WO2014119583A1 - 電解銅箔、該電解銅箔を用いた電池用集電体、該集電体を用いた二次電池用電極、該電極を用いた二次電池 - Google Patents

電解銅箔、該電解銅箔を用いた電池用集電体、該集電体を用いた二次電池用電極、該電極を用いた二次電池 Download PDF

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Abstract

 300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強さが500MPa以上の、電解銅箔を提供すること。また、ポリイミドフィルムと張り合わせるプリント配線板において機械的強度に優れた電解銅箔を提供すること。更に、Si又はSn合金系活物質を用いるリチウムイオン二次電池の集電体(銅箔)として活物質との密着性をポリイミドバインダーにより保持し、変形あるいは破断しない銅合金箔を提供する。タングステンを0.06wt%~0.5wt%含有し、残部が銅からなる電解銅箔である。該電解銅箔は、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強さが500MPa以上である。また、前記電解銅箔を集電体として用いた二次電池である。

Description

電解銅箔、該電解銅箔を用いた電池用集電体、該集電体を用いた二次電池用電極、該電極を用いた二次電池
 本発明は、電解析出面が低プロファイルであり、且つ、大きな機械的強度を備え、高温で加熱しても機械的強度が変化し難い電解銅箔に関するものである。
 本発明は、前記電解銅箔を二次電池用集電体とし、該集電体に活物質を堆積して二次電池用電極とし、該電極を組み込んだ二次電池に関するものできる。
 本発明の電解銅箔は、該電解銅箔を導電材としたリジッドプリント配線板、フレキシブルプリント配線板、電磁波シールド材料等に好適に採用することができる。
 なお、本明細書では、電解銅箔、電解銅合金箔(箔中に銅と第三金属との合金を含む箔、箔中に第三金属が固溶状態で含まれる箔)を区別して表現する必要がない時は「電解銅箔」と表現し、また、機械的強度とは引張強度を指す。
 銅箔は、リジッドプリント配線板、フレキシブルプリント配線板、電磁波シールド材料、電池の集電体等々、種々の分野で使用されている。
 これらの分野の内、ポリイミドフィルムと張り合わせるプリント配線板(フレキシブル配線板、以下「FPC」と称する。)の分野において、ハードディスク(以下、「HDD」と称する。)サスペンション材料、或いはテープ・オートメーティド・ボンディング(以下、「TAB」と称する。)材料は、銅箔の強度向上を要求してきている。
 HDDに搭載されているサスペンションは、HDDの高容量化が進むに従い従来使用されてきたワイヤタイプのサスペンションから、記憶媒体であるディスクに対しフライングヘッドの浮力と位置精度が安定した配線一体型のサスペンションへ大半が置き換わってきている。
 この配線一体型サスペンションは、次の三種類のタイプがある。
 a.FSA(フレックス サスペンション アッセンブリ)法と呼ばれるフレキシブルプリント基板を加工し接着剤を用いて張り合わせたタイプ
 b.CIS(サーキット・インテグレーティッド・サスペンション)法と呼ばれるポリイミド樹脂の前駆体であるアミック酸を形状加工した後、イミド化し更にポリイミド上にメッキ加工を施すことにより配線を形成するタイプ
 c.TSA(トレース・サスペンション・アッセンブリ)法と呼ばれるステンレス箔-ポリイミド樹脂-銅箔からなる積層体をエッチング加工により所定の形状に加工するタイプ
 TSA法サスペンションは、高強度を有する銅合金箔を積層することによって、容易にフライングリードを形成させることが可能であり、形状加工での自由度が高いことや比較的安価で寸法精度が良いことから幅広く使用されている。
 TSA法により形成される積層体は、ステンレス箔厚さは12~30μm程度、ポリイミド層厚みは5~20μm程度、銅合金箔厚さは7~14μm程度の材料を用いて製造されている。
 積層体の製造は、まず基体となるステンレス箔上にポリイミド樹脂液を塗布する。塗布後、予備加熱により溶媒を除去した後、さらに加熱処理してイミド化を行う。続いてイミド化したポリイミド樹脂層の上に銅合金箔を重ね合わせ、300℃程度の温度で加熱圧着してラミネートし、ステンレス層/ポリイミド層/銅合金層からなる積層体を製造する。
 この300℃程度の加熱時において、ステンレス箔には寸法変化がほとんど見られない。しかし、従来の電解銅箔を使用すると、電解銅箔は300℃程度の温度で焼鈍され、再結晶が進み、軟化して寸法変化が生ずる。このため、ラミネート後に積層体に反りが生じ、製品の寸法精度が低下する。
 ラミネート後に積層体に反りを生じさせないためには、加熱時の寸法変化ができるだけ小さい銅合金箔の提供が求められている。
 また、TAB材料においてはHDDサスペンション材料と同様、銅箔の高強度化と共に箔表面の低粗度化が要求されている。
 TAB製品においては、製品のほぼ中央部に位置するデバイスホールに配されるインナーリード(フライングリード)に対し、ICチップの複数の端子を直接ボンディングする。このボンディングはボンディング装置を用いて、瞬間的に通電加熱し、一定のボンディング圧を付加して行う。このとき、電解銅箔をエッチング形成して得られたインナーリードが、ボンディング圧で引っ張られて伸びるという問題がある。
 さらには、電解銅箔の強度が低いと塑性変形してインナーリードにたるみが発生し、著しい場合には破断する可能性がある。
 従って、インナーリードの線幅を細線化するには、使用する電解銅箔は低粗度化された粗面を持ち、かつ高強度であることが要求される。
 この場合も、常態(常温・常圧状態)で銅箔が高強度であるとともに、加熱した後でも高強度であることが必要である。TAB用途の場合には、銅箔とポリイミドが張り合わされた2層または3層のFPCが使用される。3層のFPCでは銅箔にポリイミドを張り合わせる場合には、エポキシ系の接着剤を使用し、180℃前後の温度で張り合わせる。またポリイミド系の接着剤を使用した2層FPCでは、300℃前後の温度で張り合わせを行う。
 仮に常態で機械的強度が大きい電解銅箔であっても、ポリイミドに接着した時に電解銅箔が軟化しては意味がない。従来の高強度電解銅箔は常態での機械的強度が大きく、180℃前後で加熱してもほとんど機械的強度は変化しないが、300℃程度で加熱した場合は、焼鈍され再結晶が進むため、急速に軟化して機械的強度が低下する。このような銅箔はTAB用途には不向きである。
 また銅箔はリチウムイオン二次電池等の電池用集電体として使用されている。リチウムイオン二次電池は基本的に、正極、負極、電解液から構成される。負極は、集電体として用いられる銅箔の表面に負極活物質層をコーティングすることで形成される。
 負極の形成法としては、負極活物質とバインダー樹脂(活物質と銅箔基板とを結着することを目的に添加される)を溶剤に溶かしたスラリーを銅箔基板上に塗布し、バインダー樹脂の硬化温度以上の温度で乾燥させた後、プレスすることで形成する方法が一般的である。
 バインダー樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やスチレンブタジエンゴム(SBR)等が広く用いられている。
 近年、電池の高容量化に伴い着目されている、理論容量の高いケイ素、スズ、ゲルマニウム合金系材料などからなる活物質は、充放電時のリチウムの挿入脱離に伴う体積膨張率が非常に大きく、上述したバインダー樹脂では強度が足りない。そこで、銅基板との接着強度の高いポリイミド系樹脂が好ましく使用されてきている。しかし、ポリイミド系樹脂は上述したバインダー樹脂と違い、硬化温度が300℃程度と非常に高く、この加熱条件に耐え得る負極集電体(銅箔)が要求されている。
 このように、FPC分野、二次電池分野では共に硬化温度が300℃程度と非常に高いポリイミド系樹脂がバインダーとして使用されるようになってきており、この加熱条件に耐え得る銅箔が要求されている。
 ところで、電解銅箔の電解液には硫酸銅と硫酸を含有する電解液を使用し、銅箔表面の光沢化や平滑化、銅箔の応力減少などを目的として、めっき浴には種々の添加剤が添加されている。添加剤を用いない場合には、銅箔に要求される表面形態や機械的特性などが得られないことから、添加剤の重要性は非常に高い。特に硫酸銅めっき浴は単純酸性浴であるために均一電着性に劣り、添加剤無しでは好ましい電解銅箔の製造は困難である。硫酸銅めっき浴に用いられる添加剤としては、塩素イオン、ポリオキシエチレン系の界面活性剤、平滑剤、有機硫化物などの光沢剤、膠(にかわ)、ゼラチンなどが提案され、使用されている。
 硫酸銅めっき浴に塩素や添加剤を添加しないと電気が流れやすい高電流部分(陽極に近い箇所や、陰極の端、とがったものの先端など)にめっきが集中し、一般的に言う「ヤケの状態(めっき面がより凸凹になる)」になる。そのため通常の硫酸銅めっきでは塩素イオンを添加する。
 しかし、一般的に電解液中に塩素イオンが存在すると銅箔中に特定の金属を混入させて銅箔の特性を変化させることが困難となる。即ち、塩素イオンが存在しない電解液では銅箔中に他の金属を混入させることが可能であり、他の金属を混入させ(合金化し)銅箔の特性を変化させることができるが、電解液中に塩素イオンが入ると銅箔に他の金属が混入しづらくなり、銅箔の特性を他の金属で変化させることが極めて困難となる。
 例えば、特許文献1、2は、硫酸-硫酸銅電解液中にタングステンを加え、さらに膠と塩素イオンを加えた電解液で電解銅箔を製造する方法を開示しており、その効果として180℃における熱間伸び率が3%以上であり、粗面の粗さが大きく、ピンホール発生の少ない銅箔が製造可能であると記載している。
 そこで本発明者等は、硫酸-硫酸銅電解液中にタングステンを加え、さらに膠と塩素イオンを加えた実験を繰り返し、特許文献1に開示されている電解銅箔が目的とする180℃における熱間伸び率が3%以上であり、粗面の粗さが大きく、ピンホール発生の少ない銅箔を製造することができた。しかし、この銅箔を300℃×1時間の熱処理を施したところ、機械的強度が保持できないことが判明した。そこでこの銅箔を分析したところ、電析銅中にタングステンが共析していない結果となった。
 即ち、特許文献1、2の方法では硫酸-硫酸銅電解液中にタングステンを加え、さらに膠10mg/L以下と塩素イオンを20~100mg/L添加した電解液で電析を行ったため、銅箔中にタングステンが共析せず、300℃で加熱しても高い機械的強度を保持する電解銅箔を製造することができない結果となった。
 上述したように、電解銅箔は硫酸銅と硫酸を含有する電解液に添加剤として塩素と有機化合物を添加して製箔している。
 有機添加剤は通常は結晶の成長を抑制する効果のあるものが多く、結晶粒界に取り込まれると考えられている。
 この場合、結晶粒界に取り込まれる有機添加剤の量が多いほど機械的強度が向上する傾向にある(非特許文献1:志賀章二;金属表面技術 Vol31, No10,p573 (1980))。
 非特許文献1に記載されているように電解銅箔に取り込まれる有機添加剤は銅箔の機械的強度を向上する。この要因は、有機添加剤が主に結晶粒界に取り込まれ常温においては機械的強度を向上する、と考察できる。しかし、この有機添加剤を取り込んだ電解銅箔を300℃以上の高温で加熱すると機械的強度は低下する。その原因は有機添加剤が熱分解し、その結果として機械的強度が低下すると推測される。
 一方、上記要求を満たす銅箔として圧延銅合金箔が使用されている。圧延銅合金箔は300℃程度の温度では焼鈍されにくく、加熱時の寸法変化が小さく、機械的強度変化も少ない。
 しかし圧延銅箔は電解銅箔に比べると高価であり、幅、厚さ等の要求を満足させることが難しい。
 そこで本発明者等はポリイミド樹脂基材と張り合わせる面が低プロファイルで、且つ、機械的強度にも優れた電解銅箔、及びポリイミド系樹脂をバインダー樹脂とする用途に適合する電解銅箔として、銅箔に種々の金属を添加し、その耐熱性を改善する試みを行った。
 しかし、銅箔の耐熱性を改善できる金属を電解銅箔中に取り込むことは非常に困難であった。即ち、銅箔の耐熱性を改善する金属は銅箔中に非常に取り込み難い金属である。
特許第3238278号 特開平9-67693号公報 国際公開第2013/018773号
志賀章二;金属表面技術 Vol31, No10,p573 (1980)
 本発明者等は鋭意研究の結果、上述した課題を克服し、タングステン(W)を含み、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が450MPa以上である、電解銅箔の開発に成功し(特許文献3参照)、更に研究を積み重ねた結果、タングステンが0.06wt%~0.5wt%、塩素(Cl)が0.001wt%~0.07wt%含有し、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が500MPa以上の電解銅箔の開発に成功した。
 また、本発明者等は、たとえば、HDDサスペンション材料、TAB材料として、或いはSi又はSn合金系活物質の大きな膨張、収縮を繰り返す活物質に対して、ポリイミドバインダーの使用を可能とし、集電体(銅箔)として変形しない電解銅箔の開発に成功した。
 本発明は、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強さ500MPa以上の電解銅箔を提供することを目的とする。
 また、本発明はポリイミドフィルムと張り合わせるプリント配線板分野における用途において機械的強度に優れた電解銅箔を提供することを目的とする。
 更に本発明は、Si又はSn合金系活物質を用いるリチウムイオン二次電池で、Si又はSn合金系活物質の大きな膨張、収縮に対して、集電体(銅箔)と活物質との密着性をポリイミドバインダーにより保持し、集電体(銅箔)が変形あるいは破断しない銅箔を提供することを目的とする。
 本発明電解銅箔はタングステンを、0.06wt%以上含有する。
 より好ましくは、本発明電解銅箔のタングステン含有量は、0.06wt%~0.5wt%である。
 本発明電解銅箔はタングステンを、0.06wt%~0.5wt%含有し、塩素を、0.001wt%~0.07wt%含有する。
 好ましくは、前記タングステンの全てまたは一部が酸化物として取り込まれている。
 また、本発明によれば、タングステンを含有し、残部が実質的に銅からなる電解銅箔である。なお、上記「残部が実質的に銅からなる」とは、銅に、原料等に由来する不可避的不純物が含まれ、或いは電解製箔プロセス等による微量の添加物が含まれることを許容する、との意味である。
 本発明の電解銅箔は、タングステンを0.06wt%~0.5wt%含み、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が500MPa以上である。
 また、本発明の電解銅箔は、タングステンを0.06wt%~0.5wt%含み、塩素を、0.001wt%~0.07wt%含み、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が500MPa以上である。
 本発明二次電池用集電体は、上記いずれかに記載の電解銅箔を用いたことを特徴とする。
 また、本発明二次電池用電極は、上記いずれかに記載の電解銅箔を、二次電池用集電体として用い、その表面に活物質が堆積されていることを特徴とする。
 本発明二次電池は、上記二次電池用電極を使用した二次電池である。
 本発明によれば、常態の機械的強度が大きく、かつ、300℃以上で加熱しても熱劣化がし難い電解銅箔を提供することができた。
 本発明の電解銅箔はタングステンを含有し、残部が銅の電解銅箔である。
 前記電解銅箔に含まれるタングステンの量は0.06wt%以上であり、より好ましくは0.06wt%~0.5wt%の範囲である。
 タングステンの含有量を0.06wt%以上とする理由は、含有量が0.06wt%以下の銅箔と比べて300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が向上し、電池用集電体として使用することで電池のサイクル寿命が長くなるためである。
 タングステンの添加量は好ましくは、0.5wt%以下とする理由は、0.5wt%よりも多く添加してもその効果は飽和し、物性改善の効果が殆ど見られないためである。また、導電率の低下原因にもなり好ましくない。
 本発明者等はWを含有する電解銅箔を製造するために種々の実験を繰り返した。その結果、塩素イオンが含まれる電解液では、液中にタングステンを多く添加しても製箔した銅箔中にタングステンが取り込まれることはなく、当然この様な電解液で製箔された銅箔の常温及び加熱後の箔の機械的強度は向上しなかった。
 しかし、電解液に塩素イオンを添加しても、液中にチオ尿素系化合物を添加すると製箔条件によってはタングステンが箔中に取り込まれる、との知見を得た。
 また、本発明電解銅箔はタングステンを0.06wt%~0.5wt%含有し、塩素を0.001wt%~0.07wt%含有する。
 塩素の含有量は0.001wt%以上とする理由は、含有量が0.001wt%以下では銅箔表面の表面平滑性が失われるためである。また、塩素の含有量を0.07wt%以下とする理由は、0.07wt%以上含有させると製箔した電解銅箔の初期強度が低下する傾向を示し、初期強度が低下することで加熱後の強度も低くなるためである。
 このような知見を踏まえて電解銅箔を以下の条件で製箔することで、耐熱性に優れた電解銅箔を製造することに成功した。
基本電解浴組成
   Cu=70g/L
   H2SO4=50g/L
電解条件
   電流密度=40A/dm
   液温=45℃
 硫酸-硫酸銅系銅電解液に添加する添加剤は下記の通りである。
 添加剤A:チオ尿素系化合物=2~20mg/L
 添加剤B:タングステン塩(タングステンとして)=150~1,000mg/L
 添加剤C:塩素イオン=5~70mg/L
 なお、上記添加剤Bについては、「タングステン金属として150~1,000mg/Lに相当する量のタングステン塩」を意味する(以下同様)。
 添加剤A:チオ尿素系化合物とは下記構造をもつ有機化合物である。
       >N-C(=S)-N<
 チオ尿素系化合物の例としては、チオ尿素、N,N-ジエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素である。しかし、これらは後述する実施例で使用したものを例示しているに過ぎず、以上で述べたような構造的特徴を有し、同様の効果を発揮する化合物であれば、いずれの化合物も使用可能である。
 添加剤B:タングステン塩は硫酸銅と硫酸を含有する電解液中で溶解するもので、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム等をあげることができる。
 添加剤C:塩素イオンの添加は、硫酸銅と硫酸を含有する電解液中で溶解する化合物から選ばれる。塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等をあげることができる。
 有機添加剤としてチオ尿素系化合物を使用する理由は、チオ尿素系化合物が有する[=S]構造が優先的に銅に吸着して有機分子の吸着層を形成し、該吸着層上にタングステン酸化物が吸着することで、タングステンはチオ尿素系化合物と一緒に箔中に取り込まれるためである。
 タングステンは酸性溶液中では酸化物として存在するが、塩素を含む電解液を用いた銅電析では銅の析出面上を塩素イオンが被覆しているため、タングステン酸化物は銅に吸着されず、箔中へのタングステンの取り込みが起こらない。該電解液にチオ尿素系化合物を添加すると、[=S]構造が塩素イオンよりも優先的に銅上に吸着して銅に有機分子の吸着層を形成する。該吸着層上にタングステン酸化物が吸着することにより、タングステンはチオ尿素系化合物と一緒に箔中に取り込まれるものと推考される。
 このように、本発明電解銅箔は、硫酸-硫酸銅電解液にタングステン、チオ尿素系化合物、塩素を含む電解液から電解析出により形成する。このタングステン、チオ尿素系化合物、塩素を含む硫酸-硫酸銅電解液中で銅を電解析出すると、タングステン酸化物がチオ尿素系化合物と一緒に銅の結晶粒界に吸着され、結晶核の成長を抑制し、結晶粒を微細化(低プロファイル化)し、常態で大きな機械的強度を備えた電解銅箔を形成するものと考えられる。
 従って、タングステンを含有する電解銅箔は300℃程度の高温で加熱しても、タングステン酸化物は結晶粒界にとどまり、銅の微細結晶が熱により再結晶し、結晶が粗大化するのを防ぐ働きをすると考えられる。
 本発明の電解銅箔は、300℃程度の高温で加熱した後でも、低プロファイルで、機械的強度の低下が小さいという、これまでの有機添加剤を用いた硫酸-硫酸銅系の電解液により製箔された電解銅箔には見られない優れた特徴を発揮する。
 硫酸-硫酸銅系の電解液に添加されるチオ尿素系化合物は、電解液中で金属元素、塩素とともに錯体を形成すると考えられる。
 タングステンが添加されていない場合は、電解銅箔製箔用の電解液に添加されている金属元素は銅である。従って、硫酸銅と硫酸を含有する電解液中で銅-チオ尿素系化合物が形成される。この電解液による銅電析で電解銅箔を形成すると、銅-チオ尿素系化合物が結晶粒界に吸着され、結晶核の成長を抑制し、結晶粒を微細化し、常態で大きな機械的強度を備えた電解銅箔を形成する。
 しかし、この銅箔は結晶粒界に存在する物質が、銅-チオ尿素系化合物であるため、銅はバルクの銅結晶と結合あるいは吸収され、結晶粒界に存在する物質が、チオ尿素系化合物のみとなってしまうため、300℃程度の高温に曝されると分解し、その結果として機械的強度が低下すると考えられる。
 300℃程度の高温で加熱した場合に引張強さが著しく低下する理由は、上記のように結晶粒界に存在する化合物が有機化合物であり、該有機化合物は300℃程度の加熱により分解しやすいため、機械的強度が低下すると考えられる。
 特許文献1、2に開示されている方法では異なる有機化合物を使用して電解析出を行い、電解銅箔を製造しているが、いずれも有機添加剤と塩素を含む硫酸-硫酸銅電解液から製造されたものであり、電解銅箔の結晶粒界に吸着しているのは有機化合物成分であるため、かかる電解銅箔が300℃以上の高温に曝された場合、著しく機械的強度が低下するのは結晶粒界に吸着している化合物がいずれも300℃以上の高温加熱で分解しやすい有機化合物であるからと考えられる。
 これに対して本発明は、硫酸銅と硫酸を含有する電解液にタングステン、チオ尿素系化合物、塩素を含む電解液により銅電析を行い、銅合金箔を形成するので、タングステン酸化物はチオ尿素系化合物と一緒に銅上に吸着する。吸着されたタングステン酸化物及びチオ尿素系化合物により結晶核の成長が抑制され、結晶粒が微細化され、常態で大きな機械的強度を備えた電解銅箔が形成される。
 このように、本発明の電解銅箔はタングステン酸化物及びチオ尿素系化合物が結晶粒界に存在するため、銅-チオ尿素系化合物の場合とは異なり、タングステン酸化物はバルクの銅結晶と結合、あるいは吸収されることなく、タングステン酸化物及びチオ尿素系化合物のまま結晶粒界にとどまると考えられる。このため、300℃程度の高温に曝されても、タングステン酸化物は結晶粒界にとどまり、銅の微細結晶が熱により再結晶し、結晶が粗大化するのを防ぐ働きをする。
 上述したように塩素イオンを添加した電解液では銅箔にまともにタングステンを取り込むことは極めて困難である。しかし、本発明ではチオ尿素系化合物を添加することで、銅箔中にタングステンを取り込むことに成功した。
 添加するチオ尿素系化合物の量を2mg/L~20mg/Lとするのは、2mg/L未満では銅箔中にタングステンを規定量取り込むことができず、300℃×1時間の熱処理後の引張強度が低下してしまい、20mg/Lを超えて添加すると箔の状態において反り(カ-ル)が強くなるため、添加量は2mg/L~20mg/Lが好ましい範囲である。
 塩素イオンの添加量は5~70mg/Lである。塩素イオンが5mg/L未満の添加では、表面粗さが著しく大きくなる(表面の平滑性が損なわれる)等の不具合が発現すため好ましくなく、塩素イオンを70mg/Lを超えて添加すると、箔の初期強度が低下し、好ましくない。従って、添加する塩素イオンは5~70mg/Lの範囲とすることが好ましく、特に好ましく10~30mg/Lである。
 電解銅箔は、タングステン、チオ尿素系化合物、塩素イオンを上記した規定量添加した硫酸銅溶液を電解液として、貴金属酸化物被覆チタンを陽極に、チタン製回転ドラムを陰極として、電流密度30~100A/dm、液温30~70℃の条件で電解処理することで製箔する。
 リチウムイオン二次電池の負極集電体を構成する集電体(銅箔)は、ポリイミドバインダーを使用する場合、通常300℃×1時間の熱処理に耐える必要性がある。即ち、リチウムイオン二次電池用集電体表面には活物質、導電材とバインダーの混合物に溶剤などを加えてペースト状に調製した活物質組成物が塗布され、乾燥工程を経て、リチウムイオン二次電池の電極とする。その乾燥工程において、300℃×1時間の熱処理を必要とする。この乾燥工程の加熱条件に耐え、かつ活物質の充放電サイクルによる膨張、収縮に耐える銅箔としては、好ましくは300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張り強さが500MPa以上の条件を満足する性能が必要である。
 また、SiやSnなどの活物質はカーボンなどの活物質と比べ電子伝導性が悪い。活物質の導電性が悪いと、電極の内部抵抗が上がるため、サイクル特性が劣化する。
 本発明のタングステン含有電解銅箔は上記二次電池用集電体が要求する諸特性を満足する。従ってかかる電解銅箔を集電体とし、該集電体にシリコン、ゲルマニウム、錫又はそれらの合金化合物またはそれらを主成分とする活物質を堆積して電極とし、該電極を組み込むことで性能の優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。
 なお、本発明電解銅箔はリチウムイオン二次電池の集電体として特に優れているが、他の電池の電極用集電体としても好適に使用できることは勿論である。
(実施例1-1~1-7)
 表1に示す量の銅、硫酸、塩素イオン、タングステン、チオ尿素系有機添加剤を添加した硫酸銅と硫酸を含有する電解液を用いて貴金属酸化物被覆チタンを陽極に、チタン製回転ドラムを陰極として、下記電解条件で電解銅箔を製箔した。
 電解条件
  電流密度 40A/dm
  温度   45℃
 なお、表1及び表2において、「加熱後」とは、不活性ガス雰囲気中で、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した結果である。「常温」とは、上記熱処理を行う前に常温で測定した結果である。以下の実施例でも同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
防錆処理
 このようにして製箔した電解銅箔に下記条件で防錆処理を施した。
 製箔した電解銅箔(未処理銅合金箔)をCrO;1g/L水溶液に5秒間浸漬して、クロメート処理を施し、水洗後乾燥させた。
 なお、ここでは、クロメート処理を行ったが、ベンゾトリアゾール系処理、或いはシランカップリング剤処理、又はクロメート処理後にシランカップリング剤処理を行ってもよいことは勿論である。
(比較例2-1、2-2)
 表1に示す量の銅、硫酸、塩素、チオ尿素系有機添加剤を添加した硫酸銅と硫酸を含有する電解液を用いて貴金属酸化物被覆チタンを陽極に、チタン製回転ドラムを陰極として、下記電解条件で電解銅箔を製箔した。
電解条件
  電流密度 40A/dm
  温度   45℃
 このようにして製箔した銅箔に実施例と同様の表面処理を行った。
(参考例2-3)
 表1に示す量の銅、硫酸、塩素イオン、タングステン、チオ尿素系有機添加剤を添加した硫酸銅と硫酸を含有する電解液を用いて貴金属酸化物被覆チタンを陽極に、チタン製回転ドラムを陰極として、下記電解条件で電解銅箔を製箔した。
電解条件
  電流密度 40A/dm
  温度   45℃
 このようにして製箔した銅箔に実施例と同様の表面処理を行った。
 作成した銅箔について次の試験を実施した。
銅箔中のタングステンの含有量の測定
 タングステン含有量は、一定重量の電解銅箔を酸で溶解した後、溶液中のタングステンをICP発光分光分析法により求めた。
 使用機器 :ICPS-7000(島津製作所)
銅箔の引張り強度の測定
 銅箔の引張強度は、IPC-TM-650に基づいて箔の加熱前と加熱後に付き測定した。
 使用機器 : AG-I (島津製作所)
塩素含有量の測定
 塩素含有量は、一定重量の電解銅箔を酸で溶解した後、溶液中の塩素を硝酸銀滴定により定量を行い、算出を行った。
タングステンの解析
 電解銅合金中に含有されるタングステンの化学結合状態や電子状態の解析をXAFS(X線微細吸収構造:X-ray Absorption Fine Structure)法で行った。XAFS法では、試料にX線エネルギーを変化させながらX線を照射し、得られたX線吸収スペクトルから試料中の化学結合状態や電子状態の解析を行う。
 その他、X線吸収スペクトルを得る手法として、入射したX線の強度と透過したX線の強度からX線吸収スペクトルを求める透過法、X線の吸収に伴って試料から発せられる蛍光X線の強度を測定する蛍光法がある。
 金属材料などの添加元素を分析対象とするとき、その添加量は微量であり透過法でのXAFSスペクトルを得ることは困難である。この様な場合に有効なのが上記に記した蛍光法である。蛍光法の特徴としては、その光軸系よりX線の照射面積が広く取れることにより微量成分の元素でもXAFS測定が可能であることである。
 本測定では高強度銅箔中のタングステンの化学結合状態や電子状態を知ることが目的であり、タングステンの量は微量であり、透過法でXAFSスペクトルを得るには困難であることから蛍光法を選択した。
 測定に関してはSPring-8の産業利用ビームラインBL14B2を使用した。測定したX線のエネルギー範囲は10000~10434eCとした。このエネルギー範囲にはタングステンのL3-吸収端(10207eV)があるため本測定の目的に適う。
 測定試料はタングステンを0.48wt%含有する銅箔(実施例1-3)を用意した。また比較のため、タングステン箔とWOを用意した。測定時間としては1試料当り4時間とした。タングステン含有銅箔のスペクトルは金属タングステンではなくWOのスペクトルとほぼ一致したエネルギー領域にピークをもつことから、電解銅箔中のタングステン元素は酸化物状態として含有されていることが分かった。この結果を基に各実施例においても測定した結果、酸化物状態で含有されていることを確認した。
電池性能試験
 次に実施例で製箔した電解銅箔を集電体として、リチウム二次電池を作成し、サイクル寿命試験を行った。
 粉末状のSi合金系活物質(平均粒径0.1μm~10μm)を85、バインダー(ポリイミド)を15の比率(重量比)で混合し、N-メチルピロリドン(溶剤)に分散させて活物質スラリーとした。
 次いで、このスラリーを、作成した12μm厚の電解銅箔両面に塗布し、乾燥後ローラープレス機で圧縮形成し、その後、窒素雰囲気下、300℃で1時間焼結し、負極とした。この負極は、成形後の負極合剤の膜厚が両面共に20μmと同一であった。
リチウム二次電池の作成
 アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、以下の構成で評価用三極式セルを構築した。
 負極:上記で作製のSi合金系負極
 対極、参照極:リチウム箔
 電解液:1mol/L LiPF/EC+DEC(3:7vol%)
 構築したセルをボックスから大気中に取り出し、25℃の雰囲気下で充放電測定を実施した。
 充電はLiの標準単極電位基準に対して0.02Vまで定電流で行い、その後はCVで(定電位のまま)電流が0.05Cまで低下した時点で充電終了とした。なお、Cは充放電レートを示す。放電は定電流にて0.1Cで1.5V(Li基準)まで行った。同じ0.1C相当電流で充放電を繰り返した。
 サイクル寿命は、放電容量が1サイクル目の放電容量の70%に達するまでのサイクル数とした。また、充放電サイクルを行った後電池を分解し、箔の変形性の評価を行った。その結果を表1に示す。
 表1に示すようにタングステン含有電解銅箔のタングステン含有量が0.06wt%~0.5wt%であると充放電試験後にしわ発生等の不具合は認められず、サイクル特性も良好であったが、一方、この範囲を外れた比較例では充放電試験後にしわが発生し、サイクル特性の著しい低下が見られた。
 また、タングステン含有量が0.06wt%~0.5wt%の範囲にある実施例は、その範囲外である参考例に比べて、サイクル特性が良好であった。
 また、実施例1-6のタングステン含有量は実施例1-3と同程度であるが、塩素の含有量が0.07wt%を超えているため、初期の強度が実施例1-3及び比較例2-1,2-2よりも低下している。しかし、その後の加熱後の強度は比較例2-1、2-2に比べて高く、加熱による低下度合いが小さいことがわかる。
 しかし、このように塩素の含有量が0.07wt%を超えると初期強度の低下が生じ、結果的に加熱後強度の値が低くなり、サイクル特性の低下を引き起こす要因となるため、塩素の含有量は0.07wt%以下であることが好ましい。
HDDサスペンション用基板を作成
 本実施例では、電解銅箔を作成した後、ステンレス箔/ポリイミド樹脂層/電解銅箔の構成であるHDDサスペンション用基板を作成し、その特性評価を行った。
電解銅箔の準備
 表2に示すように実施例1-2~4、1-6、比較例2-2、参考例2-3の電解銅箔を用いてHDDサスペンション用基板を作成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
ポリイミド樹脂の合成
合成例1
 線膨張係数が30ppm/K以下の低熱膨張性のポリイミド系樹脂を合成するため、9.0モルのDADMBを秤量し、40Lのプラネタリーミキサーの中で攪拌しながら溶媒DMAc25.5kgに溶解させた。次いで、8.9モルのBPDAを加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Aの溶液を得た。本合成例によるポリイミド前駆体Aのイミド化後の線膨張係数は、13ppm/Kであった。
合成例2
 ガラス転移温度が300℃以下のポリイミド系樹脂を合成するため、6.3molのDADMBを秤量し、40Lのプラネタリーミキサーの中で攪拌しながら溶媒DMAc25.5kgに溶解させた。次いで、6.4molのBPDAを加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Bの溶液を得た。本合成例によるポリイミド前駆体Bのイミド化後の動的粘弾性測定装置によるガラス転移温度は、225℃であった。
 なお、ここで用いられている略号は以下の通りである。
DADMB:4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物BAPP:2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
HDDサスペンション用基板の作成
 実施例1-2~4、1-6、比較例2-2、参考例2-3で準備した電解銅箔を用い、ステンレス箔/ポリイミド樹脂層/電解銅箔の構成であるHDDサスペンション用基板を作成した。
(a)合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液をステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、SUS304、テンションアニール処理品、厚み20μm)上に、硬化後の厚みが1μmになるように塗布して110℃で3分乾燥し、(b)その後、その上に合成例1で得られたポリイミド前駆体Aの溶液を硬化後の厚さが7.5μmになるように塗布し、(c)110℃で10分乾燥し、(d)更にその上に合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液をそれぞれ硬化後の厚みが1.5μmになるように塗布し、(e)110℃で3分乾燥し(f)その後、更に130~360℃の範囲で数段階、各3分間段階的な熱処理によりイミド化を完了させ、(g)ステンレス上にポリイミド樹脂層の厚み10μmの積層体を得た。なお、第1層目のポリイミド樹脂層と第3層目のポリイミド樹脂層は同じとした。
 次に、準備した電解銅箔を重ね合わせ、真空プレス機を用いて、面圧15Mpa、温度320℃、プレス時間20分の条件で加熱圧着して目的のHDDサスペンション用基板を得た。
剥離強度の測定
 金属箔とポリイミド系樹脂との間の接着力は、ステンレス箔上にポリイミド系樹脂層を形成した後、更に電解銅箔を熱圧着して両面金属箔の積層体を作成し、所定の形状に加工することにより1/8インチ配線幅の測定用試験片を作成した。このサンプルを固定板にSUS箔側及び銅合金箔または銅箔側をそれぞれ貼り付け、引張試験機を用いて、各金属箔を90°方向に引き剥がし強さを測定した。
反りの測定
 積層体を加工して直径65mmのディスクを作成し、23℃、湿度50%で24時間放置後、机上に置いた際に最も反りが大きくなる部分をノギスにより測定した。
線熱膨張係数の測定
 線熱膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を算出した。
 結果を表2に示した。実施例、参考例の電解銅箔を用いたステンレス箔/ポリイミド樹脂層/電解銅箔の構成であるHDDサスペンション用基板はサスペンション基板材料としての要求特性を充分満たすものである。
 比較例の電解銅箔を用いたHDDサスペンション用基板はサスペンション基板材料としては反りが大きく、要求特性を満たすことができなかった。
 上述したように本発明によれば、常態の機械的強度が大きく、かつ、300℃以上で加熱しても熱劣化し難い電解銅箔を提供することができる。
 また、本発明によれば、リチウムイオン二次電池用集電体として優れた電解銅箔を提供でき、該集電体を用いることで優れた二次電池を提供することができる。
 本発明の電解銅箔は加熱後でも大きな機械的強度を要求されるプリント配線板材料、例えばHDDサスペンション材料、或いはTAB材料の分野の構成材料として好適である。
 また、プリント配線板材料のみならず、高温で加熱した後でも大きな機械的強度と導電性を要求される分野の構成材料としても好適に使用することができる。

Claims (10)

  1.  タングステン(W)を、0.06wt%以上含有する電解銅箔。
  2.  タングステン(W)を、0.06wt%~0.5wt%含有する電解銅箔。
  3.  タングステンを含有し、残部が実質的に銅からなる電解銅箔。
  4.  タングステン(W)を、0.06wt%~0.5wt%含有し、塩素(Cl)を0.001wt%~0.07wt%含有する電解銅箔。
  5.  前記タングステンの全てまたは一部が酸化物である請求項1~4のいずれかに記載の電解銅箔。
  6.  タングステンを0.06wt%~0.5wt%含み、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が500MPa以上である電解銅箔。
  7.  タングステンを0.06wt%~0.5wt%含み、塩素(Cl)を、0.001wt%~0.07wt%含み、300℃×1時間の熱処理後に常温で測定した引張強度が500MPa以上である電解銅箔。
  8.  請求項1~7のいずれかに記載の電解銅箔を用いた二次電池用集電体。
  9.  請求項1~7のいずれかに記載の電解銅箔を集電体として用い、その表面に活物質が堆積されている二次電池用電極。
  10.  請求項1~7のいずれかに記載の電解銅箔を集電体として用いた二次電池。
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