本実施形態のセラミックス-金属の接合体10を図1に基づいて説明し、セラミックス-金属の接合体10の製造方法を図2A-2Eを用いて説明する。なお、図中において同じ部材に対しては、同じ番号を付している。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1と、金属部材2とを、後述する接着層3とろう材4とにより接合している。セラミックス部材1は、酸化物系セラミックから形成される。金属部材2は、Niを含有し主としてFeよりなっている。つまり、金属部材2は、主にFeを含有し、さらにNiを含有する。セラミックス-金属の接合体10では、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含みセラミックス部材1とろう材4との接着を行う接着層3をセラミックス部材1の表面1aaに1.5μm以下の厚さで有している。ろう材4は、接着層3および金属部材2の接合端部(端部)2bに接している。セラミックス-金属の接合体10は、ろう材4中に活性金属とNiとの金属間化合物4a1を接合端部2bの外周に沿って有している。
これにより、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、接合信頼性をより高くすることが可能となる。
より具体的には、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、セラミックス部材1として、酸化物系セラミックを用いている。酸化物系セラミックは、アルミナ(Al2O3)の含有率が92%のセラミック材料であってよい。なお、本実施形態のセラミックス部材1には、アルミナの他、セラミックス部材1の基礎となるグリーンシート(図示していない)に使用される焼結助剤から生ずる、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ホウ素や酸化ジルコニウムなどが含まれている。セラミックス部材1上には、セラミックス部材1の表面1aaに活性金属としてTiを含む接着層3が形成されている。接着層3は、接着層3の活性金属が酸化物系セラミックと反応可能なものである。接着層3は、セラミックス部材1の表面1aaに1.5μm以下の厚さで形成されている。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、たとえば、セラミックス部材1の表面1aaに厚さ1μmの接着層3を形成している。なお、セラミックス-金属の接合体10では、接着層3の厚さを、たとえば、電子プローブ微小分析器(EPMA)やエネルギ分散型X線分光装置(EDX)などを用いて測定することができる。
金属部材2は、Niを含有し主としてFeよりなる金属材料を用いている。本実施形態では、金属部材2は、Niの含有率が30重量%以下のFe合金を用いている。つまり、金属部材2は、Niの含有率が30重量%以下のFe-Ni合金から形成されることが好ましい。金属部材2は、Fe-Ni-Co合金から形成することができる。金属部材2を形成するFe-Ni-Co合金として、たとえば、Fe53.5重量%、Ni29重量%、Co17重量%、Si0.2重量%、Mn0.3重量%の合金を用いることができる。金属部材2は、プレス加工などにより、断面視において、接合端部2bがセラミックス部材1側に突出する凸形状に形成している。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、断面視において、セラミックス部材1を、金属部材2の接合端部2bよりも大きくしている。
セラミックス-金属の接合体10では、ろう材4により、接着層3と金属部材2の端部2bとを接合している。つまり、ろう材4と接着層3とを用いて、セラミックス部材1と金属部材2とを接合している。本実施形態では、ろう材4は、Agを含んでいる。ろう材4の材料として、AgとCuとの合金を用いることができる。より詳細には、ろう材4の材料として、AgとCuとの合金である、Ag-Cu系合金である銀ろうを用いることができる。Ag-Cu系合金である銀ろうとは、JIS-Z3261の銀ろう(BAg-8(Ag:Cu=18:7))であってよい。セラミックス-金属の接合体10は、金属部材2の接合端部2bとセラミックス部材1の表面1aa側との間のろう材4中に金属間化合物4a1を有している。金属間化合物4a1は、たとえば、活性金属のTiと、金属部材2のNiとがろう材4中に偏析した金属の偏析層である。セラミックス-金属の接合体10は、金属部材2の接合端部2bの外周に沿って金属間化合物4a1を有する状態で、ろう材4が接着層3および金属部材2の接合端部2bの外周に接している。すなわち、セラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1と金属部材2とを、接着層3とろう材4により接合している。本実施形態では、セラミックス-金属の接合体10は、金属部材2側からセラミックス部材1側に向けて裾拡がりの形状となるろう材4のフィレット4bを備えている。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、ろう材4のフィレット4bに金属部材2のフィレット形成領域2bbを埋没させる形でろう材4が金属部材2の接合端部2bを覆って、金属部材2と接着層3とが接合している。
以下、上述のセラミックス-金属の接合体10を製造する製造方法について図2A-2Eを用いて説明する。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、予め接合面となる表面1aaが平滑な表面を有するセラミックス部材1を準備する(図2Aを参照)。セラミックス部材1は、酸化物系セラミックよりなっている。具体的には、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、準備工程を含み、準備工程では、酸化物系セラミックにより形成されるセラミックス部材1と、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含有するペースト材3aと、Niを含有しさらに主としてFeを含有する金属部材2と、Agを含む金属材4aと、を準備する。
次に、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属としてTiを含む接着層3の基礎となるペースト材3aを、セラミックス部材1の表面1aa上に塗布する塗布工程を行う(図2Bを参照)。ペースト材3aは、後述するろう付け工程において、接着層3となる。ペースト材3aは、ペースト材3a中に、活性金属としてTiを含み平均粒子径が10μm以下の粉末を有している。粉末としては、たとえば、平均粒子径が5μmのTiH2の粉末を用いることができる。ペースト材3aは、粉末状のTiH2を30重量%で有機バインダ中に含有させたものを用いることができる。粉末状のTiH2は、たとえば、ガス蒸発法を用いて形成することができる。ガス蒸発法では、雰囲気ガスとして、H2ガスを用いて金属の水素化物粒子の生成を行う。ガス蒸発法は、平均粒子径が5nmから1μmの範囲の粒子を形成することができる。また、TiH2は、たとえば、純チタン切粉を原料とし、原料のチタン材を水素化することにより形成することもできる。TiH2は、篩により、平均粒子径が10μm以下となるように分級すればよい。TiH2は、沈降法など適宜の方法を用いて、平均粒子径が10μm以下となるように分級することもできる。ここで、平均粒子径としては、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した50%平均粒子径(d50)を用いている。レーザ回折式粒度分布測定装置は、レーザ光による光散乱法による球相当径による測定で、TiH2の平均粒子径を測ることができる。
ペースト材3aは、粉末状のTiH2の他にSn-Ag-Cu粒子を含有していてもよい。なお、ペースト材3aに含有される活性金属は、Tiだけに限られない。活性金属として、Ti、Zr、Hfのいずれか1種を用いることができる。塗布工程では、ペースト材3aを、たとえば、15μmの膜厚でセラミックス部材1に塗布する。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、粒子状のTiH2を含有するペースト材3aを表面1aaに印刷するスクリーン印刷工程を行っている。セラミックス部材1は、スクリーン印刷により、セラミックス部材1の表面1aa上にペースト材3aを比較的簡単に塗布することができる。接着層3の基礎となるペースト材3aは、スクリーン印刷により塗布するだけでなく、ディスペンスにより塗布してもよい。つまり、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、塗布工程を含む。塗布工程では、ペースト材3aをセラミックス部材1に塗布する。
次に、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう材4の基礎となる金属材4aをセラミックス部材1に塗布されたペースト材3a上に配置する(図2Cを参照)。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、位置決め用のろう付け治具(図示していない)を用いて、ペースト材3a上に金属材4aを配置できればよい。セラミックス部材1と金属材4aとの間には、ペースト材3aが介在し、金属材4a上に金属部材2の端部2bが配置される。金属材4aとしては、たとえば、厚み0.1mmの金属箔を使用することができる。Agを含む金属材4aは、ろう材4の基礎となる材料であり、金属材4aとしては、たとえば、Ag-Cu系合金(Ag:Cu=18:7)を用いることができる。つまり、金属材4aは、後述するろう付け工程において、ろう材4となる。すなわち、セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、セラミックス部材1に塗布されたペースト材3a上にAgを含む金属材4aを介して金属部材2の端部2bを配置する配置工程を行う。つまり、配置工程では、ペースト材3a上に金属材4aを配置するとともに金属材4a上に金属部材2の端部2bを配置する。
次に、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、金属材4a上に金属部材2を載置して固定する位置決め用のろう付け治具ごと、セラミックス部材1と金属部材2とを加熱炉30内に収納する(図2Dを参照)。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、加熱炉30を減圧雰囲気とし、金属部材2をセラミックス部材1側に当接させた状態で加熱処理をする。セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、加熱炉30内で、所定の雰囲気および所定の加熱温度で所定時間保持することにより、ろう付けするろう付け工程を行う。つまり、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程を含む。ろう付け工程では、金属部材2の端部2bを金属材4aに当接させた状態でセラミックス部材1、金属部材2、ペースト材3a、金属材4aを減圧下で加熱する。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程の条件として、加熱炉30内の真空度を1.0×10-1Pa以下の減圧雰囲気(たとえば、1.0×10-3Pa)としている。セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程の条件として、加熱炉30の加熱温度を820℃とすることができる。本実施形態では、セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程の条件として、加熱炉30の加熱保持時間を10分としている。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、金属材4aを溶融して、Agを含むろう材4を形成する場合、ろう付け工程の加熱温度を800℃から850℃の温度範囲内にすることが好ましい。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、加熱温度が800℃よりも低い場合、ろう材4の濡れが不十分となりやすい傾向にある。また、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、加熱温度が850℃よりも高い場合、ろう材4の濡れ性が高くなりすぎる傾向にある。ろう材4の濡れ性が高くなりすぎるセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、金属部材2側へろう材4が這い上がり過ぎる傾向にある。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、金属材4aを溶融して、AgとCuとの合金を含むろう材4を形成する場合、ろう付け工程の加熱保持時間を5分から30分の間とすることが、より好ましい。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程の雰囲気を減圧雰囲気で行うことが好ましい。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程の真空度を、1.0×10-1Pa以下とすることが好ましい。ろう付け工程では、減圧雰囲気の真空度を、1.0×10-1Paを超える条件で行うと、ペースト材3aの濡れ不良が生じやすい。また、ろう付け工程では、大気中で加熱処理するとペースト材3a中の活性金属が酸化や窒化などされる恐れがある。ペースト材3a中の活性金属が酸化及び/又は窒化され、接着層3がこのペースト材3aから形成される場合、特性ばらつきのない安定した接着層3の形成が難しくなる傾向にある。すなわち、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、配置工程の後、減圧雰囲気中で加熱処理する。セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、加熱処理により、ペースト材3aの活性金属を酸化物系セラミック中に拡散させセラミックス部材1上にセラミックス部材1とろう材4との接着を行う接着層3を形成することができる。また、セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、加熱処理により、セラミックス部材1上に接着層3を形成するとともに金属材4aを溶融させている。セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、加熱処理により、セラミックス部材1上の接着層3と金属部材2の端部2bとをろう付けするろう付け工程を行うことができる。つまり、ろう付け工程では、減圧下で加熱することにより、ペースト材3aの活性金属を酸化物系セラミックに反応させてセラミックス部材1上に接着層3を形成するとともに金属材4aを溶融させてろう材4を形成することにより、接着層3と金属部材2とを接合する。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、金属材4aが溶融したろう材4と、接着層3とによりセラミックス部材1と金属部材2とを接合することができる。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程により、セラミックス部材1の表面1aaに接着層3を形成する。また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、ろう付け工程により、金属材4aを溶融してフィレット4bを備えたろう材4を形成する。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程終了後、冷却したセラミックス-金属の接合体10を加熱炉30内から取り出して、ろう付け冶具を取り外す。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、接着層3および接合端部2bに、ろう材4が接したセラミックス-金属の接合体10を製造することができる(図2Eを参照)。つまり、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、接着層3と金属部材2とをろう材4により接合することにより、セラミックス部材1と金属部材2とが接合したセラミックス-金属の接合体10を製造することができる。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程により金属材4aが溶融して、ろう材4が形成され、ペースト材3aが活性金属を含む接着層3となる。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程に伴って、セラミックス部材1の表面1aa側の界面(セラミックス部材1とペースト材3aとの界面)で活性金属とセラミック材料(酸化物系セラミック)とが反応する。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、接着層3に含まれる活性金属が、セラミックス部材1のセラミック材料とろう材4中の金属成分とのいずれに対しても親和性に優れている。そのため、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、接着層3が、ろう材4とセラミックス部材1との間で強固な接合を行うことが可能となる。
言い換えれば、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、酸化物系セラミックよりなるセラミックス部材1と、Niを含有し主としてFeよりなる金属部材2とを、接着層3とろう材4により接合している。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含有するペースト材3aをセラミックス部材1に塗布する塗布工程を有している。セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、セラミックス部材1に塗布されたペースト材3a上にAgを含む金属材4aを配置し、この金属材4a上に金属部材2の接合端部2bを配置する配置工程を有している。また、セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、金属材4aを溶融させて、セラミックス部材1上の接着層3と金属部材2の接合端部2bとをろう付けするろう付け工程を有している。ろう付け工程では、1×10-1Paの減圧雰囲気で、ペースト材3aと金属材4aとを800℃から850℃の温度範囲内で加熱処理している。さらに、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程に先立って、ペースト材3aを20μm以下の膜厚でセラミックス部材1に塗布している。ペースト材3aは、活性金属を含み平均粒子径が10μm以下の粉末を含んでいる。また、本実施形態では、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3aは、ペースト材3a中に25重量%から35重量%のTiH2を有している。
これにより本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、接合信頼性のより高いセラミックス-金属の接合体10を製造することができる。なお、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、図示していないが、たとえば、電磁継電器の外囲器に用いる場合、角筒状のセラミックス部材1と、有底角筒状の金属部材2とを、ろう材4で接合して形成することができる。セラミックス-金属の接合体10は、ろう材4により、角筒状のセラミックス部材1の開口端部を閉塞するように有底角筒状の金属部材2を接合すればよい。また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1の表面1aaに垂直な方向に沿って金属部材2を設ける場合だけに限られない。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、図3に示すように、セラミックス部材1の表面1aaに垂直な法線と傾斜して金属部材2を設けるように、セラミックス部材1と金属部材2とを接合するものでもよい。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1の表面1aaと垂直な法線と傾斜して金属部材2を設ける場合でも、ろう材4の一部にフィレット4bの引けが生じることを抑制することが可能となる。つまり、ろう材4のフィレット4bが小さくなることを抑制することができる。
次に、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法によって製造されたセラミックス-金属の接合体10の接合信頼性が高まることを、図4および図5A-5Fに示す比較例1を用いて説明する。比較例1のセラミックス-金属の接合体20は、反応層23を有するセラミックス部材21と金属部材22とを、ろう材24により接合している。
比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法は、まず、平滑な表面21aaを有するセラミックス部材21を準備する(図5Aを参照)。セラミックス部材21は、セラミックス部材21のセラミック材料として、本実施形態におけるセラミックス部材1と同じセラミック材料を用いる。
次に、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法は、活性金属としてTiを含む反応層23の基礎となるペースト材23aを表面21aa上に形成する(図5Bを参照)。ペースト材23aは、本実施形態のペースト材3aと同様のものを用いる。
続いて、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法は、表面21aa上に厚さ100μmのペースト材23aを形成させたセラミックス部材21を加熱炉31に収容して加熱処理する(図5Cを参照)。比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、ペースト材23aのセラミックス部材21への一次ろう付けにより、セラミックス部材21の表面21aa上に活性金属としてTiを含む反応層23を形成するメタライズ処理を行う。ペースト材23aは、一次ろう付け時の加熱処理により、ペースト材23aの有機バインダが焼却除去される。これにより、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、セラミックス部材21の表面に、ろう材24に対して濡れ易い反応層23を形成することができる。なお、比較例1では、反応層23の厚みを30μmとしている。
次に、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、反応層23が形成されたセラミックス部材21を反応炉31から取り出す。比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、銀ろうの金属箔24aを介して、金属部材22を反応層23が形成されたセラミックス部材21上に配置する(図5Dを参照)。なお、金属箔24aは、本実施形態と同様に、Ag-Cu系合金(Ag:Cu=18:7)を用いる。
続いて、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、金属箔24aを介して、金属部材22を反応層23が形成されたセラミックス部材21上に配置した状態で反応炉32内で加熱処理する(図5Eを参照)。比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、金属箔24aが溶融した、ろう材24によりセラミックス部材21と金属部材22とを二次ろう付けする。
比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、二次ろう付け工程終了後、冷却したセラミックス-金属の接合体20を加熱炉32内から取り出すことにより、反応層23を有するセラミックス部材21と金属部材22とを、ろう材24により接合したセラミックス-金属の接合体20を製造することができる(図5Fを参照)。
こうして形成された比較例1のセラミックス-金属の接合体20では、ろう付け工程が一次ろう付けと、二次ろう付けの2回必要となる。また、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、ろう付け工程が2回必要なため、ろう材24全体の使用量を少なくすることが難しい。
これに対して、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、セラミックス部材1と、金属部材2とを、活性金属を含む接着層3と接する、ろう材4を1回のろう付け工程により形成し、接合することができる。
また、比較例1のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、セラミックス部材21と金属部材22との、ろう付け工程において、反応層23中に含まれる活性金属のTiと、金属部材22からのNiとが、ろう材24中で反応して偏析する場合がある。比較例1のセラミックス-金属の接合体20は、活性金属のTiと、金属部材22のNiとが反応した金属間化合物の偏析層24a1がろう材24の内部からろう材24の表面に露出して形成されている。金属間化合物は、たとえば、Ti2Ni、TiNiやNi3TiなどのTi-Ni系化合物で構成される場合がある。セラミックス-金属の接合体20では、偏析層24a1が形成された部位において、ろう材24の接合強度が低下したり、セラミックス部材21のセラミック材料と反応する活性金属が不足し、セラミックス部材21とろう材24との界面付近の接合強度が低下する恐れもある。
これに対して、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、接着層3および接合端部2bに、ろう材4が接している。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、金属偏析層たる金属間化合物4a1が金属部材2の接合端部2bの外周に沿ってろう材4中に形成されている。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、ろう材4中の金属間化合物4a1がろう材4の表面に露出して形成されていない。セラミックス-金属の接合体10は、接合信頼性を高くできる理由が定かではないが、特定の接着層3を介してセラミックス部材1上に配置されるろう材4中が、所定の形状の金属間化合物4a1を有することで、ろう材4中における応力の緩和などが生じて接合強度の低下が抑制できると考えられる。
さらに、セラミックス-金属の接合体10は、ろう材4の使用量を少なくしても、比較例1のセラミックス-金属の接合体20のごとき、ろう材24の一部にフィレット24bの引け(図4中の破線で囲まれた領域を参照)が生ずることを抑制することができる。セラミックス-金属の接合体10は、フィレット24bの引けが生ずることを抑制し、セラミックス部材1と金属部材2との接合強度をより向上させることができる。また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1と金属部材2とを接合して、セラミックス部材1と金属部材2との接合箇所において高い気密性を有することが可能となる。
以下、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の各構成について詳述する。
セラミックス部材1は、たとえば、1000℃を超える高温で使用可能であり、硫酸、硝酸や苛性ソーダなどの薬品に対する高い耐食性、優れた耐熱衝撃性、低熱膨張係数、耐摩耗性や電気絶縁性を有している。そのため、セラミックス部材1は、たとえば、電磁継電器、真空スイッチや電子部品の外囲器などとして利用することができる。セラミックス部材1は、利用される用途に応じて、平板状、筒状など種々の形状のものとすることができる。セラミックス部材1は、酸化物系セラミックから形成される。セラミックス部材1は、たとえば、酸化物系セラミックである、アルミナを主成分とするアルミナ系セラミックにより構成することができる。セラミックス部材1は、アルミナ系セラミックとして、たとえば、アルミナの含有率が92%のセラミック材料から形成されてもよい。セラミックス部材1の材料は、アルミナの含有率が92%のセラミック材料だけに限られない。セラミックス部材1を形成するアルミナ系セラミックとして、たとえば、アルミナの含有率が96%以上のセラミック材料を用いることもできる。セラミックス部材1は、アルミナの他、たとえば、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ホウ素や酸化ジルコニウムなどを含有していてもよい。セラミックス部材1は、平滑な表面1aaを備えている。また、研磨などにより、セラミックス部材1の表面1aaの平滑性を向上させてもよい。
金属部材2は、セラミックス部材1上の接着層3と、ろう材4を用いて接合される。金属部材2は、セラミックス部材1側に当接させる。つまり、金属部材2はセラミックス部材1上に形成された接着層3上のろう材4に当接している。金属部材2は、セラミックス部材1の表面1aaに対して傾斜した方向に突出する場合でも、金属部材2と接着層3との接合強度を確保することができる。金属部材2は、セラミックス部材1との間に熱応力が生じにくいように、セラミックス部材1と金属部材2との線膨張係数差の比較的小さいものが好ましい。また、金属部材2としては、セラミックス-金属の接合体10の用途などに応じて、耐熱性や耐食性の優れたものを用いればよい。金属部材2は、金属部材2の金属材料として、Niを含有し主としてFeよりなるものを用いている。つまり、金属部材2は、主としてFeを含有し、さらにNiを含有する。ここで、主としてFeよりなるとは、金属部材2を構成する金属材料の成分のうち、主なものの1つがFeである。金属部材2は、Niを含有し主としてFeよりなるものとして、Fe-Ni合金などを好適に利用することもできる。金属部材2の材料としては、たとえば、Fe-Ni合金であるNiの含有率が30重量%以下のFe-Ni合金を好適に用いることができる。アルミナを92%含有するセラミックス部材1を用いる場合、金属部材2の金属材料としてNi含有率が30重量%以下のFe-Ni合金を用いれば、セラミックス部材1と金属部材2の熱膨張係数が近くなり、セラミックスの割れやクラックなどを抑制することが可能となる。金属部材2のより具体的な金属材料として、たとえば、Feを主成分とするFe-Ni-Co合金を好適に用いることができる。金属部材2を形成するFe-Ni-Co合金として、たとえば、Fe:54重量%,Ni:29重量%,Co:17重量%を含有するFe-Ni-Co合金を用いることができる。
接着層3は、セラミックス部材1と、ろう材4との接着性を向上可能なものである。接着層3は、活性金属を含んでいる。活性金属は、セラミックス部材1のセラミック材料の構成元素と反応可能なものである。活性金属は、ろう材4の主となる金属元素よりもイオン化傾向が大きいことが好ましい。活性金属は、たとえば、セラミックス部材1のセラミック材料として酸化物系セラミックを用いる場合、Ti、ZrやHfなどの金属元素が好適に挙げられる。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、たとえば、活性金属として、Tiを用いる場合、接着層3の基礎となるペースト材3a中に含まれるTiが、セラミックス部材1のセラミック材料中におけるO(酸素)と反応する。また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、ろう材4は、接着層3への濡れ性がセラミックス部材1への濡れ性よりも高い。そのため、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう材4とセラミックス部材1との接合強度の向上を図ることが可能となる。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、接着層3は、ろう材4とともに一度の加熱処理により形成することができる。
ここで、接着層3に含まれる活性金属の含有量が少なすぎれば、活性金属とセラミックス部材1を構成するセラミック材料(酸化物系セラミック)との反応が不十分となる傾向にある。また、接着層3に含まれる活性金属が多すぎれば、ろう材4中の金属間化合物4a1が増大しやすくなり、接合強度が低下する傾向にある。接着層3の活性金属として、たとえば、酸化物系セラミックに対して接合特性が良好なTiを好適に利用することができる。また、Tiとセラミックス部材1のセラミック材料との反応を高めるため、接着層3の基礎となるペースト材3a中に粉末状のTiH2を含有することが好ましい。接着層3は、接着層3の基礎となるペースト材3a中に粉末状のTiH2を含有させることで、Tiの酸化や窒化を抑制することが可能となる。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ろう付け工程において、スクリーン印刷によって形成されたペースト材3aを利用して接着層3を形成している。本実施形態では、ペースト材3aは、粉末状のTiH2を含有している。本実施形態では、TiH2として、平均粒子径が10μm以下のものを用いている。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、活性金属であるTiの水素化物を用いることで、ろう付け工程時の加熱処理により、Tiが酸化することを抑制することが可能となる。また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、活性金属であるTiの酸化を抑制することで、セラミックス部材1側へのろう材4の濡れ性を向上させることができる。さらに、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、スクリーン印刷により、ペースト材3aを塗布することにより、セラミックス部材1の表面1aa全体に接着層3の基礎となるペースト材3aを均一に形成することが可能となる。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、セラミックス部材1側への、ろう材4の濡れ性の均一性を向上させることが可能となる。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、セラミックス部材1の表面1aa全体にペースト材3aを均一に形成するものだけに限られない。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、断面視において、ペースト材3aの膜厚を金属部材2の端部2bが配置されるセラミックス部材1の中央部で厚く周縁ほど薄くするものでもよい。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3aの膜厚を中央部で厚く周縁ほど薄くすることで、ろう付け時にろう材4に生ずる応力を緩和させることが可能となる。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、粉末状のTiH2を25重量%ないし35重量%でペースト材3a中に含有させることが好ましい。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中にTiH2を25重量%から35重量%の範囲内で含有させることで、ろう材4のフィレット4bの一部に引けが生ずることを抑制しつつ、ろう材4のフィレット4bを形成することが容易となる。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中に25重量%から35重量%のTiH2を有するので、セラミックス-金属の接合体10を製造した場合、セラミックス部材1側へのろう材4の濡れ性やろう材4のフィレット4bの形状を良好なものとすることが可能となる。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中におけるTiH2が25重量%より少ない場合、ペースト材3aの粘度調整が困難となる傾向にある。また、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中におけるTiH2が25重量%より少ない場合、粉末状のTiH2の分散性が低下し、均一なペースト材3aをセラミックス部材1の表面1aaに形成することが難しくなる傾向にある。その結果、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、セラミックス部材1側へのろう材4の濡れ性が低下する傾向にある。
また、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中におけるTiH2が35重量%よりも多い場合、活性金属のTiと金属部材2のNiとが、ろう材4中で反応して偏析し、ろう材4中に金属間化合物4a1の析出量が多くなりすぎる傾向にある。セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中におけるTiH2が35重量%よりも多い場合、析出量が多い金属間化合物4a1により、ろう材4の表面に金属間化合物4a1が露出する傾向にある。この結果、セラミックス-金属の接合体10の製造方法では、ペースト材3a中におけるTiH2が35重量%よりも多い場合、金属間化合物4a1により、ろう材4の接合強度が低下する傾向にあると考えられる。
以下、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法によって製造されたセラミックス-金属の接合体10における接合信頼性が高まることを、比較例2,3を用いて説明する。図6に示す比較例2のセラミックス-金属の接合体20は、セラミックス部材21の表面21aaに垂直な法線と傾斜して金属部材22を設け、ペースト材23a中におけるTiH2を10重量%とした以外は比較例1と同様にして製造される。図7に示す比較例3のセラミックス-金属の接合体20は、セラミックス部材21の表面21aaに垂直な法線と傾斜して金属部材22を設け、ペースト材23a中におけるTiH2を65重量%とした以外は比較例1と同様にして製造される。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法と比較すると、比較例2のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、ペースト材(図示していない)中にTiH2が10重量%しか含まれないので、ろう材24のセラミックス部材21側への濡れが不十分となりやすい傾向にある。
そのため、ペースト材中にTiH2の濃度を10重量%でセラミックス-金属の接合体20を製造した場合、セラミックス-金属の接合体20は、ろう材24のフィレット24bの一部に引けが生じ易い(図6の破線で囲まれた領域を参照)。セラミックス-金属の接合体20は、ろう材24のフィレット24bの一部に引けが生ずると、セラミックス部材1と金属部材2との接合箇所となる、ろう材24で気密性を確保することが難しくなる傾向にある。
セラミックス-金属の接合体10の製造方法と比較すると、比較例3のセラミックス-金属の接合体20の製造方法では、ペースト材23a中にTiH2が65重量%も含まれるので、ろう材24の濡れ性が高くなり易い。ろう材24の濡れ性が高くなりすぎるとなるセラミックス-金属の接合体20では、金属部材22側へろう材24が這い上がり難くなる傾向にある。
そのため、ペースト材中のTiH2の濃度を65重量%にしてセラミックス-金属の接合体20を製造した場合、セラミックス-金属の接合体20は、ろう材24のフィレット24bも小さくなり易い(図7の破線で囲まれた領域を参照)。また、セラミックス-金属の接合体20は、ペースト材中のTiH2の濃度を65重量%にしてセラミックス-金属の接合体20を製造した場合、ろう材24中に過剰な金属間化合物(図示していない)が形成され、ろう材24の表面に金属間化合物が露出する恐れがある。セラミックス-金属の接合体20は、ろう材24中に過剰な金属間化合物が形成されると、ろう材24の接合強度が低下する傾向にある。この結果、比較例3のセラミックス-金属の接合体20では、セラミックス-金属の接合体20を気密封止の用途に用いる場合、信頼性が低下する恐れもある。
したがって、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法では、粉末状のTiH2を25重量%ないし35重量%でペースト材3a中に含有させることが好ましい。
ろう材4は、セラミックス部材1上の接着層3と金属部材2とを接合可能なものである。ろう材4の材料は、セラミックス部材1、金属部材2や接着層3の材質に応じて適宜に選択することができる。ろう材4の基礎となる金属材4aとして、例えば、Ag-Cu系合金を用いることができる。ろう材4は、AgとCuとの合金だけでなく、AgとCuとの合金にSnが含有されたものを用いることができる。同様に、ろう材4は、AgとCuとの合金にLiが含有されたものも用いることができる。ろう材4は、金属部材2の接合端部2bを覆い、金属部材2からセラミックス部材1に向けて裾拡がりとなるフィレット形状を有していることが、より好ましい。
ろう材4は、接着層3の活性金属との濡れ性あるいは親和性に優れた類似組成の金属材4aを使用することが望ましい。Ag-Cu系合金の金属材4aは、融点が比較的低く、金属部材2との接合性も良い。
本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、金属部材2の接合端部2bがセラミックス部材1側に突出する凸形状であり、外方に向かって膨らむ曲面状としている。セラミックス-金属の接合体10は、接合端部2bを外方に向かって膨らむ曲面状としていることにより、金属部材2側へのろう材4に対する濡れ性を向上させることが可能となる。セラミックス-金属の接合体10は、接合端部2bが外方に向かって膨らむ曲面状であることにより、金属部材2側へのろう材4に対する濡れ性を向上させ、ろう材4の一部にフィレット4bの引けが生ずることを抑制することが可能となる。
なお、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、接合端部2bの形状は外方に向かって膨らむ曲面状に限られず、接合端部2bはセラミックス部材1側に向かって先細りする形状で平面(例えば、セラミックス部材1に対向するように配置される平面)を有していてもよい。本実施形態のセラミックス-金属の接合体10では、接合端部2bがセラミックス部材1側に向かって先細りし平面を有する形状であることにより、金属部材2側へのろう材4に対する濡れ性を向上させることが可能となる。セラミックス-金属の接合体10は、接合端部2bが平面を有することにより、金属部材2側へのろう材4に対する濡れ性を向上させ、ろう材4の一部にフィレット4bの引けが生ずることを抑制することが可能となる。
以上まとめると、本発明のセラミックス-金属の接合体10は、セラミックス部材1と金属部材2とを、ろう材4により接合したセラミックス-金属の接合体10であって、セラミックス部材1は、酸化物系セラミックよりなり、金属部材2は、Niを含有し主としてFeよりなり、セラミックス部材1は、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含みセラミックス部材1とろう材4との接着を行う接着層3をセラミックス部材1の表面に1.5μm以下の厚さで有しており、ろう材4は、接着層3および金属部材2の接合端部2bに接しており、ろう材4中に活性金属とNiとの金属間化合物4a1を接合端部2bの外周に沿って有することを特徴とする。
このセラミックス-金属の接合体10において、金属部材2は、Niの含有率が30重量%以下のFe合金であることが好ましい。
換言すれば、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、以下の第1の特徴を有する。
第1の特徴では、セラミックス-金属の接合体10は、酸化物系セラミックからなるセラミックス部材1と、Niを含有し主としてFeを含む端部2bを有する金属部材2と、セラミックス部材1上に形成される接着層3と、接着層3と金属部材2の端部2bとを接合するろう材4とを備える。接着層3は、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含み、厚さが1.5μm以下であり、ろう材4中には、活性金属とNiとの金属間化合物4a1が接着層3と端部2bとの間に位置するように存在する。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10は、以下の第2の特徴を任意に有する。
第2の特徴では、金属部材2は、Niの含有率が30重量%以下のNi-Fe合金である。
また、本発明のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、酸化物系セラミックよりなるセラミックス部材1と、Niを含有し主としてFeよりなる金属部材2とを、ろう材4により接合するセラミックス-金属の接合体10の製造方法であって、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含有するペースト材3aをセラミックス部材1に塗布する塗布工程と、セラミックス部材1に塗布されたペースト材3a上にAgを含む金属材4aを介して金属部材2の接合端部2bを配置する配置工程と、配置工程の後、減圧雰囲気中で加熱処理することにより、ペースト材3aの活性金属を酸化物系セラミック中に拡散させセラミックス部材1上にセラミックス部材1とろう材4との接着を行う接着層3を形成するとともに金属材4aを溶融させて、セラミックス部材1上の接着層3と金属部材2の接合端部2bとをろう付けするろう付け工程とを有することを特徴とする。
このセラミックス-金属の接合体10の製造方法において、ペースト材3aは、活性金属を含み平均粒子径が10μm以下の粉末を有している。塗布工程において、ペースト材3aを20μm以下の膜厚でセラミックス部材1に塗布することが好ましい。
このセラミックス-金属の接合体10の製造方法において、活性金属は、Ti、Zr、Hfのいずれか1種であることが好ましい。
このセラミックス-金属の接合体10の製造方法において、ペースト材3aは、ペースト材3a中に25重量%から35重量%のTiH2を有することが好ましい。
このセラミックス-金属の接合体10の製造方法においては、ろう付け工程において、減圧雰囲気は、10-1Pa以下であり、ペースト材3aと金属材4aとを800℃から850℃の温度範囲内で加熱処理することが好ましい。
このセラミックス-金属の接合体10の製造方法においては、ろう付け工程において、ろう材4中に、活性金属と金属部材2のNiとの金属間化合物4a1を介して、セラミックス部材1側と金属部材2とがろう付けされる。
換言すれば、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、以下の第3の特徴を有する。
第3の特徴では、セラミックス-金属の接合体10の製造方法は、準備工程と、塗布工程と、配置工程と、ろう付け工程と、を有する。準備工程では、酸化物系セラミックからなるセラミックス部材1と、酸化物系セラミックと反応可能な活性金属を含有するペースト材3aと、Niを含有し主としてFeよりなる金属部材2と、Agを含む金属材4aと、を準備する。塗布工程では、ペースト材3aをセラミックス部材1に塗布する。配置工程では、ペースト材3a上に金属材4aを配置するとともに金属材4a上に金属部材2の端部2bを配置する。ろう付け工程では、減圧下で加熱することにより、ペースト材3aの活性金属を酸化物系セラミックに反応させてセラミックス部材1上に接着層3を形成するとともに金属材4aを溶融させてろう材4を形成して、接着層3と金属部材2の端部2bとを接合する。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、第3の特徴に加えて、以下の第4の特徴を任意に有する。
第4の特徴では、ペースト材3aは、平均粒子径が10μm以下の活性金属の粉末を有し、塗布工程において、ペースト材3aを20μm以下の厚みとなるようセラミックス部材1に塗布する。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、第3の特徴に加えて、以下の第5の特徴を任意に有する。第3及び第5の特徴を有する製造方法は、さらに第4の特徴を有していてもよい。
第5の特徴では、活性金属は、Ti、Zr、Hfのいずれか1種である。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、第3の特徴に加えて、以下の第6の特徴を任意に有する。第3及び第6の特徴を有する製造方法は、さらに第4の特徴を有していてもよい。
第6の特徴では、ペースト材3aは、ペースト材3a中に25重量%から35重量%のTiH2を有する。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、第3の特徴に加えて、以下の第7の特徴を任意に有する。第3及び第7の特徴を有する製造方法は、さらに、第4~第6の特徴のうちいずれか一つ以上の特徴を有していてもよい。
第7の特徴では、ろう付け工程において、ペースト材3aと金属材4aとを圧力10-1Pa以下、800℃から850℃の温度範囲で加熱する。
また、本実施形態のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、第3の特徴に加えて、以下の第8の特徴を任意に有する。第3及び第8の特徴を有する製造方法は、さらに、第4~第7の特徴のうちいずれか一つ以上の特徴を有していてもよい。
第8の特徴では、ろう付け工程では、活性金属と金属部材2のNiとの金属間化合物4a1をろう材4中においてセラミックス部材1と金属部材2との間に加熱して形成する。
そして、本発明のセラミックス-金属の接合体10は、接合信頼性をより高くすることが可能となる。
また、本発明のセラミックス-金属の接合体10の製造方法は、接合信頼性のより高いセラミックス-金属の接合体10を製造することが可能となる。