WO2015133652A1 - 植物の形質転換法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、植物の形質転換法は、一般的な研究に用いられているモデル植物では確立されているが、多くの作物では確立されていないか、もしくは非常に困難である。植物細胞へ遺伝子導入する方法は、アグロバクテリウム法やパーティクルガン法、そしてウィスカー法など様々な方法が開発されており、細胞内へ遺伝子を送り込む行為自身はどの植物でも理論上可能である。多くの植物で形質転換法が確立されていない理由として、組織培養法が確立されていないことが挙げられる。一般的な形質転換法では、植物の組織からカルスなどの未分化な細胞を作成し、これにアグロバクテリウムやパーティクルガンにより外来遺伝子を導入する。外来遺伝子には抗生物質耐性などの選抜マーカー遺伝子が含まれているため、遺伝子導入を行った細胞を抗生物質が含まれた培地上で生育させ、遺伝子導入された細胞を選抜する。その後、様々な濃度の植物ホルモンを含む培地上で生育させることで再分化(発根、苗条形成)を行い、形質転換個体を作成する。しかし、多くの作物では、この組織培養の手法が確立されていないために、遺伝子が導入されても、形質転換個体を得ることが困難であった。
in planta transformation法は、無処理の植物個体もしくは組織に遺伝子を直接導入し、植物の生活環に則った方法で形質転換個体を得る方法である。組織培養の必要がないことから、これまで形質転換法が確立されていなかった作物にも応用が可能である。この方法の場合、遺伝子導入する標的の細胞は、次世代を生み出す細胞、すなわち茎頂分裂組織、花粉、そして卵となる。最も利用されているin planta transformationの例として、シロイヌナズナのDIP infiltration法が挙げられる。この方法は、アグロバクテリウムの培養液中にシロイヌナズナの花を浸すことで、主に卵に遺伝子が導入され、この卵が受粉して形質転換種子が得られるという、非常に簡便な方法である。しかし、植物の花をアグロバクテリウムの培養液に浸すという作業の難しさから、シロイヌナズナに限定された方法となっている。このように、従来の遺伝子導入法は対象とする植物や、組織の大きさなどに制約があるために、in planta transformationに利用することが難しい。
細胞透過性ペプチド(CPP)は、哺乳類及びヒトの細胞株中の生体膜を通って、当該ペプチド及び他の物質(例えばタンパク質、核酸など)を含む複合体を輸送する機能を有することが知られている。しかし、植物細胞におけるCPPの使用は制限される。動物細胞と異なり植物細胞は、CPPを含む複合体の内在化に対し、細胞壁及び細胞膜による二重障害を有するからである。ポリカチオン性ペプチドは、負に荷電したDNAをイオン性相互作用で濃縮し、遺伝子送達に使用しうる複合体を形成すること、当該複合体が動物細胞への遺伝子導入において有用であることが示されている(特許文献1)。また、ポリカチオン性ペプチドを植物プロトプラストへの遺伝子導入に用いた例も報告されている(特許文献2)。しかし、当該方法では細胞壁の無いプロトプラストを使用しており、また、当該方法における植物細胞への遺伝子導入効率は十分なものとはいえない。
本発明者らは、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを組み合わせた融合ペプチドとしてのキャリアペプチドを構築し、当該キャリアペプチドを核酸と混合して複合体を形成し、植物の分裂組織に適用して植物のゲノムに核酸を導入することにより、組織培養の必要のない形質転換体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)標的植物を形質転換する方法であって、
a)細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドを核酸と接触させて複合体を形成させる工程、
b)得られた複合体を標的植物の分裂組織の細胞に接触させることにより、核酸をゲノムに導入する工程、
c)分裂組織を生育させる工程、及び
d)核酸が導入された植物を選抜する工程
を含む前記方法。
(2)細胞透過性配列がBP100である、(1)に記載の方法。
(3)ポリカチオン配列がリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選択される少なくとも3個のアミノ酸残基を含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ポリカチオン配列がKHの3~20の繰り返し配列を含む、(3)に記載の方法。
(5)核酸がマーカー遺伝子を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)植物が種子植物であり、工程d)で選抜した植物を生育させて種子を採取する工程をさらに含む、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)分裂組織が茎頂分裂組織である、(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)標的植物のゲノムに核酸を導入する方法であって、
a)細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドを核酸と接触させて複合体を形成させる工程、及び
b)得られた複合体を標的植物の分裂組織の細胞に接触させることにより、核酸をゲノムに導入する工程
を含む前記方法。
(9)細胞透過性配列がBP100である、(8)に記載の方法。
(10)ポリカチオン配列がリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選択される少なくとも3個のアミノ酸残基を含む、(8)又は(9)に記載の方法。
(11)ポリカチオン配列がKHの3~20の繰り返し配列を含む、(10)に記載の方法。
(12)分裂組織が茎頂分裂組織である、(8)~(11)のいずれかに記載の方法。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載の方法を用いた形質転換植物体の製造方法。
(14)(13)に記載の方法で得られた形質転換植物体。
本発明により、簡便でかつ様々な種類の植物細胞及び核酸に広く適用可能であり、組織培養の必要のない植物の形質転換法が提供される。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2014−044046号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
図2は、キャリアペプチドと核酸との複合体が導入され、カナマイシン耐性を指標に選抜されたベンサミアナタバコ芽生え(導入後2週間)を示す写真である。
図3は、PCRで増幅したカナマイシン耐性遺伝子の電気泳動の結果を示す写真である。
図4−1は、キャリアペプチドと核酸との複合体の溶液を標的植物へ直接導入する形質転換法の一実施形態を示す模式図である。Aは、スポイト等を用いて前記複合体の溶液を標的植物の分裂組織の細胞に滴下する模式図である。Bは、前記複合体の溶液を滴下する標的植物の分裂組織の拡大写真である。図中のbで示す茎頂分裂組織に複合体の溶液を滴下した。Cは植物の茎頂分裂組織周辺の模式図である。図中、aは葉原基を、bは茎頂分裂組織を、cはL3層を、dはL1及びL2層を、eは中央帯を、fは髄状領域を、gは周辺領域を、hはL1層を、iはL2層を、それぞれ示している。
図4−2は、図4−1と同様に、キャリアペプチドと核酸との複合体の溶液を標的植物へ直接導入する形質転換法の他の実施形態を示す模式図である。Aは、シリンジ等を用いて前記複合体の溶液を標的植物の分裂組織の細胞に注入する模式図である。Bは、前記複合体の溶液を注入する標的植物の分裂組織の拡大写真である。図中の白枠内(茎頂分裂組織)に前記複合体の溶液を注入した。Cは、図4−1と同様である。
図5は、本発明の形質転換方法で、目的の外来核酸をタバコミトコンドリアゲノムに導入する図である。Aは、タバコミトコンドリアゲノムDNAへの目的の外来核酸の導入模式図である。Bは、形質転換体(T)と対照区(C)におけるPCT産物のアガロースゲル電気泳動図である。
図6は、本発明の形質転換方法で、目的の外来核酸をシロイヌナズナ葉緑体ゲノムに導入する図である。Aは、シロイヌナズナ葉緑体ゲノムDNAへの目的の外来核酸の導入模式図である。Bは、形質転換体(P)と対照区(C)におけるPCT産物のアガロースゲル電気泳動図である。Cは、形質転換体における葉緑体の蛍光写真である。
本発明において、植物のゲノムに導入する核酸は、通常DNAであり、線状であってもよいし環状であってもよい。また一本鎖であっても二本鎖であってもよい。DNAは、あらゆるタイプ及び大きさのDNA分子、例えばcDNA、プラスミド、ゲノムDNA及びこれらの誘導体を含むDNAが包含されるものとする。また、これに加えてかかる核酸に対しては、キャリアペプチドのポリカチオン配列へのイオン結合を媒介するホスフェートバックボーンの陰電荷が保存される限り、化学的修飾を施すことも可能である。好適な修飾を行った核酸の例としては、例えばチオエートやジチオエートを挙げることができる。この点に関して、別の好適な核酸誘導体については、例えば、Uhlmann & Peymann,Chemical Reviews,90(4),544−584,1990において言及されている。
さらに、ヌクレオチド塩基に化学的修飾を行った核酸も用いることが可能である。標的植物の細胞のゲノムに導入すべき核酸は、所望により修飾されるDNAであることが好ましい。例えば、標的植物の細胞に導入される核酸には、該標的植物の細胞で発現する遺伝情報を含ませることができる。この方法によって、例えば遺伝子依存性欠陥を除去することが可能である。
本発明の形質転換法では、核酸の種類やサイズに限定されることなく植物細胞のゲノムに核酸を導入できることを特徴とし、例えば二本鎖DNAの場合、導入される核酸のサイズは通常20塩基対~20キロ塩基対、好ましくは50塩基対~10キロ塩基対程度である。
本明細書においては植物細胞への核酸の導入について説明するが、本発明を、動物細胞をはじめとする細胞膜を有する任意の細胞に適用することができる。本発明において植物細胞は、動物細胞以外の細胞、換言すれば細胞壁を持つ細胞を意味する。植物細胞の種類は特に制限されず、単子葉植物及び双子葉植物を含む被子植物及び裸子植物(種子植物)、コケ植物、シダ植物、草本植物及び木本植物などいずれの植物細胞にも本発明を適用できる。植物の具体例としては、例えば、ナス科[ナス(Solanum melongena L.)、トマト(Solanum lycopersicum)、ピーマン(Capsicum annuum L.var.angulosum Mill.)、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、タバコ(Nicotiana tabacum L.)等]、イネ科[イネ(Oryza sativa)、コムギ(Triticum aestivum L.)、オオムギ(Hordeum vulgare L.)、ペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)、イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)、メドウフェスク(Festuca pratensis Huds.)、トールフェスク(Festucaarundinacea Schreb.)、オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)、チモシー(Phleum pratense L.)等]、アブラナ科[シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica campestris L.)、ハクサイ(Brassica pekinensis Rupr.)、キャベツ(Brassica oleracea L.var.capitata L.)、ダイコン(Raphanus sativus L.)、ナタネ(Brassica campestris L.,B.napus L.)等]、マメ科[ダイズ(Glycinemax)、アズキ(Vigna angularis Willd.)、インゲン(Phaseolus vulgaris L.)、ソラマメ(Vicia faba L.)等]、ウリ科[キュウリ(Cucumis sativus L.)、メロン(Cucumis melo L.)、スイカ(Citrullus vulgaris Schrad.)、カボチャ(C.moschata Duch.,C.maxima Duch.)等]、ヒルガオ科[サツマイモ(Ipomoea batatas)等]、ユリ科[ネギ(Allium fistulosum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、ニラ(Allium tuberosum Rottl.)、ニンニク(Allium sativum L.)、アスパラガス(Asparagus officinalis L.)等]、シソ科[シソ(Perilla frutescens Britt.var.crispa)等]、キク科[キク(Chrysanthemum morifolium)、シュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)、レタス(Lactuca sativa L.var.capitata L.)等]、バラ科[バラ(Rose hybrida Hort.)、イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)等]、ミカン科[ミカン(Citras unshiu)、サンショウ(Zanthoxylum piperitum DC.)等]、フトモモ科[ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill)等]、ヤナギ科[ポプラ(Populas nigra L.var.italica Koehne)等]、アカザ科[ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)、テンサイ(Beta vulgaris L.)等]、リンドウ科[リンドウ(Gentiana scabra Bunge var.buergeri Maxim.)等]、ナデシコ科[カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)等]の植物が挙げられる。とりわけナス科植物、中でもタバコが好ましく使用される。
本発明は、植物の分裂組織の細胞のゲノムに、キャリアペプチドを用いて核酸を導入することを特徴とする。すなわち、植物の分裂組織の細胞にペプチド−核酸複合体を接触させることにより、植物の分裂組織の細胞のゲノムに核酸を導入する。本発明においてゲノムには、核ゲノム、ミトコンドリアゲノム及び葉緑体ゲノムが包含される。分裂組織の細胞のゲノムに核酸を導入することで、核酸導入後に生み出される根や葉や花などの組織は全て形質転換された細胞から構成されることになる。
分裂組織とは、メリステムとも称され、植物において未分化な細胞からなり、細胞分裂を活発に行っている組織のことをさす。換言すれば、植物の分裂組織の細胞には、植物における未分化な細胞、及び細胞分裂を活発に行っている細胞が包含される。具体的には、植物の分裂組織には、頂端分裂組織、後生分裂組織及び側方分裂組織が包含される。頂端分裂組織は、茎頂及び根端の成長点にあり縦方向の成長と分化に関係する組織であり、後生分裂組織及び側方分裂組織は、横方向の成長(茎が太くなるなど)に関係する形成層などの組織である。頂端分裂組織には、茎の成長点である茎頂分裂組織、及び根の成長点である根端分裂組織が包含される。また、分裂組織の細胞には、形成層に含まれる紡錘形始原細胞と放射組織始原細胞が包含される。
本発明においては、特に茎頂分裂組織の細胞にペプチド−核酸複合体を接触させ、ゲノムに核酸を導入することが好ましい。植物は生育する環境に合わせて、葉や花を形成するが、このような地上部の器官形成は全て茎頂分裂組織から行われる。そのため、茎頂分裂組織に核酸導入し、ゲノム内に挿入することで、核酸導入後に生み出される葉や花は全て形質転換された細胞から構成されることになる。そして、その後代種子も形質転換体となる。したがって、組織培養が必要ないことに加え、組織培養中にしばしば生じる体細胞変異などが生じないという利点がある。尚、組織培養法が確立されている細胞であれば、核酸導入後の細胞を培養することによって形質転換個体を得ることも可能である。
本発明で用いるキャリアペプチドは、核酸とのイオン性相互作用によりペプチド−核酸複合体を形成し、植物細胞のゲノムへの核酸導入を促すキャリアとして機能しうるペプチドである。キャリアペプチドは、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むことを特徴とする。本発明においてペプチドは、そのペプチド成分の他に、糖鎖、脂質、及び/又はリン酸残基を含んでいてもよい。
細胞透過性配列とは、細胞透過性ペプチド(CPP)の配列を意味する。細胞透過性ペプチドとしては、例えば、BP100(Appl Environ Microbiol 72(5),3302,2006)、HIV Tat(Journal Biological Chemistry,272,pp.16010−16017,1997)、Tat2(Biochim Biophys Acta 1768(3),419,2007)、Penetratin、pVEC、pAntp(Journal Biological Chemistry,269,pp.10444−10450,1994)、HSV−1 VP22(Cell,88,pp.223−233,1997)、MAP(Model amphiphilic peptide)(Biochimica Biophysica Acta,1414,pp.127−139,1998)、Transportan(FEBS Journal,12,pp.67−77,1998)、R7(Nature Medicine,6,pp.1253−1257,2000)、MPG(Nucleic Acid Research25,pp.2730−2736,1997)、及びPep−1(Nature Biotechnology,19,pp.1173−1176,2001)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのペプチド配列に含まれる1個から数個のアミノ酸残基が置換、挿入、及び/又は欠失したペプチド配列を好適に使用できる場合もある。細胞透過性ペプチドとしては2種以上の細胞透過性ペプチドを組み合わせて用いてもよい。キャリアペプチドは、2種以上の細胞透過性配列を含んでいてもよい。目的の特定の細胞に対して特異的な細胞透過性ペプチドを選択することも好ましい。
細胞透過性配列の具体例としては、例えば次の配列を挙げることができる。KKLFKKILKYL(配列番号1)、RKKRRQRRRRKKRRQRRR(配列番号2)、RKKRRQRRR(配列番号3)、PLSSIFSRIGDP(配列番号4)、PISSIFSRTGDP(配列番号5)、AISSILSKTGDP(配列番号6)、PILSIFSKIGDL(配列番号7)、PLSSIFSKIGDP(配列番号8)、PLSSIFSHIGDP(配列番号9)、PLSSIFSSIGDP(配列番号10)、RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号11)、DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVD(配列番号12)、AAVALLPAVLLALLAP(配列番号13)、AAVLLPVLLAAP(配列番号14)、VTVLALGALAGVGVG(配列番号15)、GALFLGWLGAAGSTMGA(配列番号16)、MGLGLHLLVLAAALQGA(配列番号17)、LGTYTQDFNKFHTFPQTAIGVGAP(配列番号18)、GWTLNSAGYLLKINLKALAALAKKIL(配列番号19)、KLALKLALKALKAALKLA(配列番号20)。
ポリカチオン配列は、リシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選ばれる少なくとも3個のアミノ酸残基を含み、かつ生理学的条件下で核酸と安定した結合を形成するペプチド配列である。正に荷電したアミノ酸残基(カチオン性アミノ酸残基)のリシン、アルギニン及びヒスチジンのほかに、ポリカチオン成分は、その全体的な性質が十分にカチオン性を保持して生理学的条件下で核酸と安定した結合を形成するという条件で、中性アミノ酸を含むこともできる。これは核酸を添加する簡単な実験で検査できる。例えば、アガロースゲル電気泳動において核酸バンドの遅延を起こすのに十分なほど安定しているペプチド−核酸複合体を形成するペプチドが適している。この核酸バンドの遅延は、ペプチド−核酸複合体がアガロースゲル電気泳動の間保持されることを示すものである。
キャリアペプチドのポリカチオン配列は少なくとも3個のリシン、アルギニン又はヒスチジンを含まねばならないが、上限を定めることはできない。ポリカチオン配列は最高450個のアミノ酸残基を含むことができ、それでもなお機能することが知られている(Proc Natl Acad Sci USA 87,3410−3414,1990)。しかしながら、ポリカチオン配列の長さは5~100個のアミノ酸残基であることが好ましく、より好ましくは5~50個、さらに好ましくは7~20個のアミノ酸残基である。ポリカチオン配列中のカチオン性アミノ酸残基の割合は、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上である。ポリカチオン性アミノ酸残基のみからなるポリカチオン配列が最も好ましく使用される。
ポリカチオン配列は、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、さらに好ましくは7個以上で、好ましくは30個以下、より好ましくは25個以下、さらに好ましくは20個以下のリシン、アルギニン及び/又はヒスチジン残基を含む。さらに、ポリカチオン配列は、一連の3個以上の連続したリシン、アルギニン及び/又はヒスチジン残基を有することが好ましく、一連の5個以上の連続したリシン、アルギニン及び/又はヒスチジン残基を有することがさらに好ましく、一連の7個以上の連続したリシン、アルギニン及び/又はヒスチジン残基を有することが特に好ましい。カチオン性アミノ酸残基のうち、アルギニンの割合が高いと細胞内への導入が早くなる傾向があり、ヒスチジン及びリシンの割合が高いと細胞内への導入が遅くなる傾向がある。例えば、下記のオルガネラ特異的な導入など本発明の複合体の使用目的に応じて、細胞内への導入速度を、ポリカチオン配列を適宜選択することによって制御することができる。ポリカチオン配列の好ましい例として、KHの繰り返し配列、例えば、KHの3~20の繰り返し配列、より好ましくはKHの5~15の繰り返し配列、さらに好ましくは7~12の繰り返し配列が挙げられる。アルギニン(R)の連続配列、例えば、Rの3~20の連続配列、好ましくはRの5~15の連続配列、さらに好ましくはRの7~12の連続配列、リシン(K)の連続配列、例えば、Kの3~20の連続配列、好ましくはKの5~15の連続配列、さらに好ましくはKの7~12の連続配列、ヒスチジン(H)の連続配列、例えば、Hの3~20の連続配列、好ましくはHの5~15の連続配列、さらに好ましくはHの7~12の連続配列も例として挙げられる。
ポリカチオン配列の具体例としては、例えば次の配列を挙げることができる。RRRRRR(配列番号21)、KHKHKHKHKHKHKHKHKH(配列番号22)。
キャリアペプチドは、細胞透過性配列とポリカチオン配列の線状融合体に相当する構成成分を含む。この融合体においては、ポリカチオン配列が細胞透過性配列のN末端及び/又はC末端に結合されることが好適である。細胞透過性配列に対して上記のポリカチオン配列を1個又は2個以上、好ましくは1個から数個、より好ましくは1個から3個程度結合することができ、特に好ましくは細胞透過性配列に対してポリカチオン配列を1個結合することができる。結合は通常のペプチド結合反応に従い化学的に行ってもよく、あるいはリガーゼのような酵素を用いて生物学的に行うこともできる。例えば、固相法などの一般的なペプチドの合成方法に従って行うこともできる。ポリカチオン配列に対して細胞透過性配列を結合するにあたり、両者の間に適宜のオリゴペプチドリンカーなどを介在させることもできる。例えば、1個から数個のアミノ酸からなるリンカーを介在させることができるが、該リンカーを構成するアミノ酸残基は適宜選択することができる。細胞透過性ペプチドはN末端でその特性を示すので、細胞透過性配列はポリカチオン配列のN末側に結合することが好ましい。キャリアペプチドは組み換えDNA技術により得ることもできる。例えば、ポリカチオン配列をコードするDNA断片を、細胞透過性配列をコードするDNA断片の一端又は両端に、適当なDNAアダプターとの連結反応により、又はin vitro突然変異誘発により結合する。かかる遺伝子操作法は分子生物学の分野で当業者によく知られている。
キャリアペプチドは、細胞透過性配列及びポリカチオン配列に加えて、オルガネラ移行配列をさらに含むことができる。オルガネラ移行配列は、特定の細胞内オルガネラに対して親和性又は透過性を有するペプチドの配列をさす。ミトコンドリア又は葉緑体に対して親和性又は透過性を有するペプチドの配列を用いるのが好ましい。より具体的には、クラミドモナスフェレドキシン(Cf)及びクラミドモナスRubiscoアクチバーゼ(CRa)起源の葉緑体移行ペプチド、ミトコンドリアマトリックス標的シグナルペプチド(Biochemical and Biophysical Research Communications,226,pp.561−565,1996)、ミトコンドリア内膜標的シグナルペプチドであるSS01、SS02、SS31、及びSS20(The AAPS Journal,8,pp.E277−E283,2006)、50Sリボソームタンパク質L28、50Sリボソームタンパク質L24、50Sリボソームタンパク質L27、RuBisCoスモールチェーン、LHCII type 1などを挙げることができるがこれらに限定されない。
これらのペプチド配列に含まれる1個から数個のアミノ酸残基が置換、挿入、及び/又は欠失したペプチド配列を好適に使用できる場合もある。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
細胞透過性配列及びポリカチオン配列を含むキャリアペプチドを核酸と接触させることによる複合体の形成を、オルガネラ移行配列を含む別のキャリアペプチドの存在下で行ってもよい。その場合、オルガネラ移行配列を含むキャリアペプチドも同様に、ポリカチオン配列を含むことが好ましい。このオルガネラ移行配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドは、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドと一緒になって、核酸との複合体を形成することができる。オルガネラ移行配列とポリカチオン配列の相対的な配置に限定はないが、オルガネラ移行配列は、ポリカチオン配列のC末側に結合することが好ましい。オルガネラ移行配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチド、ならびにオルガネラ移行配列とポリカチオン配列と細胞透過性配列とを含むキャリアペプチドは、上記と同様の方法により調製することができる。
オルガネラ移行配列の具体例としては、例えば次の配列を挙げることができる。MAMAMRSTFAARVGAKPAVRGARPASRMSCMA(配列番号23)、MQVTMKSSAVSGQRVGGARVATRSVRRAQLQV(配列番号24)、MATMVAGISLRGPVMSSHRTFSVTKRASLPQSKLSSELSFVTSQLSGLKISSTHFISSSAPLSVPFKPSLQPVA(配列番号25)、MAALQSSFAGLSTSFFGQRFSPPLSLPPLVKSTEGPCLIQA(配列番号26)、MAVSFSLVGAFKGLSLASSSSFLKGDFGAAFPVAPKFSVSFPLKSPLTIES(配列番号27)、MASSVLSSAAVATRSNVAQANMVAPFTGLKSAASFPVSRKQNLDITSIASNGGRVQC(配列番号28)、MAASTMALSSPAFAGKAVKLSPAASEVLGSGRVTMRKTV(配列番号29)、MLSLRQSIRFFK(配列番号31)、MAMQAMFAFQYLLVM(配列番号32)。
オルガネラ移行配列を含むキャリアペプチドを用いることにより、植物細胞に導入された核酸を、さらに細胞内オルガネラに特異的に導入することが可能になる。ミトコンドリアゲノムや葉緑体ゲノムは、核ゲノムと比べると数十~数千倍のコピー数を持っており、これらの形質転換により、外来タンパク質を大量に生産可能であることが知られている。そのため、核酸を細胞内オルガネラに特異的に導入することにより、植物が有する物質生産機能を最大限に利用し、石油資源の代替となるバイオ物質やその他の有用物質を大量に生産することが可能になる。
オルガネラ移行配列とポリカチオン配列を含むキャリアペプチドは、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドと一緒に、核酸との複合体を形成させることにより、効果的に核酸を細胞内オルガネラに特異的に導入することができるが、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドなしでも、すなわち、オルガネラ移行配列とポリカチオン配列を含むキャリアペプチド単独でも、核酸との複合体を形成させることにより、核酸を細胞内オルガネラに特異的に導入することが可能である。
キャリアペプチドと核酸とを接触させて複合体を形成させる工程においては、キャリアペプチド由来のアミン基の数/核酸由来のリン酸基の数(N/P比)が2以下となるように接触させることが好ましく、また、N/P比が0.1より大きくなるように接触させることが好ましい。N/P比は、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.4以上である。N/P比はまた、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.6以下である。N/P比0.5で形成される複合体が最も好ましい。このようなN/P比でキャリアペプチドと核酸とを接触させて複合体を形成することにより、植物細胞に対して高いトランスフェクション効率を達成できる(WO2013/129698)。なお、細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドとは別に、オルガネラ移行配列を含むキャリアペプチドを核酸に接触させる場合は、すべてのキャリアペプチド由来のアミン基の数が基準となる。
キャリアペプチドと核酸とを接触させて複合体を形成させる工程は、例えばキャリアペプチドと核酸とを溶液中で混合することにより実施できるが、その場合、キャリアペプチドの濃度は、通常10μg/mL~10mg/mL、好ましくは100μg/mL~1mg/mLであり、核酸溶液の濃度は、通常1μg/mL~10mg/mL、好ましくは10μg/mL~1mg/mLである。
上記のように形成されるキャリアペプチドと核酸との複合体はキャリアペプチドと核酸とを接触させることにより得られ、その結合様式や形態に限定はないが、通常粒子の形態であり、その平均流体力学的直径は、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは300nm以上であり、また、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは350nm以下である。平均流体力学的直径は、動的光散乱(DLS)法によって測定することができる。このような平均流体力学的直径を有する複合体により、植物細胞に対して高いトランスフェクション効率を達成できる(WO2013/129698)。
複合体を標的植物の分裂組織の細胞に接触させる工程は、当技術分野で公知の方法により実施でき、特に制限されない。例えばキャリアペプチドと核酸との複合体の溶液を標的植物の分裂組織の細胞に浸透させ、20~35℃の温度で、一日当たり14~18時間の一定光の下、インキュベーター中でインキュベートすることにより実施できる。好ましくは、複合体の溶液を標的植物の芽生えに浸透させることにより、分裂組織の細胞に効率的に浸透させることができる。芽生えは、発芽後2~5日後のものが好ましい。インキュベーション時間は、好ましくは15秒から数分程度、より好ましくは1分程度である。また、キャリアペプチドと核酸の複合体の溶液を標的植物の分裂組織の細胞に、スポイト等を用いて滴下導入してもよい(図4−1)し、シリンジ等を用いて直接注入してもよい(図4−2)。本発明における核酸導入は、比較的短時間で実施するために特に優れている。
複合体を接触させた分裂組織を生育させる工程は、当技術分野で公知の方法により実施でき、特に制限されない。例えば、複合体の溶液を浸透させた標的植物の芽生えを培地に移し、標的植物に好適な条件で生育させる。
核酸が導入された植物を選抜する工程も、当技術分野で公知の方法により実施でき、特に制限されない。適宜、目的遺伝子やマーカー遺伝子による特定形質の発現、遺伝子の欠失等による特定形質の消失などを指標として選抜を行いつつ、定法によって増殖させ、再分化させ、組換え組織又は組換え個体を培養することができる。目的遺伝子やマーカー遺伝子には、これらをコードする核酸が包含される。再分化して得られた植物から種子を採取し、得られた種子を利用して、形質転換体を繁殖させることができる。
例えば、導入する核酸として、マーカー遺伝子を含む核酸を用いることにより、核酸が導入された植物を選抜することができる。マーカー遺伝子としては、当技術分野で公知のものを使用でき特に制限されないが、例えば、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、βグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子などが挙げられる。
例えば、導入すべき目的遺伝子に加えて薬剤耐性遺伝子を含む核酸を用いてキャリアペプチドとの複合体を形成し、これを分裂組織と接触させて核酸をゲノムに導入する場合は、分裂組織を生育することにより生まれる組織に、該当する薬剤を接触させながら生育を続けることにより、薬剤耐性を有する植物個体のみが生存し、ゲノムに核酸が導入された植物個体を選抜することができる。茎頂分裂組織に複合体を接触させて核酸を導入する場合は、茎頂に薬剤を接触させながら生育を行い、生存している個体を、薬剤耐性を有する植物個体、すなわち核酸がゲノムに導入された植物個体として選抜できる。
形質転換の対象となる植物が種子植物である場合は、選抜された植物をさらに生育させて種子を採取することにより、核酸が導入された種子を得ることができる。選抜された植物のさらなる生育は、植物を培養土に移植して実施することが好ましい。ここでいう採取とは、農業、園芸などの分野でいう収穫と同義である。したがって、種子そのものを単離することのみならず、栽培地から種子を含む植物体を回収することを広く含む。こうして得られた種子を用いれば、組織培養の必要がないため、安定な形質転換植物の採取が可能になる。一旦上記のような形質転換植物が作製されれば、その植物種の通常の繁殖方法に従って、その形質転換植物の系統を維持できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドとして、
(KH)9−BP100(khkhkhkhkhkhkhkhkhKKLFKKILKYL(配列番号30)、理論pI/Mw:10.81/3809.71Da)を標準的な9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成を使用して合成した(G.B.Fields and R.L.Noble,Int J Pept Protein Res35(3),161(1990))。
配列中、小文字で表記したアミノ酸配列がポリカチオン配列をさす。ポリペプチドを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して精製し、そして分子量をマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析により確認した。
前記と同様にポリカチオン配列と葉緑体移行配列とを含むキャリアペプチド(khkhkhkhkhkhkhkhkhMAMQAMFAFQYLLVM(配列番号33)及びミトコンドリア移行配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドMLSLRQSIRFFKkhkhkhkhkhkhkhkhkh(配列番号34)をそれぞれ合成した。
<実施例2 キャリアペプチド−DNA複合体の調製>
外来核酸は、植物で発現するカナマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドであるpBI121(accession No.AF485783)を、Inverse PCR法により、直鎖化したもの(14Kb)を導入した。ペプチド−DNA複合体は、DNA(1μg/μL)と、実施例1で合成したキャリアペプチドペプチド(KH)9−BP100(1μg/μL)の脱イオン水溶液を3:1の割合で室温にて混合することで作成した。N/P比は、0.5に調整した。ここで、N/P比は、キャリアペプチド由来のアミン基の数/DNA由来のリン酸基の数を指す。
<実施例3 形質転換(1)>
形質転換の対象植物として、研究用のタバコであるベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)を用いた。生育は、庫内温度を30度に設定したファイトトロン内で行い、光環境は連続光とした。発芽は通常の半分の濃度のMS寒天培地(0.5xMS培地、pH=5.7、ショ糖及びビタミン類を含まない)上で行った。ベンサミアナタバコの無菌播種は、種子を70%EtOHで処理後、10%ブリーチで30分滅菌し、その後、滅菌水で3回すすぎ、上記培地に播種することで実施した。
実施例2で調製したペプチド−DNA複合体8μLを192μL滅菌水に希釈し(1.5mLチューブ内)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)の発芽後3日の芽生えを50個体浸した。これらが含まれたチューブを、50mLシリンジ内に入れ、0.5気圧に減圧した状態を1分間維持した。ペプチド−DNA複合体による処理後、芽生えを0.5xMS培地に移し、上記条件で生育させた。
ペプチド−DNA複合体による処理後、3日目から抗生物質による選抜を行った。カナマイシンを滅菌した10%グリセリン溶液で25mg/Lの濃度に調整した。このカナマイシン溶液を、茎頂に向けて2μL滴下した。この処理を3~7日おきに4回行い、処理から2週間後に生存している個体を、カナマイシン耐性を有する個体として選抜した。この選抜により、約40%の抗生物質耐性個体を得た(図2)。
これら抗生物質耐性個体を培養土に移植し、生育させた後、本葉第7葉からゲノムDNAを抽出し、外来核酸のゲノムへの挿入を確認した。核酸導入を行った芽生えは、発芽後3日の非常に若い個体になる。この時期には、第7葉は存在していないため、この葉は核酸導入後の茎頂分裂組織由来であると考えられる。挿入の確認は、カナマイシン耐性遺伝子特異的プライマーを用い、調製したゲノムDNAから、カナマイシン耐性遺伝子をPCRにより増幅することで行った。その結果、耐性遺伝子を確認できた(図3)。図3の電気泳動写真における数字はカナマイシン耐性個体の番号を示す。No15及び20は、PC(導入に用いた遺伝子を鋳型に用いたPCR産物)と同じ位置に濃いバンドが確認できる。なお、野生型由来のゲノムDNAを鋳型にした場合は、No.18と同じ像が得られた。形質転換の効率は1.33%であった。
<実施例4 キャリアペプチド−DNA複合体の調製(2)>
外来核酸は、植物で発現する蛍光タンパク質GFPs65t及びスペクチノマイシン耐性遺伝子SPECrを含むプラスミドであるpUC19及びpCR2.1(accession No.L09137、222717)を、Inverse PCR法により、直鎖化したもの(2.7Kb、4.1Kb)を導入した。ペプチド−DNA複合体は、DNA(1μg/μL)と、実施例1で合成した配列番号33及び配列番号34のキャリアペプチドペプチド(1μg/μL)、細胞膜透過配列を含むペプチドBP−100(1μg/μL)の脱イオン水溶液を3:1:1の割合で室温にて混合することで作成した。N/P比は、0.5に調整した。
<実施例5 タバコミトコンドリアへの導入>
形質転換の対象植物として、一般的なタバコであるナス科のタバカムタバコ(Nicotiana tabacum)を用いた。形質転換法には、選抜に用いる抗生物質としてカナマイシンの代わりにスペクチノマイシンを用いた以外は、実施例3と同様の手法を用いた。
図5に結果を示す。ミトコンドリアゲノム上の配列に相補的な#1(acaggtttagttgcctgtacc;配列番号35)と外来核酸の一部に相補的な#2(gaaaaattctatagaaacttctctcaattagttaatatttacttattattaatatttttaatta;配列番号36)のプライマーペアを用いてPCRを行い(図5A)、外来核酸のミトコンドリアゲノムDNAへの導入を確認したところ、形質転換体(T)には目的とする2.7Kbの遺伝子が導入されていることが確認できた(図5B)。一方、形質転換を行っていない対照区(C)では、増幅されたバンドは確認できなかった。
<実施例6 シロイヌナズナ葉緑体への導入>
形質転換の対象植物として、モデル植物であるアブラナ科のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いた。形質転換法には、選抜に用いる抗生物質としてカナマイシンの代わりにスペクチノマイシンを用いた以外は、実施例3と同様の手法を用い、葉緑体ゲノムDNAへの目的の外来核酸の導入を行った。
図6に結果を示す。葉緑体ゲノム上の配列に相補的な#3(gttaccatgagtattgtcctg;配列番号37)と外来核酸の一部に相補的な#4(tagctaattgagagaagtttctatag;配列番号38)のプライマーペアを用いてPCRを行い(図6A)、外来核酸の葉緑体DNAへの導入を確認したところ、形質転換体(P)には目的とする4.1Kbの遺伝子が導入されていることが確認できた(図6B)。一方、形質転換を行っていない対照区(C)では、増幅されたバンドは確認できなかった。また、葉緑体中にGFPの発現に基づく緑色発光を観測することができた(図6C)。
なお、本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (14)
- 標的植物を形質転換する方法であって、
a)細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドを核酸と接触させて複合体を形成させる工程、
b)得られた複合体を標的植物の分裂組織の細胞に接触させることにより、核酸をゲノムに導入する工程、
c)分裂組織を生育させる工程、及び
d)核酸が導入された植物を選抜する工程
を含む前記方法。 - 細胞透過性配列がBP100である、請求項1に記載の方法。
- ポリカチオン配列がリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選択される少なくとも3個のアミノ酸残基を含む、請求項1又は2に記載の方法。
- ポリカチオン配列がKHの3~20の繰り返し配列を含む、請求項3に記載の方法。
- 核酸がマーカー遺伝子を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
- 植物が種子植物であり、工程d)で選抜した植物を生育させて種子を採取する工程をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
- 分裂組織が茎頂分裂組織である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
- 標的植物のゲノムに核酸を導入する方法であって、
a)細胞透過性配列とポリカチオン配列とを含むキャリアペプチドを核酸と接触させて複合体を形成させる工程、及び
b)得られた複合体を標的植物の分裂組織の細胞に接触させることにより、核酸をゲノムに導入する工程
を含む前記方法。 - 細胞透過性配列がBP100である、請求項8に記載の方法。
- ポリカチオン配列がリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選択される少なくとも3個のアミノ酸残基を含む、請求項8又は9に記載の方法。
- ポリカチオン配列がKHの3~20の繰り返し配列を含む、請求項10に記載の方法。
- 分裂組織が茎頂分裂組織である、請求項8~11のいずれかに記載の方法。
- 請求項1~12のいずれかに記載の方法を用いた形質転換植物体の製造方法。
- 請求項13に記載の方法で得られた形質転換植物体。
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