JP2019182667A - 金属/セラミックス接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温酸化雰囲気に長時間曝露した場合であっても、セラミックス表面に接合した金属層の酸化や剥離が生じにくい金属/セラミックス接合体を提供すること。【解決手段】金属/セラミックス接合体は、導電性セラミックスからなる基板と、前記基板の表面に接合された表面層と、前記基板と前記表面層の間に挿入された中間層とを備えている。前記導電性セラミックスは、絶縁性セラミックスからなるマトリックス中に、SiCが分散している複合セラミックスからなる。前記表面層は、Fe−Cr−Al系合金からなる。前記中間層は、Cr、又は、Cr含有量が80wt%以上であるCr合金からなる。さらに、前記中間層の厚さは、1μm以上50μm以下である。【選択図】図8

Description

本発明は、金属/セラミックス接合体に関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐酸化性、及び抵抗安定性に優れており、高温酸化雰囲気下においてサーミスタとして使用可能な金属/セラミックス接合体に関する。
サーミスタとは、温度変化に対して抵抗変化の大きい抵抗体をいう。サーミスタは、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTCサーミスタ、温度の上昇に対して抵抗が増加するPTCサーミスタ、ある温度を超えると抵抗が急激に減少するCRTサーミスタに分類される。これらの内、NTCサーミスタは、低コストで抵抗値が温度変化に対して指数関数的に大きく変化するため、最も使われており、単にサーミスタというときは、NTCサーミスタを指す。
サーミスタ材料としては、例えば、
(a)Mn、Ni、Co、Fe、Cu、Y、Crなどの遷移金属酸化物を2〜4種類含む酸化物複合体、
(b)Si34などの絶縁性セラミックス中に、SiCを分散させた非酸化物複合体
などが知られている。
いずれの場合においても、温度変化を抵抗変化として検出するためには、サーミスタ材料に金属電極を接合し、さらに金属電極にリード線を接合する必要がある。
しかしながら、金属と酸化物系又は非酸化物系セラミックスとは、通常、熱膨張係数、反応性などが著しく相違している。そのため、一般に、信頼性の高い金属/セラミックス接合体を得るのは難しい。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、メタライズ処理した固体電解質体とステンレス鋼とをAg−Pdロウ材を用いてロウ付けする方法が開示されている。
特許文献2には、 窒化ケイ素板の両端を、それぞれ、厚さ20μmのFe−20Cr−5Al−0.1La合金(内側)及び厚さ15μmのAl箔(外側)でサンドイッチし、拡散接合する方法が開示されている。
特許文献3、4には、炭化珪素、窒化珪素又はサイアロンと金属との間にAl又はAl合金を挿入し、加熱及び加圧する方法が開示されている。
特許文献5には、セラミックス部材の表面に金属ガラス接合層を成膜した後、この金属ガラス接合層に金属部材を接触させて金属ガラス接合層の過冷却液体域で押圧して接合する方法が開示されている。
特許文献6には、
(a)炭化珪素基板表面にモリブデンペーストを塗布し、
(b)水素と窒素を含む加湿雰囲気中で加熱し、炭化珪素とモリブデンの界面にモリブデンケイ化物とモリブデン炭化物との混合層を形成し、
(c)水素と窒素からなる還元雰囲気中で加熱し、モリブデンを焼結させる
炭化珪素部材の製造方法が開示されている。
特許文献7には、SiCの上に、SiCより熱膨張係数の大きいSiC−ZrB2系セラミックスを重ねて焼結し、SiC−ZrB2系セラミックスと金属とを接合する方法が開示されている。
特許文献8には、金属とセラミックスの間にMoを介在させた接合体において、Moの露出面にAl−Ni合金層を形成する方法が開示されている。
特許文献9には、金属とセラミックスとの間に中間層を介在させた接合体において、中間層として温度の上昇と共に降伏強度が増大する合金(例えば、Ni−Al合金)を用いる方法が開示されている。
特許文献10には、耐火金属とセラミックスとの接合体において、耐火金属の表面を緻密金属層で被覆する方法が開示されている。
特許文献11には、炭化ケイ素と金属との接合面間にAlおよびAl合金/Al−Si合金の三層構造のものを用いて融点以下の温度に加熱する方法が開示されている。
特許文献12には、炭化ケイ素系セラミックス焼結体の被接合面を金属化して他のセラミックス焼結体又は金属とロウ付けした接合部材において、炭化ケイ素セラミックス焼結体の被接合面にクロムシリサイド層とクロム炭化物との混在層、その上にクロム層及びニッケルと銅の少なくとも1つよりなる最外層の三層構造からなる応力緩和材を挿入する方法が開示されている。
さらに、特許文献13には、金属部材とセラミックス部材との間にフェルト部材を介在させた接合体が開示されている。
絶縁セラミックスからなるマトリックス中にSiCを分散させた複合セラミックスは、サーミスタ特性を示し、かつ、耐熱性及び耐酸化性に優れている。そのため、このような複合セラミックスは、高温大気中で使用されるサーミスタ材料として好適である。
一方、Fe−Cr−Al系合金は、耐熱性及び耐酸化性に優れ、かつ、相対的に低コストである。そのため、Fe−Cr−Al系合金は、複合セラミックスの表面に接合される電極材料として好適である。
しかしながら、SiCを含む複合セラミックスの表面にFe−Cr−Al系合金薄膜を接合した接合体を高温酸化雰囲気下に長時間曝露すると、Fe−Cr−Al系合金薄膜の酸化や剥離が起こる。そのため、このような金属/セラミックス接合体をサーミスタとして用いた場合において、使用時の雰囲気が過酷である時には、長期に渡って安定して温度を検知することができないという問題がある。
特開2007−200568号公報 特開2009−203158号公報 特開昭60−103081号公報 特開昭61−227971号公報 特開2009−046329号公報 特開昭61−270286号公報
特開昭62−072573号公報 特開昭62−171968号公報 特開平01−115879号公報 特開平01−240288号公報 特開平01−059998号公報 特公平04−055145号公報 特開昭59−156976号公報
本発明が解決しようとする課題は、高温酸化雰囲気に長時間曝露した場合であっても、セラミックス表面に接合した金属層の酸化や剥離が生じにくい金属/セラミックス接合体を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、サーミスタとして使用することができ、かつ、高温酸化雰囲気下において長期に渡って安定して抵抗値変化を検出することが可能な金属/セラミックス接合体を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る金属/セラミックス接合体は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記金属/セラミックス接合体は、
導電性セラミックスからなる基板と、
前記基板の表面に接合された表面層と、
前記基板と前記表面層の間に挿入された中間層と、
を備えている。
(2)前記導電性セラミックスは、絶縁性セラミックスからなるマトリックス中に、SiCが分散している複合セラミックスからなる。
(3)前記表面層は、Fe−Cr−Al系合金からなる。
(4)前記中間層は、Cr、又は、Cr含有量が80wt%以上であるCr合金からなる。
(5)前記中間層の厚さは、1μm以上50μm以下である。
SiCを含む導電性セラミックスからなる基材とFe−Cr−Al系合金からなる表面層とを接合する場合において、両者の間にCr又はCr合金からなる中間層(Cr系中間層)を介在させると、表面層の酸化及び剥離が抑制される。これは、
(a)Cr系中間層を介在させることによって、導電セラミックスから表面層へのSiの拡散、及び、これによる表面層の脆化が抑制されるため、
(b)Cr系中間層を介在させることによって、表面層から導電性セラミックスへのFe及びAlの拡散、及び、これによる表面層中のAlの枯渇が抑制されるため、並びに、
(c)Cr系中間層は導電性セラミックスと表面層の中間の熱膨張係数を有しているために、導電性セラミックスと表面層との間に発生する熱応力が緩和されるため、
と考えられる。
本発明に係る金属/セラミックス接合体の模式図である。 Fe−Cr−Al−La/Cr電極膜に、線径0.3mmのFe−Crリード線が抵抗溶接された金属/セラミックス接合体(実施例1)の外観写真である。 比較例3で得られた金属/セラミックス接合体の接合界面近傍のEPMAによる元素分析結果である。 実施例1で得られた金属/セラミックス接合体のEPMAによる電極膜内の元素分析結果(図4(A):Fe、Cr、Al、La、図4(B):N、Si)である。
実施例1で得られた金属/セラミックス接合体の接合界面のSEM像である。 実施例1で得られた金属/セラミックス接合体を、大気中において1050℃で加熱した後の電極膜内のEPMAによる元素分析結果である。 実施例1で得られた金属/セラミックス接合体の抵抗溶接部のSEM像である。 Fe−20Cr−Al表面層中のAl量と耐酸化性との関係を示す図である。
Fe−20Cr−Al表面層の厚さと抵抗安定性との関係を示す図である。 Fe−20Cr−5Al表面層の厚さと接合体の面内応力との関係を示す図である。 冷熱繰り返し負荷を与えた時の温度感度(B値)の安定性を示す図である。 曝露時間と抵抗変化率との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 金属/セラミックス接合体]
図1に、本発明に係る金属/セラミックス接合体の模式図を示す。図1において、金属/セラミックス接合体10は、
導電性セラミックスからなる基板12と、
基板12の表面に接合された表面層14、14と、
基板12と表面層14、14の間に挿入された中間層16、16と、
を備えている。
[1.1. 基板]
基板12は、導電性セラミックスからなる。本発明において、「導電性セラミックス」とは、絶縁性セラミックスからなるマトリックス中に、SiCが分散している複合セラミックスをいう。換言すれば、「導電性セラミックス」とは、マトリックス中に半導体SiCを分散させることにより導電性を付与した高耐熱性複合材料をいう。
[1.1.1. マトリックス]
マトリックスを構成する絶縁セラミックスの組成は、特に限定されない。絶縁セラミックスとしては、例えば、Si34、Al23、AlN、ZrO2、ZrAlO3、MgAl24、MgOなどがある。
[1.1.2. SiC含有量]
導電性セラミックス中のSiC含有量が少なすぎると、パーコレーション構造が形成されず、比抵抗値が過度に増大する。従って、SiC含有量は、10vol%以上が好ましい。SiC含有量は、好ましくは、15vol%以上、さらに好ましくは、25vol%以上である。
一方、SiC含有量が過剰になると、導電性セラミックスの比抵抗値が過度に小さくなる。また、SiC粒子が焼結を阻害し、焼結密度の低下を招くおそれがある。さらに、SiCが導電性セラミックス内で凝集し、破壊起点となるおそれがある。従って、SiC含有量は、40vol%以下が好ましい。SiC含有量は、好ましくは、35vol%以下、さらに好ましくは、30vol%以下である。
[1.1.3. 粒径比]
「粒径比」とは、マトリックス粒子の粒径(dm)に対するSiCの粒径(ds)の比(=ds/dm)をいう。
粒径比が大きくなりすぎると、導電パスが形成されにくくなる、又は、抵抗値が高くなるという問題がある。導電パスを形成するためには、難焼結性のSiC粒子の添加量を増大させる必要があるため、それに伴って焼結性が低下する。従って、粒径比は、1未満が好ましい。粒径比は、好ましくは、1/2以下、さらに好ましくは、1/3以下、さらに好ましくは、1/5以下である。
一方、粒径比が小さくなりすぎると、マトリックスの粒径が増大するために、マトリックスの焼結性が低下する。従って、粒径比は、0.015以上が好ましい。
[1.1.4. 比抵抗値]
導電性セラミックスの比抵抗値は、主としてSiC含有量に依存する。製造条件を最適化すると、導線性セラミックスの室温(25℃)における比抵抗値は、100Ωcm以上105Ωcm以下となる。
[1.1.5. 第3成分]
導電性セラミックスは、実質的に絶縁性セラミックスからなるマトリックス及びSiCのみからなるものでも良く、あるいは、これら以外の第3成分が含まれていても良い。第3成分としては、例えば、
(a)SiC以外の導電性粒子(例えば、TiB2、TiN、TiC、VN、VCなど)、
(b)粒界相成分(例えば、Si227、Si3NO、Al23、AlN、Y23など)、
などがある。
[1.2. 表面層]
表面層14、14は、出力を取り出すための電極として用いられるものであり、基材12の両面に接合される。本発明において、表面層14、14は、Fe−Cr−Al系合金からなる。
「Fe−Cr−Al系合金」とは、Alを必須元素として含むFe−Cr系合金(いわゆる、フェライト系ステンレス鋼)をいう。Fe−Cr−Al系合金は、Alに加えて、希土類元素(Sc、Y、La〜Lu)をさらに含んでいても良い。
[1.2.1. 組成]
[A. Cr含有量]
一般に、Fe−Cr−Al系合金中のCr含有量が多くなるほど、フェライト相が安定化する。高い耐熱性、耐酸化性を得るためには、Fe−Cr−Al系合金中のCr含有量は、5wt%以上が好ましい。Cr含有量は、好ましくは、18wt%以上、さらに好ましくは、40wt%以上である。
一方、Cr含有量が過剰になると、1000℃での耐酸化性が低下する。従って、Cr含有量は、60wt%以下が好ましい。
[B. Al含有量]
Fe−Cr−Al系合金を高温大気中に曝露すると、表面に緻密な酸化膜(Al23)が形成され、内部への酸素の拡散が抑制される。このような効果を長期間に渡って持続させるためには、Fe−Cr−Al系合金中のAl含有量は、1wt%以上が好ましい。Al含有量は、好ましくは、3wt%以上である。
一方、Al含有量が過剰になると、熱膨張率が増大して電極剥離を起こしやすくなる。また、Fe−Cr−Al系合金の加工性が低下する。従って、Fe−Cr−Al系合金中のAl含有量は、8wt%以下が好ましい。Al含有量は、好ましくは、7.5wt%以下、さらに好ましくは、5wt%以下である。
[C. 希土類元素含有量]
希土類元素を含まない場合、使用条件によってはFe−Cr−Al電極膜の耐剥離性が低下し、短期間で電極膜の剥離及び酸化が進行して抵抗値が急増するおそれがある。一方、Fe−Cr−Al系合金にLaやYのような希土類元素を適量添加すると、表面に形成された緻密な酸化膜の剥離が抑制される。このような効果を得るためには、希土類元素の含有量は、0.01wt%以上が好ましい。希土類元素の含有量は、好ましくは、0.03wt%以上、さらに好ましくは、0.05wt%以上である。
一方、希土類元素の含有量が過剰になると、希土類元素が固溶限度を超えて析出する場合がある。これによりAlとの化合物を生成して、Fe−Cr−Al中のAlを消耗させるおそれがある。さらに、素材が脆化して圧延が難しくなる。従って、希土類元素の含有量は、2wt%以下が好ましい。希土類元素の含有量は、好ましくは、1wt%以下、さらに好ましくは、0.2wt%以下である。
[1.2.2. 厚さ]
表面層14、14の厚さは、接合体の耐久性に影響を与える。表面層14、14の厚さが薄すぎると、十分な耐久性が得られない。従って、表面層14、14の厚さは、10μm以上が好ましい。表面層14、14の厚さは、好ましくは、15μm以上である。
一方、表面層14、14の厚さが厚くなりすぎると、表面層14、14が剥離しやすくなる。従って、表面層14、14の厚さは、30μm以下が好ましい。表面層14、14の厚さは、好ましくは、25μm以下、さらに好ましくは、20μm以下である。
[1.2.3. 相対密度]
後述するように、表面層14、14は、スクリーン印刷法により製造することもできる。そのため、表面層14、14には、気孔が残存している場合がある。表面層14、14に相対的に少量の気孔が残存している場合であっても、上述した効果を得ることができる。しかし、表面層14、14の相対密度が過度に小さくなると、耐酸化性が低下する。
従って、表面層14、14の相対密度は、80%以上が好ましい。表面層14、14の相対密度は、好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上である。特に、表面層14、14は、開気孔率が0.1%であることが好ましい。
[1.3. 中間層]
中間層16、16は、基板12と表面層14、14の間に挿入されている。本発明において、中間層16、16は、主として、基材12と表面層14、14との反応を抑制するために用いられる。また、中間層16、16は、基材12と表面層14との間に発生する熱応力を緩和するためにも用いられる。
[1.3.1. 組成]
中間層16、16は、Cr又はCr合金からなる。中間層16、16がCr合金からなる場合、Cr合金に含まれる合金元素の種類は、目的に応じて最適な元素を選択することができる。合金元素としては、例えば、Al、Nb、La、Y、Co、Ceなどがある。これらの元素は、Fe合金基材内への酸素拡散を防止するために、表面層に形成するAlやCrの酸化膜が、高温大気曝露によって起こる剥離や破壊する現象を抑止でき、耐酸化性の向上に効果があるので、電極の長期耐久性を改良する合金元素として好適である。
Cr合金中のCr含有量が少なくなりすぎると、熱膨張率が大きくなり、中間層の役目を担うことができなくなる。従って、Cr合金中のCr含有量は、80wt%以上である必要がある。Cr含有量は、好ましくは、90wt%以上、さらに好ましくは、95wt%以上である。
[1.3.2. 厚さ]
中間層16、16の厚さが薄くなりすぎると、基材12と表面層14、14との反応を抑制するのが困難となる。従って、中間層16、16の厚さは、1μm以上が好ましい。中間層16、16の厚さは、好ましくは、5μm以上、さらに好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、15μm以上である。
一方、中間層16、16の厚さが厚くなりすぎると、電極剥離が生じやすくなる。従って、中間層16、16の厚さは、50μm以下が好ましい。中間層16、16の厚さは、好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは、20μm以下である。
[1.3.3. 相対密度]
後述するように、中間層16、16は、スクリーン印刷法により形成することもできる。そのため、中間層16、16には、気孔が残存している場合がある。中間層16、16の表面にはさらに表面層14、14が形成されるため、中間層16、16に気孔が残存している場合であっても、上述した効果を得ることができる。しかし、中間層16、16の相対密度が過度に小さくなると、耐酸化性が低下する。
従って、中間層16、16の相対密度は、60%以上が好ましい。中間層16、16の相対密度は、好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
[1.4. 反応層]
基材12と中間層16、16との界面には、反応層が生成する場合がある。このような反応層としては、例えば、CrSi2、Cr23などがある。
[1.5. 用途]
本発明に係る金属/セラミックス接合体は、例えば、800℃以上の高温酸化雰囲気下で使用されるサーミスタなどに用いることができる。
[2. 金属/セラミックス接合体の製造方法]
本発明に係る金属/セラミックス接合体は、
(a)基材12の表面に、中間層16、16を形成し、
(b)中間層16、16の表面に、さらに表面層14、14を形成し、
(c)基材12/中間層16/表面層14の積層体をホットプレスする
ことにより製造することができる。
[2.1. 中間層の形成]
中間層16、16の形成方法は、所定の組成及び厚さを有する中間層16、16を形成可能な方法である限りにおいて、特に限定されない。
中間層16、16の形成方法としては、例えば、
(a)Cr粉末又はCr合金粉末を基材12の表面にスクリーン印刷する方法、
(b)スパッタ、蒸着、めっきなどの方法を用いて、基材12の表面にCr又はCr合金からなる薄膜を形成する方法、
(c)基材12の表面に、Cr箔又はCr合金箔を載せる方法、
などがある。
[2.2. 表面層の形成]
表面層14、14の形成方法は、所定の組成及び厚さを有する表面層14、14を形成可能な方法である限りにおいて、特に限定されない。
表面層14、14の形成方法としては、例えば、
(a)Fe−Cr−Al系合金粉末を中間層16の表面に直接スクリーン印刷する方法、
(b)予め転写紙上にスクリーン印刷して形成した転写膜を中間層16に貼り付ける方法、
(c)スパッタ、蒸着、めっきなどの方法を用いて、中間層16の表面にFe−Cr−Al系合金からなる薄膜を形成する方法、
(d)中間層12の表面に、Fe−Cr−Al系合金箔を載せる方法、
などがある。
[2.3. ホットプレス]
次に、積層体をホットプレスする。ホットプレス条件は、表面層14及び中間層16の組成に応じて最適な条件を選択する。最適なホットプレス条件は、材料組成にもよるが、通常、5MPa以上80MPa以下の圧力で加圧しながら、900℃〜1200℃で5分〜60分ホットプレスするのが好ましい。
[3. 作用]
Fe−Cr−Al系合金を高温大気中に曝露すると、合金表面にAl23を主成分とする緻密な酸化膜が形成される。そのため、酸素が内部に拡散するのが抑制され、高耐熱性、高耐酸化性を示す。しかし、このようなFe−Cr−Al系合金箔とSiCを含むセラミックスとを直接、接合すると、Fe−Cr−Al系合金箔の耐熱性、及び耐酸化性が著しく低下する場合がある。また、Fe−Cr−Al系合金箔が剥離しやすくなる。これは、
(a)Fe−Cr−Al系合金とSiCとが反応することにより、Fe−Cr−Al系合金中にSiが拡散し、Fe−Si系融液が生成するため、
(b)Fe−Si系融液が発生すると、これがセラミックス側に拡散するため、及び、
(c)Fe−Si系融液の拡散に伴いAlもセラミックス側に拡散し、Fe−Cr−Al系合金中のAlが枯渇するため
と考えられる。
これに対し、SiCを含む導電性セラミックスからなる基材とFe−Cr−Al系合金からなる表面層とを接合する場合において、両者の間にCr又はCr合金からなる中間層(Cr系中間層)を介在させると、表面層の酸化及び剥離が抑制される。これは、
(a)Cr系中間層を介在させることによって、導電セラミックスから表面層へのSiの拡散、及び、これによる表面層の脆化が抑制されるため、
(b)Cr系中間層を介在させることによって、表面層から導電性セラミックスへのFe及びAlの拡散、及び、これによる表面層中のAlの枯渇が抑制されるため、並びに、
(c)Cr系中間層は導電性セラミックスと表面層の中間の熱膨張係数を有しているために、導電性セラミックスと表面層との間に発生する熱応力が緩和されるため、
と考えられる。
本発明に係る金属/セラミックス接合体は、大気中800℃以上の高温雰囲気において、導電性セラミックスの上に接合した電極膜(表面層+中間層)の高温酸化を防止することができる。また、昇降温速度が500℃/minの急速冷熱サイクルの熱衝撃負荷や、金属とセラミックスの熱膨張差に起因した電極膜/セラミックス界面での電極膜の剥離を抑えることができる。この効果によって、過酷な雰囲気下においても長期にわたって安定して温度を検出することができる。
また、接合体表面に、緻密で純度の高い(セラミックスからの元素拡散のない)電極膜を形成しやすい。そのため、抵抗溶接、レーザー溶接、ペースト付等による電極膜表面へのリード線の接合を容易に、かつ、安定して行うことが可能となる。また、高温酸化雰囲気下においても、電極膜とリード線を介してセラミックスからの抵抗値変化を長時間安定して検出することができる。さらに、強度の高い電極膜/リード線の接合が可能となる。
電極膜/導電性セラミックスの界面に設けたCrやCr合金からなる中間層は、セラミックスと電極膜間に生じる元素の相互拡散を防止する効果があると考えられる。そのため、接合時及び長期耐久時に起こりやすい電極膜の変質を抑えることができる。
また、Crの熱膨張率は、6×1061/℃と金属の中で小さく、セラミックス材料にも近いことから、接合による残留応力も低く抑えることができる。また、接合時に電極剥離はもちろん、急熱・急冷を伴う冷熱サイクルにおける金属電極膜の剥離も防止できる。
さらに、Crは、高い耐熱性や耐酸化性を有することから、高温大気中での曝露による電極膜/セラミックス界面の接合劣化も起こりにくい。
さらに、本発明に係る金属/セラミックス接合体は、特に、中間層16、16がCrからなり、かつ、表面層14、14がFe−20〜60Cr−5Al−0.05〜1Laからなるものが好ましい。これは、以下の理由による。
(a)熱膨張係数が深さ方向に小さくなる2層以上の層(中間層、表面層)を形成することによって、熱膨張係数が傾斜的に変化する。その結果、高い耐熱衝撃性を発現できる。
(b)表面層は中間層より耐酸化性が高いため、1000℃以上の高温域においても高い耐酸化性を発現することができる。
(c)セラミックス側から上層に向かって、融点が低くなっている。そのため、表面層ほど元素拡散しやすく、接合処理が容易になる。また、中間層から下層に向かって組成の変化がより少なくなり、Cr相及びサーミスタ基材の組成変化を少なくすることができる。
(d)接合時に中間層における液相生成が抑えられることによって、顕著な元素拡散による組成変化が発生しにくい。この効果により、上層とサーミスタ基材間のAlやSiの相互拡散を抑えることが可能となり、上層の金属相と下層のセラミックス相それぞれの本来の特性を発現できる。
(e)表面層に緻密性の高い金属を用いているため、高い耐酸化性が発現しやすい。
(f)表面層と中間層に共通したCr元素を含むことから、中間層と表面層のなじみが良く、かつ、中間層と表面層の組成融合を抑止することができる。
(g)上記の結果として、接合性、耐熱衝撃性、耐酸化性、及びリード線溶接性を同時に向上させることが可能となる。
(実施例1〜5、比較例1〜8)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。導電性セラミックスの表面を#600のダイヤモンド砥石で表面研磨した後、フッ化水素酸と硝酸の混合液でエッチング処理を施し、表面のガラス相を除去した。
次に、粒径10μm以下のCr粉末をスクリーン印刷し、厚さ15μm程度のCr転写膜を作製した。このCr転写膜を導電性セラミックスの表面に貼り付けた。さらに、Cr転写膜の上に、厚さ15μm程度のFe−20Cr−5Al−0.05La合金箔を貼り付け、熱処理を行った。熱処理は、SPS(Spark Plasma Sintering)装置を用いて、真空度:1Pa以下、温度:1100℃、保持時間:10分、圧力:36MPaの条件で実施した。
得られた接合体の電極膜の表面を研磨し、不純物表面層を除去した。さらに、φ0.3mmのリード線を電極膜の表面に乗せて、レーザ及び抵抗溶接法により接合した。
[1.2. 実施例2]
Al23に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、粒径10μm以下のCr−10%Fe粉末をスクリーン印刷し、厚さ15μm程度のCr−10%Fe転写膜を作製した。以下、実施例1と同様にして接合体を得た。
[1.3. 実施例3]
Al23に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、粒径10μm以下のCr粉末をスクリーン印刷し、厚さ15μm程度のCr転写膜を作製した。以下、実施例1と同様にして接合体を得た。
[1.4. 実施例4]
ZrO2に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、粒径10μm以下のCr粉末をスクリーン印刷し、厚さ15μm程度のCr転写膜を作製した。以下、実施例1と同様にして接合体を得た。
[1.5. 実施例5]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、粒径10μm以下のCr−10%Fe粉末をスクリーン印刷し、厚さ15μm程度のCr−10%Fe転写膜を作製した。以下、熱処理条件を1100℃、10分、50MPaとした以外は実施例1と同様にして接合体を得た。
[1.6. 比較例1]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、転写紙上にスクリーン印刷法で作製した厚さ30μmのFe−20Cr−5Al−0.05La合金転写膜を貼り付け、熱処理を行った。熱処理は、SPS装置を用いて、真空度:1Pa以下、温度:1050℃、保持時間:10分、圧力:36MPaの条件で実施した。
得られた接合体の電極膜の表面を研磨し、不純物表面層を除去した。さらに、φ0.3mmのリード線を電極膜の表面に乗せて、レーザ及び抵抗溶接法により接合した。
[1.7. 比較例2]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ60μmのCr転写膜を貼り付けた。さらにその上に、厚さ20μmのFe−20Cr−5Al合金箔を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.8. 比較例3]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ20μmのFe−20%Cr転写膜を貼り付けた。さらにその上に、厚さ20μmのFe−20Cr−5Al合金箔を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.9. 比較例4]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ20μmのFe−60%Cr転写膜を貼り付けた。さらにその上に、厚さ15μmのFe−20Cr−5Al−0.05La合金箔を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.10. 比較例5]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ20μmのFe−20%Cr転写膜を貼り付けた。さらにその上に、厚さ12μmのFe−20Cr−5Al合金箔を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.11. 比較例6]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ30μmのCr転写膜を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.12. 比較例7]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、厚さ20μmのFe−20Cr−5Al合金箔を貼り付けた。以下、比較例1と同様にして接合体を得た。
[1.13. 比較例8]
Si34に30vol%のSiC粒子を添加した導電性セラミックスを作製した。以下、比較例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、スクリーン印刷法により作製した厚さ30μmのFe−80%Cr転写膜及び同厚さのCr転写膜を積層して貼り付け、熱処理を行った。熱処理は、SPS装置を用いて、真空度:1Pa以下、温度:1100℃、保持時間:10分、圧力:36MPaの条件で実施した。接合後、比較例1と同様にしてリード線を接合した。
[2. 評価]
[2.1. 外観]
図2に、Fe−Cr−Al−La/Cr電極膜に、線径0.3mmのFe−Crリード線が抵抗溶接された金属/セラミックス接合体(実施例1)の外観写真を示す。図2より、リード線溶接により生成する熱(内部)応力によって電極膜が剥離することなく、良好な接合状態を維持できていることがわかる。また、リード線溶接による抵抗値上昇も認められなかった。
[2.2. 電極膜の耐剥離性、耐酸化性、及び溶接性]
実施例1〜5及び比較例1〜8で得られた接合体に対して、急熱急冷サイクルを付与した時の電極膜の剥離の有無を評価した。急熱急冷サイクル試験の条件は、室温→1000度への上昇時間を数十秒、1000℃→室温への下降時間を数十秒として、それぞれの温度で2分間保持するような熱サイクルパターンで接合体に繰り返し熱負荷を与えた。
また、電極膜の耐酸化性を、大気中、1000℃で曝露した時の酸化増量又は抵抗値変化で評価した。さらに、電極膜の溶接性を、φ0.3mm程度のFe−Cr合金線材を電極膜の上に乗せてパラレル抵抗溶接又はレーザスポット溶接することにより、その溶接性を評価した。
実施例1〜5で得られた接合体の場合、電極膜の耐剥離性、耐酸化性、及び溶接性は、いずれも良好であった。
一方、比較例1では、電極膜が剥離しやすく、リード線の溶接も困難であった。比較例2では、急熱急冷サイクル試験時に電極膜の剥離が認められた。
比較例3〜5のように、中間層のCr量を80wt%未満にした場合、電極膜の接合時に中間層と表面層との間でFeの拡散が生じた。その結果、表面層が剥離しやすくなった。また、Alの拡散現象が顕著となり、高温での耐酸化性が低下した。
比較例6のように、電極膜がCr層のみからなる場合、接合体を1000℃以上の大気中、高温雰囲気に曝露すると、表面に形成されたCr23膜が剥離又は昇華して、著しく酸化が促進された。
比較例7は、接合可能であったが、急熱急冷サイクル試験の初期に電極膜の剥離が起こった。
また、比較例8は、表面層のFe−80Cr膜の酸化が著しく進むと共に、Cr膜も酸化された。その後、電極膜全体に酸化膜が形成され、電極膜の抵抗値が著しく上昇し、測定不能となった。
さらに、比較例1〜5、比較例7〜8では、セラミックス側から電極膜側にSiが拡散し、リード線の溶接や接合がしにくくなっていた。
[2.3. EPMA分析及びSEM観察]
[2.3.1. 図3]
図3に、比較例3で得られた金属/セラミックス接合体の接合界面近傍のEPMAによる元素分析結果を示す。図3より、以下のことが分かる。
(a)電極膜のFeが基材のSiCと反応して液相を形成し、Feが基材内に著しく拡散した。
(b)上記(1)の反応により、電極膜の厚さが大幅に減少した。
(c)Fe−Cr−Al合金の耐酸化性を担うAl及びCrが下層の基材内に拡散した。
[2.3.2. 図4]
図4に、実施例1で得られた金属/セラミックス接合体のEPMAによる電極膜内の元素分析結果(図4(A):Fe、Cr、Al、La、図4(B):N、Si)を示す。図4より、以下のことが分かる。
(a)Fe、Cr、Al、及びLaは、いずれも拡散による電極膜の深さ方向への偏りが少ない。
(b)セラミックス内へのFe、Cr、Al成分の過剰な拡散がない。
(c)Cr中間層によって電極膜とセラミックス間でのFe、Cr、Al、Siの相互拡散が抑制されていることがわかる。
[2.3.3. 図5]
図5に、実施例1で得られた金属/セラミックス接合体の接合界面のSEM像を示す。図5より、以下のことが分かる。
(a)Fe−Cr−Al合金層とCr層界面に剥離もなく、良好に接合した。
(b)Cr層とサーミスタ基材界面に液相を生成することなく接合した。
(c)上層のFe−Cr−Al合金層は良好な金属面を呈していた。
[2.3.4. 図6]
図6に、実施例1で得られた金属/セラミックス接合体を、大気中において1050℃で加熱した後の電極膜内のEPMAによる元素分析結果を示す。図6より、以下のことが分かる。
(a)Fe−Cr−Al合金/中間Cr層の二層電極構造を呈していた。
(b)上層のFe−Cr−Al合金層は良好な金属面を呈していた。また、サーミスタ基材界面に液相を生成することなく接合していた。
(c)接合体は、上層のFe−Cr−Al合金層内にAl及びLa(希土類元素)が存在しており、大気中、1050℃以上の高温雰囲気において高い耐酸化性を示した。
[2.3.5. 図7]
図7に、実施例1で得られた金属/セラミックス接合体の抵抗溶接部のSEM像を示す。図7より、以下のことが分かる。
(a)リード線合金は、溶接時に電極膜表面でスパッタを起こすことなく互いに溶け合って電極膜と一体化していた。
(実施例11)
[1. 試料の作製]
Fe−20Cr−yAl−0.05La合金箔中のAl量(y)を0wt%〜10wt%に変化させた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
得られた接合体を、大気中、1050℃で100時間加熱した。加熱前後の重量変化から、酸化増量(単位面積当たりの重量増加)を算出した。図8に、Fe−20Cr−Al表面層中のAl量と耐酸化性との関係を示す。図8より、以下のことが分かる。
(a)表面層中のAl量が0wt%である場合、異常酸化が生じた。
(b)表面層中のAl量が増加するに伴い、酸化増量は小さくなり、Al量が3wt%以上では、酸化増量はほぼゼロとなった。
(実施例12)
[1. 試料の作製]
Cr中間層の厚さを10μm〜60μmに変化させた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
得られた接合体の電極の剥離の有無を目視により評価した。表1に、その結果を示す。表1より、以下のことがわかる。
(a)Cr中間層の厚さを60μmにした場合、電極膜は、両面とも剥離した。
(b)Cr中間層の厚さを10〜50μmにした場合、電極膜の剥離は起こらず、良好な接合体が得られた。
Figure 2019182667
(実施例13)
[1. 試料の作製]
Fe−Cr−Al系合金からなる表面層の厚さを5μm〜30μmに変化させた以外は、実施例1と同様にして接合体を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. 抵抗安定性]
得られた接合体を、大気中、1000℃に加熱し、抵抗値の経時変化を測定した。図9に、Fe−20Cr−Al表面層の厚さと抵抗安定性との関係を示す。さらに、表2に、Fe−Cr−Al表面層の厚さと電極接合状態との関係を示す。図9及び表2より、以下のことが分かる。
(a)表面層の厚さが5μmである場合、50時間経過後に抵抗値が急増した。また、表面層の厚さが7μmである場合、500時間経過後に抵抗値が急増した。一方、表面層の厚さを10μmとすると、1000時間経過後も抵抗値はほとんど変化しなかった。
(b)表面層の厚さを30μmにした場合、電極膜は、両面とも剥離した。
Figure 2019182667
[2.2. 面内応力]
Fe−Cr−Al箔を直接、セラミックス基材の接合した場合の内部応力を、放射光を用いて側傾法により測定した。図10に、Fe−20Cr−5Al表面層の厚さと接合体の面内応力との関係を示す。なお、図10には、FEM計算値も併せて示した。図10より、以下のことが分かる。
(a)Fe−Cr−Al箔をセラミックス基材に接合した場合の内部応力は、箔厚10〜20μmでは、実験値及び計算値ともセラミックス基材の強度を下回った。一方、箔厚が30μmになると、実験値がセラミックス基材の強度に近くなった。
(b)表面層の厚さを30μmにした時に電極膜が両面とも剥離した原因は、内部応力がセラミックス基材の強度を上回ったことに起因すると推定された。
(c)安全係数を考慮すると、上層の厚さは、30μm以下が好ましいことがわかる。
(実施例14)
[1. 試験方法]
実施例1で得られた接合体に対し、室温と1050℃との間を往復させる冷熱繰り返し負荷を与えた。繰り返し負荷を与える毎に、温度感度(B値)を測定した。
ここで、「温度感度(B値)」とは、電気抵抗(R)と温度(T;セルシウス温度)の関係をR=Aexp(−BT)で近似したときの定数Bをいう。B値は、室温における抵抗値と、1050℃での抵抗値から算出した。
[2. 結果]
図11に、冷熱繰り返し負荷を与えた時の温度感度(B値)の安定性を示す。図11より、実施例1で得られた接合体は、冷熱繰り返し負荷を加えた場合であっても、B値が安定していることがわかる。これは、電極膜/セラミックス接合による内部応力がCr中間層によって緩和されたためと考えられる。
(実施例15)
[1. 試料の作製]
Si34粉末、Al23粉末、AlN粉末、Y23粉末、β型SiC粉末、及びVN粉末を出発原料に用いて、導電性セラミックスを作製した。以下、実施例1と同様にして、導電性セラミックスの表面研磨及びエッチングを行った。
次に、導電性セラミックスの表面に、厚さ8μmのCr層、及び厚さ12μmのFe−20Cr−5Al箔を載せ、熱処理した。熱処理は、SPS装置を用いて、真空度:1Pa以下、温度:1100℃、保持時間:10分、圧力:36MPaの条件で行った。
[2. 試験方法及び結果]
得られた接合体を、大気中、1050℃で曝露した。その際の抵抗変化率を評価した。ここで、「抵抗変化率」とは、次の式(1)で表される値をいう。
抵抗変化率=(R−R0)×100/R0・・・(1)
但し、
Rは、大気中、1050℃でt時間暴露後の室温での電気抵抗値、
0は、曝露前の室温での電気抵抗値。
図12に、曝露時間と抵抗変化率との関係を示す。図12より、以下のことが分かる。
(a)室温から1050℃に昇温した時点(曝露時間:ゼロ時間)において、抵抗変化率は、約1%であった。
(b)その後、1050℃での曝露を継続しても、抵抗値変化は僅かであった。
(c)実施例15の接合体は、大気中、1050℃の雰囲気下で高い耐酸化性と耐熱性、及び耐剥離性を有していることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る金属/セラミックス接合体は、大気中において、−80℃〜1050℃程度の温度域で使用する温度センサーとして使用することができる。

Claims (7)

  1. 以下の構成を備えた金属/セラミックス接合体。
    (1)前記金属/セラミックス接合体は、
    導電性セラミックスからなる基板と、
    前記基板の表面に接合された表面層と、
    前記基板と前記表面層の間に挿入された中間層と、
    を備えている。
    (2)前記導電性セラミックスは、絶縁性セラミックスからなるマトリックス中に、SiCが分散している複合セラミックスからなる。
    (3)前記表面層は、Fe−Cr−Al系合金からなる。
    (4)前記中間層は、Cr、又は、Cr含有量が80wt%以上であるCr合金からなる。
    (5)前記中間層の厚さは、1μm以上50μm以下である。
  2. 前記複合セラミックス中のSiCの含有量は、10vol%以上40vol%以下である請求項1に記載の金属/セラミックス接合体。
  3. 前記表面層の厚さは、10μm以上30μm以下である請求項1又は2に記載の金属/セラミックス接合体。
  4. 前記Fe−Cr−Al系合金中のAl含有量は、1wt%以上8wt%以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の金属/セラミックス接合体。
  5. 前記表面層の相対密度は、80%以上である請求項1から4までのいずれか1項に記載の金属/セラミックス接合体。
  6. 前記中間層の相対密度は、60%以上である請求項1から5までのいずれか1項に記載の金属/セラミックス接合体。
  7. 800℃以上の高温酸化雰囲気下で使用されるサーミスタとして用いられる請求項1から6までのいずれか1項に記載の金属/セラミックス接合体。
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