WO2015159595A1 - 電池パック - Google Patents

Abstract

　電池パックは、ケースを有している。ケースには、複数の電池セルが収容されている。ケースは、有底筒状のケース本体と、平板状の蓋体とを有している。ケース本体の各壁部は、開口部を囲む端面を有している。各壁部の端面には、シール材が設けられている。シール材は、互いに重なり合う内側重なり部と外側重なり部とを有している。内側重なり部には、第６の屈曲部によって、外側重なり部に向けて復元力が作用している。

Description

電池パック

　本発明は、電池パックに関する。

　電池パックの一例が、特許文献１に記載されている。特許文献１に記載の電池モジュールは、複数の単電池（電池セル）と、単電池を収容するモジュールケースとを備えている。

　ところで、ケース内に浸入した水などの液体やほこりは、電池セルの短絡の原因となり、電池セルを故障させるおそれがある。このため、ケースのシール性の向上が望まれている。

特開２００８－２５１３５２号公報

　本発明の目的は、ケースのシール性が向上する電池パックを提供することにある。

　上記課題を解決するため、本願発明の第一の態様によれば、電池セルと、電池セルを収容するケースとを備えた電池パックが提供される。ケースは、開口部を有するケース本体と、ケース本体に固定されて開口部を閉塞する蓋体と、ケース本体の開口部を囲む端面と蓋体との間に挟持され、開口部の形状に沿って屈曲された長尺状の弾性力を有するシール材とを備えている。シール材は、内側重なり部と、内側重なり部と重なり合うとともに内側重なり部よりも外側に配置される外側重なり部と、内側重なり部が外側重なり部に押しつけられるよう内側重なり部に復元力を作用させる内側屈曲部とを有する。

　長尺状のシール材を屈曲させてケース本体と蓋体との間に配置し、ケースのシール性を確保することがある。この場合、ケース本体と蓋体との間に隙間が生じないように、シール材の一部を重ね合わせる必要がある。このとき、内側重なり部と外側重なり部との間に隙間が生じていると、ケースのシール性が確保できない。この点、上記構成によれば、内側重なり部に作用する復元力によって、内側重なり部が外側重なり部に押しつけられる。これにより、内側重なり部と外側重なり部との密着性が向上する。よって、内側重なり部と外側重なり部との隙間が生じにくくなり、ケース本体と蓋体との間のシール性、すなわち、ケースのシール性が向上する。

本発明の一実施形態に係る電池パックを示す分解斜視図。 電池パックのケース本体を示す正面図。 シール材の内側重なり部と外側重なり部とを拡大して示す部分平面図。 変形例に係るシール材の内側重なり部と外側重なり部とを拡大して示す部分平面図。 変形例に係る内側重なり部と外側重なり部とを拡大して示す部分平面図。 変形例に係る内側重なり部と外側重なり部とを拡大して示す部分平面図。

　以下、本発明の電池パックを具体化した一実施形態について図１～図３を参照して説明する。以下の説明に際し、上下方向を、鉛直方向の上下方向とする。
　図１に示すように、電池パック１０は、ケース１１を有している。ケース１１には、複数の電池セル１２が収容されている。ケース１１は、有底筒状のケース本体２１と、平板状の蓋体１３と、シール材４０とを有している。シール材４０は、ケース本体２１と蓋体１３との間に配置されている。ケース本体２１は、平板状の基部２２と、矩形平板状の６つの壁部２３～２８とを有している。各壁部２３～２８は、基部２２の周縁から基部２２の厚み方向に延びている。

　図２に示すように、下壁部２３の長手方向の両端には、第１の側壁部２４と第２の側壁部２５とがそれぞれ設けられている。第１及び第２の側壁部２４，２５は、下壁部２３の厚み方向に延びている。第１の側壁部２４の長さは、第２の側壁部２５よりも大きい。第１の側壁部２４において下壁部２３と反対側の端部には、上壁部２６が設けられている。上壁部２６は、第１の側壁部２４の厚み方向に延びている。下壁部２３は、上壁部２６と対向している。上壁部２６の長さは、下壁部２３よりも小さい。第２の側壁部２５において下壁部２３と反対側の端部には、傾斜壁部２７が設けられている。傾斜壁部２７は、第１の側壁部２４及び上壁部２６の両方に近付くよう斜めに延びている。傾斜壁部２７は、第３の側壁部２８を介して上壁部２６と繋っている。こうして、各壁部２３～２８は、枠状に繋がれている。第２の側壁部２５及び第３の側壁部２８は、第１の側壁部２４と対向している。ケース１１は、下壁部２３を下方に向け上壁部２６を上方に向けて配置される。

　第３の側壁部２８には、コネクタ２９が設けられている。コネクタ２９は、第３の側壁部２８からケース１１の外側に突出している。コネクタ２９は、図示しないハーネスなどによって電池セル１２と電気的に接続されている。第３の側壁部２８は、第２の側壁部２５と第１の側壁部２４との間に配置されている。第３の側壁部２８は、傾斜壁部２７と共に、ケース１１の内側に凹む凹部３０を形成している。凹部３０により、傾斜壁部２７と第３の側壁部２８とによって囲まれた領域が、コネクタ２９が配置される領域として、区画されている。

　ケース本体２１は、各壁部２３～２８によって囲まれた開口部３１を有している。各壁部２３～２８は、開口部３１を囲む端面２３ａ～２８ａを有している。各壁部２３～２８の端面２３ａ～２８ａには、シール材４０が貼り付けられている。シール材４０は、ゴムや樹脂系のスポンジなどの弾性力を有する材料を用いて製造される。シール材４０は、１つの長尺状の棒材からなり、開口部３１の形状に沿って屈曲されている。シール材４０は、開口部３１を囲むように配置されている。各壁部２３～２８には、ケース本体２１の開口部３１を閉塞する蓋体１３が固定されている。シール材４０は、各壁部２３～２８の端面２３ａ～２８ａと蓋体１３との間に挟持されることで、潰される。こうして、ケース本体２１と蓋体１３との間のシール性、すなわち、ケース１１のシール性が確保される。

　シール材４０は、６つの屈曲部４１～４６を有している。第１の屈曲部４１は、上壁部２６と第３の側壁部２８とが交わる角Ｃ１で曲げられている。第２の屈曲部４２は、第３の側壁部２８と傾斜壁部２７とが交わる角Ｃ２で曲げられている。第３の屈曲部４３は、傾斜壁部２７と第２の側壁部２５とが交わる角Ｃ３で曲げられている。第４の屈曲部４４は、第２の側壁部２５と下壁部２３とが交わる角Ｃ４で曲げられている。第５の屈曲部４５は、下壁部２３と第１の側壁部２４とが交わる角Ｃ５で曲げられている。第６の屈曲部４６は、第１の側壁部２４と上壁部２６とが交わる角Ｃ６で曲げられている。

　シール材４０は、長手方向の一方の端部に第１端部４０ａを有し、他方の端部に第２端部４０ｂを有している。シール材４０は、第１端部４０ａと第１の屈曲部４１との間に、上部５１を有している。上部５１は、上壁部２６の端面２６ａに沿って配置されている。シール材４０は、第１の屈曲部４１と第２の屈曲部４２との間に、側部５２を有している。側部５２は、第３の側壁部２８の端面２８ａに沿って配置されている。シール材４０は、第２の屈曲部４２と第３の屈曲部４３との間に、傾斜部５３を有している。傾斜部５３は、傾斜壁部２７の端面２７ａに沿って配置されている。シール材４０は、第３の屈曲部４３と第４の屈曲部４４との間に、側部５４を有している。側部５４は、第２の側壁部２５の端面２５ａに沿って配置されている。シール材４０は、第４の屈曲部４４と第５の屈曲部４５との間に、下部５５を有している。下部５５は、下壁部２３の端面２３ａに沿って配置されている。シール材４０は、第５の屈曲部４５と第６の屈曲部４６との間に、側部５６を有している。側部５６は、第１の側壁部２４の端面２４ａに沿って配置されている。

　図３に示すように、シール材４０は、第６の屈曲部４６と第２端部４０ｂとの間に、内側重なり部５７を有している。内側重なり部５７は、上壁部２６の端面２６ａに沿って配置されている。内側重なり部５７は、上部５１よりも内側に配置されている。内側重なり部５７の長さは、上部５１よりも小さい。内側重なり部５７は、上部５１の一部と密着している。上部５１は、内側重なり部５７と重なり合う部分に、外側重なり部５８を有している。外側重なり部５８は、上壁部２６の端面２６ａに沿って配置されている。外側重なり部５８は、内側重なり部５７よりも外側に配置されている。外側重なり部５８は、第６の屈曲部４６を上方から覆っている。内側重なり部５７及び外側重なり部５８は、壁部２３～２８の端面２３ａ～２８ａのうち最も上方に位置する端面２６ａに配置されている。

　シール材４０は、弾性力を有している。このため、シール材４０を屈曲させると、シール材４０には、元の形状に復元するための復元力が作用する。内側重なり部５７に作用する復元力Ｆ１は、内側重なり部５７に最も近い第６の屈曲部４６に依存している。第６の屈曲部４６は、第１の側壁部２４の端面２４ａから上壁部２６の端面２６ａに向けて屈曲されている。内側重なり部５７には、内側重なり部５７を側部５６と一直線状にさせるべく、復元力Ｆ１が外側に作用する。このため、内側重なり部５７の復元力Ｆ１は、外側重なり部５８に作用する。したがって、第６の屈曲部４６は、内側重なり部５７が外側重なり部５８に押しつけられるよう内側重なり部５７に復元力Ｆ１を作用させる内側屈曲部である。

　また、外側重なり部５８には、復元力Ｆ２も作用する。復元力Ｆ２は、外側重なり部５８を含む上部５１に最も近い屈曲部である第１の屈曲部４１に依存している。外側重なり部５８には、外側重なり部５８を側部５２と一直線状にさせるべく、復元力Ｆ２が外側に作用する。すなわち、内側重なり部５７と外側重なり部５８とには、復元力が同一方向にそれぞれ作用する。また、外側重なり部５８には、復元力Ｆ２が、内側重なり部５７から離れる方向に作用する。

　シール材４０に作用する復元力は、各屈曲部４１～４６からの距離に依存している。つまり、各屈曲部４１～４６からの距離が近い部分ほど、シール材４０に作用する復元力は大きくなる。内側重なり部５７に作用する復元力Ｆ１の大きさは、第６の屈曲部４６からの距離に依存している。外側重なり部５８に作用する復元力Ｆ２の大きさは、第１の屈曲部４１からの距離に依存している。第１の屈曲部４１から外側重なり部５８までの距離は、第６の屈曲部４６から内側重なり部５７までの距離に比べて大きい。このため、外側重なり部５８に作用する復元力Ｆ２は、内側重なり部５７に作用する復元力Ｆ１に比べて小さい。したがって、内側重なり部５７と外側重なり部５８とに作用する復元力の方向が同じであっても、内側重なり部５７は、外側重なり部５８に押しつけられる。

　次に、上記の電池パック１０の作用について説明する。
　ケース本体２１と蓋体１３とをシールする場合、長尺状のシール材４０が屈曲した状態でケース本体２１と蓋体１３との間に配置される。この場合、シール材４０は、ケース本体２１と蓋体１３との間に隙間なくかつ開口部３１を囲むように配置される。また、シール材４０は、互いに重なり合う内側重なり部５７と外側重なり部５８とを有するように配置される。このとき、内側重なり部５７と外側重なり部５８との間に隙間が生じると、シール性を確保できないおそれがある。

　本実施形態では、内側重なり部５７には、外側重なり部５８に向けて復元力Ｆ１が作用している。これにより、内側重なり部５７が外側重なり部５８に押しつけられるため、内側重なり部５７と外側重なり部５８との密着性が向上する。このため、内側重なり部５７と外側重なり部５８との間には、隙間が生じにくくなる。よって、ケース本体２１と蓋体１３との間のシール性が向上する。

　したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）内側重なり部５７には、外側重なり部５８に向けて復元力Ｆ１が作用している。このため、内側重なり部５７と外側重なり部５８との密着性が向上し、ケース１１のシール性が向上する。このため、ケース１１内には、外部から液体やほこりなどが侵入しにくくなる。よって、電池セル１２の短絡が抑止される。

　（２）内側重なり部５７及び外側重なり部５８は、ケース１１の最上部で互いに重なり合っている。電池パック１０は、車両などの収容部に収容されることがある。この場合、内側重なり部５７と外側重なり部５８とがケース１１の下部に設けられていると、収容部に滞留した液体がケース１１内に侵入しやすくなる。この点、内側重なり部５７及び外側重なり部５８をケース１１の最上部に設けることで、収容部に滞留した液体がケース１１に侵入しにくくなる。

　（３）外側重なり部５８は、第６の屈曲部４６を上方から覆っている。外側重なり部５８が第６の屈曲部４６を覆っていない場合、第６の屈曲部４６と内側重なり部５７との間に液体が滞留したり、内側重なり部５７と外側重なり部５８との継ぎ目から液体が侵入したりするおそれがある。この点、第６の屈曲部４６を覆う位置まで外側重なり部５８を延ばすことで、内側重なり部５７と外側重なり部５８との継ぎ目付近に液体が滞留することを防止できる。よって、ケース１１内への液体の侵入を防止することができる。

　上記の実施形態は、以下のように変更してもよい。
　図４に示すように、傾斜壁部２７の端面２７ａに、内側重なり部６１と外側重なり部６２とを配置してもよい。内側重なり部６１には、角Ｃ３で曲げられた内側屈曲部６３により、復元力Ｆ３が外側に作用している。外側重なり部６２には、角Ｃ２で曲げられた外側屈曲部６４により、復元力Ｆ４が内側に作用している。すなわち、内側重なり部６１と外側重なり部６２とには、復元力が、互いに近づく方向にそれぞれ作用している。このため、内側重なり部６１と外側重なり部６２との密着性が向上し、ケース１１のシール性が更に向上する。

　また、傾斜壁部２７は、凹部３０を区画する壁部の一つである。また、傾斜部２７には、コネクタ２９が設けられていない。内側重なり部６１と外側重なり部６２とを配置する部分には、シール材４０が二重で設けられる。このため、内側重なり部６１と外側重なり部６２とが配置されるケース１１の壁部の端面は、面積を広くする必要がある。この場合、壁部を厚くして端面の面積を広くすることが考えられる。しかしながら、この方法は、電池パック１０以外の他の部材の配置を阻害するおそれがあり、好ましくない。この点、コネクタ２９が配置される凹部３０を区画する壁部は、以下の利点を有している。即ち、コネクタ２９との接触を抑止するためコネクタ２９との間に空隙を有しており、また、この空隙に他の部材が設けられることもない。よって、凹部３０を区画する壁部は、他の壁部よりも厚くしやすい。このため、内側重なり部６１と外側重なり部６２とが配置される傾斜壁部２７を厚くしても、他の部材の配置は阻害されにくい。

　図５に示すように、内側重なり部７１と外側重なり部７２とを、第１の側壁部２４に配置してもよい。内側重なり部７１には、角Ｃ５で曲げられた内側屈曲部７３によって、復元力Ｆ５が外側に作用している。このため、内側重なり部７１と外側重なり部７２との密着性が向上し、ケース１１のシール性が更に向上する。この場合、内側重なり部７１が上方に延び、外側重なり部７２が下方に延びていることが好ましい。内側重なり部７１が下方に延び、外側重なり部７２が上方に延びている場合、内側重なり部７１と外側重なり部７２との継ぎ目が上方を向いて露出される。液体は上から下に移動するため、上方を向いて露出された継ぎ目から、液体が侵入しやすい。この点、内側重なり部７１が上方に延び、外側重なり部７２が下方に延びていることで、継ぎ目が上方を向いて露出されなくなり、ケース１１内への液体の侵入を防止できる。

　図６に示すように、第３の側壁部２８に、内側重なり部８１と外側重なり部８２とを配置してもよい。この場合も、内側重なり部８１と外側重なり部８２とには、復元力Ｆ６，Ｆ７が、互いに近付く方向にそれぞれ作用する。このため、内側重なり部８１と外側重なり部８２との密着性が向上する。

　第２の側壁部２５や下壁部２３に、内側重なり部５７と外側重なり部５８とを配置してもよい。すなわち、内側重なり部５７と外側重なり部５８とを、開口部３１を囲む端面２３ａ～２８ａの任意の位置に配置してもよい。

　開口部３１の形状は、四角形や五角形など、任意の形状であってもよい。
　複数のシール材４０を用いてもよい。この場合、シール材４０同士が重なり合う部分が、内側重なり部５７及び外側重なり部５８となる。また、シール材４０の数が増すにつれ、内側重なり部５７と外側重なり部５８との数も増える。

Claims (6)

1. 電池セルと、前記電池セルを収容するケースとを備えた電池パックであって、前記ケースは、
   　開口部を有するケース本体と、
   　前記ケース本体に固定されて、前記開口部を閉塞する蓋体と、
   　前記ケース本体の開口部を囲む端面と前記蓋体との間に挟持され、前記開口部の形状に沿って屈曲された長尺状の弾性力を有するシール材とを備え、前記シール材は、
   　内側重なり部と、
   　前記内側重なり部と重なり合うとともに前記内側重なり部よりも外側に配置される外側重なり部と、
   　前記内側重なり部が前記外側重なり部に押しつけられるよう前記内側重なり部に復元力を作用させる内側屈曲部と
   　を有することを特徴とする電池パック。
2. 請求項１記載の電池パックにおいて、
   　前記シール材は、前記外側重なり部が前記内側重なり部に押しつけられるよう前記外側重なり部に復元力を作用させる外側屈曲部を有することを特徴とする電池パック。
3. 請求項１又は２に記載の電池パックにおいて、
   　前記内側重なり部と前記外側重なり部とは、前記ケースの最上部に設けられていることを特徴とする電池パック。
4. 請求項３に記載の電池パックにおいて、
   　前記外側重なり部は、前記内側屈曲部を覆うことを特徴とする電池パック。
5. 請求項１又は２に記載の電池パックにおいて、
   　前記ケースは、前記ケースの内側に凹む凹部を有し、
   　前記凹部により、前記電池セルに電気的に接続されるコネクタが配置される領域が、前記ケースの外部に区画され、
   　前記凹部を区画する前記ケースの壁部のうち、前記コネクタが設けられる壁部と異なる壁部の端面に、前記内側重なり部と前記外側重なり部とが設けられていることを特徴とする電池パック。
6. 請求項１又は２に記載の電池パックにおいて、
   　前記内側重なり部は、鉛直方向の上方に延び、
   　前記外側重なり部は、鉛直方向の下方に延びていることを特徴とする電池パック。

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