WO2015182609A1

WO2015182609A1 - 端子圧着システム

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Publication number: WO2015182609A1
Application number: PCT/JP2015/065111
Authority: WO
Inventors: 敦星野
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2014-05-26
Filing date: 2015-05-26
Publication date: 2015-12-03
Also published as: MX2016015548A; CN106463905A; CN106463905B; MX363999B

Abstract

　端子圧着装置（２０）は、端子送り部（３０）によって端子供給リールセット（６０）から供給される端子連鎖体（端子）を所望の位置に制御する。端子圧着装置（２０）は、圧着する端子に対応する第１～第５アプリケーター（４１ａ～４１ｅ）を選択して、圧着作業位置に制御する。選択されたアプリケーターは、選択されなかったアプリケーターより所定量上に移動する。そして、加圧部（２５）の駆動力によって端子連鎖体の圧着及び端子の連結部からの切り離しが同時になされる。

Description

端子圧着システム

　本発明は、端子圧着システムに関する。

　一般に、従来から用いられている端子圧着技術においては、端子品番、電線種類が変更される毎に作業者が設備を停止して、端子及びアプリケーターを交換する（特許文献１参照）。

　具体的に特許文献１に開示の技術では、端子交換及びアプリケーター交換を行う場合、交換時点において搭載されている端子とアプリケーターとを取り外し、作業者が手作業で次に圧着する端子とアプリケーターを圧着端子品番が変わる毎に準備し、セット固定している。より具体的には、アプリケーターは端子品番個別に設けられており、専用部分及び共通部分の両構造を一体に構成した１セット毎交換されるように構成されている。つまり、現在圧着作業で使用しているアプリケーターのセットの使用が終了すると、作業者が予め準備していたアプリケーターのセットと入れ替える作業を行う。

　特に近年では、ワイヤハーネスの多品種化や小ロット化が進み、使用する端子も多様になっている。
　端子圧着装置に端子を供給する際には、複数の端子が一体になった端子連鎖体（「端子帯」ともいう）が取り付けられた端子リールが用いられる。端子の種類を交換する場合には、端子リールを交換することになる。そのため、端子リールの交換作業を効率化する各種の技術が提案されている。

　例えば、複数の端子リールから所望の端子リールを選択して端子圧着装置へ端子を供給する技術が開示されている（特許文献２参照。）当該技術では、レール部に沿って往復動可能なラックの上部に端子リールを保持するためのアーム状のホルダが複数設けられている。ラックが所望移動されて、その後使用する端子リールを保持するホルダが端子圧着装置側に倒されることで、端子が端子圧着装置に供給される。

　また、ワイヤハーネス等を製造する場合において、端子圧着装置に電線を供給する電線供給装置が用いられる。電線供給装置は、電線の種類（径や被覆色）に応じて設備制限内の複数種類の電線搭載が可能であり、また、自動で選択可能の装置も存在する。しかし、予め備える数を超える別の種類の電線を加工したい場合は、別の設備に搭載するか、また、作業者が１本１本交換するしかなかった。そこで、交換作業の効率、すなわち外段取りによる生産性の向上を実現すべく各種の技術が提案されている。

　例えば、電線ノズル（「電線ガイドノズル」とも言う）を一つの部材で構成することで、組み付け不良に起因する各種の課題を解決しつつ、単品としての使用も可能とすることで、外段取りによる生産性向上を実現した技術が提案されている（例えば特許文献３参照）。

日本国特開２０１０－２７７７０３号公報日本国特開平１１－２８８７７６号公報日本国特開平１１－３３４９９１号公報

　ところで、特許文献１に開示の技術では、端子交換及びアプリケーター交換を行う場合、かなりの時間が必要とされ、またアプリケーターは重いのが一般的で、交換作業が苦渋であった。また、交換作業中は設備が停止するため、設備稼働率の向上ができず、本来備わる生産能力を有効に活用できないといった課題があり、対策の技術が求められていた。特に多品種少量生産が求められる場合には、生産ロットが小さいことから、上述の課題が顕著となっており早急な対策が必要とされていた。

　また、上述の様に、使用する端子も多様になっているため、端子リールの交換作業が多くなる傾向にある。特許文献２に開示の技術では、このような状況においては作業効率の観点で改善の余地があった。すなわち、多数の端子リールの交換作業を効率化する技術が求められていた。

　更に、既存の電線供給装置においては、電線の種類が変わる毎に設備を停止させ、作業者が電線を交換していた。特許文献３に開示の技術では、外段取りによる生産性の向上を実現できたが、近年では生産ロット数が小さい製品も扱う必要があり、一層の生産性向上が求められていた。

　本発明の目的は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決する技術を提供することにある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成することができる。
（１）　端子が複数連なった端子連鎖体が巻装された端子リールを複数備えた端子供給装置と、前記端子供給装置から供給された前記端子連鎖体の前記端子が電線に圧着される端子圧着装置と、を備え、前記端子圧着装置は、複数のアプリケーターを備え、上位の制御装置の指令によって圧着する前記端子の仕様または前記電線の仕様に応じて、圧着に使用される前記アプリケーターが選択される端子圧着システム。
（２）　前記複数の端子リールから所望の端子リールが選択されて前記端子連鎖体が前記アプリケーターへ供給される端子送り部を備え、前記端子送り部は、アクチュエーターによって、前記端子連鎖体を所望の位置に制御する上記（１）に記載の端子圧着システム。
（３）　前記端子リールは、前記端子連鎖体の送り側端部を持って、前記端子圧着装置の前記アプリケーターへ供給する連鎖体供給ガイド部を備え、前記端子送り部は、前記連鎖体供給ガイド部を操作して前記端子連鎖体を所望の位置に制御する上記（２）に記載の端子圧着システム。
（４）　前記電線を挿通して保持するとともに前記電線の送り出し方向に沿って複数に分割された電線ノズルと、前記電線ノズルの分割された構成間に配置され、前記電線を矯正する矯正ローラーと、前記電線ノズルの分割された構成間であって前記矯正ローラーより下流側に配置され、前記電線を所定の方向に送り出す電線送り部と、を有する電線供給装置をさらに備える上記（１）～（３）の何れか１つに記載の端子圧着システム。
（５）　前記電線ノズルを複数並列に保持するノズルホルダを備え、
　前記電線ノズルは、前記ノズルホルダに複数並列に配置され、
　前記ノズルホルダは、前記矯正ローラー及び前記電線送り部を備える電線供給装置本体に着脱可能であって、かつ、複数の前記電線ノズルのうち選択した一つの電線ノズルが前記矯正ローラー及び前記電線送り部に対応する位置に制御される上記（４）に記載の端子圧着システム。
（６）　前記端子供給装置は、前記端子リールが収容されるリールセットを有する端子供給段取交換装置であって、前記リールセットを複数並べて収容可能なリールセット収容部と、前記リールセット収容部を並べた方向に往復移動させる第１の駆動部と、複数の前記リールセットから選択された一つのリールセットを前記端子の供給方向に往復移動させる第２の駆動部と、前記リールセット収容部が並べられた方向に配置され略面一に配置されたプレート部材と、を有し、前記プレート部材は、位置が固定された固定プレートと、前記第２の駆動部に連結され移動可能な可動プレートとを有し、前記リールセットは、前記プレート部材に嵌合しつつ前記リールセット収容部を並べた方向に移動可能とする嵌合部を備える上記（１）～（５）の何れか１つに記載の端子圧着システム。

　本発明によれば、端子圧着システムの設備稼働率を上げ実生産能力を向上させる技術を提供することができる。また、端子リールを有する端子供給装置における端子リールの交換作業を効率化することができる。また、ワイヤハーネス等を製造するための電線の供給において作業効率の向上を実現する技術を提供できる。

図１は、本発明の第１実施形態に係る、端子圧着システムの概略構成を示す平面図である。図２は、図１に示した、端子供給リールセットの斜視図である。図３は、図２に示した、連鎖体供給ガイド部に着目して示した端子供給リールセットの一部斜視図である。図４は、図３に示した、連鎖体供給ガイド部に取り付けられた状態の端子連鎖体を示す図である。図５は、図４に示した、端子連鎖体を示す模式的に示す平面図である。図６は、図１に示した、端子圧着装置の斜視図である。図７は、図６に示した、端子送り部の斜視図である。図８は、図６に示した、端子圧着部の第１～第５アプリケーターに着目して示す斜視図である。図９は、図１に示した、ノズルホルダが搭載された状態の電線供給装置の斜視図である。図１０は、図９に示した、ノズルホルダが搭載された状態の電線供給装置の主要構成部分を拡大して示した図である。図１１は、図９に示した、ノズルホルダを取り除いた状態の電線供給装置の斜視図である。図１２は、図１１に示した、ノズルホルダを取り除いた状態の電線供給装置の主要構成部分を拡大して示した図である。図１３は、図９に示した、ノズルホルダの斜視図である。図１４の（ａ）、（ｂ）は、図１２に示した、矯正ローラー部を示す平面図である。図１５は、本発明の第２実施形態に係る、端子圧着システムの概略構成を示す平面図である。図１６は、図１５に示した、端子供給段取交換装置の斜視図である。図１７は、図１６に示した、リールセットの斜視図である。図１８は、図１７に示した、リールセットのスライドガイド部及びスライド壁部との関係を示す斜視図である。図１９は、図１８に示した、可動スライド壁部が前方へ移動した状態を示す斜視図である。図２０は、図１８に示した、可動スライド壁部が前方へ移動した状態を示す側面図である。

　以下、本発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という）を、図面を参照しつつ説明する。

　図１は、本発明の第１実施形態に係る端子圧着システム１の概略構成を示す平面図である。端子圧着システム１は、所望の電線９０を供給する電線供給装置１１０と、電線９０に圧着する端子８２（端子連鎖体８０）を供給する端子供給装置としての端子供給段取交換装置５０と、電線９０に端子８２を圧着する端子圧着装置２０と、を備える。以下では、主に端子圧着装置２０と端子供給段取交換装置５０に着目して説明する。また、図中の矢印Ｘ１方向を前方向（下流方向）、矢印Ｘ２方向を後方向（上流方向）、矢印Ｙ１方向を左方向、矢印Ｙ２方向を右方向として説明する。

　端子供給段取交換装置５０は、リールセット保持フレーム５２に複数の端子供給リールセット６０（リールセット）が整列して収容されている。ここでは、４つの端子供給リールセット６０が並べて収容されている。それぞれの端子供給リールセット６０には、端子連鎖体８０が巻装された端子リール７０が収容されている。各端子リール７０の端子連鎖体８０は、それぞれ個別の品番（仕様）の端子８２を複数連結した構造とされている。

　端子供給段取交換装置５０には、前後左右に移動可能なリニアアクチュエーター（アクチュエータ）が搭載されている。所定の上位の制御装置（図示せず）は、リニアアクチュエーターを制御することで、所望の端子供給リールセット６０を選択して、端子圧着装置２０に端子連鎖体８０を供給可能に接続する。つまり、端子供給段取交換装置５０は、所望の仕様の端子８２を選択して端子圧着装置２０に供給することができる。なお、一般には異なる端子リール７０には、異なる仕様の端子連鎖体８０（端子８２）が取り付けられるが、当然に、同一仕様のものでもよく、取り付けられている端子連鎖体８０（端子８２）の仕様は、上位の制御装置に登録されている。

　図２は、端子供給リールセット６０の斜視図である。ここでは、主要構成のみを示しており、取り扱い用のハンドル等の一部構成は省いている。また、図３は、連鎖体供給ガイド部６４に着目して、図２の領域Ａ１を拡大して示す端子供給リールセット６０の一部斜視図である。更に、図４は、連鎖体供給ガイド部６４に取り付けられた状態の端子連鎖体８０を示す図である。図４の（ａ）は斜視図、図４の（ｂ）は図４の（ａ）の矢視Ａ２から視た状態を模式的に示した図である。また、図５は端子連鎖体８０を簡易的に示した平面図である。

　端子供給リールセット６０は、板状のリール保持フレーム６２に端子リール７０が取り付けられている。端子リール７０は、端子連鎖体８０を巻いて収容している。端子連鎖体８０は、複数の端子８２を連結部８４で共通に連鎖状に繋げた構成とされている。ここでは、端子８２の後側（被覆部バレル８２ａ側）の端部が連結部８４に接続された構成とされている。連結部８４には、矩形のパイロット穴８４ａが、所定間隔で形成されている。パイロット穴８４ａには、図７で後述する端子送り部３０の係止部３６が係止する。

　リール保持フレーム６２の上下端部には、リニアアクチュエーターの動作に用いられる上レール６６及び下レール６８が、端子連鎖体８０の供給方向（図中、Ｘ１－Ｘ２方向／前後方向）と同一方向に延びている。

　リール保持フレーム６２の上部前端近傍には、端子連鎖体８０の先端を挟持して端子圧着装置２０に供給するための連鎖体供給ガイド部６４が設けられている。連鎖体供給ガイド部６４は、端子リール７０に巻かれている端子連鎖体８０の供給側を供給方向へガイドするように係止する。例えば、図４の（ａ）に示すように、連鎖体供給ガイド部６４は、２０個程度の端子８２の幅方向部分を押さえつけるように挟持する。すなわち、連鎖体供給ガイド部６４の上面に設けた係止穴６５を介してボルト固定される押し付け部６５ａが、端子連鎖体８０の位置決め機能を果たし、図示のＹ１－Ｙ２方向の位置を固定する。言い換えると、端子連鎖体８０の端子長さＬ１の差を吸収する。一般に、図４の（ｂ）に示すように、連結部８４の連鎖体供給ガイド部本体６４ａ側の端部から被覆部バレル８２ａの前方側までの長さＬ２が、端子連鎖体８０（端子８２）の種類により異なる。そこで、押し付け部６５ａを用いて連結部８４を基準面となる連鎖体供給ガイド部本体６４ａに押し当てることで、端子連鎖体８０毎に適切な位置出しが行われる。

　すなわち、連鎖体供給ガイド部６４は、上位の制御装置の指令に基づき、端子連鎖体８０の送り側端部を挟持した状態で端子圧着装置２０の所定の接続部分（後述の端子送り部３０）に挿入される。上位の制御装置には、どの端子供給リールセット６０がどのような仕様に対応するものであるか、予めデータがセットされている。

　このようにして、所望の端子連鎖体８０（端子８２）が端子圧着装置２０に供給される。言い換えると、上位の制御装置の指令によって、所望の品番の端子８２を選択し、端子圧着装置２０へ供給することができる。つまり、上位の制御装置の生産指示によって、次に必要な仕様の端子８２（端子連鎖体８０）が取り付けられている端子供給リールセット６０を選択して、現在セットしている端子８２（端子連鎖体８０）と自動的に入れ替えることができる。これは、端子圧着装置２０が動作中であっても、選択されていない端子供給リールセット６０については交換等の段取りが可能であるので、端子８２（端子連鎖体８０）の入れ替えに必要とされる段取り時間を大幅に省くことができる。なお、選択されていない端子供給リールセット６０の交換に際して、選択され端子圧着装置２０へ端子８２を供給している端子供給リールセット６０への影響が懸念される場合には、端子圧着装置２０の動作を一旦停止することもあるが、その場合でも、端子８２を供給している端子供給リールセット６０自体を交換する必要が無いため、入れ替えに必要とされる段取り時間を大幅に省くことができる。

　また、連鎖体供給ガイド部６４が仕様毎に、つまり、一つの端子連鎖体８０毎に、設けられる。そこで、連鎖体供給ガイド部６４が、そのまま端子圧着装置２０の端子圧着部４０に機械的に移動することで、端子セットが完了し、非常に短時間で圧着準備が完了し、圧着工程が即実行可能となる。

　また、個別の端子供給リールセット６０を交換することで、端子８２を品番単位で交換できる。また、端子供給段取交換装置５０全体を別の端子供給段取交換装置５０と入れ替えることで、セットされている端子供給リールセット６０全てを入れ替えできる。

　なお、連鎖体供給ガイド部６４等に認識コード等を貼付しておき、端子圧着装置２０へ取り付ける工程において、その認識コードを所定のセンサで読み取って、選択した端子８２（端子連鎖体８０）が適切であるか否かの判断を行ってもよい。また、端子供給リールセット６０に公知の端子絡み検知センサを設けて、端子連鎖体８０の絡み発生を自動的に検出する構成が採用されてもよい。特に、本実施形態のように、上位の制御装置の制御によって端子供給リールセット６０が機械的に取り替えられる構成の場合に、無駄な工程発生を回避できるため、生産効率の改善の効果を適切に維持することができる。

　図６は、端子圧着装置２０の斜視図であって、端子圧着装置２０は、端子送り部３０と端子圧着部４０とを備える。図７は、端子送り部３０の斜視図である。図８は、端子圧着部４０の特にアプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）に着目して示す斜視図である。

　まず、端子圧着装置２０の動作概要を説明する。
　端子圧着装置２０は、端子送り部３０によって端子供給リールセット６０から供給される端子連鎖体８０（端子８２）を所望の位置に制御する。また、端子圧着装置２０は、圧着する端子８２及び電線９０に対応するアプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）を選択して、圧着作業位置にアプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）を制御する。このとき、端子圧着装置２０に設けられたアプリケーター選択部２２が、その上部に設けられた係止突起２３を第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅのいずれかに係止させて、選択したアプリケーターを圧着作業位置に制御する。選択されたアプリケーターは、選択されなかったアプリケーターより所定量上に移動する。そして、加圧部２５の駆動力によって端子連鎖体８０の圧着及び端子８２の連結部８４からの切り離しが同時に行われる。

　次に、図６及び図７を参照して、端子送り部３０について説明する。
　端子送り部３０は、二つのサーボモーター３２、３４及び係止部３６を備え、端子供給段取交換装置５０から供給される端子連鎖体８０をリニアレール３３，３５に沿って前後左右に位置調整しつつ端子圧着部４０に供給する。すなわち、端子送り部３０は、係止部３６を連結部８４のパイロット穴８４ａに係止させて、サーボモーター３２、３４の動作により、端子圧着装置２０の所望の位置に制御し、端子８２を一つずつ端子圧着装置２０に送り出す。このとき、端子連鎖体８０の連結部８４は、連鎖体供給ガイド部６４と押し付け部６５ａの位置決めガイド機能によって所望に位置決め及びガイドされている。

　従来技術では、端子連鎖体８０（端子８２）の送り量が端子品番に応じて設定された専用部品を用いる必要があった。より具体的には、連鎖体供給ガイド部６４や端子送り部３０が専用部品として用いられることが一般的であって、個別に行う必要がある送り精度の調整が手間であり、精度向上の点でも課題があった。また、従来では、カム式送り機構が用いられることから、端子連鎖体８０に僅かに仕様変更があった場合等に速やかに対応することが難しかった。しかし、本実施形態では、二つのサーボモーター３２、３４を用いることで、送り精度を向上させることができる。また、送り量を汎用的に設定することができるので、当該機能を専用部品とする必要がなく、調整が容易である。

　つぎに、端子圧着部４０について主に図６及び図８を参照して説明する。
　端子圧着部４０は、加圧部２５の駆動力を受け端子８２を圧着するためのアプリケーターとして、第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅを備える。第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅは、端子連鎖体８０の送り方向（図中、Ｘ１－Ｘ２方向）に並んで配置される。

　第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅは、基本的構造は同一であって、相互に入れ替え可能に構成されている。第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅは、個別に交換可能であるとともに、全体で、即ち、端子圧着部４０ごと交換することもできる。第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅは、それぞれ、上部アプリケーター４２と、下部アプリケーター４３とを備える。上部アプリケーター４２には、上部金型４４が設けられている。また、下部アプリケーター４３には、下部金型４５が設けられている。上部金型４４及び下部金型４５は、端子８２の品番（仕様）や電線９０の仕様に対応して、アプリケーター毎に異なる金型とされている。したがって、第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅを選択することで、端子８２の仕様（品番）や電線９０の仕様に対応したアプリケーターを選択することができる。このように、上部金型４４及び下部金型４５は、実質的に加締める型部分で構成されるので、アプリケーターの専用部分に対応する構成自体を軽量化・小型化でき、自動制御で動作させるためのアクチュエーター等も小型化することができる。

　上部アプリケーター４２の上端には、略逆Ｌ字状の係止構造として選択係止部４７が形成されている。この選択係止部４７に、選択されたアプリケーターに対する加圧部２５の先端部分が係止する。同様に、下部アプリケーター４３の下端には、略Ｌ字状の係止構造として選択係止部４６が形成されている。この選択係止部４６に、アプリケーター選択部２２の係止突起２３が係止する。そして、アプリケーター選択部２２によって、所望の位置に下部アプリケーター４３が制御される。

　端子圧着部４０は、端子連鎖体８０の送り方向（図中、Ｘ１－Ｘ２方向）及び上下方向に移動可能であって、上位の制御装置の生産指示に基づいて所望のアプリケーターが選択される。上位の制御装置には、どのアプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）がどのような仕様（圧着する端子８２及び電線９０の仕様）に対応するものであるかに関して、予めデータがセットされている。したがって、上位の制御装置からの生産指示を受けると、その指示に対応した端子供給リールセット６０及びアプリケーターが自動的に選択される。

　以上、本第１実施形態に係る端子圧着システム１よると、端子供給段取交換装置５０及び端子圧着装置２０における段取り交換を自動化することができる。その結果、段取り時間の短縮及び設備稼働率の向上を実現することができる。また、生産ロット数を小さくした場合であっても、段取り交換時間が短いため、トータルの生産能力低下を少なくすることができる。また、端子供給段取交換装置５０及び端子圧着装置２０が上位の制御装置で管理されるので、端子８２の圧着数を管理・把握が容易であって、アプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）の寿命管理を適切にすることができる。

　次に、図９及び図１４を参照して、電線供給装置１１０について説明する。
　図９は、本第１実施形態に係る電線供給装置１１０の斜視図であってノズルホルダ１７０が搭載されている状態の図である。図１０は、図９で示す電線供給装置１１０の主要構成部分を拡大して示した図である。図１１は、図９の電線供給装置１１０からノズルホルダ１７０を取り除いた状態の電線供給装置１１０の斜視図である。図１２は、図１１で示す電線供給装置１１０の主要構成部分を拡大して示した図であり、図１０からノズルホルダ１７０を取り除いた図でもある。図１３は、ノズルホルダ１７０の斜視図である。図１４は、送出部１３０の第１及び第２矯正ローラー部１３２ａ、１３２ｂを示す平面図である。

　まず、図９及び図１０を参照して電線供給装置１１０の概略構成及び動作を説明する。
　電線供給装置１１０は、フレーム構造の台座部１１２に取り付けられた電線色替え・供給部１２０（電線供給装置本体）と、可動型ホルダ固定枠１５０と、可動型ホルダ固定枠１５０に取り付けられたノズルホルダ１７０とを備える。また、図中の矢印（Ｆ）方向を前方向（下流方向）、矢印（Ｂ）方向を後方向（上流方向）、矢印（Ｌ）方向を左方向、矢印（Ｒ）方向を右方向、矢印（Ｕ）方向を上方向、矢印（Ｄ）方向を下方向として説明する。

　ノズルホルダ１７０は、ホルダ下端取付バー１５５及びホルダ上端固定爪１５６によって可動型ホルダ固定枠１５０に取り付けられる。
　ノズルホルダ１７０には、複数の電線ガイドノズル１８０（電線ノズル）が上下方向（図中、（Ｕ）－（Ｄ）方向）に並んで配置されている。電線ガイドノズル１８０のそれぞれには、所望の電線９０が挿通される。一般には、それぞれの電線ガイドノズル１８０には異なる種類の電線９０（電線径、被覆色などが異なる電線）が挿通され、上位の制御装置によって、所望の電線ガイドノズル１８０が選択される。言い換えると、上位の制御装置の生産指示によって、次の工程において必要な種類の電線９０が作業者の手を介さず自動的に選択される。

　所望の電線ガイドノズル１８０が選択されると、選択された電線ガイドノズル１８０は、送出部１３０の位置に制御される。ここでは、電線ガイドノズル１８０を搭載しているノズルホルダ１７０が可動型ホルダ固定枠１５０と共に枠移動装置１６０によって上下動し、選択された電線ガイドノズル１８０が送出部１３０に位置することになる。

　送出部１３０は、選択された電線９０を挟むようにして矯正して次工程Ｓに送出する。そこで、送出部１３０は、左送出部１３０ａ及び右送出部１３０ｂとから構成されている。左送出部１３０ａと右送出部１３０ｂとは、所定間隔離間しており、その間の空間をノズルホルダ１７０が取り付けられた可動型ホルダ固定枠１５０が上下に移動可能に構成されている。

　別の観点では、送出部１３０は、上流側（後側）から下流側（前側）に向けて、電線矯正部１３１、電線測長ローラー１３８及び電線送り部１４１を備える。電線矯正部１３１、電線測長ローラー１３８及び電線送り部１４１は、それぞれ左送出部１３０ａの構成と右送出部１３０ｂの構成とを対にして１セットとして構成されている。なお、詳細は後述するが、ノズルホルダ１７０に取り付けられた各々の電線ガイドノズル１８０は、送出方向に沿って複数に分離されており、分離された空間（図１３の第１～第３分離スペースＳ１～Ｓ３）に、電線矯正部１３１、電線測長ローラー１３８及び電線送り部１４１が配置される。

　図１１及び図１２を参照して電線供給装置本体である電線色替え・供給部１２０の詳細について説明する。

　電線矯正部１３１は、左送出部１３０ａに設けられた第１矯正ローラー部１３２ａ（矯正ローラ）と、右送出部１３０ｂに設けられた第２矯正ローラー部１３２ｂ（矯正ローラ）とを備える。図１４に示す様に、第１矯正ローラー部１３２ａと第２矯正ローラー部１３２ｂとは、対向して配置されている。

　第１矯正ローラー部１３２ａは、４つのローラーが直線状に所定間隔で並んで配置されている。また、第２矯正ローラー部１３２ｂは５つのローラーが所定間隔で並んで配置されている。なお、第２矯正ローラー部１３２ｂの上の押さえプレート１３４には、第２矯正ローラー部１３２ｂの軸に対応する位置からガイド突起１３５が第１矯正ローラー部１３２ａに向けて延出形成されている。

　図１４の（ａ）に示す様に、第１矯正ローラー部１３２ａと第２矯正ローラー部１３２ｂは、ノズルホルダ１７０が取り付けられた可動型ホルダ固定枠１５０が上下動するときには、その上下動を妨げないように、所定間隔離間している。

　図１４の（ｂ）に示す様に、第１矯正ローラー部１３２ａと第２矯正ローラー部１３２ｂは、電線９０を矯正するときは、その電線９０を挟むように位置する。第１矯正ローラー部１３２ａと第２矯正ローラー部１３２ｂの位置制御は、例えば、ローラー開閉アクチュエーター１３３による第２矯正ローラー部１３２ｂの動作によってなされる。

　具体的には、第２矯正ローラー部１３２ｂ（ガイド突起１３５）の間に第１矯正ローラー部１３２ａが入り込むように構成されており、第１矯正ローラー部１３２ａの共通接線と第２矯正ローラー部１３２ｂの共通接線が共通に電線９０の矯正位置となるように構成されている。この電線矯正部１３１を電線９０が通過することで、電線９０の曲がり等が矯正される。

　電線矯正部１３１の下流側には、矯正された電線９０を次の電線送り部１４１へ送るためのガイドとしての機能を併有する電線測長ローラー１３８が設けられている。電線測長ローラー１３８は、左送出部１３０ａ及び右送出部１３０ｂ上にそれぞれ対向して設けられている。電線９０を送るときには左送出部１３０ａ及び右送出部１３０ｂは略当接する位置に配置され、一方のローラーがモーター駆動される。

　電線測長ローラー１３８の下流には、矯正された電線９０を次工程Ｓ（端子圧着装置や検尺装置等）へ送出する電線送り部１４１が設けられている。電線送り部１４１は、左送出部１３０ａ上に設けられた第１送り部１４２ａと、右送出部１３０ｂ上に設けられた第２送り部１４２ｂとから構成されている。第１送り部１４２ａと第２送り部１４２ｂは、略同一構造で対称に配置されている。

　第１送り部１４２ａと第２送り部１４２ｂは、それぞれ、歯付きベルト１４３とそれを駆動するための下流側歯付きプーリー１４４と、上流側歯付きプーリー１４５と、二つの挟持用プーリー１４６，１４７と、テンション用プーリー１４８とを備える。

　下流側歯付きプーリー１４４は、最も下流側に設けられ、駆動用にモーター１４９が取り付けられている。最も上流側には上流側歯付きプーリー１４５が設けられている。下流側歯付きプーリー１４４と上流側歯付きプーリー１４５との間には、対向するプーリー側（左送出部１３０ａと右送出部１３０ｂの間側）には、挟持用プーリー１４６，１４７が並んで配置されている。また、挟持用プーリー１４６，１４７の反対側には、テンション用プーリー１４８が歯付きベルト１４３のテンションを調整するために設けられている。電線９０を送出する際には、歯付きベルト１４３、挟持用プーリー１４６，１４７が、それぞれ対向するプーリーと略当接する位置に制御されることで、電線９０が二つの歯付きベルト１４３に挟まれ、次工程Ｓに送出される。

　可動型ホルダ固定枠１５０は、上述の様に、左送出部１３０ａと右送出部１３０ｂとの間に配置され、上位の制御装置に指令によって、上下動し、ノズルホルダ１７０の電線ガイドノズル１８０に挿通された所望の電線９０を送出部１３０の位置に移動させる。

　具体的には、可動型ホルダ固定枠１５０は、前後に所定間隔離間したガイドレール１５１，１５２と、それらをわたすように取り付けられた上部プレート１５３と、下部プレート１５４及びホルダ下端取付バー１５５と、を備える。

　ガイドレール１５１，１５２は、台座上部１１３に取り付けられたガイド溝１１６，１１７に沿って相対移動する。

　ホルダ下端取付バー１５５には、ノズルホルダ１７０の下端部分が取り付けられる。また、上部プレート１５３には、ツメ本体１５７及びツメ開閉ツマミ１５８を有するホルダ上端固定爪１５６が設けられている。ツメ本体１５７は、図１３で後述するノズルホルダ１７０のツメ固定構造１７７が係止する。また、ツメ開閉ツマミ１５８は、上下に操作することでその係止状態を容易に解除可能に構成されている。下部プレート１５４には、枠移動装置１６０と連結するためのベルト固定部１６５が設けられている。

　枠移動装置１６０は、右送出部１３０ｂ側に設けられており、枠移動用モーター１６１と、上部プーリー１６２と、下部プーリー１６３と、タイミングベルト１６４とを備える。タイミングベルト１６４は、上部プーリー１６２と下部プーリー１６３に巻かれており、上部プーリー１６２を回動させる枠移動用モーター１６１によって動作される。タイミングベルト１６４には、ベルト固定部１６５が設けられており、可動型ホルダ固定枠１５０の下部プレート１５４に固定される。このような構成によって、可動型ホルダ固定枠１５０は、左送出部１３０ａと右送出部１３０ｂとの間の空間で上下動可能に構成されている。

　図１３に示す様に、ノズルホルダ１７０は、枠状に構成され複数の電線ガイドノズル１８０を上下方向に並んで搭載可能に構成されている。ここでは、３０本の電線ガイドノズル１８０が搭載されている。最大３０本の電線ガイドノズル１８０、つまり最大３０種類の電線９０から所望の電線９０が選択される。なお、ノズルホルダ１７０は、容易に交換可能であるので、用意すべき電線９０が１台のノズルホルダ１７０の搭載数を超える場合は、ノズルホルダ１７０毎交換して使用する。

　上述の様に、ノズルホルダ１７０に取り付けられる各々の電線ガイドノズル１８０は、送出方向に沿って複数に分離されている。ここでは、各々の電線ガイドノズル１８０は、下流側から先端ガイドノズル部１８１、中間ガイドノズル部１８２、後部ガイドノズル部１８３と、が分離された状態で設けられている。先端ガイドノズル部１８１、中間ガイドノズル部１８２及び後部ガイドノズル部１８３に電線９０が挿通される。また、分離した空間（第１～第３分離スペースＳ１～Ｓ３）に、電線矯正部１３１、電線測長ローラー１３８及び電線送り部１４１が配置される。

　具体的には、ノズルホルダ１７０は、外枠として、上端フレーム１７１と、下端フレーム１７２と、前方フレーム１７３と、後方フレーム１７４とを備える。さらに、前方フレーム１７３と後方フレーム１７４は、それらに並んで所定間隔で第１中間フレーム１７５及び第２中間フレーム１７６を備える。

　上端フレーム１７１には、上述したホルダ上端固定爪１５６と係止するためのツメ固定構造１７７が設けられている。また、上端フレーム１７１には、ノズルホルダ１７０を持ち運んだり、可動型ホルダ固定枠１５０に取り付ける為のハンドル１７９が設けられている。また、下端フレーム１７２には、ホルダ下端取付バー１５５との固定・嵌合構造として断面逆Ｌ字状の溝嵌合構造１７８が下流側から所定長形成されている。

　前方フレーム１７３には、先端ガイドノズル部１８１を取り付ける為の前方ガイド穴１７３ａが前後方向に連通して形成され、かつ右側面に電線抜け止め１８９が設けられている。また、第１中間フレーム１７５には、中間ガイドノズル部１８２を取り付ける為の第１中間ガイド穴１７５ａが前後方向に連通して形成されている。また、第２中間フレーム１７６には、後部ガイドノズル部１８３を取り付ける為の第２中間ガイド穴１７６ａが前後方向に連通して形成されている。さらに、後方フレーム１７４には、後方ガイド穴１７４ａが前後方向に連通して形成されている。なお、後方ガイド穴１７４ａに電線ガイドノズル１８０の分割した構成の一部が配置される構成であってもよい。

　そして、後方フレーム１７４と第２中間フレーム１７６の間の第１分離スペースＳ１、つまり、後方フレーム１７４（後方ガイド穴１７４ａ）と後部ガイドノズル部１８３（第２中間ガイド穴１７６ａ）との間の空間において、電線矯正部１３１が電線９０を矯正する。

　また、第１中間フレーム１７５と第２中間フレーム１７６の間の第２分離スペースＳ２、つまり、中間ガイドノズル部１８２（第１中間ガイド穴１７５ａ）と後部ガイドノズル部１８３（第２中間ガイド穴１７６ａ）との間の空間において、電線測長ローラー１３８が電線９０を送出方向にガイドする。

　そして、前方フレーム１７３と第１中間フレーム１７５との間の第３分離スペースＳ３、つまり、先端ガイドノズル部１８１（前方ガイド穴１７３ａ）と中間ガイドノズル部１８２（第１中間ガイド穴１７５ａ）との間の空間において、電線送り部１４１が電線９０を次工程Ｓ（端子圧着装置等）へ送出する。

　以上、本第１実施形態に係る電線供給装置１１０の効果をまとめると次の通りである。
　ノズルホルダ１７０が容易に交換可能であるので、次の効果が奏される。
　（１）設備への搭載制限が実質的に廃止できる。
　（２）搭載制限を超えた電線９０を加工する場合、従来であれば作業者が電線９０の交換または他の設備へ搭載し加工していたが、それらの手間を解消することが出来る。すなわち、搭載制限を超えた場合の電線９０の段取り交換時間の短縮が可能である。
　（３）余剰設備を保有する必要がない。
　（４）生産ロット数が小さい場合でも、段取り交換時間が短いため、生産能力低下が最小限に抑えることができる。

　図１５は、本発明の第２実施形態に係る端子圧着システム３０１の概略構成を示す平面図である。図１５の（ａ）及び図１５の（ｂ）は、端子圧着システム３０１に供給する端子リール３７０を選択中の状態を示している。図１５の（ｃ）は選択された端子リール３７０を端子圧着装置３０４に供給可能に接続した状態を示している。図１６は、端子供給段取交換装置３１０の斜視図である。図１７は、端子リール３７０の斜視図である。なお、図１７では、取り扱い用のハンドル等の一部構成は省いている。

　端子圧着システム３０１は、所望の電線９０を供給する電線供給装置３０２と、電線９０に圧着する端子３８２（端子連鎖体３８０）を供給する端子供給段取交換装置３１０と、電線９０に端子３８２を圧着する端子圧着装置３０４とを備える。以下では、端子供給段取交換装置３１０に着目して説明する。

　端子供給段取交換装置３１０は、リールセット保持フレーム３２０にリール移動装置３２３を取り付けた構成とされている。リール移動装置３２３には、複数のリールセット３３０が取り付けられたリールセット保持フレーム３２５ａ，３２５ｂ（リールセット収容部）が着脱可能に取り付けられている。

　ここでは、リールセット３３０として、第１～第５のリールセット３３０ａ～３３０ｅがリールセット保持フレーム３２５ａ，３２５ｂに左右方向（図中、Ｙ１－Ｙ２方向）に整列されて取り付けられている。リール移動装置３２３は、リールセット保持フレーム３２５ａ，３２５ｂを左右にリニア駆動させると共に、所望のリールセット３３０を前方向に移動させて、所望のリールセット３３０を端子圧着装置３０４に近接させる。また、第１～第５のリールセット３３０ａ～３３０ｅの他に、必要に応じて予備のリールセットがリールセット保持フレーム３２０の所定の位置（例えば、リールセット３３０の移動に影響のない位置）に取り付けられてもよい。第１～第５のリールセット３３０ａ～３３０ｅにおいて、使用可能なリールセット３３０が少なくなった場合に、予備のリールセット３３０があることで、リールセット３３０が追加で１つだけ必要な場合であっても、全部を取り替える必要が無いため、設備停止期間を最小限に抑えることができる。

　なお、上側のリールセット保持フレーム３２５ｂには、後述するリールセット３３０の上部リニアレール３３６に嵌まり前後にリニア移動するためのリニアガイド（図示せず）が設けられている。

　リール移動装置３２３は、左右スライド部３２４（第１の駆動部）と、前後スライド部３２８（第２の駆動部）とを備え、上位の制御装置（図示せず）によって駆動制御される。

　左右スライド部３２４は、左右スライドベース部３２５と、左右スライドリニアレール３２６と、左右駆動装置３２７とを備える。左右スライドベース部３２５は、フレーム底部３２１の左右方向に渡されたプレート状部材であり、その上に左右スライドリニアレール３２６及び左右駆動装置３２７が配置されている。

　左右スライドリニアレール３２６は、左右方向に延びるリニアレールであって、左右駆動装置３２７の動作に連動して動く下部リニアガイド付き保持フレーム固定部３２５ｃがガイドローラ３５４を介して取り付けられる。この下部リニアガイド付き保持フレーム固定部３２５ｃには、底面側のリールセット保持フレーム３２５ａが取り付けられる。なお、左右駆動装置３２７の一部構成として、フレーム上部３２２にもリニアレールが、左右スライドリニアレール３２６に対向するように設けられている。フレーム上部３２２のリニアレールにも、上部リニアガイド付き保持フレーム固定部３２５ｄが取り付けられて、左右方向に移動可能に構成されている。上部リニアガイド付き保持フレーム固定部３２５ｄには、上側のリールセット保持フレーム３２５ｂが取り付けられる。

　左右駆動装置３２７は、左右方向に駆動するボールネジ３２７ａと、ボールネジ３２７ａを駆動させるモータ３２７ｂとを備える。上位の制御装置による指令により左右駆動装置３２７を制御し、左右スライドベース部３２５を移動させて、端子圧着装置３０４に接続させるためのリールセット３３０（端子リール３７０）を切り替える。

　前後スライド部３２８は、フレーム底部３２１の前後方向に渡されたプレート状部材の上に前後スライドシリンダ３２９を配置している。前後スライドシリンダ３２９は、所定の駆動装置によって連結する部材を前後方向に駆動させるものであって、位置センサ（シリンダセンサ）によって位置制御がされる。すなわち、前後スライドシリンダ３２９には、次に説明する可動スライド壁部３５２が連結されており、可動スライド壁部３５２を前後方向に駆動させることで、所望のリールセット３３０（端子リール３７０）の端子圧着装置３０４への接続及び解除を行う。

　リールセット保持フレーム３２０のフレーム底部３２１の後側には、壁状のスライド壁部３５０（プレート部材）が複数並べて略面一の状態で配置されている。スライド壁部３５０は、固定スライド壁部３５１と可動スライド壁部３５２とから構成されている。

　固定スライド壁部３５１は、フレーム底部３２１に固定される。可動スライド壁部３５２は、左右スライドベース部３２５の前後の移動に伴って（すなわち、端子圧着装置３０４に供給可能に移動するリールセット３３０（端子リール３７０）の前後の移動方向に伴って）、前後に移動可能に構成されている。

　また、面一の状態では、リールセット３３０のガイド係止部３４２（図１７や図１８の説明で後述する。）がスライド壁部３５０に嵌まった状態で、スライドガイド部３４０が左右方向（図中、Ｙ１－Ｙ２方向）に移動可能に構成されている。

　固定スライド壁部３５１及び可動スライド壁部３５２の幅は、リールセット３３０の幅方向が収まる寸法に形成されている。固定スライド壁部３５１及び可動スライド壁部３５２の位置・配置を調整することで、端子圧着装置３０４側に前後移動する場所を変更することができる。

　端子リール３７０は、図１７に示すように、板状のリール保持フレーム３３２に端子リール３７０を取り付けている。端子リール３７０は、端子連鎖体３８０が巻装されて収容されている。端子連鎖体３８０は、複数の端子３８２を連結部で共通に連鎖状に繋げた構成とされている。

　なお、一般には異なる端子リール３７０には、異なる仕様の端子連鎖体３８０（端子３８２）が取り付けられるが、当然に、同一仕様のものでもよく、取り付けられている端子連鎖体３８０（端子３８２）の仕様は、上位の制御装置に登録されている。

　リール保持フレーム３３２の上部（リールフレーム上面３３３）及び下部（リールフレーム底面３３４）には、それぞれ上部リニアレール３３６、下部リニアレール３３８が端子連鎖体３８０の供給方向（図中、Ｘ１－Ｘ２方向／前後方向）と同一方向に延びている。

　リール保持フレーム３３２の上部前端近傍には、端子連鎖体３８０の先端を挟持して端子圧着装置３０４に供給するための連鎖体供給ガイド部３７４が設けられている。連鎖体供給ガイド部３７４は、端子リール３７０に巻かれている端子連鎖体３８０の供給側を供給方向へ、つまり端子圧着装置３０４の方向へガイドするように係止する。

　また、リール保持フレーム３３２の後方下部には、スライドガイド部３４０が設けられている。スライドガイド部３４０には、下側が開口した凹状のガイド係止部３４２（嵌合部）が形成されている。ガイド係止部３４２にスライド壁部３５０が嵌まるように構成されている。

　図１８は、リールセット３３０のスライドガイド部３４０及びスライド壁部３５０との関係を示す斜視図である。図示のように、スライドガイド部３４０のガイド係止部３４２近傍には、スライド車輪部３６０（車輪部材）が取り付けられている。スライド車輪部３６０は、振動吸収や防音の観点からゴム等の弾性部材であることが望ましい。

　より具体的には、ガイド係止部３４２の凹形状の前方側近傍に、回転軸が垂直なスライド車輪部３６０が設けられている。ガイド係止部３４２の凹形状は、スライド壁部３５０の厚さに対して若干おおきく形成されている。ガイド係止部３４２がスライド壁部３５０に嵌まったときに、ガイド係止部３４２はスライド壁部３５０に接することなく、スライド車輪部３６０が略当接する。

　なお、スライド車輪部３６０はガイド係止部３４２の凹形状の前後に二つ設けられて、二つのスライド車輪部３６０でスライド壁部３５０を挟む構成でもよい。

　以上の構成によるリールセット３３０の選択切替動作を図１８～図１９を参照して説明する。図１９は、可動スライド壁部３５２が前方（端子圧着装置３０４の方向）へ移動した状態を示す斜視図である。図２０は、可動スライド壁部３５２が前方（端子圧着装置３０４の方向）へ移動した状態を示す側面図（一部透過図）である。

　図１８の（ａ）に示す様に、リールセット３３０（端子リール３７０）が左右方向（図中、Ｙ１－Ｙ２方向）に移動する場合は、スライド車輪部３６０がスライド壁部３５０を転がるように移動する。

　図１８の（ｂ）に示す様に、所望のリールセット３３０を前方に移動させる際には、スライド壁部３５０の可動スライド壁部３５２が前方に移動する。このとき、可動スライド壁部３５２の前方側の壁面が、スライドガイド部３４０のスライド車輪部３６０に押しつけられる。その結果、スライドガイド部３４０を備えるリールセット３３０が前方に移動する。

　スライド壁部３５０が最も前方に移動したとき、すなわち、端子圧着装置３０４に端子連鎖体３８０が供給可能に接続した状態のとき、図１９や図２０に示すように、可動スライド壁部３５２が、左右スライド部３２４に近接した状態になる。このとき、図２０に示す様に、リールセット３３０の下部リニアレール３３８の前側部分は、端子圧着装置３０４に設けられたリニアガイド３５８に嵌まった状態になる。

　このようにして、所望の端子連鎖体３８０（端子３８２）が端子圧着装置３０４に供給される。言い換えると、上位の制御装置の指令によって、所望の品番の端子３８２が選択され、端子圧着装置３０４へ供給される。つまり、上位の制御装置の生産指示によって、次に必要な仕様の端子３８２（端子連鎖体３８０）が取り付けられているリールセット３３０（端子リール３７０）を選択して、現在セットしている端子３８２（端子連鎖体３８０）と自動的に入れ替えることができる。

　また、リールセット保持フレーム３２５ａ，３２５ｂにセットされた複数のリールセット３３０全体を交換することもできるが、個別にリールセット３３０を交換することもできる。この場合、端子３８２を品番単位で交換できる。

　以上、本第２実施形態に係る端子圧着システム３０１よると、端子供給段取交換装置３１０における段取り交換を自動化することができる。その結果、段取り時間の短縮及び設備稼働率の向上を実現することができる。また、生産ロット数を小さくした場合であっても、段取り交換時間が短いため、トータルの生産能力低下を少なくすることができる。また、端子供給段取交換装置３１０が上位の制御装置で管理されるので、端子３８２の圧着数を管理・把握が容易である。

　ここで、上述した本発明に係る端子圧着システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下［１］～［６］に簡潔に纏めて列記する。
　［１］　端子（８２）が複数連なった端子連鎖体（８０）が巻装された端子リール（７０）を複数備えた端子供給装置（端子供給段取交換装置５０）と、
　前記端子供給装置から供給された前記端子連鎖体の前記端子が電線（９０）に圧着される端子圧着装置（２０）と、を備え、
　前記端子圧着装置は、複数のアプリケーター（第１～第５アプリケーター４１ａ～４１ｅ）を備え、上位の制御装置の指令によって圧着する前記端子の仕様または前記電線の仕様に応じて、圧着に使用される前記アプリケーターが選択される端子圧着システム（１）。
　［２］　前記複数の端子リールから所望の端子リール（７０）が選択されて前記端子連鎖体が前記アプリケーターへ供給される端子送り部（３０）を備え、
　前記端子送り部は、アクチュエーター（リニアアクチュエータ）によって、前記端子連鎖体を所望の位置に制御する
上記［１］に記載の端子圧着システム（１）。
　［３］　前記端子リールは、前記端子連鎖体の送り側端部を持って、前記端子圧着装置の前記アプリケーターへ供給する連鎖体供給ガイド部（６４）を備え、前記端子送り部は、前記連鎖体供給ガイド部を操作して前記端子連鎖体を所望の位置に制御する
上記［２］に記載の端子圧着システム（１）。
　［４］　前記電線を挿通して保持するとともに前記電線の送り出し方向に沿って複数に分割された電線ノズル（電線ガイドノズル１８０）と、
　前記電線ノズルの分割された構成間に配置され、前記電線を矯正する矯正ローラー（第１矯正ローラー部１３２ａと第２矯正ローラー部１３２ｂ）と、
　前記電線ノズルの分割された構成間であって前記矯正ローラーより下流側に配置され、前記電線を所定の方向に送り出す電線送り部（１４１）と、
を有する電線供給装置（１１０）をさらに備える
上記［１］～［３］の何れか１つに記載の端子圧着システム（１）。
　［５］　前記電線ノズルを複数並列に保持するノズルホルダ（１７０）を備え、
　前記電線ノズルは、前記ノズルホルダに複数並列に配置され、
　前記ノズルホルダは、前記矯正ローラー及び前記電線送り部を備える電線供給装置本体（電線色替え・供給部１２０）に着脱可能であって、かつ、複数の前記電線ノズルのうち選択した一つの電線ノズルが前記矯正ローラー及び前記電線送り部に対応する位置に制御される
上記［４］に記載の端子圧着システム（１）。
　［６］　前記端子供給装置は、
　前記端子リール（３７０）が収容されるリールセット（３３０）を有する端子供給段取交換装置（３１０）であって、
　前記リールセットを複数並べて収容可能なリールセット収容部（リールセット保持フレーム３２５ａ，３２５ｂ）と、
　前記リールセット収容部を並べた方向に往復移動させる第１の駆動部（左右スライド部３２４）と、
　複数の前記リールセットから選択された一つのリールセットを前記端子の供給方向に往復移動させる第２の駆動部（前後スライド部３２８）と、
　前記リールセット収容部が並べられた方向に配置され略面一に配置されたプレート部材（スライド壁部３５０）と、
　を有し、
　前記プレート部材は、位置が固定された固定プレート（固定スライド壁部３５１）と、前記第２の駆動部に連結され移動可能な可動プレート（可動スライド壁部３５２）とを有し、
　前記リールセットは、前記プレート部材に嵌合しつつ前記リールセット収容部を並べた方向に移動可能とする嵌合部（ガイド係止部３４２）を備える
上記［１］～［５］の何れか１つに記載の端子圧着システム（３０１）。

　以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
　なお、本出願は、２０１４年５月２６日出願の日本特許出願（特願２０１４－１０７８０１）、２０１４年１０月２８日出願の日本特許出願（特願２０１４－２１９１５５）及び２０１４年１１月２６日出願の日本特許出願（特願２０１４－２３８６００）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明の端子圧着システムによれば、ワイヤハーネス等を製造するための電線の供給において作業効率の向上を実現する技術を提供すると共に、端子リールを有する端子供給装置における端子リールの交換作業を効率化し、端子圧着システムの設備稼働率を上げ実生産能力を向上させることができる。

１　端子圧着システム
２０　端子圧着装置
２２　アプリケーター選択部
２３　係止突起
２５　加圧部
３０　端子送り部
３２、３４　サーボモーター
３６　係止部
４０　端子圧着部
４１ａ　第１アプリケーター
４１ｂ　第２アプリケーター
４１ｃ　第３アプリケーター
４１ｄ　第４アプリケーター
４１ｅ　第５アプリケーター
４２　上部アプリケーター
４３　下部アプリケーター
４４　上部金型
４５　下部金型
４６　選択係止部
４７　選択係止部
５０　端子供給段取交換装置（端子供給装置）
５２　リールセット保持フレーム
６０　端子供給リールセット（リールセット）
６２　リール保持フレーム
６４　連鎖体供給ガイド部
６４ａ　連鎖体供給ガイド部本体
６５　係止穴
６５ａ　押し付け部
６６　上レール
６８　下レール
７０　端子リール
８０　端子連鎖体
８２　端子
８２ａ　被覆部バレル
８４　連結部
８４ａ　パイロット穴
９０　電線
１１０　電線供給装置

Claims

　端子が複数連なった端子連鎖体が巻装された端子リールを複数備えた端子供給装置と、
　前記端子供給装置から供給された前記端子連鎖体の前記端子が電線に圧着される端子圧着装置と、を備え、
　前記端子圧着装置は、複数のアプリケーターを備え、上位の制御装置の指令によって圧着する前記端子の仕様または前記電線の仕様に応じて、圧着に使用される前記アプリケーターが選択される端子圧着システム。
　前記複数の端子リールから所望の端子リールが選択されて前記端子連鎖体が前記アプリケーターへ供給される端子送り部を備え、
　前記端子送り部は、アクチュエーターによって、前記端子連鎖体を所望の位置に制御する
請求項１に記載の端子圧着システム。
　前記端子リールは、前記端子連鎖体の送り側端部を持って、前記端子圧着装置の前記アプリケーターへ供給する連鎖体供給ガイド部を備え、前記端子送り部は、前記連鎖体供給ガイド部を操作して前記端子連鎖体を所望の位置に制御する
請求項２に記載の端子圧着システム。
　前記電線を挿通して保持するとともに前記電線の送り出し方向に沿って複数に分割された電線ノズルと、
　前記電線ノズルの分割された構成間に配置され、前記電線を矯正する矯正ローラーと、
　前記電線ノズルの分割された構成間であって前記矯正ローラーより下流側に配置され、前記電線を所定の方向に送り出す電線送り部と、
を有する電線供給装置をさらに備える
請求項１～３の何れか１項に記載の端子圧着システム。
　前記電線ノズルを複数並列に保持するノズルホルダを備え、
　前記電線ノズルは、前記ノズルホルダに複数並列に配置され、
　前記ノズルホルダは、前記矯正ローラー及び前記電線送り部を備える電線供給装置本体に着脱可能であって、かつ、複数の前記電線ノズルのうち選択した一つの電線ノズルが前記矯正ローラー及び前記電線送り部に対応する位置に制御される
請求項４に記載の端子圧着システム。
　前記端子供給装置は、
　前記端子リールが収容されるリールセットを有する端子供給段取交換装置であって、
　前記リールセットを複数並べて収容可能なリールセット収容部と、
　前記リールセット収容部を並べた方向に往復移動させる第１の駆動部と、
　複数の前記リールセットから選択された一つのリールセットを前記端子の供給方向に往復移動させる第２の駆動部と、
　前記リールセット収容部が並べられた方向に配置され略面一に配置されたプレート部材と、
　を有し、
　前記プレート部材は、位置が固定された固定プレートと、前記第２の駆動部に連結され移動可能な可動プレートとを有し、
　前記リールセットは、前記プレート部材に嵌合しつつ前記リールセット収容部を並べた方向に移動可能とする嵌合部を備える
請求項１～５の何れか１項に記載の端子圧着システム。