以下に、本発明の実施例1の自動取引装置について添付の図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の自動取引装置の一例としてのATM(Automated Teller Machine)100の構成を示しており、図2は、ATM100の外観を示す斜視図及びATM100を含むシステム200を示している。尚、ATM100は、例えば金融機関の各支店に設置されており、夫々金融機関のホストコンピュータHCに接続されている。
ATM100は、制御部11によって動作制御がなされる。記憶部12は、制御部11の処理に必要なデータ及び処理において発生するデータを適宜記憶するハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。
通信部13は、制御部11の指示に従って外部とのデータの送受信等の通信を行うためのNIC(Network Interface Card)等である。通信部13は、例えば、後述の取引制御おいて生ずるホストコンピュータHC等の外部機器との通信を行う。
操作表示部14は、図2に示すようにATM100の前面に設けられている。操作表示部14は、告知部としてのディスプレイ14Aと、当該ディスプレイ14Aの表示面を覆う入力受付部としてのタッチパッド14Bとを含む。ティスプレイ14Aは、制御部11から供給された操作表示信号に基づき、各種の操作画面又はメッセージ等を含む取引画面を表示する、例えば液晶表示装置である。
タッチパッド14Bは、使用者がディスプレイ14Aに表示された内容に対応した領域に触れると、当該表示された内容に対応した操作信号を制御部11に供給する、例えば感圧式または静電式のタッチパッドである。
現金入出機構15は、制御部11から供給された開閉制御信号に応じて、図2に示すようにATM100の前面に設けられている紙幣入出口17及び硬貨入出口19のシャッタの開閉を行う。また、現金入出機構15は、制御部11から供給された現金引出信号に応じて、紙幣または硬貨が格納されている現金格納庫(図示せず)から、当該現金引出御信号にて示される金額に対応した紙幣または硬貨を取り出して、それぞれ紙幣入出口17及び硬貨入出口19に導出する。更に、現金入出機構15は、使用者が紙幣入出口17または硬貨入出口19に投入した紙幣または硬貨を取り込み、現金格納庫に格納する。
通帳記帳機21は、図2に示すようにATM100の前面に設けられている通帳挿入排出口23に顧客の預金通帳が挿入されると、これを取り込む。この際、通帳記帳機21は、制御部11から供給された取引結果信号にて示される取引内容、及び当該取引の実行日時等を、顧客の預金通帳に書き込む。当該書き込みが終了すると、通帳記帳機21は、顧客の預金通帳を通帳挿入排出口23から排出する。
カード読取印刷機25は、図2に示すATM100の前面に設けられているカード挿入口としてのカード挿入排出口27に顧客の取引カードが挿入されると、当該取引カードを取り込んで当該取引カードが保持している顧客情報を読み取る。カード読取印刷機25は、この読み取られた顧客情報を表す顧客情報データを制御部11に供給する。
カード読取印刷機25は、制御部11からカード排出信号が供給された場合には、取り込んだ取引カードをカード挿入排出口27から排出させる。また、カード読取印刷機25は、制御部11から供給された取引明細プリント信号に応じて、当該取引明細プリント信号にて表される取引結果を明細票用紙に印刷する。
図3は、カード読取印刷機25の内部構造を示す概略側面図である。図3において、カード読取印刷機25内に供給された例えばクレジットカード等の取引カードをカードCとして示す。また、カードCの裏面の構成の一例を図4に示している。
カード読取印刷機25内には、カードCが搬送される直線状のカード通過領域としての搬送路29設けられている。この搬送路29は、上下一対のガイド板によって形成された空間として形成されており、一端においてカード挿入排出口27において開口している。すなわち、カード挿入排出口27は、搬送路29と連通している。
搬送ローラ31A〜31Cは搬送路29に沿って上下に対向して複数対(本実施例では3対)設けられた搬送ローラである。この搬送ローラ31A〜31Cはカード読取印刷機25に設けられたモータMによりギアやベルト等の機構(図示せず)を介して駆動され、搬送路29内でカードCを搬送する。
カード検知センサ33A〜33Dは、搬送路29内におけるカードCの存在及びその位置を検知するセンサである。カード検知センサ33A〜33Dは、搬送路29に沿って、カード挿入排出口27からみてこの順に配されている。カード検知センサ33A〜33Dは、例えば、搬送路29を挟み込むように対向して配された発光素子と受光素子によって構成されていてもよい。
磁気ヘッド35A、35Bは、カードCの磁気ストライプMS(図4参照)に記録された磁気データの読取処理等を行う磁気ヘッドである。磁気ヘッド35A、35Bは、搬送路29に沿った所定の位置、例えば、カード挿入排出口27からみて2つめの搬送ローラである搬送ローラ31Bの近傍の位置に、搬送路29を挟み込むように対向して配されている。なお、磁気ストライプが表面と裏面のいずれか一方のみに形成されるカードのみを取り扱う場合には、磁気ヘッド35Aまたは35Bのいずれか一方の磁気ヘッドのみを設けることとしてもよい。
エンボス読取センサ37は、カードCの表面のエンボス文字EC(図4参照)を読取るための、例えば光学反射式の読取りセンサある。エンボス読取センサ37は、例えば磁気ヘッド35Aに隣接するように配置されている。
署名欄読取部としての署名欄読取センサ39は、カードCの裏面の署名欄SS(図4参照)の記入状態、例えば署名欄SSに記入された署名(文字・図形等)を光学的に読み取るための、例えばCCD(Charge-Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のイメージセンサである。署名欄読取センサ39は、例えば、搬送路29を挟んでエンボス読取センサ37と対向する位置に配されている。
署名欄読取センサ39は、署名欄SSの状態を読み取った際に制御部11内の判定部11Aに署名欄SSについての読取結果信号を送信する。判定部11Aは、当該読取結果信号に基づいて、当該署名欄SSの状態についての判定を行う。
図5及び図6に制御部11によって実行される取引制御ルーチンを示す。制御部11は、例えば、電源が投入されると図5及び図6に示す取引制御ルーチンを実行する。なお、ATM100に人感センサ等を設けて、顧客がATM100に近づいたことが検出された際に取引制御ルーチンが実行されることとしてもよい。
図5に示すように、先ず、制御部11は、顧客にカードC(図4参照)をカード挿入排出口27(図2参照)挿入させるべく、カード挿入誘導表示をディスプレイ14Aに表示させる(ステップS1)。次に、制御部11は、顧客がカードCをカード挿入排出口27に挿入したか否かの判定を行う(ステップS2)。この判定は、例えば、最もカード挿入排出口27の近傍に配されているカード検知センサ33Aがカードを検知したか否かによって行ってもよい。
制御部11は、ステップS2においてカードが挿入されたと判定すると、カード読取印刷機25にカードを取り込ませる(ステップS3)。このカードの取り込み動作は、搬送ローラ31A〜31Cを適宜駆動させることで行われる。このカード取り込み動作において、カードCは搬送路29に沿って移動させられ、磁気ヘッド35A、35B、エンボス読取センサ37及び署名欄読取センサ39近傍を通過する。
制御部11は、ステップS2においてカードが挿入されていないと判定すると、ディスプレイ14Aにカード挿入誘導表示を継続させ、その後再度ステップS2を実行する。
カード取り込み動作(ステップS3)後に、制御部11は、カード読取印刷機25に、カードの磁気ストライプMS及びエンボス文字ECを読み取らせる。具体的には、磁気ヘッド35A、35B、及びエンボス読取センサ37にカードの磁気ストライプMS及びエンボス文字ECをそれぞれ読み取らせる。制御部11は、磁気ストライプMS及びエンボス文字ECの読取情報から当該挿入されたカードCのカード発行会社、カード番号、顧客の住所、電話番号等の顧客情報を生成し、この顧客情報を表す顧客データを記憶部12に保存する(ステップS4)。
制御部11は、ステップS4を実行した後、カード読取印刷機に署名欄SSを読み取らせる。具体的には、署名欄読取部としての署名欄読取センサ39に署名欄SSの記入状態を読み取らせ、当該読取情報を判定部に送信させる(ステップS5)。なお、ステップS5において、挿入されたカードCのカード発行会社情報等から署名欄SSの位置を特定し、署名欄SSの状態の読み取り精度を高めることとしてもよい。
続いて図6を参照する。ステップS5の実行後、制御部11内の判定部11Aは、署名欄SSの読取情報に基づいて、署名欄SSに記入がなされているか否か、すなわち署名が有るか否かを判定する(ステップS6)。判定結果は、署名が有る場合には署名欄SSが正常状態であるとし、署名が無い場合には署名欄SSが非正常状態であるとしてもよい。
また、この判定は、カードCの種類に応じた署名欄背景画像を記憶部12に予め準備しておき、当該署名欄背景画像と署名欄SSの読取画像を比較することで行ってもよい。
判定部11AがステップS6において署名欄SSに記入がなされている、すなわち署名が有ると判定すると、制御部11は、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を行わせる(ステップS7)。ステップS7において表示される取引種別入力受付表示は、行いたい取引の選択入力を使用者に促す表示であり、例えば図7に示すような表示である。
制御部11AがステップS6において署名欄SSに記入がなされていない、すなわち署名が無い未記入状態であると判定すると、制御部11はディスプレイ14Aに署名が無い旨を告知する表示を行わせ(ステップS8)、その後に取引種別入力受付表示を行わせる(ステップS7)。ステップS8における告知表示は、例えば図8に示すような表示を行うこととする。
制御部11は、ステップS7の実行後、使用者によってタッチパッド14Bを用いた取引種別の入力が行われたか否かを判定する(ステップS9)。制御部11は、ステップS9において取引種別の入力が行われていないと判定すると、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS9を実行する。
制御部11は、ステップS9において取引種別の入力が行われたと判定すると、ディスプレイ14Aに暗証番号入力受付表示を行わせる(ステップS10)。暗証番号入力受付表示は、使用者に暗証番号の入力を促す表示であり、例えば図9に示すような表示である。
制御部11は、ステップS10を実行した後、タッチパッド14Bによって、暗証番号の入力が行われたか否かを判定する(ステップS11)。制御部11は、暗証番号の入力が行われていないと判定した場合、暗証番号入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS11を実行する。
制御部11は、ステップS11において暗証番号の入力が行われたと判定すると、当該入力された暗証番号が正当であるか否かを判定する(ステップS12)。この判定は、例えば、ホストコンピュータHCに当該暗証番号を照会することで行ってもよい。
制御部11は、暗証番号が正当であると判定すると、ディスプレイ14Aに取引金額入力受付表示を行わせる(ステップS13)。制御部11は、暗証番号が正当でないと判定すると、ディスプレイ14Aに取引ができない旨を告知する表示を行わせる(ステップS14)。
制御部11は、ステップS13の実行後、取引金額が入力されたか否かを判定する(ステップS15)。制御部11は、ステップS15において取引金額の入力がされていないと判定した場合、取引金額入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS15を実行する。
制御部11は、ステップS15において取引金額が入力されたと判定すると、当該入力された取引金額及びステップS7とステップS9との間に入力された取引種別に基づいて、現金入出機構15に現金払い出し等の動作を行わせる(ステップS16)。
制御部11は、ステップS14またはS16の実行の後に、カード読取印刷機25にカードCを返却させ(ステップS17)、その後本ルーチンは終了する。
本実施例のATMによれば、クレジットカードを用いた取引時に、使用されるクレジットカードの署名欄の記入の有無が判定される。それにより、当該使用されるクレジットカードに署名がない場合に、ATMの使用者である顧客にその旨を注意喚起することができ、その後のクレジットカードの不正使用またはそれによって当該クレジットカードの持ち主に発生する損害を防止することが可能である。
例えば、署名の無いクレジットカードが挿入された際に、当該カードの署名欄への署名の記入を促すことで、署名未記入故に当該カードの紛失・盗難補償が適用されないといった問題の発生を減少させることが可能である。
以下に、本発明の実施例2の自動取引装置について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、実施例2の自動取引装置においては、取引制御ルーチンが実施例1のステップS6以降の部分において異なるのみであり、自動取引装置の機器構成は、実施例1のATM100と同様である。
なお、実施例2の自動取引装置においては、図10に示すように、システム200において、ATM100が図2に示したホストコンピュータHCに加えて、署名データベースサーバSDBにネットワークを介して接続されている。署名データベースサーバSDBは、クレジットカードの登録時等に予め登録された署名(署名原本)が保存されているデータベースである。
図11は、本実施例の取引制御ルーチンのうち実施例1の取引制御ルーチンと異なる部分を示している。上述のように、ステップS1〜S5までは、図5に示す実施例1の取引ルーチンと同一である。
図11に示すように、署名欄SSの読取を行うステップS5(図5)の終了後、制御部11内の判定部11Aは、署名欄SSの読取情報に基づいて、署名欄SSに記入がなされているか否か、すなわち署名が有るか否かを判定する(ステップS6)。判定結果は、署名が有る場合には署名欄SSが正常状態であるとし、署名が無い場合には署名欄SSが非正常状態であるとしてもよい。
上記実施例1と同様に、この判定は、カードCの種類に応じた署名欄の背景画像を記憶部12に予め準備しておき、当該署名欄背景画像と署名欄SSの読取画像を比較することで行ってもよい。
判定部11Aは、ステップS6において署名欄SSに記入がなされている、すなわち署名が有ると判定すると、署名欄SSの読取情報を参照し、その署名欄SSの記載内容が正当なものであるか否かを判定する(ステップS7)。この正当か否かの判定は、例えば、挿入されたカードCの署名原本が保存されている署名データベースサーバSDBに接続し、署名欄SSの読取情報と署名データベースサーバSDB内に保存されている署名原本データとを照合し、署名欄SSの署名等の記入内容と保存されている署名原本の形状が類似するかまたは筆跡が一致するか等、両者が合致するか否かを判定することで行ってもよい。
なお、署名データベースサーバSDB内に保存されているどの署名原本と照合するかは、ステップS4において取得された顧客データに基づいて選択されてもよい。また、判定結果は、署名が正当な場合には署名欄SSが正常であるとし、正当ではない場合には署名欄SSが非正常状態としてもよい。
判定部11AがステップS6において署名欄SSに記入がなされていない、すなわち署名が無い未記入状態であると判定すると、制御部11はディスプレイ14Aに署名が無い旨を告知する表示を行わせる(ステップS8)。ステップS8における告知表示においては、実施例1の場合と同様に図8に示すような表示を行うこととしてもよい。
判定部11AがステップS7において署名欄SSの記入内容が正当なものである、すなわち署名原本と合致すると判定した場合及びステップS8の実行後に、制御部11は、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を行わせる(ステップS9)。ステップS9において表示される取引種別入力受付表示は、行いたい取引の選択入力を使用者に促す表示であり、実施例1の場合と同様に例えば図7に示すような表示を行うこととしてもよい。
判定部11AがステップS7において署名欄SSの記入内容が正当ではない、すなわち署名原本と合致しないと判定すると、制御部11はディスプレイ14Aに取引ができない旨の表示を行わせる(ステップS10)。ステップS10においては、例えば単に「お取引ができません」というようなメッセージを表示することとしてもよい。
制御部11は、ステップS9の実行後、使用者によってタッチパッド14Bを用いた取引種別の入力が行われたか否かを判定する(ステップS11)。制御部11は、ステップS11において取引種別の入力が行われていないと判定すると、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS11を実行する。
制御部11は、ステップS11において取引種別の入力が行われたと判定すると、ディスプレイ14Aに暗証番号入力受付表示を行わせる(ステップS12)。暗証番号入力受付表示は、実施例1の場合と同様、使用者に暗証番号の入力を促す表示であり、例えば図9に示すような表示としてもよい。
制御部11は、ステップS12を実行した後、タッチパッド14Bによって、暗証番号の入力が行われたか否かを判定する(ステップS13)。制御部11は、暗証番号の入力が行われていないと判定した場合、暗証番号入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS13を実行する。
制御部11はステップS13において、暗証番号の入力が行われたと判定すると、当該入力された暗証番号が正当であるか否かを判定する(ステップS14)。この判定は、上記実施例1と同様に、例えば、ホストコンピュータHCに当該暗証番号を照会することで行ってもよい。
制御部11は、ステップS14において暗証番号が正当であると判定すると、ディスプレイ14Aに取引金額入力受付表示を行わせる(ステップS15)。制御部11は、暗証番号が正当でないと判定すると、ステップS10を実行し、ディスプレイ14Aに取引ができない旨を告知する表示を行わせる。
制御部11は、ステップS15の実行後、取引金額が入力されたか否かを判定する(ステップS16)。制御部11は、ステップS16において取引金額が入力されていないと判定すると、取引金額入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS16を実行する。
制御部11は、ステップS16において取引金額が入力されたと判定すると、当該入力された取引金額及びステップS9とステップS11との間に入力された取引種別に基づいて、現金入出機構15に現金払い出し動作を行わせる(ステップS17)。
制御部11は、ステップS10またはS17の実行の後に、カード読取印刷機25にカードCを返却させ(ステップS18)、その後本ルーチンは終了する。
本実施例のATMによれば、クレジットカードを用いた取引時に、使用されるクレジットカードの署名欄の記入の有無が判定される。これにより、当該使用されるクレジットカードに署名がない場合に、ATMの使用者である顧客にその旨を注意喚起することができ、その後のクレジットカードの不正使用またはそれによって当該クレジットカードの持ち主に発生する損害を防止することが可能である。
また、本実施例のATMによれば、クレジットカードの署名欄に署名が有る際にクレジットカードの署名欄の記入内容の正当性を判定し、正当ではないと判定した場合には、取引を行わせない。これにより、クレジットカードの持ち主ではない第三者が署名欄に署名を記入してATMにおいて不正に使用しようとした場合に、当該第三者による当該不正使用を未然に防止することが可能である。
以下に、本発明の実施例3の自動取引装置について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、実施例3の自動取引装置においては、取引制御ルーチンが実施例1のステップS6以降の部分において異なるのみであり、自動取引装置の機器構成は、実施例1のATM100と同様である。なお、実施例3の自動取引装置においては、実施例2と同様に、ATM100がホストコンピュータHC及び署名データベースサーバSDBにネットワークを介して接続されている(図10)。
図12は、本実施例の取引制御ルーチンのうち実施例1の取引制御ルーチンと異なる部分を示している。上述のように、ステップS1〜S5までは、図5に示す実施例1の取引ルーチンと同一である。
図12に示すように、署名欄SSの読取を行うステップS5(図5)の終了後、制御部11内の判定部11Aは、署名欄SSの読取情報を参照し、署名欄SSに記入がなされているか否か、すなわち署名が有るか否かを判定する(ステップS6)。判定結果は、署名が有る場合には署名欄SSが正常状態であるとし、署名が無い場合には署名欄SSが非正常状態であるとしてもよい。
上記実施例1及び2と同様に、この判定は、カードCの種類に応じた署名欄背景画像を記憶部12に予め準備しておき、当該署名欄背景画像と署名欄SSの読取画像を比較することで行ってもよい。
判定部11Aは、ステップS6において署名欄SSに記入がなされている、すなわち署名が有ると判定すると、署名欄SSの読取情報に基づいて、その署名が正当なものであるかを判定する(ステップS7)。この正当か否かの判定は、例えば、上記実施例2と同様に、署名データベースサーバSDBに接続し、署名欄SSの読取情報と署名データベースサーバSDB内に保存されている署名原本とを照合し、署名欄SSの署名等の記入内容と保存されている署名の形状が類似するかまたは筆跡が一致するか等、両者が合致するか否かを判定することで行ってもよい。
なお、署名データベースサーバSDB内に保存されているどの署名原本と照合するかは、ステップS4において取得された顧客データに基づいて選択されてもよい。また、判定結果は、署名が正当な場合には署名欄SSが正常状態であるとし、正当ではない場合には署名欄SSが非正常状態としてもよい。
判定部11AがステップS6において署名が記入されていない、すなわち署名が無い未記入状態であると判定すると、制御部11はディスプレイ14Aに署名が無い旨を告知する表示を行わせる(ステップS8)。ステップS8における告知表示においては、実施例1の場合と同様に図8に示すような表示を行うこととしてもよい。
制御部11は、ステップS8の実行後、及びステップS7において判定部11Aが署名欄SSの記入内容が正当ではない、すなわち署名原本と合致しないと判定すると、ディスプレイ14Aに署名の書き込みを促す署名受付表示を行わせる(ステップS9)。ステップS9における表示は、例えば、図13に示すような、署名記入欄EF及び確認ボタンCBを含む表示であってもよい。なお、ステップS7における署名が正当ではないという判定は、署名実際に不正である場合以外に、例えば、署名欄SSの汚損または署名欄読取センサ39の不具合による読取不良が原因の場合もあり得る。
制御部11は、ステップS9の実行の後、署名の記入が完了したか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、タッチパッド14Bからの入力によって、署名記入欄EFへの記入が行われ、その後に画面上の確認ボタンCBが押されたか否かを判定することで行われてもよい。なお、署名記入欄EFへの署名の記入は、タッチパッド14Bを指でなぞることで行われても良いし、スタイラスペン等を用いて行われてもよい。
制御部11がステップS10において署名の記入が完了していると判定すると、判定部11Aは署名記入欄EFに記入された署名が正当なものであるか否かを判定する(ステップS11)。この正当か否かの判定は、ステップS7と同様に、例えば、署名データベースサーバSDBに接続し、記入された署名と署名データベースサーバSDB内に保存されている署名原本データとを照合し、記入された署名と保存されている署名原本の形状が類似するかまたは筆跡が一致するか等、両者が合致するか否かを判定することで行ってもよい。
制御部11は、ステップS10において署名の記入が完了していないと判定すると、ディスプレイ14Aに署名受付表示を継続させ、その後再度ステップS10を実行する。
ステップS7において判定部11Aが署名が正当である、すなわち署名原本と合致すると判定するか、またはステップS11において判定部11Aが署名が正当なものであると判定すると、制御部11はディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を行わせる(ステップS12)。ステップS12において表示される取引種別入力受付表示は、行いたい取引の選択入力を使用者に促す表示であり、実施例1の場合と同様に例えば図7に示すような表示であってもよい。
制御部11は、ステップS12の実行後、使用者によってタッチパッド14Bを用いた取引種別の入力が行われたか否かを判定する(ステップS13)。制御部11は、ステップS13において取引種別の入力が行われていないと判定すると、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS13を実行する。
制御部11は、ステップS13において取引種別の入力が行われたと判定すると、ディスプレイ14Aに暗証番号入力受付表示を行わせる(ステップS14)。暗証番号入力受付表示は、実施例1及び2の場合と同様、使用者に暗証番号の入力を促す表示であり、例えば図9に示すような表示である。
制御部11は、ステップS14を実行した後、タッチパッド14Bによって、暗証番号の入力が行われたか否かを判定する(ステップS15)。制御部11は、暗証番号の入力が行われていないと判定した場合、暗証番号入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS15を実行する。
制御部11はステップS15において、暗証番号の入力が行われたと判定すると、当該入力された暗証番号が正当であるか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、上記実施例1及び2と同様に、例えば、ホストコンピュータHCに当該暗証番号を照会することで行ってもよい。
制御部11は、ステップS16において暗証番号が正当であると判定すると、ディスプレイ14Aに取引金額入力受付表示を行わせる(ステップS17)。制御部11は、ステップS11において署名が正当ではないと判定するかまたはステップS16において暗証番号が正当でないと判定すると、ディスプレイ14Aに取引ができない旨を告知する表示を行わせる(ステップS18)。
制御部11は、ステップS17の実行後、取引金額が入力されたか否かを判定する(ステップS19)。制御部11は、ステップS19において取引金額の入力がされていないと判定した場合、取引金額入力受付表示を継続させ、その後再度ステップS19を実行する。制御部11は、ステップS19において取引金額が入力されたと判定すると、当該入力された取引金額及びステップS12とステップS13との間に入力された取引種別に基づいて、現金入出機構15に現金払い出し動作を行わせる(ステップS20)。
制御部11は、ステップS18またはS20の実行の後に、カード読取印刷機25にカードCを返却させ(ステップS21)、その後本ルーチンは終了する。
本実施例のATMによれば、クレジットカードを用いた取引時に、使用されるクレジットカードの署名欄SSの記入の有無が判定される。これにより、当該使用されるクレジットカードに署名がない場合に、ATMの使用者である顧客にその旨を注意喚起することができ、その後のクレジットカードの不正使用またはそれによって当該クレジットカードの持ち主に発生する損害を防止することが可能である。
また、本実施例のATMによれば、クレジットカードの署名欄に署名が有る際にクレジットカードの署名欄の記入内容の正当性を判定し、正当ではないと判定した場合には、取引を行わせない。これにより、クレジットカードの持ち主ではない第三者が署名欄SSに署名を記入してATMにおいて不正に使用しようとした場合に、当該第三者による当該不正使用を未然に防止することが可能である。
また、本実施例のATMによれば、クレジットカードの署名欄に署名がない場合、または例えば署名が正当にもかかわらず汚損やセンサ不具合等で上手く読み取れず、正当でないと判定された場合に、その場で署名の入力を求めて当該入力された署名の正当性を判定する。それにより、署名がない場合または署名が正当でないと判定された場合でも、その場でカードの持ち主である使用者の本人確認を行うことができ、使用者の正当な使用を許容することが可能である。
以下に実施例4の取引システムについて、添付の図面を参照しつつ説明する。図14に示すように、本実施例のシステム200は、実施例2及び3と同様の構成を有するATM100、並びにATM100に接続されたホストコンピュータHC及び署名データベースサーバSDBを有している。なお、本実施例のATM100において実行される取引制御ルーチンは、図12に示す実施例3の取引制御ルーチンと同様である。
本実施例において、署名データベースサーバSDBは、署名欄SSの記入内容またはディスプレイ14Aに表示された署名記入欄EFに記入された署名が署名原本と合致するかを検証する検証部41を有する。本実施例において、署名欄SSの記入内容またはディスプレイに表示された署名記入欄EFに記入された署名が署名原本と合致するか否かの判定時に署名データベースサーバSDBが処理を行う。
具体的には、当該署名原本と合致するか否かの判定時に署名欄SSの記入内容またはディスプレイに表示された署名記入欄EFに記入された署名の情報を含む署名情報を署名データベースサーバSDBに送信される。その後署名データベースサーバSDBが、当該署名情報を用いて署名原本と合致するかの検証を行う。
図15に、署名原本と合致するか否かの判定時(図12のステップS7及びS11)においてシステム200においてなされる処理を示す。まず、判定部11Aは、署名欄SSの記入内容またはディスプレイに表示された署名記入欄EFに記入された署名を含む署名情報を署名データベースサーバSDBに通信部13を介して送信する(ステップS1)。
署名データベースサーバSDBは、当該署名情報を受信し、署名欄SSの記入内容またはディスプレイに表示された署名記入欄EFに記入された署名と署名原本が合致するか否かを検証する(ステップS2)。
その後、署名データベースサーバSDBは当該検証の結果を判定部11Aに送信する(ステップS3)。その後、判定部11Aは、受信した検証結果に基づいて、署名欄SSの記入内容またはディスプレイに表示された署名記入欄EFに記入された署名が署名原本と合致するかの判定を行う(ステップS4)。以上の処理で署名原本との合致が判定される。
本実施例のシステムによれば、実施例1乃至3におけるクレジットカードの署名欄に署名がない場合、または例えば署名が正当にもかかわらず汚損やセンサ不具合等で上手く読み取れず、正当でないと判定された場合に、その場で署名の入力を求めて当該入力された署名の正当性を判定する。それにより、署名がない場合または署名が正当でないと判定された場合でも、その場でカードの持ち主である使用者の本人確認を行うことができ、使用者の正当な使用を許容することが可能である。
本実施例のシステムによれば、クレジットカードを用いた取引時に、使用されるクレジットカードの署名欄の記入の有無が判定される。これにより、当該使用されるクレジットカードに署名がない場合に、ATMの使用者である顧客にその旨を注意喚起することができ、その後のクレジットカードの不正使用またはそれによって当該クレジットカードの持ち主に発生する損害を防止することが可能である。
また、本実施例のシステムによれば、クレジットカードの署名欄に署名が有る際にクレジットカードの署名欄の記入内容の正当性を判定し、正当ではないと判定した場合には、取引を行わせない。これにより、クレジットカードの持ち主ではない第三者が署名欄SSに署名を記入してATMにおいて不正に使用しようとした場合に、当該第三者による当該不正使用を未然に防止することが可能である。
また、本実施例のシステムによれば、クレジットカードの署名欄に署名がない場合、または例えば署名が正当にもかかわらず汚損やセンサ不具合等で上手く読み取れず、正当でないと判定された場合に、その場で署名の入力を求めて当該入力された署名の正当性を判定する。それにより、署名がない場合または署名が正当でないと判定された場合でも、その場でカードの持ち主である使用者の本人確認を行うことができ、使用者の正当な使用を許容することが可能である。
また、本実施例のシステムによれば、署名の正当性の検証をATMではなく外部装置が行うため、ATMの処理負担を増やすこと無く、署名の正当性を判定することが可能である。
[変形例1]
上記実施例においては、署名がない場合にも取引可能であるとしたが、署名がない場合には取引を不可能としてもよい。例えば、図16に示すように、実施例1の取引制御ルーチンにおいて、制御部11がステップS8における署名がない旨の告知の後に、ステップS14を実行して、取引ができない旨の表示を行ってもよい。すなわち、制御部11は、ステップS6において署名がないと判定した場合には使用者に取引を行わせないこととしてもよい。
このようにすることによって、署名が無い故に無効なクレジットカードによる取引を防止することが可能である。
[変形例2]
また、制御部11は、署名が無いまたは署名に正当性が無い故に取引ができない旨の表示をする前に、例えばATM100が銀行に設置している場合にはその旨を窓口に知らせ、かつ使用者を窓口に誘導するメッセージを表示することとしてもよい。
この場合、例えば、図17に示すように、実施例3の取引制御ルーチンにおいて、制御部11がステップS11の署名の正当性の有無の判定において、正当性が無いと判定した場合に、まず、送信部としての通信部13を介して、窓口に当該正当性が無い旨を通知する(ステップS18−1)。この通知は、例えば、窓口に設けられている端末装置等の外部装置によって受信されてもよい。
その後、制御部11が取引ができない旨の表示及び使用者を窓口に向かうように誘導する窓口誘導表示を行ってもよい(ステップS18−2)。このようにすることによって、実際に取引の場でなされた署名が正当なく、クレジットカードをATM100に挿入した使用者が当該カードの正当な所有者ではない蓋然性が高い場合に、防犯及び犯人検挙率を高めることが可能である。
また、クレジットカードをATM100に挿入した使用者が当該カードの正当な所有者である場合でも、窓口にて当該所有者にカードに署名を記入すべきことの注意喚起を行うことが可能である。
なお、図17に示すステップS18−1及びS18−2は、各実施例の署名が無いと判定された時点で実行されても良いし、カードに記入されている署名が正当で無いと判定された時点で実行されてもよい。
[変形例3]
また、ATM100に挿入されたクレジットカードの署名原本が、署名データベースサーバSDBの保持する署名原本リストに登録されていない場合には、当該カードの署名欄に記入されている署名を当該カードの所有者の署名原本として当該署名データベースサーバSDBに登録することとしてもよい。
図18に、この処理を実施例1の取引制御ルーチンに追加した場合の例を示す。図18に示すように、制御部11は、ステップS6において署名が有ると判定されると、カード読取印刷機25に挿入されたカードに対応する署名原本が署名データベースサーバSDBに登録されているか、すなわち保持されているかを判定する(ステップS6−1)。例えば、この判定は、図5のステップS4で読み取られたカード情報に対応する署名原本が有るか否かを照会することで行ってもよい。
制御部11は、ステップS6−1において当該カードの署名原本が登録されていないと判定すると、当該カードの署名欄SSに記入されている署名の読取データを通信部13を介して署名データベースサーバSDBに送信する。そして、当該署名を当該カードに対応する署名原本として署名データベースサーバSDBに登録する(ステップS6−2)。制御部11は、ステップS6−2の実行後に、ディスプレイ14Aに取引種別入力受付表示を行わせる(ステップS7)。これ以降の処理は実施例1で上述したのと同様である。
[他の変形例]
上記実施例においては、カードCの挿入後にディスプレイ14Aに図7のような取引選択画面を表示することとしたが、カード挿入前に取引選択画面を表示してその後にカードの挿入を促す表示をすることとしてもよい。例えば実施例1の場合、ステップS1のカード挿入誘導表示を行う前にステップS7の取引種別入力受付表示及びその後のステップS9の取引種別の入力が行われたかの判定が実行されてもよい。
この場合、署名の有無を判定するステップS6で署名が有ると判定された場合及び署名が無い旨を告知するステップS8が実行された後には、ステップS10の暗証番号入力受付表示が行われる。
上記実施例において、ATM100は、告知部としてのディスプレイ14Aを有する例を示したが、告知部はディスプレイ14Aに加えて音声を発するスピーカーを有していてもよい。当該スピーカーにより、ディスプレイ14Aに表示がなされる際に、当該表示と同様の内容を音声にて案内可能となる。
また、上記実施例においては、ATM100は、カードの署名欄が未記入の場合及び署名欄の記入内容が正当でない場合に、ATM100に挿入されたカードを返却する例を示した。しかし、このような場合にはカードを返却しないこととしてもよい。このようにすることで、署名が無いまたは署名欄の記入内容が正当では無いカードによる後の不正使用を防止することが可能である。
なお、上述したカード読取印刷機25内の磁気ヘッド35A、35B、エンボス読取センサ37及び署名欄読取センサ39の配置は、それぞれカードCの磁気ストライプMS、エンボス文字EC及び署名欄SSを読み取り可能であるならば任意である。
上記実施例においては、署名欄の記載及びタッチパッド14Bを介して記入された署名の正当性は、署名原本との合致を判定することで行うことを例に説明した。しかし、署名欄の記載及びタッチパッド14Bを介して記入された署名の正当性は、記憶部12に署名にもちいられる文字パターンを保存しておき、署名欄に当該パターンと乖離した文字が記載されているか否かで判定してもよい。
また、上記実施例ではATMを例に説明したが、上記構成及びルーチンはCD等の署名付きのカードを扱う他の装置においても適用可能である。
上述した実施例における種々の構成、ルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。