとならない。このため、コイル製造装置２０及びコイル製造方法によれば、コイル製造装置２０を大型化させること無く、線材１３が比較的太くても、得られたコイル１０の形状を確実に維持することができる。

　この様に形状が維持されるコイル１０は、一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂがステータコアのスロット内に装着され、そのコアとともにステータを形成することになる。一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂをステータコアの半径方向に移動させて、そのスロット内に装着する一例を図１３～図１５に示す。

　図１３における符号１２１は、ステータコア１１０（図１４及び図１５）の内周に挿入される挿通治具１２１を示す。挿通治具１２１は、ステータコア１１０の全長と略等しい全長を有し、全体としてほぼ円柱状に形成される。円柱状に形成された挿通治具１２１の外周には、複数の保持溝１２３が放射状に形成される。

　保持溝１２３は、ステータコア１１０のスロット１１２に対応して形成される。即ち、保持溝１２３は、ステータコア１１０のスロット１１２のピッチと同一のピッチで形成され、スロット１１２と同数の保持溝１２３が挿通治具１２１の外周に形成される。保持溝１２３は、挿通治具１２１の外周から半径方向に向けて放射状に、挿通治具１２１の長手方向の全長に亘って形成される。

　ステータコア１１０に装着されるステータコイルとしてのコイル１０は、本実施形態により必要な個数予め作製される。これら複数のコイル１０それぞれの一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂは、挿通治具１２１の対応する保持溝１２３に挿入される。予め作製された全てのコイル１０が挿通治具１２１の円周に沿って配列される。

　図１３では、複数のコイル１０の一対のコイル辺部１１ａ，１１ｂを保持溝１２３群に挿入させるため、コイル辺部１１ａ，１１ｂを把持具１１７により挟み、その把持具１１７を各コイル辺部１１ａ，１１ｂとともに、図示しないアクチュエータにより移動させて、コイル辺部１１ａ，１１ｂを保持溝１２３群に挿入させる場合を示す。

　図１３では、把持具１１７により線材１３から成る両コイル辺部１１ａ，１１ｂが直接的に把持される場合を表しているが、必要であれば、両コイル辺部１１ａ，１１ｂを予め絶縁紙又はテープ等で絶縁するように被覆し、絶縁処理された両コイル辺部１１ａ，１１ｂを把持具１１７が把持するようにしても良い。

　複数のコイル１０が外周に沿って配列された挿通治具１２１は、この状態で、図１４に示すように、ステータコア１１０の内周に挿入される。図１４は、挿通治具１２１がステータコア１１０の内周に完全に挿入された状態を示しており、挿通治具１２１の周囲に配設されたコイル１０におけるコイルエンド部１１ｃのみが示される。

　図１４に示すように、押圧治具１３０を用いて、挿通治具１２１の保持溝１２３に保持されたコイル１０の両コイル辺部１１ａ，１１ｂを外径側に押し出して、ステータコア１１０の対応するスロット１１２に挿入する。

　押圧治具１３０は、ガイド軸１３１と、ガイド軸１３１にスライド可能に装着された押圧体１３２と、押圧体１３２に設けられた板状の複数枚のプッシャ１３３と、を備える。各プッシャ１３３は、挿通治具１２１の保持溝１２３と同数設けられる。また、各プッシャ１３３は、保持溝１２３に進入可能に、かつガイド軸１３１に対して放射状に押圧体１３２に取付けられる。プッシャ１３３には、先端から押圧体１３２に向けて次第に幅広となる直線状または比較的大きな曲率を有する形状からなるテーパ部１３３ｂと、テーパ部１３３ｂから押圧体１３２までは、一定の幅の幅広部１３３ｃと、が形成される。

　押圧治具１３０は、挿通治具１２１の上部に設置される。ガイド軸１３１に対して押圧体１３２を下方にスライドさせると、プッシャ１３３がその下端から保持溝１２３に挿入される。すると、保持溝１２３に、プッシャ１３３先端が進入し、その後にテーパ部１３３ｂが進入する。

　保持溝１２３に進入するテーパ部１３３ｂは、保持溝１２３に挿入されたコイル１０の両コイル辺部１１ａ，１１ｂを挿通治具１２１の半径方向外側に押し出す。これにより、保持溝１２３に挿入された両コイル辺部１１ａ，１１ｂは、ステータコア１１０のスロット１１２に挿入され、ステータコア１１０と複数のコイル１０から成る図１５に示すステータ１０９が得られる。

　コイル１０の両コイル辺部１１ａ，１１ｂをステータコア１１０の内周から半径方向外側に押し出して、ステータコア１１０のスロット１１２に挿入することにより、予め挿通治具１２１に装着された複数のコイル１０は、位置を変えること無く、そのままの状態でステータコア１１０に装着される。このため、コイル１０の両コイル辺部１１ａ，１１ｂを、予めスロット１１２の断面に応じた断面の束に整列巻きさせて形成することにより、その形状を保持した状態でスロット１１２に装着することが可能となる。これにより、スロット１１２内に装着されるコイル１０の密度、すなわち占積率を向上させることが可能になる。

　また、ステータコア１１０の端面から突出するコイルエンド部１１ｃ，１１ｄについても、挿通治具１２１にコイル１０が保持された時のコイルエンド部１１ｃ，１１ｄと同一の形状が保持される。このため、挿通治具１２１に複数のコイル１０を装着した状態で、各コイルエンド部１１ｃ，１１ｄをコンパクトで均一に突出した状態にしておくことができ、コイルエンド部１１ｃ，１１ｄがコンパクトで均一に突出したステータ１０９を得ることができる。

　なお、上述した実施形態では、Ｘ軸、Ｙ軸、及びＺ軸方向伸縮アクチュエータの組み合わせにより構成されたノズル移動機構５２及び吸着片移動機構８２等を説明したが、これらの移動機構はこの構造のものに限るものではなく、ノズル５１や吸着片８１，８２等を装置用架台２０ａに対して３軸方向に移動可能である限り、他の形式であっても良い。

　また、上述した実施の形態では、コイル本体１１が５本の線材１３から成り、線材１３が挿通されるノズル５１が５本準備される場合を説明したが、コイル本体は１本、又は２本、又は３本、又は４本、又は６本以上の線材１３から成るものであっても良く、その場合のノズルの数は線材１３の数に相当する数を準備されれば足りる。

　また、線材１３を通過させるノズル５１は、管状のものに限らず、ブロック体に複数の挿通孔を開けて、挿通孔に線材を通過させるノズルとしても良い。

　また、上述した実施の形態では、巻胴部２２が可動側フランジ部２４に没入可能に構成された場合を説明したが、巻胴部２２は固定側フランジ部２３に没入可能であっても良い。

　更に、上述した実施の形態では、束線機構としてテーピング装置７０を用いて説明したが、複数の線材１３を互いに溶着させて束ねてもよい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　本願は、２０１４年８月８日に日本国特許庁に出願された特願２０１４－１６２２５２号に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　巻芯を回転させて前記巻芯に線材を巻回してコイルを製造するコイル製造装置において、
　前記巻芯に巻回された前記線材を浮遊させる凹部が前記巻芯に形成され、
　前記凹部において浮遊する前記線材を束ねる束線装置が設けられたコイル製造装置。
　請求項１に記載のコイル製造装置であって、
　前記巻芯は、
　前記線材が巻回される巻胴部と、
　前記巻胴部の一方の端部に設けられた固定側フランジ部と、
　前記巻胴部の他方の端部に設けられた可動側フランジ部と、を備え、
　前記凹部は、前記巻胴部と前記固定側フランジ部と前記可動側フランジ部の外周の一部において軸方向に連続する様にそれぞれに形成された切り欠きからなるコイル製造装置。
　請求項２に記載のコイル製造装置であって、
　前記巻胴部が前記可動側フランジ部又は前記固定側フランジ部のいずれか一方に没入可能に構成されたコイル製造装置。
　請求項１から３のいずれか一項に記載のコイル製造装置であって、
　前記束線装置は、前記線材に粘着テープを貼り付けるテーピング装置であって、
　前記テーピング装置は、
　所定長さの前記粘着テープの両側における背面を吸着する一対の吸着片と、
　前記一対の吸着片を移動させて前記巻芯の前記凹部において浮遊する前記線材を前記一対の吸着片の間に通過可能な吸着片移動機構と、
　前記一対の吸着片どうしを接近させる接近機構と、
　を備えたコイル製造装置。
　請求項４に記載のコイル製造装置であって、
　前記テーピング装置が、前記所定長さの前記粘着テープを供給するテープ供給機構を有するコイル製造装置。
　巻芯を回転させて前記巻芯に線材を巻回してコイルを製造するコイル製造方法において、
　前記巻芯に巻回された前記線材を浮遊させる凹部を前記巻芯に形成し、
　前記巻芯の周囲に前記線材を巻回した後に前記凹部において浮遊する前記線材を束ねる束線工程が行われるコイル製造方法。
　請求項６に記載のコイル製造方法であって、
　前記束線工程は、前記線材に粘着テープを貼り付けるテーピング工程であって、
　前記テーピング工程が、所定長さの前記粘着テープの両側における背面を吸着する一対の吸着片を移動させ、前記巻芯の前記凹部において浮遊する前記線材を前記一対の吸着片の間に通過させ、その後前記一対の吸着片を接近させて、前記凹部において浮遊する前記線材に前記所定長さの前記粘着テープを貼り付ける工程であるコイル製造方法。