WO2015163341A1 - 媒体取扱装置及び自動取引装置 - Google Patents

Abstract

　厚みやカールのある媒体を挿入すると、媒体とガイド面との間に生じる摩擦抵抗が大きくなるため挿入自体が困難になることや、挿入できる場合には媒体とガイド面との隙間で頁折れが生じてしまう。 媒体を挿入する挿入部を有し、挿入部は、上下に配置される第１のガイド部及び第２のガイド部から構成され、第１のガイド部は、媒体の挿入方向に対向する媒体の幅方向に、媒体との接触面における接線の傾きが大きくなる傾斜面を有することで、利用者の操作の容易性を確保しつつ、厚みのある媒体のカールをのばして挿入させ的確に装置内へ媒体を搬送することができる。

Description

媒体取扱装置及び自動取引装置

　本発明は、利用者との間で所定の取引を行う媒体取扱装置及び自動取引装置に関する。

　近年、銀行等の金融機関やコンビニエンスストアのような非金融機関の店舗に設置される自動取引装置（以下、ＡＴＭという。）では、通帳や伝票等を用いて取引をするものが主流となっている。そのため、ＡＴＭには通帳や伝票等の各種媒体をＡＴＭ装置内に取り込むための専用の挿入口が備えられている。
  ＡＴＭに構成される媒体挿入口の一つである通帳挿入口は、通帳をＡＴＭ内に取り込みあるいは排出を行う間口となっている。
  通帳挿入口には、特許文献１のように、利用者による通帳や伝票等の媒体を挿入しやすくするために挿入口ガイドが構成される。
  しかし、挿入される通帳は、顧客の保存状態によっては端が反っている（カールしている）ものがあり、そのような通帳が挿入される場合、通帳の端が挿入口ガイドの縁に衝突して通帳折れや通帳の破損を誘発し、通帳折れや通帳の破損がジャムの原因や頁マークの誤読・印字抜け等の原因につながることがある。
  そのため、特許文献２には、手差し用紙又は原稿の挿入を容易に行うため、媒体の挿入口が、上下のガイド部材から構成され、上側ガイド部材の前縁端を両端部側に進むにつれて後方へ後退した形状にする挿入ガイドが開示されている。

特開２００２－２１１８０１号公報 特開平１０－７２９２号公報

　特許文献２に開示された技術は、手差しの用紙や原稿といった薄い媒体を対象としており、挿入される媒体と水平な面で上ガイドと下ガイドとが構成されていても、媒体のカールを矯正することができる
  しかし、厚みがありさらにカールのある媒体を挿入すると、媒体とガイド面との間に生じる摩擦抵抗が大きくなるため挿入自体が困難になることや、挿入できる場合には媒体とガイド面との隙間で頁折れが生じてしまう。

　媒体を挿入する挿入部を有し、挿入部は、上下に配置される第１のガイド部及び第２のガイド部から構成され、第１のガイド部は、媒体の挿入方向に対向する媒体の幅方向に、媒体との接触面における接線の傾きが大きくなる傾斜面を有する。

　本発明の一側面によれば、利用者の操作の容易性を確保しつつ、厚みのある媒体のカールをのばして挿入させ的確に装置内へ媒体を搬送することができる。

媒体取扱装置の概略図 通帳挿入口の概略図 自動取引装置の外観図 通帳挿入口の斜視図 通帳挿入口の右側面断面図 通帳挿入口の斜視図 通帳挿入口の斜視図 通帳挿入口の右側面断面図 通帳挿入口を真上から見た図 通帳挿入口を真上から見た図 通帳挿入口を真上から見た図 通帳挿入口の右側面断面図 通帳挿入口の斜視図

　以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
  ［第１の実施形態］
  図１は、本発明を適用した媒体取扱装置の概略図を示す。
  本実施形態では、通帳を媒体として取り扱う通帳取扱装置１を媒体取扱装置の一例として説明する。しかし、本発明を適用する媒体取扱装置は、通帳取扱装置１に限られず、伝票等の種々の媒体を取り扱う装置に適用することができる。

　通帳取扱装置１は、通帳１０を装置１内に取り込む通帳挿入口２、その延長上に形成されて通帳１０を搬送する搬送路及び搬送ローラからなる搬送部３、通帳１０の磁気ストライプを読み書きする磁気記録機構部４、頁上に構成されているマークや印字済み行を読取る光学読取り部５、通帳１０に記帳するデータを印字する印字部６及び改頁部７等から構成される。

　図２は、通帳挿入口２の挿入口部分を示す概略図である。
  通帳挿入口２は、上ガイド部２０及び下ガイド部２１から構成される。また、下ガイド部２１の通帳１０挿入方向の長さは、上ガイド部２０よりも長く構成される。そのため、利用者は、通帳１０を通帳挿入口２に挿入する際、まず下ガイド部２１上に通帳１０を置き、次いで通帳１０を差し込むことができ、通帳１０を安定して通帳挿入口２に挿入することができる。

　図３は、自動取引装置３０の外観を示す斜視図である。
  自動取引装置３０は、筐体の前面部３１に、通帳挿入口３２、カード挿入口３３、硬貨投入口３４及び利用者操作部３５を備え、通帳取扱装置１と同様の機構である通帳処理部３６を内蔵する。

　通帳挿入口３２は、通帳処理部３６の一部を構成し、利用者による通帳１０の挿入を受け付ける。また、印字後の通帳１０を排出する。
  カード挿入口３３は、利用者による磁気ストライプカード（いわゆるキャッシュカード）の挿入を受け付け、処理後の磁気ストライプカードを排出する。
  貨幣投入口３４は、図示しない受け皿をその内部に有し、受け皿を利用して、利用者が投入した貨幣の入金や出金を行う。

　利用者操作部３５は、利用者への入出金取引等のためのメニュー表示や、利用者による操作入力の受付を行う。利用者操作部３５は、タッチパネルや、ディスプレイと入力用スイッチ（ボタンキー）との組み合わせにより構成することができる。
  通帳処理部３６は、通帳挿入口３２から挿入された通帳１０に口座残高や取引履歴を印字して排出する処理の他、新たな通帳１０を発行する処理を実行する。

　図４は、通帳挿入口２での媒体折れの発生の様子を示す。
  図４ａは、両端にカール４１ができている通帳１０を通帳挿入口２に挿入した斜視図を示す。通帳１０の印字面は、外側のカバー紙よりも薄くて折り曲げしすい紙面で頁構成されるものが一般的であり、特に、通帳１０の端部は、保存状態によってカールすることが多い。
  図４ｂは、通帳１０の挿入により、カール４１が、通帳挿入口２の上ガイド部２０に引っかかり（衝突し）、頁折れが生じている様子を右側面断面図で示す。

　通帳１０のカール４１は、通帳挿入口２の上ガイド部２０の縁に真対向に衝突すると、通帳１０は、衝突により発生する抵抗を紙面上で逃がすことなく受け止めてしまう。そのため、カール４１が矯正されることなく、頁折れとなってしまう。
  また、通帳１０が、頁折れの状態で通帳取扱装置１の内部に取り込まれると、搬送不良等の機器異常を発生させて通帳取扱装置１の休止の原因となってしまう。さらに、複数頁から構成される通帳１０では、破損により誤った頁マークが光学読取部５により読み取られ、印字されるべき頁に印字されずに誤取引につながる。

　図５及び図６は、本実施形態の通帳挿入口２を示す。

　図６ａは、図５（ａ）の下方から通帳挿入口２を示す斜視図である。
  図６ａに示すように、通帳挿入口２の上ガイド部２０は、通帳１０と接触する接触面における接線５０の傾きが、通帳の幅方向に大きくなる傾斜面で構成される（図６ａ通帳挿入口２の正面拡大図）。即ち、上ガイド部２０の中央部と端部とでは、下ガイド部２１との距離が異なる。

　本実施形態の上ガイド部２０は、下ガイド部２１と略平行に設けられている中央面６０及び、中央面６０と接続して通帳１０との接触面における接線の傾きが通帳１０の幅方向に大きくなる傾斜面６１・６２、の三面から構成される。
  中央面６０と傾斜面６１・６２とでは、それぞれ下ガイド部２１との距離が異なり、傾斜面６１・６２の方が中央面６０よりも下ガイド部２１との距離が長くなる。しかし、上ガイド部２０は、上述した三面の構成に限られず、接触面が通帳１０の幅方向に傾斜する半円状の一面構成される等、種々の構成を適用することができる。

　図６ｂは、図５（ｂ）の位置における通帳挿入口２の右側面断面図を示す図である。
  図６ｂに示すように、上ガイド部２０は、通帳挿入口２から通帳１０の挿入方向に向かって上ガイド部２０と下ガイド部２１との高さ方向の距離が短くなるように傾斜する（図６ｂのＡ）。また、下ガイド部２１の利用者側の縁は、その一部が傾斜面で構成される（図６ｂのＢ）。

　図６ｃは、図５（ｃ）の上方から通帳挿入口２を示す図である。
  図６ｃに示すように、通帳挿入口２の上ガイド部２０の縁は、挿入された通帳１０が、通帳挿入口２の中央部から通帳１０の幅方向外側に接触するように、通帳挿入口２の幅方向外側に向かって円弧の曲線を描くように構成される。

　本実施形態では、上ガイド部２０の縁の中央部分が、通帳１０の搬送（挿入）方向と対向する直線６３ａで構成され、中央部分から通帳１０の幅方向外側は、円弧の曲線６３ｂ・６３ｃで形成される。
  しかし、形状はこれに限られず、例えば、上ガイド部２０の縁全体が円弧の曲線で形成される構成としても良い。

　図７は、頁の両端がカールになっている状態の通帳１０を通帳挿入口２に挿入した様子を、通帳挿入口２の上方から描いた図を示す。
  図７ａは、通帳１０が通帳挿入口２に挿入される際に、通帳１０に上ガイド部２０が機能する様子を説明する図である。

　上ガイド部２０は、下ガイド部２１と略平行な面である平行面６０と、通帳１０の接触面における接線の傾きが、通帳１０の幅方向に大きくなり、中央面６０よりも下ガイド部２１との距離が長くなる左右の傾斜面６１・６２とから構成される。そのため、通帳１０が通帳挿入口２に挿入されると、最もカールの浮き上がりの小さい通帳１０の中央部分が、通帳挿入口２の上ガイド部２０の中央面６０に接触する。次いで、通帳１０のカール部分７０が、稜線７１に接触する。

　稜線７１は、中央面６０と傾斜面６１・６２との接続線であり、通帳１０の挿入方向に逆ハの字の形状に形成される。即ち、中央面６０と傾斜面６１から形成される稜線７１と、中央面６０と傾斜面６２から形成される稜線７１との間隔が、通帳１０の挿入方向に広くなる。

　稜線７１は、通帳１０のカール部分７０の基点となり頁浮きの小さい中央部を下へ押える作用を働かせ、通帳１０は、挿入されるにつれて下ガイド部２１方向に押圧される。そのため、上ガイド部２０が通帳１０に与える抵抗は、通帳１０の幅方向左右両側へ逃がされるため、通帳１０のカール部分７０が平らな状態にのばされる。従って、通帳１０のカール部分７０が折れ返ることや、通帳１０の破損を生じさせることなく、通帳１０を通帳挿入口２へ挿入することができる。

　図７ｂは、上ガイド部２０の縁７２が、通帳１０の幅方向外側に向かって円弧の曲線で構成されることを示す。
  上ガイド部２０の縁７２を円弧の曲線で構成することにより、通帳１０のカール部分７０のうち最もカールの浮き上がりの小さい通帳１０の中央部分が、まず上ガイド部２０の縁７２ａに接触し、次いで浮き上がりの大きいカール部分７０が上ガイド部２０の縁７２ｂ・７２ｃに遅れて接触することになる。即ち、通帳１０のカール部分７０の浮き上がりの大きい部分と小さい部分とで、上ガイド部２０との接触タイミングを変えることができる。

　これにより、カール部分７０が上ガイド部２０の縁７２から受ける抵抗は、上ガイド部２０の縁７２から直角方向７３に向かうため、カール部分７０の抵抗を軽減することができる。その結果、カール部分７０の浮きを下に押し下げて平らな状態にのばす作用が働き、通帳１０が折れ返ることなく通帳取扱装置１に挿入することができる。

　また、通帳挿入口２の上ガイド部２０は、図６ｂのＡに示すように、通帳挿入口２から通帳１０の挿入方向に向かって上ガイド部２０と下ガイド部２１との高さ方向の距離が短くなるように傾斜する。
  そのため、上ガイド部２０は、挿入の際に通帳１０に対してカールを平面状態にのばす方向に作用することができる。また、利用者側の間口は広く確保できるため、利用者による通帳１０の挿入操作の容易性を確保することもできる。

　さらに、図８に示すように、通帳挿入口２の下ガイド部２１は、利用者側の縁の一部が傾斜面８０で構成される。そのため、利用者側の間口は広く確保されると共に、下ガイド部２１の傾斜面８０に沿って下方向から通帳１０を挿入することを利用者に促し、カールのある通帳１０の先端が垂直面８１に衝突する可能性を軽減して、上ガイド部２０の傾斜面８２に導くことができる。

　［第２の実施形態］
  第１の実施形態では、通帳１０が、印字面を上ガイド部２０に対面するように開帳され、通帳取扱装置１内部に取り込まれる。そのため、印字面側の頁で生じやすい頁折れを防止すべく、上ガイド部２０に本発明を適用するものである。
  第２の実施形態は、第１の実施形態で適用した上ガイド部２０の特徴を下ガイド部２１に適用するものである。
  第２の実施形態では、第１の実施形態と同様の構成については説明を省略し、同一の符号を使用して説明する。

　図９は、第２の実施形態における通帳取扱装置１を示す。
  下ガイド部２１は、上ガイド部２０と略平行に設けられる中央面９０及び、中央面９０と接続して通帳１０との接触面における接線の傾きが通帳１０の幅方向に大きくなる傾斜面９１・９２から構成される。

　また、第１の実施形態と同様に、中央面９０と傾斜面９１・９２からなる稜線は、通帳１０の挿入方向に逆ハの字の形状、即ち、稜線の間隔が広くなるように形成される。
  そのため、通帳１０のカール４１が折れ返って挿入されることや、通帳１０の破損を生じさせることなく、通帳１０を通帳取扱装置１へ挿入することができる。

　さらに、第１の実施形態と同様に、下ガイド部２１の挿入側の縁９３は、通帳１０の幅方向外側に向かって円弧の曲線で構成される。
  そのため、通帳１０のカール４１の浮きを上ガイド部２０の方向に押し上げることができ、通帳１０の折れ返りを防ぐことができる。

　以上、本発明を実施するための形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、その趣旨を変更することのない範囲で種々の構成や動作を適用可能である。

　１　　通帳取扱装置
　２　　通帳挿入口
　３　　搬送路
　４　　磁気記録部
　５　　光学読取り部
　６　　印字部
　７　　改頁部
　１０　通帳
　２０　上ガイド部
　２１　下ガイド部
　３０　自動取引装置
　３１　筐体の前面部
　３２　通帳挿入口
　３３　カード挿入口
　３４　貨幣投入口
　３５　利用者操作部
　３６　通帳処理部
　６０　中央面
　６１・６２　上ガイド部の傾斜面
　８０　下ガイド部の傾斜面
　９０　下ガイド部の中央面
　９１・９２　下ガイド部の傾斜面

Claims (14)

1. 　媒体を挿入する挿入部を有し、
   　前記挿入部は、上下に配置される第１のガイド部及び第２のガイド部から構成され、
   　前記第１のガイド部は、挿入される前記媒体の幅方向に、前記媒体との接触面における接線の傾きが大きくなる傾斜面を有することを特徴とする媒体取扱装置。
2. 　請求項１に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記第１のガイド部の中央部と端部とでは前記第２のガイド部との距離が異なることを特徴とする媒体取扱装置。
3. 　請求項２に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記第１のガイド部は、前記第２のガイド部と第１の距離にある中央面と、前記中央面に接続され前記下ガイド部と第２の距離にある第１と第２の傾斜面から構成されることを特徴とする媒体取扱装置。
4. 　請求項３に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記中央面と前記第１の傾斜面とが接続されてなす第１の接続線と、前記中央面と前記第２の傾斜面とが接続されてなす第２の接続線との線の間隔は、前記媒体の挿入方向に広がるように形成されることを特徴とする媒体取扱装置。
5. 　請求項４に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記第１のガイド部の前記中央面、前記第１の傾斜面及び前記第２の傾斜面は、前記第２のガイド部との高さ方向の距離が、前記媒体の挿入方向に短くなるように傾斜することを特徴とする媒体取扱装置。
6. 　請求項５に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記第１のガイド部の挿入側の縁は、前記媒体の挿入方向に対向する前記媒体の幅方向における中央部と端部に、それぞれ異なるタイミングで接する形状で構成されることを特徴とする媒体取扱装置。
7. 　請求項６に記載の媒体取扱装置であって、
   　前記第２のガイド部の一部は、傾斜面であることを特徴とする媒体取扱装置。
8. 　通帳を用いて取引処理を行うための通帳処理部を有し、
   　前記通帳処理部は、前記通帳を自動取引装置内に挿入するための通帳挿入口を有し、
   　前記通帳挿入口は、第１のガイド部及び第２のガイド部から構成され、
   　前記第１のガイド部は、前記媒体の挿入方向に対向する前記媒体の幅方向に、前記媒体との接触面における接線の傾きが大きくなる傾斜面を有することを特徴とする自動取引装置。
9. 　請求項８に記載の自動取引装置であって、
   　前記第１のガイド部の中央部と端部とでは前記第２のガイド部との距離が異なることを特徴とする自動取引装置。
10. 　請求項９に記載の自動取引装置であって、
    　前記第１のガイド部は、前記第２のガイド部と第１の距離にある中央面と、前記中央面に接続され前記下ガイド部と第２の距離にある第１と第２の傾斜面から構成されることを特徴とする自動取引装置。
11. 　請求項１０に記載の自動取引装置であって、
    　前記中央面と前記第１の傾斜面とが接続されてなす第１の接続線と、前記中央面と前記第２の傾斜面とが接続されてなす第２の接続線との線の間隔は、前記媒体の挿入方向に広がるように形成されることを特徴とする自動取引装置。
12. 　請求項１１に記載の自動取引装置であって、
    　前記第１のガイド部の前記中央面、前記第１の傾斜面及び前記第２の傾斜面は、前記第２のガイド部との高さ方向の距離が、前記媒体の挿入方向に短くなるように傾斜することを特徴とする自動取引装置。
13. 　請求項１２に記載の自動取引装置であって、
    　前記第１のガイド部の挿入側の縁は、前記媒体の挿入方向に対向する前記媒体の幅方向における中央部と端部に、それぞれ異なるタイミングで接する形状で構成されることを特徴とする自動取引装置。
14. 　請求項１３に記載の自動取引装置であって、
    　前記第２のガイド部の一部は、傾斜面であることを特徴とする自動取引装置。

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